連載小説
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回復・・・・・・?
「回復役候補を連れてきましたァァァァーーー!!」
 スパァァァーーンと大きな音が保健室に響く。そしてその音の続いて、扉が跳ね返って閉じる音が聞こえてきた。彼女はその事を考えられなかったのだろうか?
「君、怪我人が居るんだから静かにしなさい。」ダークエルフのHCの先生が注意をする。
 
 このダークエルフの先生は、俺の応急手当てを担当した先生だ。その時の包帯の巻き方がキツ過ぎて痕になったのを覚えている。
 多分根はいい人なんだろうけど、苛めたくなる本能がそうさせたのだろう。これじゃあ保健室登校なんてしたら逆に精神を病む人が増えるかもしれないけど、手当てはしっかりしていたからよしとしよう。

「はい、すみません。」
申し訳なさそうに謝る如月の声が聞こえる。・・・・・・やっぱり彼女か。
 そう推測できたのは多分、如月が毎日の様にお見舞いに来てくれていたからであろう。
 いつも彼女は、『お弁当持ってきました!!』とか『今日とったノートです!!』とか『貴方の刀の手入れをしておきました!!』とか色々と世話を焼いてくれている。俺自身、刀なんて使う事は授業以外で無いから手入れの必要はない気がするが。

「シャーーーーーー」っと静かな音を立てて開くカーテン。ここは自重したようだった。

「班長!!班長は童貞ですか!?」
「はぁ!?」
 何言ってやがるコイツは!?春の陽気にやられたか!?いや、春だから発情期なのか!?
「お前何言ってんの!?」
「え・・・・・・あ!?申し訳ありません!!あ、あの、私・・・・・・。」
 だんだんと言葉が尻すぼみになり、如月が恥ずかしそうに身をよじらせる。その一部始終を聞いていたHCの先生がクスクスと笑っているのも聞こえる。
 とても恥ずかしい事は彼女を見れば分かる。耳はぺたんと伏せているし、尻尾も縮こまってくねくねと動いている事からだ。
「いや、あの、私・・・・・・回復役の方が・・・・・・。」
 人のせいにする如月。その行為は愚かなものであるが、何処かそれが可愛らしく見える。
「・・・・・・あ、そういうことか!!」

  『回復魔法+童貞=ユニコーン』

そんな式が頭の中で展開された。
 ・・・・・・でも、そうするとユニコーンさんは俺を狙ってる事になるけど!?
 まあいいや、この怪我で単位を落とせば留年、背に腹は代えられないわけだし。
 
「あ、理解されました?では登場です回復役の『トワロ・ムル・エリス』さんでーす!!」
 カーテンの影から下半身が馬になった人物が現れる。如月の口調が何処かの司会者じみているのは敢えてスルーしておく。
「どうも、御機嫌よう。」
 淑女の様な挨拶。さすがは・・・・・!?

「・・・・・・なんで??」

唖然とした。驚愕した。ビックリした。

だってそこから現れたのはバイコーンであったからだ。
12/07/27 11:58更新 / M1911A1
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■作者メッセージ
トワロ・ムル・エリス

 主人公と同じ班であり、魔法が得意。回復役。
 実訓で行動を共にする。
 色々と企んでいる事が多い。
 母がバイコーンである為、バイコーンとして生まれる。
 不純の存在というのが不服であるらしい。
 心はユニコーン。


どうも、M1911A1です。

今回は短いですが楽しんでくださったらいいなぁと思っています。

はい。

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