連載小説
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第三話
※不思議の国・牢屋※
※レーサ視点※



 結論から言えば私達は案内役の裏切りにより投獄された。

「きーっ、メシャスの奴最初から私達を裏切るつもりだったのね!」
「クリア、鍵束見つかった?」

「っていうか何で兎の姿が変わったの?黒い塊を浴びたらに急に背が高くなって、足が長くなって、おっぱいが私より大きいなんてありえないわよ!」
「あったやんねお兄ちゃん」

「あの女王も女王よ。我儘なガキじゃない!リリムといっても私と同じーー」
「レーサ、檻の鍵を開けたやんね」

「へ?どうやったの?」
「ウチの魔法やんね♪」



城内部・客室
メシャス視点



「あたし達の後を着けて霧の中を彷徨ってたらこの城に来たのね」
「そうよ、これで満足?」

「ハイハイ、メシャスはラヴちゃんの説明に満足しました」
「ふん」

「先輩嫌われたですぅ?」
「おねえちゃん、ネコさんきらいになったの?」

「トビラちゃんピーシュちゃん。これはツンデレと言うのよ」
「言わないよ!お姉ちゃん達を裏切った猫なんか嫌い!アイリスを虐めるハートのお姉ちゃんも大嫌い!」

「ほぅ、余のことが嫌いか?」
「急に出てきた!?」
「びっくり」

「余も隠し事をする二人が嫌いじゃ」
「どうして」
「みんなをいじめるの?」

「それは退屈だからじゃ。余は楽しいことを求めておる。だから皆を極刑にしたり、不思議の国に招待してるのじゃ」
「女王様は毎日楽しいことを求めてます例えばこの紐でトビラちゃんのおっぱいをきゅっきゅつ」
「ああん、先輩の紐が私のおっぱいを縛ってるですぅ気持ちよくて股から汁が零れちゃうですぅ」

「ほぅ、淫乱で愉快じゃ。お前たちもやってみるか?」
「やだ!」
「こわい」

「ノリが悪いのう。デルエラやアンジェラの反応と大違いじゃ」
「デルエラお姉ちゃんを知ってるの?」
「あんじぇらってだれ?」

「知ってるも何も余の妹たちじゃ……ん?アンジェラは知らんのか?」
「知らない」
「だれ?」

「デルエラ様は知ってるのにアンジェちゃんを知らないのー?リリムなのに遅れてるー」
「猫は黙ってて!」

「ラヴちゃんは意地っ張りねイクは一時の恥イカないのは一生の恥よそうよねピーシュちゃん」
「えっと……おしえてじょうおうのおねえちゃん」
「ピーシュ?」

「ふむ、妹二人を極刑しに来たが……気が変わった。妹二人そこ座れ。余がアンジェラの武勇伝を語ってやろう」
「はい」
「判った、座る」

「まずアンジェラが仲間達と共に不思議の国に訪れた話からーー」


「……トビラ、今のうちに行くわよ」
「はいですぅ先輩」


※脱獄早朝※
※レーサ視点※



 結論から言えば私は住民達の交わりを見惚れていた。

「ああっ魔物娘と男があんなエッチな交わりを、羨ましいてっ!副隊長峰打ちしないで!」
「レーサの思考が不思議の国に染まらないよう叩いた」

「ねえ、本当にこの道でお城にたどり着けるの?」
「わからないやんね」

「わからないって、城が見える方向に向かってるのに?」
「それが不思議の国だ。何が起こっても不思議じゃない。例えばーー」



「百人の兵士が立ちふさがっても不思議じゃないよね」
「ですぅ」



「メシャスと兎!?よくも私達を裏切ったわね!」
「あたしは女王様との約束を守っただけよ不思議の国に戻るときは優秀な人材を連れてくるという約束をね」
「イクですぅ夫婦兵士百人」

「一斉に来た!ここは戦うしかーー」
「レーサちゃん、ここはウチに任せるやんね」

「任せるってあんた一人で百人相手するつもり」
「はい、帽子」

「いきなり帽子を被せないでよ!前が見えない」
「みんな、悪いけどエッチしてもらうやんね!」



※城内部・客室※



「ーーこの魔力は!」
「どうしたの?」
「おはなしのつづきは?」

「強力な魔力を感じたから中止じゃ」
「強力な」
「まりょく?」

「今まで抑えてた力を解放したのじゃーー魔女の殻を破ったリリムがの」



※レーサ視点※



 結論から言えば兵士百人が本来の目的を忘れセックスしていた。

「兵士たちはウチの魔力塊で無力化したやんね」
「百人全員?それ以前にクリア、その白い髪に黒い角、サキュバスの翼と尻尾も真っ白……魔女じゃなかったのあんた?」

「魔女は魔女でも、なんちゃって魔女やんね」
「残るは貴女方二人です」
「トビラ、昨日教えたあの技よ」
「ハグですぅ」
「兎がメシャスを抱いて跳んでスピン?まさか昨日競技場でみた高難易度の技『メシャス』!?」

「惜しい、スピンしながらトビラちゃんの愛液を染み込ませた魔力紐を螺旋状に出す『メシャトビ』よ貴女達全員エッチなトランプゲームの会場へご招待」
「また転送?きゃっ」



※不思議の国・競技場※



『本日の競技は女体神経衰弱!帽子と燕尾服を着用したチェリーボーイが全裸のマーチヘアに貼りついたトランプを捲る競技だ!』
『実況さんは昨日チェリーボーイを脱したデス今日から解説を犯しながら実況をするプレイボーイデス』

「またここかよ!」
「レーサ、気持ちは判るが落ち着け」
「昨日とは違い試合を観戦する必要は無い。兵士を倒して競技場を出れば城まで一直線だ」
「見張りは三人だね。僕が行くよ」
「任せたやんね。ペドリーお兄ちゃん」

『勝利者には賞金か発情真っ盛りのマーチヘアどちらかを手にすることができます!』
『賞金なんかよりマーチヘアとエッチして欲しいデス』

「おい兵士たち、僕を通せ!」
「なんだ?今は神聖な競技の最中だぞ」
「不思議の国の住民なら」
「最後まで観戦しろハァハァ」

『Dブロックは二十五対二十七で東側の勝利!勝者はマーチヘアを選んだ!』
『新たなカップルの誕生デスマーチヘアが早速勝者の童貞を激しく奪ってるデス実況さんのバックも激しすぎるデス』

「やなこった!」
「何だとぐへっ」
「ぐはっ」
「アッー!」

「いつもの囮作戦成功やんね」
「うまくいったよ。クリア」


城内・客室
メシャス視点



「ピーシュ、脱出しよう」
「いいの?へやにいろっていわれたのに」

「いつ出るの?今じゃないわよ」
「猫と兎が戻ってきた!」
「うさぎさんなにくわえてるの?」
「ちゅぱちゅぱ」

「勝手に逃げようとしちゃ駄目よ。折角お姉ちゃん達が助けに来るのに」
「また嘘つくの?」

「嘘じゃないわよトビラ、紐人参を出して」
「ちゅぱちゅぱ……ぽんっ、先輩どうぞ、私の唾液を浸けた紐人参ですぅ」

「人参さん。レーサ達の様子を映し出してチュッ」
「人参から映像が出てきた」
「おねえちゃんたちだ」


『城を目前にして、チェシャ猫とマーチヘアの兵士に取り囲まれるなんて』
『魔物娘オンリーだから魔力塊による性交状態は無理やんね』
『どうすれば』
『私とパーズが兵士を足止めしよう』
『ここは俺たちに任せて先へ行け。行ってアイリスとニキス、ラヴとピーシュを助けるんだ』

『隊長と副隊長だけで沢山の兵士を相手に出来るの?』
『心配するな私は魔王軍の騎士』
『この程度なら問題ない』
『デュインの気持ちを無駄にしたら駄目やんね』
『行こう。兄さんと義姉さんなら大丈夫だよ』

『脱走者三名箒に乗って城へ向かったわ!』

「ほら、貴女達も助けるつもりよ」
「私達を助けるために?」
「かってについてきたのに?」

「わざわざ脱獄してまで城に戻るなんて大した度胸よね」
「何言ってるの?」

「ラヴちゃん何が言いたいの?」
「猫が裏切らなければお姉ちゃん達が牢屋に入ることは無かったのよ!」

「……本当にそうかしら?」
「まだ開き直るの?」

「あたしの気まぐれで投獄しなかったら、あの子たち全員女王様に倒されて、極刑を受けていたと思うけど?」

「どうして?」
「あの時の女王様、凄く機嫌が悪かったのよ。どこぞの姉妹が嘘をついたせいで……」

「え?」
「女王様は嘘や隠し事が大嫌い。今回の件は何が悪かったのか?紐で縛れないほど未発達の胸に手を当てて考えなさい……」
「大人になるケーキを食べればおっぱいが大きくなっ……先輩?どこへイクですぅ?放置プレイですぅ」

「あたしは女王様の所へ行くわ。そこであたし達の様子を観ててね」

「行っちゃった」
「ないしょにしたから……」



※王女の間※
※レーサ視点※



「余も最初は気付かなかったぞ。そなたに眠る膨大な魔力を。尋問じゃそなたは何者じゃ?」
「ウチの名はクリア、魔王様の娘リリムにして第二十一王女」

「尋問じゃ、その第二十一王女が何故正体を隠しておった?」
「皆がウチをリリム扱いしてほしくなかったから」

「何故じゃ魔王様は全魔物の頂点。その血を受け継ぐ娘も全魔物達の憧れにして服従すべき存在じゃ」
「だからこそです。魔王様の娘関係なく接して欲しくてウチは魔力と素顔を帽子に隠しました」

「……」
「女王様、僕も話していいですか?」

「……許す」
「魔宝石というのはご存知でしょうか?」

「知っておる。魔界で掘り出される透明な石のことじゃな」
「はい、魔宝石は僅かな魔力に反応して色が変化するため取り扱いが難しいんです。更に魔力が強大な者が魔宝石に触ると砕けてしまいます。魔王様の娘、リリムの魔力なら尚更」

「……」
「クリアは魔宝石が大好きです。ですがリリムである彼女は魔宝石の採掘には不向き、そうでなくても魔王の娘に土掘りをやらせるわけにはいかないと採掘させてくれない事が多いのです」

「だからクリアは魔女になった」
「デュイン隊長にパーズ副隊長」

「心配かけたなレーサ」
「戦闘中にデュインの首が外れてしまったこと以外は無事だ」

「ほぅ、余の近衛兵を相手に首一つ落ちただけで済むとはの」
「話を続けます。私とクリアは同じ年に生まれた幼なじみ。クリアとは長年付き合っている親友です」

「ほぅ、嘘ではなさそうじゃの」
「長年付き合っているからこそクリアの気持ちが判るのです。帽子に素顔を隠し、リリムの魔力を抑え、魔女として生きるクリアの苦労が」
「だからこそ弟はクリアに惚れた。自分とは真逆のタイプのクリアに。弟は今やサバトの副支配人でクリアのお兄ちゃんだ」

「ほぅ、それがそなたらの答えか。劣はどうじゃ」
「え?私は魔物娘になってから一週間も経ってないからリリムの凄さとか実感湧かないし、それにリリムと言っても私と同じサキュバス属でしょ?」

「皆正直でよろしい。脱獄の件は許そう。じゃが兄妹と姉妹は返さん」
「まだ返さないの?」

「あの姉妹は未だに正直に答えとらんだからーー」
「待ってください」
「まって」

「ラヴ、ピーシュ」
「女王様私達の」
「ひみつをおしえます」

「……話せ」
「行くよピーシュ」
「うんおねえちゃん」

「ラヴです」
「ピーシュです」

「「二人あわせて」」

「「ラブ&ピース」」



「ショートコント」
「おやつ」

「こんな太くて茶色いの口に入れるの大変だよ」
「わたしはぺろぺろ」

「うーうー」
「ぺろぺろ」

「奥まで入った一気にたべると美味しい」
「さきからしろいのでた」

「美味しいね」
「おいしいね」

「「ミルク入りチョコアイスバー」」

「「ラブ&ピース」」



「これが私達の」
「ひみつです」

 結論から言えば私達全員ポカーンだった。
 それは女王も同様で。

「……今のは何じゃ?」
「お笑いです」
「こんとです」

「私達はお笑いで」
「せかいをひとつにしたい」

「でもそれは魔物娘として」
「へんなのはわかってる」

「だから言えなかった」
「ないしょにしてた」

「でもアイリスや姉ちゃん達を」
「たすけるためなら」

「「迷わない」」

 女王は何故か寂しそうな顔をしながら呟くように

「……人や魔物は何故嘘をついたり隠し事をするのじゃ」

「嘘や隠し事をするのは自分の記憶を否定する事じゃと余はそう思っとる」

「思い出したくても思い出せない記憶があるというのに……」

「余としたことが……百年と言ったが気が変わった。兄妹を解放しよう」

 女王は杖を一降りすると。
 アイリスとニキスが現れた。

「アイリス!ニキス!良かった無事で」
「レーサちゃん……」
「僕達は確か……あっ」

「アイリスとニキス。薔薇の件は許そう。そなたらは今すぐ元の世界へ戻るがよい」
「女王様ごめんなさい」

「何じゃ?アイリス」



「私たちはまだ帰りたくありません」



※続く※
13/12/12 22:59更新 / ドリルモール
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■作者メッセージ
次回

赤く染まる薔薇
女王との約束
再会の贈り物

の三本です。

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