〜Part10!!
Q、お兄さんは何フェチですか?
兄
「足」
竜胆・翡翠
「「!!(グッ)」」
雫・土筆
「「…(ショボーン)」」
兄
「ただし、妹以外のな」
四姉妹
「「「「!!(ガーン…)」」」」
〜翡翠の誕生日〜
今日は翡翠の誕生日である。
前の雫の誕生日の時のようにどこかに連れて行って欲しいとおねだりされるのかと思ったんだがな。
「翡翠、一日中そうしているのか?」
「うん!」
俺の背中で赤子のように背負われている。
勿論落ちないように紐で固定している。
「誕生日の日は何が欲しい?」と聞いてみたところ、「兄ちゃんの背中に乗っていたい!」と元気よく答えたのだ。
雫の時もそうだが、こんなのでいいのだろうか?と疑問に思ってしまう。
「ねぇ、兄ちゃん」
「ん?どうした」
不意に翡翠が話しかけてきた。
「私がこの兄ちゃん達と暮らし始めた時の事覚えてる?」
「ああ、俺の事を物凄い怖がってたよな」
「えへへ、うん。私が始めて兄ちゃんに会った時、竜胆お姉ちゃんと雫お姉ちゃんの事を叱っているのやパパを殴っているの見て、『この人は怖い人』って思ったんだ」
うん。前にも同じ事を聞いたが、あの時はちょっとやりすぎてしまったからな。
その所為で、翡翠は俺のことを怖がってしまったんだよな。
「それでね。私がママの所に戻ろうとこの家を出たんだけど、道がわかんなくて迷子になっちゃった時にさ、兄ちゃんが迎えに来てくれたよね」
あの時は本当に大変だったな。
翡翠が急にいなくなったから慌てて探していたら、お隣に住んでいるエキドナさん夫婦から「パパとママの所に帰る」と聞いて急いで向ったんだったな。
でも、親父達の家にはおらず、近所を探し回ってようやく見つけ出したのだ。
「あの時は大変だったんだぞ。親父達も知らないって言うし、心当たりを探しても見つからないしで・・・」
「えへへ、ごめんなさい。でも、あの時兄ちゃんに見つけてもらえて、すっごい嬉しかったんだ」
そう言って、俺に捕まっている手に力が入った。
後ろからだと、翡翠がどんな表情をしているのかは分からないけど、多分、感情が高まっているのだろうな。
「帰る時にさ、兄ちゃんの背中におんぶされてさ、思ったんだ『私が背中に乗せるのはこの人なんだ』って」
おっと、話の流れがパターンになってきたぞ…。
雫の時は、このまま顔を寄せてきたっけ。
お願いだから、翡翠はそんなことやめてくれよ…。
「ねぇ、兄ちゃんはさ。あの時に私に言ってくれた言葉覚えてる?」
「『翡翠は俺の家族だ。だから、翡翠が怖いものがあったら俺の背中に隠れていなさい』だっけか?我ながら、あんな恥ずかしい台詞よく言えたな」
「恥ずかしくなんかないよ。あの時は、すごくかっこよかったよ!!」
止めてくれ…。今になってから、恥ずかしくなってきた。
顔が熱くなるのを感じるからおそらく赤くなっているだろう。
「あれれ?兄ちゃんの耳真っ赤だよ」
「気にするな。これ以上言うと降ろすからな」
「うん。分かった!!」
うん。いい返事だ。
「話逸れちゃったけどね。あの時は、言葉の意味はあまり理解していなかったけどね。その時は兄ちゃんの背中がとても大きく見えたんだ。それが、とても逞しくて『私、守られているんだな』って感じたんだ」
ふむ、あの時の翡翠の中ではそんな事を考えていたんだな。
俺の背中におぶされた翡翠はすぐに寝てしまったから、疲れたのかと思っていたけど違ったようだ。
「ねぇねぇ、兄ちゃんは私たちをお嫁にする気はないんだよね」
と、不意にそんなことを聞いてきた。
「もちろんだ」
「それは、私たちが妹だから?」
「それもあるけど、別の理由もあるんだ」
「別の理由?それってな〜に?」
「おしえな〜い」
「え〜!!教えてよ!!」
俺の背中を叩きながら抗議の声を上げる翡翠。
子供の力といえど、飛龍の力は流石に痛いが、慣れてしまってどうも感じなくなってしまっている。
これ、俺の細胞死んでないか?
「今言わなくても、そのうち分かるさ」
「ぶ〜」
「大丈夫。あの時の言葉の意味を理解できた翡翠なら、絶対に分かるから」
「本当?」
「ああ、本当だ」
正直、大した理由じゃないしな。
「さて、仕事するから今日はそこでおとなしくしているんだよ」
「は〜い」
そういうと、俺は家事に戻った。
雫のようなことをされるのではと心配していたが、杞憂で終わったようだ。
「兄ちゃん」
「ん?どうした」
「えへへ、大好きだよ。ちゅっ♥」
と、首筋に柔らかいものがふれた。
どうやら、翡翠が俺のうなじにキスをしたようだ。
不意を突かれて驚いたが、それ以降おとなしくしてくれた。
まったく、こういうところは本当に姉妹だよな。
聞き分けがいいのか、悪いのか、良く分からないやつである。
〜祖父、祖母〜
今日は、父方の祖父祖母の家に遊びに行くことになった。
新しい家族の土筆も紹介したかったし、丁度いい機会である。
祖父祖母の家は、ここから少し遠く、俺たちが住んでいる田舎よりもっと田舎な町にいる。
車で約1時間運転して、ようやく到着した。
「おじ〜ちゃ〜ん!!おば〜ちゃ〜ん!!」
「お爺様!!お婆様!!お久しぶりです!!」
「ジジ〜!!ババ〜!!」
「あらあら、みんな久しぶりね〜」
「おやおや、相変わらず元気がいいの〜」
俺たちが到着すると、お爺さんとお婆さんが出迎えてくれた。
それを見た土筆以外の妹たちがお爺さんとお婆さんに向かって駆け寄っていった。
「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お久しぶりです」
「あらあら、ショウちゃんも見ないうちに一段と立派になって〜」
「あはは、ありがとうございます。でも、その台詞前来た時にも言いましたよね」
「ははは!『男児三日見なければ、括目して見よ』という言葉もあるだろう。そういうことだよ」
まったく、この人たちには敵わないな。
「っと、そうだった。お爺ちゃん、お婆ちゃん。この子が新しい家族の土筆だよ。種族は『ワーム』。ほら、土筆ご挨拶して」
「つ、土筆です…」
車の中でこちらの様子を見ていた土筆を抱き上げながらお爺さんとお婆さんに紹介した。
しかし、やはり初対面の人と話をするのに慣れていないせいか、俺にしっかりを抱きついて体が若干震えている。
「あらあらまあまあ、また新しい嫁さんをもらったのかい。あのバカ息子は」
「ええ、どこから拉致ってきたかは知りませんけどね」
「火燐さんがドラゴンになった時にはすごく驚いたけど、新しく嫁さんを2人も迎えた時には、火燐さんのご両親になんて説明すればいいか迷ったもんだよ」
まぁ、人間は基本一夫一妻だからな。
魔物になったからと言ってそうそう割り切れるものじゃないか…。
「そういえば、あのバカ息子はどうしたんだい?」
「仕事が忙しくて休みが取れなかったそうです。妹たちの休みの関係もあるので今日は俺たちだけで来ました」
意外かもしれないけど、あのバカ親父は幹部クラスなんだよね…。
そのおかげで、休みがほとんどない程社員に頼られている。
それでも家族との時間はちゃんと作っているから凄い。
普段の俺たちに見せている姿からは想像ができない。天は二の物を与えずって本当なんだな。
「さてと、ここで立ち話もあれだし、家に入ろうかね」
「そうじゃな。みんな今日は楽しんでいくんじゃよ」
「「「は〜い!!」」」
「(コクンッ)」
そういうと、それぞれの荷物を持ち、お爺さんとお婆さんと一緒に家の中に入っていった。
ちなみに、土筆はいまだに俺の腕の中にいたりする。
「それでね…あのね…」
「お爺様、お茶のお変わりどうぞ」
「おお、ありがとう」
所変わって室内。
居間では、雫と翡翠がお爺さんと一緒に談笑している。
お爺さんも可愛い孫に囲まれて終始楽しそうにしている。
やはり、孫といる時間は何よりも有意義のようだ。
「ごはん支度手伝わせてすまないね〜」
「いえいえ、いつもやっていることですから」
そして、台所ではお婆さんと俺でごはん支度をしているところである。
「婆ちゃん、これはこれでいいのか?」
「あらあら、上手に出来たわね。それで十分よ」
と、褒められてうれしそうに尻尾を振るう竜胆。
「できた〜」
「あら、土筆ちゃんも上手に出来たわね〜」
「(´∀`*)エヘッ」
茹でたジャガイモをつぶし終えた土筆も頭を撫でられてうれしそうにしている。
最初の緊張はもう無いようだ。
「さてと、こっちも完成っと」
「ショウちゃんもご苦労様。とってもおいしそうよ」
「兄貴のごはんはおいしそうじゃなくて、とってもおいしんだよ!」
「兄ぃも兄ぃのごはんも大好き…」
と、なぜかドヤ顔で言う2人。
止めてくれ、恥ずかしいから…。
「あらあらあら、それじゃあ、期待しようかしら」
そんな微笑ましい2人を見ながらそう言って表情を緩ませるお婆さん。
お願いだから、ハードルを上げるのは止めてくれ。
そこまで、大したものじゃないんだから。
「さ、ごはんの準備もできたところで運んじゃいましょうか」
「「はーい!!」」
元気に返事をした2人は、作り終わった料理を持って居間の方に運んで行った。
力自慢の2人のおかげであっという間に運ぶことができ、俺たち5人とお爺さん、お婆さんの7人での楽しい夕食が始まった。
お爺さんは終始笑顔で、自分の自慢話をしたり、お婆さんは食べ物をうまく持てない土筆の食事の世話をうれしそうにしたりと、にぎやかな食卓であった。
帰り際に妹たちもお爺さんお婆さんも寂しそうにしていたのは言うまでもないだろう。
〜天敵?親友?〜
ピ〜ンポ〜ン
「はいは〜い」
来客を知らせるチャイムがなった。
出勤の準備を中断させると玄関に向かった。
「は〜い。どちら様でs」
「よっ!!久b…」
バタンッ!
思わず何も言わずに扉を閉めてしまった。
なんで、こいつがここにいるんだ…。
こいつ今日は仕事のはずじゃなかったのか…。
ピ〜ンポ〜ン
ピンポ〜ン
ピンポン
ピポピポピポピポピポ…
「あなたも私もポ○キー!!」
「グボッ!!」
懐かしいことをされ、思わず叫びながら蹴りを入れてしまった。
てか、それ何年前のネタだよ。
若い世代には分からないだろ。
「何しに来た?冬樹…」
「ひ、暇だったから遊びに来た…」
こいつは木村 冬樹(キムラ フユキ)小学校の頃からずっと一緒にいる腐れ縁の幼馴染だ。
良く言えばムードメーカー、悪く言えばお調子者なやつである。
しかも、妹達がお気に入りらしく、よく妹達にアタックしている。だけど、それが実を結んだことなんて一度も無いんだよな…。
本当に哀れとしか言いようがない。
「暇だったからって、お前今日仕事休みなのか?」
「ああ、今日が急に休みになったから、明日と合わせて二連休だ!!」
こいつはどこだったかの会社に勤めているのだが、普通に休みもあるので、たまにこうやって遊びに来る。まぁ、目的は妹達なんだけどな。
「そうか。でも、今竜胆達は学校だぞ。俺ももう少しで出勤しないといけないしな」
「そうか!!なら、(妹達の)部屋の掃除は俺に任せろ!!」
「もしやったら、問答無用で通報するからな」
隠そうとして、隠そうとしていないところが逆に潔い良いよな。
でも、本当にやったら冗談抜きで通報するがな。
「そうやって、ワイドショーの取材で『いつかやると思っていました』って言うつもりなんだろ!!」
「正解。どのパネルを開けますか?」
「アタックチャーンス!?」
「…ごめん。もういいよ」
振っておいてあれだが、こっちの頭が悪くなりそうだ…。
それに、出勤の前は必要以上に疲れたくないしな…。
「なんだよ。のりが悪いぞ」
「今日、俺は仕事なんだよ」
只でさえ、忙しい時期なんだからさ。
「それじゃあ、今日は遊べないか」
「学生時代じゃないんだから、来たら必ず遊べるとは限んないんだから、確認くらいしろよ」
こいつは本当に自分に正直というか、周りを顧みないというか…。思いつたら即行動というのは見習うべきなのかもしれないがな。
「それじゃあ、仕方ないか。じゃあ、ショウちゃんの店で何か買って帰るかな」
「『じゃあ』ってなんだよ。『じゃあ』って…」
「気にすんなって、そろそろ出勤なんだろ?途中まで一緒に行こうぜ!!」
「お前、会社でもそんな学生気分で行っているのか?」
と、そんなこと言いつつも出勤の準備をし、冬樹と一緒に家を出た。
バカだけど、なぜか憎めない愛されキャラなやつである。
そして、俺が勤めてからの常連でもある。
だから、無下にする訳にもいかないのである。
そういう訳でこのバカ野郎と一緒に出勤したのである。
兄
「足」
竜胆・翡翠
「「!!(グッ)」」
雫・土筆
「「…(ショボーン)」」
兄
「ただし、妹以外のな」
四姉妹
「「「「!!(ガーン…)」」」」
〜翡翠の誕生日〜
今日は翡翠の誕生日である。
前の雫の誕生日の時のようにどこかに連れて行って欲しいとおねだりされるのかと思ったんだがな。
「翡翠、一日中そうしているのか?」
「うん!」
俺の背中で赤子のように背負われている。
勿論落ちないように紐で固定している。
「誕生日の日は何が欲しい?」と聞いてみたところ、「兄ちゃんの背中に乗っていたい!」と元気よく答えたのだ。
雫の時もそうだが、こんなのでいいのだろうか?と疑問に思ってしまう。
「ねぇ、兄ちゃん」
「ん?どうした」
不意に翡翠が話しかけてきた。
「私がこの兄ちゃん達と暮らし始めた時の事覚えてる?」
「ああ、俺の事を物凄い怖がってたよな」
「えへへ、うん。私が始めて兄ちゃんに会った時、竜胆お姉ちゃんと雫お姉ちゃんの事を叱っているのやパパを殴っているの見て、『この人は怖い人』って思ったんだ」
うん。前にも同じ事を聞いたが、あの時はちょっとやりすぎてしまったからな。
その所為で、翡翠は俺のことを怖がってしまったんだよな。
「それでね。私がママの所に戻ろうとこの家を出たんだけど、道がわかんなくて迷子になっちゃった時にさ、兄ちゃんが迎えに来てくれたよね」
あの時は本当に大変だったな。
翡翠が急にいなくなったから慌てて探していたら、お隣に住んでいるエキドナさん夫婦から「パパとママの所に帰る」と聞いて急いで向ったんだったな。
でも、親父達の家にはおらず、近所を探し回ってようやく見つけ出したのだ。
「あの時は大変だったんだぞ。親父達も知らないって言うし、心当たりを探しても見つからないしで・・・」
「えへへ、ごめんなさい。でも、あの時兄ちゃんに見つけてもらえて、すっごい嬉しかったんだ」
そう言って、俺に捕まっている手に力が入った。
後ろからだと、翡翠がどんな表情をしているのかは分からないけど、多分、感情が高まっているのだろうな。
「帰る時にさ、兄ちゃんの背中におんぶされてさ、思ったんだ『私が背中に乗せるのはこの人なんだ』って」
おっと、話の流れがパターンになってきたぞ…。
雫の時は、このまま顔を寄せてきたっけ。
お願いだから、翡翠はそんなことやめてくれよ…。
「ねぇ、兄ちゃんはさ。あの時に私に言ってくれた言葉覚えてる?」
「『翡翠は俺の家族だ。だから、翡翠が怖いものがあったら俺の背中に隠れていなさい』だっけか?我ながら、あんな恥ずかしい台詞よく言えたな」
「恥ずかしくなんかないよ。あの時は、すごくかっこよかったよ!!」
止めてくれ…。今になってから、恥ずかしくなってきた。
顔が熱くなるのを感じるからおそらく赤くなっているだろう。
「あれれ?兄ちゃんの耳真っ赤だよ」
「気にするな。これ以上言うと降ろすからな」
「うん。分かった!!」
うん。いい返事だ。
「話逸れちゃったけどね。あの時は、言葉の意味はあまり理解していなかったけどね。その時は兄ちゃんの背中がとても大きく見えたんだ。それが、とても逞しくて『私、守られているんだな』って感じたんだ」
ふむ、あの時の翡翠の中ではそんな事を考えていたんだな。
俺の背中におぶされた翡翠はすぐに寝てしまったから、疲れたのかと思っていたけど違ったようだ。
「ねぇねぇ、兄ちゃんは私たちをお嫁にする気はないんだよね」
と、不意にそんなことを聞いてきた。
「もちろんだ」
「それは、私たちが妹だから?」
「それもあるけど、別の理由もあるんだ」
「別の理由?それってな〜に?」
「おしえな〜い」
「え〜!!教えてよ!!」
俺の背中を叩きながら抗議の声を上げる翡翠。
子供の力といえど、飛龍の力は流石に痛いが、慣れてしまってどうも感じなくなってしまっている。
これ、俺の細胞死んでないか?
「今言わなくても、そのうち分かるさ」
「ぶ〜」
「大丈夫。あの時の言葉の意味を理解できた翡翠なら、絶対に分かるから」
「本当?」
「ああ、本当だ」
正直、大した理由じゃないしな。
「さて、仕事するから今日はそこでおとなしくしているんだよ」
「は〜い」
そういうと、俺は家事に戻った。
雫のようなことをされるのではと心配していたが、杞憂で終わったようだ。
「兄ちゃん」
「ん?どうした」
「えへへ、大好きだよ。ちゅっ♥」
と、首筋に柔らかいものがふれた。
どうやら、翡翠が俺のうなじにキスをしたようだ。
不意を突かれて驚いたが、それ以降おとなしくしてくれた。
まったく、こういうところは本当に姉妹だよな。
聞き分けがいいのか、悪いのか、良く分からないやつである。
〜祖父、祖母〜
今日は、父方の祖父祖母の家に遊びに行くことになった。
新しい家族の土筆も紹介したかったし、丁度いい機会である。
祖父祖母の家は、ここから少し遠く、俺たちが住んでいる田舎よりもっと田舎な町にいる。
車で約1時間運転して、ようやく到着した。
「おじ〜ちゃ〜ん!!おば〜ちゃ〜ん!!」
「お爺様!!お婆様!!お久しぶりです!!」
「ジジ〜!!ババ〜!!」
「あらあら、みんな久しぶりね〜」
「おやおや、相変わらず元気がいいの〜」
俺たちが到着すると、お爺さんとお婆さんが出迎えてくれた。
それを見た土筆以外の妹たちがお爺さんとお婆さんに向かって駆け寄っていった。
「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お久しぶりです」
「あらあら、ショウちゃんも見ないうちに一段と立派になって〜」
「あはは、ありがとうございます。でも、その台詞前来た時にも言いましたよね」
「ははは!『男児三日見なければ、括目して見よ』という言葉もあるだろう。そういうことだよ」
まったく、この人たちには敵わないな。
「っと、そうだった。お爺ちゃん、お婆ちゃん。この子が新しい家族の土筆だよ。種族は『ワーム』。ほら、土筆ご挨拶して」
「つ、土筆です…」
車の中でこちらの様子を見ていた土筆を抱き上げながらお爺さんとお婆さんに紹介した。
しかし、やはり初対面の人と話をするのに慣れていないせいか、俺にしっかりを抱きついて体が若干震えている。
「あらあらまあまあ、また新しい嫁さんをもらったのかい。あのバカ息子は」
「ええ、どこから拉致ってきたかは知りませんけどね」
「火燐さんがドラゴンになった時にはすごく驚いたけど、新しく嫁さんを2人も迎えた時には、火燐さんのご両親になんて説明すればいいか迷ったもんだよ」
まぁ、人間は基本一夫一妻だからな。
魔物になったからと言ってそうそう割り切れるものじゃないか…。
「そういえば、あのバカ息子はどうしたんだい?」
「仕事が忙しくて休みが取れなかったそうです。妹たちの休みの関係もあるので今日は俺たちだけで来ました」
意外かもしれないけど、あのバカ親父は幹部クラスなんだよね…。
そのおかげで、休みがほとんどない程社員に頼られている。
それでも家族との時間はちゃんと作っているから凄い。
普段の俺たちに見せている姿からは想像ができない。天は二の物を与えずって本当なんだな。
「さてと、ここで立ち話もあれだし、家に入ろうかね」
「そうじゃな。みんな今日は楽しんでいくんじゃよ」
「「「は〜い!!」」」
「(コクンッ)」
そういうと、それぞれの荷物を持ち、お爺さんとお婆さんと一緒に家の中に入っていった。
ちなみに、土筆はいまだに俺の腕の中にいたりする。
「それでね…あのね…」
「お爺様、お茶のお変わりどうぞ」
「おお、ありがとう」
所変わって室内。
居間では、雫と翡翠がお爺さんと一緒に談笑している。
お爺さんも可愛い孫に囲まれて終始楽しそうにしている。
やはり、孫といる時間は何よりも有意義のようだ。
「ごはん支度手伝わせてすまないね〜」
「いえいえ、いつもやっていることですから」
そして、台所ではお婆さんと俺でごはん支度をしているところである。
「婆ちゃん、これはこれでいいのか?」
「あらあら、上手に出来たわね。それで十分よ」
と、褒められてうれしそうに尻尾を振るう竜胆。
「できた〜」
「あら、土筆ちゃんも上手に出来たわね〜」
「(´∀`*)エヘッ」
茹でたジャガイモをつぶし終えた土筆も頭を撫でられてうれしそうにしている。
最初の緊張はもう無いようだ。
「さてと、こっちも完成っと」
「ショウちゃんもご苦労様。とってもおいしそうよ」
「兄貴のごはんはおいしそうじゃなくて、とってもおいしんだよ!」
「兄ぃも兄ぃのごはんも大好き…」
と、なぜかドヤ顔で言う2人。
止めてくれ、恥ずかしいから…。
「あらあらあら、それじゃあ、期待しようかしら」
そんな微笑ましい2人を見ながらそう言って表情を緩ませるお婆さん。
お願いだから、ハードルを上げるのは止めてくれ。
そこまで、大したものじゃないんだから。
「さ、ごはんの準備もできたところで運んじゃいましょうか」
「「はーい!!」」
元気に返事をした2人は、作り終わった料理を持って居間の方に運んで行った。
力自慢の2人のおかげであっという間に運ぶことができ、俺たち5人とお爺さん、お婆さんの7人での楽しい夕食が始まった。
お爺さんは終始笑顔で、自分の自慢話をしたり、お婆さんは食べ物をうまく持てない土筆の食事の世話をうれしそうにしたりと、にぎやかな食卓であった。
帰り際に妹たちもお爺さんお婆さんも寂しそうにしていたのは言うまでもないだろう。
〜天敵?親友?〜
ピ〜ンポ〜ン
「はいは〜い」
来客を知らせるチャイムがなった。
出勤の準備を中断させると玄関に向かった。
「は〜い。どちら様でs」
「よっ!!久b…」
バタンッ!
思わず何も言わずに扉を閉めてしまった。
なんで、こいつがここにいるんだ…。
こいつ今日は仕事のはずじゃなかったのか…。
ピ〜ンポ〜ン
ピンポ〜ン
ピンポン
ピポピポピポピポピポ…
「あなたも私もポ○キー!!」
「グボッ!!」
懐かしいことをされ、思わず叫びながら蹴りを入れてしまった。
てか、それ何年前のネタだよ。
若い世代には分からないだろ。
「何しに来た?冬樹…」
「ひ、暇だったから遊びに来た…」
こいつは木村 冬樹(キムラ フユキ)小学校の頃からずっと一緒にいる腐れ縁の幼馴染だ。
良く言えばムードメーカー、悪く言えばお調子者なやつである。
しかも、妹達がお気に入りらしく、よく妹達にアタックしている。だけど、それが実を結んだことなんて一度も無いんだよな…。
本当に哀れとしか言いようがない。
「暇だったからって、お前今日仕事休みなのか?」
「ああ、今日が急に休みになったから、明日と合わせて二連休だ!!」
こいつはどこだったかの会社に勤めているのだが、普通に休みもあるので、たまにこうやって遊びに来る。まぁ、目的は妹達なんだけどな。
「そうか。でも、今竜胆達は学校だぞ。俺ももう少しで出勤しないといけないしな」
「そうか!!なら、(妹達の)部屋の掃除は俺に任せろ!!」
「もしやったら、問答無用で通報するからな」
隠そうとして、隠そうとしていないところが逆に潔い良いよな。
でも、本当にやったら冗談抜きで通報するがな。
「そうやって、ワイドショーの取材で『いつかやると思っていました』って言うつもりなんだろ!!」
「正解。どのパネルを開けますか?」
「アタックチャーンス!?」
「…ごめん。もういいよ」
振っておいてあれだが、こっちの頭が悪くなりそうだ…。
それに、出勤の前は必要以上に疲れたくないしな…。
「なんだよ。のりが悪いぞ」
「今日、俺は仕事なんだよ」
只でさえ、忙しい時期なんだからさ。
「それじゃあ、今日は遊べないか」
「学生時代じゃないんだから、来たら必ず遊べるとは限んないんだから、確認くらいしろよ」
こいつは本当に自分に正直というか、周りを顧みないというか…。思いつたら即行動というのは見習うべきなのかもしれないがな。
「それじゃあ、仕方ないか。じゃあ、ショウちゃんの店で何か買って帰るかな」
「『じゃあ』ってなんだよ。『じゃあ』って…」
「気にすんなって、そろそろ出勤なんだろ?途中まで一緒に行こうぜ!!」
「お前、会社でもそんな学生気分で行っているのか?」
と、そんなこと言いつつも出勤の準備をし、冬樹と一緒に家を出た。
バカだけど、なぜか憎めない愛されキャラなやつである。
そして、俺が勤めてからの常連でもある。
だから、無下にする訳にもいかないのである。
そういう訳でこのバカ野郎と一緒に出勤したのである。
13/11/06 04:31更新 / ランス
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