連載小説
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閉店間際の駆け込み大歓迎
 
ふむ、時計を見ればもう0時前。さて、間もなく閉店時間だし、残っている客も後僅か・・・そろそろ私は御暇しようか。ん、いかんなぁ・・・歳のせいか体が強張ってしまってるじゃないか。次に来店する時までには体を伸ばし、労わっておかないと。おっと済まない・・まさかこのタイミングで入店する客が居るとは思ってもいなかった。本来、この時間に入店するのは些かマナー違反だが・・まぁ彼女達は喜んで出迎えてくれるだろう。ああ、そうだ・・君達に言っておかなければならない事があってね。決して彼女達の機嫌を損なわないようにするんだよ。もし損ねた場合は・・・、いやよそう。忠告するだけ意味が無いだろう。彼女達が機嫌を損ねるなんて絶対にありえないのだから。済まないね、くだらない失言で引きとめてしまって・・・、さぁ・・彼女達がキミ達を迎える準備が出来たようだ。料理が冷めない内に行きなさい。



此処はどこにでもある食堂。誰もが腹を満たし、心を満たす。ただそれだけの存在。さぁ、今宵は楽しもうじゃないか。この世界の幸せを願って・・・





〜縷々流氏の場合〜


「ハァッ!!フッ!・・ンフゥッ!せいっ!・・」

もう少し腋を閉めてしっかり振り下ろさないと体力が落ちてきた時に腕が少しだけ外にぶれるな・・・。よし、今の型をもう一度練習だ。

「ハッ!フンッ!フンンッ!・・・ん、今度は少し力み過ぎた感があったな・・少しだけ力抜いて流れるように振らないといかんか」

78・・・79・・80・・、・・・97、98、99・・

「100!!ッはぁ〜〜っ!・・・あー・・もう腕上がらん。これ以上酷使しても筋肉痛めつけるだけだ・・今日の鍛錬はこれで切り上げよう」

はぁ、流石にこの時期に庭で鍛錬するのは少々寒い。さっさと部屋に戻って熱い茶でも飲もう。


「ふぅー・・・、あちちち、少し熱すぎたか」

んむ、静かに茶を啜るのも精神を落ち着ける為の鍛錬。心頭滅却すれば火もまた涼し・・あっちぃーーーーー!

「げふんっ!げふんっ!・・・あちゃちゃちゃ!そんな上手く行く訳ないだろ!」

うおああ〜・・・舌が真っ赤になった。達人でも無いのにそんなの真似出来るはず無いだろ。全く俺は何やってんだか。ん?少々体が汗臭いな。先に食事を、と思ったがこのままでは汗の匂いで食欲が減ってしまう。汗だけでも流してから食事にしよう。



「さっぱりした〜」

やはり食事時に不愉快な思いはしたくないし人間清潔が一番。では冷蔵庫を・・・・

「な・・・い・・?あれぇ?確かに昨日ここに入れて置いたはずだが・・?」

おかしいな、確かにここに入れてそれで深夜に小腹が空いて・・

「あーっ!そうだ・・深夜腹が減りすぎてつい・・」

困ったな・・・、まさか残ってる食材が調味料ばかりとかどこのマンガの主人公の家なんだ。せめてインスタント物でも残ってれば助かったんだが。あー、どうするかな。

「・・・給料日は明後日なんだよな。こないだちょっと大きい買い物したから懐事情はアレだし。とりあえず財布と相談するしかないか」


・・・1210円か、まあ現実はこうだな。銀行行こうにも遠いからなるべく仕事中に寄りたいし、今日は祝日だし・・。久しぶりに詰んだか。あ、そういえば確か・・

『なぁおい、最近この近くに格安の食堂が出来たみたいだぞ』
『格安つってもアレだろ、単品なら安いってあれじゃないのか?』
『いやマジで安いっぽい。セットで頼んでも500円しなかったとかいう噂だ』
『マジで!?だったら今度俺が確かめてやるよ』

・・・、同僚が私の横でこんな事言ってたなあ。場所はここから近いはずだったし騙されたと思って行ってみるか。ま、嘘だったら後で笑い話にするも良し。



「・・・・・・・なんだこれは」

人。人。人。人。人。なんだこの人数は・・。これ本当に食堂に並んでる人数なのか。だが、これだけ並んでるのならハズレでは無さそうだ。後は・・金額の問題だけか。噂通りなら500円以下で食べれるって話らしいが。


『次でお待ちのお客様どうぞ〜♪』


ドドドドドドドドドド・・・・


「・・・!?」

な、なんだ今のは!?一度に50人以上は入っていったぞ!?わ、私も早く並ばなくては!


『次でお待ちのお客様どうぞ〜♪』


は・・早い。これだと後10分も待てば入れるな。


『次でお待ちのお客様どうぞ〜♪』

まてまてまてまてまて!?今入ったばかりだろう!一度に100人近く入店させるとかどうなってるんだ!?

「だが・・・確かに入ってるよな??一体どうやって・・」



『次でお待ちのお客様どうぞ〜♪』

よ、よし。私の番が回ってきたか。い・・いざ!




ひ、広い!一体どうなって・・あ。

『いらっしゃいませ〜、炊き立て御飯どうですか〜』
『いらっしゃいませ〜、ふんわり柔らかい白パンはどうでしょう』


・・・

「げぶふぁっ!!」

く、・・もう少しで本当に吐血するところだった。ここここ・・ここはやはり日本男児としては・・。

「ご、御飯いただきます!」

おお、米が立ってる・・素晴らしい。しかもまさかの稲荷さん手作り。これだけでも充分過ぎる御馳走だ。香りもいい・・。

「それでは奥でごゆるりと〜」

そ、そうか。ここで立って食うわけにはいかないよな。奥の部屋でテーブルにつきなさいって事か。



「わ・・わふぅ」

凄い・・、情けないが凄いとしか言い様が無い。これほどの魔物娘達が集まって料理の腕前を披露してるなんて夢を見てるようだ。なんという夢の・・・ん?


『おかずは御一人様一品限りです♥』

「・・・」

一品で充分じゃないのか?二品も食べようなんて贅沢過ぎる。

「ええと、私は御飯を選んだから・・・御飯に合う惣菜コーナーに足を運ぶべきだな。何か好みのおかずがあれば良いのだが」

見た感じでは結構揚げ物が多いようだ。まあ確かに揚げ物と御飯のセットは定番だろうし。後は肉類がメインか。

「運動後でかなり腹は減っているが揚げ物と肉はパスだ。帰ったら一眠りしたいから胃が重くなるのは止めておこう」


『そこのお兄さん!御飯に合うおかずと言えば茄子の漬物でしょ!どう?辛味も欲しいなら鷹の爪を漬け込んだやつも入れちゃうよ!』

ぐ、ほ・・欲しい・・。欲しいが私が今食べたいのはそれじゃない気がするんだ、申し訳ない・・・。何か・・何かが私を待ってるような気がする。


ある程度回ってみたが・・なかなか御目当てが見つからないか。ん〜、やはりさきほどの漬物を・・ん?あ・・・あれはまさか!?

「ふふ〜ん♪今日も綺麗に乾燥してるわ〜」

嘘だろ・・今まで何度も妄想で愛してた雪女さんが・・あの雪女さんが・・私の好物の鮭の干物を・・ハッ!?誰かに先を越される前にいただかないと!

「あらぁ、いらっしゃいませ〜。今から鮭を切り分けますので少々お待ちくださいね」

うんうんうんうんうん!!何時間でも待ちます!嗚呼。なんて綺麗な包丁捌き。干物よりも雪女さんの細く柔らかそうな指先に目が行ってしまう。飾りつけに笹の葉を敷くのも最高ですな。

「はぁい、それでは浸しますね」

え、浸す?それってもしかして・・酒瓶。

「さらさら〜と、はい出来上がりです♪鮭の酒びたしの完成です♪さ、召し上がれ♥」

ぬっっっっっっっはあああああああああああ!!来たわ来たわ来ましたあああああああああ!御飯のお供に最高!そそ・・それでは一口・・。

「・・・んんまああああああああああいっ!」

鮭から溢れ出す僅かな脂が浸した酒に染み出して・・・・カチカチに干された鮭とは思えないほどの濃厚な味が口一杯に広がるぅぅぅぅーーー!

「ああ・・この一切れで天国に逝けます・・」

「それでは御飯をこちらに・・もっともっと天国を味わってくださいね」

何をするんだろう・・おにぎりか。うん、雪女さんが握ってくれるおにぎり・・嗚呼、最高じゃない・・か??

「先を3つに割った竹を刀に見立てておにぎりに刺しますね〜・・・そしてほんの少しだけおうちから持ってきた自家製味噌を塗って〜・・・、はぁい少しだけお借りしますね〜」

「ちょ、ちょっとーーー!アタイの尻尾の炎でおにぎり焼くんじゃないよ!」

「はい♪簡単な形になってしまいましたが『けんさ焼き』出来上がりました〜』

「あ、ありがとうございます」

も、もうダメだ・・。感動で涙流しながら食べてるのがはっきりわかる。これほど・・これほどの愛情料理は今まで親の料理以外では味わった事が無かった。嗚呼、けんさ焼きに鮭の酒びたし・・なんて最高な組み合わせ。これなら帰ってすぐに良い夢を見れそうだ。

「あらあら・・涙を拭かせて頂きますね」

え?指で涙を・・って凍った!

「ん・・・綺麗な涙♪・・ふふ、私もお腹が空きましたので頂きますね。んっ・・美味しい♥」

ひぃやぁっぁぁぁぁぁーーー!すっごい恥ずかしい!まさか私の涙を凍らせて食べるなんて想像もしなかった!


「お互いにお腹も満たされましたし・・それではお片づけの準備に入らせていただきますね」

へ?もう終わりなのですか!?そ・・そんなあ・・・雪女さんと仲良くなれる僅かな希望が・・、ん?こっちチラチラ見てるけど何かな?

「ねぇ・・・・」

「は、はいっ!」

「・・・・6日後に雪が降りますわ♪」

6日後に雪が降る?一体どういう意味だろ?それになんで小声で・・。

「最近は暑くてなかなか外出出来ない日が多くて困りますわ」

暑くて動けない・・・6日後に雪が降る・・あっ!?

「そろそろ雪・・降ってくれないかしら。そうね〜・・出来ればその時に・・寄り添える温かい何かがあると嬉しいかしら〜」

はいはいはいはい!その役目、私が立候補いたします!絶対に絶対に雪が降る6日後に来ますから!

「また・・・逢えると嬉しいわ。それではごきげんよう・・・6日後に・・・また、逢いましょう♥

嗚呼・・行ってしまった。だけど・・6日後にまた逢えるんだ!雪が降り始める日にまた手料理が・・・。よし、私も帰ろう!会計はどこだ。今ならいくらでも払ってやるぞ!



「310円になりま〜す♪」


本当にその値段でいいのか・・。噂通りの金額だけど経営は大丈夫なんだろうか。でも・・ふへへへ・・、6日後かー。次はどんな手料理が出てくるんだろう。深雪汁かなー、それともわっぱ飯かなー。いや・・のっぺい汁やへぎそばもいいなあ。


      『早く一面銀世界になーれっ!!』





〜Jackry氏の場合〜

こやぁぁぁんこやぁぁぁん♪今日は休みだ、狐村だ。なんて嘘です。行きたいなあ・・狐村。あのつぶらな瞳。人懐っこく愛くるしい挙動。モッフモフの尻尾。普段は警戒して耳がピンと真っ直ぐに立ってるのに寝てる時はペッタンコになってラブリー♥狐可愛いよ狐狐。まぁでも、妖狐さんのモッフモフ尻尾が最強なんです。以前、仕事中に見かけた人妻妖狐しゃんきゃわゆかったぁー。とりあえず旦那さんはモゲロ。悔しくなんか無いんだからねっ!愚痴ったら虚しくなるから朝ご飯食べよ・・。

「冷蔵庫に何があったかなー・・・ぉ、冷凍チャーハンみーつけた!チンして食べよ♪」


-チーン♪-

「いっただきます・・はふ、・・・・いまいち」

味がいまいちなのはわかってたし。虚しくて涙出たのもわかってたし!うう・・偶には美味しい手料理食べたいよぉ。誰か私に妖狐さんのおぱんちゅくだしゃい。一枚あればそれをおかずに朝昼晩、御飯だけの10年でも余裕ですからぁっ!もぎゅもぎゅ・・・冷凍チャーハンいまいち。

「ごちそうさまですたん!」

今日は早起きしたしどこ行こうかな。音ゲー行きたいし、お買い物も行きたい。冷蔵庫の中身寂しいからスーパーも行きたい。色々する事があるなー。あ、そういえば今日の晩に妖狐様フィギュア1/1が届くんだった。むっふふふふ、明日から毎朝『妖狐しゃま、おは妖狐ン♪』が言えるんだ。早く届かないかなー。よっし、元気百倍!まずはお買い物〜。

「うん、こうなる事ぐらいわかってた・・・」

無いんだよねぃ、欲しい時に限って売り切れとかデフォだよねぃ。しょうがない、またの機会に。じゃ、気を取り直して音ゲー・・は何か嫌な予感がするので辞める。でも、チラッとだけでも〜・・・。

「・・・」

サッキュンの団体に占拠されまんた。行かなくて良かった。凸してたら絶対お持ち帰りされてたよ。あれ絶対に回りのギャラリー狙いにしか見えない。ふぅ〜、これはきっと妖狐しゃんが『近寄っちゃダメよ?行ったらメッするわよ?』と報せてくれたに違いない。ありがとう妖狐しゃん!今晩妖狐しゃんをお迎えしたら感謝の証に可愛がりまくるから!よし、今日は裏の裏を斯いて普段しない事をしてみよう。首都高ぶっ飛ばすぜ!

「・・・・ガラガラだ〜、ほとんど走ってねー」

だったら、このまま見知らぬ山ん中まで突っ切って!

「・・・なして山ん中にラブホが沢山並んでるの」

虚しい・・、バカな事するんじゃなかった。なんだか時間を無駄にした感があり。今日は大人しく妖狐しゃん1/1が届くの待ってよう。Uターンして早く帰る。帰るったら帰るの。

「ふぅー・・・、流れる景色を見て心落ち着けて・・ぐぅぅぅ〜〜・・・」

お腹空いた。ここらで適当に下りて飯屋探そ。って、此処どこ!?変なとこで下りちゃったよ!ナビナビ!ナビ検索だ!

「う・・・映ってない。なして!?どして!?」

ちょっ!?・・・ま、いいかあー、適当に走れば標識出てくるでしょ。ほら見えた。って、なーんだ・・お隣の県でしたか。焦って損した。んじゃこっちにみちなりに進めば帰れるし、余裕ですやん。ついでに飯屋探してこー。

「なんかいいとこないー?出来ればモッフモフなお姉さんが居る店がいいなー」

無いなー、もうちょい先まで行って駄目なら家で食べよ。

「無いな、帰ろ・・待った!行列の出来る店ハケーン」

これは美味そうな匂いがプンプンしてくるぜ〜。幸いにも懐はあったかいなり。んで・・・駐車場どこ?裏かな?回ってみたけど無い。どこだ?もしかして路上駐車確定!?今キップ切られたら痛いんよ!点数つらたん!あ・・・

「おーーぃ、こっちこっちー!あんた客だろー?」

うほっ、腹筋むっきむきのアカオニさんが呼んでる。あそこに行けばなんとかしてくれるのかな?

「オーライオーライ・・・おおっし!そこでいいぞー」

「ここでいいの?」

「ああ、ここでいいぞ。アタシが見張ってるから列に並んでこいよ」

ラッキー♪これで飯食えるぜぃ。ありがとさーん♪


「・・・・・あいつ、なかなか美味そうな匂いしてたな・・・ジュルリ」


並ぼ並ぼ♪少し時間ずれてるから早く入れそうな雰囲気。30分ぐらい待てばいけるかな。

「次でお待ちのお客様ど〜ぞ〜」

・・ブヒッ!?呼び出し係が狐火ちゃんですと!?こ、これはお近づきになれたらペロペロしなくては。

「次でお待ちのお客様ど〜ぞ〜」

ウヒッ!?早い!早いよ!?あ・・・あ、待って・・狐火ちゅゎんがーーーー!


「ううぅ・・・、折角お近づきになれると思ったのに・・」


「いらっしゃいませ〜、御飯はいかがでしょうか〜」
「いらっしゃいませ〜、焼きたてのパンはいかがですか?」

…!?な、なんというトラップ!私がモフラーだと知っての選択なのか!・・・御飯頂きまっす!!!あざーーーーーすっ!!

「それでは奥の部屋へお進みくださいね」

はいはーい、喜んでー・・・アヒン!目の前をピクシーたんが飛んでいった!危ないじゃないか。ピクシーたんのちっちゃなおっぱいが顔に当ったらハァハァするじゃないの。しないけど。しかし・・まぁ、居るわ居るわ。もしかして多種族交流、じゃないっぽい。ここでおかず選ぶのねん。

「おかずを選ぶって事は・・この中に妖狐しゃんが居る可能性が微レ存!?」

むぅふふふふぅ〜〜、待っててね〜よ〜うこちゅゎぁ〜〜ん♪未来の旦那様が今いっくよぉ〜〜ん♥


「見つかりませんですたん・・・、どうして・・どうして居ないの・・」

こんなのあんまりだよぉ〜・・、他の種族は沢山居るのにどうして妖狐しゃんだけ居ないのぉ!!詐欺だ!訴えてやるっ!・・・誰に?

「うう・・御飯だけ持ってうろうろするのも悲しいし・・何か他の好物でも探そう」

結局一周して入り口まで戻ってきてしまった。悲しみ!!この悲しみを今晩1/1妖狐しゃんにぶつけて!!ぁ、良い匂い。何かを炒める準備してるようなこの鉄鍋の匂いは・・ってええええええ!妖狐しゃん居たああああああああああああああ!?入り口の真横に居たのねええええ!!なんたる不覚!狐スキー第一人者たる私がなんたる失態。こうなったらお詫びに妖狐しゃんの前で鼻から御飯食べてやりゅぅぅ!

「私の前で何変な事しようとしてるのよ?」

ショ・・ショック。変な事って言われちったよぉ。鼻から御飯食べるよりきつい一言だし。

「ほら、今から準備するからそこで大人しく待ってなさい」

ほぇ?大きな中華鍋コンロに置いたままで何するの?ベーコンと葱をみじん切りに・・って、速っ!?

「早くこちらに御飯寄こしなさい」

「ァ、ハイ」

ほぇ?鍋にマヨネーズ入れ・・・あちゃちゃちゃ!鍋が温まってたからマヨネーズが一瞬で溶けて跳ねてきた!

「そこで立ってると油が跳ねて危ないから下がってて」

鍋に豪快に御飯をボンッと・・炒めて炒めて、これもしかして炒飯作ってるっぽい。さっき刻んだ葱とベーコンを混ぜて・・やっぱり炒飯だ。んで、溶き卵の出番ですよねー。でも、今どこから出したの?そして味付けのトドメの塩・・・胡椒・・・の瓶が妖狐しゃんのお胸の谷間からにょっきりと・・ウラヤマシス!ああ、あの細い腕で器用に鍋を振ってお玉に炒飯篩い集める姿が素晴らすぃ。でも、・・・炒飯見ると今朝の微妙な味が口の中で思い出されて・・。

「ほ〜ら、何があったのかわからないけどこれ食べて元気出しなさい・・あ、そうそう自家製キムチもたっぷり乗せてあげるわ」

はうっ!どっさりキムチですやん!美味しそう・・。炒飯に混ぜるんじゃなくて天辺にキムチ山盛り乗せるのって案外美味いんよね。単品で食ってもいいし炒飯と一緒に口に放り込んでもGOOD!!妖狐しゃんの手作り炒飯・・キムチと一緒にいっただきまーす!

「はうっ!・・・・」

「あら?少し辛かったかしら?」

うううう・・うみゃぁああああーー!朝食べた微妙炒飯なんて目じゃない!もう我慢出来ないんでガッツリ食べさせていただきます!

「はっ・・はふ、あつっ!うまっ!うまっ!からっ!・・・アツゥ!!」

炒飯が!キムチが!喉を通過するたびに!私の!胃袋が!もっと寄こせと!もっと注げと胃の中でブラックホールを形成するぅ!!は、言い過ぎなのでじっくり味わう事にしよ。ああ、うみゃい・・・。今朝食べた278円の冷凍炒飯もう買わね。

「もう・・そんなに急いで食べなくても炒飯は逃げないわよ。はい、お水」

「んんっ・・・んぐ・・はぁぁ・・、ありがとん!」

うめぇ・・盛り付けたキムチの辛さもほどほどで最高。でも・・・

「うぅぅ・・・、とうとう最後の一切れになってしまった」

これを食べたら・・これを食べたら妖狐しゃんとの楽しい食事タイムが終わってしまう。どうすれば・・・。

「・・・?どうしたの、やっぱり辛かったかしら?」

「この最後の一切れ食べたら・・・楽しい食事タイムが・・」

「何言ってるのかわかんないけどもう一杯食べたいの?それならそう言いなさい」

ほぇ?もしかしておかわりくれるんでしゅかぁーー!!

「ん〜〜、でもねぇ・・ここの決まりで一品しか出せないからもう無理なのよね」

がっくりでしよ・・・、妖狐しゃん手作り炒飯もう一杯食べれると思ったのに。

「もぅ・・・そんなに露骨に落ち込まないでよ。こっちだって・・ぁ」

ん、何でし?周りキョロキョロして何があるの?ってええええええええ!?

「ほら、ほっぺたに御飯粒付けちゃって・・子供みたいなんだから♪」

近い近い近いのぉ!!妖狐しゃんのお顔がーー!鼻と鼻がくっ付いてる距離なおぉーーー!

「ねぇ・・そんなに私の手料理食べたいのかしら♪」

「た・・たべたいでし・・」

「ふふ、素直な子は好きよ♪それなら・・」

そ・・それなら・・・?

「来週の火曜日に・・・また此処にいらっしゃい。いいわね、今更拒否は許さないわよ?・・・ね♥」

キマス来ます此処にキマスキテマスーー!絶対に約束忘れましぇん!妖狐しゃんのお願いを忘れるなんてありえましぇんから!ぁ、・・妖狐しゃん離れちった・・・残念。

「ん〜〜、今日は炒飯作ったから次は麻婆豆腐作っちゃおうかな〜?」

んにぃ?何の事言ってるの?

「寒くなってきたから体が温まるのって美味しく感じちゃうのよねー」

・・・?・・・・・・!

「御飯物続くのも飽きられそうなんだけどアレって凄く美味しいのよねー。体も温まるし」

はいはいはいはいはいはいはい!次も絶対に御飯選びますん!期待して待ってますん!

「さぁ〜て、それじゃ麻婆豆腐の材料を集めてこようかしら〜・・・またね♪」

あぁぁぁぁん!帰り際に投げキッスとか最高の御褒美ですやん!んじゃ、こちらも満腹になったし早く帰ろ♪


「170円でーす♪・・・・ありがとうございました〜♪」


安すぎですやぁん・・・。って、早く戻らないとアカオニさん待たせたままだったわん。


「おー、案外早かったな・・・・チッ、あの雌狐め・・・もう匂い付けてやがる。くそっ・・・アタシが先に見つけたってのによぉ

「どしたの?もしかして・・お、怒ってます?ままま・・待たせすぎましたでしゅかぁ・・・」

「ん?あ、いや違うぞ!なんでもないぞ!きにすんな、ほら、次の奴が待ってるから早く乗って発進させろよ」

よ、良かったぁ〜〜・・・もし待たせすぎて御立腹でしたら車なんて簡単にペッタンコにされそうだし・・・。

「ああそうだ、次来る事あったら・・・友人沢山連れて来いよな」

「また来るよ!次は皆誘って来るよん!」

「よ、よぉ〜し・・物わかりいいじゃねぇか。よしよし・・友人沢山連れてくるんなら車庫確保しといてやるよ♪」

「ありがとですん!んじゃまた来るよー♪」



むへへへへへへぇぇぇ・・・・火曜日火曜日♪ちょうど休みなんだよなー。ん?あるぇ??何か忘れてる気が・・・?あああああああああああああああああ!?今日の晩に妖狐しゃん1/1が届くんだったーー!どうしよどうしよ!?そんなの持ってたら妖狐しゃんに軽蔑されちゃうのん。んんんんんんーーーーっ!



            『もったいないけど返品!!』




15/12/20 21:01更新 / ぷいぷい
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■作者メッセージ
だらだらし過ぎた結果がこれだよ!次でラストだぉ!

次回「結社さん新婚プレイに嵌まる」をお送りします(嘘)

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