俺だけのマリア様
今日は大学で受ける講義が無いので、俺は家でのんびり小説を書いている。去年までは何を書いても全く相手にされなかった駄文だらけの俺の小説は、ある事をきっかけに内容が180度方向転換してしまった。少しばかり、いや少しどころじゃないが、今はちょっとばかりニッチな趣味に走っている。今書いている小説の内容は全て人外との恋愛物だ。
「ねぇ君人・・・、また小説書いてるの?こんなに天気がいいのに外に出ないなんてもったいないわよ?」
「あ、うん。もう少し書いたら一旦止めるよ」
「そう言って5時間も6時間もだらだら書くのはどこの誰かしら?」
「・・・耳が痛い一言です・・。」
俺の隣で外出しようと誘ってくる女性。俺が書く小説を180度方向転換させた原因でもある女性。綺麗な金色の瞳にウェーブが軽くかかった腰まで伸びた長い金髪、大きくも無く小さくも無いほどほどの胸、もといオッパイ。腰のくびれなんて抱き寄せたくなるほどの細さ。そして注目すべき点は人では無い下半身。5mほどあるだろう蛇体が彼女が人では無いと表している。
「・・・ほどほどの胸って・・誰の事を言ってるのかしら・・?」
「えっ!?なんの事!?」
「あなた・・、今・・・口に出してたわよ」
にこやかに笑う彼女だったが、額には青筋が立っている。彼女が静かに尻尾を俺に巻きつけて拘束していく。こうなると彼女はもう止まらない。
「ね、ねぇ・・マリア。今から食事にいこっか♪」
「食事で誤魔化せると思ってるの・・?それに食事なら貴方のオ、・・オ、オチン・・オチン・・オチンチン・・から貰えばいいだけだし・・」
少しだけ恥ずかしそうに言ってくる彼女が可愛らしい。セックスする時ははっきり言うのに。それと出来ればもう少しだけオッパイがあれば最高だったけど。
「オッパイが小さくて悪かったわねぇ・・!!これでもギリギリでCカップあるのよ!」
つい口に出して言ってしまったようだ。時々、思っていた事を口に出してしまうのが俺の悪い癖だ。
「それで、マリア。出掛けると言ってもさ・・、卵はどうするの?」
「貴方のベッドに寝かせておくから大丈夫よ」
卵をベッドに寝かせるというのはどういう表現なんだろうか、と苦悶したが最近全く外出していなかったのを思い出し、マリアの手を取って外へと誘う。
「マリア、今日は自然公園のほうに行かないか?」
「・・・!!いいわよ♪あそこは野外プレイするには最高の場所だから好きよ♥」
「・・え?いやいや、違うからな!いくらなんでも人が多すぎる所で・・」
「私は構わないわよ?見られながら受精セックスって・・興奮するわよね♪」
魔物娘の常識が時々理解出来ない。人に見られながら妊娠したいという彼女が時々怖く恐ろしく感じる。
「ま、まぁ、野外プレイはどうでもいいとして・・」
「何言ってるのよ。野外だから興奮するんじゃないの」
俺は溜息を吐き、少し前にネットニュースで得た打開策をマリアに話す。
「あ〜ぁ・・。今日は温玉乗せコラーゲンソフトを食べてみたかったのにな〜」
俺の言葉にマリアの少し尖った耳がピクピクと反応する。マリアの耳が反応すれば確実にこちらの勝ちだ。
「濃厚なソフトクリームの上にトッピングされる美肌効果の高いコラーゲンゼリーとぷるっぷるの半熟温泉卵。・・一緒に食べてみたいな〜」
「しょ、しょうがないわね・・!今回だけなんだから!だから・・」
「ん、何?」
「だから早く案内しなさい!」
「はいはい、マリア御嬢様」
俺はマリアの手を引きながら今日一日どこに行こうかと考える。まずは温玉ソフトを食べに行こう。それから、マリアと海を見に行こう。マリアが育った国は海が無かったというからきっと驚くだろうな。それから・・・。
「マリア、今日の晩に・・・・しような」
俺の言葉でマリアの顔が一気に赤くなる。
「当たり前でしょ!・・・ばか・・」
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3回生の冬。俺は一人寂しく大学構内のレストルームでタバコを吸っている。本来ならこの時間はサークル仲間と趣味の小説作りに励んでいる時間だが、俺はそれを無視し一人タバコを満喫している。俺がこんな所でタバコを吸っている理由は一つ。サークル内での居場所が無くなったからだ。高校生の時に小説サイトを初めて覗き俺も書いてみようと思い、大学に入ったと同時にその手の趣味を持つ人が集まっているサークルに入ったのはいいがサークルメンバーの技能、表現方法、描写などが想像以上に高かった。それでも俺は少しでも能力を上げようと必死に食らいついた。だが、悲しい事に俺と一緒に入った同期達は佳作や銀賞を次々と獲っていくのに俺だけは全く相手にされなかった。作家人からのコメントも辛辣な言葉が多い。そして一年経ち、二年経ち、気が付けばもう3回生だ。3回生になっても賞の一つも獲れない俺は当然ながらサークル内では御荷物になってしまう。そして俺は後輩にも抜かれているので更に輪をかけて相手にされない。もう何も考えたくない、という思いからか俺は今一人タバコを満喫している。
「今頃あいつらは次の賞を狙うのに必死なんだろうな。ま、俺には関係無いか」
俺が一人レストルームで紫煙を燻らせていると向かいの渡り廊下からサークルメンバーが歩いてくる。だけど、俺を見ても顔色を変えずそのまま素通りしていく。その顔は明らかに他人扱いの顔だった。
「賞の一つも獲れないやつはメンバーじゃないってか。こんな事ならもっと他の事を考えて別のサークルにでも入るべきだったな・・」
今更考えても後の祭りだがどうしても口に出せずにはいられなかった。深い後悔と失念の中、俺は無言で大学を出る。帰宅途中に何度も無駄な時間を過ごしてしまったと後悔しながら溜息を吐き出す。こんな事になるのなら親の言った通りに資格を取得出来るサークルにでも入っておくべきだった。
「あ〜ぁ、俺の3年って意味無かったなー・・」
帰宅途中にある公園のベンチで一人呟く。呟いたところで誰も返事はしてくれないがどうしても言いたくなってしまう。自分でもわかっている。俺が書く小説は素人程度の表現力しか無いって事を。それでも高校生の時に小説サイトを初めて見て感じた感動は忘れられない。素人でも人を感動させられるほどの小説を書ける人が居るんだと、今も脳に焼き付いて離れない。
「俺にも…あれだけの表現力があればなぁ」
そう思った所で他人は他人、自分は自分だ。無い物ねだりしても意味が無い。わかっているのは、あの小説を書いた人は俺には無い何かを持っているという事ぐらい。その何かがわからない俺はどう足掻いても真似出来ない。
「はぁ・・、まぁいいや。バイトでも行くか…」
俺は家に帰宅してすぐにバイトに向かう。親にサークルはどうしたと聞かれたが適当に誤魔化して近所のスーパーに急いで走る。別に急がなくても良かったがバイトの時間まで家に居ると親に小言を言われるからだ。もちろん小言の大半はサークルについて、だ。正直な所、サークルでの小言はもううんざりだ。しかし、俺自身言われる責任があるのはわかっている。親の反対を押し切って無駄に時間を浪費してしまったのは俺の責任だ。ガキ丸出しの我侭を言ったせいで親の期待を裏切り、挙句には3回生ももうすぐ終わりだというのに何も得なかった自分が情けない。
「明日からどうすっかなー」
いつものように独り言を呟きながらバイトに励む。バイト中も昔に読んだあのサイトの小説が頭に浮かんでくる。
「…あんな小説、一度でいいから書いてみたいな・・」
誰にも聞こえない小声で呟いてしまう。俺にもう少し技量があれば、といつも悩んでしまっている。心の中で負のスパイラルを何度も味わいながらバイト作業に勤しむ。
俺がいつものように悩みながら作業をしていると閉店のメロディが店内に流れ次々と蛍光灯の電源や自動ドアのセンサーの電源が落ちていく。
「あ、もう終わりか・・、お疲れ様でした」
閉店のメロディが流れ始めたら、後の事は社員が片付けていくので俺はそのまま帰宅する。
「このまま帰っても小言が待ってるんだろうな・・」
俺は諦めモードで帰宅しようと考えていたが、今日は何故かむしゃくしゃする。普段の自分ならこんな気分にはならないはずなのに意味も無く心が苛立つ。
「帰ってもどうせ説教だろうし寝る時間までどっかふらふらすっか」
俺は普段のようにまっすぐ帰宅せず適当にどこかで時間を潰そうと辺りを見回した。
「あのネカフェで漫画でも読んで時間潰すかな」
近くに見えたネカフェに入ろうと思った時、ネカフェの真裏から何かネオンの光がチラリと見える。
「・・・?あれ?ここにパチなんてあったっけ?」
ネカフェのちょうど真裏からネオンの光が漏れている。そこから僅かに見える文字はDE☆A☆Iだった。
「出逢い?パチじゃなくて出逢い喫茶かよ!」
だが、俺は誘惑に負けてふらふらと近寄っていく。ちょうど正面に立った時、そこが出逢い喫茶じゃなく本当のパーラーだったという事に気付いた。
「パーラー・・DE☆A☆I?センス悪過ぎだろ!」
俺が大声でツッコミを入れると店内から出てきた絶世の美女が無言でこちらを睨んできた。
「・・・あ、す、すいません・・。ごめんなさい・・」
「…いえ、別にいいのですが・・」
「…(うわぁ、・・これ絶対めっちゃ怒ってるよ。しかもすっごい美人だし・・。俺ってほんと最低最悪な奴だよ・・)」
「・・・どうかしましたか?」
「い、いえ・・なんでも・・・ないです」
俺が無言で立っていると店内から出てきた女性はくるりと踵を返し店に戻ってしまった。
「うわぁ〜・・・、俺最悪すぎるよ・・。あんなすげー美人が居る前でセンス悪っ!とか言ってしまうなんて・・」
俺は店の前で頭を抱え込んでしまった。自分の書いた小説もセンスが悪いと酷評されているのにそれを棚上げして他人の店の名前にケチつけるなんて最低すぎる行為だ。
「・・・罪滅ぼしにちょっとだけ打っていこう・・・」
俺は静かに店内に入り、なるべく先ほどの女性の視界に入らないようにコソコソ動く。
「ぅ、・・こっちに気付いた・・。…口に出してしまう性格直さないとなぁ・・」
俺は時々だが、内心思った事を無意識に口に出す事がある。それがこんな形で出てしまうなんて自分でも最低だと思ってる。
「奥のほうを・・見てこよう・・」
俺はGの如くコソコソと奥の台の列に逃げ入っていくが、そんな情けない俺の姿をあの美人な店員が口角を吊り上げ厭らしい笑みを浮かべながら眺めているなんて俺は知るよしもなかった。
「…ふふふ、別に怒ってなんてないのに♪今日は誰が御嫁に行っちゃうかしらね〜♪」
俺は店員の視界に入らない列で台を物色していく。なるべくなら一番奥の台がいいと思った俺は最奥の台に座り一息ついた。
「はぁ〜・・。…俺が全くモテない理由が今わかった気がする・・。あんな美人の前で平気でけなせる俺なんてモテるわけないわ・・」
俺は静かに財布を取り出し千円札を投入する。ジャラジャラと玉が流れるのを尻目に液晶画面を覗く。
座った台の名は…「砂上の薔薇」
液晶画面にはどこかの国の砂漠だろうか、不毛な土地が延々と延びている景色が映っている。こんな国に生まれなくて良かったと思いながら俺は玉を打ち出す。
「こんな国に生まれてたら俺絶対に生きてないだろうな・・」
またもや無自覚に思った事を口に出してしまう。本当にこの癖には困ったもんだ。知らない人が見たら『何こいつ?』って感じだろう。この店に誰も居なくて良かったと安堵しながら打ち始めた。
「…?エジプト・・・かな?でも見た事無いな?」
画面に映る砂漠地帯。どこかで見たような気もするが見た事が無い気もする。
「よくわからんなぁ?・・・と、早いリーチだな」
画面には猫のような女性がピラミッドの前で昼寝をしている。綺麗なショートの茶髪に柔らかそうな両手の肉球、腰には何か小さな金の装飾品を付けている。無論、足も猫のような足だ。女性が寝返りを打つ毎に形のいい胸がプルプルと揺れる。それに合わせて奇妙な尻尾もふにゃふにゃと動く。しかし気持ち良さそうに寝ている猫みたいな女性に突然雷が落ち、髪を黒焦げにしながら走り去っていくとリーチが外れてしまった。
「ぶはっ!今の雷リアルすぎるだろ!」
何事も無かったようにくるくると回りだすキャラクター達。ちょっと過剰な演出に驚いたが最近のパチンコはこんなもんだろうと納得し打ち続ける。
打ち続けて30分、懐が軽くなっていくのを感じながら打っていると待望のリーチが掛かる。さきほどの場所と同じピラミッド。だが出てきたのは黒髪を腰まで伸ばし頭に犬のような耳をつけた女性。流れるような美しさを魅せる綺麗な髪に溜息が漏れる。さきほど見た猫みたいな女性と同じく両手両足は犬のそれだ。右腰に差しているのは金で造られた剣だろうか。左手には天秤が掛けられた黄金の錫杖。なんだかどこかで見た事があるような気がするがわからなかった。
「なんだっけなぁ〜?どっかで見た気がするんだけどなー・・?」
犬のような女性はさきほど見た猫みたいな女性に雷を落とすが全て避けられてしまう。がっくりする犬耳女性をからかいながら逃げていく猫みたいな女性。どうやら外れてしまったようだ。
「…ぁ、前のリーチの雷はこれか!」
昼寝をしていた猫女性に落ちた雷はこれだったのか、と一人納得してしまう。そしてまたもやリーチがなかなか来ない。このまま全財産やられるかな、と思った時、画面が夜へと変化していく。
「リアルすぎるよなー。ま、これぐらいしないと客が来ないわな」
夜の砂漠が延々と流れる。全くリーチが来ずにじわじわと懐が軽くなっていくのがわかる。
「…センス悪過ぎ!って言ったからかなぁ・・。全然当たってくれんよ・・」
軽くなる懐に哀愁を覚え、先程の発言を後悔してしまう。別に口を滑らしたぐらいで運が悪くなるわけではないが、先程の行為をいまだに後悔していた。
「あー・・本当に最悪だよ・・。美人にゃ睨まれるしパチンコ負けそうだし」
情けない顔付きで画面を眺めていると景色が横に少しずつずれていく。
「・・・?どっかに移動してるみたいだな?」
景色が止まった先には小さな岩に囲まれた洞窟が見える。液晶画面の視点は洞窟の中へと進んでいく。
「お、これはもしかして・・発展するのか!?」
キャラクターの回る速度が急に速くなり液晶画面の映像が洞窟の一番奥まで一気に駆け抜けていった。
「おっ、すごい速さだな!臨場感溢れるってのはこんな感じか」
ピタリと画面が止まると洞窟の奥から褐色肌の美人女性が岩陰からそっと現れ、こっちこっちと手招きするがその仕草が可愛らしい。手招きする度に綺麗な金髪がふわふわと揺れて見惚れてしまう。
「こんな美人が彼女だったらなぁ・・・」
さきほどまでフルスロットルで回っていたキャラクターが突然止まりリーチが掛かった。
「やっぱり発展したか〜」
止まったキャラクターは液晶画面内で手招きしてる女性に似ていたが下半身は蛇だった。
「もしかしてこの女性の下半身って蛇か!・・・これが同じキャラクターだと当りやすいんじゃないのか!?」
俺はウキウキ気分で画面を眺めていると岩陰から女性が静かに現れた。やはり想像通りに女性の下半身は蛇だ。どこかの神話で出てくる女性を彷彿させるような美しい女性だ。下半身が蛇ということを除いても抜群のスタイルの持ち主。
【うふふ♪捕まえて・・・ア ゲ ル ♥】
高速で動くキャラクターをじっくり眺めた女性は尻尾をくるくる回し捕獲体勢に入る。女性がキラリと瞳を光らせると高速で回っていたキャラクターの一つを長い尾で一瞬で捕らえる。女性がそっと尾を開くとそこには下半身が蛇の女性キャラクターが捕獲されていた。
「おお、一発で決めてくれたよ!」
俺のさきほどまでの不運を一瞬で吹き飛ばすかのように爽やかな笑顔を見せてくれる女性。こんな女性が居てくれたらなぁ、とありもしない現実を想像しながら玉を打ち出す。そんなバカな想像をしながら玉を打ち続けてていると持ち玉が減っている事に気付いた。
「ぇ?おい!こんな時に玉詰まりかよ!最悪すぎるだろ!」
焦って台を軽く叩いてみるが全く出てこない。とうとう最後の一玉も打ち出してしまった。
「やっと当たったってのに最悪すぎ『カチャン♪』・・る、ん?」
本来なら玉が出てくる受け皿に小さな金貨が一枚弾き出された。
「ふぇ?何の冗談だ・・?」
金貨を摘んで表を見ると、あの蛇の女性の横顔が彫られていた。裏には『マリア』と書かれている。
「マリア?今当たったキャラクターの名前なのか?・・って、そうじゃない!玉が出ねぇよ!」
「御客様、当店では出玉では無く、出逢いを提供しています。その金貨は貴方様を永遠の幸福に導いてくれる物です。大切に扱ってくださいね?」
「おわぁっ!びっくりしたぁぁぁーー!」
気配も無く真後ろに立っていた女性に驚き椅子から落ちてしまった。二度も情けない姿を晒してしまった俺は顔を真っ赤にしながら無言で立ち上がる。
「え、えと・・先ほどはすいません・・。センス悪いなんて言ってしまいまして・・」
「いえ、別に気にしてませんわ。それよりも・・」
「それよりも?」
「御時間のほうは大丈夫ですか?」
何気なしに携帯を取り出し時刻を確認すると11:03と表示されていた。
「うわっ!まずい!いつのまに11時になってたんだ!?」
俺は金貨を握り締めたまま店を飛び出し急いで家に戻った。だが、家に到着するとバイトの終了時間から10分程度しか経っていない玄関の時計に驚愕する。
「え?なんで21:15なんだ・・?」
俺は携帯を取り出し時間を確認するとやはり21:15と表示されている。
「・・・・・・???」
一体どうなっているのかさっぱり理解出来ない。俺は確かに21:05頃にバイト先を出てネカフェに寄ろうとしてパーラーを偶然見つけて打っていた。体感時間は確かに2時間は経っているはずなのに今はどう見ても21:15。俺は夢でも見てたんだろうか。
「ただいま・・」
俺は意味がわからないまま自室に戻り着替えるとズボンのポケットから何かが落ちた。床にはパーラーで貰った金貨が転がっている。
「…夢、じゃないよな?」
俺はおもいっきり自分の腹を殴ってみた。
「ぐほぉぅ!!めっちゃいてぇぇ〜〜・・・ううぅ・・。でも・・夢じゃないよな・・」
転がっている金貨を摘み上げじっくり眺めてみる。何の変哲も無いただの金貨。横から見ても正面から見ても裏を見てもただの金貨にしか見えない。
「これが永遠の幸福に導いてくれる金貨・・ねぇ」
自室でぼんやりと金貨を眺めていると居間から俺を呼ぶ声が聞こえる。きっといつもの小言だろう。あまり気乗りしない状態で居間へ入ると予想通りに親父が椅子に座って待っている。今から最低でも1時間は説教だろうと覚悟したが親父は終始御機嫌だった。
「君人、小遣いだ。大切に使えよ」
そう言って俺に2万円を渡してきた。説教覚悟で来たつもりがなんで小遣い貰ってるんだろう。すると困惑してる俺の袖を母さんが軽く引っ張ってきた。
「お父さんね、かなり前に買ってた宝くじの当選を確認しに行ったら特別枠賞の100万円が当たってたみたいなのよ」
親父はニコニコ顔で飯を食っている。普段なら渋い顔をしながら俺に説教して飯を食うのに今日はかなり御機嫌のようだ。これはもしかして、あの金貨のおかげだろうか。こんな上手いタイミングで大金が当たるなんて考えられない。俺は自室に戻り金貨に訊ねてみた。
「なぁ、もしかしてお前は本当に幸福に導いてくれる金貨なのか?」
もちろん金貨は何も言わない。だけど、俺はなんとなくだが金貨が助けてくれたような気がした。そんな気がしただけだが、俺はこの金貨を信じてみようとも思った。
「ありがとな、マリア。んじゃ風呂入ってくるよ」
金貨に感謝し、俺は風呂に入る。パタンとドアを閉めた後、金貨が僅かに震える。
『あとで・・逢いましょう♥』
誰にも聞こえる事なく発せられた言葉は主不在の部屋に響く。
風呂から上がり下着一枚で自室のベッドに転がる。手には、あの金貨を持っている。
「…マリアの横顔も綺麗だよな」
金貨の裏に彫られた名前を呼びながらマリアの横顔を撫でる。一瞬だけ嬉しそうに見えたが気のせいだろう。
「本当にお前は名前通り聖女マリアだよ・・」
俺は今日の幸運に感謝し、マリアを掴んだまま深い眠りに落ちた。
そして、深夜0時。手に握られている金貨が震えだした。突然手が震えた事に驚いて俺は飛び起きてしまう。
「な、なんだ!金貨が!」
金貨から異様とも思えるほどの濃いピンク色の煙が吹き出してきた。俺は慌てて金貨から手を離しベッドから逃げる。
「なんだよおい!どうなってんだよ!幸福の金貨じゃないのかよ!」
部屋中に煙が蔓延したかと思うと急速に一箇所に集まりだしていく。そして煙の中から綺麗な手が出てきた。
「うっ・・、手・・手が・・出てきた・・」
少しずつ姿を現す何か。右手、左手、そして腕と順々に現れた後、突然顔が飛び出してくる。
「プハッ!・・・はぁ・・やっと出てこれたわ・・」
出てきた顔は金貨に彫られていたマリアそっくりだった。いや、本人なのかも知れない。
「んんーーーーーーー!よっと・・・!」
煙から出てきた女性が下半身の蛇体を一気に引き摺り出すと煙は小さくなっていき、最終的には跡形も無く消えてしまった。
「ふふふ・・・初めまして、貴方が私の旦那様なのね」
俺は何も言い返せずゴクリと唾を飲み込む。今見た異様な光景に驚いたわけではない。俺の理想そのままの女性が目の前に居るので異常なほど緊張してしまったのだ。蛇体を除いても理想的すぎるプロポーション。小ぶりながらも布のようなブラで隠された形が整った胸も最高だ、完璧すぎる。
「あら?どうしたのかしら?もしかして・・私の下半身が恐ろしいのかしら♪」
少し意地悪するかのように尻尾の先をくるくる回す女性。だけど俺はその仕草すら可愛らしいと感じていた。
「何も言わないのね・・?恐怖で声が出ないのかしら?」
恐怖で声が出ない訳じゃない。むしろ、もっと眺めていたいと思っている。そんな俺を訝しげに思ったのか目の前の女性は何か力を溜め込むようにしてから俺に言葉を発した。
『さぁ、私の傍に来なさい!!』
女性が何を言ってるのかわからなかった。近寄れって事なのだろうか。
「…?あれ?効いて・・ないの?」
女性が何を言いたいのかわからなかったが、俺は女性の前に立ち手を取った。
『そうよ・・、さぁ・・私の手を舐めなさい』
女性の手を取った俺は手を舐めずに軽くキスをする。それは騎士が姫に忠誠を誓うかのような柔らかいキス。
「ええっ!なんで違う事するのよ!」
女性は驚き一歩分だけ後ろに逃げようとするが俺は掴んでいた手を引き寄せ女性に囁く。
「君の名は…マリアなんだろ?」
「え、ええ。その通りよ、…それで・・何よ?」
「お、俺・・実はマリアを見た時から・・」
「見た時から・・何よ?」
「マリア!お、・・俺と!・・付き合ってくれ!!一目惚れなんだ!」
「えっ!なんで急にそんな事!私を恐ろしいとか思わないの!?蛇よ!?人外なのよ!?…で、でも・・嬉しいけど・・」
マリアの尾が嬉しさのせいか左右に激しく揺れている。突然の告白に驚いたようだったが、すぐに気を取り直すと俺に抱き付いてきた。
「そっかぁ・・。初めから惚れ込んでいる人には・・私の魅了は効かないのね」
マリアは下半身の蛇体を俺の体に巻きつかせ緩やかに絞めていくが、その感触がすごく心地良い。柔らかく温かい何かが俺を満たしてくれるような感じがする。
「ねぇ、私に一目惚れって事は…こういう事をしてもいいわよね?」
マリアの顔が俺の顔に近づき、そっと唇を突き出してきた。俺もそれに合わせるように唇を突き出し重ね合わせる。
「んふ♪…んん〜・・・んっ・・はぁ・・・」
「…はぁ・・、マリア。綺麗だよ・・んっ・・」
俺は静かにマリアの胸に手を這わせ布キレのようなブラをそっと摘み上げる。ブラをずらすと小ぶりだが形の良いおっぱいが弾けるように飛び出した。おっぱいの先端では早く弄って欲しいと懇願するように乳首がツンと隆起している。そんな自己主張の激しい乳首を俺は軽く摘み、時には乳首に指を押し込み捏ねるように弄る。
「ぁん!そんなに弄ったら・・感じすぎて漏れちゃうわ・・」
「え?漏れるって何?」
「これよ・・♪」
マリアは人で言う所の股間辺りに貼ってある小さな逆三角形の布をそっとめくった。布の下からは人間と全くそっくりな女性器が見えた。マリアは布キレを俺の前でヒラヒラと見せ付けた後、部屋の隅に放り投げる。
「ウフフ…、どう・・私のオマンコ?まだ誰にも開発されていない未開拓の穴よ?今からアナタ専用に開発されちゃうのよ♪…ふふ、私のオマンコ見てそんなにオチンポをガチガチにさせちゃって♪」
マリアの綺麗な女陰が何か粘ついた液でぬらりと光っている。きっと愛液だろう。それはまるで極上の寒露を零したかのように妖しく俺を誘ってくる。
「マリア。少しだけ尾を緩めてくれないか」
「…?いいわよ、少しだけね」
尾の拘束が緩まるのを感じた俺はその場でしゃがみマリアの女陰にむしゃぶりつくようにディープキスをする。
「ああん!ちょ、ちょっと!いきなり吸うだなんて・・・んんっ♥」
俺はマリアのオマンコから溢れてくる愛液を執拗に舐めまわし、時折オマンコの中に舌を膣に捻じ込み掻き出していく。舌で膣を愛撫すればするほど愛液の量は増してくる。だがそれでも俺はひたすら愛液を零す事無く吸い尽くす。
「いゃ〜〜・・・んんっ・・。すごぃの・・奥まで、そんな奥まで舐められたら・・オマンコびちゃびちゃになっちゃう〜〜♥」
「んん・・んぐっ、じゅるる・・・ん、・・・・くちゅ・・・」
「ああん!!も・・もう、御願いだから・・。オチン・・オチンポ…突っ込んでよーー!」
俺は下着をずらし最高まで昂っているチンコをマリアのオマンコにくっつけると勢いを付けて腰を突き出し一気に処女膜を破った。
「アアアアアアア!!今ブチッて処女膜破られたーーー!」
「ううっ!マリアの中・・・きつい・・・よ!」
勢い良く挿入したのはいいが締め付けがすごすぎて動けない。今少しでも動けば射精しそうなほどに強い快感にチンポが犯されている。俺がマリアを犯してるはずなのに、逆に俺がマリアに犯されているような感覚だ。
「んぅ・・はぁぁ…、どう、したの・・?動いてくれないの?」
「ぅ、いや・・ちょっとだけ・・待ってくれ」
俺は少しだけ気を紛らわそうと軽く腰を後ろに引きなんとか射精を堪えるが、そんな俺の心中を察したのかマリアがこちらに腰を突き出してきた。
「ウッ・・、ま、まってくれ。今動かれると・・」
「フフ・・動かれると・・・何かしら?」
「ああっ!ダメだ!出ちまう!」
マリアが俺に体を密着させ腰をぐりぐりと押し付けてきた途端、俺はマリアの子宮目掛けて一気に精液を噴き出してしまう。
「んはぁぁ〜〜〜〜♥膣に・・子宮に精子ぴゅっぴゅしてる〜♥」
「うああ・・・、で・・でる!中に・・出しちまってる!」
「ふぁぁ・・もっとよ・・・もっと、子宮が破裂するまで、卵子が精液で溺れるぐらい・・ザーメンぴゅっぴゅして〜♪」
膣に中出しされたばかりだというのに貪欲に俺の精液を欲しがるマリアに少しだけ恐怖を感じる。俺のチンコはマリアの膣の中でまだ中途半端にしか勃っていないのに尚も搾り出そうと快楽を与えてくる。マリアの膣壁がまるで意思を持ったかのように妖しく動き、蠢動し俺のチンコを奮い起たせようと優しく包んできた。
「アハッ♪大きくなってきた♪そんなにわたしのオマンコ気持ちいいのかしら?」
マリアの膣に収まったままの俺のチンコは魔性とも言える快楽に負け再度勃ってしまう。
「マリア、…もう我慢できない!!」
俺はマリアを抱きしめたまま腰を激しく前後に振り乱暴に膣を蹂躙していく。激しく動けば動くほどマリアの膣は俺のチンポを奥へ奥へと迎え入れてくれる。結合部分からは大量の愛液とさきほど中出しした精液が漏れ出し、御互いの下半身を淫らな色に染めていく。
「ああ・・マリア・・。俺だけの・・俺だけのマリアになってくれ!!」
まるでプロポーズするかのような言葉を吐き出した瞬間、俺はマリアの子宮に再度精液を大量に放出した。
「ああっぁぁぁ・・♪いいわよ・・、アナタだけの・・マリアになって・・あげる・・」
俺は二度も大量の精液を吐き出したせいか、マリアに体を預けぐったりしてしまう。
「ふふ♪…おやすみなさい、アナタ♥」
翌朝、俺はマリアと結合したまま起床した。ベッドには情事の跡が残っていたが俺は気にせず体を起こそうとするが。
「…マリア・・?ちょっと尾を緩めてくれないかな?」
「ぅ〜〜〜ん…、後10分〜・・・」
「いや、後10分じゃないから!早く起きてくれないと親父が来るんだから!」
「ん〜〜、…いやぁ〜・・。オチンポ温かいの〜・・」
マリアは寝ぼけているようだ。このままだと親父が入ってきて朝っぱらからどんな大騒ぎになるかわからない。俺は必死に尾の拘束から抜け出そうとするが1ミリも動かない。とんでもない怪力だ。俺が悪戦苦闘する事5分、親父の足音がこちらに近づいてくるのがわかる。
「マリア!本当に起きてくれってば!親父にこんなとこ見られたらやばいんだって!」
俺の必死の呼びかけも虚しくドアが開いてしまった。
「君人!いつまで寝てるんだ!…って、お前は朝っぱらから何してるんだ!」
「い、いや!違うんだよ!これは・・・」
親父の顔は真っ赤だ、これは完璧に拳が飛んでくるだろうと予測したが次に言われた言葉で俺の中の何かが崩れさってしまう。
「この・・バカモンが!あれほどセックスは週末だけにしろと言ったのに何してるんだ!」
「・・・・え?」
「え?じゃない!いいか、学生の本文は勉強だ!お前達が週末だけしかしないという約束をしたから同棲させてやってるというのに・・。…このバカタレが!!」
俺の頭の天辺に強烈な拳骨が振り落とされた。俺は半分涙目になりながらも意味が全く理解出来なかった。
「まったく…、二人共さっさと起きて飯を食え!」
ドスドスと足音を鳴らしながら親父は居間へと入っていった。残された俺は何がなんだかさっぱりわからない。
「…なんで?なんで・・こうなるんだ・・?…って、マリア!起きてよ!」
「ふにぃ〜・・、おはよ、アナタ♪」
「いや・・アナタ♪じゃないよ・・。って、いうか・・どうなってんだよ。親父がマリアを見ても驚かないし・・、それに週末のセックスって意味わかんねぇ・・」
「んふふ、…それはね。あの人がある事をしてるから大丈夫なのよ♪」
「・・あの人?それにある事って?」
「そんな事どうでもいいじゃない。ね、アナタ。そろそろ起きて朝ご飯にしましょ♪」
俺は尾の拘束が緩くなったのを感じ、結合したままのチンポをゆっくりと引き抜く。
「ぁん♪…あ〜ぁ、アナタのオチンチン・・抜けちゃった・・」
俺はチンポを引き抜いた後にふと気付いた事があった。マリアからずっと『アナタ』と呼ばれてばかりで名前を一切口にされていない事に。
「そういえば・・、俺はマリアって初めからわかっていたのにマリアは俺の名前知らなかったんだよな・・。今更だけど・・、俺は緑川 君人。これからよろしくな」
「君人・・きー君って呼んでいいのかしら?」
「…ごめんなさい・・。その呼び方だけは勘弁してください」
俺がマリアの前で御手本のような土下座をすると居間から親父の声が聞こえてくる。
「二人共早く飯食わんか!」
俺がマリアと一緒に暮らし初めて半年、マリアの下腹はぽっこりと膨らんでいた。どうやら初めてセックスした時に妊娠したようだった。時折マリアは慈しむように下腹を撫で母親の顔を見せる。
「フフ♪もうすぐ産まれそうね」
「…え、まだ半年だぞ?」
「私達のような種族って、妊娠すると半年ほどで卵を産んじゃうのよ。産んでも後半年ぐらいは卵の中だけどね♥」
「って、事は…本当に産まれるのは冬前あたり?」
「そうよ。だから・・・・ウッ・・!あはぁ♪」
「お、おい!どうしたんだよ!?」
「し、子宮が・・開きかけてる・・・ふぁぁぁぁ・・・イイ・・気持ち・・・イイ・・」
マリアの下半身を見ると秘所を隠している布キレが少しずつ濡れてきてるのがわかる。どうやら破水してるようだ。
「んぁぁぁっ!…卵・・下りてきてる・・オマンコ・・膨らんできてるぅぅぅーー!」
俺が慌ててマリアの胴体をベッドへ乗せて落ち着かせると、マリアは安心したのか下腹に力を入れて産み落とそうとしている。下腹に力を入れて僅か数分でマリアのオマンコがゆっくりとだが開いていき、白い大きな卵がめりめりと音を立てて顔を出してきた。
「いいいい・・・イクゥ・・。卵・・卵産みながらイッちゃうううーー!」
マリアの膣から顔を覗かせた卵はジュポンと激しい音を立てて飛び出しベッドに転がる。息を切らしながら出産したマリアを見た俺は不誠実ながらも興奮しマリアの前にチンポを晒してしまった。
「マ、マリア・・、ごめん。マリアの出産を見て・・興奮してしまったんだ・・」
「ハァ・・ハァ・・、いいわよ・・。出産オマンコに・・、空っぽになった子宮に沢山精液入れてね・・」
俺は出産したばかりの膣にチンポを突き込みマリアの弱い部分を何度もカリ首で擦りあげる。卵を産んだばかりの膣は少しばかり緩い感じがしたが、目の前で出産を見たせいか俺のチンポは異常なほど昂っている。今までに感じた事の無い興奮に包まれた俺は卵を産んで空っぽになってしまった子宮に大量の精を幾度と無く吐き出した。
「ああぁぁぁん♪・・・空っぽの子宮が・・次の新しい卵が・・精液で溺れちゃう・・・♥」
「はぁ・・はぁ・・、もっと・・もっと出して何度も産ませてやる・・からな・・うぅっ・・!!」
俺が何度も産ませてやると言った途端にマリアの顔が淫らに蕩け腰を振りだし子宮を精で満たそうと膣を締めてくる。本当につい先ほどこの穴から卵を出産したのかと思うほどの処女のようなきつさで俺のチンポを締め上げてくる。
「マリア・・!また・・妊娠して・・・くれっ!」
「ああっ・・!ま、まって・・、出す時は・・卵に・・卵にかけて!」
「わ、わかっ・・・た!もうすぐ・・出すから・・な・・。クッ・・!」
俺は射精寸前のチンポを強引に引き抜き産まれたばかりの卵に大量の精液をぶっかけた。
「はぁ・・はぁ・・。た、・・卵が・・、ザーメンでベトベトに・・なったけどいいのか・・・」
「んんっ・・・♪卵に・・アナタの精液をかければかけるほど・・淫らで可愛い子が・・んん♪産まれてくる・・のよ♥」
俺は尿道に残っている精液を搾りだして最後の一滴まで卵に掛けようとしたが、不意にマリアに止められる。
「ねぇ・・、次は私のオマンコをアナタの精液で・・・満たしてくれるのでしょう?もう終わりじゃないわよね?♥」
出産したばかりのマリアは今すぐにでも、もう一度妊娠したいような雰囲気で俺に中出しをねだってくる。
「了解。…俺だけのマリア様♪」
そう答えてやると頬を赤く染め恋に落ちたばかりの初心な少女のように俺に優しく抱きついてくる。
「絶対妊娠させてよ・・・約束だからね♥」
「ねぇ君人・・・、また小説書いてるの?こんなに天気がいいのに外に出ないなんてもったいないわよ?」
「あ、うん。もう少し書いたら一旦止めるよ」
「そう言って5時間も6時間もだらだら書くのはどこの誰かしら?」
「・・・耳が痛い一言です・・。」
俺の隣で外出しようと誘ってくる女性。俺が書く小説を180度方向転換させた原因でもある女性。綺麗な金色の瞳にウェーブが軽くかかった腰まで伸びた長い金髪、大きくも無く小さくも無いほどほどの胸、もといオッパイ。腰のくびれなんて抱き寄せたくなるほどの細さ。そして注目すべき点は人では無い下半身。5mほどあるだろう蛇体が彼女が人では無いと表している。
「・・・ほどほどの胸って・・誰の事を言ってるのかしら・・?」
「えっ!?なんの事!?」
「あなた・・、今・・・口に出してたわよ」
にこやかに笑う彼女だったが、額には青筋が立っている。彼女が静かに尻尾を俺に巻きつけて拘束していく。こうなると彼女はもう止まらない。
「ね、ねぇ・・マリア。今から食事にいこっか♪」
「食事で誤魔化せると思ってるの・・?それに食事なら貴方のオ、・・オ、オチン・・オチン・・オチンチン・・から貰えばいいだけだし・・」
少しだけ恥ずかしそうに言ってくる彼女が可愛らしい。セックスする時ははっきり言うのに。それと出来ればもう少しだけオッパイがあれば最高だったけど。
「オッパイが小さくて悪かったわねぇ・・!!これでもギリギリでCカップあるのよ!」
つい口に出して言ってしまったようだ。時々、思っていた事を口に出してしまうのが俺の悪い癖だ。
「それで、マリア。出掛けると言ってもさ・・、卵はどうするの?」
「貴方のベッドに寝かせておくから大丈夫よ」
卵をベッドに寝かせるというのはどういう表現なんだろうか、と苦悶したが最近全く外出していなかったのを思い出し、マリアの手を取って外へと誘う。
「マリア、今日は自然公園のほうに行かないか?」
「・・・!!いいわよ♪あそこは野外プレイするには最高の場所だから好きよ♥」
「・・え?いやいや、違うからな!いくらなんでも人が多すぎる所で・・」
「私は構わないわよ?見られながら受精セックスって・・興奮するわよね♪」
魔物娘の常識が時々理解出来ない。人に見られながら妊娠したいという彼女が時々怖く恐ろしく感じる。
「ま、まぁ、野外プレイはどうでもいいとして・・」
「何言ってるのよ。野外だから興奮するんじゃないの」
俺は溜息を吐き、少し前にネットニュースで得た打開策をマリアに話す。
「あ〜ぁ・・。今日は温玉乗せコラーゲンソフトを食べてみたかったのにな〜」
俺の言葉にマリアの少し尖った耳がピクピクと反応する。マリアの耳が反応すれば確実にこちらの勝ちだ。
「濃厚なソフトクリームの上にトッピングされる美肌効果の高いコラーゲンゼリーとぷるっぷるの半熟温泉卵。・・一緒に食べてみたいな〜」
「しょ、しょうがないわね・・!今回だけなんだから!だから・・」
「ん、何?」
「だから早く案内しなさい!」
「はいはい、マリア御嬢様」
俺はマリアの手を引きながら今日一日どこに行こうかと考える。まずは温玉ソフトを食べに行こう。それから、マリアと海を見に行こう。マリアが育った国は海が無かったというからきっと驚くだろうな。それから・・・。
「マリア、今日の晩に・・・・しような」
俺の言葉でマリアの顔が一気に赤くなる。
「当たり前でしょ!・・・ばか・・」
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3回生の冬。俺は一人寂しく大学構内のレストルームでタバコを吸っている。本来ならこの時間はサークル仲間と趣味の小説作りに励んでいる時間だが、俺はそれを無視し一人タバコを満喫している。俺がこんな所でタバコを吸っている理由は一つ。サークル内での居場所が無くなったからだ。高校生の時に小説サイトを初めて覗き俺も書いてみようと思い、大学に入ったと同時にその手の趣味を持つ人が集まっているサークルに入ったのはいいがサークルメンバーの技能、表現方法、描写などが想像以上に高かった。それでも俺は少しでも能力を上げようと必死に食らいついた。だが、悲しい事に俺と一緒に入った同期達は佳作や銀賞を次々と獲っていくのに俺だけは全く相手にされなかった。作家人からのコメントも辛辣な言葉が多い。そして一年経ち、二年経ち、気が付けばもう3回生だ。3回生になっても賞の一つも獲れない俺は当然ながらサークル内では御荷物になってしまう。そして俺は後輩にも抜かれているので更に輪をかけて相手にされない。もう何も考えたくない、という思いからか俺は今一人タバコを満喫している。
「今頃あいつらは次の賞を狙うのに必死なんだろうな。ま、俺には関係無いか」
俺が一人レストルームで紫煙を燻らせていると向かいの渡り廊下からサークルメンバーが歩いてくる。だけど、俺を見ても顔色を変えずそのまま素通りしていく。その顔は明らかに他人扱いの顔だった。
「賞の一つも獲れないやつはメンバーじゃないってか。こんな事ならもっと他の事を考えて別のサークルにでも入るべきだったな・・」
今更考えても後の祭りだがどうしても口に出せずにはいられなかった。深い後悔と失念の中、俺は無言で大学を出る。帰宅途中に何度も無駄な時間を過ごしてしまったと後悔しながら溜息を吐き出す。こんな事になるのなら親の言った通りに資格を取得出来るサークルにでも入っておくべきだった。
「あ〜ぁ、俺の3年って意味無かったなー・・」
帰宅途中にある公園のベンチで一人呟く。呟いたところで誰も返事はしてくれないがどうしても言いたくなってしまう。自分でもわかっている。俺が書く小説は素人程度の表現力しか無いって事を。それでも高校生の時に小説サイトを初めて見て感じた感動は忘れられない。素人でも人を感動させられるほどの小説を書ける人が居るんだと、今も脳に焼き付いて離れない。
「俺にも…あれだけの表現力があればなぁ」
そう思った所で他人は他人、自分は自分だ。無い物ねだりしても意味が無い。わかっているのは、あの小説を書いた人は俺には無い何かを持っているという事ぐらい。その何かがわからない俺はどう足掻いても真似出来ない。
「はぁ・・、まぁいいや。バイトでも行くか…」
俺は家に帰宅してすぐにバイトに向かう。親にサークルはどうしたと聞かれたが適当に誤魔化して近所のスーパーに急いで走る。別に急がなくても良かったがバイトの時間まで家に居ると親に小言を言われるからだ。もちろん小言の大半はサークルについて、だ。正直な所、サークルでの小言はもううんざりだ。しかし、俺自身言われる責任があるのはわかっている。親の反対を押し切って無駄に時間を浪費してしまったのは俺の責任だ。ガキ丸出しの我侭を言ったせいで親の期待を裏切り、挙句には3回生ももうすぐ終わりだというのに何も得なかった自分が情けない。
「明日からどうすっかなー」
いつものように独り言を呟きながらバイトに励む。バイト中も昔に読んだあのサイトの小説が頭に浮かんでくる。
「…あんな小説、一度でいいから書いてみたいな・・」
誰にも聞こえない小声で呟いてしまう。俺にもう少し技量があれば、といつも悩んでしまっている。心の中で負のスパイラルを何度も味わいながらバイト作業に勤しむ。
俺がいつものように悩みながら作業をしていると閉店のメロディが店内に流れ次々と蛍光灯の電源や自動ドアのセンサーの電源が落ちていく。
「あ、もう終わりか・・、お疲れ様でした」
閉店のメロディが流れ始めたら、後の事は社員が片付けていくので俺はそのまま帰宅する。
「このまま帰っても小言が待ってるんだろうな・・」
俺は諦めモードで帰宅しようと考えていたが、今日は何故かむしゃくしゃする。普段の自分ならこんな気分にはならないはずなのに意味も無く心が苛立つ。
「帰ってもどうせ説教だろうし寝る時間までどっかふらふらすっか」
俺は普段のようにまっすぐ帰宅せず適当にどこかで時間を潰そうと辺りを見回した。
「あのネカフェで漫画でも読んで時間潰すかな」
近くに見えたネカフェに入ろうと思った時、ネカフェの真裏から何かネオンの光がチラリと見える。
「・・・?あれ?ここにパチなんてあったっけ?」
ネカフェのちょうど真裏からネオンの光が漏れている。そこから僅かに見える文字はDE☆A☆Iだった。
「出逢い?パチじゃなくて出逢い喫茶かよ!」
だが、俺は誘惑に負けてふらふらと近寄っていく。ちょうど正面に立った時、そこが出逢い喫茶じゃなく本当のパーラーだったという事に気付いた。
「パーラー・・DE☆A☆I?センス悪過ぎだろ!」
俺が大声でツッコミを入れると店内から出てきた絶世の美女が無言でこちらを睨んできた。
「・・・あ、す、すいません・・。ごめんなさい・・」
「…いえ、別にいいのですが・・」
「…(うわぁ、・・これ絶対めっちゃ怒ってるよ。しかもすっごい美人だし・・。俺ってほんと最低最悪な奴だよ・・)」
「・・・どうかしましたか?」
「い、いえ・・なんでも・・・ないです」
俺が無言で立っていると店内から出てきた女性はくるりと踵を返し店に戻ってしまった。
「うわぁ〜・・・、俺最悪すぎるよ・・。あんなすげー美人が居る前でセンス悪っ!とか言ってしまうなんて・・」
俺は店の前で頭を抱え込んでしまった。自分の書いた小説もセンスが悪いと酷評されているのにそれを棚上げして他人の店の名前にケチつけるなんて最低すぎる行為だ。
「・・・罪滅ぼしにちょっとだけ打っていこう・・・」
俺は静かに店内に入り、なるべく先ほどの女性の視界に入らないようにコソコソ動く。
「ぅ、・・こっちに気付いた・・。…口に出してしまう性格直さないとなぁ・・」
俺は時々だが、内心思った事を無意識に口に出す事がある。それがこんな形で出てしまうなんて自分でも最低だと思ってる。
「奥のほうを・・見てこよう・・」
俺はGの如くコソコソと奥の台の列に逃げ入っていくが、そんな情けない俺の姿をあの美人な店員が口角を吊り上げ厭らしい笑みを浮かべながら眺めているなんて俺は知るよしもなかった。
「…ふふふ、別に怒ってなんてないのに♪今日は誰が御嫁に行っちゃうかしらね〜♪」
俺は店員の視界に入らない列で台を物色していく。なるべくなら一番奥の台がいいと思った俺は最奥の台に座り一息ついた。
「はぁ〜・・。…俺が全くモテない理由が今わかった気がする・・。あんな美人の前で平気でけなせる俺なんてモテるわけないわ・・」
俺は静かに財布を取り出し千円札を投入する。ジャラジャラと玉が流れるのを尻目に液晶画面を覗く。
座った台の名は…「砂上の薔薇」
液晶画面にはどこかの国の砂漠だろうか、不毛な土地が延々と延びている景色が映っている。こんな国に生まれなくて良かったと思いながら俺は玉を打ち出す。
「こんな国に生まれてたら俺絶対に生きてないだろうな・・」
またもや無自覚に思った事を口に出してしまう。本当にこの癖には困ったもんだ。知らない人が見たら『何こいつ?』って感じだろう。この店に誰も居なくて良かったと安堵しながら打ち始めた。
「…?エジプト・・・かな?でも見た事無いな?」
画面に映る砂漠地帯。どこかで見たような気もするが見た事が無い気もする。
「よくわからんなぁ?・・・と、早いリーチだな」
画面には猫のような女性がピラミッドの前で昼寝をしている。綺麗なショートの茶髪に柔らかそうな両手の肉球、腰には何か小さな金の装飾品を付けている。無論、足も猫のような足だ。女性が寝返りを打つ毎に形のいい胸がプルプルと揺れる。それに合わせて奇妙な尻尾もふにゃふにゃと動く。しかし気持ち良さそうに寝ている猫みたいな女性に突然雷が落ち、髪を黒焦げにしながら走り去っていくとリーチが外れてしまった。
「ぶはっ!今の雷リアルすぎるだろ!」
何事も無かったようにくるくると回りだすキャラクター達。ちょっと過剰な演出に驚いたが最近のパチンコはこんなもんだろうと納得し打ち続ける。
打ち続けて30分、懐が軽くなっていくのを感じながら打っていると待望のリーチが掛かる。さきほどの場所と同じピラミッド。だが出てきたのは黒髪を腰まで伸ばし頭に犬のような耳をつけた女性。流れるような美しさを魅せる綺麗な髪に溜息が漏れる。さきほど見た猫みたいな女性と同じく両手両足は犬のそれだ。右腰に差しているのは金で造られた剣だろうか。左手には天秤が掛けられた黄金の錫杖。なんだかどこかで見た事があるような気がするがわからなかった。
「なんだっけなぁ〜?どっかで見た気がするんだけどなー・・?」
犬のような女性はさきほど見た猫みたいな女性に雷を落とすが全て避けられてしまう。がっくりする犬耳女性をからかいながら逃げていく猫みたいな女性。どうやら外れてしまったようだ。
「…ぁ、前のリーチの雷はこれか!」
昼寝をしていた猫女性に落ちた雷はこれだったのか、と一人納得してしまう。そしてまたもやリーチがなかなか来ない。このまま全財産やられるかな、と思った時、画面が夜へと変化していく。
「リアルすぎるよなー。ま、これぐらいしないと客が来ないわな」
夜の砂漠が延々と流れる。全くリーチが来ずにじわじわと懐が軽くなっていくのがわかる。
「…センス悪過ぎ!って言ったからかなぁ・・。全然当たってくれんよ・・」
軽くなる懐に哀愁を覚え、先程の発言を後悔してしまう。別に口を滑らしたぐらいで運が悪くなるわけではないが、先程の行為をいまだに後悔していた。
「あー・・本当に最悪だよ・・。美人にゃ睨まれるしパチンコ負けそうだし」
情けない顔付きで画面を眺めていると景色が横に少しずつずれていく。
「・・・?どっかに移動してるみたいだな?」
景色が止まった先には小さな岩に囲まれた洞窟が見える。液晶画面の視点は洞窟の中へと進んでいく。
「お、これはもしかして・・発展するのか!?」
キャラクターの回る速度が急に速くなり液晶画面の映像が洞窟の一番奥まで一気に駆け抜けていった。
「おっ、すごい速さだな!臨場感溢れるってのはこんな感じか」
ピタリと画面が止まると洞窟の奥から褐色肌の美人女性が岩陰からそっと現れ、こっちこっちと手招きするがその仕草が可愛らしい。手招きする度に綺麗な金髪がふわふわと揺れて見惚れてしまう。
「こんな美人が彼女だったらなぁ・・・」
さきほどまでフルスロットルで回っていたキャラクターが突然止まりリーチが掛かった。
「やっぱり発展したか〜」
止まったキャラクターは液晶画面内で手招きしてる女性に似ていたが下半身は蛇だった。
「もしかしてこの女性の下半身って蛇か!・・・これが同じキャラクターだと当りやすいんじゃないのか!?」
俺はウキウキ気分で画面を眺めていると岩陰から女性が静かに現れた。やはり想像通りに女性の下半身は蛇だ。どこかの神話で出てくる女性を彷彿させるような美しい女性だ。下半身が蛇ということを除いても抜群のスタイルの持ち主。
【うふふ♪捕まえて・・・ア ゲ ル ♥】
高速で動くキャラクターをじっくり眺めた女性は尻尾をくるくる回し捕獲体勢に入る。女性がキラリと瞳を光らせると高速で回っていたキャラクターの一つを長い尾で一瞬で捕らえる。女性がそっと尾を開くとそこには下半身が蛇の女性キャラクターが捕獲されていた。
「おお、一発で決めてくれたよ!」
俺のさきほどまでの不運を一瞬で吹き飛ばすかのように爽やかな笑顔を見せてくれる女性。こんな女性が居てくれたらなぁ、とありもしない現実を想像しながら玉を打ち出す。そんなバカな想像をしながら玉を打ち続けてていると持ち玉が減っている事に気付いた。
「ぇ?おい!こんな時に玉詰まりかよ!最悪すぎるだろ!」
焦って台を軽く叩いてみるが全く出てこない。とうとう最後の一玉も打ち出してしまった。
「やっと当たったってのに最悪すぎ『カチャン♪』・・る、ん?」
本来なら玉が出てくる受け皿に小さな金貨が一枚弾き出された。
「ふぇ?何の冗談だ・・?」
金貨を摘んで表を見ると、あの蛇の女性の横顔が彫られていた。裏には『マリア』と書かれている。
「マリア?今当たったキャラクターの名前なのか?・・って、そうじゃない!玉が出ねぇよ!」
「御客様、当店では出玉では無く、出逢いを提供しています。その金貨は貴方様を永遠の幸福に導いてくれる物です。大切に扱ってくださいね?」
「おわぁっ!びっくりしたぁぁぁーー!」
気配も無く真後ろに立っていた女性に驚き椅子から落ちてしまった。二度も情けない姿を晒してしまった俺は顔を真っ赤にしながら無言で立ち上がる。
「え、えと・・先ほどはすいません・・。センス悪いなんて言ってしまいまして・・」
「いえ、別に気にしてませんわ。それよりも・・」
「それよりも?」
「御時間のほうは大丈夫ですか?」
何気なしに携帯を取り出し時刻を確認すると11:03と表示されていた。
「うわっ!まずい!いつのまに11時になってたんだ!?」
俺は金貨を握り締めたまま店を飛び出し急いで家に戻った。だが、家に到着するとバイトの終了時間から10分程度しか経っていない玄関の時計に驚愕する。
「え?なんで21:15なんだ・・?」
俺は携帯を取り出し時間を確認するとやはり21:15と表示されている。
「・・・・・・???」
一体どうなっているのかさっぱり理解出来ない。俺は確かに21:05頃にバイト先を出てネカフェに寄ろうとしてパーラーを偶然見つけて打っていた。体感時間は確かに2時間は経っているはずなのに今はどう見ても21:15。俺は夢でも見てたんだろうか。
「ただいま・・」
俺は意味がわからないまま自室に戻り着替えるとズボンのポケットから何かが落ちた。床にはパーラーで貰った金貨が転がっている。
「…夢、じゃないよな?」
俺はおもいっきり自分の腹を殴ってみた。
「ぐほぉぅ!!めっちゃいてぇぇ〜〜・・・ううぅ・・。でも・・夢じゃないよな・・」
転がっている金貨を摘み上げじっくり眺めてみる。何の変哲も無いただの金貨。横から見ても正面から見ても裏を見てもただの金貨にしか見えない。
「これが永遠の幸福に導いてくれる金貨・・ねぇ」
自室でぼんやりと金貨を眺めていると居間から俺を呼ぶ声が聞こえる。きっといつもの小言だろう。あまり気乗りしない状態で居間へ入ると予想通りに親父が椅子に座って待っている。今から最低でも1時間は説教だろうと覚悟したが親父は終始御機嫌だった。
「君人、小遣いだ。大切に使えよ」
そう言って俺に2万円を渡してきた。説教覚悟で来たつもりがなんで小遣い貰ってるんだろう。すると困惑してる俺の袖を母さんが軽く引っ張ってきた。
「お父さんね、かなり前に買ってた宝くじの当選を確認しに行ったら特別枠賞の100万円が当たってたみたいなのよ」
親父はニコニコ顔で飯を食っている。普段なら渋い顔をしながら俺に説教して飯を食うのに今日はかなり御機嫌のようだ。これはもしかして、あの金貨のおかげだろうか。こんな上手いタイミングで大金が当たるなんて考えられない。俺は自室に戻り金貨に訊ねてみた。
「なぁ、もしかしてお前は本当に幸福に導いてくれる金貨なのか?」
もちろん金貨は何も言わない。だけど、俺はなんとなくだが金貨が助けてくれたような気がした。そんな気がしただけだが、俺はこの金貨を信じてみようとも思った。
「ありがとな、マリア。んじゃ風呂入ってくるよ」
金貨に感謝し、俺は風呂に入る。パタンとドアを閉めた後、金貨が僅かに震える。
『あとで・・逢いましょう♥』
誰にも聞こえる事なく発せられた言葉は主不在の部屋に響く。
風呂から上がり下着一枚で自室のベッドに転がる。手には、あの金貨を持っている。
「…マリアの横顔も綺麗だよな」
金貨の裏に彫られた名前を呼びながらマリアの横顔を撫でる。一瞬だけ嬉しそうに見えたが気のせいだろう。
「本当にお前は名前通り聖女マリアだよ・・」
俺は今日の幸運に感謝し、マリアを掴んだまま深い眠りに落ちた。
そして、深夜0時。手に握られている金貨が震えだした。突然手が震えた事に驚いて俺は飛び起きてしまう。
「な、なんだ!金貨が!」
金貨から異様とも思えるほどの濃いピンク色の煙が吹き出してきた。俺は慌てて金貨から手を離しベッドから逃げる。
「なんだよおい!どうなってんだよ!幸福の金貨じゃないのかよ!」
部屋中に煙が蔓延したかと思うと急速に一箇所に集まりだしていく。そして煙の中から綺麗な手が出てきた。
「うっ・・、手・・手が・・出てきた・・」
少しずつ姿を現す何か。右手、左手、そして腕と順々に現れた後、突然顔が飛び出してくる。
「プハッ!・・・はぁ・・やっと出てこれたわ・・」
出てきた顔は金貨に彫られていたマリアそっくりだった。いや、本人なのかも知れない。
「んんーーーーーーー!よっと・・・!」
煙から出てきた女性が下半身の蛇体を一気に引き摺り出すと煙は小さくなっていき、最終的には跡形も無く消えてしまった。
「ふふふ・・・初めまして、貴方が私の旦那様なのね」
俺は何も言い返せずゴクリと唾を飲み込む。今見た異様な光景に驚いたわけではない。俺の理想そのままの女性が目の前に居るので異常なほど緊張してしまったのだ。蛇体を除いても理想的すぎるプロポーション。小ぶりながらも布のようなブラで隠された形が整った胸も最高だ、完璧すぎる。
「あら?どうしたのかしら?もしかして・・私の下半身が恐ろしいのかしら♪」
少し意地悪するかのように尻尾の先をくるくる回す女性。だけど俺はその仕草すら可愛らしいと感じていた。
「何も言わないのね・・?恐怖で声が出ないのかしら?」
恐怖で声が出ない訳じゃない。むしろ、もっと眺めていたいと思っている。そんな俺を訝しげに思ったのか目の前の女性は何か力を溜め込むようにしてから俺に言葉を発した。
『さぁ、私の傍に来なさい!!』
女性が何を言ってるのかわからなかった。近寄れって事なのだろうか。
「…?あれ?効いて・・ないの?」
女性が何を言いたいのかわからなかったが、俺は女性の前に立ち手を取った。
『そうよ・・、さぁ・・私の手を舐めなさい』
女性の手を取った俺は手を舐めずに軽くキスをする。それは騎士が姫に忠誠を誓うかのような柔らかいキス。
「ええっ!なんで違う事するのよ!」
女性は驚き一歩分だけ後ろに逃げようとするが俺は掴んでいた手を引き寄せ女性に囁く。
「君の名は…マリアなんだろ?」
「え、ええ。その通りよ、…それで・・何よ?」
「お、俺・・実はマリアを見た時から・・」
「見た時から・・何よ?」
「マリア!お、・・俺と!・・付き合ってくれ!!一目惚れなんだ!」
「えっ!なんで急にそんな事!私を恐ろしいとか思わないの!?蛇よ!?人外なのよ!?…で、でも・・嬉しいけど・・」
マリアの尾が嬉しさのせいか左右に激しく揺れている。突然の告白に驚いたようだったが、すぐに気を取り直すと俺に抱き付いてきた。
「そっかぁ・・。初めから惚れ込んでいる人には・・私の魅了は効かないのね」
マリアは下半身の蛇体を俺の体に巻きつかせ緩やかに絞めていくが、その感触がすごく心地良い。柔らかく温かい何かが俺を満たしてくれるような感じがする。
「ねぇ、私に一目惚れって事は…こういう事をしてもいいわよね?」
マリアの顔が俺の顔に近づき、そっと唇を突き出してきた。俺もそれに合わせるように唇を突き出し重ね合わせる。
「んふ♪…んん〜・・・んっ・・はぁ・・・」
「…はぁ・・、マリア。綺麗だよ・・んっ・・」
俺は静かにマリアの胸に手を這わせ布キレのようなブラをそっと摘み上げる。ブラをずらすと小ぶりだが形の良いおっぱいが弾けるように飛び出した。おっぱいの先端では早く弄って欲しいと懇願するように乳首がツンと隆起している。そんな自己主張の激しい乳首を俺は軽く摘み、時には乳首に指を押し込み捏ねるように弄る。
「ぁん!そんなに弄ったら・・感じすぎて漏れちゃうわ・・」
「え?漏れるって何?」
「これよ・・♪」
マリアは人で言う所の股間辺りに貼ってある小さな逆三角形の布をそっとめくった。布の下からは人間と全くそっくりな女性器が見えた。マリアは布キレを俺の前でヒラヒラと見せ付けた後、部屋の隅に放り投げる。
「ウフフ…、どう・・私のオマンコ?まだ誰にも開発されていない未開拓の穴よ?今からアナタ専用に開発されちゃうのよ♪…ふふ、私のオマンコ見てそんなにオチンポをガチガチにさせちゃって♪」
マリアの綺麗な女陰が何か粘ついた液でぬらりと光っている。きっと愛液だろう。それはまるで極上の寒露を零したかのように妖しく俺を誘ってくる。
「マリア。少しだけ尾を緩めてくれないか」
「…?いいわよ、少しだけね」
尾の拘束が緩まるのを感じた俺はその場でしゃがみマリアの女陰にむしゃぶりつくようにディープキスをする。
「ああん!ちょ、ちょっと!いきなり吸うだなんて・・・んんっ♥」
俺はマリアのオマンコから溢れてくる愛液を執拗に舐めまわし、時折オマンコの中に舌を膣に捻じ込み掻き出していく。舌で膣を愛撫すればするほど愛液の量は増してくる。だがそれでも俺はひたすら愛液を零す事無く吸い尽くす。
「いゃ〜〜・・・んんっ・・。すごぃの・・奥まで、そんな奥まで舐められたら・・オマンコびちゃびちゃになっちゃう〜〜♥」
「んん・・んぐっ、じゅるる・・・ん、・・・・くちゅ・・・」
「ああん!!も・・もう、御願いだから・・。オチン・・オチンポ…突っ込んでよーー!」
俺は下着をずらし最高まで昂っているチンコをマリアのオマンコにくっつけると勢いを付けて腰を突き出し一気に処女膜を破った。
「アアアアアアア!!今ブチッて処女膜破られたーーー!」
「ううっ!マリアの中・・・きつい・・・よ!」
勢い良く挿入したのはいいが締め付けがすごすぎて動けない。今少しでも動けば射精しそうなほどに強い快感にチンポが犯されている。俺がマリアを犯してるはずなのに、逆に俺がマリアに犯されているような感覚だ。
「んぅ・・はぁぁ…、どう、したの・・?動いてくれないの?」
「ぅ、いや・・ちょっとだけ・・待ってくれ」
俺は少しだけ気を紛らわそうと軽く腰を後ろに引きなんとか射精を堪えるが、そんな俺の心中を察したのかマリアがこちらに腰を突き出してきた。
「ウッ・・、ま、まってくれ。今動かれると・・」
「フフ・・動かれると・・・何かしら?」
「ああっ!ダメだ!出ちまう!」
マリアが俺に体を密着させ腰をぐりぐりと押し付けてきた途端、俺はマリアの子宮目掛けて一気に精液を噴き出してしまう。
「んはぁぁ〜〜〜〜♥膣に・・子宮に精子ぴゅっぴゅしてる〜♥」
「うああ・・・、で・・でる!中に・・出しちまってる!」
「ふぁぁ・・もっとよ・・・もっと、子宮が破裂するまで、卵子が精液で溺れるぐらい・・ザーメンぴゅっぴゅして〜♪」
膣に中出しされたばかりだというのに貪欲に俺の精液を欲しがるマリアに少しだけ恐怖を感じる。俺のチンコはマリアの膣の中でまだ中途半端にしか勃っていないのに尚も搾り出そうと快楽を与えてくる。マリアの膣壁がまるで意思を持ったかのように妖しく動き、蠢動し俺のチンコを奮い起たせようと優しく包んできた。
「アハッ♪大きくなってきた♪そんなにわたしのオマンコ気持ちいいのかしら?」
マリアの膣に収まったままの俺のチンコは魔性とも言える快楽に負け再度勃ってしまう。
「マリア、…もう我慢できない!!」
俺はマリアを抱きしめたまま腰を激しく前後に振り乱暴に膣を蹂躙していく。激しく動けば動くほどマリアの膣は俺のチンポを奥へ奥へと迎え入れてくれる。結合部分からは大量の愛液とさきほど中出しした精液が漏れ出し、御互いの下半身を淫らな色に染めていく。
「ああ・・マリア・・。俺だけの・・俺だけのマリアになってくれ!!」
まるでプロポーズするかのような言葉を吐き出した瞬間、俺はマリアの子宮に再度精液を大量に放出した。
「ああっぁぁぁ・・♪いいわよ・・、アナタだけの・・マリアになって・・あげる・・」
俺は二度も大量の精液を吐き出したせいか、マリアに体を預けぐったりしてしまう。
「ふふ♪…おやすみなさい、アナタ♥」
翌朝、俺はマリアと結合したまま起床した。ベッドには情事の跡が残っていたが俺は気にせず体を起こそうとするが。
「…マリア・・?ちょっと尾を緩めてくれないかな?」
「ぅ〜〜〜ん…、後10分〜・・・」
「いや、後10分じゃないから!早く起きてくれないと親父が来るんだから!」
「ん〜〜、…いやぁ〜・・。オチンポ温かいの〜・・」
マリアは寝ぼけているようだ。このままだと親父が入ってきて朝っぱらからどんな大騒ぎになるかわからない。俺は必死に尾の拘束から抜け出そうとするが1ミリも動かない。とんでもない怪力だ。俺が悪戦苦闘する事5分、親父の足音がこちらに近づいてくるのがわかる。
「マリア!本当に起きてくれってば!親父にこんなとこ見られたらやばいんだって!」
俺の必死の呼びかけも虚しくドアが開いてしまった。
「君人!いつまで寝てるんだ!…って、お前は朝っぱらから何してるんだ!」
「い、いや!違うんだよ!これは・・・」
親父の顔は真っ赤だ、これは完璧に拳が飛んでくるだろうと予測したが次に言われた言葉で俺の中の何かが崩れさってしまう。
「この・・バカモンが!あれほどセックスは週末だけにしろと言ったのに何してるんだ!」
「・・・・え?」
「え?じゃない!いいか、学生の本文は勉強だ!お前達が週末だけしかしないという約束をしたから同棲させてやってるというのに・・。…このバカタレが!!」
俺の頭の天辺に強烈な拳骨が振り落とされた。俺は半分涙目になりながらも意味が全く理解出来なかった。
「まったく…、二人共さっさと起きて飯を食え!」
ドスドスと足音を鳴らしながら親父は居間へと入っていった。残された俺は何がなんだかさっぱりわからない。
「…なんで?なんで・・こうなるんだ・・?…って、マリア!起きてよ!」
「ふにぃ〜・・、おはよ、アナタ♪」
「いや・・アナタ♪じゃないよ・・。って、いうか・・どうなってんだよ。親父がマリアを見ても驚かないし・・、それに週末のセックスって意味わかんねぇ・・」
「んふふ、…それはね。あの人がある事をしてるから大丈夫なのよ♪」
「・・あの人?それにある事って?」
「そんな事どうでもいいじゃない。ね、アナタ。そろそろ起きて朝ご飯にしましょ♪」
俺は尾の拘束が緩くなったのを感じ、結合したままのチンポをゆっくりと引き抜く。
「ぁん♪…あ〜ぁ、アナタのオチンチン・・抜けちゃった・・」
俺はチンポを引き抜いた後にふと気付いた事があった。マリアからずっと『アナタ』と呼ばれてばかりで名前を一切口にされていない事に。
「そういえば・・、俺はマリアって初めからわかっていたのにマリアは俺の名前知らなかったんだよな・・。今更だけど・・、俺は緑川 君人。これからよろしくな」
「君人・・きー君って呼んでいいのかしら?」
「…ごめんなさい・・。その呼び方だけは勘弁してください」
俺がマリアの前で御手本のような土下座をすると居間から親父の声が聞こえてくる。
「二人共早く飯食わんか!」
俺がマリアと一緒に暮らし初めて半年、マリアの下腹はぽっこりと膨らんでいた。どうやら初めてセックスした時に妊娠したようだった。時折マリアは慈しむように下腹を撫で母親の顔を見せる。
「フフ♪もうすぐ産まれそうね」
「…え、まだ半年だぞ?」
「私達のような種族って、妊娠すると半年ほどで卵を産んじゃうのよ。産んでも後半年ぐらいは卵の中だけどね♥」
「って、事は…本当に産まれるのは冬前あたり?」
「そうよ。だから・・・・ウッ・・!あはぁ♪」
「お、おい!どうしたんだよ!?」
「し、子宮が・・開きかけてる・・・ふぁぁぁぁ・・・イイ・・気持ち・・・イイ・・」
マリアの下半身を見ると秘所を隠している布キレが少しずつ濡れてきてるのがわかる。どうやら破水してるようだ。
「んぁぁぁっ!…卵・・下りてきてる・・オマンコ・・膨らんできてるぅぅぅーー!」
俺が慌ててマリアの胴体をベッドへ乗せて落ち着かせると、マリアは安心したのか下腹に力を入れて産み落とそうとしている。下腹に力を入れて僅か数分でマリアのオマンコがゆっくりとだが開いていき、白い大きな卵がめりめりと音を立てて顔を出してきた。
「いいいい・・・イクゥ・・。卵・・卵産みながらイッちゃうううーー!」
マリアの膣から顔を覗かせた卵はジュポンと激しい音を立てて飛び出しベッドに転がる。息を切らしながら出産したマリアを見た俺は不誠実ながらも興奮しマリアの前にチンポを晒してしまった。
「マ、マリア・・、ごめん。マリアの出産を見て・・興奮してしまったんだ・・」
「ハァ・・ハァ・・、いいわよ・・。出産オマンコに・・、空っぽになった子宮に沢山精液入れてね・・」
俺は出産したばかりの膣にチンポを突き込みマリアの弱い部分を何度もカリ首で擦りあげる。卵を産んだばかりの膣は少しばかり緩い感じがしたが、目の前で出産を見たせいか俺のチンポは異常なほど昂っている。今までに感じた事の無い興奮に包まれた俺は卵を産んで空っぽになってしまった子宮に大量の精を幾度と無く吐き出した。
「ああぁぁぁん♪・・・空っぽの子宮が・・次の新しい卵が・・精液で溺れちゃう・・・♥」
「はぁ・・はぁ・・、もっと・・もっと出して何度も産ませてやる・・からな・・うぅっ・・!!」
俺が何度も産ませてやると言った途端にマリアの顔が淫らに蕩け腰を振りだし子宮を精で満たそうと膣を締めてくる。本当につい先ほどこの穴から卵を出産したのかと思うほどの処女のようなきつさで俺のチンポを締め上げてくる。
「マリア・・!また・・妊娠して・・・くれっ!」
「ああっ・・!ま、まって・・、出す時は・・卵に・・卵にかけて!」
「わ、わかっ・・・た!もうすぐ・・出すから・・な・・。クッ・・!」
俺は射精寸前のチンポを強引に引き抜き産まれたばかりの卵に大量の精液をぶっかけた。
「はぁ・・はぁ・・。た、・・卵が・・、ザーメンでベトベトに・・なったけどいいのか・・・」
「んんっ・・・♪卵に・・アナタの精液をかければかけるほど・・淫らで可愛い子が・・んん♪産まれてくる・・のよ♥」
俺は尿道に残っている精液を搾りだして最後の一滴まで卵に掛けようとしたが、不意にマリアに止められる。
「ねぇ・・、次は私のオマンコをアナタの精液で・・・満たしてくれるのでしょう?もう終わりじゃないわよね?♥」
出産したばかりのマリアは今すぐにでも、もう一度妊娠したいような雰囲気で俺に中出しをねだってくる。
「了解。…俺だけのマリア様♪」
そう答えてやると頬を赤く染め恋に落ちたばかりの初心な少女のように俺に優しく抱きついてくる。
「絶対妊娠させてよ・・・約束だからね♥」
13/08/30 19:16更新 / ぷいぷい
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