カランコロン……
「ありがとうございました〜♪」ブンブン
「また来るからね、今度は他の奴も一緒に」
「フォーシーズン」を出て、空を見るといい具合に茜色だった。街の活気も少し落ち着き、みんながみんな、夜に向けての準備にかかっているようだ。雑貨屋はもう店じまいだし、酒場はこれからが稼ぎ時だろう。
「さて……と、はい」
すっ……
「? 手……ですか?」 「あれ? 今日一杯は繋ぐものだと思ってたんだけどな……」 「あ、ああ! そうですね!」
きゅっ
(どうせなら……腕組みたかったなぁ……) (これで……腕を組むのは防いだぞ! ナイス僕!)
「どうするかな……タニアルはなにしたい?」 「どうしましょうね……? あっ、あそこ行きませんか? 河原!」 「河原か……いいな。 行こうか」
夕暮れの河原は夕日が川に反射してとても美しい、僕もよく配達の帰りや鉱石採掘の帰りに寄って行く。
「じゃあ行きましょう♪ 日が沈んじゃいます」
タニアルは駆け足を始めた。…………僕の手を握ったまま。
「って! 僕まで走るのかよ!!」
左手に持った革の買い物袋(エコバック)が足にゴンゴン当たってすごく痛い……! でも止まれない……!
「ほわぁ……キレイですね。 とっても」 「そ、そうだな…………いつ見てもここの夕日はキレイだね……」サスサスサスサスサスサス……
この時間は川が茜色に見える……のはいいけど足が痛ぃいいい!!
「きょ、今日は楽しかった。 少し恥ずかしかったけど……」サスサスサスサス……
とりあえず間を持たせるために会話を繋ぐ、手は発火しそうな勢いで足をさすってるけど。
「わたしもとっても楽しかったです。 ケルトさんの休日をもらっちゃいましたけど……」 「それは気にしなくていいぞ? 僕もタニアルの1日を貰ったわけだし(やっと痛み引いた)」
「………………」 「……? タニアル?」
うつむいて……どうしたんだ?
「…………えいっ♪」 「むぐっ!? む……む……」 「ん……ふぅ……ふぁ……」
タニアルのキスは……いつも突然だな。
「ケルトさん……ドキドキしてます?」 「あ、ああ……」
頭がボーっとしてるほどだ。
「わたしもです……こんな気持ちになった事ないから……」 「タニアル……」 「わたしは……魔物です。 あなたは……人間です……それでも……それでも…………!!」
「タニア……」
ドガッ!!!
へ? 何かぶつかった?
「うぉわぁああああああああ!!!???」
すごいぞ!僕いま飛んでる!空中を身体をひねりながら非常に不格好に飛んでる!!
ザッパーーン!!!
あ、僕いま川に落ちたな。
「け、ケルトさんだいじょう……「すみませーん!! 大丈夫ですかー!!??」
タニアルとは別の声があったので身体を起こしてみるとタニアルの隣で一人の少女が心配そうに僕を見下ろしていた…………。
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