毎週日曜朝8時放送･･･してるといいな
走る。走る。走る。俺はどこまでも走り続ける。ただ一つの目的を果たす為だけに前だけを見つめる。ある情報を手に入れた俺はアイツを追う為だけに全ての気力・体力を振り絞り廃墟が立ち並ぶ旧市街地へと駆ける。
「やっと見つけた･･･、今度こそアイツを・・！」
人一人居ない無人の廃墟に到着した俺は辺りを見回す。崩れ落ちたビル、鉄骨が剥き出しになり全てを拒絶するかのようなボロアパート。見渡せば見渡すほど虚無感に襲われるが俺はこんな所で立ち止まる訳にはいかない。アイツがここに居る事はわかっているんだ。そしてアイツもきっと･･･俺が近い内に此処を嗅ぎ付けてやってくる事がわかっているだろう。
捜す。捜す。捜す。俺はアイツだけを追い続け此処まで来たんだ。今日こそはアイツに引導を渡してやる。
思い返せばアイツと初めて会ったのが半年ほど前。俺はアイツの秘めたる力に手も足も出ず完敗した。あの屈辱は一生忘れない。あの日、アイツはこう言った。
「その程度の力でヒーロー気取りなの？私一人に無様にやられるヒーローなんてヒーローじゃないわね。･･･ま、今日は機嫌がいいからお情けをあげるわ。さっさとこの場から去りなさい、そして今日限りでヒーローごっこなんて辞める事ね･･･」
情けなかった。完膚無きまでに叩きのめされ心を折られ、ヒーローを辞退しろと言われたのに何も言い返せなかったあの時の自分が悔しい。だが、････その情けが今日のお前の敗因となるだろう。俺はもう・・あの時の俺じゃない！確かに俺はアイツに会うまで格下と思われる雑魚ばかりを相手にしていたと今更ながら思う。だからこそ俺は驕り昂っていたんだろう。ヒーローという名の職業に。ある意味、俺はアイツに出会えて良かったと思っている。ヒーローの力だけに頼り自らを鍛えなかった俺を叩きのめしてくれた事に感謝する。そのおかげで俺は･･･新しい力を得たのだからな！
「アイツだけを求め･･･手に入れたこの力。今こそ開放する時だ！」
拳を握り締め崩れかかっている廃ビルの壁を殴りつける。俺の拳は簡単に壁を突き抜ける。そして拳を引き抜くと衝撃に耐えれなかったのか廃ビルは音を立てて崩れていった。
「この程度の力では・・アイツには通用しない。だが・・あの奥義さえ当てれば確実に勝てる！」
----------------------------------------
何かが崩れ落ちる音が聞こえる。きっと外の廃ビルか何かが崩れたんでしょうね。でも、それにしては音が綺麗だったわ。まるで一瞬で壊されたかのような綺麗な音。なんだか耳がヒクヒクと忙しなく動く。何かを探るように、求めるように。･･･聞こえる。アイツの声が・・息遣いが・・鼓動が。とうとう来たのね、ヒーロー気取りのボクちゃん。懐かしいわね、あの時・・私に手も足も出なかったボクちゃんがここまで成長するなんて嬉しいわ。さぁ、早く此処を突き止めかかってらっしゃい。私は此処に居るわ。でもね、･･･もし期待通りの力じゃなかったら・・・今度こそ引導を渡してあげるから覚悟しなさいね。
-----------------------------------------
どこだ、アイツはどこに居るんだ。地上は全てくまなく探したはずなのに。いや、焦るな俺。アイツは絶対に此処で待っているはずだ。俺と戦う為に。次こそ俺に引導を渡す為に。もしアイツが俺の事をまだ格下と思ってるのなら絶好のチャンスだ。その時こそ、俺が極めた奥義をぶち当ててやる。しかし、何故アイツが居ないんだ。絶対に此処に居るはずなんだが。俺は空を見上げ深呼吸する。
「相手を焦らし自分のペースに持っていくのがアイツの得意技だったな・・。す〜〜〜〜・・・・はぁ〜〜〜〜〜・・・・・、良し！」
心をクリアにした事で見えてくる別世界。目を閉じる。見えない風を肌で感じる。瓦礫が崩れる音、ビルとビルの間を吹きぬける隙間風の音。そして・・・誰も居ないはずの廃墟に僅かながらに聞こえてくる誰かの息遣い。これは俺の呼吸音じゃない。アイツだ。近くに居るのがわかる。どこから聞こえてくる。どこだ、どこに居るんだ。風に乗って聞こえるアイツの息遣い。･･････上か！右斜め前方に５階建てほどの廃ビルが建っているのが見える。この屋上か。俺は意を決して廃ビルに突入した。
-----------------------------------
「ふふふふ・・、御名答。私の気配を感じ取れるなんて・・なかなか成長したじゃない・・ボクちゃん♪さぁ、･･･私は此処よ。早く私を満足させなさい♪」
あの時の青年がここまで成長するなんて思ってもなかったわ。僅か半年で私の気配まで察知出来るほど強くなってるだなんて。これは期待してもいいかもね。私は唇の端を舌なめずりし来たるべき戦いに興奮を隠せない。
「嗚呼、･･･この胸の高鳴り・・早く・・早く鎮めて頂戴・・・♪」
------------------------------------
廃ビルに突入した俺が最初に見た物は朽ち果てたロビーと応接間。さて、･･･アイツがすんなりと俺を待っているはずが無い。きっと屋上までに様々な罠が仕掛けてあるだろう。一歩一歩気を引き締め歩く。だが全くと言っていいほど罠の気配は感じられない。もしやアイツはまだ俺の事を格下ヒーローと思っているんだろうか。もしそう思われていても俺は反論出来ない。前回、･･･無様にもやられたんだからな。俺みたいな格下ヒーローに罠なんて必要無いと思ってるなら今こそチャンスだ！俺は特別にブレンドした最強のチャージドリンクを飲む為にポケットに手を突っ込んだ。ポケットから小さな小瓶を取り出し、それを一気に嚥下する。力が漲る。体中にマグマが流れてるかのような、今すぐにでも爆発しそうなエネルギーが俺の体を駆け巡る。今ならわかる！勝てるとまではいかないが相討ち狙いで倒せるかもしれない。いや、相討ちじゃダメだ。俺は絶対に勝つんだ。
-------------------------------------
「･･････！何かしら・・この胸騒ぎは・・。とてつもない大きな力を感じる。まるで大自然が突然爆発したかのような・・・。まさか・・あのヒーロー気取りのボクちゃん・・・」
今までに感じた事の無いエネルギーの奔流が私のすぐそばを流れていく。私の頬を撫で、太腿に絡みつき消えていく不可視のエネルギー。素晴らしいわ・・、こんなに成長していたなんて。ああ・・もう我慢出来ないわ・・。早く・・早くいらっしゃい！私を・・心の底まで満足させて！
--------------------------------------
チャージドリンクを飲んだ俺は体中に巡るエネルギーに身を任せ一気に階段を掛け上がる。きっとアイツは扉の正面に居るはず。そして俺は屋上への扉を真正面に蹴破った。吹っ飛ぶ鉄製の扉。予測通りの場所に居たアイツ目掛けて鉄製の扉が襲いかかるが見えない壁によって弾かれ地上へと落ちていく。
「はっ！・・やっぱりこの程度じゃ掠りもしないか」
「･･･久しぶりね、ボクちゃん♪あれからお漏らし癖は止まったのかしら？ふふふ・・・♪」
「・・・クッ！」
ダメだ、アイツの言葉に惑わされるな。これがアイツの得意ペースだ。こうやって相手を激昂させ隙を作らせる。前回、嫌というほど味わったじゃないか。しっかりしろ俺。
「ふんっ、・・そう易々とは踊らされんぞ。それに・・・」
「それに･･･？」
「俺はあの時の俺とは違う!!」
一瞬で間合いを詰めようとする俺に合わせてアイツも突っ込んでくる。交差する影と影。光と闇。ほんの瞬きする一瞬でアイツと俺の場所は完全に入れ替わっていた。
「･･･ふふ、･･･少しは出来るようになったのね」
「・・・・」
「だ・け・ど・♪」
「ぐぁぁぁぁぁぁっ！？」
「ちょ〜〜〜っと惜しかったわね♪後少しで・・・・！？ああああああぁぁぁぁっ！！」
俺は片膝を付きながらも耐える。後ろを振り返ればアイツもまた俺と同じように膝をついていた。
「･･･フフッ・・、や、やるわね・・。私の尾の束縛から一瞬で外れさらに急所にカウンターを決めるなんてね・・」
「ふん・・・、もったいぶらないでそろそろ本性を現したらどうだ？」
俺は何事も無かったように立ち上がりアイツの動きを探る。
「フフ・・・・アハハハハハ・・、そうね・・ばれていたんじゃしょうがないわね♪・・それじゃお望み通りに見せてあげるわ・・。これが私の本当の姿・・」
アイツの頭から狐耳が生える。腰からは6つの尻尾。これこそがアイツの正体。ジパングという国で大悪党５人衆に入ると言われている女。その名を
『妖艶５人衆が一人、如月 萌 ただいま参上〜♪』
なんてこった･･･。本性を現した途端に力が格段に上がってやがる。伊達に尾が６本って訳じゃないんだな。このままだと極めに極めた奥義を発動させるどころか前回のような無様な姿を晒すはめになるかもしれない。
「あらら〜？どうしちゃったのかしら〜♪本当の私を見て怖気づいたのかしら〜♪」
くそっ、ここまで力の差があったなんて。だけど俺は引き下がる訳にはいかないんだ！それが例えヒーロー人生の終着点に着こうとも。
「それじゃ〜〜、今度はこちらから遊んであげるわね♪」
刹那、俺の視界から完全に消えてしまった如月。目で追おうとしても感知出来ない。ならば、気配を察知すれば・・・・ぐうぅぅっ!?
「遅い遅い〜♪やっぱりまだまだボクちゃんなのね〜♪･･･やっぱり期待通りじゃなかったみたいだから一気に始末してあげるわ・・・、さようなら・・」
如月の手が俺に伸びてくる。だが俺はこのチャンスを待っていた。アイツが俺を格下ヒーローと侮った瞬間を！
「ハイチャージ!!」
「・・・・・ッ！」
俺は生体エネルギーを一点に集中させる。一点に力が集束され集まった生体エネルギーは一本の剣に変化する。かなりの熱量を帯びた剣がアイツの前に晒され怯ませる。アイツが怯んだ今こそチャンス！怯んだ一瞬にアイツの背後に回り込み拘束する。
『奥義!!クリティカル・ストライク!!』
俺が生み出した剣はアイツの防具をいともたやすく貫き急所に突き刺さりえぐりこんでいく。この奥義の前ではどんな防具も簡単に貫通してしまう。布や紙切れに剣を軽く押し当てるかのように。
「あ・・・・あ・・・・、ああああぁっぁっぁぁっぁっーーー！！」
「この時を待っていた・・・。お前が油断し俺に触れる瞬間を・・・・な！」
最後の一言と同時に剣を深く突き刺す。かなりの熱量を帯びた剣は如月の中を荒れ狂うエネルギーで蹂躙していく。
「アアァ・・・、体中に・・・熱いエネルギーが・・・あぁん・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・、一か八かの・・賭けだったが・・見事に乗ってくれたな・・・」
「・・ふふっ、・・まさかこんな・・隠し玉を・・あぅ・・・、持っていたなんて・・・ね・・ううぅ・・！」
俺は油断しないよう、突き刺した剣を抜かず更に奥へと潜り込ませる。
「うぁぁぁぁ・・・・、そ・・それ以上は・・・ダ・・ダメ・・。し・・死ぬ・・死んじゃう・・・」
「・・・今ならまだ間に合う・・。如月、・・こんな馬鹿な事は辞めて真っ当な道に進むんだ・・。はぁ・・はぁ・・・・」
やばい、・・生み出した剣が俺の生体エネルギーを奪っていってる。このままだと俺自身も危ない。なんとかして如月を説得しないと・・。
「うふふ・・・、嬉しいお言葉だけど・・。私は今までに何千・・何万という罪を犯してきたわ・・。今更そんな・・・ああん・・事を言われて・・・も・・ああっぅ・・」
「･･･そうか・・わかった。ならば・・これでトドメだ！！
究極奥義！ストライク・バースト！！
･･･ぐぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあっぁっぁぁぁぁっぁぁぁっ！」
剣に全ての力を吸い取られていく！如月の中で俺の力が暴発してるのがわかる。如月の急所に深く突き刺さったそれは俺の生体エネルギーを暴発させ荒れ狂ったように暴れ回る。
「あああぁっぁああぁぁぁぁぁぁ・・・・！！私の中で・・・中で突き刺さった剣が・・・あふぅう・・・・」
ガクリと首を落とし完全に意識が無くなった如月から剣を抜き取ると静かに寝かせる。
「･･･如月・・どうしてお前はそこまで・・・・」
如月の前で立ち尽くす俺の瞳から溢れ出る涙。どうして俺は泣いているんだ。何故悪党である如月に涙するんだ。俺の涙に反応するかのようにどしゃぶりの雨が降る。俺と如月を濡らしていく冷たい雨。ずぶ濡れになったせいか涙を隠せてちょうどいい。俺は如月の前で跪き静かに手を取る。
「せめて・・お前が悪党では無く・・一人の女性として出逢っていたなら・・」
「・・・・・」
反応は返ってこない。如月の冷たい手を握り締める。さきほどまで温かかった如月の手。今はもう冷たく動かない。
「･･･如月・・俺の生涯で唯一最高に惚れた女・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んぅ・・・・」
「！？」
今声が！そんなはずは・・。
「・・・・・・・・・・・ぅ・・・・」
聞こえる。胸に耳を当ててみると微かだが心音が。
「如月！如月！しっかりしろ！生きろ！頼むから生きてくれ！」
どしゃぶりの雨の中、如月の体をこれ以上冷やさない為に覆い被さり温める。
「･･････ふふ・・・変な人・・・・ね。敵である私を・・・・・生かそう・・・・なんて・・」
「如月・・如月ーーー！」
如月の体を抱き締め甘い甘い口付けを交わす。敵だとわかっていても俺は本当は如月に惚れていたんだ。だからこそ、あの地獄のような特訓も耐えれたんだ。
-------------------------------------------
「はい、カーーーーット！！」
ふあぁぁ〜〜〜・・・・疲れたー・・。あ、監督御久しぶりです。
「くしゅん！！・・・もう・・・雨冷たすぎ！・・・でも・・お腹が温かいから許してあげる♥」
「萌、お疲れ様。今日はちょっとハードだったんじゃない？」
「そうねー♪クリティカル・ストライク（特殊パンツ突き破り挿入）とかストライク・バースト（溜めに溜め込んだ一週間分精液放出）とか・・はぅぅぅ・・・♥思いだしただけでイッちゃいそう・・・・♥」
「いやぁ〜〜〜〜、最高だったよ君達！これで今月の＄箱番組もウチに決まりだな♪あ、そうそう・・・これは局から君達への土産だよ」
「うわぁ〜〜〜♪高級魔界豚セットじゃないですかー♪美味しそう〜♥」
「ありがとうございます監督！」
「次も期待してるよ」
あ〜・・・、さて・・・撮影も無事終わったし帰りますかね。
「萌、帰ろうか♪」
「そうね、貴方のカウンター（擦れ違いざまに尻尾ナデナデ）でもうオマンコつゆだくなのよ♪責任取って・・・今日は全部の尻尾を愛してね♥」
-毎週日曜朝８時放送・『ヒーローは眠らない』御期待ください-
「やっと見つけた･･･、今度こそアイツを・・！」
人一人居ない無人の廃墟に到着した俺は辺りを見回す。崩れ落ちたビル、鉄骨が剥き出しになり全てを拒絶するかのようなボロアパート。見渡せば見渡すほど虚無感に襲われるが俺はこんな所で立ち止まる訳にはいかない。アイツがここに居る事はわかっているんだ。そしてアイツもきっと･･･俺が近い内に此処を嗅ぎ付けてやってくる事がわかっているだろう。
捜す。捜す。捜す。俺はアイツだけを追い続け此処まで来たんだ。今日こそはアイツに引導を渡してやる。
思い返せばアイツと初めて会ったのが半年ほど前。俺はアイツの秘めたる力に手も足も出ず完敗した。あの屈辱は一生忘れない。あの日、アイツはこう言った。
「その程度の力でヒーロー気取りなの？私一人に無様にやられるヒーローなんてヒーローじゃないわね。･･･ま、今日は機嫌がいいからお情けをあげるわ。さっさとこの場から去りなさい、そして今日限りでヒーローごっこなんて辞める事ね･･･」
情けなかった。完膚無きまでに叩きのめされ心を折られ、ヒーローを辞退しろと言われたのに何も言い返せなかったあの時の自分が悔しい。だが、････その情けが今日のお前の敗因となるだろう。俺はもう・・あの時の俺じゃない！確かに俺はアイツに会うまで格下と思われる雑魚ばかりを相手にしていたと今更ながら思う。だからこそ俺は驕り昂っていたんだろう。ヒーローという名の職業に。ある意味、俺はアイツに出会えて良かったと思っている。ヒーローの力だけに頼り自らを鍛えなかった俺を叩きのめしてくれた事に感謝する。そのおかげで俺は･･･新しい力を得たのだからな！
「アイツだけを求め･･･手に入れたこの力。今こそ開放する時だ！」
拳を握り締め崩れかかっている廃ビルの壁を殴りつける。俺の拳は簡単に壁を突き抜ける。そして拳を引き抜くと衝撃に耐えれなかったのか廃ビルは音を立てて崩れていった。
「この程度の力では・・アイツには通用しない。だが・・あの奥義さえ当てれば確実に勝てる！」
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何かが崩れ落ちる音が聞こえる。きっと外の廃ビルか何かが崩れたんでしょうね。でも、それにしては音が綺麗だったわ。まるで一瞬で壊されたかのような綺麗な音。なんだか耳がヒクヒクと忙しなく動く。何かを探るように、求めるように。･･･聞こえる。アイツの声が・・息遣いが・・鼓動が。とうとう来たのね、ヒーロー気取りのボクちゃん。懐かしいわね、あの時・・私に手も足も出なかったボクちゃんがここまで成長するなんて嬉しいわ。さぁ、早く此処を突き止めかかってらっしゃい。私は此処に居るわ。でもね、･･･もし期待通りの力じゃなかったら・・・今度こそ引導を渡してあげるから覚悟しなさいね。
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どこだ、アイツはどこに居るんだ。地上は全てくまなく探したはずなのに。いや、焦るな俺。アイツは絶対に此処で待っているはずだ。俺と戦う為に。次こそ俺に引導を渡す為に。もしアイツが俺の事をまだ格下と思ってるのなら絶好のチャンスだ。その時こそ、俺が極めた奥義をぶち当ててやる。しかし、何故アイツが居ないんだ。絶対に此処に居るはずなんだが。俺は空を見上げ深呼吸する。
「相手を焦らし自分のペースに持っていくのがアイツの得意技だったな・・。す〜〜〜〜・・・・はぁ〜〜〜〜〜・・・・・、良し！」
心をクリアにした事で見えてくる別世界。目を閉じる。見えない風を肌で感じる。瓦礫が崩れる音、ビルとビルの間を吹きぬける隙間風の音。そして・・・誰も居ないはずの廃墟に僅かながらに聞こえてくる誰かの息遣い。これは俺の呼吸音じゃない。アイツだ。近くに居るのがわかる。どこから聞こえてくる。どこだ、どこに居るんだ。風に乗って聞こえるアイツの息遣い。･･････上か！右斜め前方に５階建てほどの廃ビルが建っているのが見える。この屋上か。俺は意を決して廃ビルに突入した。
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「ふふふふ・・、御名答。私の気配を感じ取れるなんて・・なかなか成長したじゃない・・ボクちゃん♪さぁ、･･･私は此処よ。早く私を満足させなさい♪」
あの時の青年がここまで成長するなんて思ってもなかったわ。僅か半年で私の気配まで察知出来るほど強くなってるだなんて。これは期待してもいいかもね。私は唇の端を舌なめずりし来たるべき戦いに興奮を隠せない。
「嗚呼、･･･この胸の高鳴り・・早く・・早く鎮めて頂戴・・・♪」
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廃ビルに突入した俺が最初に見た物は朽ち果てたロビーと応接間。さて、･･･アイツがすんなりと俺を待っているはずが無い。きっと屋上までに様々な罠が仕掛けてあるだろう。一歩一歩気を引き締め歩く。だが全くと言っていいほど罠の気配は感じられない。もしやアイツはまだ俺の事を格下ヒーローと思っているんだろうか。もしそう思われていても俺は反論出来ない。前回、･･･無様にもやられたんだからな。俺みたいな格下ヒーローに罠なんて必要無いと思ってるなら今こそチャンスだ！俺は特別にブレンドした最強のチャージドリンクを飲む為にポケットに手を突っ込んだ。ポケットから小さな小瓶を取り出し、それを一気に嚥下する。力が漲る。体中にマグマが流れてるかのような、今すぐにでも爆発しそうなエネルギーが俺の体を駆け巡る。今ならわかる！勝てるとまではいかないが相討ち狙いで倒せるかもしれない。いや、相討ちじゃダメだ。俺は絶対に勝つんだ。
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「･･････！何かしら・・この胸騒ぎは・・。とてつもない大きな力を感じる。まるで大自然が突然爆発したかのような・・・。まさか・・あのヒーロー気取りのボクちゃん・・・」
今までに感じた事の無いエネルギーの奔流が私のすぐそばを流れていく。私の頬を撫で、太腿に絡みつき消えていく不可視のエネルギー。素晴らしいわ・・、こんなに成長していたなんて。ああ・・もう我慢出来ないわ・・。早く・・早くいらっしゃい！私を・・心の底まで満足させて！
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チャージドリンクを飲んだ俺は体中に巡るエネルギーに身を任せ一気に階段を掛け上がる。きっとアイツは扉の正面に居るはず。そして俺は屋上への扉を真正面に蹴破った。吹っ飛ぶ鉄製の扉。予測通りの場所に居たアイツ目掛けて鉄製の扉が襲いかかるが見えない壁によって弾かれ地上へと落ちていく。
「はっ！・・やっぱりこの程度じゃ掠りもしないか」
「･･･久しぶりね、ボクちゃん♪あれからお漏らし癖は止まったのかしら？ふふふ・・・♪」
「・・・クッ！」
ダメだ、アイツの言葉に惑わされるな。これがアイツの得意ペースだ。こうやって相手を激昂させ隙を作らせる。前回、嫌というほど味わったじゃないか。しっかりしろ俺。
「ふんっ、・・そう易々とは踊らされんぞ。それに・・・」
「それに･･･？」
「俺はあの時の俺とは違う!!」
一瞬で間合いを詰めようとする俺に合わせてアイツも突っ込んでくる。交差する影と影。光と闇。ほんの瞬きする一瞬でアイツと俺の場所は完全に入れ替わっていた。
「･･･ふふ、･･･少しは出来るようになったのね」
「・・・・」
「だ・け・ど・♪」
「ぐぁぁぁぁぁぁっ！？」
「ちょ〜〜〜っと惜しかったわね♪後少しで・・・・！？ああああああぁぁぁぁっ！！」
俺は片膝を付きながらも耐える。後ろを振り返ればアイツもまた俺と同じように膝をついていた。
「･･･フフッ・・、や、やるわね・・。私の尾の束縛から一瞬で外れさらに急所にカウンターを決めるなんてね・・」
「ふん・・・、もったいぶらないでそろそろ本性を現したらどうだ？」
俺は何事も無かったように立ち上がりアイツの動きを探る。
「フフ・・・・アハハハハハ・・、そうね・・ばれていたんじゃしょうがないわね♪・・それじゃお望み通りに見せてあげるわ・・。これが私の本当の姿・・」
アイツの頭から狐耳が生える。腰からは6つの尻尾。これこそがアイツの正体。ジパングという国で大悪党５人衆に入ると言われている女。その名を
『妖艶５人衆が一人、如月 萌 ただいま参上〜♪』
なんてこった･･･。本性を現した途端に力が格段に上がってやがる。伊達に尾が６本って訳じゃないんだな。このままだと極めに極めた奥義を発動させるどころか前回のような無様な姿を晒すはめになるかもしれない。
「あらら〜？どうしちゃったのかしら〜♪本当の私を見て怖気づいたのかしら〜♪」
くそっ、ここまで力の差があったなんて。だけど俺は引き下がる訳にはいかないんだ！それが例えヒーロー人生の終着点に着こうとも。
「それじゃ〜〜、今度はこちらから遊んであげるわね♪」
刹那、俺の視界から完全に消えてしまった如月。目で追おうとしても感知出来ない。ならば、気配を察知すれば・・・・ぐうぅぅっ!?
「遅い遅い〜♪やっぱりまだまだボクちゃんなのね〜♪･･･やっぱり期待通りじゃなかったみたいだから一気に始末してあげるわ・・・、さようなら・・」
如月の手が俺に伸びてくる。だが俺はこのチャンスを待っていた。アイツが俺を格下ヒーローと侮った瞬間を！
「ハイチャージ!!」
「・・・・・ッ！」
俺は生体エネルギーを一点に集中させる。一点に力が集束され集まった生体エネルギーは一本の剣に変化する。かなりの熱量を帯びた剣がアイツの前に晒され怯ませる。アイツが怯んだ今こそチャンス！怯んだ一瞬にアイツの背後に回り込み拘束する。
『奥義!!クリティカル・ストライク!!』
俺が生み出した剣はアイツの防具をいともたやすく貫き急所に突き刺さりえぐりこんでいく。この奥義の前ではどんな防具も簡単に貫通してしまう。布や紙切れに剣を軽く押し当てるかのように。
「あ・・・・あ・・・・、ああああぁっぁっぁぁっぁっーーー！！」
「この時を待っていた・・・。お前が油断し俺に触れる瞬間を・・・・な！」
最後の一言と同時に剣を深く突き刺す。かなりの熱量を帯びた剣は如月の中を荒れ狂うエネルギーで蹂躙していく。
「アアァ・・・、体中に・・・熱いエネルギーが・・・あぁん・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・、一か八かの・・賭けだったが・・見事に乗ってくれたな・・・」
「・・ふふっ、・・まさかこんな・・隠し玉を・・あぅ・・・、持っていたなんて・・・ね・・ううぅ・・！」
俺は油断しないよう、突き刺した剣を抜かず更に奥へと潜り込ませる。
「うぁぁぁぁ・・・・、そ・・それ以上は・・・ダ・・ダメ・・。し・・死ぬ・・死んじゃう・・・」
「・・・今ならまだ間に合う・・。如月、・・こんな馬鹿な事は辞めて真っ当な道に進むんだ・・。はぁ・・はぁ・・・・」
やばい、・・生み出した剣が俺の生体エネルギーを奪っていってる。このままだと俺自身も危ない。なんとかして如月を説得しないと・・。
「うふふ・・・、嬉しいお言葉だけど・・。私は今までに何千・・何万という罪を犯してきたわ・・。今更そんな・・・ああん・・事を言われて・・・も・・ああっぅ・・」
「･･･そうか・・わかった。ならば・・これでトドメだ！！
究極奥義！ストライク・バースト！！
･･･ぐぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあっぁっぁぁぁぁっぁぁぁっ！」
剣に全ての力を吸い取られていく！如月の中で俺の力が暴発してるのがわかる。如月の急所に深く突き刺さったそれは俺の生体エネルギーを暴発させ荒れ狂ったように暴れ回る。
「あああぁっぁああぁぁぁぁぁぁ・・・・！！私の中で・・・中で突き刺さった剣が・・・あふぅう・・・・」
ガクリと首を落とし完全に意識が無くなった如月から剣を抜き取ると静かに寝かせる。
「･･･如月・・どうしてお前はそこまで・・・・」
如月の前で立ち尽くす俺の瞳から溢れ出る涙。どうして俺は泣いているんだ。何故悪党である如月に涙するんだ。俺の涙に反応するかのようにどしゃぶりの雨が降る。俺と如月を濡らしていく冷たい雨。ずぶ濡れになったせいか涙を隠せてちょうどいい。俺は如月の前で跪き静かに手を取る。
「せめて・・お前が悪党では無く・・一人の女性として出逢っていたなら・・」
「・・・・・」
反応は返ってこない。如月の冷たい手を握り締める。さきほどまで温かかった如月の手。今はもう冷たく動かない。
「･･･如月・・俺の生涯で唯一最高に惚れた女・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んぅ・・・・」
「！？」
今声が！そんなはずは・・。
「・・・・・・・・・・・ぅ・・・・」
聞こえる。胸に耳を当ててみると微かだが心音が。
「如月！如月！しっかりしろ！生きろ！頼むから生きてくれ！」
どしゃぶりの雨の中、如月の体をこれ以上冷やさない為に覆い被さり温める。
「･･････ふふ・・・変な人・・・・ね。敵である私を・・・・・生かそう・・・・なんて・・」
「如月・・如月ーーー！」
如月の体を抱き締め甘い甘い口付けを交わす。敵だとわかっていても俺は本当は如月に惚れていたんだ。だからこそ、あの地獄のような特訓も耐えれたんだ。
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「はい、カーーーーット！！」
ふあぁぁ〜〜〜・・・・疲れたー・・。あ、監督御久しぶりです。
「くしゅん！！・・・もう・・・雨冷たすぎ！・・・でも・・お腹が温かいから許してあげる♥」
「萌、お疲れ様。今日はちょっとハードだったんじゃない？」
「そうねー♪クリティカル・ストライク（特殊パンツ突き破り挿入）とかストライク・バースト（溜めに溜め込んだ一週間分精液放出）とか・・はぅぅぅ・・・♥思いだしただけでイッちゃいそう・・・・♥」
「いやぁ〜〜〜〜、最高だったよ君達！これで今月の＄箱番組もウチに決まりだな♪あ、そうそう・・・これは局から君達への土産だよ」
「うわぁ〜〜〜♪高級魔界豚セットじゃないですかー♪美味しそう〜♥」
「ありがとうございます監督！」
「次も期待してるよ」
あ〜・・・、さて・・・撮影も無事終わったし帰りますかね。
「萌、帰ろうか♪」
「そうね、貴方のカウンター（擦れ違いざまに尻尾ナデナデ）でもうオマンコつゆだくなのよ♪責任取って・・・今日は全部の尻尾を愛してね♥」
-毎週日曜朝８時放送・『ヒーローは眠らない』御期待ください-
14/05/10 13:53更新 / ぷいぷい