電気風呂
〜痺れるような愛を〜
鈎爪をカチャカチャと鳴らしながら早足で歩く。不機嫌を表わしたかのような速いテンポの音の間隔が更にアタシの精神を苛立たせてくる。いくら苛立ってもしょうがない事だけど、それでもやっぱりアタシは苛立つ。仕事帰り、同僚でもあるワーキャットのクーと一緒に帰ろうとしたら『ごめんニャー、今日は彼氏と一緒にゴハン食べるニャー』とか言ってさっさと帰ってしまった。どうせ食事の後には食べて食べられてのしっぽりタイムに入るんだろ。それに・・・。
「いつのまにか男見つけやがって羨ましいぞ!チックショォォォーー!!」
つい大声で叫んでしまう。周りに居た連中が寂しそうな目でアタシを見つめてくるがこの際気にするもんか。居ないもんは居ないんだ!どうせアタシみたいな凶暴で獰猛でガサツなサンダーバードになんて男は寄ってこないよ!はぁ、・・・寂しいなぁ。今日から一人寂しく銭湯通いかぁ。昨日まではクーが一緒だったのになー。あー、もうヤメヤメ!不貞腐るなんてアタシらしくも無いし。
「ちわーっ。入りに来たよー」
「あら、いらっしゃい。・・・、クーちゃんはどうしたの?」
「・・・あいつ、男出来たって・・」
「そうなんだ。って、なんだか不機嫌そうね?」
「・・・うっせ・・。どうせアタシは・・」
これ以上言うと情けないんで言わない。愚痴ったところで男出来る訳じゃないし。さっさと脱いで風呂入ろ。・・・脱衣所でスポーツブラを脱ぎながら毎回思う事がある。なんでアタシらの種族って・・B(何がとは言わない)が多いんだろうなあ・・。せめてCあったらなー。そうすりゃ少しは男を誘えるかも知れないのに。
「・・・もうちょっとだけ乳でっかくならんかなー・・」
羽先でちょっとだけ揉んでみる。くすぐったいだけでなんとも面白くない。はぁ・・・、今頃クーは男に乳揉まれて喜んでるんだろうなー。アタシも揉まれたいよなー。べ、別に誰でもいいって訳じゃないぞ!や・・やっぱさ、アタシの事を気に入ってくれる・・やつがいいよな。アタシだって・・見た目怖そうだけど・・一応お、女なんだしさ。・・・・はぁ。
<カラララララ・・・・>
シャワーでも浴びてすっきりするか。はぁ〜〜、このボタン式っての楽だよなー。押すだけで湯が出るって最高じゃん。アタシらみたいな手が翼になってるハーピー種にとってはすっげーありがたいし。
「あぁ〜〜〜、気持ちいー♪んじゃま、身体洗っちまうかー」
翼に薬用ソープを塗りつけ体中を擦る。こうすりゃ翼も身体も同時に洗えて結構楽なんだよ。羽の中に染み込んでいく青林檎の香りがたまんねぇ♪この匂い、気に入ってるんだよな。
「んぉ?ミシャじゃんか?今日は来るの早いな?」
「んぅ〜〜〜〜?おはようぅ〜〜?」
「・・・お前・・また寝呆けてんだろ」
いつの間にか隣にワーシープのミシャが座ってのんびりと体洗ってやがった。全く、寝ぼけたまま風呂に来るなよ。それでちょい前に浴槽で沈んでたんだろうが。
「今日も寝ぼけて浴槽の底に沈むなよ?」
「わかったぁぁ〜〜〜〜・・・ふわぁぁぁ〜〜〜・・」
もう既に半分寝かけてやがる。しょうがないやつだな。ま、いいさ。沈みそうになったらアタシがたっぷりと浴槽の中に放電してやるからさ。後の事はどうなっても知らんけど。しっかしこいつ・・結構胸でけえなあ。C・・?いや、D近くあるんじゃないのか?クソッ・・アタシもこんだけ胸でかけりゃなあ。そうすりゃ今頃は・・・。あるわけねえか・・・。とっとと泡流して風呂入るか。
「ふぃ〜〜、この電気風呂っての最高だよ。ま、アタシの放電にゃまだまだ足りないけどな」
アタシお気に入りの電気風呂に浸かってのんびり寛ぐ。この時間が最高なんだよな。・・はぁ、いい気分だなあ。あんまりにも気持ちよすぎて・・んぁ・・・ここでやっちゃいけないってわかってても・・手が。
「んふぅ・・、んんぅ!」
「・・・んほぉぉぉぉぉぉ!!」
「!?」
な、なんだよ今の!言っておくけどアタシの声じゃないからな!って、あれ?何も聞こえなくなったぞ?アタシの気のせいだった・・のか?誰も気付いてないっぽいし。はぁ・・・男の声の幻聴が聞こえるようじゃアタシも最悪だな。気が逸れたけど・・・もうちょっとだけ。どうせ誰も電気風呂に入ってこないし。
「・・んっ・・、ぁぅ・・・、んくっ・・・ん!」
誰からも見えないようにこっそりと浴槽内でオナニーする。最低な事してるな、アタシ。でも、手が止まらない。
「ふぅん・・・ッ!・・うぅんん・・・」
「んぉっぉっぉおぉぉっぉ!またきたぁぁぁぁぁっ!!これ最高!!」
「!!!」
だからナンなんだよ!?なんでアタシがこっそりオナニーしたら変な声が聞こえてくるんだよ!?って・・・ん?そういやこの壁の向こう側って・・もしかして。ちょっとだけ・・ちょっとだけだし・・。
「んふぅ・・・ぅぁん!」
「おふっ!ピリピリ来たっ!?」
ま、・・まさかアタシが放電した電気が向こうに伝わってる・・?はは・・そんなバカな事ってあるわけないよな。なんか今日はいまいち調子出ないしもう上がっちまおう。
はぁ〜〜、なんだか今日は余計に疲れちまったなぁ。ちょいとビールでも飲んで帰って速攻寝ちまおう。
「もう帰っちゃうの?今日は早いのねー?」
「ぁ〜〜・・なんか気分乗らなくてさー・・。あ、ビール貰っていくよ」
「はいはい・・、あまり呑み過ぎないようにね?」
番台の正面に置いてある椅子に腰掛け缶ビールのプルタブを羽で器用に開ける。
<プシュッ♪>
あー、いい音する。やっぱ風呂上りにゃこれだな。んぐ・・んぐっ・・・んんっ・・ぷはぁっ!かぁ〜〜〜、うめぇ!・・・ん?なんだアイツ?なんでアタシをずっと見てんだ?
「なんだい?アタシに何か用でもあるん?」
全く・・いくらアタシに男が居ないからって見知らぬやつにジロジロ見られながらビールを呑む気はないぞ。って・・おい、なんで近づいてくるんだよ。
「あ、あのさ・・・さっき・・」
「?」
ん?何だ?もしかしてアタシをナンパでもしようってのか?って、それは無いか。アタシみたいな凶暴な女を好む物好きなやつなんて・・。
「あ、・・・あの!さっき電気風呂で!」
「・・・ウッ!!」
げ、もしかしてさっきの変な声って。もしかしてこいつの・・。
「やっぱりさっきのはあんただったのか!・・・あ、ああ・・あのさ!」
「・・・ぅ・・、な・・なんだよ・・」
「お、俺・・あんたの痺れるような快感に心底惚れちまったんだ!頼む・・
俺と付き合ってくれ!!」
「・・・・・・ぇ?」
こいつ、今何て言ったんだ?アタシに付き合ってくれだって?ハハハ・・そんな訳・・・。
「もしかして・・迷惑だったか・・」
なんでそんなしょげた顔すんだよ!まだ何にも返事してないだろ!・・・あああ、もう!
「しょ、しょうがねぇなー。お、お前がそこまで言うんだったら・・つつっつ付き合ってやってもいいぞ」
「ほ、本当か!ありがとう!!」
ちょ、ちょっと!なんでいきなり抱き付いてくるんだよ!って、ああ!ビールが零れて!もったい・・なくないか。今はビールなんかよりももっといい物が偶然にも手に入ったし。あ〜、なんかいいなぁ・・こうやって男に抱き締められるのって。こりゃクーの気持ちもわかるわ。
「ぁ・・ごめん。買ったばかりのビールが・・・」
「いや、いいよ。ビールなんていつでも飲めるしな!それに・・」
「それに?」
「零れた分はお前に奢ってもらうとするから♪」
ああ、もう!なんでそんな嬉しそうな顔すんだよ!そんな顔されたら欲情しちまうだろ!我慢出来なくなっちまうだろ!
「そういや名前言ってなかったな。アタシはライナ。こっちではサンダーバードだからって事で雷奈って呼ばれてる」
「お、俺は・・・ 」
よっしゃ、御互い名前もわかった事だし・・一丁呑みに行くとすっか。もちろんお前の驕りでな♪
「今日はとことん呑んでやるぞぉっ!!」
翼で抱き寄せ肩を並べて一緒に歩く。こういうのって本当は憧れてたんだよな。それにしても、やっとアタシにも・・・、アタシにも・・。
『此の世の春が来たぁぁぁぁーーー!!』
鈎爪をカチャカチャと鳴らしながら早足で歩く。不機嫌を表わしたかのような速いテンポの音の間隔が更にアタシの精神を苛立たせてくる。いくら苛立ってもしょうがない事だけど、それでもやっぱりアタシは苛立つ。仕事帰り、同僚でもあるワーキャットのクーと一緒に帰ろうとしたら『ごめんニャー、今日は彼氏と一緒にゴハン食べるニャー』とか言ってさっさと帰ってしまった。どうせ食事の後には食べて食べられてのしっぽりタイムに入るんだろ。それに・・・。
「いつのまにか男見つけやがって羨ましいぞ!チックショォォォーー!!」
つい大声で叫んでしまう。周りに居た連中が寂しそうな目でアタシを見つめてくるがこの際気にするもんか。居ないもんは居ないんだ!どうせアタシみたいな凶暴で獰猛でガサツなサンダーバードになんて男は寄ってこないよ!はぁ、・・・寂しいなぁ。今日から一人寂しく銭湯通いかぁ。昨日まではクーが一緒だったのになー。あー、もうヤメヤメ!不貞腐るなんてアタシらしくも無いし。
「ちわーっ。入りに来たよー」
「あら、いらっしゃい。・・・、クーちゃんはどうしたの?」
「・・・あいつ、男出来たって・・」
「そうなんだ。って、なんだか不機嫌そうね?」
「・・・うっせ・・。どうせアタシは・・」
これ以上言うと情けないんで言わない。愚痴ったところで男出来る訳じゃないし。さっさと脱いで風呂入ろ。・・・脱衣所でスポーツブラを脱ぎながら毎回思う事がある。なんでアタシらの種族って・・B(何がとは言わない)が多いんだろうなあ・・。せめてCあったらなー。そうすりゃ少しは男を誘えるかも知れないのに。
「・・・もうちょっとだけ乳でっかくならんかなー・・」
羽先でちょっとだけ揉んでみる。くすぐったいだけでなんとも面白くない。はぁ・・・、今頃クーは男に乳揉まれて喜んでるんだろうなー。アタシも揉まれたいよなー。べ、別に誰でもいいって訳じゃないぞ!や・・やっぱさ、アタシの事を気に入ってくれる・・やつがいいよな。アタシだって・・見た目怖そうだけど・・一応お、女なんだしさ。・・・・はぁ。
<カラララララ・・・・>
シャワーでも浴びてすっきりするか。はぁ〜〜、このボタン式っての楽だよなー。押すだけで湯が出るって最高じゃん。アタシらみたいな手が翼になってるハーピー種にとってはすっげーありがたいし。
「あぁ〜〜〜、気持ちいー♪んじゃま、身体洗っちまうかー」
翼に薬用ソープを塗りつけ体中を擦る。こうすりゃ翼も身体も同時に洗えて結構楽なんだよ。羽の中に染み込んでいく青林檎の香りがたまんねぇ♪この匂い、気に入ってるんだよな。
「んぉ?ミシャじゃんか?今日は来るの早いな?」
「んぅ〜〜〜〜?おはようぅ〜〜?」
「・・・お前・・また寝呆けてんだろ」
いつの間にか隣にワーシープのミシャが座ってのんびりと体洗ってやがった。全く、寝ぼけたまま風呂に来るなよ。それでちょい前に浴槽で沈んでたんだろうが。
「今日も寝ぼけて浴槽の底に沈むなよ?」
「わかったぁぁ〜〜〜〜・・・ふわぁぁぁ〜〜〜・・」
もう既に半分寝かけてやがる。しょうがないやつだな。ま、いいさ。沈みそうになったらアタシがたっぷりと浴槽の中に放電してやるからさ。後の事はどうなっても知らんけど。しっかしこいつ・・結構胸でけえなあ。C・・?いや、D近くあるんじゃないのか?クソッ・・アタシもこんだけ胸でかけりゃなあ。そうすりゃ今頃は・・・。あるわけねえか・・・。とっとと泡流して風呂入るか。
「ふぃ〜〜、この電気風呂っての最高だよ。ま、アタシの放電にゃまだまだ足りないけどな」
アタシお気に入りの電気風呂に浸かってのんびり寛ぐ。この時間が最高なんだよな。・・はぁ、いい気分だなあ。あんまりにも気持ちよすぎて・・んぁ・・・ここでやっちゃいけないってわかってても・・手が。
「んふぅ・・、んんぅ!」
「・・・んほぉぉぉぉぉぉ!!」
「!?」
な、なんだよ今の!言っておくけどアタシの声じゃないからな!って、あれ?何も聞こえなくなったぞ?アタシの気のせいだった・・のか?誰も気付いてないっぽいし。はぁ・・・男の声の幻聴が聞こえるようじゃアタシも最悪だな。気が逸れたけど・・・もうちょっとだけ。どうせ誰も電気風呂に入ってこないし。
「・・んっ・・、ぁぅ・・・、んくっ・・・ん!」
誰からも見えないようにこっそりと浴槽内でオナニーする。最低な事してるな、アタシ。でも、手が止まらない。
「ふぅん・・・ッ!・・うぅんん・・・」
「んぉっぉっぉおぉぉっぉ!またきたぁぁぁぁぁっ!!これ最高!!」
「!!!」
だからナンなんだよ!?なんでアタシがこっそりオナニーしたら変な声が聞こえてくるんだよ!?って・・・ん?そういやこの壁の向こう側って・・もしかして。ちょっとだけ・・ちょっとだけだし・・。
「んふぅ・・・ぅぁん!」
「おふっ!ピリピリ来たっ!?」
ま、・・まさかアタシが放電した電気が向こうに伝わってる・・?はは・・そんなバカな事ってあるわけないよな。なんか今日はいまいち調子出ないしもう上がっちまおう。
はぁ〜〜、なんだか今日は余計に疲れちまったなぁ。ちょいとビールでも飲んで帰って速攻寝ちまおう。
「もう帰っちゃうの?今日は早いのねー?」
「ぁ〜〜・・なんか気分乗らなくてさー・・。あ、ビール貰っていくよ」
「はいはい・・、あまり呑み過ぎないようにね?」
番台の正面に置いてある椅子に腰掛け缶ビールのプルタブを羽で器用に開ける。
<プシュッ♪>
あー、いい音する。やっぱ風呂上りにゃこれだな。んぐ・・んぐっ・・・んんっ・・ぷはぁっ!かぁ〜〜〜、うめぇ!・・・ん?なんだアイツ?なんでアタシをずっと見てんだ?
「なんだい?アタシに何か用でもあるん?」
全く・・いくらアタシに男が居ないからって見知らぬやつにジロジロ見られながらビールを呑む気はないぞ。って・・おい、なんで近づいてくるんだよ。
「あ、あのさ・・・さっき・・」
「?」
ん?何だ?もしかしてアタシをナンパでもしようってのか?って、それは無いか。アタシみたいな凶暴な女を好む物好きなやつなんて・・。
「あ、・・・あの!さっき電気風呂で!」
「・・・ウッ!!」
げ、もしかしてさっきの変な声って。もしかしてこいつの・・。
「やっぱりさっきのはあんただったのか!・・・あ、ああ・・あのさ!」
「・・・ぅ・・、な・・なんだよ・・」
「お、俺・・あんたの痺れるような快感に心底惚れちまったんだ!頼む・・
俺と付き合ってくれ!!」
「・・・・・・ぇ?」
こいつ、今何て言ったんだ?アタシに付き合ってくれだって?ハハハ・・そんな訳・・・。
「もしかして・・迷惑だったか・・」
なんでそんなしょげた顔すんだよ!まだ何にも返事してないだろ!・・・あああ、もう!
「しょ、しょうがねぇなー。お、お前がそこまで言うんだったら・・つつっつ付き合ってやってもいいぞ」
「ほ、本当か!ありがとう!!」
ちょ、ちょっと!なんでいきなり抱き付いてくるんだよ!って、ああ!ビールが零れて!もったい・・なくないか。今はビールなんかよりももっといい物が偶然にも手に入ったし。あ〜、なんかいいなぁ・・こうやって男に抱き締められるのって。こりゃクーの気持ちもわかるわ。
「ぁ・・ごめん。買ったばかりのビールが・・・」
「いや、いいよ。ビールなんていつでも飲めるしな!それに・・」
「それに?」
「零れた分はお前に奢ってもらうとするから♪」
ああ、もう!なんでそんな嬉しそうな顔すんだよ!そんな顔されたら欲情しちまうだろ!我慢出来なくなっちまうだろ!
「そういや名前言ってなかったな。アタシはライナ。こっちではサンダーバードだからって事で雷奈って呼ばれてる」
「お、俺は・・・ 」
よっしゃ、御互い名前もわかった事だし・・一丁呑みに行くとすっか。もちろんお前の驕りでな♪
「今日はとことん呑んでやるぞぉっ!!」
翼で抱き寄せ肩を並べて一緒に歩く。こういうのって本当は憧れてたんだよな。それにしても、やっとアタシにも・・・、アタシにも・・。
『此の世の春が来たぁぁぁぁーーー!!』
14/08/02 22:31更新 / ぷいぷい
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