連載小説
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STAGE DL1-1 ぼくは「ゆうじ」
ぼくの名前はゆうじ。
幸運(LUCK)のう、勇気(PLUCK)のゆ、
じ、じ…

…ぼくの名前はゆうじ。

18歳になった誕生日、夢の中にすごい物々しいオッサンが出てきてこういったんだ。
「ゆうじ よ、勇気を抱(いだ)け。」
そんなわけで、ぼくは誕生日プレゼントの どうのつるぎ を持って、
世界で一番アツいダンジョンに挑戦することになったんだ。

はじめてのダンジョンに浮かれていたぼく、不可能という文字はまだぼくの辞書には存在していなかったんだ。
だから宿に顔を出したけど、一泊する時間ももったいなくてすぐに飛び出してしまったんだ。
目指すは魔王のお持ち帰り。王様からは言葉だけしかもらえなくても、勇者というだけで儲かる仕事が山ほど舞い込んでくるはずだった。
…後から考えてみると、最初の挑戦は時間にして30秒も無かったかな。

「っばっぞー!」と気合を入れた後、ぼくは扉を開ける。
驚くことに、魔王は目の前にいた。

「フハハハハハ!ようこそ我がダンジョンへ。当ダンジョンは誰でもウェルカムさ。大人も子供もお兄さんでも。もうすぐみんなを幸せにしてあげる!」
なんだかよくわからないセリフを並べていた。本人も全部理解していたのかな。
「とりあえず、貴様をテイクアウトするぞ!覚悟しろ!」と、とりあえず主役らしい言葉を言い、魔王との距離を詰める。
何事も、それらしい言葉がないとしまらないよね。世界にはダンスの合間にポゥと叫んで勇者の集中を乱す、珍しいゾンビがいるらしいけど。ゾンビの癖にはやすぎ、らしい。
そんなどうでも良いことを考えながら、魔王との距離を詰めたことがぼくの敗因だった。
「ハハハ!そんな無用心にダンジョンに踏み込んで良いのかい?お楽しみはこれからさ!」
その言葉に我に帰るぼく。しかし、全てが遅かった。
「あら、新しい子ですね?」「このダンジョンは初めてですか?」「力をぬいて。お姉さん達とキモチイイコト、しましょ?」
ぼくは緑色のスライムの軍団のど真ん中にいることに今、やっと気がついた。多勢に無勢、ランチェスターの法則、コケ地獄。いくつかの言葉が浮かんでは消える。
出口は…すぐそこにあるが、今はその距離が近くて遠い。
「比較的、たのしかったよ。フハハハハハ!」魔王の勝利宣言がどこからか聞こえてくる。しかしその声を気にする余裕が、ぼくには無かった。
「この…このっ!…わっ!くっつくな!え、あ、そこはっ…!ちょっと!

に、にゃあああああああああっ!

こうして、残念だったけどぼくの初めての冒険はここで終わってしまったんだ。
アレやコレやで意識が意識が遠のく中、魔王の言葉が聞こえてきた、気がした。
「元気が良いことはいいことですな。何よりも私が巻き込まれずにすみますからな。さて、破壊神殿、これからもこの調子でよろしくお願いしますぞ。」
…でも、魔王らしくないセリフだったから、気のせいだったかな。あのオカマ臭い台詞回しとは合わないしね。
10/07/24 01:20更新 / ミッキー
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■作者メッセージ
5000文字にとてもじゃないと追いつかないし、Sak-Sha No.25に絡むため、世界の神に奇跡をお願いしました。
ありがとうございました。

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