愛と鎖の輪舞曲
朝7時、俺はワイシャツに腕を通しズボンを穿きのんびりネクタイを締める。そんな俺を最愛の妻が後ろから眺めている。鏡越しに不満顔でこちらを睨む顔が見える。こういう時は黙って着替えるのがベストだ。だが、そんな俺の考えを見透かしたように不機嫌さMAXの声で俺に質問してきた。
「アナタ・・?確か・・今日は商談があったのですよね・・・?あそこの課長さんの娘さん・・。貴方が先日までたっぷりと可愛がってたお気に入りの子・・。もし、商談後にあの子に逢おうものなら・・わかってますよね・・?」
俺の額に嫌な汗が流れる。今、妻が言った事を簡単に説明すると俺は昔、契約欲しさに商談相手の娘に取り入って御機嫌取りをしていたのだ。その際、魔がさしたというべきか、勢い任せにその娘を食ったのだ。だが、俺が食った娘はその子だけじゃない。今までの商談相手の大半の娘を味見しては捨てていた。その事を妻は全て知っているだけに今の言葉の真意が手に取るようにわかる。
「今の俺にはお前が居るんだ。浮気なんてするはず無いだろう?」
俺は至って冷静に返事する。しかし、妻は不機嫌なままだ。妻は長い下半身をスルスルと音も立てず俺に近づいてくる。
「ねぇ、あなた?10代の御肌って艶々して綺麗ね?」
「・・??ああ、そりゃもちろん柔らかいし、触り心地も良かったし・・ハッ!」
「あ〜な〜た〜・・?今何と言いましたか〜?」
自ら詰んでしまった。こうなったら妻の怒りは止まらない。
「はぁ・・、やはり貴方には一生御仕置きが必要なのですね。・・・本当はこんな事したくありませんが・・。今日という今日は覚悟してくださいね?」
爽やかな笑顔で右手に巨大な火を灯す。蒼白く、幻想的で美しい炎。だが見た目は美しくてもこれは魔性の炎。俺の心を焦がし淫靡に欲望に染めていく炎。そして、・・・永遠の愛という一生外す事が出来ない鎖を俺の体に植えつける。俺は以前にも何度かこの炎を植付けられたが、その時はせいぜい野球に使うボール程度の大きさだった。それでも一日中気が狂いそうになったのは言うまでもない。そして、……今、俺の目の前に灯されている炎の大きさはどう見てもバスケットボール以上の大きさはあるだろう。こんなのを植え付けられたら本当に狂ってしまう。
「本当に浮気しないのでしたら、・・・これぐらい平気ですわよね?あ・な・た?」
「ままままま・・・待ってくれ!そんなでかい炎植え付けられた死んでしまう!!」
「あら?別に大事な御体には傷一つ付きませんよ?ただ、貴方の心はどうなるかは・・わかりませんが」
にっこり笑いながら説明する妻だったが目は笑っていない。じりじりと近づく妻、それを避けるようにじわじわと後退する俺。そして気が付くと俺は部屋の角に追い込まれていた。
「な、・・なぁ。冗談だろぅ・・?そんな物騒なもん消してくれよ・・・」
「冗談ではありませんわ?それに、貴方が浮気しなければいいだけの事ですよ?・・・それでは覚悟してくださいね」
俺の胸にそっと置かれる妻の右手。その手に宿る炎が俺の体に浸透していき俺の心を蝕み始める。
「ぐうぅぅうぅっ・・・!た・・たの・・む。止め・・止めてくれ・・」
「・・・しょうがないですわね。それなら・・」
妻が指を軽く鳴らすと嘘のように心のざわめきが消えていく。俺はほっと胸を撫で下ろした。
「アナタが浮気しそうになったら発動するようにしましたから・・。わかってますよね・・?」
「ああ・・・わかっているよ・・。絶対に浮気なんてしないからな。信じてくれ」
妻は信用してくれたのか、スルスルと自室に戻っていく。助かったと思いながら俺は玄関で靴を履き出す。そんな俺をいつの間に来たのか妻が後ろで見送ってくれる。
「それじゃ、いってくるよ」
「ええ、いってらっしゃいアナタ。・・でも、その前に・・これは何かしら?」
俺の前に広げられるAV女優のポスター。俺のお気に入りのポスターだ。俺はそのポスターを鼻息荒く凝視しようとした瞬間、とてつもない欲情と興奮が俺の心を襲った。
「はぁ〜・・。やっぱりこうなりましたか・・」
「ふがぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁあーーー!止め!止めてくれえええええええ!!」
「・・・罰としてそのまま会社に行ってください!」
俺は玄関から放り出された。迸る性欲を我慢出来ず必死にドアを叩く俺。しかし、内側から聞こえてくる言葉は悪魔の一言だった。
「今日一日我慢出来たら許してあげます!」
それっきり反応が無くなってしまう。どうやら妻は本気のようだ。俺は先走り汁が出そうになるのを堪えふらふらと出社する。
俺、今日一日耐えられるだろうか・・・・。
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「よぉ、神上。今日も契約取れたんだって?」
俺の同僚がいつもの言葉を投げてくるが無視して自分のデスクに座る。
「やれやれ、・・・。本当にお前は変わっちまったなぁ・・」
俺の横で何か言ってるようだがどうでもいい。俺は月間成績のトップさえ守れたら他の事なんでどうでもいいのだ。自分のデスクに置かれたパソコン画面を凝視し契約数を確認する。今月も順調だ。いつものように定時まで社内でぶらぶらすると終業の合図と共に即帰宅する。残業組みを尻目に俺は会社の玄関前で人を待つ。待つ事5分、俺の前に一台の車が止まる。
「ごめんねぇ〜・・。待った〜?」
「いや、きっちり5分だったよ。それじゃ行こうか」
俺は助手席に座り運転している女の行きたい通りにさせている。どうせいつもの場所だろう。この女は取引先の部長の娘だ。契約取る為にちょっとばかしお近づきになって利用させてもらっただけの女。遊ばれてるとも知らずに。これだから世間知らずの女の相手は楽だぜ。お前の他にも遊び女が居るとも知らずにな。運転していた女はいつもの如く、嬉しそうな顔でホテルの駐車場へと車を入れた。またいつもの作業だ。この女を満足させるだけで契約が取れるんだから楽勝だな。せいぜい、俺の糧になってくれよ、と心の中で嘲笑う。適当に相手して3時間後、家まで送ってもらい意気揚々と玄関のドアを開けると居間ではさっきとは違う女が俺の帰りを待っていた。こいつも取引先相手の娘だ。どうせこいつも俺とやりたくて来ただけの餌だ。
「今日も遅かったんだね・・。それに最近、貴方が冷たく感じる・・」
「何いってんだ?ただの付き合いだ。それと、俺はお前を嫌ってるわけじゃないんだ。少し疲れただけなんだから気にするなよ・・(ハッ・・。本当は突き合いだったんだけどな)」
「でも、・・・」
「しょうがないな・・。それじゃ、証拠見せてやるよ」
俺は女を自室に連れていき押し倒す。さきほどまで行っていた事を繰り返すだけの行為。愛情なんてありもしない性欲を満足させるだけの行為。だが、女は抱かれると安心したのか俺に縋るような目で見つめてくる。
「うれしぃ・・。抱いてくれなかったらどうしようかと・・」
「これでわかっただろう?満足したか?」
女は嬉しそうに俯き自分が疑っていた事を恥じていた。この女からもまだまだ搾る気満々な俺は女の髪を手で軽く梳いてやる。安心させてやりゃこっちのもんだ。後はいつものように遊んでやれば勝手に帰る。俺は軽く愛撫してすぐに肉棒を突き入れた。俺の下で嬉しそうに腰を振る女。本当に馬鹿な女だ。
「それじゃぁ、・・もう帰るね♪」
俺は手を振り送り出した。これでやっと静かな時間を満喫出来る。だが、静かな時間は来ない。まるで計ったかのように携帯が鳴った。
「ねぇねぇ、今暇?」
「おいおい、今何時だと思ってんだ?もうすぐ12時だぞ」
「別にいいじゃない〜。ね、今からそっちに行ってもいい?」
「ダメだ。俺はもう眠いんだよ。お前みたいに暇じゃない」
「ひっどぉ〜ぃ・・。パパに言いつけてやるんだから!」
「あー・・、もうわかったわかった・・。明日ならいいぞ・・」
適当に会話を終わらせ俺はソファーに身を預けぐったりする。
「チッ、あのガキ・・。何がパパに言いつけてやるだ。お前の親父がカモじゃなかったら相手になんぞするか、くそビッチが!」
携帯を放り投げ服を脱ぎ散らかしシャワーを浴びる。明日はくそガキが来る事が決まってしまった。シャワーを済ませさっきまで女を抱いていたベットへ身を投げる。
「しょうがねぇな・・。あんなガキでも親父はカモだし・・。ま、せいぜい頑張ってもらうか」
一人愚痴りながら俺は眠った。
翌朝、いつもと変わらぬ出社。ただ一つ違っていたのは通勤経路にパチンコ店がオープンしてたぐらいだ。パチンコ店を無視し、会社に出社した俺だったが珍しい事に今日の俺の予定が全く無かった。昨日確認した時は多少ばかり予定があったはず。何故予定が無くなったのか気になった俺は部長に確認を取る。
「部長、今日の予定なのですが・・」
「あ〜・・。その事なんだが、昨日偶然にも先方さんに会ってな。昨日の晩の内に済ませてきたのだよ」
「そうですか・・。では、自分はどうしましょう?」
「そうだな。…前に君が担当した会社、どこだったかな・・」
「S社の事ですか?」
「ああ、そうだそうだ。今、向こうさんに見積もり書を送ってあるんだが返事がまだなんだ。取ってきてもらえないか?」
俺は軽く頷き外出準備をする。久しぶりに契約以外の仕事だ。何年ぶりだろうか。俺は社用車を走らせながらS社に向かう。途中、さきほどのパーラーを見かけたが無視する。しかし、本当はS社には行きたくない。あのくそガキの親父が居る会社だからだ。憂鬱な気分を引き摺りながらS社へ入る俺。
「お〜。神上君じゃないか、久しぶりだなー」
「お久しぶりです。貴方もお変わりなくお元気そうで・・」
即、出会ってしまった。なるべくなら出会わずに帰りたかったがどうしようもない。
「ところで神上君。うちのバカ娘はどうしてるかな?」
痛い所を突いてくる。
「元気があっていいですよね。昨日も電話が掛かってきましたし・・」
「全く、あのバカ娘は・・。本当に済まないねぇ、神上君。君の都合も考えず迷惑掛けてるんじゃないかと」
嗚呼、本当に迷惑だ。あんたの娘じゃなかったらとっくの昔に捨てているところだ。
「それでは自分は急いでますので」
「あぁ、急ぎの所、申し訳なかったな」
俺は見積書を受け取ると急ぎS社を後にした。あのまま長居していればボロが出るかもしれないと感じたからだ。来た道をのんびり戻る。さっさと会社に戻って通常業務をこなしたい。運転中に今日の晩の事を考える。さきほど出会ったS社のおっさんの娘がうちに来る。憂鬱だ、本当に憂鬱だ。信号待ちをしながら今日の晩に行われるであろうクソガキとの情事を想像すると気分が落ち込んでくる。
「担当外れたら速攻で捨ててやるか。・・・・?おぉっ!すげえ美人が!」
信号待ちの最中、何気に視線を逸らした先にあったパーラー。パーラーの前では一生見る事が出来ないだろうと思われる絶世の美女がのんびりと掃除をしていた。
「す、少しばかり時間余ってるし・・こ、これは行くしかないよな・・・」
俺はゴクリと喉を鳴らし自然を装いパーラー前に車を停めた。
「へぇ〜・・。こんな所にパチンコ店があったんですね」
さりげなく女性に声を掛ける。だが、返ってきた返答は驚く言葉だった。
「あら、貴方は先ほど店の前を二回通過していきましたよね?御急ぎでは無かったのでしょうか?」
しばし考えてみた、確かに朝の出勤時にここを通り過ぎ、S社に向かう時もここを通過した。まさかと思うがこの女性は覚えていたのだろうかと思案する。
「??」
目の前の女性は何かおかしかった点があったのだろうか、と考えているようだ。おかしいどころか全部きっちり合ってる。こちらが逆にあんたの記憶力はどうなってんだ、と聞きたいぐらいだ。それとも、俺を見ていたのだろうか。もしそうなら、この女性を誘ってみるか。これだけの美女だ、一度ぐらいは味わってみたい。
「お嬢さん、今から軽く食事でもどうですか?」
俺は出来るだけ冷静に爽やかに声を掛けるが女性は目を丸くしたまま動こうとしない。俺、何か変な事を言ってしまったのか。
「魅力的なお誘いは嬉しいのですが」
俺は心の中でガッツポーズをしたが続いて出てきた言葉に消沈してしまう。
「私は此処のオーナーですから離れる事が出来ませんので申し訳ありません」
一発で玉砕されたが、気になる事が一つだけあった。
「…、えっ?オーナー?・・・この大きな店のですか!?」
「ええ、勿論ですわ。ここ、パーラーDE☆A☆Iのオーナーをしております」
感心と驚きの溜息が口から漏れる。どう見ても俺と変わらないぐらいの年齢なのにパチンコ店のオーナーだなんて信じられない。俺は瞬時に考える。この女性を落とせば一生楽が出来そうだと。俺の中の悪魔が囁く、この女も食っちまえよ!と。俺はもう一度誘おうと声を掛けようとしたが女性はいつのまにか店内に入ってしまったようだ。
「入ってみるか・・。あれだけの上玉を見逃すなんて出来ないしな」
自動ドアを開け店内に入ると何か妙な雰囲気に包まれる。何十、何百の視線が俺に襲いかかってくるような貫くような錯覚を覚える。俺は緊張のあまり喉の奥がゴクリと鳴った。店内には俺一人しか客が居ないはずなのに何百人も犇めき合ってるような空間に思える。俺は気のせいだと思いながらカウンターまでゆっくり歩く。カウンターでは、あの女性が優しい手付きで小さな金貨らしき物を磨いていた。
「それは・・、何ですか?見たところ金貨のような感じがしますが?」
「はい、正真正銘の金貨ですよ。これはうちの御得意様だけが貰える金貨ですので・・」
「ほ、本物の金貨なのですか!?・・・ははっ・・、冗談はよしてください。いくらなんでもこんな大量に金貨があるわけ・・」
「触って量ってもいいですよ?あ、でも触った後はこの布で綺麗に拭いてくださいね?」
俺は一枚の金貨を摘んでみた。重い。その辺の見た目だけのオモチャじゃないのは解る。だが、これは本当に金貨なのだろうか。
「それでは、この天秤に金貨を置いてください。そして片方には同じ重さの金を置きますので」
女性が片方の皿にただの小さな塊の金塊を乗せると天秤は水平になった。
「どうですか?本物と認めて貰えますか?」
何も言えなかった。金貨だったという証拠よりもその金貨が目の前に大量に積まれている事実のほうが驚きだった。きっとこの女性はかなりの資産家なのだろうと俺は睨んだ。ますます落としたくなったが、今は油断させる為に御得意様になってやろう。
「ん〜・・。何かおもしろそうな台ってありますか?」
「おもしろそう・・ですか?これといって特には・・」
「なんでもいいですよ、貴女のお薦めなら喜んで打ちますよ」
「お薦めですか〜…。ええと、そうですね。博愛情事あたりでしょうか・・」
聞いただけでどこぞのサスペンス劇場を思わせるような名前だがお薦めならば打ってみよう。とりあえず今はあのオーナーである女性のお薦めを打ち続けて御得意様とやらになってみるか。店内をうろつきお薦めである『博愛情事』を見つける。
「これか、…何だこれ?」
見た感じは普通の台だったが、液晶画面に映っているキャラクターが怪しかった。美人だが下半身が蛇だったり、狐や狼のコスプレをした女性であったり、野生感まるだしの女性であったりと見るだけで打つ気力が落ちていく。
「ま、まぁ・・。お薦めだし、…打つしか無いよな」
今は多少負けても信用さえ得ればいい。あのオーナーに少しでも近づければ儲けだしな。俺は俺自身を説得し納得させて打ち始めた。
「…。怪しすぎる台だな。なんというか18禁丸出しな台だぞ」
くるくる回るキャラクターを見て気付いたのが、巨乳が揺れる、恥部が見えかけ、尻丸出し、といった具合なのだ。こんな台が規制に引っ掛からずに稼動してる時点でアウトだろ。俺はなんとなく台の右下辺りをチラリと見る。パチンコ台の右下、ハンドル辺りには社名が必ず載ってあるので確認してみる。
「璃璃夢株式会社・・?なんて読むんだ・・?りりむ・・かぶしきがいしゃ・・?」
一瞬だけどこぞの安っぽいゲーム会社を想像してしまう。だけど、これはパチンコ台だ。全くの別物だろう。手元に移した視線を元に戻し液晶画面を眺める。本当に怪しい、怪しいどころか打ってる俺が捕まりそうなぐらい危険度の高いパチンコ台だ。
「これ、ヤバイよなぁ・・。どう見ても乳首出てるし…、これなんてどう見てもマン筋だよな・・」
本当に打ち続けていいのか、と迷うほどの台だ。半分後悔しながら打っているとリーチが掛かった。
「とりあえず早く当たってくれ、マジで帰りてぇ!」
SM女王丸出しの女性が木に抱き付くように縛られた男性の尻を蔦のような物で叩いている。
「ほらほらぁ!蔦で叩かれてイってしまいなさい!」
「んんぐぅぅぅぅーーー!」
男のほうは声が出せないのか必死に呻き声で堪えている。
「うわぁ・・。いくらなんでもこんなリーチ駄目だろ・・」
暫く続く男性への御仕置き行為。散々叩かれた男性は木にしがみついたまま崩れ落ちる。
「この程度で気を失うなんて軟弱ね・・」
リーチが外れキャラクターが回り出す。内心、当たってくれなくて良かったと思う俺が居た。もしあのリーチで当たったら男はどうなるんだ、と考えるだけで冷や汗が止まらなくなる。しかし、これでなんとなくだがこの台はかなりやばい物だろうと確信した。予想通り、次のリーチも散々な物だった。下半身蛇の女が男を締め上げている。男は必死に抵抗していたがやがて気絶する。
「・・アウトだな、常識的に考えて・・・。他の台を打とうかな」
<<逃がさないわよ>>
「えっ?今のなんだ!?」
辞めようとして席を立った途端に頭に声が響いた。俺の右手が勝手にハンドルを握り直す。左手は器用に財布を開き千円札を取り出す。
「お、おい!なんで勝手に手が動いてるんだ!?」
操られるかのように体が別行動を起こしている。もう打ちたくないはずなのに手が吸い寄せられるように台から離れない。
「ひぃっ!!止めてくれ!誰か止めてくれっ!!」
大声で叫んだはずなのにオーナーは気付いていない。カウンターで黙々と金貨を磨いている。それはまるで、俺が此処に居ないかのように静かに作業をしていた。
「なんでだ!なんで聞こえてないんだよ!助けてくれっ!!」
俺が叫んでる間にも液晶画面はぐるぐる回る。俺の心は恐怖で崩壊寸前だ。これから何が起こるかわからない未知の恐怖、そしてこのまま回し続けたらどうなるのか、と。
そして、とうとうリーチが掛かってしまった。画面には下半身が蛇の女性が映っているが、先ほど見た蛇とは全く違う雰囲気だ。見てるだけで荒んだ心が落ち着くような清楚な顔立ち。白い柔肌に伏せ目がちの瞳は控え目な雰囲気を醸し出している。これから一体何が起こるのだろうかと俺は内心ビクビクしながらも画面に魅入った。
「やっと…貴方を見つける事が出来ました。私は貴方だけを見つめ貴方は私だけを見続けてくださいね。…旦那様」
気が付けば俺は画面を凝視していた。さきほどまでの荒々しいリーチじゃなく、まるで新妻が夫に語るような演出。こちらに手を差し伸べながら優しい言葉を掛けてくる。
「アナタ、私に優しい言葉を掛けてくださらないのですか・・?」
「・・ああ、そうだな・・・。綺麗だよ・・」
俺は無意識に口に出して言った。画面の中の女性がはにかみながら嬉しそうに尻尾の先端を振っている。ゆっくりと、ゆっくりとスローモーションがかかったようにキャラクターが動く。もどかしい、とてつもなくもどかしい。先ほどまで当たる事を拒否してたはずなのに、今は当たって欲しいと願っている。アタリ絵柄がゆっくりと近づいてくると俺の心臓が鐘を叩いたかのように激しい鼓動音を体中に巡らせる。美しい蛇の女性が綺麗に並んだ瞬間、俺の心臓音が一気に高まった。
「は・・はは・・・。当たった・・当たってくれた・・」
俺は当たったのを確認すると入賞口に次々を玉を入れていく。先程までの野生身丸出しな女性やSM女王のようなキャラで当たらなくて良かったと安堵しながら素早く玉を打ち続けるが一向に出玉が無い。故障だろうか、それとも台裏で玉が詰まっているのだろうか。軽く台を突付いてみるが玉は出てこない。とうとう最後の一玉も入賞口に吸い込まれてしまった。
「あ、やべぇ。玉、玉・・・。どうすんだよ、これ・・何も出てこないじゃないか」
カラン♪
小気味良い音と共に受け皿に出された一枚の金貨。俺はそれを摘んで眺める。
「…?んん?これって、さっき当たった蛇の女性じゃないのか?」
金貨を眺めながら悩んでみたがさっぱりわからない。それにこの金貨はオーナーが磨いていた物とそっくりだった。オーナーに聞けばわかるのかも知れないと思いカウンターへと行こうとしたが、いつのまに来たのか真後ろに立っていた。
「おめでとうございます。それは貴方様に幸運を授ける金貨です。これから先、貴方の人生に必ずや華を添えてくれる事でしょう」
それだけを言うとオーナーはカウンターに戻ってしまった。俺はというと、何故か体が回れ右して出口へと勝手に歩き出している。まだオーナーには聞きたい事があるのに、体は店から出ていこうとしている。必死に抵抗してみるが体は店前に停めた車に乗り込むとそのまま会社へと走ってしまう。意味がわからず混乱したまま俺は会社に戻ったが、そこに追い討ちを掛けるように更に混乱する出来事があった。時間がまったくと言っていいほど経ってなかったのだ。S社との往復分の時間しか経っていない。あのパチンコ店で最低でも2時間以上は打ってたはずなのに時計を確認するとまだ11時だった。
「神上君、早かったね?もう少しゆっくりしてきても良かったんだよ?」
部長から声を掛けられたが俺の頭には入ってこない。まるで狐に化かされたような気分だったからだ。
「神上君、大丈夫かね?」
「あ、いえ、大丈夫です」
俺は心を落ち着け冷静になるといつもの業務をこなしていった。
そして定時、俺はいつも通りに帰宅する。帰りにもう一度だけ、あのパーラーに寄っていこうと思ったがそこには何も無かった。初めから空き地だったかのように雑草が伸び空き缶などが転がっている。
「これって・・一体・・・。まさか!」
俺はポケットに手を突っ込む。あの金貨を確かめる為に。ポケットの底で指先が何かに触れた。
「・・・ある。この感触は・・あの金貨だ・・」
ポケットの底にある金貨を確認した俺は急ぎマンションまで戻り、ドアをロックし厳重にチェーンまで掛けてからポケットから金貨を取り出した。
「これはどういう事なんだ・・。あの店は一体何だったんだ・・・」
一人悩んでみるが全くわからない、それどころか考えれば考えるほど頭がパンクしそうだ。
「しょうがない。考えるのは後でいいや・・。今からくそガキが来るし・・」
ピンポーン♪
「チッ・・、もう来やがったのか・・。こっちは帰ってきたばかりだというのに。これだから頭のネジがゆるいうえにケツの軽い女は困るんだよ」
俺は金貨を部屋に置き玄関を開ける。そこには想像通り、くそガキが立っていた。
「遊びに来たよ〜♪」
「・・ああ、入れよ(くそガキが・・調子に乗りやがって)」
勝手知ったるように俺の部屋に入っていくバカ女。俺は先にシャワーを済ませようとしたが無理矢理部屋に引き摺りこまれる。
「ね〜、シャワーなんて後で一緒に入ればいいじゃない。だからね、・・久しぶりにヤろうよ」
「わかったわかった・・。けど、俺はしんどいからお前が上になれよ」
「えー・・しょうがないな〜。それじゃ、脱いでよ」
俺は服を乱暴に脱ぎ捨てベットに大の字になる。バカ女は俺の股間に顔を近づけ、まだ柔らかい状態のチンコを勃たせようと舐め始める。俺のチンコが元気になった途端にバカ女は自分のマン筋にチンコを宛がい一気に膣に沈めた。
「ふんんっ・・・、一週間ぶりのチンポいい・・」
「ほら、自分で腰を上下させて気持ち良くなれよ」
「もちろん・・んっ・・動く・・わよ・・」
俺の腰の上で激しくケツを上下に振るバカ女。はっきり言えば全く気持ち良くならない。本人は一週間ぶりで気持ちいいだろうが俺はほぼ毎日してるからこんなゆるゆるになったガキのマンコなんて興味無い。正直な話、鬱陶しいとさえ思っている。
「ほら、もっと締めろよ。お前だけ喜んでんじゃねぇぞ」
「ん〜〜っ!もっと締めればいいんだね・・んっんっ・・・ん〜!」
本人は必死に締めているつもりだろうが、遊びすぎてゆるゆるになったマンコなんて俺じゃなくても満足しないだろう。もうそろそろこいつも終わりかな。
「ねぇ・・、気持ちいい・・?んっんんっ・・あぁっ・・」
「…ああ、いいぞ・・。もう少しで出そうだ・・」
勿論嘘だ。適当に合わせてやれば勝手に満足するし、ほどほどな頃合でこっちが腰振って出せばいいだけの事だ。そろそろ面倒になってきた俺は下から一気に何度も突き上げ自分勝手に中に出した。
「ふぁぁっ・・!いきなり出すなんて酷いよ〜・・・」
「すまんすまん、お前の膣が良かったんでな。つい突き上げてしまったんだよ」
「もぅ・・、次は急に出さないでよね」
その後も適当に中に出し、0時を少し回った頃、何度も膣出しされたせいか満足顔でバカ女は帰っていった。
「・・はぁ、無駄に疲れるだけだったな・・」
俺は精液とバカ女の愛液の匂いを落とす為にシャワーを浴びる。一秒でも早く匂いを消したかった。
「はぁ〜〜・・。ああ、バカ女のくっせー匂いが染み付いてくせぇ!」
念入りに体を洗っていると、誰も居ないはずの俺の部屋から何か物音がした。
「・・・!強盗・・か!?」
俺はシャワーを出しっぱなしにして、腰にタオルを巻き、こっそりと部屋の様子を窺った。中で誰かが呟いている。
「・・・臭いわ・・。なんて臭い部屋なんですの。こんなに爛れた匂いなんて初めてですわ・・」
酷い言われようだ、強盗に自分の部屋の臭さを指摘されるなんて。だが、強盗の呟きはまだ終わらない。
「は〜・・。本当に運命の人なんでしょうか・・。少し心配になってきますわ・・。汚らしい女の匂いが染み付いた部屋で平然と寝れるような方が本当に私の旦那様なのでしょうか・・・」
何を言ってるのかわからないが、俺は意を決して部屋に踏み込んだ。
「お前は誰だ!通報される前に出て・・・・いき・・・やが・・」
最後のほうは完全に尻ツボミになってしまった。なぜなら、俺の部屋に居たのが、あのパチンコ台で見た上半身が美しく清楚な佇まいの女性で下半身が白蛇の女だったからだ。
「な、ななな・・・な・・ぬぅぁぁぁぁぁーーーー!!なんじゃもりゃああああああああ!」
俺は意味不明な言葉を発してしまう。目の前の蛇女は俺を軽く一瞥した後にススッと近づいてくる。
「酷い匂いですわね・・。一体何人の穢れた女と寝たらこんな酷い匂いが纏わりつくのかしら・・」
俺は動けなかった、いや、動こうとしたが目の前の蛇女が静かに自分の尾を俺の足に絡ませてきたのだ。目の前の蛇女が耳元で囁く。
「ふふっ・・。今から観月が・・旦那様に付いた汚らわしい匂いを消してあげますわ・・」
自らの事を観月と名乗った蛇女が俺の耳や首筋を舐め回してくる。今までの女よりも淫靡にそれでいて優しく俺の体に舌を這わせてくる。
「くっ・・、なんでこんな事を・・」
「どうしてですって・・?それはもちろん旦那様から他の薄汚い雌の匂いを消す為ですわ」
観月はそういうと執拗に俺の体を舐め回す。脇の下であったり、鎖骨の上であったり、臍であったりと。
「あらあら・・。一番穢れている場所を綺麗にするのを忘れていましたわ」
観月はそっと俺の顔に近づき、キスをしてきた。観月は舌を俺の口内に捻じ込み歯や頬の内側を舐めていく。
「ふぅんんん!んーーーっ・・ふっふっふっ・・んんん・・ぷはっ!」
「はぷぅ・・。これで旦那様のお口も綺麗になりましたわ♪」
観月から受けた舌の愛撫だけで俺は興奮していた。今までにも舌を絡めながらの愛撫はいくらでも経験したというのに観月の愛撫は全くの別物だった。一嘗めされる度に目の前の女を愛しく感じてしまう。舌愛撫だけで俺のチンコは最高潮にまで達している。早く目の前の女を犯せ、膣に何度も出してやれ、と自己主張している。俺はとうとう我慢出来ず、観月に襲い掛かる。
「ぁん♪旦那様・・いきなりだなんて・・。そんなに我慢出来ませんでしたの?」
「ああ・・はぁはぁ・・観月・・。いきなりで悪いが・・挿れさせてくれ!」
俺は観月の人と蛇の境目辺りにあった布キレを剥ぎ取り、人間と全く変わらないマンコにいきなり挿入する。チンコが半分ほど埋まった時に何か当たったが気にせずに最奥までチンコを突き入れる。
「あああああっ・・・!私の処女膜を一気に・・、ぁん・・子宮口にオチンポが当たってますぅ〜・・・」
どうやらさきほど当たったのは処女膜らしい。蛇女にも処女膜があった事に驚いたが俺は御構い無しに観月の膣、そして子宮を攻め立てる。
「あっ・・あぁ・・いいわぁ〜・・、もっと・・・もっと突いてくださいませ・・旦那・・さまぁ〜」
「ハァハァ・・。あぅ!なんだ!?膣内が急に蠢いてる感じが・・!」
「旦那様に・・気持ち良くなってもらう為に・・頑張りますね」
「ま!待ってくれ!それ以上されたら・・おおっ・・!ウッ・・ふううう・・」
膣内に射精してしまった。観月の子宮に今までに出した事が無いほどの大量の精液を射精してしまった。観月の下腹、子宮あたりが僅かに膨らむほど大量の精液を注ぎ込んでいた。それなのに膣から精液が一滴も溢れてこないのは何故だろうか。そして、それを察するかのように観月が教えてくれる。
「私達、魔物娘は頂いた精液は一滴も洩らしませんわ。全て栄養になるか、妊娠するかだけなのですから♪」
栄養になる、その言葉を聞いた時に俺は恐怖心に包まれた。もしかしたら俺は精液が枯れ果てるまで、いや、死ぬまで精液を吸い取られるんじゃないだろうか。そんな中、俺の携帯が鳴り出す。どうやらメールの着信音だ。
「あら・・?確かこれは・・・携帯電話だったかしら・・?」
俺の携帯を開きメールをチェックしていく観月。メールをチェックしている観月のこめかみに少しずつ青筋が立っていく。
「ウフフフフ・・、これは何かしら?」
携帯画面をこちらに向けメール内容を見せつけてきた。
『明日21時に逢えますか?…また、膣に出してくれると嬉しいな♪』
『今日のセックス最高だったよ〜。今度する時は最低でも5回は出してよね』
俺の額に冷や汗が流れる。いくらなんでもタイミングが悪いだろう、と。そんな俺の心中をどう思っているのかわからないが観月はにこやかに微笑む。
「さっきの匂いはこの薄汚い雌共の匂いなんですね・・旦那様?」
「い、いや・・それは・・」
「いいのですよ、旦那様は悪い女に騙されているだけなんですから・・。これからは私だけを愛するようにしないといけませんね」
観月は薄く笑うと尻尾を俺の体全体に巻き付ける。もう逃がさないと言った感じに緩くもなくきつくもなく締め上げてくる。
「うっ・・ぐ・・・。これは・・何の真似だ・・?」
「これから一生涯、旦那様が他所の薄汚い女に近づかないように・・汚らわしい匂いを付けられないようにするのですわ」
そっと右手を俺の胸に当てる観月。これから何が起こるのかわからないが良い事では無いだろう。
「では、旦那様・・。覚悟してくださいね?」
胸に置かれた観月の右手から小さな蒼い炎が迸る。俺は恐怖のあまり体を捻って逃げようとするが尻尾で拘束されているので体を揺らす程度にしか動けない。
「大丈夫ですよ、旦那様。この炎では火傷一つしませんので安心してくださいませ。ただし・・・焼けるのは旦那様の御心ですが・・」
小さな蒼い炎が俺の胸に沈んでいく。俺はそれをただ黙って見ているしかなかった。炎が完全に俺の体に沈んだ時、観月の膣に入れたままのチンコが勢い良く反り返った。
「あぁん!旦那様のオチンポが観月の子宮に勢い良くぶつかってきますの・・」
「ハァハァ・・。観月・・俺は・・・俺は・・・」
「いいのですよ旦那様・・。観月の子宮に気が済むまでたっぷり出してください・・」
それから後は俺の体に何が起こったのかわからないが、何度射精しても萎えなかった。観月の膣に、子宮に幾度となく大量に精液を吐き出す。抱き合い、絡み合い、時には蛇のように体の境界線がわからなくなるほど密着し精を吐き出す。精液を観月の子宮に出せば出すほど観月を愛しく感じる。今までの女なんてどうでもいいと思えるほどに観月の体を貪っていく。もう俺の目には観月しか見えない。何度出しても飽きない体。それどころか、この体に溺れたいと感じてしまっている。普通の女相手では決して味わえない性交。まだ足りない、もっと犯したいと俺の心が叫ぶ。観月も俺に合わせてくれるのか淫らに腰を突き出し貪欲に精液を求める。そして期待に応えるように連続で射精してやる。観月の下腹が妊娠してるかのように膨らんでいるが俺は気にせず何度も子宮に精液を吐き出していく。観月も下腹が膨らむほど子宮に精液が溜まっているのにまだまだセックスを続けようとしている。そして明け方まで俺達の性交は続いた。
夜明けと同時に、どちらからともなく体を離した。観月の尻尾の拘束もゆるくなってきたので膣からチンコを抜いてみる。膣からは一滴も精液が溢れ出てこない。観月の下腹は妊娠6ヶ月ぐらいに膨らんでいた。これ全て俺が出したのか、と思うと興奮が甦ってきてチンコが反り返る。まだ出し切っていない、まだ満足していない、と俺のチンコが抗議しているようだ。どれだけ出せば俺は満足するんだろう。そんな俺を他所に観月はベットの上で下腹をさすりながら満足してる。
「旦那様・・。これから毎日よろしくお願いしますね」
「・・・・あ〜・・。うん。わかった・・」
「今の間は何ですの、旦那様・・??」
「あ、いや、深い意味は無いよ、無いからな!」
「…怪しいですわね、・・もしや、あのメール相手を・・」
そっと出された手には蒼い炎が乗っている。返答次第では容赦無く俺に当ててくるだろう。流石に二回目は勘弁してもらいたい。
「いや、ただな・・。観月から先に言われて・・ちょっとな」
「何がですか・・?」
「俺・・きっと観月が居ないとダメになる・・。こんな俺でもいいなら・・。一緒に居てくれないか・・」
「旦那・・様、観月は・・観月は・・果報者です・・」
嬉しさのあまり飛びかかってくる観月。それを優しく受け止めてやると俺の体に尻尾を巻き付けてきた。
「・・あれ?・・観月さん?どうして巻きつくのかなぁ・・」
嫌な予感がする、それも極上に嫌な予感がする。
「観月は・・今の御言葉で・・・もう我慢出来ません!!」
「ちょ!ちょっと待って!俺もうすぐ出勤だからぁぁぁーーーーーー!」
「アナタ・・?確か・・今日は商談があったのですよね・・・?あそこの課長さんの娘さん・・。貴方が先日までたっぷりと可愛がってたお気に入りの子・・。もし、商談後にあの子に逢おうものなら・・わかってますよね・・?」
俺の額に嫌な汗が流れる。今、妻が言った事を簡単に説明すると俺は昔、契約欲しさに商談相手の娘に取り入って御機嫌取りをしていたのだ。その際、魔がさしたというべきか、勢い任せにその娘を食ったのだ。だが、俺が食った娘はその子だけじゃない。今までの商談相手の大半の娘を味見しては捨てていた。その事を妻は全て知っているだけに今の言葉の真意が手に取るようにわかる。
「今の俺にはお前が居るんだ。浮気なんてするはず無いだろう?」
俺は至って冷静に返事する。しかし、妻は不機嫌なままだ。妻は長い下半身をスルスルと音も立てず俺に近づいてくる。
「ねぇ、あなた?10代の御肌って艶々して綺麗ね?」
「・・??ああ、そりゃもちろん柔らかいし、触り心地も良かったし・・ハッ!」
「あ〜な〜た〜・・?今何と言いましたか〜?」
自ら詰んでしまった。こうなったら妻の怒りは止まらない。
「はぁ・・、やはり貴方には一生御仕置きが必要なのですね。・・・本当はこんな事したくありませんが・・。今日という今日は覚悟してくださいね?」
爽やかな笑顔で右手に巨大な火を灯す。蒼白く、幻想的で美しい炎。だが見た目は美しくてもこれは魔性の炎。俺の心を焦がし淫靡に欲望に染めていく炎。そして、・・・永遠の愛という一生外す事が出来ない鎖を俺の体に植えつける。俺は以前にも何度かこの炎を植付けられたが、その時はせいぜい野球に使うボール程度の大きさだった。それでも一日中気が狂いそうになったのは言うまでもない。そして、……今、俺の目の前に灯されている炎の大きさはどう見てもバスケットボール以上の大きさはあるだろう。こんなのを植え付けられたら本当に狂ってしまう。
「本当に浮気しないのでしたら、・・・これぐらい平気ですわよね?あ・な・た?」
「ままままま・・・待ってくれ!そんなでかい炎植え付けられた死んでしまう!!」
「あら?別に大事な御体には傷一つ付きませんよ?ただ、貴方の心はどうなるかは・・わかりませんが」
にっこり笑いながら説明する妻だったが目は笑っていない。じりじりと近づく妻、それを避けるようにじわじわと後退する俺。そして気が付くと俺は部屋の角に追い込まれていた。
「な、・・なぁ。冗談だろぅ・・?そんな物騒なもん消してくれよ・・・」
「冗談ではありませんわ?それに、貴方が浮気しなければいいだけの事ですよ?・・・それでは覚悟してくださいね」
俺の胸にそっと置かれる妻の右手。その手に宿る炎が俺の体に浸透していき俺の心を蝕み始める。
「ぐうぅぅうぅっ・・・!た・・たの・・む。止め・・止めてくれ・・」
「・・・しょうがないですわね。それなら・・」
妻が指を軽く鳴らすと嘘のように心のざわめきが消えていく。俺はほっと胸を撫で下ろした。
「アナタが浮気しそうになったら発動するようにしましたから・・。わかってますよね・・?」
「ああ・・・わかっているよ・・。絶対に浮気なんてしないからな。信じてくれ」
妻は信用してくれたのか、スルスルと自室に戻っていく。助かったと思いながら俺は玄関で靴を履き出す。そんな俺をいつの間に来たのか妻が後ろで見送ってくれる。
「それじゃ、いってくるよ」
「ええ、いってらっしゃいアナタ。・・でも、その前に・・これは何かしら?」
俺の前に広げられるAV女優のポスター。俺のお気に入りのポスターだ。俺はそのポスターを鼻息荒く凝視しようとした瞬間、とてつもない欲情と興奮が俺の心を襲った。
「はぁ〜・・。やっぱりこうなりましたか・・」
「ふがぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁあーーー!止め!止めてくれえええええええ!!」
「・・・罰としてそのまま会社に行ってください!」
俺は玄関から放り出された。迸る性欲を我慢出来ず必死にドアを叩く俺。しかし、内側から聞こえてくる言葉は悪魔の一言だった。
「今日一日我慢出来たら許してあげます!」
それっきり反応が無くなってしまう。どうやら妻は本気のようだ。俺は先走り汁が出そうになるのを堪えふらふらと出社する。
俺、今日一日耐えられるだろうか・・・・。
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「よぉ、神上。今日も契約取れたんだって?」
俺の同僚がいつもの言葉を投げてくるが無視して自分のデスクに座る。
「やれやれ、・・・。本当にお前は変わっちまったなぁ・・」
俺の横で何か言ってるようだがどうでもいい。俺は月間成績のトップさえ守れたら他の事なんでどうでもいいのだ。自分のデスクに置かれたパソコン画面を凝視し契約数を確認する。今月も順調だ。いつものように定時まで社内でぶらぶらすると終業の合図と共に即帰宅する。残業組みを尻目に俺は会社の玄関前で人を待つ。待つ事5分、俺の前に一台の車が止まる。
「ごめんねぇ〜・・。待った〜?」
「いや、きっちり5分だったよ。それじゃ行こうか」
俺は助手席に座り運転している女の行きたい通りにさせている。どうせいつもの場所だろう。この女は取引先の部長の娘だ。契約取る為にちょっとばかしお近づきになって利用させてもらっただけの女。遊ばれてるとも知らずに。これだから世間知らずの女の相手は楽だぜ。お前の他にも遊び女が居るとも知らずにな。運転していた女はいつもの如く、嬉しそうな顔でホテルの駐車場へと車を入れた。またいつもの作業だ。この女を満足させるだけで契約が取れるんだから楽勝だな。せいぜい、俺の糧になってくれよ、と心の中で嘲笑う。適当に相手して3時間後、家まで送ってもらい意気揚々と玄関のドアを開けると居間ではさっきとは違う女が俺の帰りを待っていた。こいつも取引先相手の娘だ。どうせこいつも俺とやりたくて来ただけの餌だ。
「今日も遅かったんだね・・。それに最近、貴方が冷たく感じる・・」
「何いってんだ?ただの付き合いだ。それと、俺はお前を嫌ってるわけじゃないんだ。少し疲れただけなんだから気にするなよ・・(ハッ・・。本当は突き合いだったんだけどな)」
「でも、・・・」
「しょうがないな・・。それじゃ、証拠見せてやるよ」
俺は女を自室に連れていき押し倒す。さきほどまで行っていた事を繰り返すだけの行為。愛情なんてありもしない性欲を満足させるだけの行為。だが、女は抱かれると安心したのか俺に縋るような目で見つめてくる。
「うれしぃ・・。抱いてくれなかったらどうしようかと・・」
「これでわかっただろう?満足したか?」
女は嬉しそうに俯き自分が疑っていた事を恥じていた。この女からもまだまだ搾る気満々な俺は女の髪を手で軽く梳いてやる。安心させてやりゃこっちのもんだ。後はいつものように遊んでやれば勝手に帰る。俺は軽く愛撫してすぐに肉棒を突き入れた。俺の下で嬉しそうに腰を振る女。本当に馬鹿な女だ。
「それじゃぁ、・・もう帰るね♪」
俺は手を振り送り出した。これでやっと静かな時間を満喫出来る。だが、静かな時間は来ない。まるで計ったかのように携帯が鳴った。
「ねぇねぇ、今暇?」
「おいおい、今何時だと思ってんだ?もうすぐ12時だぞ」
「別にいいじゃない〜。ね、今からそっちに行ってもいい?」
「ダメだ。俺はもう眠いんだよ。お前みたいに暇じゃない」
「ひっどぉ〜ぃ・・。パパに言いつけてやるんだから!」
「あー・・、もうわかったわかった・・。明日ならいいぞ・・」
適当に会話を終わらせ俺はソファーに身を預けぐったりする。
「チッ、あのガキ・・。何がパパに言いつけてやるだ。お前の親父がカモじゃなかったら相手になんぞするか、くそビッチが!」
携帯を放り投げ服を脱ぎ散らかしシャワーを浴びる。明日はくそガキが来る事が決まってしまった。シャワーを済ませさっきまで女を抱いていたベットへ身を投げる。
「しょうがねぇな・・。あんなガキでも親父はカモだし・・。ま、せいぜい頑張ってもらうか」
一人愚痴りながら俺は眠った。
翌朝、いつもと変わらぬ出社。ただ一つ違っていたのは通勤経路にパチンコ店がオープンしてたぐらいだ。パチンコ店を無視し、会社に出社した俺だったが珍しい事に今日の俺の予定が全く無かった。昨日確認した時は多少ばかり予定があったはず。何故予定が無くなったのか気になった俺は部長に確認を取る。
「部長、今日の予定なのですが・・」
「あ〜・・。その事なんだが、昨日偶然にも先方さんに会ってな。昨日の晩の内に済ませてきたのだよ」
「そうですか・・。では、自分はどうしましょう?」
「そうだな。…前に君が担当した会社、どこだったかな・・」
「S社の事ですか?」
「ああ、そうだそうだ。今、向こうさんに見積もり書を送ってあるんだが返事がまだなんだ。取ってきてもらえないか?」
俺は軽く頷き外出準備をする。久しぶりに契約以外の仕事だ。何年ぶりだろうか。俺は社用車を走らせながらS社に向かう。途中、さきほどのパーラーを見かけたが無視する。しかし、本当はS社には行きたくない。あのくそガキの親父が居る会社だからだ。憂鬱な気分を引き摺りながらS社へ入る俺。
「お〜。神上君じゃないか、久しぶりだなー」
「お久しぶりです。貴方もお変わりなくお元気そうで・・」
即、出会ってしまった。なるべくなら出会わずに帰りたかったがどうしようもない。
「ところで神上君。うちのバカ娘はどうしてるかな?」
痛い所を突いてくる。
「元気があっていいですよね。昨日も電話が掛かってきましたし・・」
「全く、あのバカ娘は・・。本当に済まないねぇ、神上君。君の都合も考えず迷惑掛けてるんじゃないかと」
嗚呼、本当に迷惑だ。あんたの娘じゃなかったらとっくの昔に捨てているところだ。
「それでは自分は急いでますので」
「あぁ、急ぎの所、申し訳なかったな」
俺は見積書を受け取ると急ぎS社を後にした。あのまま長居していればボロが出るかもしれないと感じたからだ。来た道をのんびり戻る。さっさと会社に戻って通常業務をこなしたい。運転中に今日の晩の事を考える。さきほど出会ったS社のおっさんの娘がうちに来る。憂鬱だ、本当に憂鬱だ。信号待ちをしながら今日の晩に行われるであろうクソガキとの情事を想像すると気分が落ち込んでくる。
「担当外れたら速攻で捨ててやるか。・・・・?おぉっ!すげえ美人が!」
信号待ちの最中、何気に視線を逸らした先にあったパーラー。パーラーの前では一生見る事が出来ないだろうと思われる絶世の美女がのんびりと掃除をしていた。
「す、少しばかり時間余ってるし・・こ、これは行くしかないよな・・・」
俺はゴクリと喉を鳴らし自然を装いパーラー前に車を停めた。
「へぇ〜・・。こんな所にパチンコ店があったんですね」
さりげなく女性に声を掛ける。だが、返ってきた返答は驚く言葉だった。
「あら、貴方は先ほど店の前を二回通過していきましたよね?御急ぎでは無かったのでしょうか?」
しばし考えてみた、確かに朝の出勤時にここを通り過ぎ、S社に向かう時もここを通過した。まさかと思うがこの女性は覚えていたのだろうかと思案する。
「??」
目の前の女性は何かおかしかった点があったのだろうか、と考えているようだ。おかしいどころか全部きっちり合ってる。こちらが逆にあんたの記憶力はどうなってんだ、と聞きたいぐらいだ。それとも、俺を見ていたのだろうか。もしそうなら、この女性を誘ってみるか。これだけの美女だ、一度ぐらいは味わってみたい。
「お嬢さん、今から軽く食事でもどうですか?」
俺は出来るだけ冷静に爽やかに声を掛けるが女性は目を丸くしたまま動こうとしない。俺、何か変な事を言ってしまったのか。
「魅力的なお誘いは嬉しいのですが」
俺は心の中でガッツポーズをしたが続いて出てきた言葉に消沈してしまう。
「私は此処のオーナーですから離れる事が出来ませんので申し訳ありません」
一発で玉砕されたが、気になる事が一つだけあった。
「…、えっ?オーナー?・・・この大きな店のですか!?」
「ええ、勿論ですわ。ここ、パーラーDE☆A☆Iのオーナーをしております」
感心と驚きの溜息が口から漏れる。どう見ても俺と変わらないぐらいの年齢なのにパチンコ店のオーナーだなんて信じられない。俺は瞬時に考える。この女性を落とせば一生楽が出来そうだと。俺の中の悪魔が囁く、この女も食っちまえよ!と。俺はもう一度誘おうと声を掛けようとしたが女性はいつのまにか店内に入ってしまったようだ。
「入ってみるか・・。あれだけの上玉を見逃すなんて出来ないしな」
自動ドアを開け店内に入ると何か妙な雰囲気に包まれる。何十、何百の視線が俺に襲いかかってくるような貫くような錯覚を覚える。俺は緊張のあまり喉の奥がゴクリと鳴った。店内には俺一人しか客が居ないはずなのに何百人も犇めき合ってるような空間に思える。俺は気のせいだと思いながらカウンターまでゆっくり歩く。カウンターでは、あの女性が優しい手付きで小さな金貨らしき物を磨いていた。
「それは・・、何ですか?見たところ金貨のような感じがしますが?」
「はい、正真正銘の金貨ですよ。これはうちの御得意様だけが貰える金貨ですので・・」
「ほ、本物の金貨なのですか!?・・・ははっ・・、冗談はよしてください。いくらなんでもこんな大量に金貨があるわけ・・」
「触って量ってもいいですよ?あ、でも触った後はこの布で綺麗に拭いてくださいね?」
俺は一枚の金貨を摘んでみた。重い。その辺の見た目だけのオモチャじゃないのは解る。だが、これは本当に金貨なのだろうか。
「それでは、この天秤に金貨を置いてください。そして片方には同じ重さの金を置きますので」
女性が片方の皿にただの小さな塊の金塊を乗せると天秤は水平になった。
「どうですか?本物と認めて貰えますか?」
何も言えなかった。金貨だったという証拠よりもその金貨が目の前に大量に積まれている事実のほうが驚きだった。きっとこの女性はかなりの資産家なのだろうと俺は睨んだ。ますます落としたくなったが、今は油断させる為に御得意様になってやろう。
「ん〜・・。何かおもしろそうな台ってありますか?」
「おもしろそう・・ですか?これといって特には・・」
「なんでもいいですよ、貴女のお薦めなら喜んで打ちますよ」
「お薦めですか〜…。ええと、そうですね。博愛情事あたりでしょうか・・」
聞いただけでどこぞのサスペンス劇場を思わせるような名前だがお薦めならば打ってみよう。とりあえず今はあのオーナーである女性のお薦めを打ち続けて御得意様とやらになってみるか。店内をうろつきお薦めである『博愛情事』を見つける。
「これか、…何だこれ?」
見た感じは普通の台だったが、液晶画面に映っているキャラクターが怪しかった。美人だが下半身が蛇だったり、狐や狼のコスプレをした女性であったり、野生感まるだしの女性であったりと見るだけで打つ気力が落ちていく。
「ま、まぁ・・。お薦めだし、…打つしか無いよな」
今は多少負けても信用さえ得ればいい。あのオーナーに少しでも近づければ儲けだしな。俺は俺自身を説得し納得させて打ち始めた。
「…。怪しすぎる台だな。なんというか18禁丸出しな台だぞ」
くるくる回るキャラクターを見て気付いたのが、巨乳が揺れる、恥部が見えかけ、尻丸出し、といった具合なのだ。こんな台が規制に引っ掛からずに稼動してる時点でアウトだろ。俺はなんとなく台の右下辺りをチラリと見る。パチンコ台の右下、ハンドル辺りには社名が必ず載ってあるので確認してみる。
「璃璃夢株式会社・・?なんて読むんだ・・?りりむ・・かぶしきがいしゃ・・?」
一瞬だけどこぞの安っぽいゲーム会社を想像してしまう。だけど、これはパチンコ台だ。全くの別物だろう。手元に移した視線を元に戻し液晶画面を眺める。本当に怪しい、怪しいどころか打ってる俺が捕まりそうなぐらい危険度の高いパチンコ台だ。
「これ、ヤバイよなぁ・・。どう見ても乳首出てるし…、これなんてどう見てもマン筋だよな・・」
本当に打ち続けていいのか、と迷うほどの台だ。半分後悔しながら打っているとリーチが掛かった。
「とりあえず早く当たってくれ、マジで帰りてぇ!」
SM女王丸出しの女性が木に抱き付くように縛られた男性の尻を蔦のような物で叩いている。
「ほらほらぁ!蔦で叩かれてイってしまいなさい!」
「んんぐぅぅぅぅーーー!」
男のほうは声が出せないのか必死に呻き声で堪えている。
「うわぁ・・。いくらなんでもこんなリーチ駄目だろ・・」
暫く続く男性への御仕置き行為。散々叩かれた男性は木にしがみついたまま崩れ落ちる。
「この程度で気を失うなんて軟弱ね・・」
リーチが外れキャラクターが回り出す。内心、当たってくれなくて良かったと思う俺が居た。もしあのリーチで当たったら男はどうなるんだ、と考えるだけで冷や汗が止まらなくなる。しかし、これでなんとなくだがこの台はかなりやばい物だろうと確信した。予想通り、次のリーチも散々な物だった。下半身蛇の女が男を締め上げている。男は必死に抵抗していたがやがて気絶する。
「・・アウトだな、常識的に考えて・・・。他の台を打とうかな」
<<逃がさないわよ>>
「えっ?今のなんだ!?」
辞めようとして席を立った途端に頭に声が響いた。俺の右手が勝手にハンドルを握り直す。左手は器用に財布を開き千円札を取り出す。
「お、おい!なんで勝手に手が動いてるんだ!?」
操られるかのように体が別行動を起こしている。もう打ちたくないはずなのに手が吸い寄せられるように台から離れない。
「ひぃっ!!止めてくれ!誰か止めてくれっ!!」
大声で叫んだはずなのにオーナーは気付いていない。カウンターで黙々と金貨を磨いている。それはまるで、俺が此処に居ないかのように静かに作業をしていた。
「なんでだ!なんで聞こえてないんだよ!助けてくれっ!!」
俺が叫んでる間にも液晶画面はぐるぐる回る。俺の心は恐怖で崩壊寸前だ。これから何が起こるかわからない未知の恐怖、そしてこのまま回し続けたらどうなるのか、と。
そして、とうとうリーチが掛かってしまった。画面には下半身が蛇の女性が映っているが、先ほど見た蛇とは全く違う雰囲気だ。見てるだけで荒んだ心が落ち着くような清楚な顔立ち。白い柔肌に伏せ目がちの瞳は控え目な雰囲気を醸し出している。これから一体何が起こるのだろうかと俺は内心ビクビクしながらも画面に魅入った。
「やっと…貴方を見つける事が出来ました。私は貴方だけを見つめ貴方は私だけを見続けてくださいね。…旦那様」
気が付けば俺は画面を凝視していた。さきほどまでの荒々しいリーチじゃなく、まるで新妻が夫に語るような演出。こちらに手を差し伸べながら優しい言葉を掛けてくる。
「アナタ、私に優しい言葉を掛けてくださらないのですか・・?」
「・・ああ、そうだな・・・。綺麗だよ・・」
俺は無意識に口に出して言った。画面の中の女性がはにかみながら嬉しそうに尻尾の先端を振っている。ゆっくりと、ゆっくりとスローモーションがかかったようにキャラクターが動く。もどかしい、とてつもなくもどかしい。先ほどまで当たる事を拒否してたはずなのに、今は当たって欲しいと願っている。アタリ絵柄がゆっくりと近づいてくると俺の心臓が鐘を叩いたかのように激しい鼓動音を体中に巡らせる。美しい蛇の女性が綺麗に並んだ瞬間、俺の心臓音が一気に高まった。
「は・・はは・・・。当たった・・当たってくれた・・」
俺は当たったのを確認すると入賞口に次々を玉を入れていく。先程までの野生身丸出しな女性やSM女王のようなキャラで当たらなくて良かったと安堵しながら素早く玉を打ち続けるが一向に出玉が無い。故障だろうか、それとも台裏で玉が詰まっているのだろうか。軽く台を突付いてみるが玉は出てこない。とうとう最後の一玉も入賞口に吸い込まれてしまった。
「あ、やべぇ。玉、玉・・・。どうすんだよ、これ・・何も出てこないじゃないか」
カラン♪
小気味良い音と共に受け皿に出された一枚の金貨。俺はそれを摘んで眺める。
「…?んん?これって、さっき当たった蛇の女性じゃないのか?」
金貨を眺めながら悩んでみたがさっぱりわからない。それにこの金貨はオーナーが磨いていた物とそっくりだった。オーナーに聞けばわかるのかも知れないと思いカウンターへと行こうとしたが、いつのまに来たのか真後ろに立っていた。
「おめでとうございます。それは貴方様に幸運を授ける金貨です。これから先、貴方の人生に必ずや華を添えてくれる事でしょう」
それだけを言うとオーナーはカウンターに戻ってしまった。俺はというと、何故か体が回れ右して出口へと勝手に歩き出している。まだオーナーには聞きたい事があるのに、体は店から出ていこうとしている。必死に抵抗してみるが体は店前に停めた車に乗り込むとそのまま会社へと走ってしまう。意味がわからず混乱したまま俺は会社に戻ったが、そこに追い討ちを掛けるように更に混乱する出来事があった。時間がまったくと言っていいほど経ってなかったのだ。S社との往復分の時間しか経っていない。あのパチンコ店で最低でも2時間以上は打ってたはずなのに時計を確認するとまだ11時だった。
「神上君、早かったね?もう少しゆっくりしてきても良かったんだよ?」
部長から声を掛けられたが俺の頭には入ってこない。まるで狐に化かされたような気分だったからだ。
「神上君、大丈夫かね?」
「あ、いえ、大丈夫です」
俺は心を落ち着け冷静になるといつもの業務をこなしていった。
そして定時、俺はいつも通りに帰宅する。帰りにもう一度だけ、あのパーラーに寄っていこうと思ったがそこには何も無かった。初めから空き地だったかのように雑草が伸び空き缶などが転がっている。
「これって・・一体・・・。まさか!」
俺はポケットに手を突っ込む。あの金貨を確かめる為に。ポケットの底で指先が何かに触れた。
「・・・ある。この感触は・・あの金貨だ・・」
ポケットの底にある金貨を確認した俺は急ぎマンションまで戻り、ドアをロックし厳重にチェーンまで掛けてからポケットから金貨を取り出した。
「これはどういう事なんだ・・。あの店は一体何だったんだ・・・」
一人悩んでみるが全くわからない、それどころか考えれば考えるほど頭がパンクしそうだ。
「しょうがない。考えるのは後でいいや・・。今からくそガキが来るし・・」
ピンポーン♪
「チッ・・、もう来やがったのか・・。こっちは帰ってきたばかりだというのに。これだから頭のネジがゆるいうえにケツの軽い女は困るんだよ」
俺は金貨を部屋に置き玄関を開ける。そこには想像通り、くそガキが立っていた。
「遊びに来たよ〜♪」
「・・ああ、入れよ(くそガキが・・調子に乗りやがって)」
勝手知ったるように俺の部屋に入っていくバカ女。俺は先にシャワーを済ませようとしたが無理矢理部屋に引き摺りこまれる。
「ね〜、シャワーなんて後で一緒に入ればいいじゃない。だからね、・・久しぶりにヤろうよ」
「わかったわかった・・。けど、俺はしんどいからお前が上になれよ」
「えー・・しょうがないな〜。それじゃ、脱いでよ」
俺は服を乱暴に脱ぎ捨てベットに大の字になる。バカ女は俺の股間に顔を近づけ、まだ柔らかい状態のチンコを勃たせようと舐め始める。俺のチンコが元気になった途端にバカ女は自分のマン筋にチンコを宛がい一気に膣に沈めた。
「ふんんっ・・・、一週間ぶりのチンポいい・・」
「ほら、自分で腰を上下させて気持ち良くなれよ」
「もちろん・・んっ・・動く・・わよ・・」
俺の腰の上で激しくケツを上下に振るバカ女。はっきり言えば全く気持ち良くならない。本人は一週間ぶりで気持ちいいだろうが俺はほぼ毎日してるからこんなゆるゆるになったガキのマンコなんて興味無い。正直な話、鬱陶しいとさえ思っている。
「ほら、もっと締めろよ。お前だけ喜んでんじゃねぇぞ」
「ん〜〜っ!もっと締めればいいんだね・・んっんっ・・・ん〜!」
本人は必死に締めているつもりだろうが、遊びすぎてゆるゆるになったマンコなんて俺じゃなくても満足しないだろう。もうそろそろこいつも終わりかな。
「ねぇ・・、気持ちいい・・?んっんんっ・・あぁっ・・」
「…ああ、いいぞ・・。もう少しで出そうだ・・」
勿論嘘だ。適当に合わせてやれば勝手に満足するし、ほどほどな頃合でこっちが腰振って出せばいいだけの事だ。そろそろ面倒になってきた俺は下から一気に何度も突き上げ自分勝手に中に出した。
「ふぁぁっ・・!いきなり出すなんて酷いよ〜・・・」
「すまんすまん、お前の膣が良かったんでな。つい突き上げてしまったんだよ」
「もぅ・・、次は急に出さないでよね」
その後も適当に中に出し、0時を少し回った頃、何度も膣出しされたせいか満足顔でバカ女は帰っていった。
「・・はぁ、無駄に疲れるだけだったな・・」
俺は精液とバカ女の愛液の匂いを落とす為にシャワーを浴びる。一秒でも早く匂いを消したかった。
「はぁ〜〜・・。ああ、バカ女のくっせー匂いが染み付いてくせぇ!」
念入りに体を洗っていると、誰も居ないはずの俺の部屋から何か物音がした。
「・・・!強盗・・か!?」
俺はシャワーを出しっぱなしにして、腰にタオルを巻き、こっそりと部屋の様子を窺った。中で誰かが呟いている。
「・・・臭いわ・・。なんて臭い部屋なんですの。こんなに爛れた匂いなんて初めてですわ・・」
酷い言われようだ、強盗に自分の部屋の臭さを指摘されるなんて。だが、強盗の呟きはまだ終わらない。
「は〜・・。本当に運命の人なんでしょうか・・。少し心配になってきますわ・・。汚らしい女の匂いが染み付いた部屋で平然と寝れるような方が本当に私の旦那様なのでしょうか・・・」
何を言ってるのかわからないが、俺は意を決して部屋に踏み込んだ。
「お前は誰だ!通報される前に出て・・・・いき・・・やが・・」
最後のほうは完全に尻ツボミになってしまった。なぜなら、俺の部屋に居たのが、あのパチンコ台で見た上半身が美しく清楚な佇まいの女性で下半身が白蛇の女だったからだ。
「な、ななな・・・な・・ぬぅぁぁぁぁぁーーーー!!なんじゃもりゃああああああああ!」
俺は意味不明な言葉を発してしまう。目の前の蛇女は俺を軽く一瞥した後にススッと近づいてくる。
「酷い匂いですわね・・。一体何人の穢れた女と寝たらこんな酷い匂いが纏わりつくのかしら・・」
俺は動けなかった、いや、動こうとしたが目の前の蛇女が静かに自分の尾を俺の足に絡ませてきたのだ。目の前の蛇女が耳元で囁く。
「ふふっ・・。今から観月が・・旦那様に付いた汚らわしい匂いを消してあげますわ・・」
自らの事を観月と名乗った蛇女が俺の耳や首筋を舐め回してくる。今までの女よりも淫靡にそれでいて優しく俺の体に舌を這わせてくる。
「くっ・・、なんでこんな事を・・」
「どうしてですって・・?それはもちろん旦那様から他の薄汚い雌の匂いを消す為ですわ」
観月はそういうと執拗に俺の体を舐め回す。脇の下であったり、鎖骨の上であったり、臍であったりと。
「あらあら・・。一番穢れている場所を綺麗にするのを忘れていましたわ」
観月はそっと俺の顔に近づき、キスをしてきた。観月は舌を俺の口内に捻じ込み歯や頬の内側を舐めていく。
「ふぅんんん!んーーーっ・・ふっふっふっ・・んんん・・ぷはっ!」
「はぷぅ・・。これで旦那様のお口も綺麗になりましたわ♪」
観月から受けた舌の愛撫だけで俺は興奮していた。今までにも舌を絡めながらの愛撫はいくらでも経験したというのに観月の愛撫は全くの別物だった。一嘗めされる度に目の前の女を愛しく感じてしまう。舌愛撫だけで俺のチンコは最高潮にまで達している。早く目の前の女を犯せ、膣に何度も出してやれ、と自己主張している。俺はとうとう我慢出来ず、観月に襲い掛かる。
「ぁん♪旦那様・・いきなりだなんて・・。そんなに我慢出来ませんでしたの?」
「ああ・・はぁはぁ・・観月・・。いきなりで悪いが・・挿れさせてくれ!」
俺は観月の人と蛇の境目辺りにあった布キレを剥ぎ取り、人間と全く変わらないマンコにいきなり挿入する。チンコが半分ほど埋まった時に何か当たったが気にせずに最奥までチンコを突き入れる。
「あああああっ・・・!私の処女膜を一気に・・、ぁん・・子宮口にオチンポが当たってますぅ〜・・・」
どうやらさきほど当たったのは処女膜らしい。蛇女にも処女膜があった事に驚いたが俺は御構い無しに観月の膣、そして子宮を攻め立てる。
「あっ・・あぁ・・いいわぁ〜・・、もっと・・・もっと突いてくださいませ・・旦那・・さまぁ〜」
「ハァハァ・・。あぅ!なんだ!?膣内が急に蠢いてる感じが・・!」
「旦那様に・・気持ち良くなってもらう為に・・頑張りますね」
「ま!待ってくれ!それ以上されたら・・おおっ・・!ウッ・・ふううう・・」
膣内に射精してしまった。観月の子宮に今までに出した事が無いほどの大量の精液を射精してしまった。観月の下腹、子宮あたりが僅かに膨らむほど大量の精液を注ぎ込んでいた。それなのに膣から精液が一滴も溢れてこないのは何故だろうか。そして、それを察するかのように観月が教えてくれる。
「私達、魔物娘は頂いた精液は一滴も洩らしませんわ。全て栄養になるか、妊娠するかだけなのですから♪」
栄養になる、その言葉を聞いた時に俺は恐怖心に包まれた。もしかしたら俺は精液が枯れ果てるまで、いや、死ぬまで精液を吸い取られるんじゃないだろうか。そんな中、俺の携帯が鳴り出す。どうやらメールの着信音だ。
「あら・・?確かこれは・・・携帯電話だったかしら・・?」
俺の携帯を開きメールをチェックしていく観月。メールをチェックしている観月のこめかみに少しずつ青筋が立っていく。
「ウフフフフ・・、これは何かしら?」
携帯画面をこちらに向けメール内容を見せつけてきた。
『明日21時に逢えますか?…また、膣に出してくれると嬉しいな♪』
『今日のセックス最高だったよ〜。今度する時は最低でも5回は出してよね』
俺の額に冷や汗が流れる。いくらなんでもタイミングが悪いだろう、と。そんな俺の心中をどう思っているのかわからないが観月はにこやかに微笑む。
「さっきの匂いはこの薄汚い雌共の匂いなんですね・・旦那様?」
「い、いや・・それは・・」
「いいのですよ、旦那様は悪い女に騙されているだけなんですから・・。これからは私だけを愛するようにしないといけませんね」
観月は薄く笑うと尻尾を俺の体全体に巻き付ける。もう逃がさないと言った感じに緩くもなくきつくもなく締め上げてくる。
「うっ・・ぐ・・・。これは・・何の真似だ・・?」
「これから一生涯、旦那様が他所の薄汚い女に近づかないように・・汚らわしい匂いを付けられないようにするのですわ」
そっと右手を俺の胸に当てる観月。これから何が起こるのかわからないが良い事では無いだろう。
「では、旦那様・・。覚悟してくださいね?」
胸に置かれた観月の右手から小さな蒼い炎が迸る。俺は恐怖のあまり体を捻って逃げようとするが尻尾で拘束されているので体を揺らす程度にしか動けない。
「大丈夫ですよ、旦那様。この炎では火傷一つしませんので安心してくださいませ。ただし・・・焼けるのは旦那様の御心ですが・・」
小さな蒼い炎が俺の胸に沈んでいく。俺はそれをただ黙って見ているしかなかった。炎が完全に俺の体に沈んだ時、観月の膣に入れたままのチンコが勢い良く反り返った。
「あぁん!旦那様のオチンポが観月の子宮に勢い良くぶつかってきますの・・」
「ハァハァ・・。観月・・俺は・・・俺は・・・」
「いいのですよ旦那様・・。観月の子宮に気が済むまでたっぷり出してください・・」
それから後は俺の体に何が起こったのかわからないが、何度射精しても萎えなかった。観月の膣に、子宮に幾度となく大量に精液を吐き出す。抱き合い、絡み合い、時には蛇のように体の境界線がわからなくなるほど密着し精を吐き出す。精液を観月の子宮に出せば出すほど観月を愛しく感じる。今までの女なんてどうでもいいと思えるほどに観月の体を貪っていく。もう俺の目には観月しか見えない。何度出しても飽きない体。それどころか、この体に溺れたいと感じてしまっている。普通の女相手では決して味わえない性交。まだ足りない、もっと犯したいと俺の心が叫ぶ。観月も俺に合わせてくれるのか淫らに腰を突き出し貪欲に精液を求める。そして期待に応えるように連続で射精してやる。観月の下腹が妊娠してるかのように膨らんでいるが俺は気にせず何度も子宮に精液を吐き出していく。観月も下腹が膨らむほど子宮に精液が溜まっているのにまだまだセックスを続けようとしている。そして明け方まで俺達の性交は続いた。
夜明けと同時に、どちらからともなく体を離した。観月の尻尾の拘束もゆるくなってきたので膣からチンコを抜いてみる。膣からは一滴も精液が溢れ出てこない。観月の下腹は妊娠6ヶ月ぐらいに膨らんでいた。これ全て俺が出したのか、と思うと興奮が甦ってきてチンコが反り返る。まだ出し切っていない、まだ満足していない、と俺のチンコが抗議しているようだ。どれだけ出せば俺は満足するんだろう。そんな俺を他所に観月はベットの上で下腹をさすりながら満足してる。
「旦那様・・。これから毎日よろしくお願いしますね」
「・・・・あ〜・・。うん。わかった・・」
「今の間は何ですの、旦那様・・??」
「あ、いや、深い意味は無いよ、無いからな!」
「…怪しいですわね、・・もしや、あのメール相手を・・」
そっと出された手には蒼い炎が乗っている。返答次第では容赦無く俺に当ててくるだろう。流石に二回目は勘弁してもらいたい。
「いや、ただな・・。観月から先に言われて・・ちょっとな」
「何がですか・・?」
「俺・・きっと観月が居ないとダメになる・・。こんな俺でもいいなら・・。一緒に居てくれないか・・」
「旦那・・様、観月は・・観月は・・果報者です・・」
嬉しさのあまり飛びかかってくる観月。それを優しく受け止めてやると俺の体に尻尾を巻き付けてきた。
「・・あれ?・・観月さん?どうして巻きつくのかなぁ・・」
嫌な予感がする、それも極上に嫌な予感がする。
「観月は・・今の御言葉で・・・もう我慢出来ません!!」
「ちょ!ちょっと待って!俺もうすぐ出勤だからぁぁぁーーーーーー!」
13/08/08 09:18更新 / ぷいぷい
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