連載小説
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A3.スイート
「俺は……スイートさんと……」
エストが目線を泳がせながら言った。
スイートの目が大きく広がる。
「え、わ、私……ですか?」
エストの目が彼女の瞳を見つめる。
「は、はい……」
彼は小さくうなずいた。
「ほ、ほ、ほ……本当にっほんとに?」
目をぱちぱちさせ、自分を指差して彼女は言った。
「本当に……本当です」
何度もうなずく。
彼女の目に涙が溜まっていく。臨界点を超え、涙が溢れ出る。
彼女は彼に身を乗り出し、思い切り彼を抱きしめた。
「うぅぅ……さっきはぁ、ごめんなさいぃぃ……ひぐっ、冷たく接しちゃってぇ……」
彼女は彼の方に頭を乗せ、嗚咽を漏らした。
「もぅ、ひっく……あんな態度、とらないからぁ……ぐすっ……嫌いにならないでぇ……うぅぅ」
「嫌いになったりしないですよ」
エストは彼女の後頭部に手を添え、髪を撫でた。
「嫌いだったら、俺はあなたを選ばないじゃないですか」
「ひっく、ぐすっ……ほんとぅ?私のこと、きらいに、ならないですか?」
エストは大きく、何度もうなずく。
「スイートさんの表情、可愛くて、愛しくて、何か守ってあげたくて……その、好き……です」
彼女が彼の体から少し離れる。彼の顔を真正面に見据える。
ぽろぽろと涙を流す。しかし、本当に嬉しそうに微笑んだ。
「私も……私も、好き……大好きぃ……」
彼女は両腕を彼の首に回し、エストの唇に吸い付いた。
「ちゅ……ちゅ……んぐぅ……好きぃ……ちゅぱっ、しゅきぃ……」
何度も好きと呟き、舌を絡ませ、唇を吸う。
エストも、彼女の情熱的なキスに自分の舌を動かして答える。
「あらあら……完全に二人の世界に入っちゃってるわね」
呆れたようにスノーは言った。
「そうだな。こんなんじゃあ、私達の入り込む余地が全くないな」
ミミナも半ば諦めたように呟いた。
その後も、長い長い時間、ひたすら二人は口付け合った。
二人の口の間から、混ざった唾液が糸を引きながら滴る。
その長い接吻は、エストが口を離したことによって終わりを告げる。二人の唇の間に、涎の糸が伸びた。
「あぁ……」
スイートが名残惜しそうに声を漏らした。もっととせがむように、離れた彼の顔に顔を寄せる。
「ごめんなさい……俺、もう、我慢できそうに、ない……です……」
「はい……私も、早く……」
彼の胸に、スイートは顔を寄せた。
「でも、実は……私も、初めて……なんです」
頬を赤く染める。
「今まで、男の人が苦手で……いつもスノーや、ミミナがしてるのを見ているだけで……魔物なのに、変……ですよね」
「変じゃあ……ないです。その、俺、スイートさんの初めての人になれて、嬉しい……です」
彼は彼女の背中に手を回し、彼女の体をゆっくりと後ろに倒した。
「じゃあ、俺が、動きますから……その、初めてだから、上手く出来ないかもしれないですけど」
恥ずかしそうに頬を掻きながら、彼は言った。頬が真っ赤に染まっている。
「は、はい……」
彼女は小さくうなずき、力を抜く。彼に全て任せるという意思表示。
彼は彼女の両膝を握り、少しずつ外へ広げる。生唾を飲み込む。彼の目線の先には、無毛のぴったりと閉じた秘丘。
そこからは、すでに愛液が垂れ、床を汚していた。
「すごい……もう、こんなに濡れてる……」
「ごめんなさい。キスしているだけで……もう、待ちきれなくて……」
恥ずかしそうに、彼女は両手で顔を覆った。
「じゃあ、入れます……」
エストは彼女の上に覆いかぶさるように、前のめりになった。左手で自らの陰茎の角度を調整し、右手は彼女の体の横につく。
そのまま、彼は腰を突き出した。
ちゅくっとかすかな水音がし、亀頭が挿入された。
「あれ……これ以上入らないのか?」
腰を進めていくと、ペニスの侵入を阻むように押し返すような抵抗があった。
「だ、大丈夫です……それより、早く、もっと奥に……くださいぃ……」
首を小さく振り、スイートが懇願した。
エストが勢いをつけて腰を押し出すと、急に抵抗がなくなり、一気に根元まで挿入された。
「ひっきゅぅぅぅん!」
彼女が悲鳴を漏らした。膣肉が強く締め付ける。
「あっ!ごめんなさい!い、痛かったですか!?」
エストは慌てた。さっきの抵抗は、処女膜である事に気づいたのだ。それを破り、一気に最奥まで突いてしまった。
「いえっ、いえ……違うんです……何か、頭が真っ白になってぇ……全身がびりびりしてぇ……これが、絶頂、ですかぁ?」
彼女の目から涙が溢れ、目尻から横に流れる。
「それに……エストと一緒になれてぇ……とっても、嬉しいんですぅ……」
彼女の精一杯の微笑みに、彼の理性は吹き飛ばされた。
――もっと、彼女を気持ちよくさせたい!
エストはぎゅっと強くスイートを抱き、力の限り腰を振った。
「そんなっ速くぅっ!?あん、あふっ……いいっ!いいのぉぉ!」
彼女の頭の中は、彼の動きで与えられる快感でいっぱいになり、大声で喘いだ。
彼と彼女の荒い息が重なる。鼻が触れ合うような近さで互いを見詰め合う。
そして、どちらともなく彼らは互いの唇を貪り合った。
更に彼の腰の動きが速くなる。更なる快楽を貪ろうと、彼女も腰を振った。
「じゅるっ、ちゅるるっ、ぷはっ。うぅ!もう、出っ、るっ」
「ちゅぱっ……イく?イくんですねっ!?あぐぅ……あふっ、私もぉ、一緒にぃ!」
彼女の両足が彼の腰に回り、最奥に精液を受け入れる準備をする。
「あぐぅ!じゅぱっじゅるっちゅぅぅぅぅ……」
「ちゅるっうぅっ、ひっきゅぅぅぅん!」
どぷっどくっどくどくどく……
二人は唇を吸い合い、同時に達した。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「あ、あ、あぁぁ……まだっ、体っが、震えて……気持ちいぃ……ですぅ」
絶頂の余韻に浸り、時折ぴくっと震える二人。
「エストぉ……大好き……ちゅっ」
二人は抱き合い、口付け合った。
10/04/10 02:58更新 / 川村人志
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■作者メッセージ
スイート
男アレルギー。しかし、エストにガチ惚れ。これが初恋。

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