第九話
Α魔王城・臨時式場Α
Αアンジェラ視点Α
「ビューティちゃん消えちゃったー」
「ふにゅ?いつの間に」
「……ビューティちゃん」
「追い掛けるん?アンジェ姉」
「刑約が成立した以上解除は不可能。追うだけ野暮よ。それに私達にはやるべきことがあるわ」
「やるべきこと?」
「一つは新婚夫妻にエンゲージリングを授与すること、もう一つはーー」
「お義母様のハーレムの様子を見に行かないと」
「あ、そうだったやんね」
「はぁー気が重いなぁ……」
「エンゲージリングはウチが用意するから、アンジェ姉は、きちんとパール様に報告するやんね」
「ドロシー,バージャ、行くわよ」
「「はい、アンジェラ様」」
\
「成る程、パール様関係なら納得ですね」
「何故アンジェちゃんはあの格好をしてるの?という疑問が解決ね!」
Α魔王城廊下Α
「刑約完了。懐かしい響きでしたね。バージャ」
「そうだな、ドロシー」
「刑約書による柴様との情事、決して忘れることのない思い出」
「俺様にとっては最高の一時だったぜ」
「貴女達は淫歴史だろうけど、お義父様にとっては黒歴史なのよ。プレイの全てが不思議の国全体に生中継され、さらに録画映像が魔王城に掲示されて、お義父様がどれだけ後始末に苦労したか」
「アンジェラ様も興奮したのでは?」
「ええ、当時の私はとても刺激的でーーって何を言わせるのですか!」
「アンジェラ様も人の事が言えませんね」
「……とにかく刑約さえ終わればビューティ達は解放されるわ」
「ーー例えエネミス帝国に何が起ころうとも」
Β断食砂漠・エネミス帝国前Β
Βビューティ視点Β
「エネミス帝国との、友好条約を、結ぶ?」
「そうじゃビューティよ、話を聞けばこの国は資源不足に悩んでおるではないか。じゃから我が国との条約を結び、資源調達等のサポートをするのじゃ」
「いやいや、条約を結ぶって、エネミス帝国は反魔物国家で」
「オナニーよ「表向きは」じゃろ?」
「あ」
「裏は親魔物国家じゃから問題無いじゃろ」
「女王様、確かに、事実上の親魔物国家ですが、国民の大半が、それを知りません」
「ならば条約を結んだ後、公表すれば良かろう」
「そもそも、ピスコ様は、条約承認に、難色を示すかと」
「とにかく城へ行くのじゃ」
「スルー、した」
「キャっ、宙に浮いた?」
「余の魔術で、皆を宙に浮かせたのじゃ、このまま街中へ入るのじゃ」
「宙に浮いたら目立つだろ?」
「『透明の刑』により、周囲の者達は我々に気づかぬ」
「透明の刑?それのどこが極刑なんだ」
「オナニーごときがぐだぐだ言うでない。途中でまた発情の発作が起こしても知らぬぞ」
「今は鎮静状態なのか」
「その通りじゃ、城へと向かうのじゃ」
「ハイハイ、行きますよ」
Βエネミス帝国・市街地Β
「ふむ住民達は常に警戒態勢のようじゃ」
「表向きは、教団兵育成国家、だから」
「成る程、だから常識外れの訓練をするのじゃな」
「女王様〜どういうこと〜?」
「バブリーよ、あの雷が答えじゃ」
「立てってんだろ、オマエラ!」
バチィッ!
「ぎゃああっ!」
「キャあっ」
「わ〜」
「大丈夫か二人共!」
「ウォッカ、ゴメンちょっと驚いただけ」
「あの魔法使い〜兵士に雷を当ててる〜ひど〜い」
「あれはT-810教官の訓練だ」
「訓練〜?」
「雷に打たれても意識を保つようにする訓練で、気絶すれば目覚めるまで雷を浴びせられる」
「死なないの〜?」
「意外な事に、死傷者は一切出たことはない」
「雷の中を堂々と行進するのじゃ、中々のスリルじゃぞ」
『待ってよ女王様ァ悪いけど遠回りしてくれなィ?流れ弾ならぬゥ流れ雷に当たって気絶する展開は勘弁だよォ?』
「何じゃ、着ぐるみごときが余に意見するのか?」
『ビューティが気絶するのはァ夫であるオレとしては死活問題なのさァ』
「女王様、あたしからも、お願いする。不本意に、変身解除されるのには、嫌な思い出が多い」
『ほらほらァ可愛い妹の頼みが聞けないのかィ?うりィうりィ〜』
「姉上の旦那、妙に女王に突っ掛かってるぞ?」
「確カニ、今のカフェオレ君、何だか怖い」
「ややシリアスだ〜」
「おーい、下手に女王に逆らわないほうがイイゾ」
「……良かろう。ルート変更じゃ」
「「「「納得しただと!?」」」」
「急がば回れじゃ」
Β居住区Β
「ここは勇者や上の階級の兵士が住む居住区だ」
「ちょっと、しっかりしなさいよ!」
「ごめんなさい、隊長」
「あのツインテールの女性って隊長なんですか?何だか目線が怖い」
「Μ-103隊長の威圧感は、まるで人を固めてしまうのだ」
「勇者さま〜あの滝に打たれてる男女は〜?」
「うう、冷たく感じる……」
「殿方、本物の滝はこの程度ではありませんよ?」
「あれは幻術の滝でな。自ら作り出した滝に打たれる白髪の女性はS-6先輩だ。隣にいるのはその夫だ」
「変わった修行だ〜」
「訓練は他にもある、見ろアレを」
「はうっ、はうっ」
「はあっはあっ」
「男の人達が下半身丸出しで〜チンポに何か嵌めてる〜?」
「あれは挿入訓練、人工で作った膣を挿入して、魔物娘の挿入に耐える訓練だ」
「うっ、あふぅ」
「小僧、アタシの許可なく何射精してる!」バシィッ!
「あふっ!」
「この、変態っ」バシィッ!
「あふぅ、ごめんなさいっ!」
「射精した者に制裁を与えるD-62様だ」
「あ、彼女はーー」
「どうした、ビューティ」
「ううん、何でもない」
「あっ、あいつは」
「ウォッカさん、どうしたの?」
「おらぁ、立て」バシィッ
「痛い、痛い」
「何だ?その目はああん?もっと鞭で打たれたいようだな」バシィッ
「あの人、下半身が馬の女性を鞭で叩くなんて」
「奴隷商のD-040と、バイコーンのB-150だ。相変わらず勘に触る」
「よせウォッカ、この国は魔物娘の競売は合法だと知ってるだろ」
「いくら何でもやり過ぎだ、限度って物があるだろ!」
「俺も同じだ、傷口を抉る気分だ」
Β
「勇者様、この国は変ですよ」
「キャサリン……」
「いくら何でも、訓練がどれも常識外れですよ」
「……俺は二年前に勇者の洗礼を受けた」
「えっ?」
「だが、勇者の加護だけで強くはなれない」
「例え勇者の力を得てもその殆どが魔物娘の誘惑に負け、堕落し、悪堕ちする。だからこそ常識外れの訓練が必要だ」
「俺達は、魔物娘は敵、堕ちた人間も敵、そして環境までもが敵と教え込まれた」
「この国は周囲は見渡す限りの砂漠、オアシスも無ければ日陰となる洞窟もない」
「だから限られた資源を、有効活用しなければならない」
「討伐隊のT-1隊長が言った「未来無き国」、正に今の光景がそれだ」
「なーに、エネミス帝国の未来は余に任せておけば大丈夫じゃ」
(((((いや、貴女に任せるのが一番心配なんです)))))
Βエネミス城Β
「何じゃ、城には見張りが一人もおらぬのか?」
「城内には皇帝夫妻とテキーラ様しかいない」
「国民はピスコ様の許可なしに城の出入りを禁止にしており、もし破れば地下牢獄へと永遠に幽閉される」
「事情は判ったのじゃ、早速入るとしよう」
「「話を聞けよ!」」
「見張りがおらぬなら、透明化を解除するのじゃ」
「「だから話を聞けよ!」」
「大丈夫、あたしがいるから」
Β城内通路Β
「人がおらぬくせに、無駄に広い通路じゃのう」
「昔は、貴族や、警備兵が、沢山いて、贅沢三昧を、してた」
「ほぅ、王族の特権を酷使してたのか」
「あたしが、この国に、来るまでは」
「ほぅ我の許可なく我が城に入った不埒者がいるようジャな」
「ぴ、ピスコ様」
「不埒者よ、我の毒牙にかかるが良い」
「紫色の蛇になった〜」
「確カニ、魔物娘です」
「ほぅ、バブルスライムにキャンサーとは珍しい。直ぐに楽にしてやるのジャ」
シャー!!
「貴女の影を、変えてあげる」
ピタッ
「あれ〜?」
「動きが止まった?」
「何、ジャと?」
「今、影が変わる。歯は想いを流し込む毒牙に、毒は暴挙の進行を抑える薬に、身体は過去の闇を忘れぬ闇紫色に、足は国を包む蛇に、心は太陽を愛する闇色の蛇へと、変わる」
「その台詞、ナイトメアよお主はまさか……」
「変身、解除」
「おお姉者か、久しぶりジャのう♪」シュルシュルキュ〜
「キャーっ御姉様がアポピスに巻き付けられた」
「ラミア属十八番の締め付け!?」
「しかもピスコ様は先程とは打って変わって笑顔だと!?」
「落差が激しすぎる〜」
「姉者の細身〜相変わらず巻き付き甲斐があるのジャ〜♪」
「大丈夫、優しく、締め付けられてるから、平気」
「いやいや、台詞とは裏腹に顔が青くなってますからぁ!」
「ピスコ様やめてー!姉上が苦しそうだよー!」
「姉者〜姉ジャ〜姉ジャアアアン」
※無事解放されました。
Β会議室Β
「成る程、そなたらは我と同じ姉者の眷属であるのか」
「そう、あたしは、ウォッカを、ドラコンに、変えた」
「先程はあのような態度をとったが、内心はそなたら討伐隊が帰還出来てホッとしたぞ、それで他の兵士はどこにいるのジャ?」
「そ、それは」
「兵士一万人、余が不思議の国へと招待した」
「それは誠か、姉者」
「本当、女王様が、魔術で、転送した」
「そうか、もう会えないのジャな」
「その件じゃがピスコよ、兵士全員をエネミス帝国に帰還させることを条件に不思議の国との友好条約を結ぶのじゃ」
「何、ジャと?」
「そなたの国は孤立無援の親魔物国家、魔界との友好条約を結んでも損は無かろう」
「……」
「友好条約の紙は用意しておる。内容を確認し、署名する「お断りするのジャ」だけて良いーー今何と言った?」
「我が国は魔界及び異界との同盟を結ばぬ」
「何故じゃ、兵士の解放を望まぬのか?」
「……それは仕方のないことジャ、兵士達が我が国の事など忘れて淫らに過ごすせるのらそれで良い」
「はぁー、余は嘘と隠し事が嫌いじゃ。それにそなたが断ろうとも、刑約書通りに従う必要があるのじゃ、皆も読んでみるのじゃ」
「一つ、刑約者は婚約を承諾する」
「一つ、エネミス帝国と不思議の国間の友好条約の承諾」
「一つ、帝国周辺の暗黒魔界化の防止及び食糧生産地の開拓」
「以上の三点が完了するまで、刑約者は定期的に発情の発作を起こす」
「プラス『夫には頬の刺激に比例した射精を発する』と書いてあるじゃろ?」
「通りでペシペシだけで射精すると思ったら」
「ビンタされたら、連続射精は確実じゃぞ」
「ごめんなさい、ピスコ様」
「姉者?」
「もっと、あたしがしっかりしてれば、こんな事には」
「姉者が謝る必要は無いのジャ」
「ピスコ様は、帝国周辺を、太陽が昇らない暗黒魔界にしないよう、今まで、努力してきた。あたしも、協力を、惜しまなかった」
「姉者……」
「ややシリアスな雰囲気じゃが、刑約書は『暗黒魔界化の防止』と書いてあるのじゃぞ」
「防止、ジャと?」
「魔界には、変えないの?」
「そうじゃ、暗黒魔界に変わらずに済むよう、余が手解きをしよう」
「……信じていいのジャな?」
「余は嘘と隠し事が嫌いじゃ。この友好条約は、言わば未来への署名なのじゃ」
「……良かろう、条約承認ジャ」
Β
「両者共に、署名の確認よし。友好条約、承認」
「では早速、帝国の地下に溜まった魔力を使うのじゃ」
「女王の奴、杖を立てて何してるんだ?」
「多分、地下に溜まった魔力を、杖に吸収してる」
「魔力を吸収だと?」
「魔物娘との交わりにより、魔力が放出され、それが多くなると、魔界化の兆候が現れ、やがて、暗黒魔界へと変わる」
「そうなる前にその魔力を食糧に変えることで、暗黒魔界へと変わるのを防ぐのじゃ」
「類いまれなる、魔術の才を持つ、ハートの女王様だからこそ、出来る芸当」
「吸収完了じゃ、デザートの刑、執行じゃ」
「城がゆれてる?」
「始まったようじゃな、食糧の生産が」
「食糧の生産だと!?」
「おい、断食砂漠の空からデザートが降り注いでくるぞ!?」
「魔物娘の仕業か?」
「緊急事態です、砂漠にオアシスが発生」
「警戒体制をとれ」
「ピスコ、魔界の襲撃よ!」
「テキーラ様!?」
「おっ、行く手間が省けたのう、堕落の刑、執行じゃ」
「へ?魔力塊、ぎゃああああんん♪あはぁ堕落サイコー♪」
「一瞬にして、ダークエンジェルに、堕落した」
「我と姉者で作った魔力防止のペンダントを打ち破ったジャと!?」
「余の魔力をなめるでない」
Β続くΒ
Αアンジェラ視点Α
「ビューティちゃん消えちゃったー」
「ふにゅ?いつの間に」
「……ビューティちゃん」
「追い掛けるん?アンジェ姉」
「刑約が成立した以上解除は不可能。追うだけ野暮よ。それに私達にはやるべきことがあるわ」
「やるべきこと?」
「一つは新婚夫妻にエンゲージリングを授与すること、もう一つはーー」
「お義母様のハーレムの様子を見に行かないと」
「あ、そうだったやんね」
「はぁー気が重いなぁ……」
「エンゲージリングはウチが用意するから、アンジェ姉は、きちんとパール様に報告するやんね」
「ドロシー,バージャ、行くわよ」
「「はい、アンジェラ様」」
\
「成る程、パール様関係なら納得ですね」
「何故アンジェちゃんはあの格好をしてるの?という疑問が解決ね!」
Α魔王城廊下Α
「刑約完了。懐かしい響きでしたね。バージャ」
「そうだな、ドロシー」
「刑約書による柴様との情事、決して忘れることのない思い出」
「俺様にとっては最高の一時だったぜ」
「貴女達は淫歴史だろうけど、お義父様にとっては黒歴史なのよ。プレイの全てが不思議の国全体に生中継され、さらに録画映像が魔王城に掲示されて、お義父様がどれだけ後始末に苦労したか」
「アンジェラ様も興奮したのでは?」
「ええ、当時の私はとても刺激的でーーって何を言わせるのですか!」
「アンジェラ様も人の事が言えませんね」
「……とにかく刑約さえ終わればビューティ達は解放されるわ」
「ーー例えエネミス帝国に何が起ころうとも」
Β断食砂漠・エネミス帝国前Β
Βビューティ視点Β
「エネミス帝国との、友好条約を、結ぶ?」
「そうじゃビューティよ、話を聞けばこの国は資源不足に悩んでおるではないか。じゃから我が国との条約を結び、資源調達等のサポートをするのじゃ」
「いやいや、条約を結ぶって、エネミス帝国は反魔物国家で」
「オナニーよ「表向きは」じゃろ?」
「あ」
「裏は親魔物国家じゃから問題無いじゃろ」
「女王様、確かに、事実上の親魔物国家ですが、国民の大半が、それを知りません」
「ならば条約を結んだ後、公表すれば良かろう」
「そもそも、ピスコ様は、条約承認に、難色を示すかと」
「とにかく城へ行くのじゃ」
「スルー、した」
「キャっ、宙に浮いた?」
「余の魔術で、皆を宙に浮かせたのじゃ、このまま街中へ入るのじゃ」
「宙に浮いたら目立つだろ?」
「『透明の刑』により、周囲の者達は我々に気づかぬ」
「透明の刑?それのどこが極刑なんだ」
「オナニーごときがぐだぐだ言うでない。途中でまた発情の発作が起こしても知らぬぞ」
「今は鎮静状態なのか」
「その通りじゃ、城へと向かうのじゃ」
「ハイハイ、行きますよ」
Βエネミス帝国・市街地Β
「ふむ住民達は常に警戒態勢のようじゃ」
「表向きは、教団兵育成国家、だから」
「成る程、だから常識外れの訓練をするのじゃな」
「女王様〜どういうこと〜?」
「バブリーよ、あの雷が答えじゃ」
「立てってんだろ、オマエラ!」
バチィッ!
「ぎゃああっ!」
「キャあっ」
「わ〜」
「大丈夫か二人共!」
「ウォッカ、ゴメンちょっと驚いただけ」
「あの魔法使い〜兵士に雷を当ててる〜ひど〜い」
「あれはT-810教官の訓練だ」
「訓練〜?」
「雷に打たれても意識を保つようにする訓練で、気絶すれば目覚めるまで雷を浴びせられる」
「死なないの〜?」
「意外な事に、死傷者は一切出たことはない」
「雷の中を堂々と行進するのじゃ、中々のスリルじゃぞ」
『待ってよ女王様ァ悪いけど遠回りしてくれなィ?流れ弾ならぬゥ流れ雷に当たって気絶する展開は勘弁だよォ?』
「何じゃ、着ぐるみごときが余に意見するのか?」
『ビューティが気絶するのはァ夫であるオレとしては死活問題なのさァ』
「女王様、あたしからも、お願いする。不本意に、変身解除されるのには、嫌な思い出が多い」
『ほらほらァ可愛い妹の頼みが聞けないのかィ?うりィうりィ〜』
「姉上の旦那、妙に女王に突っ掛かってるぞ?」
「確カニ、今のカフェオレ君、何だか怖い」
「ややシリアスだ〜」
「おーい、下手に女王に逆らわないほうがイイゾ」
「……良かろう。ルート変更じゃ」
「「「「納得しただと!?」」」」
「急がば回れじゃ」
Β居住区Β
「ここは勇者や上の階級の兵士が住む居住区だ」
「ちょっと、しっかりしなさいよ!」
「ごめんなさい、隊長」
「あのツインテールの女性って隊長なんですか?何だか目線が怖い」
「Μ-103隊長の威圧感は、まるで人を固めてしまうのだ」
「勇者さま〜あの滝に打たれてる男女は〜?」
「うう、冷たく感じる……」
「殿方、本物の滝はこの程度ではありませんよ?」
「あれは幻術の滝でな。自ら作り出した滝に打たれる白髪の女性はS-6先輩だ。隣にいるのはその夫だ」
「変わった修行だ〜」
「訓練は他にもある、見ろアレを」
「はうっ、はうっ」
「はあっはあっ」
「男の人達が下半身丸出しで〜チンポに何か嵌めてる〜?」
「あれは挿入訓練、人工で作った膣を挿入して、魔物娘の挿入に耐える訓練だ」
「うっ、あふぅ」
「小僧、アタシの許可なく何射精してる!」バシィッ!
「あふっ!」
「この、変態っ」バシィッ!
「あふぅ、ごめんなさいっ!」
「射精した者に制裁を与えるD-62様だ」
「あ、彼女はーー」
「どうした、ビューティ」
「ううん、何でもない」
「あっ、あいつは」
「ウォッカさん、どうしたの?」
「おらぁ、立て」バシィッ
「痛い、痛い」
「何だ?その目はああん?もっと鞭で打たれたいようだな」バシィッ
「あの人、下半身が馬の女性を鞭で叩くなんて」
「奴隷商のD-040と、バイコーンのB-150だ。相変わらず勘に触る」
「よせウォッカ、この国は魔物娘の競売は合法だと知ってるだろ」
「いくら何でもやり過ぎだ、限度って物があるだろ!」
「俺も同じだ、傷口を抉る気分だ」
Β
「勇者様、この国は変ですよ」
「キャサリン……」
「いくら何でも、訓練がどれも常識外れですよ」
「……俺は二年前に勇者の洗礼を受けた」
「えっ?」
「だが、勇者の加護だけで強くはなれない」
「例え勇者の力を得てもその殆どが魔物娘の誘惑に負け、堕落し、悪堕ちする。だからこそ常識外れの訓練が必要だ」
「俺達は、魔物娘は敵、堕ちた人間も敵、そして環境までもが敵と教え込まれた」
「この国は周囲は見渡す限りの砂漠、オアシスも無ければ日陰となる洞窟もない」
「だから限られた資源を、有効活用しなければならない」
「討伐隊のT-1隊長が言った「未来無き国」、正に今の光景がそれだ」
「なーに、エネミス帝国の未来は余に任せておけば大丈夫じゃ」
(((((いや、貴女に任せるのが一番心配なんです)))))
Βエネミス城Β
「何じゃ、城には見張りが一人もおらぬのか?」
「城内には皇帝夫妻とテキーラ様しかいない」
「国民はピスコ様の許可なしに城の出入りを禁止にしており、もし破れば地下牢獄へと永遠に幽閉される」
「事情は判ったのじゃ、早速入るとしよう」
「「話を聞けよ!」」
「見張りがおらぬなら、透明化を解除するのじゃ」
「「だから話を聞けよ!」」
「大丈夫、あたしがいるから」
Β城内通路Β
「人がおらぬくせに、無駄に広い通路じゃのう」
「昔は、貴族や、警備兵が、沢山いて、贅沢三昧を、してた」
「ほぅ、王族の特権を酷使してたのか」
「あたしが、この国に、来るまでは」
「ほぅ我の許可なく我が城に入った不埒者がいるようジャな」
「ぴ、ピスコ様」
「不埒者よ、我の毒牙にかかるが良い」
「紫色の蛇になった〜」
「確カニ、魔物娘です」
「ほぅ、バブルスライムにキャンサーとは珍しい。直ぐに楽にしてやるのジャ」
シャー!!
「貴女の影を、変えてあげる」
ピタッ
「あれ〜?」
「動きが止まった?」
「何、ジャと?」
「今、影が変わる。歯は想いを流し込む毒牙に、毒は暴挙の進行を抑える薬に、身体は過去の闇を忘れぬ闇紫色に、足は国を包む蛇に、心は太陽を愛する闇色の蛇へと、変わる」
「その台詞、ナイトメアよお主はまさか……」
「変身、解除」
「おお姉者か、久しぶりジャのう♪」シュルシュルキュ〜
「キャーっ御姉様がアポピスに巻き付けられた」
「ラミア属十八番の締め付け!?」
「しかもピスコ様は先程とは打って変わって笑顔だと!?」
「落差が激しすぎる〜」
「姉者の細身〜相変わらず巻き付き甲斐があるのジャ〜♪」
「大丈夫、優しく、締め付けられてるから、平気」
「いやいや、台詞とは裏腹に顔が青くなってますからぁ!」
「ピスコ様やめてー!姉上が苦しそうだよー!」
「姉者〜姉ジャ〜姉ジャアアアン」
※無事解放されました。
Β会議室Β
「成る程、そなたらは我と同じ姉者の眷属であるのか」
「そう、あたしは、ウォッカを、ドラコンに、変えた」
「先程はあのような態度をとったが、内心はそなたら討伐隊が帰還出来てホッとしたぞ、それで他の兵士はどこにいるのジャ?」
「そ、それは」
「兵士一万人、余が不思議の国へと招待した」
「それは誠か、姉者」
「本当、女王様が、魔術で、転送した」
「そうか、もう会えないのジャな」
「その件じゃがピスコよ、兵士全員をエネミス帝国に帰還させることを条件に不思議の国との友好条約を結ぶのじゃ」
「何、ジャと?」
「そなたの国は孤立無援の親魔物国家、魔界との友好条約を結んでも損は無かろう」
「……」
「友好条約の紙は用意しておる。内容を確認し、署名する「お断りするのジャ」だけて良いーー今何と言った?」
「我が国は魔界及び異界との同盟を結ばぬ」
「何故じゃ、兵士の解放を望まぬのか?」
「……それは仕方のないことジャ、兵士達が我が国の事など忘れて淫らに過ごすせるのらそれで良い」
「はぁー、余は嘘と隠し事が嫌いじゃ。それにそなたが断ろうとも、刑約書通りに従う必要があるのじゃ、皆も読んでみるのじゃ」
「一つ、刑約者は婚約を承諾する」
「一つ、エネミス帝国と不思議の国間の友好条約の承諾」
「一つ、帝国周辺の暗黒魔界化の防止及び食糧生産地の開拓」
「以上の三点が完了するまで、刑約者は定期的に発情の発作を起こす」
「プラス『夫には頬の刺激に比例した射精を発する』と書いてあるじゃろ?」
「通りでペシペシだけで射精すると思ったら」
「ビンタされたら、連続射精は確実じゃぞ」
「ごめんなさい、ピスコ様」
「姉者?」
「もっと、あたしがしっかりしてれば、こんな事には」
「姉者が謝る必要は無いのジャ」
「ピスコ様は、帝国周辺を、太陽が昇らない暗黒魔界にしないよう、今まで、努力してきた。あたしも、協力を、惜しまなかった」
「姉者……」
「ややシリアスな雰囲気じゃが、刑約書は『暗黒魔界化の防止』と書いてあるのじゃぞ」
「防止、ジャと?」
「魔界には、変えないの?」
「そうじゃ、暗黒魔界に変わらずに済むよう、余が手解きをしよう」
「……信じていいのジャな?」
「余は嘘と隠し事が嫌いじゃ。この友好条約は、言わば未来への署名なのじゃ」
「……良かろう、条約承認ジャ」
Β
「両者共に、署名の確認よし。友好条約、承認」
「では早速、帝国の地下に溜まった魔力を使うのじゃ」
「女王の奴、杖を立てて何してるんだ?」
「多分、地下に溜まった魔力を、杖に吸収してる」
「魔力を吸収だと?」
「魔物娘との交わりにより、魔力が放出され、それが多くなると、魔界化の兆候が現れ、やがて、暗黒魔界へと変わる」
「そうなる前にその魔力を食糧に変えることで、暗黒魔界へと変わるのを防ぐのじゃ」
「類いまれなる、魔術の才を持つ、ハートの女王様だからこそ、出来る芸当」
「吸収完了じゃ、デザートの刑、執行じゃ」
「城がゆれてる?」
「始まったようじゃな、食糧の生産が」
「食糧の生産だと!?」
「魔物娘の仕業か?」
「緊急事態です、砂漠にオアシスが発生」
「警戒体制をとれ」
「ピスコ、魔界の襲撃よ!」
「テキーラ様!?」
「おっ、行く手間が省けたのう、堕落の刑、執行じゃ」
「へ?魔力塊、ぎゃああああんん♪あはぁ堕落サイコー♪」
「一瞬にして、ダークエンジェルに、堕落した」
「我と姉者で作った魔力防止のペンダントを打ち破ったジャと!?」
「余の魔力をなめるでない」
Β続くΒ
14/03/16 23:34更新 / ドリルモール
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