常連達の憩い場
ん?また来たのか?初めて見かけた時からもう何度顔を合わせてるんだろうな。そろそろ常連としての顔になってきたのかい?何?まだ自分じゃ常連と呼ぶにはおこがましいって?なかなか謙虚な心構えだがもうそろそろ自覚したほうがいい。まだ気付いてないだろうがキミは結構狙われているんだぞ。誰にかって?おいおい、それは自分で調べてくれよ。人の恋路に土足で上がる気は無いんでな。気になると言われてもなあ。そんなに知りたければもっと顔馴染みにでもなって相手から誘われるぐらいになってくれよ。そうすれば自然とわかるようになるだろ?何?それでもわからないから聞いてるんだって?しょうがない奴だな。ほら、稲荷さんから御飯貰っていつもの所に行ってきなさい。全く鈍い奴だ。ここまで御膳立てしないとわからないとは・・・・。その顔だとどうやらわかったらしいな、わかったんならドンと構えて行ってきなさい。本当に世話の焼ける奴だ・・・。さて・・見送りも済んだし
『ここは貴方だけの憩いの世界、ようこそ一時の楽園へ』
〜GARU氏の場合〜
暇だな・・・、最近はめっきり意欲が減ってやりたい事への執着心が湧かない。少し前なら『ワイバーンさんの腰に手を回して優しく抱き寄せて二人で酒を酌み交わしたい!!』とか叫んでたんだけどなあ。先日とうとう念願のゲートが開いて御目当てのワイバーンさんも見かけたけど・・・・
「俺って案外、口下手だったんだなぁ・・・」
目の前で滑空してるのを見て「エ、エメラルドの髪が最高に似合ってます・・ね」だけしか言えず後は感動してるだけで一言も声を掛けれなかったなんて情ねぇな。いつものワイバーンさんへの愛はどこに行ってしまったんだ。しっかりしろ俺!いつかはワイバーンさんの背中に乗ってどこまでも飛んで行きたいんだろ!こんな所で道草食ってる場合じゃないだろ!良し、今日こそは言うんだ。・・・・き、来た!!
「お、俺と・・・!!
キィィィイーーーーーーン!!
空・・・・・に・・・」
行っちまった・・・。俺・・・眼中に無し・・か。ハハハハ・・・なんかもう、まともに笑えねぇや。少しでも脈あればと思ったけど甘かったなぁ・・・アハハハ。今の俺って酷い顔してんだろうな・・。生憎と近くに鏡無いから見なくて済むけど。
「・・・ハハ、俺は釣り合わなかったって話か」
これ以上ここに居てもしょうがねぇし、帰って不貞寝しちまおう。・・帰る先がワイバーンさんが飛び去った方向ってのが悲しいなあ。まるで未練たらしく追いかけてるようで惨めじゃないか。
はぁ・・・、帰宅するだけがこんなに辛いとは。そういやなんで俺・・歩いて帰ってんだろ。電車なりバスなり適当に乗れば良かったのにな。
「腹減ったなぁ・・・もう1時間以上歩いてるからどこかで休みたいわ」
昼はとっくに過ぎちまったからどこか適当に入っても席は空いてるだろうなあ。でも、今はあんまり食いたい気分じゃない・・。憧れだったワイバーンさんにガン無視されて食欲も湧かんわ。
「はぁ・・・」
気分は凹んでても腹は膨らみたいって文句言うんだな。こうなりゃ自棄だ!今日はとことんまで食い尽くしてやるよ!どこでも好きなとこに行ってやるからいつまでも鳴ってんじゃねえよ!
「・・チッ!周りにゃなんもねえし・・。んぉ?なんだあの店・・食・・・堂か?それにしちゃ結構な行列だな?・・・なんか良い匂いするし俺も並んでみるか。どうせ暇だしな・・・」
『次にお待ちのお客様どうぞ〜♪』
んん・・・結構な人数入っていったな?ま、別にいいか。早けりゃすぐに食えるって事だし。
『次にお待ちのお客様どうぞ〜♪』
ちょっ!?早過ぎだろ!?後6人待ちじゃねぇか!どう考えても数分で50人以上が店に入っていったぞ!一体どうなって・・
『次にお待ちのお客様どうぞ〜♪』
あああああああああ、チクショウ!考えてる暇なんてありゃしねぇ!入るしかねえだろ!
『『いらっしゃいませ〜、御飯にします?パンにします?』』
・・・あ、あかん。もう少しで危うく半勃ちするとこだった。割烹着姿の稲荷さんとシスター服&エプロン姿のダークプリーストさんのWコンビの御出迎えとか男の夢じゃん!だけど俺にはワイバーンさんという心に決めた嫁が!嫁が・・・見向きもされなかったけどな。
「・・御飯でお願いします」
「はい、ありがとうございます♪おかずは奥の部屋でお好きなものを選んでくださいね」
ああくそっ!しょんぼりだよ!飯食って憂さ晴らしすんよ!さっさと奥に行って・・・・行って・・。
「・・・・・わーぉ・・」
そうか・・俺はとうとう異世界に来れたんだ。いつのまに魔界への片道切符を手に入れてたんだろうか。
「んなわきゃねぇえええ!!」
これってどうなってんだ・・・、なんでこんなに沢山の種族が居るんだよ。しかも思い思いにおかず作って売ってる・・売ってる!?もしかしたらこの中にワイバーンさんも!?探すっきゃねえだろ!
「・・・・はぁ・・はぁ・・、い、居ない。なんで居ないんだ」
はぁ・・疲れた、居ないもんはしょうがねぇ。この空きブースで一休みしたら適当に何か食うか。
「はぁ〜〜〜、何か『らっしゃい!』おわぁぁっ!?」
「いやぁ〜〜わりぃねぇ〜。ちょーっくら遅刻しちまったよー・・・ありゃ?さっき見かけた兄さんじゃないの?」
んなっ!なんでここにあのワイバーンさんが!?
「んじゃま・・・早く出してよ。持ってるんでしょ」
・・・俺が持ってる?俺、何か持ってたっけ?
「もー、じっれたいなぁ。早く御飯こっちに渡してよ」
「・・あ、ああ」
なんだ、御飯の事だったのか。って、おい!皮膜の上に御飯転がして何して!
「よっ!・・ほっ、ほぃっ!っと・・ほぃ!」
ど、どうなってんの?皮膜の上で御飯が上手く別れて転がって・・。
「ごめーん、ちょっと悪いんだけどさ・・・アタシの足元にある箱からお皿出して前に並べてくんない?」
え、えーと・・これだな。
「ん、ありがと♪ほっほっほっ・・はい!」
おおおすげえぞ!皿に小さな飯の塊がいくつも!
「んでさー、ここに用意してるのはー・・・これ!シャケの切り身!これを爪に引っ掛けてこう乗せて〜・・・あ、マヨネーズは自分の好みで掛けてね♪」
・・・なんで俺がマヨネーズ掛けてんだ?
「それじゃあいっくよー♪・・・・すぅぅ〜〜〜〜・・・」
突然深呼吸して何がしたいん・・深呼吸?確か竜種が深呼吸する時って・・・もしかしてブレスですかああああああああああ!!
『フゥッ・・・』
ヒッ!?・・・あれ?何も起きてない?いや・・・・いつのまにかシャケの切り身が炙られてるぞ!こんがり熱せられたマヨネーズもいい匂いしてる。
「こんなもんかなー、んじゃ冷めない内に食ってくれよな♥」
ああああああ・・ワイバーンさんの手作りブレス炙りマヨサーモン・・、こんな事ってもう二度と無いぞ!!
「ほっ!ほふっ・・・はふ・・しゅ、しゅこし熱いが・・・鮭美味い!」
「そうだろそうだろ!頑張って遡上してきた鮭を狙った甲斐があったもんだよ♪」
遡上・・・?もしかしてさっき凄い勢いで飛んでたのは・・まさかと思うが、この鮭を獲りに?まさか・・なぁ。
「そういや兄さん、さっきアタシに何言おうとしてたんだい?」
「さっきって・・、何の事だ?」
「とぼけないでいいよ、アタシが鮭獲りに行く最中に声を掛けたろ?」
もしかしてあれが聞こえてたってのか!?一体どんな耳してんだよ!
「いや・・あれは別に」
「空が何とかって言ってなかったかい?」
おふ・・ほとんど聞かれてるんじゃねぇか。こうなりゃ一か八かだ!この一言に賭けてやる!
「俺と一緒に・・・いや、俺も一緒に空へ連れてってくれ!」
「・・・・」
う・・、沈黙されたぞ。これってまさかの『もう彼氏居るんだぞ』サインなのか・・・。もしそうだったら帰るまでに10回は死ねるぞ!本気だぞ!
「ぁ〜〜・・んとなー。別に連れてってもいいんだけど・・」
「・・だけど?」
嫌な予感的中してくれんなよ。
「アタシさ、暫くは店番確定しちゃってるんだ。当分は此処に来る事になってんだ。悪いんだけど、店番終わってからでもいいかい?少し時間掛かるけどね」
必死に首を縦に振る俺。憧れのワイバーンさんに乗せてもらえるんなら一年でもニ年でも待ってやんよ!いやちょっと待てよ?肝心な事忘れてるだろ。もし彼氏が居たらどうすんだよ。そうだったら俺すっげー間抜けじゃねぇか。
「いや、やっぱいいわ・・。彼氏が居たら悪いしな」
「へ?ちょ、ちょっと待ってよ!アタシには彼氏なんて居ないぞ!居たら此処に居ないってば!」
居たら居ない?どういうこった?
「あのさぁ、何か勘違いしてるようだから言うけど・・、此処に居る子って全員フリー・・・なんだぞ。彼氏持ちは店番出来ないんだよ」
あ、そうか。居たら絶賛ハッスル中で店番なんてする余裕無いもんな。
「それにさ・・折角アタシのとこに来た初めての男・・ジュルリ、お客を逃が・・持て成さずに帰すなんて出来ないし」
今言い直したよね!?間違い無く逃がさないって言いかけたよな!?しかも一瞬だけ涎垂らしたよな!でも・・・それはそれでアリか。
「ん・・もう食い終わったのか?んじゃ、アタシもそろそろ上がるかー」
「今来たばっかだろ!?」
「ここのモットーは一品だけに愛情を籠めてだから御客さん一人にしか対応しないんだ」
ん?んじゃ俺は偶然にもアタリを引いたって事か?やっぱ俺ってワイバーンさんに縁があるのか!もしそうなら家に帰ってスカイポーで『俺の愛は音速でミステリアスシューティングだぞ!うひゃらひょーーいっ!』って叫んでやる!意味わからんけどな!
「さぁて、明日も店番だし・・・だ れ か 来ないかなあ?」
「!?」
明日も来る!?だったら俺も絶対に来るからな!他の誰にもワイバーンさんの手料理はやらん!俺だけのもんだ!
「にひひ・・明日もアタシのとこに来たいって顔してるね♪明日が楽しみだな〜♥・・・っと、そろそろ戻らなきゃ。んじゃまたねー」
うっしゃあああああああああ!俺も速攻で帰って筋トレでもして空腹MAXにしてやんよ!明日の昼まで我慢してやる!そうと決まれば会計だ。
「180円になりま〜す・・・ありがとうございました〜♪」
こんな値段でいいのかよ・・・、まあいい。これから帰ってする事は一つ。
『空腹は最高のスパイス!限界まで筋トレしてやる!』
〜6(`ロ)9氏の場合〜
お腹が空いた♪お腹が空いた♪Hey!Hey!Hey!今日も私の胃袋は絶賛活動中!今日は前々から食いたかったステーキ肉を豪勢に肉増し増し盛り付けして貪り食ってやる。体に悪かろうが絶対食う。たまには贅沢しても罰当らないだろ。毎日食ってる奴は罰当れ。ん、・・・一句出来た。
食いたいな 酒池肉林の 肉だけを
いい感じに浮かんでくれたねー。肉肉しい林ってハーレムかー。ん、まぁハーレム云々は置いといて飯だよ飯。今日の肉だけは譲れないからな。もうかれこれ・・・半年以上は食ってないんだからたまにはいいだろ。んでやっぱ肉と言えば・・・
『美味しい牛乳はいかがですか〜』
・・・・、いやいや、街角で牛乳売ってるホルスさんじゃなくて真性の肉な?そりゃあの肉も美味しそうだけど肉違いだからな。あの肉は一度でも食べたら最後、毎日・・・毎日、じゅるり・・・。
「違う違う違う!そっちの肉を想像してどうすんだ!」
あ〜、危なかった。もう少しで桃肉にしゃぶりつきたくなったよ。あのたっぷんたっぷんと踊る桃肉を・・・ハッ!?早くこの場から離れよう。見てしまうから変な妄想を色々してしまうんだ。なんか今日は肉食うの止めたくなってきたよ・・・、本当は肉食いたいけど。
「やっぱ肉食いてえええええええええええ!」
胃は肉を欲しがってるんだよ!やっぱりこれだけは妥協出来ない。今日食い逃したら次にいつ食うかわからないんだからな。さて、見渡せばそこかしこにある飲食店。どの店に入ろうか。まず肉が出ない喫茶系はパスして・・・ぅ、スルーされた事に気付いたサッキュン(たぶん店員かなあ?)が恨めしそうな顔でこっち見てる。ごめんね、今は肉食べたいんだ・・。
「よく考えたらこれだけ店がある中で一つだけ選ぶんだから恨まれるよなぁ・・」
たぶん別な意味で恨まれてるんだろうけど。
「・・・ぁ、ちょうどいいや。あそこの食堂で生姜焼きか何か食おうかな」
うん、豚もいいよね。脂が乗ったオークさんを紐で絞めて転がして身動き出来無くなった所を自前のフォークで下から一気に突き刺して・・・じゃねええええええええ!はぁ・・はぁ・・余計な事考えるの止めてさっさと食堂に入ろう・・。
『『いらっしゃいませ〜、御飯にします?パンにします?』』
うほっ!?いきなりの超展開!店に入った途端に稲荷さんとダークプリーストさんから究極の選択を強いられるとは!うむむむむ・・・考えるな、直感で選ぶんだ。さっきから余計な事ばかり想像するから悪い方に行くんだ。そう、ここは直感で・・・
「御飯ください!!」
「はい、ありがとうございます♪」
うおおおおおお・・・稲荷さんの笑顔が素晴らしい。良妻とはこういう事なのか。ほかほか御飯大盛りの御椀に感謝。
「それでは奥へどうぞ〜」
奥・・あ、奥でおかず選ぶのかー。うーん・・生姜焼きある・・・のかな?まぁ行けばわかるさ。
「・・・」
これ、明日になったら私は死んでるんじゃないかなあ。ここに来た事で一生分の運を使い切ったような気がする。だってさ・・・・
これ絶対に全種族居るよ!間違いない!
って、ぐらい魔物娘達が一同に集まってるんだけど。しかも皆が皆、必死におかず作ってるし・・・。って、この中からおかず選ぶのか!?何この拷問!こんなの選べないでしょ!壁には『御一人様一品限りです♥』とか書かれてるし!ぐぅぅぅぅぅぅ・・・・あちらを立てればこちらが起たずじゃない立たず・・・。とりあえず一通り見て回ろう・・それから選んでも遅くは無いだろうし。
「いらっしゃいませ〜♪カレーは要りませんか〜」
「どうよアタイのロースカツは!とびっきり美味そうだろ!」
「御飯に納豆はいかがです〜」
「チャーハン作るよー、チャーハン作るよー♥」
全部食いてええええええええええええ!これ一品だけにするの無理があるだろおおおおおお!ふおお・・・周りの視線が凄く危険だ。どう見ても持ってる御飯に視線が集中してるし。って、ここは御飯に合うおかずブースなのか。ならば生姜焼きもここに・・・いや、ちょっと待て。別に生姜焼きに拘らなくてもいいんだ。もっと他に美味そうなおかずがあるはずなんだし。
「ぅぅ・・・視線が最も危険だ・・、早くおかず探そう」
ん、微かに油の匂いがする・・・、コロッケ?エビフライ?トンカツ?何だろ?
「・・・本当は肉食いたかったんだし、ちょっとがっつり食えるの見てこよ」
「いらっしゃいませ、本日のメニューは唐揚げです。程好くカラリと揚がった鶏肉はどうでしょうか?」
目の前でジュウジュウと音を立て揚げられていく唐揚げの芳ばしい匂いが堪らない。しかも揚げてるのがぬれおなごさんという良妻賢母の見本。嗚呼、あの揚げる手つきが素晴らしい・・、綺麗な狐色になる瞬間を狙ってクルリと箸を反して・・・あっ!?跳ねた油がぬれおなごさんの体に!
「だだだ・・大丈夫ですか!?」
「お心遣いありがとうございます。ですが・・んふふふ、そんなに慌てなくても大丈夫ですわ♪・・・はい、この通りです」
ふえっ!?跳ねた油が体の表面を滑っていって・・あ、水と油みたいな感じなのか。
「お優しいのですね」
「あ、いや誰でも心配しますし・・・・」
「では・・そのお優しさに付け込む様で悪い気もしますが・・、お一つ試食いかがでしょうか?」
「あ、いただきます」
はぅ!?つい受け取ってしまったよ!このまま返すのも流石にこちらも気が引けるし・・。ええぃっ!肉は肉だ!豚肉も鶏肉も変わらん!いただきまっ・・・・んむぅ!?
「ど、どうかしましたか!もしかしてお好みの味付けではありませんでしたか!?」
「ん・・・」
「?」
『うーーまーーいーーぞーーっ!!』
美味いぞ!美味すぎる!表面はカラッと仕上がってるのに齧れば中からトロリと肉汁が溢れ肉の繊維全てに絡み合う。味付けも醤油ベースのタレだろうか鼻にツンと来る刺激が最高だ。しかも醤油だけでなく僅かな辛味も混じってて試食だけではもう我慢出来ない。たぶん鷹の爪を粉末状にして混ぜてるんだろう。嗚呼、もう涎が止まらない。試食1個だけなんて嫌だ!目の前で揚がってる全ての唐揚げを今すぐ平らげたい。
「唐揚げ全部ください!」
「はぁい、ありがとうございます♥」
お・・おおおお、皿に盛られた唐揚げ・・・拳半分ぐらいの大きさが25個。今更ながら後悔する数だけど絶対残さない。御飯の量足りるだろうか・・。
「よおぉっっし!食うぞ!・・いただきます!」
はぐはふっ・・んぐぐ、んぎゅ・・ほふ・・・。嗚呼、うめえぇ・・・。唐揚げも久しぶりに食ったから最高にうめぇ・・んぐ・・。んぐっ!?
「はい、御茶をどうぞ♪」
「んんぐっ!んんっ・・・ぐっ・・・はぁ〜・・。ありがとうございますー」
「慌てなくてもおかずは逃げませんよ・・・んふふふ」
んはぁ〜茶が美味い・・生き返る。ちょっとみっともなかったな。もう少し落ち着いて食べよう。ん・・改めて見ると、御飯と唐揚げと御茶だけでは少々辛いもんがあるなあ。
「はいどうぞ〜」
「ん?このポテサラは・・?」
「揚げ物ばかりですと少々お口が飽きてしまいますので・・・本当は一品だけしか出せない決まりですからこれは内緒ですよ♪」
どこまで・・・どこまで女神様なんですか貴女は・・。んおおおおおおーー・・・脂っこくなってた口の中がポテサラで爽やかになっていくぅぅぅ・・・。これならいける!全部完食出来るぞ!
ふはぁ〜〜〜〜、ゴチソウサマでした。もう食えねぇぇ〜〜〜。お腹ぽんぽんになりましたよ〜。
「御満足頂けたでしょうか・・?」
「満足どころか〜、毎日食べたい気分」
「まぁ♪・・・お口がお上手なんですから♥」
本気だったんだけどなあ。・・・・そういや、帰ったらまた自炊かインスタントが待ってるんだよなあ。これだけ美味い食事した後は辛いな・・。
「んふふふ・・・、何だかほんの少し残念そうなお顔をしていますね」
「本当に毎日食べたいなってね・・」
「あらあらまぁまぁ、御世辞でも嬉しいですわ♪」
口元に手を当ててコロコロと笑う仕草も可愛いなあ。
「本当は秘密なんですけど・・・・誰にも言わないでくださいね・・」
「?」
「毎週日曜日に私は居ますから待ってますわ♥」
こ、これは・・誘われてるのか!?いいの?本当にいいの!?私は単純だから本気で信じちゃうよ!?
「それでは、そろそろお片づけに入りますね」
「え、もう閉店?早過ぎない?」
「御迎えする御客様は御一人様のみですので」
それじゃあ・・次の日曜は私だけの為に。
「はい♥貴方様が思ってる通りですわ」
先に心読まれたし!!
「名残惜しいですが、それではまた・・来週に御逢いしましょうね。ずっと待ってますから・・・♥」
ああああ・・・行っちゃった。最後なんて言ってたんだろ?小声だったんで聞き辛かったんだけどなあ・・?
ま、会計しよ。
「240円になりま〜す。・・・ありがとうございました〜♪」
・・・コンビニだったら唐揚げ1個しか買えない値段だよ。これから暫くは少々物足りない感じになるかもだけど・・来週のこの時間になれば至福の時が。
『一週間に一回の贅沢って最高かも!!』
15/10/18 18:44更新 / ぷいぷい
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