涼しき流れのゆく先は
うっそうと茂る林道の中を一人の少年が額に汗して進んでゆく。
少年の名はヒュー。この辺りの山で狩りなどをして暮らしている。
今日は仕事は休んで、お気に入りの場所へと向かう所だった。
「ふう、あっついなぁ」
ヒューはシャツの襟をつかんで、服の中に溜った熱気を逃がす。
この地域は内陸の山地だが、夏の暑さはかなり厳しい。
今いる道も木陰は多いが、木々の切れ間から降り注ぐ日差しは強烈だ。
目印の大岩のところまでくると、ヒューは道を外れ沢の斜面を下っていく。
やがて、せせらぎの音が聞こえ始め、視界が開けた。
碧く透き通った水をたたえた渓流の淵。
水源にほど近く、また流れ込み、注ぎ出る瀬の速さもそれなりにあって、付近は清浄な雰囲気に包まれていた。
「到着っと」
岸辺の平たい岩の上に腰を下ろし、ヒューはまず手を川に浸す。
指の間を心地よい冷たさの水が通り抜けていく。
そのまま水をすくい上げ、顔を洗うと人心地ついた。
靴を脱ぎ捨て、素足を放り込む。
そうして涼を取りながら、岩の上に寝転がった。
目を閉じて周囲に耳を澄ませる。
沢の音、小鳥たちのさえずり、蛙もどこかで喉を膨らませているようだ。
とそこに、ヒューのすぐ側で何かが川面から上がってきた。
「ヒュー」
「やあ、ラウラ」
瞼を開けると、しずくを長い髪から滴らせる美しい少女の姿が。
凛と整った顔立ちはほとんど無表情だ。
その手足は濃紺の鱗に包まれ、指の間には薄いけれども丈夫な膜がある。
彼女はサハギンと呼ばれる水棲の魔物だ。
この付近で魚を捕って一人で暮らしている。
「今日は？」
ラウラがぼそりと抑揚のない声で尋ねた。
「特に用事があってきたわけじゃないよ」
「そう」
数年前、この場所に迷い込み偶然彼女と出くわして以来、ヒューはちょくちょくここに来ている。
今日のように突然訪問しても、追い出されるようなことは一度も無かった。
感情をあまり表に出さないラウラだったが、ヒューのことは気に入ってくれているようだ。
「元気してた？」
「ん」
「そうそう、この前貰った川魚、焼いて食べたらおいしかったよ」
「ん」
会話と言うにはかなり一方的なやりとりだが、いつもこうなのでヒューは気にしない。
他の人となら間がもたなくなる所だが、彼女の場合は不思議と居心地がよかった。
「それにしても暑いね。ラウラなんか干からびちゃいそう」
「ん。・・・・・・ん」
何気ない言葉に反応し、突然彼女は立ち上がってヒューの腕を取った。
ぬめり気のある手の感触は、人間のものとは大きく違うが不快ではない。
むしろ女の子に触れられて、ちょっとドキドキする。
「えと、どうしたの？」
「こうすると涼しい」
と、ラウラはヒューの腕をつかんだまま淵へと飛び込んだ。
「うわぁぁぁっ！？」
世界がひっくり返り、青色に沈む。
思っていた以上に川底は深く、足を伸ばしても届かない。
水面に顔を出すと、背中側からラウラが身体を支えてくれた。
「いきなり何を･･･」
「ほら、涼しい」
悪びれもせずラウラが同意を求めてくる。
純粋に善意からの行動らしい。
「まあ、確かに気持ちいいね」
肌を撫でて流れ去る水は、温度が低く、かといって凍えるほどでもなくといったところで、真夏の沐浴にはちょうどいい。
「でも、せめて服を脱がさせて欲しかったなぁ。纏わり付いて泳ぎにくいや」
「私の服は平気」
ラウラが着ている服はサハギン族の伝統衣装で、耐水性と伸縮性のある正体不明の素材で出来ている。
水の抵抗を減らすためか、肩と太ももは大きく露出しておりピッチリと身体に張り付いていた。
そんな身体のラインが強調された少女に密着されているのだ。
「と、とりあえず一旦上がるよ」
ヒューは渓流に浸かっているにもかかわらず、首から上が熱くなってくるのを感じた。
下着だけになり、改めてヒューは川遊びに興じ始める。
「ついてこれる？」
ラウラはそう言って、淵を上流へ向かって泳ぎ出した。
鰭のある尻尾を力強く振り、あっという間に遠ざかってしまう。
その運動力に感嘆しながら、ヒューは後を追う。
少し川を遡ると、人の倍の背丈くらいある小さな滝があった。
垂直に水が落ちているのではなく、急斜面を結構な量の水が流れている。
ラウラは岩肌にとりついて、器用にするすると登っていく。
「よし僕も･･･おっとと」
ヒューも狩りでは岩をよじ登ったりすることが多いので軽く見ていたが、流れの抵抗があって案外難しい。
それに、滝の中央部は急流で磨かれツルツルになっており、手足をかけられる場所が少なかった。
「ヒュー、いけるか？」
かけられた声に見上げると、ラウラがこちらを睥睨している。
特に表情はないのだが、なぜだかヒューには彼女が得意げに見えた。
見てろよ、とヒューは力任せに滝の端のごつごつした部分を登ってゆく。
「よいしょっと。ようやく頂上・・・ってちょっと！」
「おさき」
ラウラのいる所まで登れたと思ったら、彼女は滝を滑って降りてしまった。
仕方なくヒューもそれに続いて流水に身を任せ、一気に下へ。
なかなかの爽快感だったが、バランスを崩してラウラにぶつかりそうになる。
「わわわ！」
「ん？」
思わず前に出した手に、ふにゃりとした触感。
偶然にもラウラの乳房をつかんでしまっていた。
「ご、ごめん」
「・・・・・・」
「これはその事故なわけで決してそんなつもりじゃ」
「あやまらなくていい」
「でも」
「ヒューに触られるのは、うれしい」
「え？」
「私はヒューが好きだ」
あまりにも唐突で淡々とした愛の告白に、ヒューの頭は理解するのに数秒かかる。
「好きって、ラウラが？僕を？」
「そう、好き」
ラウラはヒューに身体を押しつけ、強引に唇を奪った。
「んん・・・ちゅ・・・ちゅ・・・」
ラウラは強く唇を押しつけた後、一旦離して、また何度も何度も触れ合わせる。
ヒューを想う熱い感情がキスの度にラウラから伝わってくる。
「んちゅ・・・ラウラ、僕・・・ん」
言葉は不要とばかりに再び口をふさがれる。
状況に流されてるとは思うが、どのみちここは渓流なのだ。それが自然というもの。
意を決して、ヒューは彼女のすべすべした肩を抱き寄せた。
ひんやりとした舌が、ヒューの口内へと入ってきて激しく動き回り始めた。
「ちゅく、ちゅるっ、んちゅ、んはぁ」
舌同士がナメクジの交尾のように絡みあう。
粘膜を通じて、ラウラの気持ちが染み渡ってくるようだ。
もちろん、染み渡ってくるのはそれだけでなく、彼女の唾液も口の中いっぱいに広がる。
こくりと飲み込むと、甘く痺れるような幸福を感じた。
「ヒュー、もっと触って」
ラウラが水着の上部をはだけさせる。
すると、押さえつけられていた豊かな乳房がぽろりとあふれ出た。
ヒューの手が取られ、水着ごしでない生のおっぱいへと導かれる。
ぎこちないながらも、ヒューは胸への愛撫をはじめた。
優しく、ゆっくりと下から掬うように揉み上げる。
親指が乳首に軽く当たると、ラウラは小さく喘ぎ声を上げた。
指で乳輪から乳首の周り、そして乳頭へとじわじわと責めてみる。
「ん・・・んん・・・んふっ、あっ、ふあああん」
普段は超然としているラウラなのに、素直な反応を返すのが面白い。
こんな彼女を見られるのは自分だけと思うと、ヒューは胸がいっぱいになった。
「おかえし」
そう言って、ラウラが水中にあるヒューの股間をまさぐる。
下着の中へと手が潜り込んで来て、陰茎を掴まれた。
女の子に触られたことなどないそれは、びくんと跳ね上がってしまう。
「あっ、ちょっ、うわ」
ラウラの手の水かきが、亀頭を包み込むように刺激してくる。
水かきはぬめぬめとしていてよく滑り、未知の快感を与えてきた。
さらに指で弄られ、カリ首と鱗がざらざらとこすれあう。
ヒューはたまらず射精感を覚えた。
「ラウラ、やば、でちゃうって」
「だめ」
ぎゅっと陰茎を握られる。
「中に欲しい」
「・・・・・・うん」
ラウラが川岸の岩の上に腰掛け足を開く。
自ら股布をずらして、女性器をあらわにした。
「ヒュー、来て」
「行くよラウラ」
ヒューはその桃色の秘裂に肉棒をあてがう。
勝手が分からず、しばし悪戦苦闘したが、不意にニュルリと亀頭が穴に埋まった。
膣壁をかき分けてラウラの胎内へと侵入していく。
やがて、すっかり陰茎が彼女の中に埋没した。
「んはぁぁぁ、繋がった。ヒューと繋がった・・・」
「そう、だね。一つになってる」
ヒューがラウラを抱きしめる。
「大事なところと、大事なところ。くっついてる。すごい」
愛しさがあふれ出しているのか、ラウラの口数が多くなってきていた。
「こすって、ヒュー。あそこどうし、こすって。気持ちよくなりたい。もっと」
言われるがままに、ヒューは肉棒を前後に動かし始める。
最初は小さく、やがて大きく。
「くうぅ、とろけてる。ラウラの中、とろとろだよ」
ぬるぬるに湿った肉襞が、柔らかくもきつく陰茎を締め上げてくる。
「はぁ、はぁ、大好きだから。ヒューのこと。くちゅくちゅされると、もう」
頬を上気させ、常にない恍惚の表情を浮かべるラウラ。
二人は汗がにじみ出る肌と肌を密着させて互いを感じ合う。
「ラウラぁっ。僕も、好きだ。ものすごく好きだよっ」
激情のまま、ヒューは腰を打ち付ける。
膣壁がいっそう激しく纏わり付いてうごめく。
結合部からは、岩清水のごとく愛液がこぼれ落ちていた。
「気持ちいい。入り口も奥も全部。はあぁぁん、あそこが、嬉しいって悲鳴上げてるっ」
ラウラは蕩けきった顔で快楽の声を上げる。
普段と全く違う彼女の様子が、よりいっそうヒューの興奮を高ぶらせるのだった。
「ああんっ、好きっ、好きっ、ヒュー、好きぃっ、んああっ！」
膣奥へ突き入れるごとに、ラウラの口から愛の言葉がこぼれていく。
ヒューの中でも、彼女への愛しさは爆発寸前まで膨れあがっていた。
「僕、もうイく、イッちゃうよ。ラウラに出したいっ」
「ちょうだい、ヒューの精子、お腹の中、ちょうだいっ」
ヒューは限界になった肉棒を一番深いところまで挿入する。
そして、子宮へめがけて大量の精液を噴き出した。
「くぅぅぅぅっ、ラウラぁぁぁぁぁっっ！」
「ヒュー、ヒュー、好きぃぃぃぃぃぃっ！」
熱い精液を胎内に浴びて、ラウラもまた絶頂に至る。
膣が何度もひくついて、もっと出せ、もっと出せと締め付けてくる。
それに応えて、陰嚢の奥から絞り出すかのように、止めどなく射精は続いた。
やがて、最後の一滴まで子種を注ぎ込んだヒューは、ぎゅっとラウラを抱きしめる。
昂ぶった感情が静まると、ようやく二人は身体を離した。
精液と愛液が混ざり合ったものが、膣口から溢れて渓流へと滴り落ちる。
その白い粘液は流されるままに川下へと消えていった。
翌日。
ヒューは自宅にて昨日の出来事を思い返していた。
「ほんとびっくりしたなぁ。そんなそぶり全然なかったのに」
行為が終わると、ラウラはまた明鏡止水の無口無表情に戻ってしまった。
それじゃまた、と淡泊な挨拶だけ残して住処に帰っていった。
でも、身体を重ねた今では、彼女の内面が夏の暑さも霞むくらいの熱情に溢れているのがよくわかる。
それが全部自分に向けられているというのは、とても素敵なことに思えた。
「へへ、またすぐ会いに行きたいなぁ」
今度は町で綺麗な装飾品でも買って贈ろうか、などとニヤニヤ考えていたとき、玄関の扉をノックする音が。
「はいはい・・・あれ？ラウラ？」
扉を開けると、ラウラが大きな風呂敷包みを背負って立っていた。
彼女の方から家に来ることなど今までなかったことだ。
さらに、彼女の側には家具などが積まれた荷車が控えている。
「ど、どうしたの、そんな荷物」
「嫁入り道具」
「え？」
ラウラはヒューを指さして「旦那」、自分を指さして「嫁」と宣言する。
「ふつつか。でもよろしく」
本当にふつつかである。
「い、いくら何でも気が早いよ。そりゃ、ラウラと一緒になるのは嬉しいけど」
「なら無問題」
困惑するヒューをよそに、ラウラは荷物の搬入を始めてしまう。
ゴロゴロ転がしている巨大なたらいは自分用であろうか。
ヒューは少しだけ頭を抱え、それから腹をくくった。
「手伝うよ。苦労は二人で分かち合う、だろ」
本当に自分は流されやすい、そう苦笑しながら言う。
「幸せ。続かせる。末永く」
ラウラはヒューにしか分からないくらい、ほんのわずかに口元をほころばせるのであった。
少年の名はヒュー。この辺りの山で狩りなどをして暮らしている。
今日は仕事は休んで、お気に入りの場所へと向かう所だった。
「ふう、あっついなぁ」
ヒューはシャツの襟をつかんで、服の中に溜った熱気を逃がす。
この地域は内陸の山地だが、夏の暑さはかなり厳しい。
今いる道も木陰は多いが、木々の切れ間から降り注ぐ日差しは強烈だ。
目印の大岩のところまでくると、ヒューは道を外れ沢の斜面を下っていく。
やがて、せせらぎの音が聞こえ始め、視界が開けた。
碧く透き通った水をたたえた渓流の淵。
水源にほど近く、また流れ込み、注ぎ出る瀬の速さもそれなりにあって、付近は清浄な雰囲気に包まれていた。
「到着っと」
岸辺の平たい岩の上に腰を下ろし、ヒューはまず手を川に浸す。
指の間を心地よい冷たさの水が通り抜けていく。
そのまま水をすくい上げ、顔を洗うと人心地ついた。
靴を脱ぎ捨て、素足を放り込む。
そうして涼を取りながら、岩の上に寝転がった。
目を閉じて周囲に耳を澄ませる。
沢の音、小鳥たちのさえずり、蛙もどこかで喉を膨らませているようだ。
とそこに、ヒューのすぐ側で何かが川面から上がってきた。
「ヒュー」
「やあ、ラウラ」
瞼を開けると、しずくを長い髪から滴らせる美しい少女の姿が。
凛と整った顔立ちはほとんど無表情だ。
その手足は濃紺の鱗に包まれ、指の間には薄いけれども丈夫な膜がある。
彼女はサハギンと呼ばれる水棲の魔物だ。
この付近で魚を捕って一人で暮らしている。
「今日は？」
ラウラがぼそりと抑揚のない声で尋ねた。
「特に用事があってきたわけじゃないよ」
「そう」
数年前、この場所に迷い込み偶然彼女と出くわして以来、ヒューはちょくちょくここに来ている。
今日のように突然訪問しても、追い出されるようなことは一度も無かった。
感情をあまり表に出さないラウラだったが、ヒューのことは気に入ってくれているようだ。
「元気してた？」
「ん」
「そうそう、この前貰った川魚、焼いて食べたらおいしかったよ」
「ん」
会話と言うにはかなり一方的なやりとりだが、いつもこうなのでヒューは気にしない。
他の人となら間がもたなくなる所だが、彼女の場合は不思議と居心地がよかった。
「それにしても暑いね。ラウラなんか干からびちゃいそう」
「ん。・・・・・・ん」
何気ない言葉に反応し、突然彼女は立ち上がってヒューの腕を取った。
ぬめり気のある手の感触は、人間のものとは大きく違うが不快ではない。
むしろ女の子に触れられて、ちょっとドキドキする。
「えと、どうしたの？」
「こうすると涼しい」
と、ラウラはヒューの腕をつかんだまま淵へと飛び込んだ。
「うわぁぁぁっ！？」
世界がひっくり返り、青色に沈む。
思っていた以上に川底は深く、足を伸ばしても届かない。
水面に顔を出すと、背中側からラウラが身体を支えてくれた。
「いきなり何を･･･」
「ほら、涼しい」
悪びれもせずラウラが同意を求めてくる。
純粋に善意からの行動らしい。
「まあ、確かに気持ちいいね」
肌を撫でて流れ去る水は、温度が低く、かといって凍えるほどでもなくといったところで、真夏の沐浴にはちょうどいい。
「でも、せめて服を脱がさせて欲しかったなぁ。纏わり付いて泳ぎにくいや」
「私の服は平気」
ラウラが着ている服はサハギン族の伝統衣装で、耐水性と伸縮性のある正体不明の素材で出来ている。
水の抵抗を減らすためか、肩と太ももは大きく露出しておりピッチリと身体に張り付いていた。
そんな身体のラインが強調された少女に密着されているのだ。
「と、とりあえず一旦上がるよ」
ヒューは渓流に浸かっているにもかかわらず、首から上が熱くなってくるのを感じた。
下着だけになり、改めてヒューは川遊びに興じ始める。
「ついてこれる？」
ラウラはそう言って、淵を上流へ向かって泳ぎ出した。
鰭のある尻尾を力強く振り、あっという間に遠ざかってしまう。
その運動力に感嘆しながら、ヒューは後を追う。
少し川を遡ると、人の倍の背丈くらいある小さな滝があった。
垂直に水が落ちているのではなく、急斜面を結構な量の水が流れている。
ラウラは岩肌にとりついて、器用にするすると登っていく。
「よし僕も･･･おっとと」
ヒューも狩りでは岩をよじ登ったりすることが多いので軽く見ていたが、流れの抵抗があって案外難しい。
それに、滝の中央部は急流で磨かれツルツルになっており、手足をかけられる場所が少なかった。
「ヒュー、いけるか？」
かけられた声に見上げると、ラウラがこちらを睥睨している。
特に表情はないのだが、なぜだかヒューには彼女が得意げに見えた。
見てろよ、とヒューは力任せに滝の端のごつごつした部分を登ってゆく。
「よいしょっと。ようやく頂上・・・ってちょっと！」
「おさき」
ラウラのいる所まで登れたと思ったら、彼女は滝を滑って降りてしまった。
仕方なくヒューもそれに続いて流水に身を任せ、一気に下へ。
なかなかの爽快感だったが、バランスを崩してラウラにぶつかりそうになる。
「わわわ！」
「ん？」
思わず前に出した手に、ふにゃりとした触感。
偶然にもラウラの乳房をつかんでしまっていた。
「ご、ごめん」
「・・・・・・」
「これはその事故なわけで決してそんなつもりじゃ」
「あやまらなくていい」
「でも」
「ヒューに触られるのは、うれしい」
「え？」
「私はヒューが好きだ」
あまりにも唐突で淡々とした愛の告白に、ヒューの頭は理解するのに数秒かかる。
「好きって、ラウラが？僕を？」
「そう、好き」
ラウラはヒューに身体を押しつけ、強引に唇を奪った。
「んん・・・ちゅ・・・ちゅ・・・」
ラウラは強く唇を押しつけた後、一旦離して、また何度も何度も触れ合わせる。
ヒューを想う熱い感情がキスの度にラウラから伝わってくる。
「んちゅ・・・ラウラ、僕・・・ん」
言葉は不要とばかりに再び口をふさがれる。
状況に流されてるとは思うが、どのみちここは渓流なのだ。それが自然というもの。
意を決して、ヒューは彼女のすべすべした肩を抱き寄せた。
ひんやりとした舌が、ヒューの口内へと入ってきて激しく動き回り始めた。
「ちゅく、ちゅるっ、んちゅ、んはぁ」
舌同士がナメクジの交尾のように絡みあう。
粘膜を通じて、ラウラの気持ちが染み渡ってくるようだ。
もちろん、染み渡ってくるのはそれだけでなく、彼女の唾液も口の中いっぱいに広がる。
こくりと飲み込むと、甘く痺れるような幸福を感じた。
「ヒュー、もっと触って」
ラウラが水着の上部をはだけさせる。
すると、押さえつけられていた豊かな乳房がぽろりとあふれ出た。
ヒューの手が取られ、水着ごしでない生のおっぱいへと導かれる。
ぎこちないながらも、ヒューは胸への愛撫をはじめた。
優しく、ゆっくりと下から掬うように揉み上げる。
親指が乳首に軽く当たると、ラウラは小さく喘ぎ声を上げた。
指で乳輪から乳首の周り、そして乳頭へとじわじわと責めてみる。
「ん・・・んん・・・んふっ、あっ、ふあああん」
普段は超然としているラウラなのに、素直な反応を返すのが面白い。
こんな彼女を見られるのは自分だけと思うと、ヒューは胸がいっぱいになった。
「おかえし」
そう言って、ラウラが水中にあるヒューの股間をまさぐる。
下着の中へと手が潜り込んで来て、陰茎を掴まれた。
女の子に触られたことなどないそれは、びくんと跳ね上がってしまう。
「あっ、ちょっ、うわ」
ラウラの手の水かきが、亀頭を包み込むように刺激してくる。
水かきはぬめぬめとしていてよく滑り、未知の快感を与えてきた。
さらに指で弄られ、カリ首と鱗がざらざらとこすれあう。
ヒューはたまらず射精感を覚えた。
「ラウラ、やば、でちゃうって」
「だめ」
ぎゅっと陰茎を握られる。
「中に欲しい」
「・・・・・・うん」
ラウラが川岸の岩の上に腰掛け足を開く。
自ら股布をずらして、女性器をあらわにした。
「ヒュー、来て」
「行くよラウラ」
ヒューはその桃色の秘裂に肉棒をあてがう。
勝手が分からず、しばし悪戦苦闘したが、不意にニュルリと亀頭が穴に埋まった。
膣壁をかき分けてラウラの胎内へと侵入していく。
やがて、すっかり陰茎が彼女の中に埋没した。
「んはぁぁぁ、繋がった。ヒューと繋がった・・・」
「そう、だね。一つになってる」
ヒューがラウラを抱きしめる。
「大事なところと、大事なところ。くっついてる。すごい」
愛しさがあふれ出しているのか、ラウラの口数が多くなってきていた。
「こすって、ヒュー。あそこどうし、こすって。気持ちよくなりたい。もっと」
言われるがままに、ヒューは肉棒を前後に動かし始める。
最初は小さく、やがて大きく。
「くうぅ、とろけてる。ラウラの中、とろとろだよ」
ぬるぬるに湿った肉襞が、柔らかくもきつく陰茎を締め上げてくる。
「はぁ、はぁ、大好きだから。ヒューのこと。くちゅくちゅされると、もう」
頬を上気させ、常にない恍惚の表情を浮かべるラウラ。
二人は汗がにじみ出る肌と肌を密着させて互いを感じ合う。
「ラウラぁっ。僕も、好きだ。ものすごく好きだよっ」
激情のまま、ヒューは腰を打ち付ける。
膣壁がいっそう激しく纏わり付いてうごめく。
結合部からは、岩清水のごとく愛液がこぼれ落ちていた。
「気持ちいい。入り口も奥も全部。はあぁぁん、あそこが、嬉しいって悲鳴上げてるっ」
ラウラは蕩けきった顔で快楽の声を上げる。
普段と全く違う彼女の様子が、よりいっそうヒューの興奮を高ぶらせるのだった。
「ああんっ、好きっ、好きっ、ヒュー、好きぃっ、んああっ！」
膣奥へ突き入れるごとに、ラウラの口から愛の言葉がこぼれていく。
ヒューの中でも、彼女への愛しさは爆発寸前まで膨れあがっていた。
「僕、もうイく、イッちゃうよ。ラウラに出したいっ」
「ちょうだい、ヒューの精子、お腹の中、ちょうだいっ」
ヒューは限界になった肉棒を一番深いところまで挿入する。
そして、子宮へめがけて大量の精液を噴き出した。
「くぅぅぅぅっ、ラウラぁぁぁぁぁっっ！」
「ヒュー、ヒュー、好きぃぃぃぃぃぃっ！」
熱い精液を胎内に浴びて、ラウラもまた絶頂に至る。
膣が何度もひくついて、もっと出せ、もっと出せと締め付けてくる。
それに応えて、陰嚢の奥から絞り出すかのように、止めどなく射精は続いた。
やがて、最後の一滴まで子種を注ぎ込んだヒューは、ぎゅっとラウラを抱きしめる。
昂ぶった感情が静まると、ようやく二人は身体を離した。
精液と愛液が混ざり合ったものが、膣口から溢れて渓流へと滴り落ちる。
その白い粘液は流されるままに川下へと消えていった。
翌日。
ヒューは自宅にて昨日の出来事を思い返していた。
「ほんとびっくりしたなぁ。そんなそぶり全然なかったのに」
行為が終わると、ラウラはまた明鏡止水の無口無表情に戻ってしまった。
それじゃまた、と淡泊な挨拶だけ残して住処に帰っていった。
でも、身体を重ねた今では、彼女の内面が夏の暑さも霞むくらいの熱情に溢れているのがよくわかる。
それが全部自分に向けられているというのは、とても素敵なことに思えた。
「へへ、またすぐ会いに行きたいなぁ」
今度は町で綺麗な装飾品でも買って贈ろうか、などとニヤニヤ考えていたとき、玄関の扉をノックする音が。
「はいはい・・・あれ？ラウラ？」
扉を開けると、ラウラが大きな風呂敷包みを背負って立っていた。
彼女の方から家に来ることなど今までなかったことだ。
さらに、彼女の側には家具などが積まれた荷車が控えている。
「ど、どうしたの、そんな荷物」
「嫁入り道具」
「え？」
ラウラはヒューを指さして「旦那」、自分を指さして「嫁」と宣言する。
「ふつつか。でもよろしく」
本当にふつつかである。
「い、いくら何でも気が早いよ。そりゃ、ラウラと一緒になるのは嬉しいけど」
「なら無問題」
困惑するヒューをよそに、ラウラは荷物の搬入を始めてしまう。
ゴロゴロ転がしている巨大なたらいは自分用であろうか。
ヒューは少しだけ頭を抱え、それから腹をくくった。
「手伝うよ。苦労は二人で分かち合う、だろ」
本当に自分は流されやすい、そう苦笑しながら言う。
「幸せ。続かせる。末永く」
ラウラはヒューにしか分からないくらい、ほんのわずかに口元をほころばせるのであった。
12/08/13 20:04更新 / スノッリ