朝蜘蛛は…
「イ、イヤ、ちがう…、
イヤッ…、イヤァァぁぁぁっ!!」バッ!!
急に手を払われ、飯田は一目散に屋上から出て行く。
「お、おい!!」
という静止の言葉と、授業の終わりを告げるチャイムが良く晴れた青空に消えていった。
「健司!!」
「おお、丁度良かった。さっき先生がお前と飯田に特別かだ「んなことはどうでもええねん!!
飯田見いひんかったか!?」
「見てねえけど…」
「そうか」
教室には来てないようやな…
ホンマ、どこに行きよってん!?
「なぁ、康太」
「なんや!?今忙しいねんけど!?」
「もしかして、飯田を探してるのか?」
「もしかせんでも、わからんか!?」
「いや、わかんねえよ。
いつも目の前の女の尻しか追っかけ回さなかったし、お前って気に食わない奴は無視してたじゃん。
それにお前がそんなに焦ってる姿も初めて見た。」
…そうや
何でワイはこんな焦って飯田を探してんねん?
気になってたこともわかったし、もう用なんてないやろ
「飯田って綺麗だよな」
「は?」
「恐らくはファンクラブがあるから月のない夜道には気を付けろよ」
「なんやそれ、まるでワイが飯田をねらっ…」
…ああ、そうか
今すっごいしっくりきたわ
はぁ、ワイも健司のこといわれへんやんけ
「康太」
「なんや」
「頑張れよ」
「…おうよ!!」
そう言って教室をあとにした。
〜〜〜〜〜
「……」
トイレにずっと引きこもったあと手袋を取りに夕日が射す教室へと入る
椅子に掛かった手袋はまだ湿っていたけど構わずに着けた。
早く帰ればいいものをアタシは窓際の彼の席に座る。
「……」
ぼんやりと肘をついて眺めたグランドには運動部が砂を均していた。
『たとえ皆がお前から離れても、ワイは側にいたる。』
「……」
嬉しかった。
誰にも言われたことない台詞
それもそのはず、アタシはずっとずっと隠してきたから
でも、彼…いや、康太は気付いてくれた
本当のアタシに
化け物のアタシに
『大丈夫っ!?』ガッ
『痛っ!!』
『ご、ごめん、強く握っちゃた…。
で、なんでそんなにボロボロなの!?』
『あなたの…
あなたのせいでこうなったのよ!?この化け物!!』
『えっ…、ど、どうしたの急に…』
『どうしたのじゃないわ!!
皆によってたかっていじめられたのよ!!
化け物の手下って言われながらね!!』
『そんな酷いことを…。
でも、ちーちゃんまでそんなこと言わなくてもいいでしょ…?
』
『それなら何でいつも無愛想に椅子に座ってるの!?
何で人にものを言うときに私を使うの!?
何で私以外に友達を作ろうと努力しないの!?』
『え、それはだって…』
『あなたは何時もそう。
何も自分は悪くないと言い訳する。
はっきり言ってウザイのよ。
…そうね、あなたがいくら愛想良く振る舞っても友達なんてできやしないわ。出来たとしても、本当のあなたを知ったら離れていくでしょうね。
あなたって卑怯だもの。』
『…で、でも、ちーちゃんは一緒にいてくれるよね?ね?
』ガシッ
『痛、痛いいたいいたいいたいいたいっ!!
誰か!!誰か助けて!!
化け物に襲われて……
「そうよ、アタシは化け物…」
ぽつりと漏れた一言が悲しくて、冷たい手袋があの時の康太のぬくもりを奪っていく気がした。
「…それ以前にお前は飯田八重やろ」
〜〜〜〜〜
どこを探しても見つからなくてダメ元で教室に戻ってみると飯田がいた。
その姿はとても美しく、儚くて、心を痛めるもので、声をかけるのを忘れてしまうほどだった。
「そうよ、アタシは化け物…」
と飯田は独り言のように呟いた。
「…それ以前にお前は飯田八重やろ」
と考える前に口に出していた。
その瞬間、バッとこちらを向いて立ち上がった。
「…いつからいたの?」
「今来たとこや」
と教室に足を踏み入れる。
「来ないで!!」
急に飯田は声を荒げた。
「イヤぁ、側にいるって約束したし」
わざとおどけたように言う。
「笑顔と手袋で取り繕ったアタシにならいくらでも側にいていいから!!
本当の…、化け物のアタシに近寄らないで!!」
無視して歩み寄っていく。
「お願いだから…
あなたには、康太には離れて欲しくないの…っ!」
「だったら、なおさら離れられへんな」
今にも泣きそうな飯田をぎゅっと抱き締めて言った。
「ワイは、飯田を離さない」
「っ…!?………ぐすっ…ぐすっ…」
だんだんすすり泣きが大きくなり、しまいには大声で泣きじゃくった。
「……ふぁ〜あ。
……?…はっ!!」
いつの間にか寝てしまっていた。
横には飯田が寝ている。
ああ、そうや
泣き疲れて寝てしまった飯田を起こすのが忍びなくて教室の後ろまで運んで寝かせたら、ワイも走り回ってしんどかったから寝てしもたんやった
「オイ、起きろ」
「…ぅう〜ん、……?
……はっ!!」
反応がワイと一緒やんけ…
「起きたか?」
「…う、うん」
「もう大丈夫か?」
「…うん///」
「飯田のこと好きやねんけど、付き合ってくれへんか?」
「うん…って、ええぇぇええっ!!??
軽くない!?」
「いや、さっきから肯定しかしてへんからあわよくばと」
「そ、そういうのズルくない…?///」
「で、どうなんや?」
ここだけの話しビビりまくりや。
「…アタシって化け物だよ?」
「魔物ではあるな」
「アタシってあんまり魅力ないよ?」
「学園2位に輝いたお前が言うな」
因みに1位は西田である。
「アタシって…、卑怯…だよ?」
「卑怯なやつにさっきズルいって言われたワイはもっと卑怯やな?」
「アハハッ、それもそうだね」
「なんや、笑えるんやんけ」
「え?…あっ!!」
「…そ、その、可愛いかった…で?」
「あ、ありがとぅ…///」
最後のほうは余り聞こえなかった。
「で、側にいて…ええか?」
「…うん///」
い、よおっしゃああぁぁああぁ!!
「絶対、離れないでね?」
「当たり前やんけ、離すもんか」
「ありがとうね…、康太っ!!///」
そう言った時の飯田の笑顔は朝日に関係なく輝いて見えた。
「おはよう、八重」
「沙耶ちゃん、おっはよう!昨日はちゃんと甘えられたかな?」
「ば、バカなこと言わないでっ!!///」
「うーん、ちょっとだけかな?
もっとアタックしていこうよ!」
「八重!!///……ねぇ、あなた変わった?何かこう柔らかくなった気がする」
「女は一晩で変われるものよ。」
「え!?まさか、あなた彼氏がで「貴様もかぁぁあ!!清水と同様に始末してくれるわあ!!」
「や、八重!!助けてくれっ!!」
風紀委員長に追われているのか渡部が逃げてきた。
「康太!こっち!」
といつの間にか窓枠に乗っている八重が手をのばす。
「あらよっと!」
渡部が八重の手を掴むと二人は窓から出て、スルスルっとエレベーターのように上がっていった。
「くそっ!!逃がしたか!!」
遅れてきた風紀委員長であるリザードマンが地団駄を踏む。
「ねぇ、康太」
「なんや?」
「…好きよ///」
「ワイもや」
こうして二人が風紀委員会公認のカップルになるのはまた別のお話。
イヤッ…、イヤァァぁぁぁっ!!」バッ!!
急に手を払われ、飯田は一目散に屋上から出て行く。
「お、おい!!」
という静止の言葉と、授業の終わりを告げるチャイムが良く晴れた青空に消えていった。
「健司!!」
「おお、丁度良かった。さっき先生がお前と飯田に特別かだ「んなことはどうでもええねん!!
飯田見いひんかったか!?」
「見てねえけど…」
「そうか」
教室には来てないようやな…
ホンマ、どこに行きよってん!?
「なぁ、康太」
「なんや!?今忙しいねんけど!?」
「もしかして、飯田を探してるのか?」
「もしかせんでも、わからんか!?」
「いや、わかんねえよ。
いつも目の前の女の尻しか追っかけ回さなかったし、お前って気に食わない奴は無視してたじゃん。
それにお前がそんなに焦ってる姿も初めて見た。」
…そうや
何でワイはこんな焦って飯田を探してんねん?
気になってたこともわかったし、もう用なんてないやろ
「飯田って綺麗だよな」
「は?」
「恐らくはファンクラブがあるから月のない夜道には気を付けろよ」
「なんやそれ、まるでワイが飯田をねらっ…」
…ああ、そうか
今すっごいしっくりきたわ
はぁ、ワイも健司のこといわれへんやんけ
「康太」
「なんや」
「頑張れよ」
「…おうよ!!」
そう言って教室をあとにした。
〜〜〜〜〜
「……」
トイレにずっと引きこもったあと手袋を取りに夕日が射す教室へと入る
椅子に掛かった手袋はまだ湿っていたけど構わずに着けた。
早く帰ればいいものをアタシは窓際の彼の席に座る。
「……」
ぼんやりと肘をついて眺めたグランドには運動部が砂を均していた。
『たとえ皆がお前から離れても、ワイは側にいたる。』
「……」
嬉しかった。
誰にも言われたことない台詞
それもそのはず、アタシはずっとずっと隠してきたから
でも、彼…いや、康太は気付いてくれた
本当のアタシに
化け物のアタシに
『大丈夫っ!?』ガッ
『痛っ!!』
『ご、ごめん、強く握っちゃた…。
で、なんでそんなにボロボロなの!?』
『あなたの…
あなたのせいでこうなったのよ!?この化け物!!』
『えっ…、ど、どうしたの急に…』
『どうしたのじゃないわ!!
皆によってたかっていじめられたのよ!!
化け物の手下って言われながらね!!』
『そんな酷いことを…。
でも、ちーちゃんまでそんなこと言わなくてもいいでしょ…?
』
『それなら何でいつも無愛想に椅子に座ってるの!?
何で人にものを言うときに私を使うの!?
何で私以外に友達を作ろうと努力しないの!?』
『え、それはだって…』
『あなたは何時もそう。
何も自分は悪くないと言い訳する。
はっきり言ってウザイのよ。
…そうね、あなたがいくら愛想良く振る舞っても友達なんてできやしないわ。出来たとしても、本当のあなたを知ったら離れていくでしょうね。
あなたって卑怯だもの。』
『…で、でも、ちーちゃんは一緒にいてくれるよね?ね?
』ガシッ
『痛、痛いいたいいたいいたいいたいっ!!
誰か!!誰か助けて!!
化け物に襲われて……
「そうよ、アタシは化け物…」
ぽつりと漏れた一言が悲しくて、冷たい手袋があの時の康太のぬくもりを奪っていく気がした。
「…それ以前にお前は飯田八重やろ」
〜〜〜〜〜
どこを探しても見つからなくてダメ元で教室に戻ってみると飯田がいた。
その姿はとても美しく、儚くて、心を痛めるもので、声をかけるのを忘れてしまうほどだった。
「そうよ、アタシは化け物…」
と飯田は独り言のように呟いた。
「…それ以前にお前は飯田八重やろ」
と考える前に口に出していた。
その瞬間、バッとこちらを向いて立ち上がった。
「…いつからいたの?」
「今来たとこや」
と教室に足を踏み入れる。
「来ないで!!」
急に飯田は声を荒げた。
「イヤぁ、側にいるって約束したし」
わざとおどけたように言う。
「笑顔と手袋で取り繕ったアタシにならいくらでも側にいていいから!!
本当の…、化け物のアタシに近寄らないで!!」
無視して歩み寄っていく。
「お願いだから…
あなたには、康太には離れて欲しくないの…っ!」
「だったら、なおさら離れられへんな」
今にも泣きそうな飯田をぎゅっと抱き締めて言った。
「ワイは、飯田を離さない」
「っ…!?………ぐすっ…ぐすっ…」
だんだんすすり泣きが大きくなり、しまいには大声で泣きじゃくった。
「……ふぁ〜あ。
……?…はっ!!」
いつの間にか寝てしまっていた。
横には飯田が寝ている。
ああ、そうや
泣き疲れて寝てしまった飯田を起こすのが忍びなくて教室の後ろまで運んで寝かせたら、ワイも走り回ってしんどかったから寝てしもたんやった
「オイ、起きろ」
「…ぅう〜ん、……?
……はっ!!」
反応がワイと一緒やんけ…
「起きたか?」
「…う、うん」
「もう大丈夫か?」
「…うん///」
「飯田のこと好きやねんけど、付き合ってくれへんか?」
「うん…って、ええぇぇええっ!!??
軽くない!?」
「いや、さっきから肯定しかしてへんからあわよくばと」
「そ、そういうのズルくない…?///」
「で、どうなんや?」
ここだけの話しビビりまくりや。
「…アタシって化け物だよ?」
「魔物ではあるな」
「アタシってあんまり魅力ないよ?」
「学園2位に輝いたお前が言うな」
因みに1位は西田である。
「アタシって…、卑怯…だよ?」
「卑怯なやつにさっきズルいって言われたワイはもっと卑怯やな?」
「アハハッ、それもそうだね」
「なんや、笑えるんやんけ」
「え?…あっ!!」
「…そ、その、可愛いかった…で?」
「あ、ありがとぅ…///」
最後のほうは余り聞こえなかった。
「で、側にいて…ええか?」
「…うん///」
い、よおっしゃああぁぁああぁ!!
「絶対、離れないでね?」
「当たり前やんけ、離すもんか」
「ありがとうね…、康太っ!!///」
そう言った時の飯田の笑顔は朝日に関係なく輝いて見えた。
「おはよう、八重」
「沙耶ちゃん、おっはよう!昨日はちゃんと甘えられたかな?」
「ば、バカなこと言わないでっ!!///」
「うーん、ちょっとだけかな?
もっとアタックしていこうよ!」
「八重!!///……ねぇ、あなた変わった?何かこう柔らかくなった気がする」
「女は一晩で変われるものよ。」
「え!?まさか、あなた彼氏がで「貴様もかぁぁあ!!清水と同様に始末してくれるわあ!!」
「や、八重!!助けてくれっ!!」
風紀委員長に追われているのか渡部が逃げてきた。
「康太!こっち!」
といつの間にか窓枠に乗っている八重が手をのばす。
「あらよっと!」
渡部が八重の手を掴むと二人は窓から出て、スルスルっとエレベーターのように上がっていった。
「くそっ!!逃がしたか!!」
遅れてきた風紀委員長であるリザードマンが地団駄を踏む。
「ねぇ、康太」
「なんや?」
「…好きよ///」
「ワイもや」
こうして二人が風紀委員会公認のカップルになるのはまた別のお話。
10/09/16 01:01更新 / 迷える子執事
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