連載小説
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疑問

「名前、ですか・・・・・・。」

「そう、名前だ。」
 
美弥は驚いたように耳をピンと立てた。
やはり名前を教えたのに俺が操られていないのが不思議なのだろう。

「・・・・・・結婚してるんですか。」
何故かしょんぼりとする美弥。尻尾と耳がたれていて可愛い。
「いや、してねーよ。」
 残念ながら、あんな美女とおれは不釣り合いである。
「あ、そうなんですか?」
 彼女の顔が明るくなる。これもまた可愛い。

 何というか、如月とは違う、少し幼い可愛さがこの彼女にはあるようだった。

「・・・・・・でも、おかしいですね。」
「そうだろ?」
肯定を求める。


「名前を知っているのなら相手を操って行為まで持ち込めるのに。」

「そっちか!?」
驚愕。やはり妖の本能は何もかもをそちらの方向に引き込む才能があるらしい。

「え?そっちではないのですか?」
「ちげーよ。」
とぼけんじゃねーぞ、この色ボケ糞狐め、と言ってやりたかったけど、泣かれたら困るので止めておく。

「はぁ。」
美弥が溜息をつく。こっちが溜息をつきたいくらいだ。

「・・・・・・おバカさんなんですね、如月さんって。私なら名前を聞いた瞬間に操って・・・・・・布団の中で・・・・・・ムフフフフ、ウヘヘ。」

「そっち方面から離れろッッ!!離れるんだッッ!!」
心の叫びを開放する。

「あんなことや、こんなことを・・・・・・わたしの******で貴方の***を・・・・・・。」(自主規制)

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
心の叫びではなくリアルに叫んだ。
命の危険を感じたためだ。









「・・・・・・まぁ、如月さんが敵だとしたら、もうあなたは此処に居ないはずなんですよね・・・・・・。」
 此処にいるのは奇跡、と美弥は付け加える。
「・・・・・・いや、お前と布団の中にいて、生きている事が奇跡だろう。」
嘆く。こんな変態にまだ犯されていないのは奇跡だ。

「それは私と貴方が運命の糸で結ばれていたという解釈でよろしいでしょうか?」
 ・・・・・・意味が分からない。

「違うッッ!!断じて違うッッ!!」
 また叫ぶ。どいつもこいつもんあんでこんな話しか出来んのだ。

「だって、貴方は『あの空の星の数ほどいる妖の中で、お前とこうして居られるのは奇跡だ』と仰ったじゃないですかぁ〜〜。」
 美弥は頬を膨らませる。
 多分、今の美弥の脳内では

       『二人で布団の中=結ばれた二人=奇跡』

という理不尽かつ意味不明な不等式が成り立っているのだろう。

どいつもこいつも、何でこんな話しか出来んのだろうか。やっぱり呆れた。



「・・・・・・まあ、貴方がこうしてまだ敵になって居ないのなら、信じてもいいんじゃないですか?如月さんの事。」

「・・・・・・。」

「私は貴方の事が好きだから、貴方の言う事には従順に従いますし、なんなら縛られてあげてもいいですよ?」

「・・・・・・は?」
俺が好き?意味が分からない。

「だから、貴方の想うことには口出ししませんし、主様の意に反する事は致しませんのよ?」

「・・・・・・は?」
今何て言った?主様って言わなかったか?


「これから宜しくお願いします、主様!」

「はぁあああああああ!?」

「え?『契約ノ儀』はもう済んだじゃないですか!何を言っているんです!?」

「オマエコソナニイテマスカ」
 驚きすぎてカタコトにナテシマタ。いかん、あごが外れる。

「だってぇ〜『契約ノ儀』は「秘密の共有」を主として展開した口約束の契りですよ?場所の指定は有りませんし、時間の指定もありませんからぁ〜。」

目の前の糞狐が語尾を伸ばして駄々をこねる幼児の様に喋る。
ほほでもつねってやろうか、コイツ。

「へふはは、あははほひひふへはふ、「ふふふひはふ」ほはいほうほおほへへへひはひほひふひひふほははひひほひひひっへひはっははへひはふほうひへひはっはふはほふほふほひはへふははひほひほひはほふひほふほはひほほはほへふ。(笑)」

(訳:ですから、貴方の秘密である「呪術規範」の内容を覚えていないという秘密を私一人に言ってしまったために発動してしまった不可抗力と言われる私の意図したどうしようもない事なのです(笑))

何だこいつ、ほほをグニグニつねられて笑ってやがる。
しかも、『ははひほひほひはほふひほふほはひほほはほへふ』と言いやがる。策士だ、こいつ。

「・・・・・・まあいいや。如月とて、二人の妖狐にたいして同時に魔力干渉出来るはずがない。明日、葉月と一緒に俺の家へ帰るぞ。」

「・・・・・・ぶぅ〜〜。」
 美弥が膨れる。
「・・・・・・何か不満か?」
 俺は顔面風船狐の頭を撫でながら不服を受け入れようとした。





「・・・・・・私は稲荷ですっっ!」
 ぷんぷんとすねる美弥。


「あ・・・・・・。こりゃ失敬。」
 謝罪。
12/07/16 19:15更新 / M1911A1
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■作者メッセージ
わーい。

なんか気がむいたからこうしんしたよー。

あははー

たぶんあしたは大雪だねー。

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