フリストとヘルゲ
ある男が、夢を見た。 女の夢だ。 その女は、左手にフォークを持ち、右手に皿を持っていた。 フォークを膝よりも下に向け、何かを刺し、皿に盛っていく。目を凝らしてよく見れば、女の膝まであるのは島で、フォークに突き刺さっているのは人間であった。 男は恐怖して逃げたが、やがて女のフォークは男を突き刺した。 女は腰に纏った半透明の薄布を血液の深紅に染めながら、秀麗な容貌を歓喜に歪めて、赤い涙を流して喜んだ。 「ようこそ、エインヘリアルよ」 男にはなんだか、それがとてもおぞましいもののように思えた。 目を覚ました男は、翌日、とある戦場で死んだ。 男の夢の話を聞いて、戦争に生き残った者は言う。 「また、ヴァルキリーに見初められた男が逝ったのだ」 と。 |
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