In my mental world.1
あの子に誘いを断られて以来、私は酷く落ち込んでいたわ。
少なくとも、実家に引きこもって何もしない日々が続くくらいに。
誘いを断られた事なんて無かった。
私に魅了されない子なんて居なかった。
だって私はリリム、お母様の、魔王の娘だもの。
ただの一度も失敗のなかった私は、たった一度の失敗で酷く傷ついた。
その傷に蓋をして、緩やかに流れる時間の中に落とし込んで、無かった事にしようとした。
そんな事したって、何の解決にもならないのにね。
だから私はあの子に勝てないの。
どんなに辛い目に遭っても真っ直ぐ前を見て前進を続ける彼女にね。
そんなふて腐れたまま価値のない日々を送る私に運命は追い打ちを仕掛けてきたわ。
最初にそれを耳にしたのはどこだったかしら?
確か、ゴシップ好きのハーピーが言いふらしていたような気がするわね。
それがその内、戦帰りの兵士達からも聞こえるようになって、
ただの噂だと思っていたのだけれど、日を追うごとに現実味を帯びてきて、
いてもたってもいられなくなって、私はその噂を城中からかき集めた。
そして分かったのは、あの子がたった一人で戦っているって事。
教団から支給された鎧を身に纏い、教団に襲われる魔物の盾となった。
師匠から譲り受けた魔剣を持って、今のままでいたいと願う人間の剣となった。
全てを敵に回してなお、あの子は全ての味方であろうとした。
そんな真似をすれば反感しか買わないのは誰にでも分かる。
あの子はどんな立場からも都合の悪い子になっていた。
その時ね、私の燻っていた心に火がついたのは。
よく分からないけれど、あの子をこのままにはしておけないって第六感のようなものが私を突き動かした。
ただもう、手遅れだったのよ。
私が自分の殻に閉じこもってる間に、あの子の命は私の手の届かない所に行ってしまっていた。
魔力を特定して、発生源を割り出して、転移魔法を行使する。
時間にすればものの数秒もかからない事なのだけれど、たったそれだけの事をするまでの間に、私は時間を使いすぎたの。
私があの子の下についた時、あの子は既に傷だらけだった。
ううん、傷だらけなんてものじゃない。
意識を繋ぎ止めているのがおかしいと思える程に傷だらけだった、それも背面だけ。
この意味が分かる?その瞬間まであの子が守っていた者達に殺されたのよ。
有りえないと思うでしょ?でも、それが現実。
守ってくれている間はいい、心強いから。
ただ、その剣の切っ先がいつこちらを向くか分からないから、そうなる事が怖いから。
たったそれだけの理由であの子は殺された。
目の前にあの子がいる。
私が漫然と過ごしていたばかりに、傷つきボロボロになったあの子がいる。
傷は多く、
傷は深く、
剣を支えにようやくしゃがんでいられる程なのに、
それでも未だ目は死なず、
睨みをきかせ、
気迫だけで攻め入る敵の足を食い止める。
転移魔法でそこに出現した私は場の異様な光景に一瞬気圧されるものの、即座に思考を展開し事態の把握に努める。
そして、場を収める為の一言を放つ。
「退きなさい。」
魔力を込めて、威厳を込めて、彼女を挟む敵を散らすように。
そして駆け寄る、今までの遅れを取り戻す為に、
だがしかし、間に合わない。
魔物化に耐えうるだけの時間も、体力も彼女には残っていない。
だから私は、彼女の最期を看取る事にした。
もっと早く動いていれば、自由を与えてあげられた。
もっと早く動いていれば、辛い思いをさせなくて済んだ。
もっと早く動いていれば、彼女が殺される事は無かった。
「ごめんなさい、シルヴィア。私のせいで貴方を死なせてしまった。」
事切れた彼女を前に、私は謝罪を口にした。
そして、身体を離れようとする彼女の魂を強引に繋ぎ止め、その魂をありったけの魔力と一緒にまだ暖かい身体へ流し込み、私は彼女の精神へと侵入した。
それじゃあ、一旦休憩にしましょうか。
どうしていい所で切るのか、ですって?
うふふ〜、いい事を聞いてくれました。
これから、貴方たちに魔法を掛けるわ。
あの子に掛けた魔法と同じ、とびきりエッチな気分になる魔法をね。
ちょっとだけ、お姉さんからお願いがあるの。聞いてくれる?
あら、素直な子ね。お姉さんそういう子大好きよ、後で食べに行こうかしら?
冗談よ、冗談。本気にしないで、私はあなたがどこにいるか分からないんだから。
そう、分からないの。
本当は、あなたのそばに行って直接魔法を掛けてあげたいのだけれど、それは出来ないの。
ごめんなさいね。
だから、今回はこの言葉に魔力を込めて、あなたを気持ちよくしてあげる。
ただ、この魔法にはちょっと問題があってね。
術者である私から離れてしまうと、途端に効き目が弱くなってしまうの。
少しだけ、お姉さんから、お・ね・が・い。
もちろん、聞いてくれるよね?
まずは、明かり。
部屋の明かりを消して、なるべく暗い環境を作ってくれる?
できれば、この言葉の周りだけがボウッと光っているような状況が一番いいわ。
それから、音。
テレビやラジオ、それから携帯なんかも電源を切ってしまいましょ。
それでも周囲の音が気になるようなら、耳栓を付けたりすると良いんじゃないかしら?
なければないで構わないわ、どのみち私の魔法に掛かったら気持ちいい快感だけがあなたの頭を埋め尽くして周りの音なんて気にならなくなるから。
さいごは、人。
こっちじゃ淫らな姿を誰かに見られても問題ないけど、あなたの世界じゃ違うんでしょ?
部屋に鍵を掛けて、誰かに見られたりしないように注意して。
もしあなたが社会的に死んでも、私は責任を取れないからね?
準備が出来たら、私に声を掛けて。
気持ちいい快楽だけの世界にあなたを連れて行ってあげる。
少なくとも、実家に引きこもって何もしない日々が続くくらいに。
誘いを断られた事なんて無かった。
私に魅了されない子なんて居なかった。
だって私はリリム、お母様の、魔王の娘だもの。
ただの一度も失敗のなかった私は、たった一度の失敗で酷く傷ついた。
その傷に蓋をして、緩やかに流れる時間の中に落とし込んで、無かった事にしようとした。
そんな事したって、何の解決にもならないのにね。
だから私はあの子に勝てないの。
どんなに辛い目に遭っても真っ直ぐ前を見て前進を続ける彼女にね。
そんなふて腐れたまま価値のない日々を送る私に運命は追い打ちを仕掛けてきたわ。
最初にそれを耳にしたのはどこだったかしら?
確か、ゴシップ好きのハーピーが言いふらしていたような気がするわね。
それがその内、戦帰りの兵士達からも聞こえるようになって、
ただの噂だと思っていたのだけれど、日を追うごとに現実味を帯びてきて、
いてもたってもいられなくなって、私はその噂を城中からかき集めた。
そして分かったのは、あの子がたった一人で戦っているって事。
教団から支給された鎧を身に纏い、教団に襲われる魔物の盾となった。
師匠から譲り受けた魔剣を持って、今のままでいたいと願う人間の剣となった。
全てを敵に回してなお、あの子は全ての味方であろうとした。
そんな真似をすれば反感しか買わないのは誰にでも分かる。
あの子はどんな立場からも都合の悪い子になっていた。
その時ね、私の燻っていた心に火がついたのは。
よく分からないけれど、あの子をこのままにはしておけないって第六感のようなものが私を突き動かした。
ただもう、手遅れだったのよ。
私が自分の殻に閉じこもってる間に、あの子の命は私の手の届かない所に行ってしまっていた。
魔力を特定して、発生源を割り出して、転移魔法を行使する。
時間にすればものの数秒もかからない事なのだけれど、たったそれだけの事をするまでの間に、私は時間を使いすぎたの。
私があの子の下についた時、あの子は既に傷だらけだった。
ううん、傷だらけなんてものじゃない。
意識を繋ぎ止めているのがおかしいと思える程に傷だらけだった、それも背面だけ。
この意味が分かる?その瞬間まであの子が守っていた者達に殺されたのよ。
有りえないと思うでしょ?でも、それが現実。
守ってくれている間はいい、心強いから。
ただ、その剣の切っ先がいつこちらを向くか分からないから、そうなる事が怖いから。
たったそれだけの理由であの子は殺された。
目の前にあの子がいる。
私が漫然と過ごしていたばかりに、傷つきボロボロになったあの子がいる。
傷は多く、
傷は深く、
剣を支えにようやくしゃがんでいられる程なのに、
それでも未だ目は死なず、
睨みをきかせ、
気迫だけで攻め入る敵の足を食い止める。
転移魔法でそこに出現した私は場の異様な光景に一瞬気圧されるものの、即座に思考を展開し事態の把握に努める。
そして、場を収める為の一言を放つ。
「退きなさい。」
魔力を込めて、威厳を込めて、彼女を挟む敵を散らすように。
そして駆け寄る、今までの遅れを取り戻す為に、
だがしかし、間に合わない。
魔物化に耐えうるだけの時間も、体力も彼女には残っていない。
だから私は、彼女の最期を看取る事にした。
もっと早く動いていれば、自由を与えてあげられた。
もっと早く動いていれば、辛い思いをさせなくて済んだ。
もっと早く動いていれば、彼女が殺される事は無かった。
「ごめんなさい、シルヴィア。私のせいで貴方を死なせてしまった。」
事切れた彼女を前に、私は謝罪を口にした。
そして、身体を離れようとする彼女の魂を強引に繋ぎ止め、その魂をありったけの魔力と一緒にまだ暖かい身体へ流し込み、私は彼女の精神へと侵入した。
それじゃあ、一旦休憩にしましょうか。
どうしていい所で切るのか、ですって?
うふふ〜、いい事を聞いてくれました。
これから、貴方たちに魔法を掛けるわ。
あの子に掛けた魔法と同じ、とびきりエッチな気分になる魔法をね。
ちょっとだけ、お姉さんからお願いがあるの。聞いてくれる?
あら、素直な子ね。お姉さんそういう子大好きよ、後で食べに行こうかしら?
冗談よ、冗談。本気にしないで、私はあなたがどこにいるか分からないんだから。
そう、分からないの。
本当は、あなたのそばに行って直接魔法を掛けてあげたいのだけれど、それは出来ないの。
ごめんなさいね。
だから、今回はこの言葉に魔力を込めて、あなたを気持ちよくしてあげる。
ただ、この魔法にはちょっと問題があってね。
術者である私から離れてしまうと、途端に効き目が弱くなってしまうの。
少しだけ、お姉さんから、お・ね・が・い。
もちろん、聞いてくれるよね?
まずは、明かり。
部屋の明かりを消して、なるべく暗い環境を作ってくれる?
できれば、この言葉の周りだけがボウッと光っているような状況が一番いいわ。
それから、音。
テレビやラジオ、それから携帯なんかも電源を切ってしまいましょ。
それでも周囲の音が気になるようなら、耳栓を付けたりすると良いんじゃないかしら?
なければないで構わないわ、どのみち私の魔法に掛かったら気持ちいい快感だけがあなたの頭を埋め尽くして周りの音なんて気にならなくなるから。
さいごは、人。
こっちじゃ淫らな姿を誰かに見られても問題ないけど、あなたの世界じゃ違うんでしょ?
部屋に鍵を掛けて、誰かに見られたりしないように注意して。
もしあなたが社会的に死んでも、私は責任を取れないからね?
準備が出来たら、私に声を掛けて。
気持ちいい快楽だけの世界にあなたを連れて行ってあげる。
11/12/09 22:33更新 / おいちゃん
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