驚いたことに、ヘルゲの肉棒は萎えない。
　先日まではこんなことはなかった。男の当然の反応として、一度射精すれば萎え、休憩を挟む。
　ところが、ヘルゲの肉棒は今の激しい行為と射精すら前戯に過ぎないと言わんばかりに猛っている。
　ヘルゲも、魔物化したフリストと交わるうち、淫魔になろうとしているようだ。
「ああ、なんと逞しい･･････」
　うっとりした様子で、フリストが見上げる。
　フリストも、絶頂寸前まで押し上げられている。
　鎧の下の乳首は固く屹立していて、ヘルゲの指に弄ばれる期待に甘く疼いているし、熱くなった淫裂は肉棒を欲して淫らな開閉を繰り返している。
　すぐにでもヘルゲに跨りたい気持ちをなんとか制して、フリストは腰布をまくり、
「もし、まだお疲れでないなら、どうかフリストに再びのお情けを･･････」
　言い終わらぬうち、ヘルゲがフリストを抱きかかえ、器用に肉棒の先端をフリストの膣口に宛がい、挿入した。
「あ、はあぁんっ！」
　これまでとは違う、拒む意思をまったく宿さない喜色まみれの喘ぎ声である。
　フリストは、背を仰け反らせて絶頂した。
　フリストの絶頂が収まる間、ヘルゲは気遣って動かず、抱きしめたまま喉にキスを繰り返した。
「あ、はんっ、ん、んんっ、わ、わたくしだけイッて･･････もうしわけ」
「フリスト。私は貴女の主になりたいわけではない。貴女の良人になりたいのです。
　臣下なら主より先に、というのは謝罪の対象でしょうが、妻なら詫びなくていい。私は貴女を妻にしたいのです。悦んでくれるのなら、これ以上嬉しいことはない」
　瞬間、痛いほどヘルゲの肉棒を膣が締め付けた。
　フリストとしても予期せぬ反応であったろう。
　ヘルゲの告白を受けた時、肉体が意識を離れて素直に喜びを表現してしまった。
　無論、フリストは、天にも昇る心地であった。
（良人･･････ヘルゲはわたくしを妾にしてしまうことも出来るのに、わたくしを性奴隷か肉の便器にしてしまうことさえ可能であるのに、わたくしを妻に迎えようと･････）
　フリストの性分であろう。忠誠を捧げてしまえば、捧げ主が自身にどのような振る舞いをしようとも厭わない。或いは、宗教家というものは皆そうであるのかもしれない。
　人間と人間の主従は、契約関係と同じである。
　主人は従僕に衣食住などの最低水準の生活を約束する代わり、絶対命令権を持つ。対等ではないが契約である。
　が、フリストの考える主従は違う。
　仕えさせてもらえるというだけで、対価は終えている。だから仕えている者になにも提供せずとも契約関係は成り立ってしまうのである。無欲な、というよりは、そういう滅私の果てに愉悦を見出すのが、ともすれば信仰なのであろう。
　そういう心地のフリストだから、主が自分を予想の範疇を超えて愛してくれているとなれば、その喜びは言語に尽くしがたい。
「だからフリスト。もう言葉遣いを戻してください。貴女に敬われるのは嬉しいが、他人行儀でよそよそしくなる。
　せめて睦言は、気儘を言ってほしい」
　言葉と軽い愛撫だけで、フリストはまた絶頂した。
　今度はヘルゲを自分から強く抱き締めて、体中に走った歓喜の電流を耐える。
「ひ、卑怯ですよヘルゲ･･････。こ、こんな時にそんな･･････」
「卑怯でもいい。貴女の心を掴んで離さないなら、私はどんな卑怯でもする」
　フリストが思わず意識を失いかけたほど、この言葉は嬉しかった。
（わたくしの求めと同じくらい、ヘルゲもわたくしを求めてくれている）
　フリストの腰が動いていた。
　ぬちゃぬちゃと卑猥な水音が響く。
「わ、わたくしの今の気持ちは、言葉を尽くしても伝わりきらないでしょう。だからヘルゲ。どうかわたくしを貪って。
　互いの快楽の行き着く先にこそ、互いの気持ちがあると信じています」
　フリストは、ヘルゲを楽しませることに集中する。
　最早自身が得る快楽なぞに構っていられない。なによりもヘルゲに愉しんでもらいたい。媚びるようにヘルゲの頬にキスをして、ヘルゲの胸元に手を当てて乳首を探る。
　その間も腰は上下させ、膣内を緩急をつけて締め付けるのも忘れない。
「ん、んんっ、ん、んっ！　ひ、いっ、ああ、あん、あんっ！」
　懸命に奉仕しようとするのに、流れ込む快楽に翻弄されて精密な動きが出来ない。
　実に歯がゆい。
　フリストは、こういう情交を幾度か経れば気づくだろう。互いを楽しませようと言う気持ちにこそ、性交の真骨頂はある。
　その気持ちの発端はなにか。即ち、愛情である。
　この性交の瞬間に、二人は互いの愛情を知った。
「あ、あぁあん･･････ん、んっ、ん！　あ、や、あぁん！」
　単純に律動させるだけでなく、フリストの膣内を全て味わい尽くすように腰をグラインドさせる。
　抉られる快楽とはまた違った、掻き回される快楽に、フリストの嬌声に一層の艶が乗った。
「んああっ！　ダ、ダメ、ヘルゲ、その動きは･･････ああぁんっ！」
　切羽詰まった声。フリストは自身の絶頂の予感を感じ取った。
「んひぃ！　あ、あ、あ、んふ、ぬひぃ！」
（ここが、フリストは弱いらしい）
　弱点を探り当てたヘルゲは、フリストを更に悦ばせるべく腰を動かしてそこを責める。
　フリストは、どちらかといえば浅い位置を亀頭でぐりぐりとかき混ぜながら細かく律動されるのに弱いらしい。
「むあぁん！　そ、そこばかりそんな、あひぃ！」
　抗議の声を挙げるが、当然聞かない。
（ヘルゲばかり責めて、こんなの、ずるい･･････）
　拗ねる心地で思った。
　自分もヘルゲを楽しませたい。弱点を見つけてそこを責め、あられもない声と姿を晒す恋人を見たい。
　そういう気持ちにされながら、反撃を試みるが、体位の関係でうまくいかない。
　そうこうしているうちに、フリストは自身の快楽が絶頂を避けられない段階まで進んだことを感じ取った。
「ヘル、ゲ、ェ･･････も、もう堪忍してぇ！　
わ、わたくし、もうイッてしまう･･････！」
　それが敗北宣言であることが、快楽に塗りつぶされた頭では判らない。
　対面座位の体位を変える。フリストを抱きかかえて腰を浮かし、律動の幅に余裕を持たせて最奥を突く。
　ぱくぱくと、開閉した子宮口に亀頭を押し付け、一度戻してぐりぐりと腰をグラインドさせ、止めとばかりにもう一度子宮口を突いた。
「い、いぐ･･････いくいく！　あぁあん！　ヘルゲぇ！」
　愛しい男の名を叫びながら、背中に思わず爪を立てながら、フリストは絶頂した。
　一度ぴんと張り詰め、爪先まで伸ばし、脱力する。絶頂の余韻でびくん、びくんと大きく五体が跳ねる。
　が、ヘルゲはまだ精を放出していない。
　フリストの足を片方だけ地につけ、もう片方を肩に担ぐ。
「うああっ！　ま、まだ大き、いひぃ！」
　手を伸ばして傍らの樹木を掴み、上半身を安定させる。
　無防備になった乳房が、アンダースーツ越しに一度だけぷるんと揺れた。
　ヘルゲはフリストの脇腹に手を置いてフリストの体重を支え、もう一方の手でフリストのアンダースーツを破り、乳房を露出させた。
「あ、あん、ああぁん！　つ、抓まんで、ヘルゲ、はしたないわたくしの、乳首ぃ！」
　ヘルゲが爪先でフリストの乳首を優しくつまみ、ぴんと弾く。
　たったそれだけで、フリストは背を仰け反らせる。
　仰け反ったために、膣壁越しにヘルゲの肉棒が下腹部に僅かに盛り上がった。
　それがひどく淫靡で、ヘルゲの興奮は否応なく高まっていく。
「も、もっと苛めて！　ヘルゲ、つまんで弾いて、あなたの好きなように、いひぃ！」
　ヘルゲの肉棒を舐めしゃぶった時から、期待して屹立していた乳首である。性感帯であることも手伝って、一度弄られると徹底的に弄られなければ気が済まない。
　フリストの平素にない媚態に、ヘルゲの限界も近づいていく。
　ヘルゲの肉棒の動きを感じ取ってか、フリストは急に膣を絞めつけて、
「出して！　ヘルゲ！　わたくしの一番奥にぃ！　あ、赤ちゃんの部屋に、あなたの子種、気の済むまで吐き出してぇ！」
　タガが外れている。
　ヘルゲにねだるその目は、餌を求める犬に似ていた。
　或いはこれが、フリストが眠らせていた欲求か。ヘルゲへの愛情によって露わになった媚態なのか。
　どうであれ、愛しい女にこう言われて嬉しくないわけがなく、不意打ちのように絶頂した。
「んあぁああん！　で、でた、出たぁ･･････ヘルゲの、子種ぇ、たっぷり･･････わたくしの、子宮にぃ･･････」
　フリストも射精の熱さにもう一度絶頂したらしく、崩れ落ちる。
　ヘルゲがなんとか支えて座らせる。
　膣口から、こぽり、と精液が溢れた。
「あぁ、勿体ない･･････せっかくヘルゲが注いでくれたのに･･････」
　力の入らない体に無理をさせて、震える指先で精液を掬うが、震えてなかなか狙い通りにいかない。
　もどかしそうな表情でなんとか精液を指の腹で掬い、口に運ぶ。
「んちゅ、ちゅるる、ちゅ･･････」
　甘露でも啜るような仕草と表情である。
　ヘルゲがごくりと生唾を飲み込んで、愛液と精液に塗れた肉棒をフリストの顔に差し出した。
「おそうじを、させてくれるのですか･･････？」
　阿呆になった頭でヘルゲを見上げる。
　仕草と目は童女のようで、甘えているし媚びてもいる。
　ヘルゲの返事も待たず、フリストは肉棒に嬉しそうに咥え、
「ふあぁむ･･････ん、じゅじゅ、くちゅ、れるれる、ん、ちゅ、ちゅ、じゅろ」
　いつまでもしゃぶっていた。

■作者メッセージ
ああ、名残惜しい。なにがって、エロが。
人間エロがなきゃ生きていけないってことを、書いてるわたしが一番実感しましたよ。またエロ書きたいなぁ。そういう思いが、フリストの台詞のはっちゃけ具合にでちゃってる気がします。

勉強のために改めてやって、そして改めて思った。
シルキーズって、素晴らしい凌辱ゲー出してくれたよねぇ。アンジェリカとかオリヴィアとか風紀委員長聖薇とか。え？サトウユキのファンだろって？そうです、赤司弓妃のファンです。
今更ながら、判らないネタばっか振ってすいません。