女王の襲来と鬼畜王の増殖
※魔王城・ディナールーム※
※リーゼ視点※
「地獄だ、おれが地獄を見る羽目になるんだ」ブルブルブルブルブル
先程の修羅の威圧から一転、弱腰になる柴様。
「メシャス、女王様を説得してくれないかしら」
「了解しましたパール様…出来る限り説得してみます…」
メシャスさんは女王様の所へ
「ジャイアントアント部隊、デビルバグ部隊、緊急出動よ」
パール様の命に従い、悪魔虫と蟻の部隊が出動しますが、何故かアトラさんの姿が見当たりません
「ただいま戻りました」
と、首を傾げているとメシャスさんが戻ってきました。
「ど、どうだった?」
柴様が願うようにメシャスさんに尋ねますが、メシャスさんは無言で首を横にふるだけ。
「 」
「柴様!?」
言葉を失い倒れそうになった柴様を、わたしは咄嗟に支えます。
『こちらエアリー、クノイチ及びアルプのセシャル&ランスの防衛ラインも突破』
「エアリーちゃん、他に誰かいる?」
『はい、勇者らしき男性が一名に魔物娘が三名、リリムが五名、照合の結果、第二十王女ビューティ様、第二十一王女クリア様』
「驚いたわ、クリアちゃんはともかく、ビューティちゃんもいるなんて」
『それと……アンジェラ様です!第十九王女アンジェラ様もいます!』
「何ですって?」
「アンジェラ」の名前を耳にした瞬間、パール様の顔が険しくなります。
あれはわたし達花嫁達を調教するときの表情……
『ジャイアントアントとデビルバグの軍勢も倒されました!』
「ベル様、一刻も早い避難を」
メシャスさんがベルフィード様に手を伸ばそうとしたと同時に
「じゃまするのじゃー!」ドッカーン!
ディナールームの扉が吹っ飛ばされ、甲冑騎士の神輿が姿を現します。
「少し眠るのじゃ!」
ベルフィード様の顔面に魔力塊が命中、眠るように昏倒
「とう!」
その魔力塊を放った主が、神輿から飛び降ります。
「あれが……メシャスさんが言っていた女王さ――」
ゾクッ
わたしはその可愛らしい容姿に一瞬心を奪われそうになりました。同じ魔物娘、いえ同じ女性であるのにも関わらず。
これが老若男女人魔問わず、全ての者を惹きつけるリリムの美貌なのでしょうか?
『起きてください…朝ですよ…』
一方、メシャスさんは眠りについたベル様を目覚めさせようとしますが、一切反応がありません。
「あたしの吹き込みで目覚めないなんて…相当強力な魔術だわ…」
「柴よ。久しぶりじゃな、元気にしておったか?」
女王様は親戚と再会したかのように気軽に挨拶するのに対し
「お、オヒサシブリデスネー」
柴様は逆らってはいけない上司とばったり会ったかのように震えています。
女王様の掌からカップが現れ
「飲むのじゃ」
カップの中身を柴様に飲ませます。
「媚薬の雨水とタケリダケ、そして分身薬じゃ」
「うぐぐ……」
「柴様!しっかり」
「に、にげろ」
「えっ」トンッ
まるでわたしを庇うように、突き飛ばします。
「あ、 あ、 あ、」
「柴様―― !!!!」
わたしは声にならない悲鳴をあげます。
まるで肉の塊が分裂するかのように、柴様の身体から次々と分身体が生み出されたからです。
一体、二体、三体、四体、五体、六体、七体、八体、九体、十体
一見、分身薬による分裂に見えなくもありません。ただそれは分身薬服用時とは違い
十一、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十……
こうしてわたしが数えている間にも柴様が増殖していきます。
「フゥー」「ハァー」「ヒー」「ウー」「グヘ」「アー」「ゲヘッ」「ウヒ」
分身体は皆、目が血走り、息を荒立て、下品に鼻の穴をヒクヒクさせ
「嫁だぁ!」「嫁の匂いがする!」「俺の嫁」「嫁」「よめ」「ヨメ」「女家」「yome」「Y・O・M・E」「嫁ェ!」
飢えた野獣のように男性器を勃起
「嫁ならあそこにおるぞ」
と、女王様がワイト達を
「それとあそこにも」
そして、わたし達を指すと
「うおおおおおおおおおお!」
柴様達は雄叫びを上げながら、七人のワイトとポワイちゃん、周囲の嫁達に襲いかかります。
「なめるなぁ!」
「襲うのは後だと言ってるでしょ!」
火鼠のヒーネとレンシュンマオのシュンシュンが徒手で柴様二人に一撃を入れますが、片手であっさりと止められ
「あれ?」
「効かない」
二人の柴様はヒーネとシュンシュンを押し倒します。
「ちょっと気持ちいいけど、我慢してね?」
「少し眠っていてください」
九尾の妖孤のゆうこ様が魔力を連発
九尾の稲荷のリイナ様は巨大な魔力塊を柴様の顔に目掛けて正確に放ちますが
「あああああ」バシバシバシ
「ふんっ!」カキーン
柴様は拳を連発させ、ゆうこ様が放った魔力を全て粉砕し
飛び上がった柴様はリイナ様の魔力塊を男性器で弾き飛ばします
「そんな」
「気絶させるつもりで放った筈なのに」
動揺した隙を狙って、柴様コンビがゆうこ様とリイナ様を組み伏せます。
信じられませんでした。
柴様におあずけをした火鼠とレンシュンマオがそれぞれ密着と駅弁の体勢で
柴様が悲鳴をあげるくらい精を搾った妖孤と稲荷が九本の尻尾を弄りながら
柴様から一方的に陵辱されているのです。
「タケリダケを飲ませたのじゃから、夫への攻撃が弱くなっておるのじゃ。それにしても愉快じゃのう、面白いくらい分身がぽんぽん生まれてくるのじゃ」
女王様の言うとおり、今でも分身が次々と生まれ続けています。
「分身する数が決まっているシュウとは大違――む!?」
女王様は結界を張って、無数の炎と濃厚な炎を防ぎ
「乱雑に拡散させた魔力と濃度を凝縮した魔力、妖孤と稲荷じゃな?」
「まだまだ」
「もう一発、ですわ」
ゆうこ様とリイナ様は柴様に組み伏せられていながらも、女王様に次の攻撃を仕掛けようとします。
「ほぅ、大好きな主に蹂躙されてもなお」ゴロゴロゴロゴロ「よっと」ピョン
ヒーネが密着する柴様と一緒に身体を転がし、女王様に突撃
「余を倒す余力があるとは」ヒューン「おっと」ヒョイ、ドスン
シュンシュンが駅弁体勢のまま女王様に特攻
すごい、柴様に犯されながらも戦う根性、これが不純の花嫁達の実力。
これならあの女王様を――
「ならばこの場から撤退してもらおう」
女王様がそう言いながら杖を構えて詠唱すると
「あんっ」フッ
ゆうこ様
「きゃっ」フッ
リイナ様
「あはん」フッ
ヒーネ
「いやん」フッ
シュンシュン
柴様に捕まった嫁が次々と消えてゆきます。
「慌てることはない、ハーレム部屋へと転送しただけじゃ」
「ハーレム部屋?それってわたし達が普段暮らしている部屋じゃないですか!」
「やがてハーレム部屋も歓喜と嬌声と精液塗れになることじゃろう」
「そんな、どうして無関係の人達を!」
「関係大有りじゃろ。お主らにとって夫の精は何よりのご褒美「スーパーウルトラスペシャルギガ四段ブレスぅ!」おっと」
四つのブレスを咄嗟に防ぐ女王様
「誰じゃ、人が律儀に説明している最中に」
「ふ〜ん、流石魔王の娘は一味違うね〜♪」
まるで螺旋を象徴するような軽装の鎧を纏ったブレスの主が無邪気に言います。
「キメラ某殿」
獅子の耳
「キメラ某様」
竜の首を型どった腕
「キメラ某ちゃん」
山羊の毛皮に覆われた脚
「キメラ某っち」
そして、蛇の姿をした尻尾
「ハートの女王よ…この私が来たからにはこれ以上好き勝手にはさせん…」
先程の無邪気な態度とは一転、堂々とした佇まいを見せる合成獣――キマイラが、左右色彩の異なる眼で女王様を威嚇します。
「「「「キメラ某」」」」
多くの嫁達が、彼女の名を呼んでいます。
「メシャスさん、あの人は?」
「柴様の嫁の一人、キメラよ…種族はキマイラ」
「それは判りますが、どうして某(なにがし)と呼ばれているのですか?」
「ハートだか、スペードだか、ダイヤだか、クラブだか、知らないけどぉ♥」
キメラさんは妖艶に語ったかと思いきや
「ハーレムを侵略する不届き者は例え魔王が許しても我が心に宿す四人の花嫁が許しはしない!」
今度は高らかに語ります。
「この獅子・竜・山羊・蛇の部位を持つスタンダードなキマイラ!名はキメラ=レオニクス=ドラグナー=ゴートロン=スネ「長いのじゃ!」フッ
女王様はそう指摘しながら、彼女を転送させました。
「「「「キメラ某――!」」」」
「ついでにそなたらも転送じゃ!」
フッフッフッフッ
そのついでに他の嫁も次々と転送。
「貴女の勇姿は忘れないわ…キメラ=レオニクス=ドラグナー=ゴートロン=スネイクル=オッドアイ=スパイラル」
メシャスさんは真顔で彼女の名を口にします。
皆がキメラ某と省略するのも解る気がしました。
その合間にも女王様は柴様に組み伏せられた嫁を転送させ、時には交わりを直に見物します。
「鱗をずらしての挿入、スク水は脱がさないのが鉄則じゃ」
と、サハギンを犯す柴様を見ながらわたしに背中を向けて
その隙を逃さなかったわたしは、瞬時に女王様の後ろを狙って剣を振り下ろします。
剣は魔界銀製なので殺傷力はありませんが、全力で振り下ろせば気絶させるくらいは――
しかし、その剣は女王様には届きませんでした。
「ふむ、狙いは悪くない。じゃがちいとばかし腕力が足りなかったのう」
その小さな親指と人差し指で剣を止められたからです。
「剣が、動かない…?」
「そなたには余が直接魔力を注いでやろう、自ら愛する夫に身体を差し出すほどのな」
女王様は杖から黒くどろりとした塊をわたしに放とうと
「はぁっ!」
ダンッ!と空気を振動させる程の横からの一撃が女王様を襲います。
「くっ…」
一撃を喰らわせたのは黒フードのドラゴン
横からの衝撃で女王様が倒れそうになり
「ネード!」
ビュゥゥゥと轟音が鳴り響くように黒フードのアリスの掌から翠色の竜巻が放たれ
「ぬおおおおっ!」
巻き込まれた女王様は回りながら部屋の奥へと吹き飛ばされます。
女王を追って奥へと走り出すドラゴンとアリス
あの二人は確か、ハーレム部屋でドラゴン属とアリス達の交わりを見ていた――
「嫁!」
と、油断した隙を狙って、柴様の一人がわたしに襲いかかる
パシン!「あふぅ♥」
――前にパール様の蛇腹剣が柴様の頬を直撃
「あへぇ〜」バタッ
だらしない笑みを浮かべながら倒れる柴様。
「パール様!?」
「リーゼちゃん、この程度の騒動で呆けてはダメよ。他の娘達は今頃は別の敵と戦っているのだから」
「別の敵?」
「パール様、一万の軍勢が魔王城へと進行中」
と、いつの間にか出来ていた壁の穴から連絡係のリャナンシーが報告にやってきます。
「やはりね」
「軍勢?」
わたしは壁の穴を覗いてみると――
彼方から無数の軍勢
「うそ、どうして!?」
「どこかの国の教団が魔王城を攻めようとしているのでしょう」
「まさかこれも女王様が」
「逆ね、女王様はあの軍勢を止めようとしているのよ」
「とにかく、あの軍勢を止めないと――」
「待ちなさい、リーゼちゃんが行っても足手まといになるだけよ。それよりも今は夫を止めることが先決よ」
「でも」
「忘れないでリーぜちゃん、今私たちはベルフィード様のためにディナーを開いている最中であることを。たとえこの先何が起ころうともこのディナーを中止にさせるわけにはいかない。それは彼女達も同じよ」
と、パール様の視線は、柴様に犯されているワイト達の方へと向きます。
「よめ、よめウッ」
「出るよ出る〜ガクッ」
「あははははハァ〜」
「ぐへ、ぐへ、ぐ…グゥー」
「ハァハァハァハァ…アッー!」
ワイト達を犯していた柴様が急に倒れこみます。
「ワイト特有の吸収能力で精を奪い取って気絶させたのよ」
イーダ様、皇蘭様、エルブ様、シア様、そして彩貴様
彼女達は皆、気絶した柴様を引き抜き、軽く口付けをしながら優しく寝かせます。
その表情はどこか愛に溢れていてまるで――
「メシャス、ベル様を近くの寝室へと運んで」
「了解しました…パール様」
メシャスさんはベルフィード様を抱えて、その場から消えます。
「入り口で暴れる夫は私とワイトが引き受けるから、リーゼちゃんは奥に向かったドロシーとバージャ、そしてクリマちゃんの援護をお願い」
「は、はい!」
わたしは部屋の奥へと向かいます。
※続く※
※リーゼ視点※
「地獄だ、おれが地獄を見る羽目になるんだ」ブルブルブルブルブル
先程の修羅の威圧から一転、弱腰になる柴様。
「メシャス、女王様を説得してくれないかしら」
「了解しましたパール様…出来る限り説得してみます…」
メシャスさんは女王様の所へ
「ジャイアントアント部隊、デビルバグ部隊、緊急出動よ」
パール様の命に従い、悪魔虫と蟻の部隊が出動しますが、何故かアトラさんの姿が見当たりません
「ただいま戻りました」
と、首を傾げているとメシャスさんが戻ってきました。
「ど、どうだった?」
柴様が願うようにメシャスさんに尋ねますが、メシャスさんは無言で首を横にふるだけ。
「 」
「柴様!?」
言葉を失い倒れそうになった柴様を、わたしは咄嗟に支えます。
『こちらエアリー、クノイチ及びアルプのセシャル&ランスの防衛ラインも突破』
「エアリーちゃん、他に誰かいる?」
『はい、勇者らしき男性が一名に魔物娘が三名、リリムが五名、照合の結果、第二十王女ビューティ様、第二十一王女クリア様』
「驚いたわ、クリアちゃんはともかく、ビューティちゃんもいるなんて」
『それと……アンジェラ様です!第十九王女アンジェラ様もいます!』
「何ですって?」
「アンジェラ」の名前を耳にした瞬間、パール様の顔が険しくなります。
あれはわたし達花嫁達を調教するときの表情……
『ジャイアントアントとデビルバグの軍勢も倒されました!』
「ベル様、一刻も早い避難を」
メシャスさんがベルフィード様に手を伸ばそうとしたと同時に
「じゃまするのじゃー!」ドッカーン!
ディナールームの扉が吹っ飛ばされ、甲冑騎士の神輿が姿を現します。
「少し眠るのじゃ!」
ベルフィード様の顔面に魔力塊が命中、眠るように昏倒
「とう!」
その魔力塊を放った主が、神輿から飛び降ります。
「あれが……メシャスさんが言っていた女王さ――」
ゾクッ
わたしはその可愛らしい容姿に一瞬心を奪われそうになりました。同じ魔物娘、いえ同じ女性であるのにも関わらず。
これが老若男女人魔問わず、全ての者を惹きつけるリリムの美貌なのでしょうか?
『起きてください…朝ですよ…』
一方、メシャスさんは眠りについたベル様を目覚めさせようとしますが、一切反応がありません。
「あたしの吹き込みで目覚めないなんて…相当強力な魔術だわ…」
「柴よ。久しぶりじゃな、元気にしておったか?」
女王様は親戚と再会したかのように気軽に挨拶するのに対し
「お、オヒサシブリデスネー」
柴様は逆らってはいけない上司とばったり会ったかのように震えています。
女王様の掌からカップが現れ
「飲むのじゃ」
カップの中身を柴様に飲ませます。
「媚薬の雨水とタケリダケ、そして分身薬じゃ」
「うぐぐ……」
「柴様!しっかり」
「に、にげろ」
「えっ」トンッ
まるでわたしを庇うように、突き飛ばします。
「あ、 あ、 あ、」
「柴様―― !!!!」
わたしは声にならない悲鳴をあげます。
まるで肉の塊が分裂するかのように、柴様の身体から次々と分身体が生み出されたからです。
一体、二体、三体、四体、五体、六体、七体、八体、九体、十体
一見、分身薬による分裂に見えなくもありません。ただそれは分身薬服用時とは違い
十一、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十……
こうしてわたしが数えている間にも柴様が増殖していきます。
「フゥー」「ハァー」「ヒー」「ウー」「グヘ」「アー」「ゲヘッ」「ウヒ」
分身体は皆、目が血走り、息を荒立て、下品に鼻の穴をヒクヒクさせ
「嫁だぁ!」「嫁の匂いがする!」「俺の嫁」「嫁」「よめ」「ヨメ」「女家」「yome」「Y・O・M・E」「嫁ェ!」
飢えた野獣のように男性器を勃起
「嫁ならあそこにおるぞ」
と、女王様がワイト達を
「それとあそこにも」
そして、わたし達を指すと
「うおおおおおおおおおお!」
柴様達は雄叫びを上げながら、七人のワイトとポワイちゃん、周囲の嫁達に襲いかかります。
「なめるなぁ!」
「襲うのは後だと言ってるでしょ!」
火鼠のヒーネとレンシュンマオのシュンシュンが徒手で柴様二人に一撃を入れますが、片手であっさりと止められ
「あれ?」
「効かない」
二人の柴様はヒーネとシュンシュンを押し倒します。
「ちょっと気持ちいいけど、我慢してね?」
「少し眠っていてください」
九尾の妖孤のゆうこ様が魔力を連発
九尾の稲荷のリイナ様は巨大な魔力塊を柴様の顔に目掛けて正確に放ちますが
「あああああ」バシバシバシ
「ふんっ!」カキーン
柴様は拳を連発させ、ゆうこ様が放った魔力を全て粉砕し
飛び上がった柴様はリイナ様の魔力塊を男性器で弾き飛ばします
「そんな」
「気絶させるつもりで放った筈なのに」
動揺した隙を狙って、柴様コンビがゆうこ様とリイナ様を組み伏せます。
信じられませんでした。
柴様におあずけをした火鼠とレンシュンマオがそれぞれ密着と駅弁の体勢で
柴様が悲鳴をあげるくらい精を搾った妖孤と稲荷が九本の尻尾を弄りながら
柴様から一方的に陵辱されているのです。
「タケリダケを飲ませたのじゃから、夫への攻撃が弱くなっておるのじゃ。それにしても愉快じゃのう、面白いくらい分身がぽんぽん生まれてくるのじゃ」
女王様の言うとおり、今でも分身が次々と生まれ続けています。
「分身する数が決まっているシュウとは大違――む!?」
女王様は結界を張って、無数の炎と濃厚な炎を防ぎ
「乱雑に拡散させた魔力と濃度を凝縮した魔力、妖孤と稲荷じゃな?」
「まだまだ」
「もう一発、ですわ」
ゆうこ様とリイナ様は柴様に組み伏せられていながらも、女王様に次の攻撃を仕掛けようとします。
「ほぅ、大好きな主に蹂躙されてもなお」ゴロゴロゴロゴロ「よっと」ピョン
ヒーネが密着する柴様と一緒に身体を転がし、女王様に突撃
「余を倒す余力があるとは」ヒューン「おっと」ヒョイ、ドスン
シュンシュンが駅弁体勢のまま女王様に特攻
すごい、柴様に犯されながらも戦う根性、これが不純の花嫁達の実力。
これならあの女王様を――
「ならばこの場から撤退してもらおう」
女王様がそう言いながら杖を構えて詠唱すると
「あんっ」フッ
ゆうこ様
「きゃっ」フッ
リイナ様
「あはん」フッ
ヒーネ
「いやん」フッ
シュンシュン
柴様に捕まった嫁が次々と消えてゆきます。
「慌てることはない、ハーレム部屋へと転送しただけじゃ」
「ハーレム部屋?それってわたし達が普段暮らしている部屋じゃないですか!」
「やがてハーレム部屋も歓喜と嬌声と精液塗れになることじゃろう」
「そんな、どうして無関係の人達を!」
「関係大有りじゃろ。お主らにとって夫の精は何よりのご褒美「スーパーウルトラスペシャルギガ四段ブレスぅ!」おっと」
四つのブレスを咄嗟に防ぐ女王様
「誰じゃ、人が律儀に説明している最中に」
「ふ〜ん、流石魔王の娘は一味違うね〜♪」
まるで螺旋を象徴するような軽装の鎧を纏ったブレスの主が無邪気に言います。
「キメラ某殿」
獅子の耳
「キメラ某様」
竜の首を型どった腕
「キメラ某ちゃん」
山羊の毛皮に覆われた脚
「キメラ某っち」
そして、蛇の姿をした尻尾
「ハートの女王よ…この私が来たからにはこれ以上好き勝手にはさせん…」
先程の無邪気な態度とは一転、堂々とした佇まいを見せる合成獣――キマイラが、左右色彩の異なる眼で女王様を威嚇します。
「「「「キメラ某」」」」
多くの嫁達が、彼女の名を呼んでいます。
「メシャスさん、あの人は?」
「柴様の嫁の一人、キメラよ…種族はキマイラ」
「それは判りますが、どうして某(なにがし)と呼ばれているのですか?」
「ハートだか、スペードだか、ダイヤだか、クラブだか、知らないけどぉ♥」
キメラさんは妖艶に語ったかと思いきや
「ハーレムを侵略する不届き者は例え魔王が許しても我が心に宿す四人の花嫁が許しはしない!」
今度は高らかに語ります。
「この獅子・竜・山羊・蛇の部位を持つスタンダードなキマイラ!名はキメラ=レオニクス=ドラグナー=ゴートロン=スネ「長いのじゃ!」フッ
女王様はそう指摘しながら、彼女を転送させました。
「「「「キメラ某――!」」」」
「ついでにそなたらも転送じゃ!」
フッフッフッフッ
そのついでに他の嫁も次々と転送。
「貴女の勇姿は忘れないわ…キメラ=レオニクス=ドラグナー=ゴートロン=スネイクル=オッドアイ=スパイラル」
メシャスさんは真顔で彼女の名を口にします。
皆がキメラ某と省略するのも解る気がしました。
その合間にも女王様は柴様に組み伏せられた嫁を転送させ、時には交わりを直に見物します。
「鱗をずらしての挿入、スク水は脱がさないのが鉄則じゃ」
と、サハギンを犯す柴様を見ながらわたしに背中を向けて
その隙を逃さなかったわたしは、瞬時に女王様の後ろを狙って剣を振り下ろします。
剣は魔界銀製なので殺傷力はありませんが、全力で振り下ろせば気絶させるくらいは――
しかし、その剣は女王様には届きませんでした。
「ふむ、狙いは悪くない。じゃがちいとばかし腕力が足りなかったのう」
その小さな親指と人差し指で剣を止められたからです。
「剣が、動かない…?」
「そなたには余が直接魔力を注いでやろう、自ら愛する夫に身体を差し出すほどのな」
女王様は杖から黒くどろりとした塊をわたしに放とうと
「はぁっ!」
ダンッ!と空気を振動させる程の横からの一撃が女王様を襲います。
「くっ…」
一撃を喰らわせたのは黒フードのドラゴン
横からの衝撃で女王様が倒れそうになり
「ネード!」
ビュゥゥゥと轟音が鳴り響くように黒フードのアリスの掌から翠色の竜巻が放たれ
「ぬおおおおっ!」
巻き込まれた女王様は回りながら部屋の奥へと吹き飛ばされます。
女王を追って奥へと走り出すドラゴンとアリス
あの二人は確か、ハーレム部屋でドラゴン属とアリス達の交わりを見ていた――
「嫁!」
と、油断した隙を狙って、柴様の一人がわたしに襲いかかる
パシン!「あふぅ♥」
――前にパール様の蛇腹剣が柴様の頬を直撃
「あへぇ〜」バタッ
だらしない笑みを浮かべながら倒れる柴様。
「パール様!?」
「リーゼちゃん、この程度の騒動で呆けてはダメよ。他の娘達は今頃は別の敵と戦っているのだから」
「別の敵?」
「パール様、一万の軍勢が魔王城へと進行中」
と、いつの間にか出来ていた壁の穴から連絡係のリャナンシーが報告にやってきます。
「やはりね」
「軍勢?」
わたしは壁の穴を覗いてみると――
彼方から無数の軍勢
「うそ、どうして!?」
「どこかの国の教団が魔王城を攻めようとしているのでしょう」
「まさかこれも女王様が」
「逆ね、女王様はあの軍勢を止めようとしているのよ」
「とにかく、あの軍勢を止めないと――」
「待ちなさい、リーゼちゃんが行っても足手まといになるだけよ。それよりも今は夫を止めることが先決よ」
「でも」
「忘れないでリーぜちゃん、今私たちはベルフィード様のためにディナーを開いている最中であることを。たとえこの先何が起ころうともこのディナーを中止にさせるわけにはいかない。それは彼女達も同じよ」
と、パール様の視線は、柴様に犯されているワイト達の方へと向きます。
「よめ、よめウッ」
「出るよ出る〜ガクッ」
「あははははハァ〜」
「ぐへ、ぐへ、ぐ…グゥー」
「ハァハァハァハァ…アッー!」
ワイト達を犯していた柴様が急に倒れこみます。
「ワイト特有の吸収能力で精を奪い取って気絶させたのよ」
イーダ様、皇蘭様、エルブ様、シア様、そして彩貴様
彼女達は皆、気絶した柴様を引き抜き、軽く口付けをしながら優しく寝かせます。
その表情はどこか愛に溢れていてまるで――
「メシャス、ベル様を近くの寝室へと運んで」
「了解しました…パール様」
メシャスさんはベルフィード様を抱えて、その場から消えます。
「入り口で暴れる夫は私とワイトが引き受けるから、リーゼちゃんは奥に向かったドロシーとバージャ、そしてクリマちゃんの援護をお願い」
「は、はい!」
わたしは部屋の奥へと向かいます。
※続く※
15/06/04 00:12更新 / ドリルモール
戻る
次へ