みなさんこんにちは。アルラウネのタニアルです。今日はキレイなお花がたくさん咲いたのでケルトさんにおすそわけに来ました。会える理由が出来て嬉しいです。
ガチャ……カランカラン
「おはようござ……います?」 いえ、いません。赤々と燃える炉だけでケルトさんはいませんでした。
「……?」 不思議に思ってお店の外に出てみます。扉を見てみると……。
『closed』
「あ……」 思えば今日は定休日でした……。どうしましょう? 出直しますか……?
「ん?」 何か聞こえますね……裏庭の方でしょうか?
気になったので裏庭に回ります。そこには……
「ふっ! せいっ!」
キィン! カァン!
「ぬっ……はぁっ!」
コォン! ガキッ!
汗を流しながら剣を打ち合うケルトさんとガルザさんがいました。
「ふー……ふー……」 「ぜぇ……ぜぇ……」
ケルトさんの凛々しい横顔……剣を握る手に浮かび上がる血管……とってもかっこいいです。
ジャリ……
「「?」」 「あっ……?」 足音を立ててしまいました。2人も中断してこっちを向いています。
「タニアルか、少し驚いたぞ」 「ケルト、とりあえず汗を拭け。 すごい事になってるぞ」 「ああ、そっか。 悪い、少し待っててくれ」
汗に濡れた髪を押えながら、ケルトさんは井戸の方へと向かって行きました。
「待たせたな。 まぁ部屋入れよ」 体中にまとわりつく汗を軽く流した後、タニアルのもとに戻った僕は、とりあえず部屋に招き入れる事にした。ついでにガルザも。
「はい。 お邪魔しますね」
「で、朝早くからどうしたんだ? 朝稽古の途中ってそこそこ早いぞ」 日が昇ってまだ1時間ほどしか経ってない。 今日は定休日だから関係ないが、まだ店も開けていない時間帯だ。
「あのですね、キレイなお花がたくさん咲いたので持ってきました。 良ければどうぞ」 「む、花か……」 以前のリアさんの一件があるから少しだけ手を伸ばすのを躊躇ってしまう。
「あ、御迷惑でしたか?」 「い、いや。 どこに飾ろうか考えてたんだよ。 ありがとう」 危ない危ない、タニアルを不安にさせるところだった。
「お茶が入ったぞ。 2人とも」 そこで、トレイに3人分の茶器を載せたガルザが台所の方からやってきた。
「悪いな。 本来僕がやるべきなのに」 「気にするな。 俺に用はないみたいだし、お前が相手する方がいいだろ」 言いながらカップを僕らの前に並べていく。コイツにはもう、僕の家は全て把握されているのだろうな。ティースプーンからハチミツまでそろってやがる。
「これからはどうする?」 今の気分はハチミツよりもジャムなのでマーマレードをカップに落としてティースプーンでくるくるしながら目の前に座る2人に話を振ってみる。
「俺はこのあとは家で昼寝だな。 今日は非番だからのんびりできる」 色々持ってきた割には完全にストレート派なガルザは完全に休日を満喫するようだ。
「わたしは特に決まってません。 御迷惑でなければ……ケルトさんと一緒にいたいです(できればずっと……)」 紅茶のような赤い顔でそう言ってきたのはタニアル。思わず僕の顔が熱くなってしまった……。
「じゃ、じゃあ……買い物付き合ってくれるか? 定休日は基本そうなんだ」 「はい、御一緒させてもらいますね」
「「…………えへへ」」
「俺は……お邪魔なのか?」
僕が言うのもアレだが、ガルザがとてつもなく居心地の悪そうな顔をしていた。
|