連載小説
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その2

 「…オウル」
 「ん?wwwwどうかしたwwww」
 「美味しいぞ。とっても美味しい。お前の料理は何時も最高だ」
 
 ―その言葉が何時も口には出てこないものではあった。
 
 勿論、今までも迂遠には伝えたことがある。だけど、最高だなんて一度も言った事はなかった。本当は心の中で思っていたのに、おくびにも出さななかった賞賛の言葉。それが今、私の口からスラスラと出てくる。それが妙に気持ち良くて、私がそれがもっともっと欲しくなってしまうのだ。
 
 「どうしたのwwwファニーちゃんwwww」
 「どうもしない。ただ…少しばかり素直になろうと思っただけだ」
 
 そんな私の姿が意外なのだろう。オウルは不思議そうにそう尋ねてきた。それも当然だろう。私自身、こんなに素直になれる事が不思議なのだから。目の前でいきなり豹変された彼にとっては尚更だろう。
 
 ―思い返せば…そんな彼に今まではとても辛い事をさせてきたな。
 
 毎日、律儀に私へと料理を運ぶオウルに私は今まで何の褒美もくれてやらなかったのだ。それが嬉しかったのに、それが唯一の楽しみであるといっても過言ではなかったのに、私はそれを認めず、ただ享受しているだけであった。何時かそれが無くなってしまうことを内心、恐怖していたのにそれを持続させる努力など欠片もしていなかったのである。
 だが、それはいい加減、止めにするべきだ。私にはオウルが必要でいなくなられるととても寂しい。いや…とても悲しい。その想像だけで背筋が凍ってしまいそうなほど私は彼に入れ込んで…いや、好きになっている。ならば…彼にも私を好きになってもらえるように…誰かの代替品ではなく、私自身を好きになってもらえるように努力するべきだ。
 
 「なぁ、オウル。お前は気持ち良いのは好きか?」
 「そりゃwww痛いのよりは好きだけれどwwww」
 「そうだな。私も…気持ち良いのは好きだ。ふふっ…♪お揃いだな」
 
 勿論、世の中で痛い方が好きという特殊な性癖なヒトを除けば、それは殆どが共通する要素であろう。そんな事は私にだって分かっている。しかし、オウルと私の中のそんな小さな共通項を見つけるだけで今の私は嬉しくなってしまうのだ。その表情を綻ばせ、笑顔を形作ってしまうほどに。
 
 ―そしてお揃いであるという事が私の最後の躊躇を見事に破壊した。
 
 「お揃い記念に…今日はお前を気持ち良くしてやろう…♪覚悟するんだな…♥」
 「えwwwwちょっと待ってwwwそれってwwww」
 「お前だって…薄々感づいているんだろう?私が本当は…何を欲しがっていたかって事に」
 「そりゃwwww魔物娘なんだからwwwwそういうものだって分かってるけどwwwww」
 「それなのにお前は私の傍にいてくれた。私を構ってくれていた。こんなに可愛げのない私に優しくしてくれた。それは…お前自身もそれを期待していたからじゃないのか?」
 
 それは彼の優しさを貶める暴論である。そんな事は私にだって分かっている。それでも彼の優しさを見返りを求めて行われた浅ましい行為に堕とす無茶苦茶な理論を口にしたのは私自身がそうであって欲しいからだ。オウルもまた私に何かを求めてくれていて、私はそれにちゃんと応える事が出来た…いや、もっと言えばそうする事で彼に好きになって貰いたい。そんな期待が篭った言葉にオウルは呆れたのか、それとも気圧されたのか口を噤んだ。
 
 ―ならば…今が好機だ。
 
 「ならば、私がそれをお前にくれてやる。お前の欲しがったそれを最高の形で与えてやる。お前が今まで私に優しくしてくれたお礼として……な♪」
 
 そう言って私は皿をテーブルへと戻し、ゆっくりとベッドへと乗り上げた。そのまま柔らかいベッドに膝を立て、一歩二歩と移動する。そんな私を呆然とそれでいて何処か期待の眼差しで彼が見上げていた。微かな興奮に頬を紅潮させる姿が妙に可愛らしい。少なくとも今の抵抗出来ない彼の姿から私よりも遥かに大きいという印象は欠片も感じられなかった。
 
 「ふふ…♪可愛いぞ…♪そうやって期待する顔が…とても唆る…♥」
 「う、うぅwww信じて送り出したファニーちゃんがww素直になる事にドハマリしてwwww痴女みたいなセリフを言うなんてwwww」
 「そう言う私は嫌いか…?」
 
 ―まぁ…そんな事はないのだろうが。
 
 実際、彼の表情に悪いものは見えない。少しばかり恥ずかしそうではあるが嫌悪感は欠片も見当たらなかった。実際、首を傾げて問うた私の言葉にオウルは応えない。きっと応えようにもプライドが邪魔して難しいのだろう。私にもそのような経験がある――と言うか殆ど毎日であっただけに理解出来るのだ。
 
 ―だったら…私の方から歩み寄ってやらないと…な♥
 
 「まぁ、私のように幼い格好の少女にそう言われて中々、素直になれないだろう。だから…黙ってさえいれば…お前の欲しいものをくれてやろう。どうだ…?悪い話ではあるまい」
 「……」
 
 ―その言葉にオウルは視線を背けた。
 
 もっとも身体の殆どが麻痺している今のオウルに首が動かせる余裕はない。視線を背けるといっても私とは逆方向に目を流す程度だ。しかし、それが彼の心情をこれ以上ないほど表現しているように感じるのだ。素直にイエスと言わず、状況に流されようとする今の姿こそ私の推察が当たっていたなによりの証左だろう。
 
 「ふふふ…♪素直な奴は好きだぞ…♥」
 
 そう優しく、それでいて艶を浮かばせながら私はそっと彼へと馬乗りになった。彼の下腹部――丁度、腹筋あたりに腰を置いて、オウルの肩をベッドへと押し付ける。勿論、そんな事をしなくても彼は動けない。しかし、こうして私がオウルを「拘束しようとしていた」という事実が彼に甘美な言い訳を与えるのだ。
 
 「じゃあ…頂きます…♪」
 「…え?」
 
 そのまま彼の首筋へとそっと顔を近づける。瞬間、彼の汗のニオイが私の思考を揺らした。思わずむしゃぶりつきたくなるそれに私は抵抗すること無く、そのまま思いっきり首筋へと歯を突き立てる。
 
 「うあぁぁっ!!」
 
 ―ふわぁぁぁぁぁっっ♪
 
 瞬間、私の脳に情報の波が津波のように押し寄せる。血の芳醇な味。熱いとも言える血の熱。ツンと鼻の奥を突くような血の匂い。それら全てが私の中に一気に吸収され、飲み込まれていく。まるで乾いた砂に水を落としたようにオウルの血が私の身体を駆け巡り、吸収されていく。まるで彼の血を燃料にして全身の細胞が熱く燃え上がっていくような感覚に私の頭がそれ一色に染まった。
 
 ―美味しいっ♪美味しいっ♪美味しい美味しい美味しい♪♪
 
 いや、それはもう美味しいなんていうレベルではない。ずっと乾き続けていた感覚が充足していくのは美味しいを通り越して気持ち良いと言っても過言ではないだろう。身体が満たされていく感覚に爪の先まで活力に満ち溢れていくのだから。脳髄さえもドロリと蕩けていく甘美な感覚は私でさえ味わった事のないものだ。初めて味わう甘美なその感覚に私は夢中になって血を吸い上げた。
 
 ―でも、それはきっとオウルも同じで…っ♪
 
 「う…あぁぁ…」
 
 今も小さく呻き声を上げる彼の声には明らかな艶が浮かんでいた。普段なお気楽そうな声とは違う色気のある声は彼もまた私の吸血で感じている事の証左だろう。ヴァンパイアの吸血は血を吸われる側にもこの上ない快楽を与えると聞く。きっと彼も今、それを感じてくれているはずだ。
 
 ―あぁ…っ♪嬉しい…っ♪私で彼が気持ち良くなってくれている…っ♥♥
 
 何時も迷惑ばかり掛けてきた彼を私は今、とても気持ち良くしてあげられているのだ。今の私にはそれがとてつもなく嬉しく、私も彼に何かをしてあげられるという実感に心を踊らせてしまう。そして、もっと彼を気持ち良くしてあげたいと、私も気持ち良くなりたいと、そんな欲望を込めて私はいっそう激しく彼の血を貪った。
 
 「ふぁ……ぁ♪」
 
 そのまま数分ほど経った後、私はようやく彼の首筋から口を離した。私の犬歯が首筋に開けた二つの穴が妙に痛々しい。痛みはないはずではあるが、そのまま放置してやるのも少し可哀想だ。そう思った私はそっと舌を立て、オウルの首筋をゆっくりと舐め上げていく。
 
 「れろぉ…♪ふふ…っ♪お前の血はとても美味しかったぞ…♥」
 「そ、それは光栄wwwwなのかなwwww」
 「あぁ、とても光栄な事だぞ。誇って良い。なにせ私が生きてきた中でお前の血がもっとも甘美であったのだから…な♥」
 
 ―まぁ、それも当然かもしれないが♥
 
 私はこれまでずっと禁欲生活を続けてきたのだ。常に満たされない状態を続けてきた私にとってようやく味わう血液の味は何よりも美味に感じてもおかしくはない。まして彼は私が惚れ込んでいるただ一人の男だ。有象無象の血液よりも大事な大事な一人の雄の血液の方が幾倍も美味しいに決まっている。
 
 「それこそ…美味しすぎて…癖になってしまいそうだったぞ…♪」
 「あんまりwwww吸い過ぎないでねwwww」
 「当たり前だ。そんな事するものか」
 
 どれだけ空腹であっても一度に身体に入る量というのは限界がある。数十年単位の禁欲生活を続けてきた私とてオウルを吸い殺すほど血液が吸える訳ではない。勿論、彼を吸い殺すつもりなどはないが、最初から無理なのも事実だ。
 
 ―とは言え…そんな意地悪を言われて仕返ししないでおくのも癪に障る。
 
 本人としては冗談のつもりなのかもしれないが、冗談でもそんな風に疑われるのはあまりいい気分ではない。怒るほどではないが、多少は拗ねたくなってもおかしくはないだろう。勿論、拗ねた所で何かしらの実力行使に出るつもりなどはないが……――
 
 「こんなに美味しいエサを簡単に吸い殺す方が勿体無い♪永遠に…私専用の食料として飼ってやるから…光栄に思うのだな…♥」
 
 ―まぁ、これくらいの意地悪は許されるべきだろう。
 
 勿論、本当にオウルを飼うつもりなどはない。寧ろ私は彼を婿養子をしてこの家に入ってもらいたいのだ。永遠に近い時間を過ごす私の傍らにいて、公私共に私を支え続けて欲しいのである。故にそれはただの冗談であり、意地悪でしかなかった。
 
 「うはwww俺様wwww大ピンチwwww」
 
 しかし、彼にとってはそうは聞こえないらしい。大ピンチと言う言葉には僅かな焦りが含まれていた。その誤解を解いてやりたいが、すぐさま冗談であると発言を翻すのはちょっと癪である。元々、彼の方から意地悪してきただけに尚更だ。かと言って誤解を加速させるようなことは言いたくない。その二つの間で板挟みになった私は自分の感情を誤魔化すように再び彼の首筋へと舌を這わせた。
 
 「くぅ…あぁ…っ!」
 
 ゆっくりと首筋に唾液をなじませるような愛撫に彼が小さく身体を震わせた。きっと吸血によって、今の彼はとても敏感になっているのだろう。また艶の浮かんだ可愛らしい声をあげる姿に私の背筋にゾクゾクとした寒気が走った。何処か欲情を伴ったそれは…きっと彼を私の『雄』であると本能が認めてるからなのだろう。彼以外の誰でも私がこんな風になることはないはずだ。
 
 ―あはぁ…っ♥そう思うと…魔物娘の本能というやつも…悪くはないな♪
 
 自分の大好きな相手だけにこうした反応が走る。どれだけ鈍感な魔物娘でも自分が誰に恋焦がれているのかがすぐに分かるのだ。どんなヴァンパイアであろうとそれから目を背け続ける事はきっと出来ないだろう。何れ自分が恋焦がれていることを認め、相手のことを欲しくなってしまうのだ。
 
 ―だって…今の私がそうなのだから…な♪
 
 今の私は彼のことが欲しくて堪らないのだ。勿論、それは血液だけではない。オウルの全てを貪り尽くし、彼の何もかもを私色に染め上げて独占したくて仕方ないのである。その為に何が必要かさえ今の私にははっきりと理解出来ているのだ。
 
 ―ふふ…♪頑張らなくても…良いんだよな♥♥
 
 本来であれば、その行為を穢らわしいと否定していただろう。自分の欲望から目を背け、必死にそれを抑えこもうとしていたはずだ。だけど、オウルは「頑張らなくても良い」と言ってくれたのである。なら…そんな我慢など必要ない。彼もそう望んでくれているのだから、欲望へと従って自分のやりたい事をするべきだ。
 
 ―でも…安心して良いぞ…♪お前の嫌な事は一つもしないから…♥
 
 オウルは気持ち良いのが好きだと言ってくれたのだ。だったらこれから私がしようとしている事もきっと気に入ってくれるだろう。だって…それは先の吸血よりもよっぽどお互いが気持ちよくなれるのだから。気持ち良いのが好きと言ってくれた彼がそれを気に入らないはずがない。
 
 ―だから…ちょっとだけ…我慢してくれよ…♪
 
 その言葉を私が脳裏に浮かばせるのと同時に私の爪が閃いた。瞬間、彼の肌着が避け、鍛えあげられた胸板が目に入る。回復魔術のお陰で多少はマシになったとは言え、紫色の痣は完全に消えてはいなかった。その痛ましい場所に心を痛ませる私はそっと彼の腹筋から腰を下ろし、オウルの横に沿うように座る。そのまま私は彼の胸筋に顔を近づけ、そこに刻み込まれた痣を癒すように一つ一つ丹念に舐めていく。
 
 「ふぁ、ファニーちゃんwwwどうしたのwwww」
 「んふ…♪お前を味わってるんだ…♪とっても美味しくて…逞しいお前の身体を…な♥」
 
 ―そう言って私は彼の乳輪にそっと唇を触れさせる。
 
 小さく可愛らしい桃色の乳輪に唾液を塗りこむように舌が動いていくのだ。チロチロと小刻みに動くそれに乳首もまた巻き込まれていく。女よりも幾分、鈍いとは言え、性感帯である事に違いはない。舌先で弄ぶような愛撫に少しずつ乳首が硬くなっていった。
 
 「ちゅぱ…っ♪少しずつ乳首が大きくなってきているな…♪まるで…女の子みたいだぞ…♪」
 「そ、そんな事言っちゃらめぇwwww俺様のアイデンティティがwwww」
 「崩壊しても良いぞ…♪だってお前は…私のモノになるんだからな…♥新しいお前は…私が与えてやる…♥」
 
 ―そう…♪お前が今の私をくれたように……♪♪
 
 こうして下らないプライドも何もかもを投げ捨てられたのは彼のお陰だ。オウルがいなければ、今も『貴族』である事に固執して部屋にこもりきりであっただろう。だけど、今は違う。『貴族』である事にそれほどの価値を見出してはいないし、見下してきた人間ともこんな素晴らしい事が出来る。その御礼を彼にしたい。彼に新しい私を感じて欲しい。その言葉を胸に私は再び彼の乳首に舌を這わせた。
 
 「ちゅ…っ♪ぢゅるる…♪」
 「く…っ」
 
 小さいお豆のような乳首を私の舌が右へ左へと転がす度に彼の口から押し殺した声が漏れ出た。男としてはやはり乳首で感じているなどと認めたくないのだろう。快楽の声を必死で抑えこもうとする姿はとても可愛らしい。「食べちゃいたいくらい可愛い」と言う言い回しがあるが、今の私にはその言葉に心の底から共感できる。
 
 ―ふふ…♪それじゃあ…食べちゃおうか…♥
 
 「うあぁ……!」
 
 その言葉と共にそっと乳首へと歯を立てた私の耳に悲鳴のような小さな声が届いた。勿論、それもまた私にとっては興奮を掻き立てる媚薬でしかない。しかし、媚薬はあくまで媚薬でしかないのだ。それだけで満足する事は決してない。快楽を爆発させるキッカケがなければ何時までも燻っているままだろう。
 
 ―欲しい…っ♪もっとオウルが欲しい……っ♪♪
 
 そして、そのキッカケを求めて私の左手がゆっくりと彼の身体を滑り落ちる。鍛えあげられた胸の間から腹筋の溝を通って下腹部へ。そのままオウルの腰へと触れる。汗が染み込み、シミを作っている綿のズボンも今の私達には必要ない。肌着と同じように爪を煌めかせ、一瞬で彼の身体から引き剥がす。
 
 ―今の彼に触れて良いのは私だけ…♥オウルを感じさせて良いのは…私だけなんだから…♥
 
 そんな独占欲を剥き出しにした思考のまま私は再び爪を動かした。まったく下腹部に視線を送らないままの動きではあるが、そこにはまったく迷いはない。まるで本能が何をすれば良いのか教えてくれているように私の手は淀みなく動くのだ。そのお陰で彼の下着もまた無残に引き裂かれ、オウルの身体から離れていく。勿論、その肌に一つ足りとも傷はない。私が彼を傷つけることなどあり得ないのだ。
 
 「んふ…♪こうしているだけで…お前のモノを感じるぞ…♪とっても…大きいお前のモノを…な♥」
 
 こうして馬乗りになり、直接触れてはいないが、その圧倒的な存在感が私のお尻から伝わってきている。まるで太陽のように熱い塊がヒクヒクと動き、熱を振りまいているのだから。下腹部に馬乗りになっている私のお尻をまるで炙られているようにも感じるその熱に私の興奮も否応なく高められてしまう。
 
 ―勿論、伝わってくるのは熱だけじゃなくって…♥
 
 ツンと鼻を突き刺すような独特の匂い。何処か青臭さと甘さを混じらせた刺激臭は私の中の本能を刺激するのだ。初めて嗅ぐその香りを魔物娘の本能は性的なモノとして受け取ってしまうのである。一回、嗅ぐだけで頭の奥がジュンと潤んでしまいそうになる甘い匂いに今すぐオチンポに頬ずりして一杯、愛してあげたくて仕方なくなっていまうのだ。
 
 ―でも…今は我慢だ…♪
 
 勿論、このまま彼の肉棒へご奉仕してやるのも悪くない。いや、寧ろ私の本心はそうしたくもあったのだ。だが、そのまま次の段階に移行していくだけでは面白くない。オウルの可愛い顔をもっと見たい私にとって、もうちょっと焦らして…意地悪してやりたいのである。
 
 ―だから…今はもう少しだけ…乳首を可愛がってやるぞ…♪♪
 
 「くっぅ…」
 
 そのまま私は舌先でそっと乳首を押し込んだ。硬い胸筋に押し込まれた乳首が窮屈そうに震え、必死に反発しようとしているのが分かる。しかし、どれだけ抵抗しようと舌の圧力に敵うはずなどない。無駄な抵抗を繰り返す可愛い乳首を私は弄ぶようにグリグリと転がすのだ。
 
 ―…まだ終わりじゃないぞ…♪
 
 そのままちゅううっと乳輪ごと吸いあげてやるのだ。勿論、ただ吸い上げるだけではない。柔らかくも暖かい唇の内側の粘膜で癒すように包みこむのだ。二つの粘膜で左右交互に擦れさせる優しい刺激にオウルの腰にピクンと反応が走る。一瞬だけ跳ねるように上がったその動きは勿論、快楽に対する反応以外の何者でもないだろう。そう思うと妙に嬉しくなった私は再び彼の乳首に歯を立て、小さな乳首を扱いてやる。
 
 「ひぁ…!」
 「ふゅふ…♪女の子のような悲鳴をあげて…♪そんなに乳首を弄ばれるのが気に入ったのか…♪」
 「き、気持ち良いけどwwwwどっちかって言うとwwww遠慮したい刺激かなwww」
 
 ―まぁ、当然だな…♪
 
 私はオウルの女性遍歴を知らない。彼は今までそんな事を口にしなかったし、私も怖くて突っ込まなかったのだ。しかし、例えオウルに今までどんな相手が居たとしても乳首をこんな風に責められた事はないだろう。つまり…私は彼の初めての女になったのだ。他の誰でもない。世界でただ一人私がオウルという存在に自分を刻み込んだのである。
 
 ―あぁ…っ♪嬉しい……っ♥
 
 それが倒錯した喜びである事に私も気づいていた。本来であればあってはいけない喜びである事くらい自覚していたのである。しかし、だからと言って耐え難いその喜びがなくなる訳では決してない。寧ろ、それが倒錯的であればあるほど、背徳的であればあるほど、私の心は燃え上がり、彼もまた私に『オウル』という存在を刻み込んで欲しくなってしまうのだ。
 
 「そうか…♪それじゃあ…乳首とお前の逞しい肉棒…♪どっちを愛して欲しい…?」
 「それwwww実質、選択肢ないんですけどwwww」
 「こうして選択肢を提示してやっているだけでも寛大だと思え…♥どうせお前は抵抗出来ないんだから…好き勝手に犯してやっても良いんだぞ…♪」
 
 ―勿論、そんな面白みのない事はしないが♪
 
 ひたすら強引に欲望のまま突き進むのも悪くはない。だが、それではただのレイプだ。私がしたいのはそんな欲望だけのセックスではない。性経験が皆無な私としてはもっと暖かな愛情溢れるセックスがしたいのである。勿論、そこに欲望が混じっているのは否定しないが、まず第一は愛情でありたい。
 
 ―だから…オウルの意思もちゃんと尊重しないと…♪
 
 無論、オウルの意思確認を何度も行う事で彼自身をノリ気にさせ、辱める意図がない訳ではない。寧ろそちらの方が大きい可能性だって正直、否定は出来ないだろう。だが、本来の目的――と言うか建前――は彼の嫌がる事をしない為だ。独りよがりのレイプにならない為の私なりの気遣いである。
 
 ―まぁ…選択肢は容赦なく狭めるがな♥
 
 彼の望む方向に進んでいては私の望む愛情溢れるセックスは出来ない。私に誰かを重ね、妹のように見ているオウルの意思を完全に尊重していてはセックスなど不可能なのだ。だからこそ、その意思を誘導し、選択肢を狭めてやらなければいけない。尊重するべきところは尊重するが、それはあくまで私の望みを叶えられる範囲の話だ。「これから愛のあるセックスをする」という前提を無視するつもりは欠片もないのである。
 
 「さぁ…♪どっちが良い…?私は…どっちでも構わないぞ…♥」
 
 ―勿論、それは嘘だ。
 
 オウルの血を吸ってから私の身体は火照り続けているのだ。彼の全てが欲しくて欲しくて子宮が疼いてしまっているのである。今はまだそれを抑える事が出来ているが、早くオウルの肉棒――いや、オチンポを思いっきり味わいたくて仕方ない。その欲求がもう限界近くにまで高まっている私にとって、ここで焦らされるのはそれこそ地獄にも近いのである。
 
 「う、うぅwwwど、どっちも選び辛いんだけどwwww」
 「それなら…ずっとこのままだぞ…♪それは…お前にとっても辛いんじゃないか…?だって…もうこんなにオチンポをバキバキに勃起させてるんだから…な…♪♪」
 
 触れてさえいないお尻にまで伝わる圧倒的な存在感と熱はそれだけオウルが私の吸血や愛撫で興奮してくれている証だ。それをそのままにしておくのは射精しないと収まらない男にとってはとても辛い事だろう。
 
 ―それに…彼の顔にはもう欲望の色が浮かんでいる…♥
 
 何時ものようにニコニコとしている顔には欲情の色が強く混ざり込んでいた。紅潮した顔から漏れる吐息も荒く、硬い胸板もはっきりと上下している。そんな状態のオウルがこのまま放置される事を選び取れるはずがない。それを理解しているからこそ、私自身もう我慢できないにも関わらず、自信満々に「ずっとこのまま」なんて言う事が出来るのだ。
 
 「まさかの羞恥プレイにwwww俺様、驚愕wwwwでもwwwwこのまま放置されるのはwwwwビクンビクンしちゃうwww」
 「じゃあ…どうしたい…?」
 「ち、チンコの方をwww責めてくださいwww」
 「んふ…♪素直な子は好きだぞ…♥♥」
 
 恥ずかしそうに視線を背けながらの言葉に私は満足感を抱きながらそう返した。ようやく手に入れた彼の懇願に私の身体はさらに熱くなり、するすると彼の身体から一旦、降りる。しかし、それは彼を解放する為でもなんでもない。ただ、これからの愛し方には馬乗り担ったままでは難しいのだ。
 
 ―そのまま私の身体は後ろへと下がっていって…♪
 
 大の字に寝転がされている彼の股間に顔を埋めれる位置まで下がった私はそっと彼の下腹部に生えるオスの象徴へと目を向けた。鮮やかな赤い亀頭を黒ずんだ皮から覗かせる姿は妙な迫力がある。しかし、その先端はまるでオネダリをするようにピクピクと震え、先端から透明な液体を漏らしていた。まるで何かが欲しくて泣いている子どものような姿からは先の迫力は感じられず、寧ろ可愛らしい印象さえいだいてしまう。
 
 ―これが…オウルのオチンポぉ…♥
 
 勿論、それは『コレ』が彼から生えているのだということと無関係ではないのだろう。実際、目の前のオチンポがオウルのものであると胸中で確認するだけで暖かいものが身体中に広がり、今すぐむしゃぶりつきたくなってしまうのだから。だが、太くて大きなモノを思う存分、私の口で味わいたいというその欲望に今すぐ身を委ねる訳にはいかない。一足飛びにどんどんと進むのも良いが、私はこれが初めてのセックスだ。あまり急ぎすぎると何らかのミスをするかもしれないし、大事なものを取り落とす可能性だってある。
 
 ―どうせなら…最高の『初めて』にしたい…♪
 
 そう自制した私は大きく深呼吸して火照った身体を抑えつけながら、オウルの下腹部へと手を伸ばした。そのまま両手で包み込むように彼の肉棒に触れた瞬間、私の指先から燃え上がるような熱と鋼のような硬さが伝わってくるのである。
 
 「ふわぁ…♪♪」
 
 オスの象徴とも言えるその部分は私が何度か妄想した以上の逞しさに満ち溢れていた。ヴァンパイアの怪力でさえ傷つけるのが不可能とさえ思える硬いそれに私の女の部分がキュンと疼く。胸の中からもドロリとした熱いものが溢れ落ち、鼓動と共に全身へと広がっていくようだ。
 
 ―しかも…ただ硬いだけじゃなくってぇ…♥♥
 
 オウルの肉棒は私の片手では到底、包みきれないほど太い。長さも私の小さな手を二つ重ねても全てを覆う事は出来ないほど長大だ。他のオスのオチンポなど見たことがない故に比較することは出来ないが、きっと人並み以上だろう。そんな肉棒を愛しいオスが備えているということが今の私には堪らなく嬉しく思えて、仕方ないのだ。
 
 「こうして触れているだけでドクドクという脈動が伝わってくるほど激しいぞ…♪とっても我慢してたんだな…♥」
 
 ―だったら…それを今、解放してやる…♪
 
 その言葉を胸に私の指がゆっくりと上下に動き始めた。まだ力加減がはっきりと分からない故に私の手は肉棒へと添えられる程度でしかない。しかし、それでも魔物娘特有のスベスベした肌が気持ち良いのだろう。動き始めた瞬間、オウルが息を飲むのが分かった。
 
 ―本当に…愛い奴め…♥
 
 小手調べとも言うべき愛撫でも私を感じ、興奮してくれている。そんなオウルの姿に私もまた強く燃え上がってしまうのだ。その証拠に吐息もまたより深く大きなものへと変わっていく。しかし、どんどんと熱くなっていく身体を冷まそうとするようなその吐息とは裏腹に、大きく息を吸い込めば吸い込むほどオチンポの匂いが私の中へと取り込まれていくのだ。強く性を意識させるその匂いが混ざった空気を幾ら取り込んだ所で身体が冷めるはずがない。
 
 「ほぉら…♪オチンポしゅりしゅりされて気持ち良いのか…?コスコスって手コキされて感じてるんだろう…?」
 
 そして高まっていく興奮が私の口からドンドンと淫らな言葉を紡いでいく。それは勿論、彼を辱め、そして興奮させるのが第一の目的だ。しかし、それは副次効果として私の身体も熱くさせるのである。諸刃の刃とも言えるそれらは最早、私の口からは止まらない。まるで本能から言葉が直接、紡がれるように考える前に出てきてしまうのだ。
 
 「私のような小さな外見の女に手コキされてこんなに喜ぶなんて…お前はロリコンだったんだな…♪」
 「うぅwww否定www出来ないwwww」
 「否定など許すものか…♪お前はロリコンなんだ…♪私の小さな身体で欲情出来てしまう変態なんだぞ…♥」
 
 ―だって…そうじゃないと私が困ってしまう…♪
 
 これから手コキよりももっと凄い事をしなければセックスにはならないのだ。その為には彼が正常な性癖を持っていては難しいのである。こうして私に愛撫をオネダリし、こんなに興奮している辺り、オウルにその素質がある事は確実ではあるが、その自覚があるとは言い難い。ならば、ここは一気に言い聞かせて、それを肯定し、認めさせなければならないだろう。
 
 「でも、誇っても良いぞ…♪だって、お前の欲望を受け止めてくれるパートナーがここにいてくれるんだから…な…♪ロリコンであるお前を受け入れられるロリ姿のヴァンパイアがいるんだ…♥だから…お前はそれを抑えようとしないで良い…♥私が…全てそれを受け止めてやるぞ…♥♥」
 「うあwwwファニーwwwちゃんwww」
 
 強い肯定の言葉にオウルの意識が揺らいだのだろう。弱々しい声で私を呼んだ。しかし、それが一体、どういった意図の呼びかけであるのか私には分からない。肯定するのを止めろと言っているのか、或いは乞うているのか。そのどちらとも思えるその言葉を判断するにはあまりにも材料が少なすぎる。
 
 ―なら…都合の良い方へと解釈しても問題はない…♪
 
 「どうした…?もっと手コキを激しくして欲しいのか…?お前はロリコンなだけじゃなくて卑しん坊なんだな…♪だけど…そういうの私は嫌いじゃないぞ…♥」
 「うわ…あぁ…っ!」
 
 その言葉と共にきゅっと力を込める私の手にオウルが余裕のない声をあげた。何処か上ずったそれは悲鳴にも聞こえるだろう。しかし、彼の腫れあがった先端からはまた透明な粘液がドロリと溢れ、肉幹へと垂れ下がってきていた。欲望と快楽の証とも言えるそれが溢れると同時にオチンポの匂いがまた強くなり、私の嗅覚を刺激する。
 
 ―あはぁ…♪オウルが感じてくれてる…♥カウパー液で一杯、オチンポ濡らしてるぅっ♪♪
 
 強くなった刺激臭と彼の声。その二つによってオウルの快楽が高まっているのを悟った私の笑みがまた深くなっていくのが分かった。鏡こそ手元にはないが、きっと今の私は嗜虐的で欲情に塗れた笑みを浮かべている事だろう。見下していた他の魔物娘と変わらないその笑みは今の私には誇らしいものでさえあった。
 
 ―だって…それだけ私がオウルを気持ち良く出来るって事なんだから…っ♪
 
 魔王の代変わり以後、サキュバスへと近づいた魔物娘。性的な意味で人間を捕食する方向へと進んだ彼女たちはそれだけ性的技術に優れている。恐らく人間の女程度では話にならないレベルの性技をどの個体も持ち合わせているだろう。その魔物娘と変わらないいやらしい笑みはそれだけ私の本質が『貴族』としてのヴァンパイアから『魔物娘』としてのヴァンパイアへと近づいている何よりの証左だ。
 
 ―それが私の淫らな自信になって…♪
 
 他の魔物娘と遜色ないほどオウルを気持ち良くさせられている。その思考が私に自信と力を授け、愛撫を激しくしていく。撫でるようなものから扱くようになった手コキを今度は左右別々に行なっていくのだ。右手を上下させながら、左手で亀頭を包み、きゅっきゅと磨くように掌をこすりつけるのである。敏感な亀頭への直接的なその刺激にオウルがビクンと腰を浮かせて、また生暖かいカウパーを漏らしてくれるのが分かった。
 
 「今、腰が浮いたな…♥そんなにちっちゃい手でクリクリされるのが気に入ったのか…?本当、お前はいやらしいロリコンだな♪」
 
 その言葉に対する返事はなかった。オウルは快楽に耐えるようにぎゅっと歯を噛み締めていたからである。必死に声を漏らすまいとする姿は可愛らしいが、私にとっては不満の種でもあった。当然だろう。彼の可愛い声を含めてまで私は大好きなのだ。快楽を感じさせる甘い声が聞こえなくなってしまうのはやっぱりどうしても寂しい。
 
 「そんな風に堪えても無駄だぞ…♪お前の一番、弱い所は私が握っているんだ…♪ロリコンのお前はどうせすぐにいやらしい声を漏らしてしまうに決まってる…♪」
 「っ…!!」
 
 私の言葉を認めまいとするようにオウルがぎゅっと歯に力を篭めたのが分かった。どうやらまだロリコンと呼ばれるには抵抗があるらしい。しかし、それは私にとってはある種、好都合だ。ロリコンであると認めさせるまでオウルの反応を楽しめるという事なのだから。
 
 「ふふ…♪そうやって必死にこらえようとして…自分がロリコンじゃないとでも言うつもりか…?だけど…お前のオチンポが私の手でこんなにも悦んでいるのは事実だぞ…♥」
 
 実際、彼の肉棒は今も尚、オネダリするようにカウパーを漏らし、亀頭を責める私の左手を濡らしている。そしてそのカウパーを潤滑油にして左手が動く度にくちゅくちゅといやらしい水音が鳴らされるのだ。経験のない私だってすぐに淫らな音であると分かるそれに合わせてオウルのオチンポがひくひくと震えている。右手で扱いている肉幹にも心なしか力が滾り、太くなっていっているようにも思えるのだ。そんなオチンポを前にして悦んでいないなど誰が思うだろうか。
 
 「ほぉら…こうしてクチュクチュするだけで…♪」
 「うぁ…っ!」
 
 少しばかり左手に力を入れて強めに擦るだけでオウルは小さな呻き声をあげてくれる。これだけ先走りが溢れるほど興奮してくれているのだ。その上、亀頭を強く責められれば、声が漏れるのも当然だろう。とは言え、こうしてストレートに素直な反応を返してくれるのは単純に嬉しい。それが当然であると分かっていても、彼に心奪われた女としてはたまらなく興奮してしまうのだ。
 
 「ロリコンの変態から出たとは思えないほど可愛い声だな♥さぁ…もっと私にそれを聞かせてくれ…♥」
 「く…ぉ…!」
 
 甘い囁きと共に私の右手も加速していく。勿論、それを助けているのは彼から溢れた潤滑油だ。ドロドロの透明な粘液は私の左手によって亀頭へと擦りつけられた後、肉幹へと降りて行っているのである。それを私の右手は捕まえて、オウルのオチンポ全体へと引き伸ばしていくのだ。皮を引っ張るように強く扱かれる感覚は肉棒を潤滑油まみれにした今の彼にとっては快楽でしかないのだろう。私の右手が上下する度に快楽の声を漏らしてくれる。
 
 「そらそらぁ…♪こんなに感じておいてまだロリコンだなんて認めないつもりか…♪あんまり強情だと…私も考えがあるぞ…♥」
 
 勿論、このまま彼がロリコンであると認めてくれてもご褒美として同じ事をするつもりだ。とても淫らで気持ち良い愛撫はご褒美にも罰にもなるのだから。しかし、結果としては同じであっても黙して何もしないなんて怠慢以外の何者でもない。オウルをもっと気持ち良くする為に、そしてもっと深い所へと引きずり下ろす為には淫らな言葉が必須なのだから。
 
 ―そしてそんな私の言葉が少しずつ結実し始めて…♪
 
 「う…ふぅ…っ!」
 「ふふ…♪オチンポがまたビクって震えたぞ…♪期待してくれているのか…?このロリコンめ…♥」
 
 私の言葉に合わせてビクンと震えた今の反応は期待の現れだろう。勿論、今も愛撫は休まず続けてはいるが故に偶然であるという事も否定出来ない。しかし、彼の顔に走った微かな期待や緊張から察するにどうしても偶然であるとは思えないのだ。
 
 ―まぁ…私がそう思いたくないだけなのかもしれないが…♪
 
 最初の肉棒も大きかったが、今の私の手の中にあるオチンポはさらに一回り大きくなり、熱も火傷しそうなくらいに高まっている。こうしてクチュクチュと音を立ててオチンポを刺激するだけでビクビクと激しい反応を返してくれるようになったのだ。その心もまた私へと傾倒し、言葉一つでさえも感じて欲しいと思っているのは否定出来ない。
 
 ―だから…それを現実にする為に…っ♥♥
 
 「良いぞ…♪お前の期待通り…とっても気持ち良くしてやるからな…♥」
 
 その言葉と同時に私の右手がスルスルと上に上がっていった。今までの上下に扱くものとは違い、焦らすようにゆっくりと上がっていくそれにオウルの口から熱い吐息が漏れる。まるで期待するようなそれに背を押された私はそのまま右手の輪を亀頭の下――カリ首の部分へと密着させた。
 
 「ここがお前の弱点の一つなんだろう…?私はちゃぁんと分かっているからな…♪」
 
 勿論、今までだってそこずっと刺激してきた。淫らな魔物娘の本能がそこがオス全員の弱点であると教えてくれていたのだから当然だろう。しかし、右手と左手の担当領域の境界であったそこは両手の愛撫の途中に微かに触れる程度だったのだ。少なくとも重点的に刺激した事はない。それは愛撫の都合もあったが、何より敏感過ぎて下手に触れない場所でもあって……――
 
 ―でも…今はもうカウパーでぐちゅぐちゅぅ…♥♥
 
 そう。今のオチンポはもう根元までカウパー塗れで何処を触ってもにちゃにちゃといやらしい音が鳴ってしまうのだ。そこまで潤滑油が溢れていれば、カリ首を重点的に刺激しても痛みは感じないだろう。そう判断した私はそのまま右手の輪を捻るようにクルクルと回し始めた。
 
 「うあああぁぁっっ」
 
 亀頭の下の敏感な部分を擦られる刺激にオウルは叫び声をあげた。しかし、何処か艶の浮かんだそれは苦悶と言うよりも嬌声に近い。それも当然だろう。今も私は左手で亀頭を洗い立てるように愛撫しているのだ。その上、刺激に弱いカリ首まで重点的に責められて冷静でいられるはずなどない。
 
 「ほらぁ…♪こうしてオチンポ責められるのは良いだろう…?もう認めてしまえ…♥私の小さなお手々で感じていますと…自分はロリコンです…とな…♪」
 「うぐぅぅ…!」
 
 亀頭だけでなくカリ首まで洗い立てるように責められている今の彼には被虐的な快楽が走っているはずだ。敏感な部分を無理矢理、責められる快楽に冷静さを失いつつあるはずである。しかし、それでも彼は中々、私の愛撫に屈してくれない。ロリコンであると認めて、その欲望を受け止められる唯一のパートナーである私を愛してくれないのだ。
 勿論、そうやって抵抗する姿は可愛らしい。ずっと見てみたいという欲望がないといえば嘘になってしまうだろう。しかし、私はそれ以上にもう我慢出来なくなってしまっていたのだ。早く彼のオチンポを思いっきり頬張ってみたいと、私の小さな口では収まり切らないかもしれない大きな肉棒を味わってみたいとそんな欲望を抑えきれなくなっている。
 
 ―別に…このままお口で思いっきりフェラしても良いのだけれど…。
 
 しかし、一度、このオチンポを頬張ってしまうと私はきっと夢中になってこれをしゃぶり続けてしまうだろう。恐らく彼が射精するまでこの逞しいオチンポを手放さないはずだ。だが、射精させてしまってはオウルに冷静さを取り戻させる結果になってしまう。射精後の彼にロリコンである事を認めさせるのは今よりもずっと難しいはずだ。初体験前にはお互いに想いを通わせた状態でありたい私にとって、それは悪手にしか映らないのである。
 
 ―だから…早く…ぅ♪早く認めて…っ♥
 
 そう心のなかで呟く私の唾液がポツリと彼の足へと零れ落ちた。何時の間にか半開きになった私の口には熱い粘液がたっぷりと溢れ、荒い呼吸を繰り返している。まるでオチンポを強請るような自分の姿を自覚してしまうだけで私の子宮に甘い疼きが走り、熱い何かが奥から漏れ出すのが分かった。
 
 「どうしてそこまで頑なに拒否しようとする…?別に認めたって何かが変わる訳ではないだろうに」
 
 その疼きが我慢できなくなった私はそっと彼のオチンポから手を離して尋ねた。愛撫を中断するという大幅な譲歩を行った私の疑問にオウルは胸を上下させるだけで中々、答えてはくれない。明後日の方向へと視線を背け、口を噤んでいる。頑なに私と話そうとしないその様子に少しばかりムカっとした私は彼の肉幹へとそっと手を伸ばした。
 
 「言わないなら…このまま言いたくなるまで私の手でイかせ続けてやる」
 「う……」
 
 今だって彼のオチンポはもうすぐ射精しそうな熱を硬さを孕んでいるのだ。このまま手でしごき続ければそう遠くない内に射精するだろう。だが、一度や二度の射精で許してやるつもりなどない。もし、まだ焦らすつもりであれば「言わせてください」と懇願するまで精液を絞りとってやろうと私の手に力が篭った。
 
 「だ、だってwwwwみ、認めたらwwwwファニーちゃんが小さい子だってwwww認める事にもなるしwwww」
 「…ん?」
 
 ―観念したオウルの言葉に私は首を傾げた。
 
 別に私が小さい子と認めたとして彼に一体、何の不利益が生じるのか。私にはそれが分からない。別にそれを認めた所で何かが変わる訳ではないのだから。何か私が思い至らない不利益があったとしても、コレほどまでに必死に黙り込もうとしていた理由には到底、思えない。
 
 「ファニーちゃんがwww身長をコンプレックスに思ってるのはwww俺様知ってるwwwwだからwww俺様wwwロリコンじゃないwww」
 「……」
 
 ―それは…つまり…私の為って事…か?
 
 確かに私はこの小さい体躯があまり好きではなかった。お姉様やお母様のようにボンキュッバーンな美女とは違い、少女と呼ぶべき幼さから抜け出せない身体が。しかし、オウルはそんな私の身体に興奮し、感じてくれている。それが私のコンプレックスを完全とは言わずとも幾らか払拭してくれていたのは事実だった。
 
 ―でも、それをオウルが知っているはずがない。
 
 だからこそ、彼は私のコンプレックスを刺激しまいとひたすら口を噤んでいたのだ。私を傷つけない為にずっと快楽を堪え、我慢し続けてくれていたのである。自分のプライドの為ではなく、私のプライドの為に……っ♪
 
 ―あぁ…っ♪オウル…オウルオウルオウルぅぅっ♥♥
 
 それに思い至った瞬間、私の中の拗ねるような感情が反転し、喜悦へと変わった。胸の内から溢れ出すような歓喜の波に意識が飲まれ、クラリと頭が揺れるようにさえ感じる。彼の名前だけを浮かばせる心の中にもその波は入り込み、私の中の恋慕と結びつくのだ。彼への愛しさと喜悦が混ざっていく中で溢れ出す感情を抑え切れなくなった私はオウルの股間へと顔を埋めてそっと肉棒へと頬ずりする。
 
 「嬉しいぞ…♥とっても嬉しい…♥嬉しすぎて…おかしくなっちゃいそうだ…♥♥」
 「ファニーちゃん?wwwww」
 
 いきなりスベスベの頬をこすりつけるように頬ずりを始めた私に怪訝そうなオウルの声が届いた。しかし、私はそれに応えてやる余裕を持たない。私の胸の中は感情が爆発しそうなくらいに一杯だったのだ。他の事が入り込む余地などなく、ただ、胸の内の感情をどうやって表現するかしか考えられない。
 
 「あぁ…オウル…♪愛しい…私の大好きな人…♥♥」
 「う…く…」
 
 熱に浮かされたような力のない声で私はひたすら彼への恋慕を口にする。勿論、その間もオチンポに対する頬ずりは終わってはいない。既に肉棒中へと広がったカウパーが顔に着く事も厭わず、スリスリと頬を擦りつけるのだ。その度に私の鼻孔を精の匂いがくすぐり、理性のタガを外していく。
 
 ―もう…もう我慢出来ない…っ♪♪
 
 こうしている今も高まる興奮はもう私には抑え切れないものになってしまった。身体中をジリジリと炙るような興奮に流されるように私の頬はそっと彼の肉棒から離れる。だが、それは彼への愛情表現を中断する為などではない。もっと激しい愛情表現をする為の準備の為だ。
 
 「ご褒美…ご褒美あげるぞ…♥オウルにご褒美…一杯、気持ち良くしてやるから…っ♥♥」
 
 理性のタガを外し、論理的な思考が出来なくなった私の口からちゃんとした筋道さえ通っていないうわ言が漏れ出る。だが、それを一々、取り繕っている余裕は最早、私にはない。目の前の肉棒をどうやって気持ち良くし、私の愛情の一欠片でも彼に伝えるかで頭の中が一杯なのだから。そして、その為の最高の方法は既に私の中にあって……――
 
 「はむっ♪♪♪」
 
 ―あぁ…甘い…ぃっ♪♪
 
 その最高の方法を実行しようと亀頭を含んだ瞬間、私の舌に砂糖菓子のような甘い味が広がっていく。しかし、甘いだけですぐ飽きてしまうような凡百な味ではない。ドロドロと舌に絡みつくような濃厚な甘さはどれだけ味わっても飽きる事はなかった。いや、飽きるどころか、より貪欲になっていく気さえする。
 
 ―こんな…こんな甘いの…我慢出来ない…っ♥♥
 
 甘くて甘くて…でも、どれだけ味わっても満足出来ない肉棒の味に私は一瞬で虜にされてしまった。もうこれ抜きじゃ生きていけない。一生これだけを食べて生きていきたい。そんな妄言すら私の心には浮かぶ。その妄言に背を押されるように私の唇はゆっくりと下へと降り、肉棒を飲み込んでいくのだ。
 
 「んぐぅ…っ♪」
 
 しかし、私の小さな身体に対してオウルのオチンポはあまりにも大きすぎるらしい。口を限界いっぱいにまで開いても中々、オチンポを飲み込むことは出来なかった。フェラがしやすいように身体が開いているのか、少しずつは進んでいるものの、このままじゃ根元まで飲み込むのは難しいだろう。
 
 ―でも…私…全部味わいたい…っ♪全部感じたい…っ♥
 
 勿論、今のままでもオチンポの味はしっかりと私に伝わってきている。だが、オウルの肉棒の魅力はそれだけでは決して無い。その硬さや熱を口腔内で味わうのは手とはまた違った感覚なのだ。無理矢理、顎をこじ開けるようなその逞しい肉棒の感覚にも私は夢中になり始めている。もっとこの硬いものを奥にまで突っ込んで欲しいと言う欲望が私の胸の中で芽を出し、根を広げて根付いていくのが分かった。
 
 「んきゅ…♥んにゅふぅ…♪」
 
 その欲望を充足させる為に鼻で息をしながらゆっくりじっくりとオチンポを飲み込んでいく。しかし、その先端はすぐさま私の咽喉を突いた。ぷっくりと垂れ下がる喉彦を熱い先端が押しこむ感覚は背筋に寒気が走るほど気持ち良い。勿論、息苦しいのは確かではあるが、私の咽喉を埋めているのが彼の肉棒であると思っただけでその息苦しさも快楽、或いは喜悦へと変わるのだ。
 
 ―でも…コレ以上は…ぁ…♪
 
 ここから先にオチンポを飲み込もうとすればそれはもう咽喉を超えて食道にまで入り込みかねない。彼のオチンポを食道にまで飲み込むという想像に期待と快楽を感じないでもなかったが、そこまでするのにどれだけの時間が掛かるか分からないのだ。下手をすればもう数十分ほどオチンポをこのままにしておくかもしれない。それは私にとっては悪くない事ではあるが、オウルにとってはとても辛い事で……――
 
 ―ゆっくり…慣らしていけば…何時かは全部飲み込めるようになる…よな…。
 
 自分の欲求だけを充足させようとする本能を彼への恋慕でねじ伏せながら、私はそっと唇を上へと引き上げていく。限界一杯に広げられた唇がじゅるじゅるという音を立てて肉棒を解放していく姿は何処か生々しい。唾液を身体中に纏い、艶やかな光を放つオチンポの姿もその印象を加速させているのだろう。だが、今の私にとってはその生々しさがとても性的なものに感じられて仕方ない。
 
 「ぷぁ…♪ん…っ♪」
 
 そのオチンポが愛しくて私の唇はきゅっと内側へと向き始める。肉棒に対して垂直に突き立てるような唇にオチンポの皮が引っ張られ、上下していった。手で扱くほどではなくとも皮を上下させられる感覚はオウルにとっては立派な快楽なのだろう。腰を震わせて感じている事を私に教えてくれていた。
 
 ―私のお口…気持ち良いんだ……♪
 
 本来であればオウルの太いオチンポを飲み込めるかどうかさえ分からない小さな私のお口。それは私にとってコンプレックスの一部であった。しかし、この小ささによって彼が締め付けられ、快楽を受け取ってくれている今は違う。コンプレックスどころかとても誇らしいものに思えて仕方ないのだ。
 
 ―もっと…もっと気持ち良くしてあげるから…っ♥
 
 その言葉と共に私の舌が彼のオチンポへと絡みついていく。くるくると半円を描くように角度を変える舌が口いっぱいに広がるオチンポを舐め、唾液をまぶしていった。クチュクチュと音を立てながら、舌全体を肉棒へと押し付ければ、あの堪らない甘さと逞しさをより強く感じる事が出来る。
 
 ―しかも…匂いまで一杯……♥
 
 ツンと鼻を差すような生臭くも甘い匂い。それが直接、咽喉から鼻へと突き抜けているのだ。より間近で沸き上がる匂いは私の頭をクラクラさせて仕方ない。今にも倒れこんでしまいそうなほど濃厚な匂いとオチンポの味と感触。それらをもっと深く味わおうと私の手がそっとオウルのお尻へと回った。
 
 ―そのまま…きゅってしてあげる…ぅ♪
 
 動かないように、逃げられないように、彼のお尻を両手で捕まえた私はそのまま夢中で唇を上下に動かす。勿論、それはまだまだ不慣れな為に決して早いとは言えない。それでも止まる事無くスムーズに動くフェラは気持ち良いのだろう。少し唇を上下するだけで両手で捕まえたオウルのお尻がふるふると震えてくれる。
 
 ―あぁ…♪可愛い…♪本当…可愛い…っ♪
 
 始めたばかりでまだまだ拙いであろう私の愛撫にこんなにも感じてくれる。勿論、それはこうしてフェラする前だって同じではあった。しかし、手だけで感じる反応と口で味わう反応とはまったく違う。より深く私の本能へと突き刺さるようなそれらの反応に私は夢中にさせられ、舌を必死に這わせてしまうのだ。
 
 「くぅぅぅ……!」
 
 そんな私の耳に押し殺したオウルの声が届いた。艶が強く浮かんだその声は彼の快楽がそれだけ高まりつつある事を私に教えてくれる。しかし、私はそれだけでは不満なのだ。つまらない我慢などせず、本能から飛び出る甘い声が聞きたい。今までオウルに我慢させていた分、思いっきり感じさせてあげたいのだから。
 
 ―でも…このままじゃぁ…♪
 
 その我慢を取り除いてやる為にはオチンポから口を離さなければいけない。しかし、この甘美な肉の塊を手放すのは今の私には絶えがたい苦痛であった。暴力的とも言えるほどに私の口を押し広げる肉棒を何時までもしゃぶっていたくて仕方ないのである。オウルを想う気持ちと自らの欲望。その二つを天秤に掛ける事さえ躊躇う程に。
 
 ―だけど……ぉ♥
 
 ある程度、欲望が充足した今、肉棒を手放した所でこの幸せな時間が終わる訳ではない。オウルに抵抗の意思は見えないし、仮にあったとしても今の身体の状況では抵抗する事など出来ないのだから。それに対し、彼はこのままやせ我慢を続けさせていてはこれから先の快楽を十二分に楽しむことが出来ないだろう。少なくともケダモノとしての本能のままに快楽を貪ろうとは思えないはずだ。
 
 ―だったら…彼を優先してあげないと…♥
 
 そう結論付けた私の唇がジュルジュルと音を立てて引き上がっていく。中腹ほどまでしか飲み込めない小さなお口からゆっくりと引き出されるモノを最後の最後まで味わいつくそうと私の舌が今まで以上の活発さで絡み付いていった。その快楽にオウルがまた腰を跳ねさせ、感じている事を教えてくれる。その反応にまたオチンポを飲み込んでしまいたくなるが、元々の目的から外れる訳にはいかない。その浅ましい欲望を必死にねじ伏せながら、「ちゅぽん♪」と間抜けな音を立てて、私は肉棒を解放した。
 
 「ぷぁ…っ♪そんなに声を我慢しなくても良いんだぞ…♥もっと私にお前の可愛い声を聞かせてくれ…♥」
 「で、でもwwwあんまり言うとwwwファニーちゃんがwwww」
 「別に構わない。…いや、寧ろ嬉しいんだ…♪お前が私で興奮してくれるという事が…お前の興奮を受け止められる私である事が…今の私にはこの上なく幸せな気分にしてくれるんだから…♥」
 
 ―そう言いながら、私はそっと彼の方へと身を乗り出して…。
 
 「あん…っ♪」
 
 そのまま彼の手を私の胸へと押し付けた瞬間、背筋にビリリとした感覚が走り抜けた。フェラしている時と負けず劣らず鮮烈な快楽に一瞬、夢中になってそれを求めてしまいそうになる。しかし、今の私の目的はそれではない。私がどれだけドキドキして興奮しているかをオウルに伝える為にこうしているのだから。
 
 「ほら…♪分かるか…?お前が興奮してくれているから…ロリコンだから私もこんなにドキドキしているんだぞ…♪今にも胸の内が弾けてしまいそうなくらい…私はお前に恋焦がれているんだ…♥♥」
 「ファニーちゃん…」
 
 ふっくらと白いシャツを押し上げる胸がどれだけ大きいと言ってもうるさいくらいに鼓膜を打つ鼓動を遮るほどではないだろう。私の分不相応に大きくなった胸を触るオウルの顔には何時もの余裕めいた笑顔も浮かれた声音もない。ただ、強い興奮の色だけが浮かんでいる。欲望を剥き出しにするようなその姿は本当の彼に近づいたような錯覚をもたらし、私の胸の奥が蕩けてしまいそうになるのだ。
 
 「だから…お前も本当の自分を出して…思いっきり声をあげてくれて良いんだぞ…♪その方が…私も嬉しい…♥」
 「…幻滅しない?」
 
 ―その言葉は何時もからは信じられないほど弱々しいものだった。
 
 何時もの自信満々な浮かれた声音はそこには欠片も存在しない。あるのはただ嫌われる事を純粋に怖がる臆病なものだけだ。もしかしたら…コイツはずっとそんな風に幻滅される事に怯え続けていたのかも知れない。脳天気とも言える仮面を被っていたのも最初から期待されなければ失望も幻滅もないと思ったのが原因なのではないだろうか。そんな事を思い浮かべるほど彼の言葉には切実な響きが伴われていた。
 
 「こうしてお前のオチンポを頬張っているメスに対してその質問は無粋だぞ。幻滅する程度の感情なら、こんな事するはずないだろう?」
 
 実際、今だって彼の弱々しい姿を見て、胸をときめかせているのだ。可愛らしいその姿に私の心の奥底から庇護欲と支配欲が湧き上がる。不安そうな色を安心に変えてやりたいという庇護欲と私の傍でだけ真の安堵を感じさせてやりたいという支配欲は対立する事はない。寧ろお互いがお互いに高めあう相互関係を構築し始めていた。
 
 「それでも不安なら…ちゃんと行動で示してやる…♥」
 「うわっ」
 
 その言葉と共に私は再び後ろへと下がり、彼のオチンポへと顔を近づける。しかし、さっきまでのように思いっきり口一杯に頬張るような事はしない。代わりに私の右手が亀頭へと被さり、唾液まみれのそこをクチュクチュと音を立てて弄んでいる。
 
 「ほぉりゃ…♪んくちゅ…っ♪オチンポに一杯、キスしてやりゅぞぉ…♥」
 
 そして肉幹には私の唇が何度となく吸いつき、淫らで情熱的なキスを繰り返す。少しだけ余った皮を引っ張るように強く吸い付くキスの刺激にオウルの腰がビクンと跳ねた。どうやらオチンポも私のキスが気に入ってくれたらしい。亀頭の先からもまた透明なカウパーを漏らして美味しい匂いを辺りにまき散らしている。
 
 「ふゅふ…♪きしゅの後はぁ……♥ちゃんとレロレロしへぇ♪癒してあげりゅ…♥」
 
 強いキスを繰り返し受けた肉棒を癒すように私の舌はそっとオチンポへと絡みつく。キスが終わる度に念入りに同じ部分を舐める私の舌に蕩けそうなくらい甘い味が伝わってくるのだ。その味に夢中になって再びむしゃぶりつきたくなるのを堪えながら、私はそっと舌を離し、再びキスへと戻る。
 
 「ちゅぅぅ…♪こんにゃエッチなキス…♥お前を愛してにゃいと無理だりょう…?おみゃえがらいすきらから…こんにゃチュッチュ出来るんだぞぉ…♥♥」
 「うあぁ」
 
 私の言葉は少しずつ彼の心に届きつつあるらしい。私が一心不乱にキスを繰り返す姿を見るオウルの顔には先程までの我慢の色は少なくなっていた。その口から出る甘い声も大分、スムーズになり、私の鼓膜を淫らに震わせてくれる。その声に興奮を掻き立てられた私は顔をそっと倒し、オチンポの裏筋へ垂直に舌を這わせた。
 
 「ちゅるるるるるっ♪♪」
 
 そのまま左右に舌を動かしながら顔ごとゆっくりと上に上がっていく。そしてそれは終点であるカリ首にて立ち止まり、舌先を突き立てて突き出た肉の壁を穿り出すのだ。再び繰り返されるカリ首への刺激にオウルの腰がまた跳ね上がった瞬間、ゆっくりと舌は下へと戻り、根元を目指す。
 
 ―そして根元ではぁ…♪
 
 むわっと男らしい汗の匂いを湧き上がらせる根元の部分に到達した舌はそのまま彼の精嚢へと吸い付くのだ。陰毛がたっぷりと生えたオスの一番大事な部分は私の口の中でジョリジョリとした独特の刺激となる。だが、その感覚だって何時までも続きはしない。ジョリジョリとした感覚の源である陰毛は私の唾液で大人しくなり、べったりと精嚢へと張り付くのだから。後に現れるのはコリコリとした独特の弾力を持つ触感だ。
 
 ―あぁ…♪この中にオウルのザーメンがたぁっぷり詰まってるんだな…っ♥
 
 そのコリコリとした感覚はきっとオウルの子種汁がたっぷりと詰まっているからだ。そう考えた私の胸にドロリと熱い欲望が宿る。今までのオチンポを対象とした欲望とは違い、精液を対象にしたドロドロとした熱は一気に勢力を増し、私の意識へと雪崩込んでくるのだ。今すぐザーメンが欲しい…思いっきり気持ち良くなって射精して欲しい。そんな欲望に塗り替えられた私の心はじゅるじゅると音を立てて刺激する精嚢からそっと口を離した。
 
 「んふ…♪ここももう…お前のいやらしいザーメン汁でイッパイだな…♥今すぐ射精したくて仕方ないんだろう…?」
 「それは…まぁ生理的現象と言うか何というか…」
 
 ―ふふ…♪素直じゃない奴め…♥
 
 しかし、視線を逸らして何も言わなかった頃に比べれば、こうして反応してくれる事自体が大きく前進した証とも言えるだろう。少なくとも私にはそれがとても嬉しい。私の独りよがりではないのだと思える彼の言葉に胸を高鳴らせてしまうのだ。
 
 「じゃあ…あんまり我慢させてやるのも可哀想だし…な♪そろそろ…最初のザーメンを貰おうか…♥」
 
 その言葉と共に私の右手はそっと亀頭から外れ、代わりに唇がそっと近づく。勿論、それだってただ近づけるだけのものではない。唇を半開きにし、舌を突き出して、唾液をドロドロと零しながらの接近だ。普段の私であれば情けないと一刀両断したその行為もオウルを興奮させる為であれば躊躇いなく実行に移せる。そんな自分に誇らしさを抱きながら、私はゆっくりと顔を回しながら亀頭の先へと吸い付いた。
 
 「ちゅる…っ♪」
 
 唇を密着させながら、慣らすように円を描くだけでオチンポはフルフルと震えてくれる。恐らくもうかなり限界に近いのだろう。吸血から結構な時間が経っているが、その間、彼の肉棒はずっと勃起しっぱなしだったのだから。その奥底では煮えたぎったマグマのような真っ白いザーメンが解放の時を今か今かと待ち望んでいるはずだ。
 
 ―それが…それが欲しいの…っ♪欲しくて堪らないのぉっ♪♪
 
 魔物娘としての本能に目覚めてしまった今の私にはその子種汁を思いっきり飲み下したくて仕方がない。ドロドロになった特濃のザーメンを舌でクチュクチュしながらじっくりと味わいたくて堪らないのだ。蕩けるように甘いオチンポよりもさらに濃厚な味がするのだと魔物娘の本能が教えてくれるのだから当然だろう。
 
 「じゅる…れろぉぉ♥」
 
 精液が欲しくて疼く身体が導くままに私の舌が唇の外へと飛び出る。そのまま真っ赤に腫れ上がった亀頭を舐め回し、唾液をまぶしていく。勿論、その間も亀頭へと吸い付いた唇が離れる事はない。顎を動かし、肉棒と擦れる角度を変えながら淫らなキスを続けていた。
 
 ―そして…肉幹の方もぉ…♥
 
 ビクビクと震えを走らせる肉幹には私の右手がそっと添えられ、そのままゆっくりと上下に扱かれるのだ。先ほどとは違い、そこにはカウパーは殆ど残ってはいない。私のフェラで殆どが舐め取られたからだ。だが、その代わり、私の唾液がたっぷりとまぶされている。それを潤滑油にして力強く上下する右手にオウルが熱い息を漏らした。
 
 ―でも…まだまだこんなものじゃないんだからな…っ♪♪
 
 その言葉を胸に浮かばせるのと同時に私の唇がゆっくりと下がっていった。一歩一歩確かめるようなそれは最初の頃と比べれば大分スムーズになっている。じゅるじゅると音を立てて舌を動かしながら、狭い口腔へと飲み込まれていく亀頭。逞しいそれを口一杯に頬張りながら、私の唇はカリ首を超えて肉幹にも到達した。
 
 ―んふゅ…♪もう…私のお口いっぱぁい…っ♥♥
 
 それだけで私の心は充足感に満ち溢れてしまう。ほんの数分前にはそのオチンポを思いっきり咥えていたのに、どれだけこのオスの象徴が気に入ったのか。自分でもそんな事を思ってしまう程に私はオチンポ中毒に…これ抜きでは生きていけない淫らなメスになってしまっていた。
 
 ―さぁ…クチュクチュしてやるからな…♪
 
 「うあぁぁ!」
 
 オチンポの中腹手前まで飲み込んだ私の口が思いっきり吸い上げる刺激にオウルの口から情けなくも可愛らしい声が飛び出た。じゅるじゅるという激しい吸引音に負けないその声に私の胸をまた蕩けさせてくれる。もっとそれが聞きたくなった私は思いっきりオチンポを吸い上げながら、魅せつけるようにゆっくりと唇を離していくのだ。
 
 「ぢゅるるるるるるるっっ♪♪」
 
 動く唇の間から漏れ出る淫らな音と共に唇が亀頭へと帰ってくる。そのまま私の口は「きゅぽんっ♪」と音を立てて、彼の肉棒から離れた。しかし、それは決して愛撫の中断を意味するものではない。大きく開かれたスペースをずっと動いていた右手が大きく行き来し、亀頭をきゅっと締め付けているのだから。
 
 「ひあ…っ!」
 「ふふ…♪こういうのも良いだろう…?」
 
 きゅっと締まった右手の輪で亀頭までを思いっきり扱き上げる刺激。それはさっきまでの生温かい口腔での愛撫とはまるで違い、彼に強いギャップを与えているはずだ。そして、そのギャップがオウルに刺激に慣れさせる隙を与えず、どちらの刺激も鮮烈に感じさせるのである。
 
 「ほりゃぁ♪こんろは…舌でちゅっちゅしてあげるろぉ…♥」
 
 指が根元に下がっている隙を狙うように今度は亀頭の先端を舌がチロチロと舐め回す。さっきの強い刺激の後に疲れた粘膜を労るような舌の愛撫に彼の太ももまでピクンと跳ねてくれた。腰だけではなく太ももまで走る反応はそれだけオウルが私の愛撫を気に入ってくれている証左であろう。それが嬉しくなった私は左手で彼の内股をさわさわと撫でながら、またゆっくりと肉棒を飲み込んでいくのだ。
 
 ―でも…今度はぁ…♪
 
 再び中腹まで飲み込んだ唇はそのままピストン運動へと移行する。吸引するのはそのままにじっくりねっとりと唇を上下に動かし、彼の肉棒を味わい尽くすのだ。太いオチンポを出し入れする感覚はまるで口を使ってセックスしているように感じる。
 
 ―ううん…♪これぇ…これセックスなんだ…♥
 
 小さなロリお口マンコ一杯にオウルの太いオチンポを頬張っているのだ。これがセックスでなくて何だと言うのだろう。勿論、これがフェラチオと呼ばれる行為であることは私だって分かっている。でも、私はもうそう思ってしまったのだ。これがセックスであると、想いを通わせる行為であると認めてしまったのである。
 
 「んくっ♪んんっ…♪ぢゅぷぅ♥♥」
 
 ―あぁ…っ♪セックスぅ…♥お口セックス気持ち良いぃ…♥♥
 
 自然、私の興奮は高まり、愛撫もまた激しくなっていく。それに比例するように私のお口ピストンも少しずつ早くなっていくのだ。若干、暴走のきらいがあるそれを私は抑えようとしたが、中々、上手くいかない。これがセックスであると思い至った瞬間から脳がオチンポの情報を全て快楽と処理してしまうのだ。肉棒に浮き出た血管に流れる血流にさえ、感じてしまう今の私にお口セックスを止める事など出来るはずがないだろう。
 
 ―それにぃ…♪気持ち良くって♥♥美味しくって…最高ぉっっ♪♪
 
 それがまだ実際に私か彼が辛い事であれば話は別だったであろう。しかし、お口セックスは信じられないほど気持ち良く、その上、美味しいのだ。それはきっとオウルも同じなのだろう。私がお口マンコをピストンする度にビクビクと太ももを震わせ、喘ぎ声を漏らしてくれているのだから。彼もまたこのお口セックスに悦んでくれている。それだけで大義名分を得た私の身体は夢中になってオチンポをしゃぶりあげてしまうのだ。
 
 ―あぁ…♪もっと色々やりたかったのに……♥
 
 私の身体の内で開花した魔物娘の本能は様々な愛撫の仕方を教えてくれていた。胸の谷間でオチンポを挟んでぐじゅぐじゅにするやり方とか色々あったのである。しかし、もう私は頬一杯にオチンポをしゃぶりあげるお口セックスに夢中になってしまったのだ。他のやり方など試す余裕などなく、貪欲な魔物娘の顔を剥き出しにしながら一心不乱に顔を上下させる。
 
 「くあ…ぁっ!ファニーちゃ…それ…やば……!!」
 
 ―あぁ…♪オウル…オウルぅ……っ♥♥
 
 切羽詰まった表情で私の事を呼ぶ彼の表情だけで軽くイッてしまいそうになる。だけど、まだここでオーガズムを迎える訳にはいかない。だって、これはお口を使ったセックスであり、私の初体験であるのだ。どうせイくならば大好きな人と一緒に絶頂を迎えたい。その一念で快楽を抑え込んだ私のお腹の奥でドロリとした熱い蜜が零れた。
 
 ―もう…奥までグチュグチュだよぉ…♥
 
 こうして愛撫しているだけで高まった興奮が私の子宮を蕩けさせ、甘い疼きを何度も走らせていた。性経験のない私にだって分かるくらい子宮が疼いて、オチンポを欲しがっている。今すぐ下のお口でオチンポをしゃぶりあげて、ドロドロに高まったザーメンを受け止めたいと訴えてくるのだ。
 
 ―でもでもぉ…っ♪お口も…お口も気持ち良い…っ♪
 
 本当のセックスがお口セックスよりも気持ち良い事くらいは私だって知っている。しかし、既にオチンポを咥え込んでいる口から肉棒を離すのには途方も無い精神力が必要なのだ。そして欲望に満たされた今の私にそんな精神力などあろうはずがない。オマンコが疼いている事に気づいていても、消極的な理由からお口セックスを続けるしか無いのだ。
 
 ―だから…今は…今はこっちでぇ…っ♥♥
 
 その気持ちのままに私の顔はすっと寝転ぶような角度へと変わる。頬の粘膜に亀頭を押し付けるようなそれは普通にお口セックスするのとはまた違った快楽なのだろう。オチンポがビクンと大きく跳ねてまた熱を膨らませるのが口の粘膜からはっきりと伝わってくるのだ。
 
 ―まだ熱くなるなんて…ぇっ♪こんな…こんなの味わったら私ぃ…っ♪
 
 また膨れ上がる情報量に私の快楽も大きくなってしまうのだ。オーガズム手前で必死に堪えている私を嘲笑うような快楽を少しでも発散しようと私の腰は左右へと揺れる。まるで尻尾を振るメス犬のような私の姿にオウルの視線が突き刺さるのを感じた。
 
 「ふぁ、ファニーちゃん…っ!」
 
 ―見られてる…ぅっ♪こんな恥ずかしい仕草をオウルに見られてるっっ♥♥
 
 我慢出来なくてオネダリするように腰を振るうはしたない姿。それを彼に見られていると思うだけで羞恥心が湧き上がり、快楽が大きくなってしまうのだ。じわじわと膨れ上がるそれはそう遠くない内に我慢を超え、私をオーガズムへと導くだろう。
 
 ―だったら…早くオウルを射精させるしかない…っ♪♪
 
 そう決意を新たにした私の顔がじゅぷじゅぷと音を立てて激しく上下する。緩急つける余裕などなく、一心不乱に射精を乞う動きにオチンポがまた一回り大きくなった。火傷しそうな熱も同じように高くなり、私の咽喉を熱くさせる。今まで大きくなったり、熱くなったりはしていたが、これほどまでに短時間で眼に見えるほどの変化をした事はなかった。それが今、こうして起こったと言う事は恐らくオウルの絶頂もまた近いのだろう。
 
 ―そして…それは私も気持ち良くしてくれるものでぇ…っ♥♥
 
 膨れ上がるオチンポの感覚はギリギリの所で踏みとどまっていた私のトドメとなった。快楽を留めていた障害がうっすらと消えていき、私のお腹の奥でドロリとした熱が持ち上がる。まるで蛇のようにトグロを巻いたその熱は快楽を飲み込み、どんどんと大きくなっていった。貪欲な魔物娘そのものなその熱が私の中の快楽を全て飲み込んだ瞬間、絶頂が始まるのだろう。そんな予感が私の中にはあった。
 
 ―こ、このままじゃ駄目…♪い、急がないと…ぉ♪
 
 「だ…めだ…!ファニーちゃ…ん…!もう…射精る……ぅっ!!」
 
 その言葉と共にお口セックスをエスカレートさせようとした私に途切れ途切れになったオウルの声が届いた。勿論、それは私にとって咽喉から手が出るほど欲しかった言葉である。私がイッてしまう前に何とか間に合ってくれた彼にまた愛情が湧き上がるのを感じながら、私は必死に口を上下させた。オウルのオーガズムがより気持ち良いものにしようとするその動きにオチンポも応え、私の口腔内でビクビクと何度も跳ねてくれる。
 
 「ダメ…!射精る…から!離れ…て…」
 
 ―ここで離れるなんて…そんなの嫌…っ♥
 
 折角、ここまでお膳立てをしてきたのだ。それなのに離れろなんて酷いにも程がある。最高の瞬間は私たち二人で味わい、共有すべきだ。それが魔物娘である私にとって最高のご褒美であるし、それを与えるのが私のパートナーとしての彼の義務なのだから。
 
 ―だから…これは罰だぞぉ…♪♪
 
 この期に及んで私を突き放そうとしたオウルの忠告を聞かず、私の口は無理矢理、オチンポを飲み込んでいく。スムーズに飲み込めるようになった咽喉までではなく、食道に肉棒を飲み込むそれは彼にとっては窮屈だろう。だが、射精前の敏感なオチンポがそれを快楽以外に受け取るはずがない。実際、きゅっと締まった不慣れな処女穴からはオチンポがブルブルと震えてくれているのが伝わっていた。
 
 ―そしてそれが最高潮に達して…ドクンって大きく跳ねた瞬間……♥♥
 
 「くっ…ぅぅぅぅぅ!!」
 
 ―あぁぁっ♪来てるぅっ♪♪熱いのが一杯来てるぅぅっ♪♪♪
 
 私の咽喉奥に熱い何かがびしゃりと叩きつけられた瞬間、私の中で渦巻いていた蛇も動き出した。ふわりと意識が浮き上がり、夢見心地になったと思ったら、その身に孕んだ熱を快楽を全身に広がるように蛇が暴れ回るのである。身体の中に通る快楽神経へと絡みつき、刺激するような途方もなく気持ち良い。今まで我慢していた事が馬鹿らしくなるほどの快楽が身体中を駆け抜け、背筋を通って脳にまで突き刺さるのだ。
 
 ―ふあぁ…ふぁぁっ♪しゅごい…っ♥しゅごいぃぃっっ♥♥
 
 まるで快楽と言う名の蛇が脳へと牙を突き立てるような鮮烈な快楽に私の背筋もまたブルブルと震えて仕方ない。しかも、それはただ気持ち良いだけじゃなくて、うっとりとするような夢見心地を伴っているのだ。鮮烈過ぎる快楽と相反するような夢見心地はまるで矛盾する様子がなく、私の中で融け合い、一つのオーガズムとして結びついている。
 
 ―その上…ザーメンの味までぇ…♪♪
 
 魔物娘の本能が教えてくれたように精液はとても濃厚で甘い。砂糖とミルクを混ぜた液体を煮詰めて何倍にも甘くしたような味はこうして味わうだけで妙な安心感さえ感じる。しかし、魔物娘の身体が愛しいオスの子種汁を咽喉に射精されて安心感だけで終わらせるはずがない。ドクンドクンと鳴り響く鼓動と共に私の全身へと興奮が行き渡り、オーガズムと結びつくのだ。お互いの興奮と快楽を高めあうその二つに私はドンドンと高みへと押し上げられていく。
 
 ―んにゃあ…ぁ♥身体の中ぁ…ザーメンでいっぱぁいっ♪♪
 
 そんな私の咽喉を今も精液が叩くように射精させられている。食道にべったりと張り付くような特濃の精液は中々、胃の中へと滑り落ちず、私の肉壁へと張り付いていた。ゼリー状にも近い精液は私の小さな食道をすぐさま埋め尽くすが、オチンポによってぴっちりと閉じたお口へは逆流しない。固まったゼリーを無理矢理、胃の中へと流しこむような感覚はとても被虐的だが…この美味しい精液の味と匂いを何時までも感じられると思えばそう悪いものでもない気がする。
 
 ―実際…私のオマンコも…ぉ♪きゅんきゅんしちゃってるし…っ♥
 
 これだけ素晴らしく、気持ち良い射精をお口マンコで受け止めた事が不満なのだろう。きゅうっと引き絞るように小さくなった子宮からはズキズキと痛みを伴った疼きが訴えられていた。どうしてこんなに素晴らしい物を私にもくれなかったのだと主張するようなその疼きと共にドロドロに熱した愛液が私の奥から零れ出すのである。
 
 ―あぁ…っ♪欲しいっ…♪欲しい…のにぃっ♥♥
 
 しかし、私の咽喉奥を埋め尽くすような精液は未だにオチンポの先端から飛び出しているのだ。まるでその精嚢の中身を全て吐き出そうとしているように激しいそれは多少、収まってきたものの止まる気配はまだない。そして特濃の美味しいザーメンを咽喉奥に叩きつけられる度に私の全身は震えるほどに悦び、オーガズムと興奮を高めてしまうのだ。
 
 ―離したくないぃ…♪ずっと…♥じゅっとこうしてオチンポとちゅっちゅしてたいよぉ…♪♪
 
 お口マンコとオマンコ。その二つの欲望に挟まれた私は再びそのジレンマに悩まされる事になる。だが、そのジレンマもまたうっとりするようなオーガズムの甘い感覚に輪郭が揺らぎ、ぼやけてしまう。まるでアクメを貪っている時にそんな無粋なことを考えたくないと言うような身体の反応に私は抗うことなく、身を委ねた。
 
 「んん…っ♪んぐっ♥ごくぅっ♥♥」
 
 そのまま身体をフルフルと震わせながら咽喉をゴクゴクと鳴らして精液を嚥下し続ける。ゼリー状のザーメンを胃の中へと流し込もうとする生理反応でさえ感じるのかゴクリと音を慣らす度にオチンポがフルフルと震えて美味しい子種汁をご馳走してくれる。
 しかし、それだって永遠に続く訳ではない。彼の中の精液は決して無限でもなんでもないのだから。その証拠に私の咽喉奥を叩くザーメンの勢いは弱くなり、殆ど漏れ出すようなものへと変わっている。ビクンと大きく跳ねる度に先端からじわっと精液を漏らすオチンポの姿は間違いなく可愛らしいが、もうちょっと味わいたかったのも事実だ。
 
 ―ん…♪でも…あんまり無茶させちゃいけない…な♥♥
 
 彼にはまだ私の子宮を精液で満たすという大仕事が残っているのだ。その前にザーメンを全て撃ち切ってもらっては私も困る。もうちょっと射精するオチンポの感覚を感じていたかったが、ここは次の交わりの為に我慢するべきだろう。
 
 ―だから…今はお掃除…♪♪
 
 「ぢゅるるるるるるっぅぅっ♪」
 
 その言葉と共に根元まで飲み込んだオチンポを思いっきり吸い上げる。精管に残ってるザーメン汁を全て吸いだそうとする私の口を突くようにオウルの腰がそっと跳ねた。ゴンっと不慣れな食道を突かれる感覚は未だにオーガズムに浸る私にとってはとてつもなく気持ち良い。クラリと意識が揺れるのを感じながらも、私は必死にオチンポへとしゃぶりつき、素敵な精液をオネダリするのだ。
 
 ―んん…♪でも…お口だけじゃぁ…♥
 
 私の小さな肺から生まれる吸引力ではそろそろオチンポから精液を引き出すのは難しくなってきた。しかし、精の匂いに敏感な魔物娘の鼻はまだその奥にたっぷりとザーメンが残っているのを教えてくれる。それが妙に勿体無い気がして腰を振る私に魔物娘の本能が最適解を伝えてくれた。
 
 ―そう…だな…♪口マンコだけじゃ無理なら…手も使えば良いんだ…♥
 
 何も一つだけで全ての条件を満たす必要などない。私が内心、オウルに頼っていたように要所要所で別の力を借りれば良いのだ。そう思考を切り替えた私はジュルジュルと音をかき鳴らしながら、オチンポをゆっくりと引き抜いていく。だが、唾液と精液でドロドロになった狭い咽喉を太いカリ首がゴリゴリと削って引き出すような感覚が気持ち良くて、何度も止まりそうになってしまうのだ。
 
 「んきゅ…ぅ♪ふぅ…ぅ…♪♪」
 
 腰砕けならぬ首砕けになってしまいそうな自分を叱咤しながら私は何とか中腹までオチンポを引き抜くことに成功する。咽喉の奥を押し広げる感覚が消え去り、口の中一杯に亀頭の熱が広がっていた。勿論、それも甘美ではあるが咽喉の奥まで蹂躙されるような感覚には及ばない。気を抜けばまたすぐにオチンポを根元まで飲み込んでしまいたくなるのだ。
 
 ―もう…私がこんなにだらしない女になったのも…お前の所為なんだぞぉ…♥♥
 
 ずっと目を背けてきたメスとしての本性。それがオウルと言う愛しいオスによって暴かれ、自覚させられたのだ。自らの欲望を固く律してきたのに、それさえも難しくなったのも全て彼の所為である。その責任は取ってもらわなければいけない。そう結論付けた私はさっきまで私の口の中にあったオチンポの根元をそっと右手で縛った。そして、きゅっと圧迫する力はそのままにゆっくりと私の口へと近づけていくのである。
 
 「んく…っ♪ちゅぅぅぅ…♥」
 
 勿論、その間も私の口が休んでいる訳がない。射精によって一回り小さくはなったものの、まだまだ衰える気配を見せない亀頭の裏筋をぺろぺろと舐めるのだ。時折、鈴口にもその舌先を突き立て、穿るように動かすとまた可愛らしい反応が帰ってくる。それが嬉しくて、また念入りに肉棒を舐めた瞬間、オチンポの先端からドロリと甘い蜜が漏れ出た。
 
 ―あぁ…♪子種汁ぅ…♪やっぱり残ってたぁ…♥
 
 甘くて甘くて身体中を蕩けさせるような最高のご馳走。それを今度は味覚の集合体である舌が味わうのだ。食道で感じる甘さよりもさらにはっきりとしたその感覚にオーガズムの余韻が反応する。ジワリと骨まで蕩けさせるような甘美な感覚と心地よい気だるさが結びつき、私を再び夢見心地へと押し上げるのだ。
 
 ―んぁ…♪これ…これもっと欲しい…♥
 
 しかし、既に射精が終わってしまった今、新しく精液が増やされる事はない。今だって精管に残った残滓をかき集め、味わっているにすぎないのだ。勿論、私にこんなに素敵なご馳走をプレゼントしてくれたオチンポへと感謝する為のお掃除に手抜きは出来ないが、あんまりそれに固執しすぎていてもいけない。
 
 ―そう…♪だって次は本当にセックスぅ…♥セックスなんだからぁ…♥♥
 
 ドロドロに蕩けた思考が甘く言葉を紡ぐのに合わせて、私の右手がそのまま数回、上下する。オチンポの中に一滴の精液も残すまいとする念入りな搾精にオウルの口から快楽の声が漏れ出た。理性に抑えられる事なく、本能のまま漏れ出るその声に私は胸を踊らせながら、念入りに亀頭を舐め上げ、吸い尽くす。
 
 ―そろそろ…かなぁ…♪
 
 数分の間、じっくりねっとりとオチンポのお掃除に専念した結果、ザーメンの味は何処にもなくなってしまっていた。それに満足と微かな不満を覚えながら、私の口はゆっくりとオチンポから離れていく。最後に唇が離れる瞬間、もう一度、鈴口を舌先で突付きながら、「ちゅぽん♪」という音と共に肉棒を解放した。
 
 「ふふ…♪どうだ…?こんなに小さな口マンコでも…お前のザーメン汁を全部飲み込めたぞ…♥♥お掃除フェラだって…気持ち良かっただろう…?」
 「うぅwwwwファニーちゃんの成長速度早すぎwwww修正されてwwww」
 「ふふん♪人間如きと一緒にするな♪ヴァンパイアは…いや、魔物娘は伊達ではないんだぞ…っ♪」
 
 何をどう修正するのかは分からないが恥ずかしそうに視線を背ける彼の姿から察するにきっと負け惜しみの言葉なのだろう。そう判断した私は股間に顔を埋めるような視線からそっと背筋を伸ばし、胸を張った。瞬間、分不相応に育った大きな胸がぷるんと震え、オウルの視線を釘付けにする。
 
 「お前は本当にスケベだな…♪こんなにバランスの悪い胸をそんなに熱っぽく見つめるなんて…♥」
 「お、おっぱいの嫌いなwwww男の子なんていませんwwww」
 「そうか…♥だったら…今度はその胸をたっぷりと見せてやるからな…♥」
 
 その言葉と同時に私の指は自らへと向けられる。そしてその指先からスッと鋭利な爪が伸び、私の衣服を切り裂いた。勿論、それはこの辺りで暮らす者たちには決して手が届かない価値のある服である。しかし、それが抑止力へと働かないほど私は興奮しているのだ。今すぐ彼とセックスしたい。愛を交わして子どもを作りたい。その言葉で埋め尽くされた私の心は肩へと微かに掛かる衣服を振り払うように外し、生まれたままの姿となる。
 
 「どうだ…♪これが今からお前が味わう女の肢体だぞ…♥」
 「…ごくっ…」
 
 大きな胸を強調するように腕を組み、前屈みになった私の姿を見たオウルの咽喉が大きな音を立てた。それも当然だろう。陽の光が苦手なヴァンパイアは決して日焼けせず、その肌は傷ひとつない。珠のように艶やかな肌は陶磁器のように白亜の輝きを放っているのだ。その上、私の胸は人並み以上に大きく、太ももやお尻もふっくらしている。幼さを見せる他の部分とはまったく違う女性らしいそれらは彼の瞳に強いギャップとして映っている事だろう。そんな身体に興奮の残滓とも言える汗が浮かび、愛液で内股を濡らしているのだ。これだけ揃えてオスが興奮しないはずがない。
 
 ―それでも…こうして夢中になられるのはやっぱり格別だな…♪
 
 相手がオウル以外であればそれは吐き気すら催す気持ち悪いものであっただろう。しかし、今、私の肢体に釘付けになっているのは私が愛したただ一人のオスなのだ。どれだけ自分の身体に自信があったとしてもその感覚は堪らなく嬉しく、ピンと張った乳房の先が疼いてしまう。その疼きのままに大きな胸を彼へと押し付けて、鼓動と興奮を伝えたい。そんな事を思うほど私は強い興奮と歓喜に溢れていたのだ。
 
 ―でも…今は…それよりも先に♥
 
 そう。今はそれよりも先に早く彼とセックスがしたいのだ。今までずぅっと放って置かれた下のお口を充足させてあげないと頭がおかしくなってしまいそうなのである。そう思考を切り替えた私はそっと腰を前へと進めた。両手を彼の腹筋の上に置いて、再びオウルの上に馬乗りになるような姿勢に彼の顔に狼狽が浮かぶ。
 
 「ちょwwwwファニーちゃんwwwそれはwwww」
 「そのつもりはなかった…と言うつもりか…?でも…ここまでさせておいて何事もなく終わる…なんて虚言にも聞こえんぞ…♪」
 
 だって、私は魔物娘なのだ。愛しいオスが傍に居れば、すぐに我慢出来なくなってしまい、セックスがしたくなる淫らな種族なのである。それはオウルだって分かりきっていた話だ。それなのにここまで明確な静止をしなかったと言う事は彼だって私とのセックスを望んでいた証拠だろう。
 
 「そ、れはwwww」
 「それに…お前のココも…私を望んでる…♪私のロリマンコにその身を捧げたいとピクピクしているぞ……♥」
 
 そう。彼のオチンポだってまだまだ満足してはいないのだ。私のお口の奥で未だに絡みつくほどにザーメン汁を射精したにも関わらず、その勢いはまったく衰えてはいない。ピンと反り返った肉棒は綺麗に天井へと向かって突き出しているのだ。その様を見て、本気で私を止めようとしているなどと思えるはずがない。
 
 「それでも抵抗したいと言うのなら…それでも構わないぞ♪もっとも…今のお前は抵抗出来る身体ではないし、抵抗するとも思えないが…♥」
 「く、悔しいwwwwでもwwwビクンビクンwwwww」
 
 その言葉と共に送った流し目に彼は視線を背けながら冗談めいたセリフを吐いた。きっと私の言葉が図星だったのだろう。体面として口に出しているだけで本気で抵抗しようとはしていないのだ。結局、欲望を優先してしまった所為でその体面を削りきれなかったのが残念ではあるが、今更、何を言っても仕方ない。
 
 ―本当は…もっと甘く愛を交わしながらしたかったんだけど……♥
 
 しかし、幾ら願望を並べ立てた所で過去が変えられる訳じゃない。それよりも彼が本気で抵抗している訳じゃないと分かっただけでも今回は納得しておくべきだ。そう自分に言い聞かせながら、私はそっと彼のオチンポの上で膝立ちになる。そのままぴっちりと閉じたロリマンコを左手で開けば、そこからトロリと愛液が垂れ落ちた。ずっと疼いていたのだとオチンポへ訴えかけるような熱い粘液に肉棒もまたピクピクと震えて悦んでくれる。
 
 「さぁ…♪それじゃあ挿入れるぞ…♥抵抗するなら抵抗してみせるんだな…♥」
 
 そう宣言しながら私の右手がそっとオチンポの根元を捕まえる。そのままオチンポの先端と秘所が合わさるように位置を調整するが、愛液と唾液で滑って中々、上手くいかない。クチュクチュと音を立てて逃げるオチンポは腫れ上がったクリトリスとも擦れるから性質が悪いのだ。ビリリと走る快楽に思わず身体が硬直して、オマンコの位置がずれてしまうのだから。
 
 ―でも…段々、慣れてきた…かも…♪
 
 さっきからオチンポが上手く挿入出来なかったのは私が緊張し、力を入れすぎていたからなのだろう。だが、何度か繰り返す内に力加減が少しずつ分かってきた。秘所も肉棒もどちらもあまり固定しすぎない方が丁度、良い。あんまりガチガチにすると少しズレただけでも挿入が難しくなってしまうのだから。
 
 ―ん…♪この辺…かな…♪
 
 その言葉と同時に開いた大陰唇がぱっくりと肉棒の先端を咥え込んだ。まるで逃さないと言うように締め付ける小さな唇に任せ、このまま腰を下ろせば、ちゃんと挿入出来るだろう。それを確認した私は期待と共にある微かな恐怖を振り払うように大きく深呼吸した。
 
 ―きっと大丈夫…♪だって…私は魔物娘なんだから…♪
 
 自分がどれだけ淫らで性行為に特化した種族であるかを再確認した私はそっと膝立ちになった腰を下ろしていく。矢尻のような形をした亀頭がそれに合わせて私の膣肉を押し広げるのだ。ミチミチと言う音が聞こえそうなほどゆっくりとしたそれは痛々しいものに見えるかもしれない。
 
 「ふあぁぁぁぁっ♪♪」
 
 しかし、幼肉を強引に押し広げ、不釣り合いな肉棒を飲み込もうとする光景とは裏腹に私の口から飛び出るのは甘い嬌声だった。たっぷりと艶を浮かばせたメスの鳴き声だったのである。それも当然だろう。だって、私は魔物娘であり、彼は私が愛する唯一のオスなのだ。例え私が初めてで少しばかりサイズが不釣合いだと言っても、性交に痛みを感じるはずがない。寧ろオチンポとこうしてキスしているだけで私の背筋に信じられないほどの快楽が走り抜けるのだ。
 
 ―あぁっ♪お口セックスの時よりすっごいっ♥しゅっごいぃっ♥♥
 
 窮屈な場所をオチンポで無理矢理こじ開けられるのは彼が射精した時と同じだ。しかし、人間の女でも感じるように作られた器官と本来は空気と食べ物を取り込む器官ではやはり感度がまったく別物なのだろう。音を立てて開かれる肉一つ一つから被虐的な快楽が伝わり、私の意識をガクガクと揺らしていた。
 
 ―しかもぉっ♪オチンポまだ大きくなってぇ…♥
 
 亀頭の半分ほどをようやく飲み込んだ私の膣肉は悦びの悲鳴をあげていた。しかし、オチンポの太さが頂点に達するカリ首はまだ届いていない。その上、オウルの肉棒はこれが最高の大きさではないのだ。興奮を高めるにつれて二回りは大きくなってくれるのは先のお口セックスで分かっている。
 
 ―そんなの…そんなの味わったら私…ぃ♥♥
 
 今の大きさでも意識がグラグラと揺れて、イッてしまいそうなのだ。オチンポによって幼肉がミチミチと音を立てて引き伸ばされる度に期待と興奮で身体が燃えてしまいそうなのである。これからさらに大きくなられたらおかしくなってしまいかねない。いや、まず間違いなくおかしくなってしまうだろう。
 
 ―でも…私…わらひ…おかしくなりたい…っ♪
 
 そう。だって、それは魔物娘として当然の事なのだ。愛しいオスとそのオチンポの事しか考えられない淫らなメス犬こそが魔物娘なのだから。私もそうなってしまうだけで何ら不思議でも怖い事でもない。寧ろ、それだけ心奪われるオスがいるという事が魔物娘にとっての幸せでさえあるのだ。
 
 ―だから…だからもっと…もっと一杯頂戴…っ♪オチンポ一杯ねじ込んでぇっ♥♥
 
 その言葉と共に私の腰が強引に下へと降りていく。手探りでゆっくり降りるような今までのものとは違い、遠慮も躊躇もない男らしいそれにオチンポが一気に私の膣内へと入り込んでくるのだ。複数の場所で肉が引き裂かれる音を鳴らし、被虐的な快楽が溢れる私の背筋に寒気にも似たものが駆け抜け、ゆっくりと後ろへ反り返っていく。
 
 ―ふにゃあ…っ♪来るぅ…っ♪またアレが来ちゃうぅっ♪♪
 
 一気に膨れ上がった快楽は私に我慢など考えさせる余裕さえ与えなかった。押し広げられる幼肉と直接、繋がり、快楽を受け取る子宮でまた蛇のような熱がムクムクと起き上がる。さっきのお口セックスの時には何時の間にか薄れて自然消滅していたその蛇は再び私の中の快楽を飲み込み、どんどんと膨れ上がっていくのだ。
 
 ―あぁ…っ♪来てぇっ♪初めてのオマンコアクメぇっ♥欲しいのぉっ♥♥
 
 先ほどと違い、私がそのオーガズムを堪える理由など無い。いや、寧ろ今の私にとってはその絶頂はとてつもなく悦ばしいものであるのだ。彼のオチンポによって押し広げられて至る最初のオーガズムなのだから当然だろう。オチンポごと快楽を思いっきり貪りたくて仕方なくなった私は自らの腰に力を入れて、無理矢理、肉棒を飲み込んでいくのだ。
 
 「きゅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♪♪」
 
 その強引な挿入によってオチンポのカリ首を膣肉へと飲み込んだ瞬間、私の子宮で熱が弾けた。まるで重苦しい枷から解放させたように快楽が私の中で渦巻いていく。快楽神経に絡みつき、脳にも快楽の牙を突き立てるようなそれはお口セックスの時とまるで変わらない。違うのはただ一つ。それがさっきのオーガズムとは比べものにならないほど気持ち良いという事だけだ。
 
 「んあぁぁぁぁぁっっ♪♪」
 
 ふわりと身体が浮き上がる夢見心地すら今の私にはなかった。まるでそれを感じる機能さえも快楽へと侵食されてしまったように私の身体は気持ち良さで一杯になってしまっている。爪の先まで快楽に満たされた身体はフルフルと小さな震えを絶え間なく走らせ、快楽を表現していた。
 
 ―勿論、膣内ぁっ♪膣内もぉっ♥♥
 
 挿入途中でオーガズムへと至った私の膣肉はただでさえ窮屈なのにも関わらず、さらに収縮している。きゅうっと締め上げるようなその幼肉は細かく律動し、まるで亀頭を洗い立てるようだ。勿論、その刺激は私にも快楽となって跳ね返ってくる。入り口付近にびっちりと生えた細かい粒の一つ一つで亀頭を擦る度に私の小さな身体が震えてしまうのだ。
 
 「ふわぁぁぁ…ぁっ♪♪」
 
 膣肉から伝わるその快楽に私のオーガズムはさらに高められてしまう。身体が震えるほどの快楽を絶え間なく注がれているのだから当然だ。しかも、それは射精を受け止めた時とは違い、治まる理由が今のところ存在しない。彼のオチンポが私の膣肉にある限り、何時までも絶頂で在り続けるだろう。
 
 ―ひぅぅぅっ♪イキっぱなしぃっ♥わらひイキっぱなしにゃのぉっ♥♥
 
 衰える気配のない絶頂の中、私の身体から少しずつ力が抜けていく。まるでアクメに抵抗する力を奪われるように私の四肢は垂れ下がり、口も半開きになてしまうのだ。ダラダラと唾液を零しながら快楽を貪る自分の姿はきっと彼にとてつもなくみっともないものとして映っているだろう。しかし、普段であれば心を痛ませるであろうその妄想すら今の私には快楽の燃料以外の何者でもなかった。
 
 ―あはぁっ♪見てぇっ♥私のはしたにゃいアクメ顔見へぇっ♥♥
 
 この部屋にオウル以外に誰かいれば私もまだ我慢したかもしれない。しかし、この部屋も二人っきりの密室であり、屋敷にも私たち以外の誰も住んでいないのだ。自然、どれだけ私が乱れたとしてもそれを見るのは彼一人だけとなる。ならば、何も遠慮する事はない。オウルのオチンポで貫かれ、アクメしている淫らなメスの姿を思う存分、彼に晒す事が出来るのだ。
 
 ―そして実際に…彼が私を見てくれへる…ぅっ♪
 
 挿入途中ではしたなくもイッてしまい、アヘ顔を晒す私にオウルの熱っぽい視線が突き刺さるのだ。今までのものよりも遥かに欲情と興奮に塗れたそれに私の胸がトクンと高鳴る。下火になる気配のない暖かな恋慕を行き渡らせようとする血液と共に「痴態を見られている」という被虐的な快楽が全身を駆け巡る。ピリピリとした電流のようなそれを貪欲なオーガズムはすぐに飲み込み、その力強さを更に増していった。
 
 ―そしてその力強さのままに私の全身からまた力を奪ってぇ…♪
 
 「〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ♥♥♥♥♥♥」
 
 瞬間、私の視界がぐわんと揺れた。咽喉が震えた。子宮も悦んだ。ぷちゅん♪と小気味良い音が鳴った。しかし、何が起こったのかは私には分からない。ただ、私の身体に何か太く大きなものが差し込まれている事だけが感じられる。それは勿論、挿入途中であったオウルのオチンポだろう。しかし、私の膣内に収まっているのはその根元までなのだ。アレほど挿入するのに苦労したとはまったく思えないそれに私が困惑を浮かべた瞬間、私の子宮の中から波が沸き起こる。
 
 ―あ…あぁ…あぁぁぁっ♥♥♥
 
 「ああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっ♥♥♥」
 
 遅れてやってきた快楽に私の咽喉は壊れそうなほどに嬌声をかき鳴らす。長い私の人生でここまでの大声をあげた事は一度だってないだろう。下手をすれば咽喉が壊れてしまうかもしれない。そんな不安さえ浮かばせるほどの大声だった。しかし、それはもう私の意思では止められない。まるで津波のような快楽の波は理性も何もかもを押し流し、声として吐き出させているようなのだから。
 
 「イくぅぅぅっ♪イくイくイくイくぅぅぅぅぅっっっ♪♪」
 
 そう必死で声をあげるのも私の中の防衛本能なのかもしれない。口に出さなければどうにかなってしまいそうな快楽を少しでも発散しようと口が勝手に動いているのだろう。勿論、私はどうにかなっても構わないが、既に身体の反応は私の意識から完全に離れてしまっている。私が何をしようとしても脱力した身体は言う事を聞いてくれず、ただ、生理的に近い反応を繰り返すだけなのだ。
 
 「ふにゃああぁぁぁっ♪しゅごいぃっ♥しゅごいしゅごいしゅごいのぉぉっ♥♥イくのしゅごいぃっ♪アクメ美味しひぃっ♪♪」
 
 そんな私の口から漏れるのは私の本心なのだろう。実際、こうして子宮口で味わうオチンポの感覚はとっても逞しい上に『美味しい』のだ。まるで子宮口にも味覚が備わっているようにあのオチンポの味が私の子宮へと伝わってきている。思わず夢中になってしゃぶってしまうほど中毒性の高いあの味をメスの本能に最も近い場所で味わわされてマトモでいられるはずがない。子宮口はさっきから何度も情熱的なキスを繰り返し、その周辺の肉襞も精液をオネダリするように甘く抱きついている。
 
 ―勿論…っ♪他の部分も一緒れぇ…♥
 
 まるで膣肉全体がこのアクメを素晴らしいものにしようとしているようにくちゅくちゅと絡みついているのだ。入り口付近の細かい粒粒も、中腹のゾリゾリとした肉襞も、余す所なく彼のオチンポに押し広げられている。絶頂で膣穴が緩み、スムーズに挿入が出来たとは言え、私の幼肉が成長した訳ではない。その被虐的な快楽は一向に色褪せる気配はなく、私の心を虜にしていた。
 
 ―それに…彼のオチンポを全部飲み込めているという充実感もぉ…っ♪
 
 私の小さな身体で剛直とも言えるような逞しいオウルのオチンポを全て飲み込んであげられるとは思っていなかったのだ。しかし、今の私の身体は彼の肉棒を根元までしっかりと咥え込んでいる。しかも、ただ咥え込んでいる訳ではなく、亀頭と子宮口は隙間がないほど密着しているのだ。まるで彼のオチンポの為に作られたような性器の大きさに運命めいたものさえ感じてしまう。
 
 「あふぅぅ…っ♪いっぱぁい…♥こんにゃに小さいのにぃっ♥わらひの中…オウルのオチンポを全部、咥え込んでりゅぞぉ♥♥」
 「うあぁぁ!」
 
 その運命を彼にも感じてもらおうと紡いだ言葉に彼は呻き声で応えた。絶頂で霞む視界で彼の顔を見れば紅潮した顔を快楽で歪めているさまが目に入る。私がオチンポで押し広げられる感覚を味わうのと同時に彼もまた幼肉で締め付けられる感覚を味わっているのだろう。その表情には一切の余裕がなく、シーツを握り締めようとしているように腕が痙攣していた。
 
 「あはぁっ♪可愛い…っ♥オウル可愛い…ぃっ♥♥」
 
 その必死な姿に感じたモノが全てそのまま言葉として吐き出される。それが彼にとって辱めの言葉であると理解していても私の口は止まらない。快楽の喘ぎ声と共に本能のまま紡ぐだけだ。
 
 「あぁっ♪もっと見たいぃっ♥オウルの感じてるしゅがたもっと見たいよぉっ♪♪もっともっと…私で感じて…お前もアヘってぇっ♥♥」
 
 そしてその本能は力が抜けたはずの私の腰をゆっくりと上下させ始める。挿入時と変わらず、じわじわと腰を動かすそれは抽送とも言えない緩やかなものであった。しかし、不釣り合いな肉棒を根元まで咥えこむほど私の身体は弛緩しているのである。一体、何処にそんな力が残っていたのか。自分でもそんな風に疑問に思ってしまう。
 
 ーれも…♥気持ち良いからっ♥ビンビンって感じるから良いぃっ♪♪
 
 しかし、その疑問もオチンポを引きぬく快楽の中で薄れ、消えて行ってしまう。流石に最初の頃の津波のようなオーガズムは収まったとは言え、私の身体にはまだ小規模な絶頂が幾つも弾け、快楽神経を敏感にさせているのだ。その上、まだ快楽にもオチンポにも不慣れな幼肉をカリ首で引っかかれて、普通でいられるはずがない。オチンポが肉襞を引っ掻く度に、視界がバチバチと弾け、またアクメしてしまうのだ。
 
 「あひゅぅっ♪にゅくのもぉっ♥ぬぷぬぷって引くのも素敵ぃっ♪オチンポがゴリゴリってオマンコ引っ掻いてるぅっ♥♥」
 「ぬぁ…あぁぁっ!」
 
 勿論、それは私だけでなく彼にとっても同じだ。敏感なカリ首をキツキツのロリマンコで扱かれて冷静でいられるはずなどない。ほんの少しずつ動くようなゆっくりとした動きにさえ反応し、甘い声をあげてくれるのがその証左だ。そして私の魔物娘としての本能はそんな彼の姿に悦び、もっと感じさせてあげたくなるのである。
 
 「きゅぅぅぅぅぅうんっ♪♪♪」
 
 その一念のままに再びオチンポを飲み込んでいく私の口から甘い叫び声が飛び出た。引き抜く時とは違い、私の体重そのものが運動エネルギーとなる挿入は愛液でグチョグチョになったオマンコを滑らかに刺激してくれる。再び膣奥まで一気にオチンポが入り込み、幼肉が蹂躙される快楽に私の背筋がビクビクと震えた。
 
 ー特に一番、ビクビクくりゅのが子宮のお口れぇ…♥
 
 さっきまで熱烈にキスしていた亀頭が離れたのが寂しかったのだろう。再び膣奥へと招かれたオチンポにさっきよりも激しく歓迎している。きゅうっと子宮口周辺を締まらせ、思いっきりオチンポに吸いついている姿は未練がましく男にしがみついている女のようだ。いや、実情はもっと情けないものだろう。だって、私の子宮口がしがみついているのは私が頬ずりしたくなるほど大好きなオチンポなのだから。女と言うよりはメスという方がまだ幾分、しっくり来る。
 
 「はあぁっ♪これしゅごぉっ♪もっと…もっろ欲しい…ぃっ♥♥」
 
 しかし、そう願う私の子宮口とは裏腹に私は思いっきりズンッと子宮を響かせるあの快楽が欲しくて欲しくて仕方がないのだ。きゅうっと子宮が収縮し、愛液を吹き出させてしまう快楽にもう私は虜にされてしまったのである。自然、魔物娘の本能もそちらの味方をし、私の腰をまたゆっくりと引き上げていくのだ。
 
 「あはぁ…♥ジュルジュルってオチンポ出てりゅぅっ♥♥」
 
 子宮口から愛しいオチンポがいなくなってしまう寂しさとこれから味わうであろう快楽への期待。その二つを混ざらせた甘い声と共に私の腰は再び立ち上がる。しかし、それはさっきまでと比べて大分、スムーズなものになっていた。キツキツのロリマンコも多少はこうして抽送するのにも慣れてきたのだろう。その締め付けはそのままであるが、緊張にも似た硬さはもう殆ど消え去っていた。
 
 ―しょれに…私自身もぉ…♥オマンコセックスに慣れてきたし…♥
 
 挿入を始めた頃と比べて、オマンコで味わう快楽にも大分、慣れてきたのだ。しかし、それは快楽が少なくなった訳では決してない。例えるならば、快楽を受け取る私の器が大きくなっただけなのだ。注ぎ込まれる快楽の量はそのままにより深く味わう事の出来る身体の変化。それはやはり淫らな魔物娘だからこそのものだろう。
 
 「もっろ早くしてあげりゅね…♪オウルもすぐにびゅっびゅってしゃせーしちゃうくりゃいクチュクチュしてあげるんだからぁっ♥♥」
 
 最初の頃は腰砕けになっていた快楽にも負けず、私の腰の速度はどんどんとエスカレートしていっている。ついさっきまで処女であり、幼肉を押し広げられるだけで喘いでいたヴァンパイアの姿はそこにはない。まるでケダモノのように快楽を求めて腰を振るうメスがいるだけである。
 
 「んにゃぁぁっん♪♪まらイッちゃったぁっ♪オウルのオチンポ最高すぎりゅよぉ…♥♥」
 
 そして抽送の速度が上がれば上がるほど、私のオーガズムの感覚は短くなっていく。だが、勿論、それだけではない。オチンポと膣肉が擦れるだけであっさりとイッてしまう私の中でオーガズムが幾つも結びつき、ドンドンと膨れ上がっていくのだ。アクメで敏感になった身体がまた絶頂し敏感になっていく感覚には恐ろしいほど果てがない。まるで何処までも気持ち良くなっていくような感覚に私の心は恐怖と歓喜を抱いた。
 
 ―こんにゃの…ぉ♪こんにゃの味わったら…もう何も出来ないよぉっ♥♥
 
 お口セックスの時も私はずっとこれをしゃぶっていたいと思った。しかし、オマンコセックスはそれよりもさらに強い中毒性で私の意識に入り込んでくる。こうしてセックスし続ける事が何よりの幸せなのだと、最高の日々なのだと訴えかけるようなそれに私はもう抗う事は出来ない。私の中で肥大化する魔物娘の本能もそれを肯定しているのだから当然だろう。
 
 「ふわぁぁっ♪オウルとのせっくしゅ幸せぇっ♪♪オチンポセックス最高にゃのぉっ♥もうじゅっとこれだけれ良いっ♥これだけしていたいよぉっ♥♥」
 
 オウルに訴えるような本能の言葉と共に私の腰がグリンと円を描き出す。抽送の最中に不規則に加えられるその動きはオチンポを私の幼肉に押し付ける結果となった。普通に上下するのとは違う位置に亀頭がぶつけられ、膣肉が抉られる感覚に私の意識がまたバチバチと弾ける。まるで幼肉にオチンポの味を教え込まそうとするようなその動きに私はすぐさま夢中になり、その動きを何度も繰り返すのだ。
 
 「オチンポ覚えちゃうのぉっ♪オウルのオチンポの大きさも太さもぉっ♥硬さも味も何もかもをっ♥♥キツキツロリマンコが覚えちゃうぅっ♥♥」
 
 数十回のピストン運動を経て、大分、柔らかくなった私の幼肉はあちらこちらへとぶつけられる肉棒をしっかりと受け止めていた。まるで母性すら感じさせるように暖かく、そして淫らに暴れん棒を抱きとめるそれにオチンポがピクピクと反応し、悦んでくれている。やはり男はどうしてもマザコン的な部分を捨てられないのだろうか。その反応はキツキツだった最初の頃よりも遥かに大きい気がするのである。
 
 ―だったら…ぁ♪それを利用してあげれば良いだけれ…っ♥
 
 その言葉を浮かばせた胸がゆっくりと彼の方へと倒れていく。初めてのセックスに興奮し、汗を浮かばせた身体はすぐさま汗だくになった硬い胸板に迎え入れられた。自然、私の大きな胸は彼の身体に押し当てられ、ふにょんと形を変える。しかし、私の身体が幼い分、そこも張りと弾力に満ち溢れているのだろう。微かに横へと溢れただけでだらしなく形を崩す事はない。
 
 「んふ…っ♪どうらぁっ…♥お前もだいしゅきでじぃぃぃっと見てたおっぱいらぞぉ…♥これへ…オウルの胸をクリクリって洗ってやりゅからなぁ…♪♪」
 「ああぁぁ…っ!!」
 
 そのままゆっくりと胸を揺する私の愛撫にオウルは堪らなさそうな声をあげる。それも当然だろう。この妙な所で理知的な男がアレだけ視線を釘付けにした胸を押し付けてやっているのだ。しっかりと勃起した乳首でクリクリって汗を擦りつけているのである。大きな胸が大好きなオスがその攻撃に耐えられるはずがない。
 
 ―実際…私もしゅっごい感じてりゅし…♪♪
 
 彼の硬い胸板と乳首が擦れる感覚はまるで押し潰されるようで私に被虐的な快楽をもたらすのだ。ゾクゾクと背筋を冷たくさせるようなそれと今も動き続けるオマンコのアクメが結びつき、私の意識を揺らす。その上、汗と唾液と愛液とで濡れ濡れになったお互いの身体は擦れ合う度にオマンコにも負けないニチャニチャと言ういやらしい音をかき鳴らすのだ。お互いに一糸も纏わない生まれたままの姿で密着しているというシチュエーションと相まって、その音は私を興奮させてくれる。
 
 「お前の手が動いたりゃ…一杯揉ませてやりゅんだけろぉ…♪♪今はこれで我慢するんだぞぉ……♥」
 
 言い聞かせるようなその言葉と共に私の身体が前後に揺れる。オチンポを挿入したままのその行為はお世辞にも大きく動けているとは言い難い。しかし、私にとってはそれで十分過ぎるのだ。頻繁に方向が転換する動きに乳首が曲がり、押し潰されるのだから。そしてその動きは私の下腹部にも伝わり、包皮で包まれたままの小さなクリトリスをオウルの下腹部に押し付ける事にもなって……♪――
 
 「んひぃぃぃっっ♪♪クリ…とりしゅぅっ♪クリトリスもこしゅこすされてりゅぅっ♥♥」
 
 オマンコに負けずとも劣らないメスの弱点。そこを包皮越しとは言え、オウルの身体に押し付けている快楽が私の太ももをビクビクと震わせた。快楽に慣れたはずの私の身体から力が抜け、思わずまたへたりこんでしまいそうになる。しかし、魔物娘の本能は私が思っていた以上に貪欲であったらしい。二度三度と繰り返す度に少しずつ順応してきた身体はさっきと変わらない速度で腰を動かし始めるのだ。
 
 「あぁ…♪おっぱいもぉっ♪クリトリスもぉっ♥オマンコもしきぅも…♥♥じぇんぶじぇんぶ気持ちよくって幸しぇ……♪♪」
 
 メスの身体の中でも特に敏感な部分を全て彼によって気持ち良くして貰っている。その充足感に心が震え、ぎゅっとオウルの身体に抱きつきたくなってしまう。しかし、今の彼は私を助けてくれた反動でまだ動けないのだ。私が動かなければオウルもまた気持ち良くなる事は出来ない。そう自分に言い聞かせながら、甘えん坊の私が顔を出すのを何とか堪える。
 
 ―でも…でも…ぉっ♪その代わり…ぃっ♥
 
 「ちゅ…♥んん…っ♥ちゅるぅ…♪♪」
 
 彼に甘えたくって仕方がない甘えん坊の自分を宥める為に私は彼の逞しい胸板にそっとキスを落とす。順番こそ逆になってしまったが、本当はファーストキスを彼に捧げたいのだ。しかし、オウルと私の間に絶望的なまでに存在する身長差がそれを許さない。どれだけ頑張ってもこの胸板が限界なのだ。それに悔しさを感じながら、私はちゅっちゅと触れ合う事だけを楽しむように何度も唇を押し付ける。
 
 「ちゅぱぁ…♥んふ……♪おうりゅの汗…とっても美味しい…♪」
 
 微かな塩味と独特のオス臭さが混じった汗の味は精液とはまた違った意味で美味しい。だが、それはあくまで前菜的な美味しさである。精液のように何もかもを満たされるようなものではなく、「先」に期待させる汗の味に私の興奮も否応なく高まっていくのだ。
 
 「は…ぁっ♪もっと…もっとオチンポ激しくしてあげりゅねぇ…♥」
 
 その興奮に火が点いた子宮がぐちょぐちょと愛液を飛び散らせるように激しく腰を動かし始める。自然、彼の腰とぶつかるように動く私のお尻が揺れてぱちゅぱちゅと肉の弾ける音が鳴った。幼い私の身体の中では珍しく人並み以上にある太ももとお尻が奏でるその淫らな音にオウルもまた興奮してくれているのだろう。円を描きながら激しく抽送されるオチンポは一回り大きくなり、絶頂前の硬さと熱を取り戻し始めていた。
 
 「んふぅっ♪そろそりょイきそうなんらなぁっ♥♥オチンポぉこんにゃにピクピクしてるぞぉ…っ♪」
 「うくぁ…がぁぁ…!」
 
 愛しさと期待を込めて放たれた私の言葉を否定する事さえ今のオウルには出来なかった。その口から漏れるのは快楽の喘ぎ声だけであり、身体も震えが走っている。もし、動けるのであればきっと必死に腰を振って私のロリマンコを貪ってくれていただろう。そう思わせる彼の興奮っぷりに私の胸の奥がズキンと疼き、甘い吐息を漏らしてしまった。
 
 ―あぁ…っ♪そうなって欲しひっ♥オウルに一杯、オマンコグリグリして欲しいのぉっ♥
 
 しかし、その欲望はどうあがいても今は充足出来ないものだ。まんぐり返しの状態で押し倒されて、挿入している所をこれでもかと見せつけられるような屈辱的で倒錯的なセックスは望めないのである。ならば、私が頑張るしかない。その覚悟を新たにした私はきゅぅぅっと幼肉を締め付け、オウルを気持ち良くしてあげるのだ。
 
 「にゅふぅ…っ♪わらひもさっいからぁ♪イキっぱなしぃ…っ♥♥お前も…おみゃえもぉっ♪いちゅでもイッて良いからにゃぁ…♪♪」
 
 きゅうっと締まった幼肉から受け取る刺激は今まで以上にオチンポが身近に感じられてとっても気持ち良い。思わず瞳を閉じてその快楽を一つ一つ丁寧に咀嚼し、味わい尽くしたいくらいだ。しかし、その快楽は後から後から山のように幾らでも運ばれてくるのである。一つ一つを吟味している余裕などあろうはずもなく、四肢を震わせるような快楽だけが通り抜けていくのだ。
 
 「ふわぁぁっ♪もったいにゃいぃ…♥気持ち良いの勿体にゃいよぉ…♪♪」
 
 『貴族』の私にとって「勿体ない」など口が裂けても言えないセリフだ。別に豪奢な生活がしたい訳ではないが、そのように倹約を是とする言葉を人前で口にすれば舐められてしまう。しかし、今の私は『貴族』でもなんでもないただのメスだ。彼に心奪われ、セックスの虜になったメス犬でしかないのである。一つ一つでさえ絶頂に至れるほどの快楽が私の中を通り過ぎていく贅沢な感覚を躊躇なく勿体無いと言い切る事が出来るのだ。
 
 「れもぉっ♪れもぉっ♪しょれがしゅごいのっ♥♥勿体無いのが気持ち良いぃぃっ♥♥」
 
 余韻に浸る暇もなく、気持ち良さだけが雪だるま式に蓄積していく感覚。オーガズムの中でオーガズムに至る今の私はとてつもなく贅沢で…そして幸せだ。それだけ愛しいオスのオチンポで気持ち良くなっているという事がメスとしての自信と充足に繋がり、愛情と共に胸を暖かくしてくれる。そして、胸の奥に宿った暖かな熱にさえ、快楽を感じてしまう淫らな身体がそれを彼にもおすそ分けしようとそっとオウルの首に手を回すのだ。
 
 「ふあぁ…♪だ…抱っこぉ…♥抱っこしてあげりゅぞぉ……♥♥」
 
 そのまま首を持ち上げるようにして彼の身体を抱き起こす。自然、密着した私の身体も垂直に戻り、子宮へと重みが掛かった。ズンッと言う音と共にオチンポが子宮へと突き刺さる衝撃に私の太ももがきゅっと閉じそうになる。しかし、もうセックスはクライマックスに到達しているのだ。ここで足を閉じてお預けを喰らわせてあげる訳にはいかない。
 
 ―それにぃ…♪私ももう…限界……♥♥
 
 本音を言おう。私は彼を抱っこしてあげたかった訳ではない。抱っこして欲しかったのだ。彼を犯すのではなく、彼に犯されたかったのである。どれだけ強がっても私の本質はお母様やお姉様…ううん。ママやお姉ちゃんに対するように甘えん坊であったのだろう。彼に甘えたいと言う欲求を抑えきれず、こうして形だけでも抱きしめられるような形になりたかったのだ。
 
 「あは…ぁっ♪顔近い…ぞ…♪息がハァハァって…♥とってもあちゅい……ぃ♪♪」
 
 そしてその姿勢は私とオウルの顔を最接近させるのだ。彼の腰に座るような形になっている今の姿勢は私たちの身長差を見事に緩和してくれる。丁度、私の顔の前に彼の顔が来て、お互いに興奮した吐息を吐きかけているのだ。触れ合うほど間近で興奮した顔を見つめ合うシチュエーションにずっと抑えられてきた欲望が一気に燃え上がり、私の静止を振り切る。
 
 「んちゅぅっ♥♥ふあ……ぁ♥」
 
 ―あぁ…っ♥キスぅ…♪きしゅしちゃったぁ……♥♥
 
 興奮で濡れた彼の瞳に導かれるようにそっと触れ合った唇からドロリとした甘い熱が伝わってくる。それは彼の体温なのか、それとも私の興奮の熱なのかは分からない。ただひとつ確かな事はその少しささくれだったオウルの唇を私の舌が癒すように舐め、そのまま彼の口腔へと侵入したという事だけだ。
 
 ―ふあぁ…っ♥美味しいぃ…っ♪オウルの唾液甘くってトロトロらのぉ…♥♥
 
 勿論、その味は精液には決して及ばない。何もかもを蕩けさせる劇薬のような甘さと比べるにはあまりにも薄すぎるのだ。しかし、それは必ずしもそれが不味いという事を意味しない。寧ろそのスッキリとした甘さが物足りなさを掻き立て、彼の唾液をもっと味わいたくて仕方なくさせるのである。
 
 ―そして…ぇ♪それが精液を連想させて…っ♪♪
 
 その中毒性も精液には及ばない。しかし、彼の唾液は精液を何百倍にも希釈したように似通っているのだ。それを味わえば味わうだけ私の興奮は高まり、子宮が暴れ始める。ついさっきザーメンのお預けを喰らった事を思い出した子宮はキュンキュンと疼き、ドロドロの愛液を垂れ流していた。甘く痛むようなその疼きに私はもう我慢出来ない。一刻も早く子宮にあの甘い子種汁を注いで欲しいとキスをしたまま腰を限界まで振るうのだ。
 
 「んんんっっっ♥♥♥」
 
 そんな私の舌に何か熱いものが触れる。ドロドロの唾液でたっぷりとコーティングされたその熱い何かはとても柔らかい。その柔らかさと張りでクチュクチュと私の舌へと絡み付いてくるそれはきっと彼の舌なのだろう。そう思った瞬間、私の胸の中で愛しさと歓喜が爆発した。
 
 ―あぁぁっ♪♪オウル…おうりゅぅ…っ♥♥♥
 
 それはきっと彼の唯一の自己主張だ。声も出せず、身体も自分で満足に動かせないオウルが私に感情を伝えてようとしてくれている行為なのだろう。そして…その行為に乗る感情はきっと愛情だ。私の想いに応え、彼もまたキスしてくれたのだから、それ以外であろうはずがない。
 
 ―嬉しい…っ♥嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しいっっ♥♥
 
 彼が私に応えてくれた。愛していると伝えてくれた。それだけで私の感情がオーバーフローし、涙さえ浮かばせてしまいそうになる。しかし、今は泣いている場合ではない。キスに合わせるようにして彼のオチンポは膨れ上がっているのだ。お口で射精を味わった時とまったく同じ大きさと熱。それはもうすぐ彼が射精するという何よりの証左だろう。
 
 「んちゅぅっ♥れろぉ…♪♪ふぁ…ぁっ♥♥ちゅぷぅ…♪」
 
 その射精を素晴らしいものにする為に私の膣肉がオチンポへと絡みつく。激しい抽送であっても隙間を作らないようにとその時々に応じて形を変える幼肉の刺激にオチンポがブルブルと震えて、カサの部分がまた一回り大きくなった。まるで最奥で亀頭を固定し、子宮口に精液を全て注ぎ込もうとするような反応に私の腰が歓喜に震える。ともすれば砕けてしまいそうな腰を必死で叱咤しながら、私はオチンポを入り口付近まで引き出し、そしてそのまま子宮口へと一気に突き刺した。
 
 「ぁっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ♥♥♥♥♥」
 
 肉厚でぷりぷりとした子宮口だけじゃなく、子宮にまで衝撃が響き渡った瞬間、オウルのオチンポで熱が弾ける。激しい衝撃に負けないほどに勢いで子宮口に注ぎ込まれる熱い粘液に思考まで焼けそうになった。身体の奥底まで燃やし尽くすようなその熱――いや、ザーメンは普通であれば、苦痛以外の何者でもないだろう。しかし、私は魔物娘であり、その子種汁は愛しいオスから吐き出されたものだ。苦痛になど思うはずもない。寧ろその熱い粘液をオネダリするように子宮口が吸いつき、一滴残らず吸い上げようとしていた。
 
 ―んにゃあああぁぁっ♪ザーメンんっ♪子種汁来たぁぁぁっっ♥♥
 
 そして子宮口がじゅるじゅると白濁液を吸い上げる度に私の身体に信じられないほどの快楽が走り抜ける。まるで今までの快楽が嘘のようなそれは私の心も身体も魂さえも震わせるようだ。子宮だけでなく、精神的なものにまで刻み込まれるような激しい快楽に私の全身は震え、膣肉もぎゅうっと締まってしまう。
 
 ―しかもぉっ♪それは気持ちいひだけじゃらくてぇ……♥♥
 
 初めて子宮口にオチンポが達した時、私はそこが舌に負けないほど味覚に敏感な部分だと思ったのだ。そしてそれは決して間違いではなかったらしい。咽喉奥で味わった時とは比べものにならない甘さが子宮口から伝わってきている。舌に絡みつくようなドロドロの粘性まで余す所なく伝えてくれる子宮口に私の意識がドンドンと集中していくのだ。
 
 ―きゅぅぅぅぅっ♪わたひ…私…オマンコだけになっちゃふぅっ♥オマンコ馬鹿になっちゃうのぉっ♥♥
 
 快楽に震える四肢や今も尚、彼の舌と絡みついている口からもすぅっと潮が引くように意識が遠ざかっていくのだ。その引いた意識が集中するのは勿論、今、メスとしての最高の幸せを味わっている子宮とそのお口である。まるで身体がオマンコだけになってしまうような感覚に私が恐怖を感じる事はない。寧ろ、身体中にザーメンが絡みつき、全身で子種汁を受け止めている感覚に私の意識がドロドロに蕩けていくのだ。
 
 ―身体中、熱くってぇっ♪身体中、美味しくってぇ…♪身体中、気持ち良いなんて…ぇっ♪♪
 
 きっと今、この瞬間、この世界で最も幸せなメスは私だろう。そんな事を思い浮かばせるほどに全身で感じる射精の感覚は気持ち良い。そしてその感覚をもっと長続きさせようと私の幼肉は締まったまま前後に律動するのだ。まるで白濁液をオネダリするような淫らなオマンコの動きにオチンポは少しずつ弱まり掛けていた射精の勢いを取り戻し、びゅるびゅると子宮口を叩いてくれる。
 
 ―あはぁっ♪まだ出るのぉっ♥♥まだまら私を幸せにしてくれりゅのねっ♥♥♥
 
 まるで精嚢の中身を全て私に捧げようとするようなオチンポに私の身体が歓喜に震える。こうしてセックスしているだけでも途方もなく幸せなのだ。さらにその上の愛しいオスの精液を受け止めるというメスとしての最高の幸せを長続きさせてくれるのだから私の身体が喜ばないはずがない。
 
 ―らしてぇっ♥もっとらしてぇっ♪♪しきぅが溺れるくらいにぃっ♥♥子宮の中一杯になるまでザーメン汁一杯ちょうらぁいっ♪♪
 
 勿論、それが意味するリスクというのも私はしっかりと理解している。妊娠という生半可な覚悟では乗り越えられない結果が付随するのは私だって分かっているのだ。しかし、私の本能はそれをリスクとして受け止めず、寧ろメリットとして捉えている。それも当然だろう。だって、私は彼の事を愛し、彼もまた私を愛してくれているのだ。そんな二人の間に子どもが出来た所で一体、誰に恥じるべきところがあろうと言うのか。寧ろ新しい命の誕生に祝福されるべきであろう。
 
 ―だからぁっ♥孕みたいのぉっ♪おうりゅのオチンポ汁でぇっ♥♥オウルのザーメン汁で子ども作りたいんらよぉっ♥♥
 
 その感情のままに膣肉がぎゅうっと収縮するが、流石にそろそろ精液そのものが打ち止めらしい。射精の勢いは殆どなくなり、先端からじわっと漏れるようなものへと変化していた。それを貪欲な子宮口が吸い上げるが、中々、後続は来てくれない。魔物娘の本能が膣肉を根元から締め上げ、精液を搾り取るようにしているが、その成果も芳しいとは言えなかった。
 
 「ん…にゃあぁ……♪♪」
 
 自然、射精によって形作られていた私のオーガズムも少しずつ下火へと変わっていく。すぐさま身体中に意識が戻る訳ではないが、膣肉の蠢き一つ一つさえ感じられるほどにオマンコに意識が集中している訳ではない。快楽で震える腕にも感覚が戻り、射精の間もクチュクチュと絡めあっていた舌の暖かさも復活する。
 
 ―あは…♪これも…これも幸せぇ…♥♥
 
 勿論、さっきの身体中が充足するような多幸感には及ばない。しかし、こうして愛しい人へと密着し、キスをしている。腰は砕けてしまったように感覚が薄れ、腕は余韻にフルフルと震えているが、その中心にあるのは心地良い倦怠感だ。苦痛も苦悩もなく、ただのんびりと愛情を伝え合うような今の状況は十二分に幸せと言えるだろう。
 
 ―ん…でも…やっぱり…惜しい…にゃ…♥
 
 この幸せが悪いという訳ではない。心と身体を休めるような穏やかな幸せは今の私にこそ必要なものであろう。だが、それを差し引いても先の多幸感は凄まじかったのだ。身も心も虜になるというレベルではなく、魂にさえその快楽が刻み込まれたのだから。まだまだ腹八分目には程遠いとばかりに疼く子宮と言い、私は満足してはいない。
 
 ―しょれに…オウルのオチンポも…ぉ♪♪
 
 彼のオチンポもまだまだ硬く、反り返ったままだ。流石に最初の頃よりかは幾分、衰えてはいるものの、まだまだ興奮に滾ってくれている。その先端は精液を迸らせ、また私の子宮へと注いでくれるだろう。そう思うだけで余韻に震える私の力に力が篭り、またゆっくりと腰を動かしていくのだ。
 
 「んぐっ…!ふぁ、ふぁにーちゃ…っ」
 
 そんな私と甘いキスをしながらオウルが抗議をするような声をあげる。しかし、私はそれに躊躇をしてやる理由などない。彼が何と言おうとそのオチンポはまだまだ大きいし、私の身体も満足してはいないのだ。その口から出るのは十中八九、照れ隠しの言葉であろう。ならば、それを聞いてやる必要も言わせてやる必要もない。寧ろ、思いっきり舌を絡めてオウルの口を独占するべきだ。
 
 ―ふにゅぅ…♥まらぁ…♪まらまだ…離しゃないんだから…ぁっ♥♥
 
 その言葉と共にオーガズムによって力が抜け掛けた腕に再び熱が入り込む。彼のあらゆる抵抗を抑えこもうとするようなその熱に従い、私の腕がオウルの首をがっちりと固めた。足も彼の背中へと回り込み、オマンコからオチンポを逃がさないようにしている。勿論、そこには人間よりも優れた魔物娘の力が滾っているのだ。今のオウルは元より全快時の彼であってもその拘束からは逃げられないだろう。
 
 ―このままぁっ♪ずぅっと…♥じゅぅぅぅっと♥♥一緒にいようねぇ…っ♥幸せになろうねぇっ♪♪
 
 甘えるようなその言葉を胸に抱きながら、私の腰が加速する。じゅぽじゅぽと愛液が肉棒へと絡む音をかき鳴らしながら、私は再びセックスの快楽へと没頭していくのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ―微睡みというのはどんな種族にも抗いがたいものであると思う。
 
 そこには魔物娘だとか人間だとかヴァンパイアだとかそんな種族的差分は関係ない。どんなモノであろうと眠りという穏やかで暖かなものから引き剥がされるのは苦悩と苦痛を感じる。だからこそ、ヒトは微睡みというモラトリアムを持ってして、ゆっくりと眠りから離れていくのだ。
 
 ―んん…♥あったかぁい…♪
 
 勿論、それはヴァンパイアである私も同じだ。暖かでゆったりとした微睡みにうとうとと夢見心地になっている。何時までも身を委ねていたいぬるま湯のようなモラトリアム。しかし、それは普段よりもさらに暖かで穏やかなものであったのだ。それはきっと横たわる私の腕の中に暖かな熱の塊があるからなのだろう。
 
 ―あぁ…♪好き…これ好きぃ……♥♥
 
 ポカポカとした春の陽気のようなそれに私は自分の身体をもぞもぞと擦りつける。まるで自分の匂いにオスにつけようとするメス犬のようなそれに眠気に濁った頭が羞恥心を訴えた。しかし、この屋敷には私しかいないのである。自分の『抱枕』に匂いをつけた所で誰に責められる訳でもない。
 
 ―それこそ…ぉ♪ちゅっちゅしたって…怒られないんだからぁ…♥
 
 その気持ちのままに私の唇はその『抱枕』へと降り注ぐ。ちゅっちゅと啄むような軽いキスに『抱枕』の熱がぽっと上がった。体温調節機能まであるなんてなんて高性能な『抱枕』だろう。そう思った瞬間、私の腕の中でその『抱枕』がふるふると震えて……――
 
 ―……あれ?
 
 そこで私はその事態のおかしさに気づく。私は抱枕なんて所有した事は一度たりとてなく、私のベッドにそんなものが紛れ込んでいる可能性も皆無だ。ならば…今、私の腕の中で気恥ずかしそうに震えている『抱枕』――いや、『コレ』は一体、なんなのか。その疑問に私の意識が微睡みを振り切り、急速に覚醒する。
 
 ―なんか…すごい嫌な予感がするんだが……。
 
 いや、それは予感と言うより確信と言った方が近いのかもしれない。何故なら私の脳裏には昨日、どうやって眠りに就いたかが少しずつ再生されているのだから。記憶に告げられる私の過去は、出来れば信じたくないものだ。しかし、こうやって『コレ』と抱き合って眠っている事自体がその真実を裏付けるものであって……――
 
 ―い、いや、落ち着け。冷静になるんだ。もしかしたら全部、気のせいかもしれない。
 
 そう。もしかしたら何かの拍子で私が抱枕を購入していたのを忘れているだけなのかもしれない。記憶の内容も夢と混合している可能性だってあるのだ。まだ確実に『そう』と決まった訳ではない。だから、勇気を持って瞼を開ければ、そこには真っ白い抱枕が見えるはずで……――
 
 「いやんwwwwwww」
 「……な」
 
 そこにあったのは私が期待したような純白の抱枕などではなかった。顔を僅かに紅潮させた見覚えのある顔立ちだったのである。笑顔を浮かべる姿に一瞬、私の胸がドキッと高鳴ってしまった。だが、今の私はその高鳴りに身を委ねる事は出来ない。だって、その照れ隠しのような笑顔は昨日あった出来事が全て現実だと訴えかけるものなのだから。それを意識が認識した瞬間、私の身体はシーツを持ち上げるように起き上がり、彼との距離を取った。
 
 「な、なななななななななんでいるんだ!!!?」
 
 しかし、それでも私にとってその現実は受け入れがたいものだ。プライド高いヴァンパイアにとって人間と――しかも、アレだけ淫らな言葉を並べ立てて――セックスするなんてあり得ない…いや、あってはいけない事なのだから。増して、それはただの性欲処理などではなく、私はこの男に数えきれないほど「好き」だの「愛している」だの甘い言葉を囁いていたのだ。
 
 「なんでってwwwwファニーちゃんが連れ込んだんでしょうwwwww」
 「あぁ、そうだな!分かってる!分かってるぞそんな事は!!!」
 
 しかも、その後にはセックスに疲れて意識が朦朧とした彼をベッドに横たわらせ、抱枕のようにして眠りに就いたのだ。勿論、眠りに就くまで愛の言葉をささやき続け、オウルの胸に何度もキスを繰り返している。その記憶が嘘ではない証拠に彼の胸板には真っ赤なキスマークが幾つも並べ立てられていた。いっそ痛々しいほどに充血したその姿は私がどれだけ彼のことを愛しているかを視覚的に訴えているようで……――
 
 ―ば、馬鹿な!そんな事あるものか!!
 
 人間がヴァンパイアに惚れ込むのであればまだしも、ヴァンパイアが人間に惚れ込む理由などない。ヴァンパイアは人間を賎民と見下しているし、人間もまたヴァンパイアを魔物娘と同一視して恐れているのだから。その大きな二つの溝を埋められるなんて到底、思えない。
 
 ―ま、まぁ、確かにコイツは私に臆さず接してくれているけど…。
 
 初対面から私がヴァンパイアであることを知っても、オウルは恐怖を顔に浮かばせる事はなかった。何時もどおりの煌めくような笑顔で鬱陶しいくらいに私に接してくれたのである。私もまた今まで接してきた賎民とは違う彼を少し…ほんの少しばかり認めたのは否定は出来ない。だ、だけど、それはほんの少しだ。私の小指の先よりもまだ小さなほんのちょっぴりなのである。こ、恋なんてしたりしないし、愛しているなんて事あるはずがない。
 
 「ファニーちゃんwwwどうしたの?wwww」
 「な、なんでもない!!」
 
 突然、動かなくなった私が心配になったのだろう。何時もどおりの笑顔を少しばかり心配の色に染めてオウルがそう尋ねてきた。一日経っても尚、筋肉の内側が紫色に染まっている自分の身体よりも先に私の事を心配してくれる彼に胸の奥がジュンっと溶け出すように熱くなる。
 
 ―う、うぅ…こ、これは気の迷いだ!恋でも愛でもなんでもない!!
 
 しかし、どれだけそう否定しても私が昨夜、数えきれないほど愛を囁いたのは紛れも無い事実だ。その言葉を囁く度に胸がキュンと疼き、子宮が蕩けてしまいそうだったのはどれだけ否定しても嘘にはならない。その上、彼の事を思う度に胸を熱くしてしまうのだから気の迷いと言い切る言葉にも力が出なくて当然だろう。
 
 ―い、いや、そ、そんな下らない話よりもだ!!
 
 そのまま考え込んでいるとズルズルと堕ちていきそうな思考を無理矢理、打ち切って私は昨夜の事――勿論、セックス以前の事――を思い浮かべる。あの時の私は明らかに何かがおかしかった。普段は決して口には出来ない言葉を易々と口にし、その欲望のままに振舞っていたのだから。そ、それが本心からのものかそれとも魔物娘の本能に強いられたものかの議論はさておいて、その原因が何だったのかを突き止めなければいけない。
 
 ―…その理由で言うなら…間違いなくあのステーキソースが一番、怪しい。
 
 なにせあのソースの匂いを嗅いだ途端、私の思考が鈍くなり、ズルズルと欲望に負け始めたのだ。勿論、彼がソースの中に毒を入れたなどとは思っていないが、何かが混入していた可能性は否定できない。いや、そうでなければ我を失うほど肥大化した魔物娘の本能は説明がつかないのだ。
 
 ―…あれ?そう言えば、そんな食材があったような…。
 
 人間とは一線を画す能力を誇るヴァンパイアは忌々しい事にその弱点も多いのだ。日光が照らせば身体能力は大きく下がるし、真水に浸かれば性的な意味で肌が焼ける。他にも大小含めれば様々な弱点があるが、その殆どは性的なモノへと直結していた。特に食材の中にはお母様から決して摂取してはいけないと言われたものがあって……――
 
 ―そうだ!ニンニクだ!!
 
 匂いを嗅ぐだけで頭が痺れ、マトモな思考が出来なくなる。口に入れれば理性が飛び、淫らな本能をむき出しにしてしまう魔性の食べ物。ニンニクとはそういう食べ物であると私はお母様に教わった。勿論、その性質が性質だけに私は一度だってニンニクの匂いを嗅いだ事はないし、口にした事はない。だからこそ、それに気づくのが遅れてしまったのだろう。
 
 ―でも、私にはそれを認められなくて…。
 
 「れ、レイプだ」
 「えwwwwwww」
 「こ、こんなのお前によるレイプだって言ったんだ!!」
 
 困惑の表情を浮かべるオウルに私はそう言い切った。勿論、それは私の八つ当たりでしかない事は私だって理解している。だが、それでも私は彼に責任の所在を求めるしか精神の安定を保つ方法を知らなかったのだ。だって、これがレイプでなければ、私が望んだことだとすれば、今までの私が全て砕け散ってしまいかねないのだから。
 
 「ヴァンパイアがニンニクに弱いって事をお前は知ってたんだ!知ってて私に食べさせたんだな!!」
 「いやwwww俺様wwww知らなかったよwwww」
 「うるさい!そんな事信じられるか!!」
 
 ―本心ではそれが決して嘘ではない事を知っているけれど…。
 
 彼は仲直りの品と称してあの食べ物を差し入れしてくれたのだ。ならば、そこに私が必要以上に反応するものを混ぜるはずなどない。オウルの性格的にもそのようなだまし討ちのような真似は好まないだろう。きっと彼は本当に知らなくて、ただ美味しいものを私に食べさせたいが為にニンニクを使っただけなのだ。そんな事は私にだって分かってる。しかし、分かっているからこそ、私はそれに甘えるしかなくて……――
 
 「そ、それに…あ、あんなに膣内射精して…!!こ、子どもが出来たらどうするつもりなんだ!この強姦魔!!!」
 「えwwwえぇぇwwwwww」
 
 ―勿論、それだって私が乞うたものだ。
 
 はっきりと私の脳に残っている記憶がそう告げてくる。最後の理性で離れようとした彼の腰を離さず、子宮を一杯にして欲しいと願ったのは他でもない私の方だ。寧ろオウルは私を止めようとしていた側であり、この場に強姦魔がいるとすれば私一人だろう。だが、私の口はその過去を認めまいと、そして塗り替えようとしているかのように素早く動き、罵詈雑言を吐き出す。
 
 「こんな私をあんなに犯すだなんて…!こ、この変態!ロリコン!レイプ犯!!」
 「オウフwwwwww」
 
 加害者であるのにも関わらず、まるで被害者のように振舞おうとする酷い言葉に彼は目立った反論をしなかった。呆れているのかもしれないと思ったが、オウルの顔には悪いものは浮かんでいない。何時もの爽やか過ぎるくらいの笑顔だけだ。勿論、感情を抑え込んでいるのは否定出来ないが、それをストレートに表すほど悪感情はもたれていない。その事実に後ろ向きな安堵を覚えた瞬間、オウルの口が再び開いた。
 
 「でもwwwwこんなとかwww卑下するようにwww言っちゃダメwwwwwファニーちゃんはwwwwとっても魅力的な女の子だよwwww」
 「っ!!」
 
 ―宥めるようなその言葉が私の胸に突き刺さる。
 
 私は自分勝手な理由からオウルを責め立てているのだ。その所業は彼を怒らせても仕方がないものであろう。だが、オウルはそんな私を心配するような言葉を向けてくれているのだ。身勝手な私とは違い、他者を慮る事の出来る彼の姿に劣等感と暖かな感情を感じる。
 
 「う、うるさい…そ、そんな事言うんだったら…お前が…証明しろ」
 
 それら二つの感情が導くままに私の口はそう動いていた。本能に近いその言葉が一体、何を表そうとしているのか私は知らない。一体、どんな証明の仕方を求めているのかまでは拙い私の恋愛経験では思い至らないのだ。
 しかし、それでも私が彼に何を求めているのかだけはしっかりと分かる。どれだけ否定しようとしてもわかりすぎてしまうほどに分かってしまうのだ。
 
 「証明?wwww」
 「そうだ。お、お前が…一生側にいて責任を取り続けろ。私にそれだけの価値がある女なのだと…お前自身の人生で証明するんだ」
 
 ―…そう。私はずっと彼に居て欲しい。
 
 私はオウルが一体、どんな経緯で冒険者になったのかさえ知らない。だが、冒険者である以上、一箇所に留まる事は少ないだろう。この関係も何時かきっと別れが来る。そんな事を考えて枕を濡らした回数は一度や二度ではない。
 だが、こうして彼と性的な関係を持った今、私は大手を振って彼を留める事が出来るのだ。この私しかいない屋敷の中にオウルを縛り付ける大義名分が生まれたのだからそれを活かさない理由などない。勿論、それが卑怯な言い回しである事は理解しているが、このような方法でしか彼を引き止める事が出来ないのだ。
 
 「も、勿論、最初から婿になどなれると思うなよ!!お前など私の世話係兼食料で十分だ!!」
 「って事はwwww何時かはファニーちゃんのお婿さんになれるって事wwwww」
 「う、うるさい!そういう事は聞くんじゃない!!」
 
 ―も、勿論、それを考えてないと言えば嘘になるけれど…!
 
 今はまだはっきりと素直になる事は出来ない。彼を入り婿として我が家に迎えたいと思っているけれど、それを口にするにはあまりにも状況が変化しすぎて決心がつかないのだ。しかし、何時かは…何時か彼が人間を止め、インキュバスになった時には…私の婿として正式に迎えたい。幸せなお嫁さんとして純白のウェディングドレスを纏い、彼と誓いのキスを……♥――
 
 ―ハッ!い、いけないいけない…。
 
 一瞬で甘美な妄想に囚われようとした意識を私は何とか持ち直させる。これが一人であればその幸せな未来予想図を描き続けても良かっただろう。だが、今は彼の返事が何より先だ。私の図々しいにも程がある要求をオウルが飲んでくれるかが何よりの私の関心事だったのである。
 
 「そ、それで…どうなんだ?お前の返事は」
 「うはwwwwwおkwwwwww」
 
 ―おずおずと聞いた私の言葉にオウルは何時もどおりの爽やかな笑顔を浮かべた。
 
 まるで体調を尋ねられた時のように軽々しいその言葉は人生の岐路を選択しているとは思えないほど気軽なものであった。下手をすれば馬鹿にしているとも取られかねない軽い様子。しかし、私は彼がその見た目とは裏腹にとても真摯な姿勢で物事に望む人間である事を知っている。少なくともこのような状況で冗談を口にするほど空気が読めない男ではない。だからこそ…それはきっと彼の本心で…――
 
 「ファニーちゃんみたいなwww素敵な子とwwww結婚出来るならwwwww俺様wwww召使にでもwwww犬にでもwwwなんでもなるよwwww」
 「べ、別に犬になれって言ったつもりはない!」
 
 ―寧ろ…そうなりたいのは私の方だって言うか…。
 
 今日だって彼に迷惑をかけてしまったのは私の方だ。そんな私にオウルは怖い顔をしながら黒皮の首輪を身に付けさせる。銀色の鎖が伸びるその首輪以外に私の身体に触れる衣服はない。生まれたままの姿のまま私は強引に日の光の元へ連れだされるのだ。日光によって人間の女と変わらない身体能力になった私をオウルは四つん這いにさせ、かつて栄華を誇った屋敷の中でメス犬のように散歩させる。その恥辱に私の股間は濡れ、クチュクチュと淫らな水音をかき鳴らすほどになった瞬間、彼は私の身体を抱き上げて、その剛直を根元まで…♪♪――
 
 「ファニーちゃん?wwwww」
 「な、なんでもないと言っているだろう!!」
 
 再び妄想へと飛んだ私の意識が彼の呼びかける言葉で現実へと引き戻される。さっきとは比べものにならない淫らな妄想をしていたからだろうか。つい数時間前までオウルと密着していたそこは甘い痺れと共に湿り気を感じさせる。私の胸の内で燻った炎が燃え上がり、再び彼とセックスしたくなってしまった。
 
 ―でも…それは……。
 
 アレだけレイプ犯だの何だの罵っておいて、それはあまりにも不道徳で不条理過ぎる。それにニンニクを食べた私ならいざ知らず、やっぱりまだ人間とのセックスに忌避感を覚えるのも事実だった。胸に宿った欲望を思うがままに発散するにはあまりにも障害が多すぎる。それを理由に私は燻った欲望を抑えつけた。
 
 「…それよりお前は何時から動けるんだ…?」
 
 今、こうして横たわる彼の姿は未だに痛々しいままだ。ところどころで内出血したままの彼の姿はまだ数日はマトモに動けない事を教えてくれる。勿論、私を助けるために肉体を限界以上に酷使した彼を無碍に扱うつもりなどない。しかし、私はずっと世話をされる側であり、世話をした事などはなかったのだ。無事に彼を世話してあげられるかは自信がない。期間を聞いたのはその自信のなさから来るものだった。
 
 「前はwwww五日くらいはwwwロクに動けなかったねwwww」
 「五日…」
 
 ―その間…私がコイツの看病をするのか…。
 
 飲まず食わずでいられるヴァンパイアとは違い、人間であるオウルは毎食必要だ。その食事も私が準備しなければいけない。その上、排泄の世話や着替えまでも私の仕事となるのだ。昨日を含めて残り五日の間、それを十全に行えるかどうかはやっぱり自信がない。
 
 「面倒くさいならwwww村に捨てておいてくれればwww良いよwwwwお金を出せばwwwwある程度は世話をしてくれる人もいるしwwww」
 
 その自信のなさが彼に伝わったのだろう。オウルの口からは気遣うような言葉が漏れ出た。だが、私にとってそれは最初から存在しないに等しい選択肢である。だって、彼がここまで自分を追い詰めたのは他でもない私の為なのだ。その責任は私が取らなければいけない。いや…私自身が取りたいのだ。
 
 ―だって…私…彼に何もしてあげられてない…。
 
 一方的に不平等な条約を突きつけただけで私はオウルに好かれるような事は何一つとしてしていないのだ。少なくとも自分自身でそう思えるようなものを何一つとして持っていないのである。だからこそ、私が自信を持てるように…ヴァンパイアという生来のアイデンティティを由来とした虚実のようなプライドではなく、本当の自信を持てるように彼の世話をしたいのだ。
 
 ―……それに他の女にオウルを触れさせたくはない。
 
 勿論、私は村の中でのコイツの立ち位置を知らない。しかし、パンを作れるような釜戸を持つ家から釜戸を借りられる程度には親交があるのはほぼ確実だろう。そして、その親交が一家族だけに留まっていると考えるのはあまりにも楽観的な思考だ。元々、人好きのするお調子者のような彼はきっと村の中でも人気者だろう。
 
 ―そんな男を人間のメスが放っておくはずがない。
 
 田舎に近いこの周辺に現れた冒険者。しかも、それは顔立ちも整っており、大型犬のように人好きのする性格なのだ。それを刺激に飢えた田舎のメスが放っておくなんて到底、考えられないだろう。きっと彼の危機に一も二もなく駆けつける事はずだ。いや、下手をすれば既成事実を作ろうとする馬鹿な女すら現れるかもしれない。
 
 ―…それは嫌だ。
 
 たった一度、セックスしただけで何を愚かな事をと思われるかもしれない。しかし、私はもうオウルを自分の恋人であると本能が認めてしまったのだ。心はまだまだ素直になれないけれど…それでも身体はもう彼抜きでは生きていけなくされてしまったのである。そんな相手が私以外の誰かとセックスしているだなんて考えただけでも我慢が出来ない。
 
 ―だから……私は……。
 
 「…いや、私がやる。お前はもう私の世話係兼食料なんだ。お前は私のもので…メンテナンスをする義務も私に発生するんだからな」
 
 素直になれない私の口から出てきたのはあまりにも可愛げのない言葉であった。それに落ち込む反面、手応えを感じている私もいる。だって、私は今、明白に「お前は私のもの」と言い切る事が出来たのだ。今までは素直にそんな事も言えなかった事から比べれば大きな前進と言えるだろう。
 
 「…勿論、不慣れ故に色々と問題が発生するだろうが…その辺は随時教えろ。…私も頑張るから」
 「うはwwwwおkwwwww」
 
 その言葉に彼は了承の意を返してくれる。それに安堵した瞬間、私の胃から微かな空腹感が伝わってきた。久しぶりに吸血したとは言え、まだまだ栄養が足りていないのだろう。彼の血液が欲しくて犬歯がウズウズと疼いてしまう。
 
 ―も、もうそろそろ大丈夫…だよな?
 
 確かに昨日はセックスする前に吸血したが、そろそろ血も増えている頃だろう。勿論、栄養がなければそれも難しいが、一食抜いたくらいではそこまで深刻な栄養不足にはなるまい。元々、それほど大量に血を吸った訳じゃないから一晩寝れば問題はないはずだ。
 
 ―まぁ…今日はたっぷりと精のつくものでも食わせてやろう。
 
 この屋敷の中にはもう碌な食料が残っていない。私が吸血衝動を抑えていた間、その代替品として全てを食べつくしたからだ。それ故、食材の確保は外からしなければいけない。だが、それも夜の間に適当な場所から盗んできてやれば良いだけの話だ。適当に金貨でも置いておけば騒ぎにもならないだろう。そうして集めた食材を調理する際にちゃんと彼の指示に従えば、それほど壊滅的な出来にはならないはずだ。
 
 ―うん。大丈夫だ。問題ない。
 
 「そ、それじゃあ先に…手間賃を貰うぞ…♪」
 「えwwwww」
 
 そう自分に言い聞かせながら、私はそっと彼の身体へと上体を倒していく。裸のままの私の乳房がすっと形を崩さないままオウルの胸へと擦れた。その刺激が気持ち良かったのだろうか。彼の視線が私のおっぱいへと突き刺さる。白い肌を彼に見られるのは恥ずかしいが、それ以上に恥ずかしい痴態を昨夜に見られているのだ。今更だと自分に言い聞かせながら、私はそっとオウルの首筋を舐め上げる。
 
 「んぁwwww」
 「こ、こら…!そんな声を出すな!!」
 「だ、だってwwwいきなり首を舐めるからwwwww」
 
 ―そ、それは悪かったけれど…!
 
 でも、一々、宣言してから血を吸うというのも妙に気恥ずかしいのだ。まるでセックスするのを宣言しているようでなんとなくむずむずするのである。それを抑えて吸血しようとした瞬間に、そんな艶っぽい声を出されたらもっと気持ち良い事をしたくて仕方なくなってしまうのだ。
 
 「良いから!お前は黙って…横になっていろ。全部、私がしてやるから」
 「なんかwwwwそれえっちぃよwwwwww」
 「…うるさい」
 
 そう言われるとそんな気がしてくるから不思議だ。いや、実際、昨夜はそんな状態だったのだから当然だろう。動けない彼の上で激しく腰を振るいながら、幾度も精液を強請って子宮の中を暖めてもらったのだ。その感覚を思い出させられた私の奥にぽっと熱が灯り、疼きが走り出す。
 
 ―ほら…お前が変な事言うから…疼いてきちゃったじゃないか…!
 
 一度、精液の味を覚えた魔物娘の子宮は本当に貪欲なのだろう。昨日、アレだけ射精してもらったというのにまだあの甘いザーメン汁を欲していた。だが、疼きと共に愛液を流すそこに負けてやる訳にはいかない。そう自分に言い聞かせながら、私は大きく深呼吸し、彼の首筋へと犬歯を突き立てた。
 
 「うあぁ…」
 「ふ…ぅ♥ぢゅる………♪♪」
 
 そのまま血を吸い上げれば、昨日とまったく変わらない新鮮で美味しい血液が私の口の中で踊る。独特とも言えるサビ臭さも生温かい血の味も今までの人間とは比べものにならないほど飛び抜けていた。その美味しい血液を吸い上げる度に身体中に活気が満ち溢れるのを感じながら、私は夢中になって吸血し…そして――
 
 
 ―『貴族』とは少し違う私の新しい生活が幕を開けたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ―期待とは時に呪いのようなものだと思う。
 
 勿論、多くの人にとってそれは喜ばしい事だろう。だが、期待されているということはそれだけの成果を要求されていると言う事なのだ。それを叶えられている間は良い。しかし、期待に応える度に、少しずつ上がっていくハードルを何時までも飛び続けられるとは限らないのだ。そのハードルを飛び越える為に人一倍努力し、そして飛び越えられなかったが為に期待と全てを失った奴なんて有史以来数えきれないほどいるだろう。
 
 ―俺の妹もそんなタイプだった。
 
 俺はある王家に使える料理長の息子として生を受けた。そこそこ大きなその国は料理長の息子というだけの俺にも高度な教育を施してくれたのである。お陰様で貴族に負けないような知識を手に入れたが、父にとってはそれが不満だったのだろう。
 
 ―なにせ俺は『神童』と呼ばれていたのだ。
 
 宮廷の料理長にも上り詰めた男の息子。それだけで期待の量は大きかったであろう。だが、俺にはその期待を遥かに超えるだけの才能があったのだ。料理を教える父の動きを数回で覚え、技術と共に実演してみせるほどの才覚が。自然、見事に期待に応える俺の教育にも熱が入っていた父は他のことを勉強する事で俺が料理の才能を失ってしまうのではないかと不安がっていた。
 
 ―まぁ、それも俺が十歳の頃に終わったんだがな。
 
 子どもの頃から料理の英才教育を受けてきた。その期待にも応え続けたのである。しかし、それらは俺が十歳の頃――妹が親父の手ほどきを受け始めた頃から一切合切、なくなってしまった。それは妹が『神童』と呼ばれた俺よりも遥かに才能に優れているからだろう。
 
 ―実際…妹はすごかった。
 
 技術の伸びもさる事ながら、教えられた事を自分流にアレンジする能力に秀でていたのだ。しかも、それはただアレンジするだけでなく、味や効率の向上が認められるものも少なくなかったのである。これまでの料理の常識を覆す独創性を持った異才。それに猿真似が上手いだけの兄が敵うはずがない。父もすぐさま妹の才覚に虜にされ、俺は放っておかれるだけとなった。
 
 ―最初の頃は妹を恨んだこともあったな。
 
 それまで周りの期待は俺にとっての全てだった。周りの期待というハードルを軽々と飛び越え、賞賛の声を受け取る事が俺の喜びであった。それこそがアイデンティティだった。しかし、妹はそれらを全て奪いとってしまったのである。本来であれば俺が受け取るはずの期待も賞賛も全て独り占めして、俺がいるべきはずの立ち位置に立っていたのだ。その恨みを十歳という幼い俺が抑えられるはずがない。流石に八つ当たりをする事はなかったが、意図的に無視をしたりした回数はかなりの数に登るだろう。
 
 ―そして俺は自己流へと走った。
 
 妹は異才だ。百年に一度生まれるかどうかの文字通りの天才なのだ。それに勝とうとするならば、既存のやり方――父によって教えられた方法では到底、不可能である。妹のように自分の料理の仕方を見つけなければ、勝負にすらならない。そう考えた俺は父に教えられるまでもなく料理の研究に没頭した。
 
 ―最高の食材を最高の料理へと加工する以外の料理法を覚えたのもこの頃だ。
 
 潤沢な資金によって支えられている王宮とは違い、貧しい家の調理方法。どうやって調味料を減らして美味しい料理を作るかという試みはそれまでの俺にとって、それはまったく真逆の発想だった。
 ジパングの貴重な調味料の作り方。大陸の味覚に合わせた調味料の使い方しか知らない俺にとって、それはとてもエキゾチックで魅力的なものだった。
 野生動物を解体し、効率よく食肉へとする方法。既に加工された食材しか知らない俺にとって、それは食べるという事の罪深さを自覚させられるものであった。
 
 ―それらが俺の中に定着し、技術として自分の中で確立された頃…妹は死んだ。
 
 死因は過労だ。まだ十歳過ぎの小さな少女にとって周りの期待に応えるべく努力し続けるのはあまりにも苛酷だったのだろう。ある日、父の教育中にぱったりと倒れた瞬間、そのまま眠るように息を引き取ったそうだ。まるで糸がぷっつりと切れたような死に方は妹にとって幸いだったのか。そうでなかったのかは分からない。ただ、分かるのは父はそんな妹の死に何も感じていなかったという事だけだ。
 
 ―妹の死後、一週間もした頃には俺への教育を再開しようとしたのだから。
 
 今までおざなりであった俺をいきなり呼びつけたかと思えば、それまで放置していたとは思えないような馴れ馴れしい態度を見せた父。期待の言葉を投げかけ、何とか俺の機嫌を取ろうとするその姿に俺は急に全てが馬鹿らしくなってしまったのだ。こんな奴に俺は今まで料理のイロハを教わってきたのかと、こんな奴の為に妹は死んだのかと…そう思うと妙に世の中が馬鹿らしくなり……俺は住み慣れた宮廷を飛び出した。
 
 ―そして、日銭も持たないまま飛び出した俺を拾ってくれたのは冒険者で…。
 
 ずっと王宮内のぬくぬくとした環境で過ごしていた俺には外の世界は初めてと言っても良いものだった。その全てが珍しく目を輝かせ、好奇心のまま様々な所を出歩いたのをよく覚えている。男なら誰でも持つ冒険心が明確に産声をあげたのはきっとこの頃なのだろう。…まぁ、その冒険心が行きすぎて、踏み込んではいけない裏路地にまで踏み込み、あわや奴隷として売られそうになった所を人の良い冒険者に救われたのは黒歴史にも近いが。
 
 ―ま、まぁ、それはともかく。俺を助けてくれたのは何時も笑っている道化みたいな人だった。
 
 何時もニコニコと嬉しそうに笑い、子どものような無邪気さで何事にも興味を示す。一見すれば危ない薬でもやっているんじゃないかと思うような人だった。しかし、その輝くような瞳の輝きがその印象をすぐさま打ち消すだろう。クルクルとした瞳が放つ輝きには一点の曇もなく、希望や嬉しさと言った暖かな感情だけが見えるのだから。
 
 ―その人の口癖は笑顔だった。
 
 自分がこうして笑っているのは人々の笑顔が見たいから。こうして笑っていれば一人くらいは誰か笑ってくれるかもしれない。それは失笑でも何でもいい。ただ、人は笑えば幸せな気分になれる。だから、自分は笑うんだ。…おおまかにそんな事を言っていたその人の姿はキラキラと輝いていて…俺はその人に一目で魅了されたのである。
 
 ―だから、俺はその人みたいになろうとした。
 
 その場ですぐさま弟子入りした俺は持ち前の猿真似の巧さを元にその人の挙動から真似をしてみた。それがある程度、様になり始めた頃、その人と一緒にギルドに登録し、俺は晴れて冒険者になったのである。それから…俺はその人と共に多くの国を歩き、様々な事を学んだ。辛い事、悲しい事は沢山あったけれど…それでも隣に笑ってくれるこの人のようになりたくて、俺は必死にその後を着いていったのである。
 
 ―それから…俺たちはあの街に着いて……。
 
 魔物娘と人間が早くから共存する大きな大きな街。交易が盛んなだけではなくインフラの整備が他の街とは抜きん出ているその街で俺はついにその人に一人前認定された。もう俺一人で生きていけるというその人の背中を本当は追いたかったが…何時までも彼におんぶ抱っこにされている訳にはいかない。置き土産だとばかりに当分の宿を手配してくれた彼の気持ちに応えるべく、俺はその街で冒険者としての活動を始めたのだ。
 
 ―それはとても順調だった。
 
 たまたま欠員が出て飛び込みで入れた依頼。そこで顔見知りになった仲間はとても良い人で、自分たちの入った依頼に俺を誘ってくれるようになった。「登録したばかりで待ちぼうけを喰らわせられる気持ちは俺にも分かるからな」と小さな依頼でも俺を呼び、依頼料と実績を山分けしてくれたのである。そして依頼が終わった後はみんなで打ち上げを行い、酒や食事を馬鹿のように食べる日々。勿論、それは宮廷で出てくる最高級のものとは比べものにならないほどの粗悪品だ。しかし、それでも俺にとって彼らと馬鹿騒ぎをして食べる食事は最高のご馳走だったのである。
 
 ―だけど…それも長くは続かなかった。
 
 俺がその街に腰を落ち着け、冒険者としてそれなりの実力を見につけ始めた頃。あるクエストがギルドの側から提示された。ある廃坑の調査に向かった冒険者二人組が未だ戻らないのでその原因を調査してきて欲しいという内容の。ギルドから提示されたそれを俺は特に深く考えず、気軽に受けたのである。それは報酬の高さが魅力的だったのもあるが、既にそのクエストを受けている人々の中に見慣れた名前が羅列してあったからのも無関係ではない。
 
 ―コイツらと一緒なら大丈夫。
 
 そう思えるような豪華なメンバーに成功を確信した俺は鼻歌混じりに廃坑へと向かった。時折、無駄口を叩きながらのそれはとても…意外なほど順調だったのである。本来であれば、住みやすい廃坑に魔物娘の一人もいないという事に疑問を挟むべきだったのだろう。だが、その時の俺達は自分たちの実力を過信し、状況を楽観視し…そして最深部でドラゴンと出会ったのだ。
 
 ―ドラゴン。『地上の王者』とも呼ばれる最強クラスの魔物娘。
 
 その異名が持つ意味を対峙した俺は深く理解していた。心臓を冷たい手で握られ、一瞬でも動けば死ぬと思わせるその威圧感は王者…いや、覇者の名に相応しいものであろう。勿論、それを受け取るのは俺だけではない。ゆっくりと立ち上がり、俺達を威圧する中、誰もが逃げる事さえ出来ずに足を止めていたのだ。
 
 ―だけど、その中で唯一動いた男がいた。
 
 殿を任せられた冒険者。それは俺が最初に受けた依頼で一緒になった人であった。俺がギルドからクエストを受け取れるまでに実績を積む手助けをしてくれた人だったのである。その人が盾を構えながら、前へと出る姿に俺の足は勇気づけられ、動くようになった。そして、「逃げろ」と叫ぶその人の声に甘え、信じられないほどの恐怖に後押しされながら俺はその場を後にしたのである。
 
 ―その後の事はよく覚えていない。
 
 一人を犠牲にして生き残った俺たちはギルドに詳細の報告をし、解散した事だけは良く覚えている。…だが、そこから先はとても曖昧だ。自分の情けなさと不甲斐なさ。あの人のようになると思っていたにも関わらず、我先にと逃げ出した自分の失態を思い出し、酒に溺れていた日々なのは覚えている。
 
 ―そんな俺の前に一人の男が現れて…。
 
 あの日、一緒にクエストを受け、俺と一緒に逃げ帰るしかなかった男。彼は犠牲となった冒険者と一番、仲が悪く、口喧嘩ばかりしていた。だが、それはあくまで表面上の事だったのだろう。何重にも封鎖された術式の奥にドラゴンと共にいるであろう彼を助けだす算段を俺に語った。毒を持って毒を制す…いや、竜を持って竜を制すその方法は確かに彼を助けだせる唯一の手段なのかもしれない。
 
 ―だけど…俺は首を縦には振れなかった。
 
 単純に怖かったのだ。再びあのドラゴンと対峙するのが。どれだけ情けなくても良い。ただ、生き残りたいと思ってしまうあの高圧的な姿の前に立ちたくなかった。勿論…俺は彼に返し切れないほどの大恩がある。それを返さなければいけないという自覚もある。しかし、一度、魂にまで刻み込まれた恐怖には抗いがたく、首を縦には振れなかったのだ。
 
 ―そんな俺に男は失望した視線すらくれなかった。
 
 「そうか」とだけ告げたその言葉は冷たくもなかった。少しだけ残念そうではあったものの、失望の色も悲しみの感情も何も含まれてはいなかったのである。それはきっと彼もまたあの場でドラゴンに対峙し、その恐怖を知っているからこそなのだろう。それでも…彼は前へと進もうとしている。俺へと背を向けて歩き出す彼を見ながら、唐突に悔しさを覚えた。
 
 ―あの人であれば…「うはwwwwおkwwww」と二つ返事で返したはずだ。
 
 いや、それ以前に誘われるまで動かないということがありえない。行動力と決断力に溢れたあの人であれば、自分から残りのメンバーを募り、彼を救い出そうとしていた事だろう。だが、今の俺はまるで足が大地に縛り付けられたように動く気配すらない。ただ、過去を振り返って呑んだくれているだけなのだ。
 
 ―…このままじゃダメだ。
 
 そう思考を切り替えた俺は自分に出来る事を探し始めた。各地で作った自分のコネを最大限に利用し、ドラゴンへの対抗策を手に入れようとしたのである。住み慣れた街を離れ、各地を放浪する俺の努力はある国で結実した。かつてあの人に恋人を救われた魔女が俺に魔力を蓄える宝玉を与えてくれたのである。
 
 ―勿論、それはそのままであれば使いものにならない。
 
 常日頃から傍に身に付け、魔力を吸収させなければまったく効果を発揮しない。その上、その媒介となるものには並々ならぬ頑丈さが求められるのだ。結果、その宝玉を埋め込むのは必要以上に大きな大剣となり、それを常日頃から背負わなければいけないという責め苦を背負う事になる。
 
 ―その上…発動すればとてつもない痛みが襲い、反動も大きい。
 
 何せ溜め込んだ魔力で無理矢理、身体を強化して動かすのだ。腕をふるう度に筋肉が千切れ、内出血が止まらなくなってしまう。その上、限界まで酷使された筋肉は筋肉痛となり、数日の間、マトモに動けないのだ。普段から抑圧される上に使った後も悲惨な状態になるとなれば、実用レベルとは言えないだろう。
 
 ―だけど、それは確かに竜に届きうる力だった。
 
 愚鈍な大剣を鋼鉄をバターのように易々と切り裂く鋭利な刃へと変える魔術。それを振るう肉体も大幅に強化され、『勇者』と呼ばれる人々と遜色ない能力を発揮できる。魔物娘と刃を交えた事はないので分からないが、それはきっと並の魔物娘を寄せ付けないほどの強大な武器だ。これであれば、竜にも対抗出来るかもしれない、いや、もう二度と大事な仲間を見捨てないで済むかもしれない。そんな自信を取り戻した頃に受けた依頼で俺は彼女と出会った。
 
 ―凛として立つ姿は自信と自負に満ち溢れ、見下す視線には侮蔑が込められていた。
 
 だが、それは虚勢であると俺は本能的に理解した。崩れ落ちそうな身体を必死に支え、それを悟られないように他者を威嚇するようにしか思えなかったのである。それは……それはきっと彼女の姿が妹に似ていたからだろう。
 
 ―勿論、魔物娘である彼女―ファンネリアと俺の妹は似通ってはいない。
 
 誰もが美の女神に寵愛されているような美しい魔物娘とは違い、俺の妹は良くも悪くも平均的な顔つきをしていたのだから。だが、今にもちぎれてしまいそうなほどに張り詰めた糸を思わせるファンネリアの姿は死ぬ直前の妹を彷彿とさせたのだ。誰にも助けを求める事が出来ず、期待と重圧を背負い込んだまま死んでいった妹の姿に…嫌なくらいに似通っていたのである。
 
 ―だから、俺は彼女の元へと足繁く通った。
 
 本来の依頼である吸血事件の情報を集める傍ら、村の小麦引きの家を貸してもらい、毎日、食事を差し入れしに行ったのである。勿論、ヴァンパイアであるファンネリアは最初の頃はそれを拒絶した。扉の前で待ちぼうけを食らわされたのは一度や二度ではないし、口汚く罵られたのは数えきれないほどである。だが、何度も足を運ぶ内にファンネリア―いや、ファニーは少しずつ俺に心を開き、笑いかけてくれるようになったのだ。
 
 ―…そして、何より…俺の料理を美味しいと言ってくれた。
 
 忌々しい過去の象徴でもある料理を俺はそれまで積極的にしようとは思わなかった。かつて仲の良かった冒険者たちに少し振舞ったくらいでそれ以外は全て既製品の干し肉や黒パンなどで済ませていたのである。だけど…ファニーが妹に似ていたからだろうか。俺は躊躇いなく封印してきた料理の腕を振るい…そして彼女はそれを喜んでくれた。
 
 ―それが…それがどれだけ嬉しかった事か。
 
 気恥ずかしそうにはにかんで「悪くはないな」と言ってくれる彼女の姿に死んでしまった妹に認められたような気がしたのだ。勿論、それはただの錯覚でしかないと理解している。ただの鑑賞を彼女に重ねているだけで失礼にも近いと分かっているのだ。しかし…しかし、それでも俺はその愚かな行為を止められない。かつて妹の苦悩を理解せず、死へと追いやった贖罪として俺は彼女に料理を振る舞い続けたのだ。
 
 ―…その代償として自己嫌悪が俺の胸の内で膨れ上がり…。
 
 そしてある日…ついに彼女のアイデンティティを否定する言葉を口にしてしまったのだ。それがどれだけ彼女を傷つけるかと言う事を理解していたのにも関わらず、俺は彼女と妹を同一視したままそれを口にしてしまったのである。勿論、妹を彷彿とさせるくらい危うい彼女がそれを素直に受け止めてくれるはずがない。俺の迂闊な言葉で激怒したファニーは俺を屋敷の外へと追いだし、かつてのように内側へと閉じこもってしまった。
 
 ―それをこじ開ける力は勿論、俺の手にあった。
 
 魔女から授けられた竜にも及ぶ力。それがあれば幾らヴァンパイアの魔力で閉じられた屋敷と言えど突破するのは容易いだろう。だが、突破した所で彼女に何を言えるのか。勿論、勝手に妹を重ね合わせた事は謝罪するべきだ。本来であれば緩やかに進めなければいけない状況を一気に動かして彼女のトラウマに触れてしまった事には誠心誠意、謝らなければいけない事である。だが、具体的にそれをどうするべきなのか、どう誠意を示すべきなのかが俺の頭の中にはなかったのだ。
 
 ―それからとぼとぼと村の方へと帰って…。
 
 色々…本当に色々、考えた。一体、自分がどうすべきなのか、どうあるべきなのか。どうしたいのか、どうされたいのか。今まではなぁなぁで過ごしてきたそれらに一つ一つ答えを出していくのはとても苦痛だ。曖昧で居心地の良い関係のままずっと過ごしたいという欲求は俺の中にもあったのだから。
 しかし、もう俺と彼女の関係はなぁなぁでは居られなくなってしまった。良くも悪くも…俺の迂闊な発言は関係を見つめ直す必要性を訴えてきたのだから。このまま彼女に関わるか、関わるにしてもどう関わっていくべきなのか。それを考えた俺の目の前に突然、イノシシが現れて…そして……――
 
 ―…まぁ、色々あって俺は彼女の召使兼食料となっている。
 
 夜型の彼女に合わせて寝起きし、ファニーの着替えから毎日がスタートする。その後、食事として血を抜かれた後、二人で一緒に食事の準備をするのだ。それを食べた後は中庭に作った畑の耕作。朝になる前に洗濯の準備を済ませ、寝る前には彼女の湯浴みを手伝う。真水に触れると痺れて動けなくなってしまうファニーの身体を細心の注意を払いながら洗い、そして抱枕として一緒のベッドに入って就寝するのだ。
 
 ―そんな穏やかな日々を…俺はそこそこ気に入っている。
 
 俺にとって彼女が一体、どういう存在なのか答えは出ていない。だが、俺が召使兼食料になった事件の後の彼女は活き活きとしていて、かつての張り詰めたような様子がなくなった。妹と重ね合わせる理由は最早なく、彼女の傍にいる理由も――責任を取るという問題に目を瞑れば――ない。それでもこうして彼女の屋敷で生活する日々が気に入っているのはきっと……――
 
 ―…まぁ、何時の間にか惚れてたって事なんだろうなぁ…。
 
 何時からファニーに惚れていたなんていう自覚はない。思い返せば最初からのような気がするし、彼女が初めてニンニクを口にして理性を失った時のような気がする。けれど、まぁ、どっちでもきっと大差はないのだろう。大事なのは俺が彼女のことが好きで彼女もまた俺のことをとても好いてくれていると言う事だけだ。
 
 「……何だ?」
 「ううんwwwwなんでもないよwwww」
 
 そう思って彼女の事を見ているのに気付かれたのだろう。四方八方を本に囲まれた部屋の中で俺の膝の上に座る小さなお姫様は怪訝そうな口調で尋ねてきた。その手に持つ書物から目を離し、俺へと向けられる視線にはちょっとばかり不機嫌そうな色が含まれている。もしかしたら俺が考えていた事を視線から読み取ったのかもしれない。
 
 「…なんでもないって感じじゃなかったがな」
 「強いて言うならwwwwファニーちゃんがwww可愛いって事を思ってましたwwwww」
 「んなっ!!」
 
 もう何度も言っている「可愛い」の一言で彼女の顔はリンゴのように真っ赤になり、口をパクパクとさせる。そこにはかつて見た威圧的な視線もなにもない。ただ、可愛いという言葉を言われ慣れていない可愛い少女がいるだけだ。それが妙に嬉しくて、俺は彼女の小さな身体を後ろからぎゅっと抱きしめてしまう。
 
 「か、可愛いとかいきなり言うのは反則だぞ…」
 「うはwwww勝てば官軍wwwww反則上等wwwww」
 
 こんな可愛いファニーの姿が見れるのであれば、幾らでも反則をしてやる。そんなつもいで言った言葉は彼女にとって別の意味に聞こえたらしい。未だに赤さを残す頬を不機嫌そうに膨らませ、俺を悔しそうに見上げてくる。その様もまた悪戯心を擽られるような可愛らしく、庇護欲と支配欲をそそられるのだ。
 
 「お、お前は召使なんだぞ。もうちょっと主人を敬え」
 「尊敬よりも愛情が欲しい癖にwwwww強がっちゃうファニーちゃんwwwwテラモエスwwwwww」
 「…ぅー…」
 
 俺の言葉が完全に図星だったのだろう。腕の中のヴァンパイアは悔しそうに唸るだけで否定も何もしない。だが、完全に負けを認めた訳ではないのだろう。唸り声をあげながら必死で頭を回転させ、何か突破口を導きだそうとしているのが分かった。
 
 「生意気だ。召使の癖に生意気だぞ。だ、だから…今日の食事にはニンニクを混ぜる事を命じる」
 「うはwwwwおkwwwwww」
 
 数日に一度のペースで要求されるそれに俺は二つ返事で頷いた。どうやら彼女はあの一件――俺がヴァンパイアの体質を知らず、ニンニクを食事に混ぜてしまった事件――以来、ニンニクの味が癖になってしまったらしい。一つ口にすれば理性を飛ばし、俺へと襲いかかってくるのに、こうして要求するのだ。
 
 ―まぁ…俺としては可愛いファニーが見れるんで別に構わないんだけれど。
 
 理性を飛ばした彼女は普段の強がった様子とは信じられないくらいに甘えん坊でマゾヒスティックだ。舌足らずに様々な事を要求する彼女に嗜虐心と支配欲をそそられてしまう。そして、彼女もまたそれを望んでくれているのである。自然、ニンニクを食べた後は甘いセックスの時間となるのだ。
 
 ―ただ…まぁ、少しだけ問題があって……。
 
 「お腹の方はwwww大丈夫?wwww」
 「だ、大丈夫だぞ。ニンニクはお腹の子の栄養にもなるんだからな!」
 
 ―そう。彼女のお腹はふっくらと膨らんでいるのだ。
 
 運が良かったのか悪かったのか。初めの一回で彼女は見事、妊娠したのだ。魔物娘は妊娠しにくいにも関わらず、見事な百発百中っぷりに思わず頭を抱えた時期もある。だが、俺はもう彼女に逆レイプされた責任――こう書くとすごいややこしいが――を取ると決めたのだ。それが彼女だけでなく、我が子にまで対象が広がっただけと考えれば、それほど深く思い悩む必要はない。
 
 「そ、それに…精液は魔物娘の胎児が健康な子に育つ効果があるらしい。この本にもちゃんとそう書いてあるぞ」
 
 そう自信満々に手の中の本――魔物娘の育児について書かれた本を俺の方へと向ける。その自信満々な姿はもう少しで母親になるとは到底、思えない。そのお腹こそ膨らんではきた者の彼女の背丈はまだまだ小さく、十歳ちょっとの少女そのものなのだから。だが、微笑ましいその姿とは裏腹に彼女の中にしっかりと母性が根づき始めているのを俺は知っている。こうして子育ての本を読みふけっているのもその現れだ。
 
 「だ、だから、お前は召使兼食料として私の子宮に一杯精液を注ぐ義務があるんだ。お前が孕ませた子が無事に生まれてくるように毎日、セックスしないといけないんだぞ」
 「うはwwww毎日セクロスとかwwwwwファニーちゃんwwww積極的過ぎwwww」
 「お、お腹の子のためだ!!断じて私がしたいとかそういう訳じゃないぞ!!」
 
 揶揄する俺の言葉に小さなご主人様は反論の声をあげる。しかし、それが少しばかり説得力に欠けると思うのは俺が自意識過剰だからだろうか。だが、実際、彼女が理性を失っている時にはそれはもう嬉しそうに甘えてくれるのだ。ファニーの方から積極的に『お誘い』をしてくれる事も少なくないだけに彼女もまたセックスを楽しんでくれていると思う。
 
 ―まぁ…それを口にしたら怒られるんだろうが。
 
 俺を召使兼食料にした日から彼女のは少し変わった。張り詰めたような様子も消え失せ、こうして背中を預けて甘えて――彼女曰く椅子らしいが――くれる。しかし、その恥ずかしがり屋な体質までは改善されていないのだ。ニンニクを口にした時ならまだしも今の彼女にその言葉を口にすれば顔を真赤にして内股を抓られてしまうだろう。
 
 ―それもまた…幸せって奴だな。
 
 それはきっと分不相応な幸せだ。今まで多くの人を見捨ててきた俺にとっては大きすぎるほどの幸せなのだろう。だが…俺はもうそれにどっぷりと浸かってしまった。もう抜け出せないくらいに幸せの味を知ってしまったのである。この幸せを決して手放したくはない。どんな事があっても…それこそ命を掛けてでもファニーとの生活を護りたいのだ。
 
 「んっ…♥」
 
 その思いのままに彼女の身体を拘束した俺の腕に彼女は小さく声を漏らすだけで何も言わない。きっと窮屈であろうにその小さな身体を俺へと預けるだけでなく、嬉しそうに擦り寄ってくれる。まるで猫のような気ままなその姿に強い信頼感と安堵を見て取った俺の口が自然と開き、言葉を紡いだ。
 
 「好きだよ」
 「…うん…♪」
 
 ストレートに呟いたその言葉に彼女は甘く頷いてくれる。本当は返事を期待したい所だけれど、俺はまだまだファニーの『召使兼食料』だ。こうして孕ませる事には成功したものの、婿認定はされていない。ならば、ひねくれた言葉もなく、こうして素直に受け止めてくれただけでも満足しておくべきなのだろう。
 
 ―それに…まぁ…彼女の気持ちはちゃんと分かっている。
 
 セックスする度に沢山、愛の言葉を囁いてくれるのだ。今更、それを疑うはずはない。いや、そもそもプライド高いヴァンパイアがこうして背中を預けてくれている事自体がその好意の証だろう。それをより深く味わおうとするように俺は彼女の背中に顔を近づけた。そして、花の蜜のような甘い彼女の体臭を嗅ぎながら、どんな料理にニンニクを入れようかと考え……――
 
 ―そして出来上がった料理を一口食べたご主人様に押し倒され、俺はまた精液を搾り取られたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
12/01/12 20:07更新 / デュラハンの婿
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■作者メッセージ
スラマイマラスさんマジ投稿所のジェバンニ^q^
それはさておき、ヴァンパイアちゃんは一粒で二度美味しい子ですよねw
通常時のツンデレっぷりもインキュバス化してのデレデレっぷりも楽しめる素敵な魔物娘ちゃんだと思いますw
それがどうしてロリ巨乳になったのかは神の味噌汁^q^
いや、なんとなく私の中で吸血鬼ってロリ巨乳なイメージがあるのです。
本当になんとなくなんでどうしてなのかを聞かれたら困るのですがwww

さて、次回は久しぶりにデュラハンさんの予定でしたが、諸事情でリューサンになりました。
リューサンを書くことを強いられているんだ!!(集中線)←
デレエロお姉さんなリューサンをちゃんと書けるかどうかは分かりませんが頑張りますw

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