〜竜胆の心変わり〜

　今日は竜胆の誕生日。

　だが、そんな日に学校から呼び出しがかかった。

　なんで呼ばれたのかというと、竜胆が同じクラスの男子児童を殴ったそうだ。

　学校についてみると、殴られた男子児童の母親(人間のおばさん)が竜胆を責めていた。

　とりあえず、母親をなだめ、詳しい話を担任の先生や男子児童から話を聞いてみる事にした。

　母親は、横槍を入れようとしてきたので、しばらく黙ってもらった。

　そして、話をまとめると男子児童が竜胆に告白。

　しかし、そこを断られた為、竜胆に襲いかかったそうだ。その際、竜胆が反発。

　結果として、竜胆が男子児童の事を殴った形になったのだろう。

　母親の方は反論してきたが、その反論の内容が『私の息子がそんな事…!!』とか『この子が嘘をついているだけ…』とか言ってきたので、完膚なきまでに論破して上げた。

　あの悔しそうな表情は傑作だったな(笑)



　さて、今は家に帰る途中の車内。

　どんよりと重い空気が流れているので、話の内容を変えてみる事にした。

「ねぇ竜胆。なんでさっき黙っていたの？」

「……」

　下を向いてだんまりを決め込む竜胆。

　なんで黙っているのだろうか。

「竜胆。どうして黙っているの？話してくれないと分からないよ」

「……あのね…」

　そう切り出すと、竜胆はゆっくりと話し出した。

「私はね。姉妹の中で唯一兄貴と血が繋がっているでしょ。だからね、だから…。だからね…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

　大粒の涙を流しながらゆっくりと話す。

「あの子に告白された時に『あなたには興味ない。私には兄貴がいるから』って言ったら『自分のお兄ちゃんを好きになるなんて変な奴！お前の兄貴もきっと変な奴なんだな!!』って言われて…」

「頭にきて、手が出たってわけか」

　そういうと、竜胆は頭を縦に振った。

　なんというか、こんな捨て台詞に向きになる竜胆も竜胆だが、言葉を選べなかった男子児童にも問題があるだろう。

「後ね。さっきも言ったけど、私は兄貴と唯一血のつながった兄妹だよね。雫が家に来たときに、雫の面倒を見ている兄貴を見てね。私も兄貴みたいにしっかりしなきゃって思ったの…。だから…、だからね…。兄貴がいなくてもこれくらいは自分で何とかしようとして…しようとして…」

　何とかしようとしたところ、あの男子児童の保護者の母親がやってきたのだろう。

　子供の能力では、大の大人に太刀打ちできず、悔しさから黙ってしまったのだろう。

「なるほどね…。でもな竜胆。一つだけ、勘違いしていることがあるぞ」

「勘違い…？」

「ああ、竜胆はな。絶対に俺のようにはなれない」

　すると、竜胆がショックを受ける音が聞こえたような気がした。

「俺のようになるなんて、俺にしかできない。雫は雫にしかなれないし、親父も親父にしかなれない。竜胆はまだ子供なんだ。もっと俺や親父たちを頼ってさ、誰にも負けない“竜胆”っていう人物を完成させないとな」

　そういって、左手で助手席に座る竜胆の頭を撫でてあげる。

　最初は、ショックを受けていた竜胆だったが頭を撫でていると、だんだんとその目に涙がたまってきた。

「俺はずっと竜胆の味方だよ。何があっても俺は竜胆の味方だから」

　そういうと、竜胆は俺の腕を振り払うと、ランドセルに顔をうずめてしまった。

　感情が高ぶっているようだし。今はそっとしておこう。



　誕生日という特別な日に、一つ大人への階段を上った竜胆であった。

　その次の日から、前に比べると俺に聞くようになったのは、成長ととらえよう…。



〜寿司を食べに行こう〜

　今日は、久しぶりに妹達を連れて回転寿司に来ている。

　全国チェーンで家族向けを売りにしたお店である。

　ネタも豊富で子供から大人まで楽しめる。

　今日は給料日だったので、ちょっと奮発してみた。

「マグロ貰い!!」

「竜胆、先にとった皿の物を食べてから次の取りなさい」

　自分の好きなネタが流れてくると、すかさず取り自分の周りを埋めていく竜胆を注意する。

「だって、食べたいんだもん」

「食べたければ注文すれば大丈夫なんだから、落ち着いて食べなさい」

「はーい」

　そう言って、自分の取った寿司を食べ始めた。

「そういえば、竜胆は山葵つけないの？」

「あれは食べ物じゃない!!」

　嫌いなのはわかるが、そこまでいうか？

　好きな人は好きなんだけどな。

　どこかの世界には山葵寿司っていうのもあるくらいなんだし。

「お兄様。山葵取ってください」

「ん。はいよ〜」

　そう言って、俺の近くにあった山葵を雫に渡した。

　雫は、姉妹の中で唯一山葵が食べられる。

　最初は凄く辛そうに食べていたが、俺が食べているからという理由で頑張って食べていたら、慣れてしまったようである。

「……ねぇ、よくその緑の食べられるね」

「竜胆お姉さまはなんで食べられないのです？」

　確かに、竜胆はそろそろ好き嫌いをなくして欲しいものである。

　再来年は中学生になるんだからな…。

「ツーンとしないの？」

「たまにするけど、それが美味しいんですよ」

　確かに、多くつけすぎるとツーンとするな。

　あれはどうにも慣れそうにない。

　まぁ、それがこれの美味しさでもあるんだけどね。

「ハンバーグ!ハンバーグ!!」

「翡翠は本当に肉が好きだな」

　先ほどから、お肉系のネタのお寿司を食べ続けている翡翠。

　この子はお肉が大好きだからな。

　保護者としては、もう少しバランス良く色々なネタを食べて欲しい所だ。

「兄ちゃんもハンバーグ食べる!?」

「俺はいいよ。翡翠が食べな」

「うん！兄ちゃんありがとう!!」

　そう言って、俺の方に差し出してきたハンバーグ寿司を美味しそうに食べた。

　本当に肉を食べている時の翡翠は本当に幸せそうだな。

「あむあむ…」

「って、わぁ!!土筆！手がベトベトじゃないか!!」

　俺の隣で稲荷寿司を食べていた土筆だが、両手と口の周りには稲荷寿司の汁でベトベトになってしまっていた。

　稲荷寿司を素手で食べていたのだから仕方がない。

　箸の使い方がまだまだ覚束ないからと言っても、ちゃんと使っていればここまでならなかっただろうに…。

「ほら、じっとしてろよ」

「ん…」

　そう言って、備え付けられている手拭を使って、土筆の手と口周りを拭いてあげる。

　こういう拭き方をすると、なぜか「ん…」って言ってしまうのはなんでだろうな。

「ところで、なんで土筆は稲荷寿司や巻物ばかり食べているんだ？握り寿司は嫌いか？」

「ううん。お稲荷さん、かっぱまき、大好きなの」

　思った通りか。

　さっきから、卵巻きを抜かすとずっとそれだからな…。

　箸を使えないなら、稲荷以外を食ってほしいんだがな。

　ってか、流石食い盛り。皿がどんどん高くなっていく…。

　料金が怖いな。

　給料日だからと言って寿司食いに行くんじゃなかったかな。



〜番外　兄と妹達〜

兄「はい、どうも。いつも『リュウがいる日常』を見て頂きありがとうございます」

四姉妹「「「「ありがと〜ございます!!」」」」

兄「ここでは、作者の独断でラジオのような会話集をすることになっております」

竜胆「なんで、いきなりこんなことをしようと思ったんだ？」

兄「作者曰く『そろそろ、頃合いだろう』だそうだ」

雫「何が頃合いなんでしょう」

兄「知らん。作者しか知らんだろう」

翡翠「それで、一体何をするの？」

兄「そうだな。一応、質問も来ているみたいだし、それに答えていくか」

土筆「質問、きてるの？」

兄「ああ、まず一つ『お兄さんは、妹さんにどう育ってほしいですか？』か」

雫「そんなの決まっています！！兄にしか欲情しないような従順な妹ｎ…」

兄「雫、おやつ抜きの刑決定な。まぁ、あえて言うのなら『普通に恋愛をして、幸せな家庭を気付いてくれたらいい』っていうくらいかな」

雫「つまり!私と幸せな家庭を築きたいのですね!!」

竜胆「何をいう!!兄貴は私のなんだ!!兄貴と幸せな家庭を築くのは私だ!!」

翡翠「違うよ!!兄ちゃんと結婚するのは私だよ!!」

土筆「私なの!!」



兄「いつものが始まったか…。竜化するまでほっとくとして次行くか『ぶっちゃけ、蛍さんとくっつかないんですか』……は？」

四姉妹「「「「！！」」」」

兄「いや、あいつとは親友だけでそれ以上の関係はねぇよ。結婚とかありえん」

蛍「なんでよ!!なんで、ショウちゃんはそんなにドSなの!!もう、濡れちゃう!!!」

兄「これ送ったのお前だろう」

蛍「うん!!」



兄「バカ豚はほっといて、次行くか。『竜胆はいつ私のモノになりますか』…」

竜胆「兄貴？次の質問はなんだ？」

兄「うん。これは無かったことにしよう。だれからなのかは大体想像がつく…」

竜胆「？」

紅「チッ！」



兄「さ、気を取り直して…、『今後の展開について教えてください』か。これは、直接作者に聞いた方がいいんじゃね」

ランス「呼ばれたみたいなので即参上!!展開については色々考えております。しかし、世の常識で照らしてみて、没にた案もございます。
　例えば、『妹達を酔わせてみた』なんて者は、未成年者の飲酒は流石にまずいと思って没にしました（作者の幼少期に、作者の親に黒ビールをコーラだと騙されて飲まされてから若干トラウマを持っていることも関係しています）
　なので、楽しみにしていてくださいの一言に尽きます!!では、作者のランスでした!!」

兄「なんだったんだ…。あれ？」

竜胆「さ、さぁ…」

雫「作者さんが作品中に出てくるなんて珍しいですね」

翡翠「明日は雨かな？」

土筆「明日は泥遊びできる？」



兄「それは一旦おいて、物凄く駆け足ではありますが、こちらで終わりにしたいと思います。文章力の無い作者に変わって、ここまでご覧になっていただきありがとうございました」

竜胆「ふん、お礼だけは言っといてやる」

雫「ここまで、本当にありがとうございました。これからも私とお兄様との進展を心待ちにしていて下さい」

翡翠「みんなありがとねー!!これからも一杯遊ぶよ!!!」

土筆「ありがとう…、またねﾉｼ」










































兄「ん？あと一枚あるな…。何々『次回、最終回だよ By作者』……」

























兄・四姉妹「「「「「何ーーーー！！」」」」」

■作者メッセージ
皆さんお久しぶりです。
作者のランスです!!

今回は一応3本だてにしてみましたが、いかがだったでしょうか？
読める作品になっていたら幸いです。

さて、この作品。次で一旦完結させていただきます。
このままだと、ずるずる長引きそうなので、けじめとして一度閉じます。
この作品を終わらせた後も新しい連載を作るつもりなので、お楽しみください。

では、このあたりで。
作者のランスでした!!