社会奉仕活動……?
社会奉仕従事者の朝は早い。
何故なら、井戸を利用する人々が来る前に井戸の水を汲み出し、朝に利用する人々の分の水を水瓶に移すところから作業が始まるからである。
井戸さらい用の大水瓶はだいたいどの宿屋にもあって、その中に水をガンガン移していく。釣瓶の先についたバケツは小さく、1度では1センチ程度しか水が貯まらないため、いちばん辛いと言われるのがこの水抜きの工程である。
昨日は役場に行き、井戸さらいのマニュアルと社会奉仕活動従事者証明証を貰ってから、井戸の隣の宿屋で部屋を借りた。部屋を借りるのにも、メシにもお金は掛からなかったが、一宿一飯程度でこの重労働というのは割に合わなさすぎる。
釣瓶の引き綱を持つ手が既にボロボロになり、マメが出来ては潰れていく。蛇口をひねれば水にありつける現代人の手の皮は驚く程に軟弱だ。
1回2回と数えていた汲み取り回数も、20を超えた所で数えるのをやめた。しかし、ゴールは既に近い。
何度も何度も水を汲み取り、バケツの中を確認する。
そして、何十回目かわからない落胆を繰り返す。
そしてまた釣瓶を落とす。
その時だった。
―――ゴリッ、ガガガガ
バケツが井戸の底に当たり、音が鳴る。ゴールの音だった。
「やった!」
「わっ、すごぉい!1人で全部水汲んだの?」
「え?」
僕が上げた小さな歓声を、女性が聞いていた。
「あら、作業の邪魔になってたらごめんなさいね。すぐに体拭いたら部屋に戻るから」
どうやらこの女性は同じ宿に泊まっている女性らしかった。色白な肌に、優しい栗色の長髪の似合う、いかにも優しそうな女性だった。
「普通なら井戸さらいって、何名かで組を作ってやるものなのに……よく頑張ったねぇ」
え、そうなの? マジ?
ニコニコと笑いながら褒めてくれるお姉さんがとんでもないことを暴露してくれた。僕っていじめられてるんですか?
そしてそのお姉さんは慣れた手つきで水瓶から水を掬い、そしてさも当然であるかのごとく―――全ての服を脱いだ。
「えっ!?あの!?すいません!?」
僕の声も無視してお姉さんは服を全て脱ぎ去り、カラダを濡れた手ぬぐいで拭いていく。
ぷるんとした2つの巨大な双丘を湛えた豊満なカラダ。双丘の頂上には色素の薄い突起がぷっくりと勃起している。
この世の男であれば誰もが目を引かれるような状況でありながらも、それを見ないよう、井戸の底に目を向ける。
「ボウヤはどこから来たのぉ?黒髪だからジパングかなぁ?」
しかしお姉さんは容赦がない。さらには、「すぐに体拭いたら戻るから」と言いつつ全然拭き終わる気配すらない。
「黒髪って珍しいもんねぇ〜お姉さん憧れちゃうなぁ」
お姉さんを一瞥する。決してその美しい肢体に目を惹かれた訳ではない。お姉さんのカラダはできるだけ見ないようにして顔色を伺う。
お姉さんは面白そうなオモチャを見つけた子供のような、純真な瞳で僕を見ていた。
「あの、すいません!僕は作業があるので!」
「ん〜、そっか、邪魔してごめんね? じゃあお詫びに……えいっ!」
お姉さんは小さな掛け声とともに手を振り、その指先から光の粉の様なものを出して空中に文字を書く。その間、数秒。
するとあたりは一瞬、閃光に包まれて輝き出す。
「主よ、浄化の光を持って子等を導き給え……浄化光輪!」
まるで呪文の詠唱。いや、これは正しく呪文の詠唱なのだろう。ラナさんの家にいた時も同じようなものを見たことがある。
しかし、ラナさんの使っていたものよりもこれは大規模かつ、厳かな雰囲気があった。
「よーし、これで大丈夫でしょ?ボウヤの仕事も終わらせたしぃ〜ケガも治しておいたから!ちょっとお話しようよ、ね?」
裸のお姉さんにギュッと抱きしめられて捕まる。
女性は僕よりも身長が20センチほど身長が高い。しかし、振り払えない程の力ではない。
それでも、綺麗な可愛い全裸のお姉さんにギュッとされて振り払えるはずもなく、お姉さんの胸の中でそのムチムチぷるんとした柔らかさを味わいつつ、屁理屈をこねていかにも嫌がっているようなポーズをとる。
例えば、井戸はたしかに綺麗になっていたが、これほど短時間に終わることは普通では無いのでサボりだと言われたらどうするのか、とか。これから次の街に出発する予定だったんです!とか。
しかしながら、屁理屈はお姉さんの良心と偶然によって全て打ち砕かれてしまった。
よって、僕はこれからお姉さんと一緒に役場へ出向き、2人で社会奉仕活動をしたという証明をして、次の街、王都へ向かうことになった。
ドウシテコウナッタ……
お姉さんの用意した馬車の中では何度も後悔した。
ドボルグさん……会いにいけなくてゴメンよ……。
街を出る時、カチコチの最敬礼でこの馬車を見送ってくれたハゲのおっさん……。遠く逆光になり、顔までは見えなかったが多分あれがドボルグさんだったのだろう。
「んー、この街ももうちょっとご飯に塩味があったら良かったんだけど……海遠いし仕方ないのよねぇ」
ニコニコ笑いながら手作り弁当を僕の口にねじ込んでくるお姉さん。実はこの距離感バグったお姉さん、泣く子も黙る白銀騎士団魔道総長、コロワ・ナベリア=リベールという激ヤバ級VIPらしい。
誰だそりゃ!
そんなことを思いつつ、胡椒と塩味の効いたベーコンを噛み締める。
美味すぎん……?
「はい、あーん♡」
「あ、ありがとうございます」
馬車にガタゴト揺られながら、ランチボックスに入った昼食を食べる。……コロワさんの膝の上で。
この世界の住人達は、コロワさんもドボルグさんもかなりの大柄だったから、もしかしたら僕は子供扱いされているのかもしれない。それならば井戸さらいの時にコロワさんが裸になったのも理解出来る。
……そう気づいたのは、馬車の中でコロワさんの膝枕で寝かされているときだった。
何故なら、井戸を利用する人々が来る前に井戸の水を汲み出し、朝に利用する人々の分の水を水瓶に移すところから作業が始まるからである。
井戸さらい用の大水瓶はだいたいどの宿屋にもあって、その中に水をガンガン移していく。釣瓶の先についたバケツは小さく、1度では1センチ程度しか水が貯まらないため、いちばん辛いと言われるのがこの水抜きの工程である。
昨日は役場に行き、井戸さらいのマニュアルと社会奉仕活動従事者証明証を貰ってから、井戸の隣の宿屋で部屋を借りた。部屋を借りるのにも、メシにもお金は掛からなかったが、一宿一飯程度でこの重労働というのは割に合わなさすぎる。
釣瓶の引き綱を持つ手が既にボロボロになり、マメが出来ては潰れていく。蛇口をひねれば水にありつける現代人の手の皮は驚く程に軟弱だ。
1回2回と数えていた汲み取り回数も、20を超えた所で数えるのをやめた。しかし、ゴールは既に近い。
何度も何度も水を汲み取り、バケツの中を確認する。
そして、何十回目かわからない落胆を繰り返す。
そしてまた釣瓶を落とす。
その時だった。
―――ゴリッ、ガガガガ
バケツが井戸の底に当たり、音が鳴る。ゴールの音だった。
「やった!」
「わっ、すごぉい!1人で全部水汲んだの?」
「え?」
僕が上げた小さな歓声を、女性が聞いていた。
「あら、作業の邪魔になってたらごめんなさいね。すぐに体拭いたら部屋に戻るから」
どうやらこの女性は同じ宿に泊まっている女性らしかった。色白な肌に、優しい栗色の長髪の似合う、いかにも優しそうな女性だった。
「普通なら井戸さらいって、何名かで組を作ってやるものなのに……よく頑張ったねぇ」
え、そうなの? マジ?
ニコニコと笑いながら褒めてくれるお姉さんがとんでもないことを暴露してくれた。僕っていじめられてるんですか?
そしてそのお姉さんは慣れた手つきで水瓶から水を掬い、そしてさも当然であるかのごとく―――全ての服を脱いだ。
「えっ!?あの!?すいません!?」
僕の声も無視してお姉さんは服を全て脱ぎ去り、カラダを濡れた手ぬぐいで拭いていく。
ぷるんとした2つの巨大な双丘を湛えた豊満なカラダ。双丘の頂上には色素の薄い突起がぷっくりと勃起している。
この世の男であれば誰もが目を引かれるような状況でありながらも、それを見ないよう、井戸の底に目を向ける。
「ボウヤはどこから来たのぉ?黒髪だからジパングかなぁ?」
しかしお姉さんは容赦がない。さらには、「すぐに体拭いたら戻るから」と言いつつ全然拭き終わる気配すらない。
「黒髪って珍しいもんねぇ〜お姉さん憧れちゃうなぁ」
お姉さんを一瞥する。決してその美しい肢体に目を惹かれた訳ではない。お姉さんのカラダはできるだけ見ないようにして顔色を伺う。
お姉さんは面白そうなオモチャを見つけた子供のような、純真な瞳で僕を見ていた。
「あの、すいません!僕は作業があるので!」
「ん〜、そっか、邪魔してごめんね? じゃあお詫びに……えいっ!」
お姉さんは小さな掛け声とともに手を振り、その指先から光の粉の様なものを出して空中に文字を書く。その間、数秒。
するとあたりは一瞬、閃光に包まれて輝き出す。
「主よ、浄化の光を持って子等を導き給え……浄化光輪!」
まるで呪文の詠唱。いや、これは正しく呪文の詠唱なのだろう。ラナさんの家にいた時も同じようなものを見たことがある。
しかし、ラナさんの使っていたものよりもこれは大規模かつ、厳かな雰囲気があった。
「よーし、これで大丈夫でしょ?ボウヤの仕事も終わらせたしぃ〜ケガも治しておいたから!ちょっとお話しようよ、ね?」
裸のお姉さんにギュッと抱きしめられて捕まる。
女性は僕よりも身長が20センチほど身長が高い。しかし、振り払えない程の力ではない。
それでも、綺麗な可愛い全裸のお姉さんにギュッとされて振り払えるはずもなく、お姉さんの胸の中でそのムチムチぷるんとした柔らかさを味わいつつ、屁理屈をこねていかにも嫌がっているようなポーズをとる。
例えば、井戸はたしかに綺麗になっていたが、これほど短時間に終わることは普通では無いのでサボりだと言われたらどうするのか、とか。これから次の街に出発する予定だったんです!とか。
しかしながら、屁理屈はお姉さんの良心と偶然によって全て打ち砕かれてしまった。
よって、僕はこれからお姉さんと一緒に役場へ出向き、2人で社会奉仕活動をしたという証明をして、次の街、王都へ向かうことになった。
ドウシテコウナッタ……
お姉さんの用意した馬車の中では何度も後悔した。
ドボルグさん……会いにいけなくてゴメンよ……。
街を出る時、カチコチの最敬礼でこの馬車を見送ってくれたハゲのおっさん……。遠く逆光になり、顔までは見えなかったが多分あれがドボルグさんだったのだろう。
「んー、この街ももうちょっとご飯に塩味があったら良かったんだけど……海遠いし仕方ないのよねぇ」
ニコニコ笑いながら手作り弁当を僕の口にねじ込んでくるお姉さん。実はこの距離感バグったお姉さん、泣く子も黙る白銀騎士団魔道総長、コロワ・ナベリア=リベールという激ヤバ級VIPらしい。
誰だそりゃ!
そんなことを思いつつ、胡椒と塩味の効いたベーコンを噛み締める。
美味すぎん……?
「はい、あーん♡」
「あ、ありがとうございます」
馬車にガタゴト揺られながら、ランチボックスに入った昼食を食べる。……コロワさんの膝の上で。
この世界の住人達は、コロワさんもドボルグさんもかなりの大柄だったから、もしかしたら僕は子供扱いされているのかもしれない。それならば井戸さらいの時にコロワさんが裸になったのも理解出来る。
……そう気づいたのは、馬車の中でコロワさんの膝枕で寝かされているときだった。
21/08/27 01:02更新 / (処女廚)
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