強奪の刻みと快楽の刻印
Μ不思議の国・純水の井戸Μ
Μ初太視点Μ
S-72とコルヌの一騎討ちが続く。
「瞬間移動をしている、転送魔術という奴を使ってるのか?」
「ううん、彼女は高速魔術を用いてコルヌを翻弄しているんだ」
「参ったわ、瞬間移動と錯覚するほど速い訳?」
「それより恐るべきはあの女がまだ本気を出してないことだ」
「へーくん、どういうことなの!?」
「何故……をやらない」
「え?」
「何故服を切り刻むお色気バトルをやらないんだぁ!」
「コルヌすゎんのワイシャツがはだけて、さらしとおへそが見えたときからずっとワクワクしてるんだぞ!」
俺達は平也をスルーして、コルヌさんの戦いを見守る。
コルヌさんは彼女に勝てるのだろうか……
「大丈夫だよ」
「マドラ、ブレないんだな」
「うん、だってコルヌの真骨頂は、戦闘よりも会話だから」
俺はコルヌさんの戦いを見守る。
「馬乗り、馬乗り」ガタンガタン
「腰の動きと遊具の揺れが合わさって、激しく出るぅ!」ビュウウウ
見守る
ゴロゴロ「シックス!」ジュポッジュポッ
ゴロゴロ「ナイーン!」ペロペロペロペロ
見守……る
「四つん這いギプス〜」
ガッシャーン「ああん、強制的に四つん這いにされちゃう♪」
見守れ……ない
ダメだ、さっきから兵士達のプレイが気になって、気になって。
流石不思議の国。
ロデオの感覚でいつもより激しい腰の動きが楽しめる馬の遊具
転がることで男女の配置が変わるシックスナインカプセル
四つん這いの体勢になるギプス
食べ物以外にも様々な仕掛けがあるんだな。
ブロロロロ…プシャアア…
今度はラジコンヘリが現れ何かを散布し始めた。井戸の周囲に撒くのは薬か、種か、あるいは――
▲コルヌ視点▲
どうやら討伐隊の中には思わぬ伏兵がいたようだ。
シュッ「おっと」
シャッ「くっ」
元マント娘ことS-72がボクの懐へ入ろうとする。
それにしても彼女の速さは驚異的だ。
魔術で高速と動体視力の両方を強化している。身に纏う服も最小限の物に抑えてるのは少しでも身体を軽くするためだろう。
それにキノコの騙し討ちを警戒しているのか、ワイシャツを縦に引き裂いただけで、それ以降は服を切り刻む事はしない。
どちらにしてもD-06とは違い、彼女はボクの服を切り刻むつもりは無かった筈だ。
チケットも一緒に切り刻んでしまうことを避けるために。
かといって油断は出来ない。
サッ
S-72は刹那のうちに、ボクの右ポケットを探る
シュン
次にボクの左ポケットを探る
スリのごとく服の中に隠した脱出チケットを探している。
プロロロロロロ……プシャアアアアアア…
「あんっ曹ムやく窓C持ちいい」ズボズボズボズボ
「液体!浴びる!体液!浴びさせる!」ビュッビュッビュッビュッ
しかも井戸の周辺を飛んでいるらじこんへりによる媚薬が散布されている最中に。
S-72の肌は桃色の水滴でしっとりしているにも関わらず速度を緩めない。
このままじゃチケットが奪われるのも時間の問題だな。
例え彼女が快楽に呑まれる一匹のメスに成り下がろうとも。
「このまま君に身体のあちこちを触られるのも悪くはないけど」
ボクはS-72から離れ、井戸の周りを走り出す。
ピチャピチャッ
媚薬の霧で柔らかくなった地面を踏みしめながら
パチャパチャッ
当然、彼女も高速でボクの跡を追うわけで
「濡れた所でも速さを維持できるなんて、君、バランス感覚すごいね」
「……」
「ところでさっきからずっと媚薬の霧を浴びてるけど平気なの?」
「……」
「このままじゃ発情して本能のまま未婚の男を犯して、魔物化一直線だよ?」
「……」
「言ってる意味わかる?仮にボクからチケットを奪って井戸へ飛び込んでも身体の疼きは収まらないよ?」
「……」
返答無しか。
だったらカマをかけてみよう。
「それにしても、貨兵を失ったから気絶させるなんて酷い娘だね、エリートの君と下っ端の彼との関係はその程度なのかい?」
「違う」
S-72の口が開く。
「彼は上流家庭の息子、私は彼の護衛兵」
「つまり彼は金貨兵に刻んだだけで、実際に捕らえたのは君か」
「彼はいずれ跡取りとなる存在、それに相応しい部下が必要」
「そうなの?あの様子からしてとても跡取りには見えないけど。まるで権力に酔いしれた末っ子みたいな「黙れ!」
「彼はこんな所で終わる器じゃない、いや私が終わらせない!」
さっきよりも食い付きがいい
だんだん見えてきたぞ
S-72の真の狙いは――
「君はひょっとして、自分を犠牲にして、主人だけでも帰還させるつもりでしょ?」
「いや、この場合は大事な恋人と言うべきか」
ピクッ
S-72の片眉が動く。
「このままじゃ彼はこの国の色に狂った女の子達に襲われる」
「目の前で他の女の子に取られるくらいなら、彼だけを元の世界へ戻そう」
「相手を大事に思うがゆえの自己犠牲の行動。実に王道だ」
「でも、君は良くても彼はどう思ってるんだろうね」
「喜ぶのかな?怒るのかな?泣くのかな?何とも思わないのかな?」
「相手がどう思うのか考えないと、自分の気持ちを一方的に押しつけても彼は、君の恋人は決して幸せにはなれない「黙れ!」
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!」
「お前は、心の底から誰かを好きになったことがあるのか!」
「無いさ、男の子を好きになったことなんて」
「だけど、女の子を好きになったことならある」
「その時のボクは今の君と同じように、自分の気持ちを一方的に押し付けてるに過ぎなかったのさ」
「相手の気持ちを考えないまま」
「彼女の涙を見て、ようやくそれに気付いたのさ」
「結局ボクの初恋は失恋に終わった……」
「だけど今、君がやっていることは初恋を自らの手でうやむやにすることだ。失恋も得恋も出来ないまま」
「黙れといっテッ!」
ドゴッ
キノコの笠がS-72の膝に接触する音がした。
「反応が遅れたようだね」
ボクはS-72の膝に向かってキノコを振りかざしていた。
パシャンッ
バランスが崩れ、地面に倒れこむS-72。
「くっ」
ボクはS-72の顔にキノコを突きつける。
「私を魔物に変える気か?」
ボクは首を横にふる。
「情けはいらない!ヤるならひと思いにヤれ!」
「……君は今、彼のことで熱くなってる。冷静さを欠いちゃ逆転勝利すら出来ないよ」
「くっ……」
「……いっそのこと、寝ている彼をそのまま押し倒しちゃいなよ。寝姦だよ寝姦」
「それが出来たら、今頃こんな所にはいない!」
「アイツはお世辞にも跡取りとしての威厳も教養も無かった」
「護衛兵である私に、雑用を押し付けたり、サボりの身代わりをさせたり、使用人のように濃き使われた!」
「でも私にとってはそれが新鮮だった」
「ただ仕えるべき主人を守るためだけに育てられた私に感情をくれた」
「気づけばアイツのことが好きになってしまった」
「どんなに蔑まされても、どんなに濃き使われても、好きという衝動が治まらないんだ」
「主人と護衛兵の関係で無ければ、反魔物国家で無ければどんなに幸せだったか!」
「なぁマッドハッターよ、教えてくれ、どうしたら綺麗に失恋できる?どうすれば見事に得恋できるんだ!頭の回転が速い貴様なら答えがわかるはずだ!」
「答えは難しくないよ」
恋の迷い子である彼女にボクは道標を示す。
「彼に好きだと告白して、彼の言葉を、想いを、素直に受け入れればいい」
「……でも、それであいつが何て返事するのかが想像出来ないんだ、拒絶されるのが怖いんだ……」
「例えそれで君や彼が苦しむことになっても、逃げずに二人で一歩ずつ前に進めばいい」
「君は本気で彼を愛してる。たった一粒の涙で諦めたボクと違うんだ……」
S-72は納得していない。
キジコさんのようには上手くいかないか。
ガラガラガラガラ…
「やっと来たようだね」
ガラガラガラガラ…
森の奥から前輪が大きい作業車がやって来た。
「あれって道路整備で道路を平らにする奴じゃない!」
「締め固め用機械かっ!?」
満知子ちゃんと平也くんはあの作業車のことを知ってるようだ。
「初太落ち着いて」
「止めるなマドラ、このままじゃ交わる人も巻き込まれるぞ!」
「彼等なら大丈夫です、わたしを信じてください」
マドラは初太クンを落ち着かせる。
ガラガラガラガラ……
「ハァハァ……」
S-72が身体を起こし離れようとしていて
「君は放置プレイが趣味なのかい?」
ボクは倒れている男に顔を向ける。
「あっ……」
D-06の前に作業車が迫ってくる。
S-72がD-06を庇うように覆い被さった。
ガラガラガラガラガラガラガラガラ……
二人を押し潰すように作業車が通過する。
ガラガラガラガラ……
二人の命に別状は無いが
「あっ、うァっ」
「気づいたかい?ローラー自体に仕掛けがあったことに」
S-72だけが疼くまっていた。
Μ初太視点Μ
「あの作業車は自動操縦式でローラーに快楽のルーンを刻む仕掛けがあるんだ」
マドラの言うとおり、彼等は無事だった。
交わる者たちは何事も無かったように交わる。
「ああん」
ローラーで押し潰された部分にタトゥーらしき物が刻まれていることを除いては。
「やだぁ、そこを触っちゃダメ相エじちゃう♪」
男が女の身体に刻まれたタトゥーに触れると女が妖艶な声をあげる。
魔物娘図鑑で見たサキュバスの腰辺りに刻まれたタトゥーに似ているが……
「男もローラーに巻き込まれた筈だ。なのに男の方は何も刻まれてないぞ?」
「快楽のルーンは基本的には女性にしか刻めないらしいよ」
「参ったわ、見てるだけで寒気と疼きの両方を感じるわ」
「満知子、今度満知子の身体にも快楽のルーンを刻んでみようか?」
「アイツは?S-72は?」
俺はS-72の方を見る。
「……!」
彼女の全身タトゥー姿に俺は言葉を失う。
「うァっ、あガっ、あゥっ」
「快楽のルーンが全身に刻まれたんだ。ちょっとの刺激でも絶頂しそうな快楽が襲ってくるだろ?」
と、コルヌさん。
S-72はD-06の身体に密着していることが刺激となり
「アアアア!ァァァァ!」
奇声をあげながらD-06の身体とより深く密着させてゆく。
「う……おい、何勝手にズボンをずらして」
「モット!モット!ホシイ!ホシイノォ!」
「いるうわぁ」
ズニュウウウ
意識を取り戻したばかりのD-06の男性器に自らの膣を挿入
「アン!アン!コノシゲキ!クセニナルゥッ!」
「あああっ、出るぅ!」ビュルッ!
S-72の身体の一部が人外と化し、快楽のことしか頭にない快楽狂いの魔物へと変わる。
「君が強奪(スナッチ)したのはチケットではなく、彼の貞操だったようだね」
「皆の衆、相当苦戦してるようだな」
森の奥から銀貨兵の神輿に乗るクラウンと、その夫カムリ
彼等に続く形で自警団に所属する個性豊かな帽子(というより防具)を被るマッドハッター達が駆けつけてきた。
「だが安心しろ、この自警団の長である余が来たからには討伐隊など、あれ?」
「せーえき曹ケーえき♪」
「精液が止まらないよ〜」
「びゅるびゅるでてるわよーもっともっと」
「これだけ出てるのに全然萎えないよぉ〜」
「もう人間には戻りたくないわ、交わり最高、ねぇねぇ孕んでもいい?」
「僕、インキュバスになっちゃったのかな?交わりがすごく楽しいんだ」
「決着はつきました」
コルヌはクラウンに戦いが終わったことを報告する。
「そうか、ご苦労だったな。里の一員として誇り褒美をつかわす」
「では、ボクに代わって井戸の警備をお願いします」
「へ?」
「ボクは彼等をお茶会へ連れていきます」
コルヌさんは黒の珠を取りだし
「交わる者達のみをタマゴの里のお茶会へ」
珠に語るように、珠を空に放り投げ
球が眩い光を放ち、討伐隊だけが消えた。
「では、ボク達はこの辺で、みんなも行くよ」
「うん」
「お茶会だーエロありが見られるぜ〜」
「アタシもそろそろお腹空いてきちゃった」
「……」
これがフォーカードの実力か。彼女達がいれば討伐隊とやらは直ぐに集まりそうだ。
Μ続くΜ
Μ初太視点Μ
S-72とコルヌの一騎討ちが続く。
「瞬間移動をしている、転送魔術という奴を使ってるのか?」
「ううん、彼女は高速魔術を用いてコルヌを翻弄しているんだ」
「参ったわ、瞬間移動と錯覚するほど速い訳?」
「それより恐るべきはあの女がまだ本気を出してないことだ」
「へーくん、どういうことなの!?」
「何故……をやらない」
「え?」
「何故服を切り刻むお色気バトルをやらないんだぁ!」
「コルヌすゎんのワイシャツがはだけて、さらしとおへそが見えたときからずっとワクワクしてるんだぞ!」
俺達は平也をスルーして、コルヌさんの戦いを見守る。
コルヌさんは彼女に勝てるのだろうか……
「大丈夫だよ」
「マドラ、ブレないんだな」
「うん、だってコルヌの真骨頂は、戦闘よりも会話だから」
俺はコルヌさんの戦いを見守る。
「馬乗り、馬乗り」ガタンガタン
「腰の動きと遊具の揺れが合わさって、激しく出るぅ!」ビュウウウ
見守る
ゴロゴロ「シックス!」ジュポッジュポッ
ゴロゴロ「ナイーン!」ペロペロペロペロ
見守……る
「四つん這いギプス〜」
ガッシャーン「ああん、強制的に四つん這いにされちゃう♪」
見守れ……ない
ダメだ、さっきから兵士達のプレイが気になって、気になって。
流石不思議の国。
ロデオの感覚でいつもより激しい腰の動きが楽しめる馬の遊具
転がることで男女の配置が変わるシックスナインカプセル
四つん這いの体勢になるギプス
食べ物以外にも様々な仕掛けがあるんだな。
ブロロロロ…プシャアア…
今度はラジコンヘリが現れ何かを散布し始めた。井戸の周囲に撒くのは薬か、種か、あるいは――
▲コルヌ視点▲
どうやら討伐隊の中には思わぬ伏兵がいたようだ。
シュッ「おっと」
シャッ「くっ」
元マント娘ことS-72がボクの懐へ入ろうとする。
それにしても彼女の速さは驚異的だ。
魔術で高速と動体視力の両方を強化している。身に纏う服も最小限の物に抑えてるのは少しでも身体を軽くするためだろう。
それにキノコの騙し討ちを警戒しているのか、ワイシャツを縦に引き裂いただけで、それ以降は服を切り刻む事はしない。
どちらにしてもD-06とは違い、彼女はボクの服を切り刻むつもりは無かった筈だ。
チケットも一緒に切り刻んでしまうことを避けるために。
かといって油断は出来ない。
サッ
S-72は刹那のうちに、ボクの右ポケットを探る
シュン
次にボクの左ポケットを探る
スリのごとく服の中に隠した脱出チケットを探している。
プロロロロロロ……プシャアアアアアア…
「あんっ曹ムやく窓C持ちいい」ズボズボズボズボ
「液体!浴びる!体液!浴びさせる!」ビュッビュッビュッビュッ
しかも井戸の周辺を飛んでいるらじこんへりによる媚薬が散布されている最中に。
S-72の肌は桃色の水滴でしっとりしているにも関わらず速度を緩めない。
このままじゃチケットが奪われるのも時間の問題だな。
例え彼女が快楽に呑まれる一匹のメスに成り下がろうとも。
「このまま君に身体のあちこちを触られるのも悪くはないけど」
ボクはS-72から離れ、井戸の周りを走り出す。
ピチャピチャッ
媚薬の霧で柔らかくなった地面を踏みしめながら
パチャパチャッ
当然、彼女も高速でボクの跡を追うわけで
「濡れた所でも速さを維持できるなんて、君、バランス感覚すごいね」
「……」
「ところでさっきからずっと媚薬の霧を浴びてるけど平気なの?」
「……」
「このままじゃ発情して本能のまま未婚の男を犯して、魔物化一直線だよ?」
「……」
「言ってる意味わかる?仮にボクからチケットを奪って井戸へ飛び込んでも身体の疼きは収まらないよ?」
「……」
返答無しか。
だったらカマをかけてみよう。
「それにしても、貨兵を失ったから気絶させるなんて酷い娘だね、エリートの君と下っ端の彼との関係はその程度なのかい?」
「違う」
S-72の口が開く。
「彼は上流家庭の息子、私は彼の護衛兵」
「つまり彼は金貨兵に刻んだだけで、実際に捕らえたのは君か」
「彼はいずれ跡取りとなる存在、それに相応しい部下が必要」
「そうなの?あの様子からしてとても跡取りには見えないけど。まるで権力に酔いしれた末っ子みたいな「黙れ!」
「彼はこんな所で終わる器じゃない、いや私が終わらせない!」
さっきよりも食い付きがいい
だんだん見えてきたぞ
S-72の真の狙いは――
「君はひょっとして、自分を犠牲にして、主人だけでも帰還させるつもりでしょ?」
「いや、この場合は大事な恋人と言うべきか」
ピクッ
S-72の片眉が動く。
「このままじゃ彼はこの国の色に狂った女の子達に襲われる」
「目の前で他の女の子に取られるくらいなら、彼だけを元の世界へ戻そう」
「相手を大事に思うがゆえの自己犠牲の行動。実に王道だ」
「でも、君は良くても彼はどう思ってるんだろうね」
「喜ぶのかな?怒るのかな?泣くのかな?何とも思わないのかな?」
「相手がどう思うのか考えないと、自分の気持ちを一方的に押しつけても彼は、君の恋人は決して幸せにはなれない「黙れ!」
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!」
「お前は、心の底から誰かを好きになったことがあるのか!」
「無いさ、男の子を好きになったことなんて」
「だけど、女の子を好きになったことならある」
「その時のボクは今の君と同じように、自分の気持ちを一方的に押し付けてるに過ぎなかったのさ」
「相手の気持ちを考えないまま」
「彼女の涙を見て、ようやくそれに気付いたのさ」
「結局ボクの初恋は失恋に終わった……」
「だけど今、君がやっていることは初恋を自らの手でうやむやにすることだ。失恋も得恋も出来ないまま」
「黙れといっテッ!」
ドゴッ
キノコの笠がS-72の膝に接触する音がした。
「反応が遅れたようだね」
ボクはS-72の膝に向かってキノコを振りかざしていた。
パシャンッ
バランスが崩れ、地面に倒れこむS-72。
「くっ」
ボクはS-72の顔にキノコを突きつける。
「私を魔物に変える気か?」
ボクは首を横にふる。
「情けはいらない!ヤるならひと思いにヤれ!」
「……君は今、彼のことで熱くなってる。冷静さを欠いちゃ逆転勝利すら出来ないよ」
「くっ……」
「……いっそのこと、寝ている彼をそのまま押し倒しちゃいなよ。寝姦だよ寝姦」
「それが出来たら、今頃こんな所にはいない!」
「アイツはお世辞にも跡取りとしての威厳も教養も無かった」
「護衛兵である私に、雑用を押し付けたり、サボりの身代わりをさせたり、使用人のように濃き使われた!」
「でも私にとってはそれが新鮮だった」
「ただ仕えるべき主人を守るためだけに育てられた私に感情をくれた」
「気づけばアイツのことが好きになってしまった」
「どんなに蔑まされても、どんなに濃き使われても、好きという衝動が治まらないんだ」
「主人と護衛兵の関係で無ければ、反魔物国家で無ければどんなに幸せだったか!」
「なぁマッドハッターよ、教えてくれ、どうしたら綺麗に失恋できる?どうすれば見事に得恋できるんだ!頭の回転が速い貴様なら答えがわかるはずだ!」
「答えは難しくないよ」
恋の迷い子である彼女にボクは道標を示す。
「彼に好きだと告白して、彼の言葉を、想いを、素直に受け入れればいい」
「……でも、それであいつが何て返事するのかが想像出来ないんだ、拒絶されるのが怖いんだ……」
「例えそれで君や彼が苦しむことになっても、逃げずに二人で一歩ずつ前に進めばいい」
「君は本気で彼を愛してる。たった一粒の涙で諦めたボクと違うんだ……」
S-72は納得していない。
キジコさんのようには上手くいかないか。
ガラガラガラガラ…
「やっと来たようだね」
ガラガラガラガラ…
森の奥から前輪が大きい作業車がやって来た。
「あれって道路整備で道路を平らにする奴じゃない!」
「締め固め用機械かっ!?」
満知子ちゃんと平也くんはあの作業車のことを知ってるようだ。
「初太落ち着いて」
「止めるなマドラ、このままじゃ交わる人も巻き込まれるぞ!」
「彼等なら大丈夫です、わたしを信じてください」
マドラは初太クンを落ち着かせる。
ガラガラガラガラ……
「ハァハァ……」
S-72が身体を起こし離れようとしていて
「君は放置プレイが趣味なのかい?」
ボクは倒れている男に顔を向ける。
「あっ……」
D-06の前に作業車が迫ってくる。
S-72がD-06を庇うように覆い被さった。
ガラガラガラガラガラガラガラガラ……
二人を押し潰すように作業車が通過する。
ガラガラガラガラ……
二人の命に別状は無いが
「あっ、うァっ」
「気づいたかい?ローラー自体に仕掛けがあったことに」
S-72だけが疼くまっていた。
Μ初太視点Μ
「あの作業車は自動操縦式でローラーに快楽のルーンを刻む仕掛けがあるんだ」
マドラの言うとおり、彼等は無事だった。
交わる者たちは何事も無かったように交わる。
「ああん」
ローラーで押し潰された部分にタトゥーらしき物が刻まれていることを除いては。
「やだぁ、そこを触っちゃダメ相エじちゃう♪」
男が女の身体に刻まれたタトゥーに触れると女が妖艶な声をあげる。
魔物娘図鑑で見たサキュバスの腰辺りに刻まれたタトゥーに似ているが……
「男もローラーに巻き込まれた筈だ。なのに男の方は何も刻まれてないぞ?」
「快楽のルーンは基本的には女性にしか刻めないらしいよ」
「参ったわ、見てるだけで寒気と疼きの両方を感じるわ」
「満知子、今度満知子の身体にも快楽のルーンを刻んでみようか?」
「アイツは?S-72は?」
俺はS-72の方を見る。
「……!」
彼女の全身タトゥー姿に俺は言葉を失う。
「うァっ、あガっ、あゥっ」
「快楽のルーンが全身に刻まれたんだ。ちょっとの刺激でも絶頂しそうな快楽が襲ってくるだろ?」
と、コルヌさん。
S-72はD-06の身体に密着していることが刺激となり
「アアアア!ァァァァ!」
奇声をあげながらD-06の身体とより深く密着させてゆく。
「う……おい、何勝手にズボンをずらして」
「モット!モット!ホシイ!ホシイノォ!」
「いるうわぁ」
ズニュウウウ
意識を取り戻したばかりのD-06の男性器に自らの膣を挿入
「アン!アン!コノシゲキ!クセニナルゥッ!」
「あああっ、出るぅ!」ビュルッ!
S-72の身体の一部が人外と化し、快楽のことしか頭にない快楽狂いの魔物へと変わる。
「君が強奪(スナッチ)したのはチケットではなく、彼の貞操だったようだね」
「皆の衆、相当苦戦してるようだな」
森の奥から銀貨兵の神輿に乗るクラウンと、その夫カムリ
彼等に続く形で自警団に所属する個性豊かな帽子(というより防具)を被るマッドハッター達が駆けつけてきた。
「だが安心しろ、この自警団の長である余が来たからには討伐隊など、あれ?」
「せーえき曹ケーえき♪」
「精液が止まらないよ〜」
「びゅるびゅるでてるわよーもっともっと」
「これだけ出てるのに全然萎えないよぉ〜」
「もう人間には戻りたくないわ、交わり最高、ねぇねぇ孕んでもいい?」
「僕、インキュバスになっちゃったのかな?交わりがすごく楽しいんだ」
「決着はつきました」
コルヌはクラウンに戦いが終わったことを報告する。
「そうか、ご苦労だったな。里の一員として誇り褒美をつかわす」
「では、ボクに代わって井戸の警備をお願いします」
「へ?」
「ボクは彼等をお茶会へ連れていきます」
コルヌさんは黒の珠を取りだし
「交わる者達のみをタマゴの里のお茶会へ」
珠に語るように、珠を空に放り投げ
球が眩い光を放ち、討伐隊だけが消えた。
「では、ボク達はこの辺で、みんなも行くよ」
「うん」
「お茶会だーエロありが見られるぜ〜」
「アタシもそろそろお腹空いてきちゃった」
「……」
これがフォーカードの実力か。彼女達がいれば討伐隊とやらは直ぐに集まりそうだ。
Μ続くΜ
14/09/30 23:55更新 / ドリルモール
戻る
次へ