連載小説
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もし、誠示郎が一ツ葉を本家へ連れて行かなかったら?
 「それでは…私は一足先に本家の方で待っていますわ。…姉様、お邪魔して申し訳ありません」
 
 そう言いながら、少し頭を下げて、三ツ葉の姿は消えました。恐らく術を使って高速で移動したのでしょう。念の為に屋敷中に妖力を張り巡らせ、何処かに隠れていないか確認してみましたが、影も形もありません。…正直、素直に三ツ葉を送り出せる自信が無かったので、こうして消えてくれて私は何処か安心した気持ちになってしまいました。
 
 ―そして…そんな私の気持ちを分かっているからこその去り際の言葉だったのでしょう。
 
 三ツ葉は私などよりも遥かに聡い子です。人の気持ちに敏感で、昔から優しい子でした。その分、怒ると怖いのは昔から変わりませんが…それはさておき。そんな三ツ葉が私の気持ちに気づかないはずがありません。恐らくは、ご主人様に成長を促した事を私が嫉妬している事にも気づいているでしょう。だからこそ、三ツ葉は術を使ってまで遠ざかり、そして謝罪の言葉を残したのだと…私はそう思います。
 
 「…一ツ葉。…そう言う事だ」
 「…えぇ。分かっています」
 
 ご主人様のその言葉に私はそっとご主人様から身体を離しました。逞しくて…全てを委ねたくなるご主人様の胸から離れるのはとても辛い事ですが、これから本家へと向かわなければいけないご主人様の邪魔をする訳にはいかないのです。…しかし、そんな気持ちがあっても冬の寒さは耐え難いものでした。ご主人様に抱きしめられる前まではなんでもなかったその寒さが、離れた今では極寒の大地に放り出されたように感じるのです。今すぐご主人様の胸に抱きしめてもらいたいと言う欲求さえ湧き上がりますが、それは矜恃と理性が捻じ伏せました。
 
 ―それに私自身も準備をしなければ参りません。
 
 ご主人様が本家に向かうのであれば私も共に向かうのが筋でしょう。だって、私はご主人様の使役狐なのですから。ご主人様の命以外でお傍を離れるわけにはいきません。お話がどれだけ長くなるかは分かりませんが、その間、屋敷には人払いの結界を張っておけば良いだけですし、毎日、丹念に手入れしている屋敷は数日空けた程度では問題は無いのですから。無論、帰ってきたときには大掛かりな掃除が必要になってしまいますが、年末年始も本家で過ごして、三が日が過ぎてから帰ってきていますし、私にとっては何時もの事でもあるのです。
 
 ―何より…浜風さんよりも私の方が早いです。
 
 五年前、ご主人様と共にやって来たその雌馬は未だに来た時と同じ力強さを持っていますが、術を使った使役狐には勝てません。ご主人様を背に負ぶって走る形になるので、人前には出られず、林の中を駆ける事になりますが私であれば数時間程度で本家までたどり着けるのです。無論、年末年始など複数日を過ごさなければいけないと分かっているのであればそこそこの荷物も必要ですし、浜風さんに乗って移動しますが今回は荷物は特に必要ありません。逆に言えば、一分一秒を争う形でもないのですが、多忙なご主人様が移動にかける時間と言うのは少ないほうが良いでしょう。そして、私はその為の準備を――さっきの接吻で…その愛液に塗れた着物の着替えやご主人様の着物の準備など色々あるのです――しようと口を開きました。
 
 「それでは私も準備を…」
 「いや、一ツ葉はここに居てくれ」
 「……え……?」
 
 ―だからこそ、ご主人様のその言葉は私にとって意外なものでした。
 
 だって、そんな…有り得るはずがないのです。冷静に考えても私が傍に居たほうがいいでしょう。だって…これから乗り込むのはご主人様がさっき反意をはっきりと示した頭首の居城なのですから。ただ、命令を拒否するだけなので命の危険は少ないと思いますが、鉄血と言う二つ名さえ着けられた源重郎様が何をしてくるかは分かりません。何かしらの危害を加えられない為にも、私が傍に居た方が都合が良い筈です。
 
 ―それなのに…どうして……?
 
 冬の寒さがまるで隙間風のように私の心の中へと入り込んできます。身を切るような冷たいそれは心の中で荒れ狂い恐怖の感情へと変わります。だって…私はこの五年間…一日たりともご主人様のお傍を離れたことがなかったのですから。市井に出かけられている時だって、お傍に着いていられる時はそうしていました。それをご主人様も恥ずかしそうにしながらも、何も言わず受け入れてくれていたのです。それなのに…いきなり突き放すようにその言葉を与えられ…私の中にずっとあった「何時か捨てられるのではないか」と言う感情が再燃したのでした。
 
 「あの男の事だ。自分の命を聞かせるために何をさせるかは分からない。それに…一ツ葉を巻き込みたくは無いんだ」
 「でしたら、尚更の事!」
 「それに…あまり一ツ葉には聞かせたくない類の話でもある。……私自身の我侭で申し訳ないが…頼む」
 
 ―苦渋の表情を顔に浮かべるご主人様の姿に…何も言える言葉が思いつきません。
 
 だって…頼む、だなんて言われてしまえば…使役狐としては従うしかないのです。まるで突き放すようなご主人様の言葉には納得が出来ませんし、しようとも思えません。だって…巻き込みたくは無いなんて…そんな無関係な言い方されたくはなかったのです。私は誰よりもご主人様の味方で、ご主人様の為ならば命を捨てる覚悟さえ出来ているのですから。
 
 ―それなのに…巻き込みたくない…聞かせたくないだなんて……。
 
 一心同体とまでは言いません。しかし…何でも相談されるような関係は築けていると思っていました。しかし、ご主人様は私にそれをひた隠しにして、無関係のような言い方をするのです。無論、そこにはご主人様なりの苦悩やお考えがあるのでしょう。その程度は私にだって分かります。けれど…けれど、それで感情が納得できるかといえば、決してそうではないのでした。
 
 「…分かり…ました……」
 
 ―無理矢理、搾り出したようなその声には明らかに苦悩の色が混じっていました。
 
 勤めて普通にそう返そうとしましたが、私の身体は中々、言う事を聞いてくれません。心の中で吹き荒れる恐怖や悲しさと言った感情の所為か、何処か声が震えてしまうのです。それを自覚した瞬間、私の肩が震えていることにも気づきました。…いえ、肩だけではありません。捨てられるのではないかと言う恐怖が足や腕も震わせていたのです。まるで全身を震わせるような衝動は、私自身では決して制御する事が出来ません。それどころか、抑えようとすればするほど制御出来ない自分が情けなくて涙さえ湧き上がってきそうになるのでした。
 
 ―いけない…っ!こんな姿をご主人様に見せては…いけない…っ!!
 
 無論、被虐的な快感をご主人様によって教え込まれた私は、淫らであったり情けない姿を誠示朗様に見せるのは大好きです。それだけで快楽を感じて、頭の中で淫らな事で一杯になってしまいそうなくらい好きなのです。しかし…それでも例外と言うのは存在するのでした。ご主人様がそんな私の姿を見て、心を痛めないものでなければ…私自身の悦びには決して繋がらないのです。だからこそ、私は溢れそうになる涙を隠すようにそっと後ろを向くのでした。
 
 ―それは使役狐としてはあるまじき行為なのかもしれません。
 
 しかし、それでもご主人様が胸を痛められるよりは遥かにマシなはずです。私にとって、ちっぽけな使役狐としての矜恃などよりもご主人様の方が大事なのですから。矜恃とご主人様のどちらを取るかと聞かれれば…いえ、命とご主人様のどちらが大事かと聞かれても、私は迷い無く後者と答えるでしょう。
 
 「そ、それでは…わ、私は仕事に…も、どりますね…っ」
 「あっ……」
 
 震える声で必死に告げながら私はそっと駆け出しました。その背にご主人様の戸惑うような声が掛かりましたが、それに振り返る余裕はありません。だって、私の目尻からはもう涙が溢れていて、止まらないのです。悲しみや恐怖と言った感情が胸の中で渦を巻いて、際限無く湧き上がるような涙をご主人様に見せる訳にもいかず、私はそのまま、ご主人様から逃げ出すように居間から出て行ったのでした。
 
 
 
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
 
 
 
 ―それから、ご主人様と顔を合わせる事も無いまま、夜を迎えてしまいました。
 
 ご主人様はあれからすぐに浜風さんに馬具を着けて出て行かれたようです。無論…それのお見送りもしてはいません。ずっと止まらなかった涙で汚れた顔のまま…ご主人様の前には立ちたくなかったのです。
 
 ―…こんなの始めて……。
 
 ご主人様をお見送りしなかった事もそうですが…ご主人様の気配が完全に無い屋敷中が灰色にさえ見えるのでした。無論、五年という共同生活の中でご主人様が市井に出かけているのにお供出来なかった事と言うのは数え切れないほどあります。しかし…未だ心の中では恐怖や悲しみが猛威を振るっている所為でしょうか。ついほんの数時間前までここにいたはずのご主人様の気配さえ…私は見出すことが出来ないのです。
 
 ―あぁ…それに……なんて味気無い…。
 
 ご主人様の為に作らない料理も、屋敷を掃除すると言う行為も、呼吸をすることさえ味気無く感じてしまうのです。まるで無味無臭の世界へと放り込まれたような錯覚さえしました。ご主人様に…少し突き放されて、傍に居ないと言うだけで…私の世界は本当に一変してしまったのです。
 
 ―お昼まではあんなに楽しかったのに……。
 
 その楽しかった朝や昼の事を思い返そうともしますが…どうにも上手くいきません。何時もと比べて思考さえ纏まらず、何処か杜撰なものになっているのです。楽しかった思い出に浸ることも出来ず、思わず自嘲の笑みを浮かべた瞬間、洗い物を拭いていた私の手から一枚の皿が滑り落ちて割れてしまいました。
 
 ―あ……っ………。
 
 漆が塗られ艶やかに黒光りしていたその皿は…私とご主人様が一緒に買った思い出の品でした。一緒に市井を回り、鮮やかな桜模様が気に入った私にご主人様が買い与えてくれたのです。震える手でゆっくりとそれを拾い上げてみますが、完全に砕けてしまったその皿には…美しかった桜模様が何一つ残っては居ませんでした。思い出の品と同時に…私の中の思い出まで砕けてしまったような痛みが胸に走り、私の目尻からまた涙を溢れさせるのです。
 
 ―あぁ…っ…ご、ごめんなさいご主人様…っ!!
 
 そう心の中で思っても、謝るべきお方はここにはいません。何時もであればすぐ傍に居るのに…今は言葉も届かないような遠くて…手が届かない場所におられるのです。無論、私だって使役狐ですから、本家へと行こうと思えばものの数時間で到着出来るでしょう。しかし…私はご主人様に、ここに居ろ、と言われたのです。その短い言葉を思い返す度に、本家へ向かう気持ちが失せてしまうのでした。
 
 ―今すぐ…今すぐご主人様に会いたい……っ!
 
 しかし、そうは思っても、ご主人様の言いつけを破るわけには参りません。結局、私に出来る事と言えば、ここでご主人様を待つことだけなのです。それは…それは分かっています。けれど…この五年間、これだけの距離を、そしてこれだけの時間、離れていた事が無かったのでした。自分自身でも堪え性の無いと思うのですが…それでも…今すぐご主人様に会いたいと思う気持ちを抑えることが出来ないのです。
 
 ―でも……でも、ご主人様の言いつけを破るわけには……。
 
 ご主人様が言われていた事が本当に真意なのか…それともただ単に私が邪魔であったのか…それさえも今の私には分かりませんが、それでもご主人様の命を破る訳にはいかないのです。しかし…私の中にはご主人様に今すぐ抱きしめてもらいたいと…安心させて欲しいと言う欲求が確かに存在しました。その相反する二つの感情が私の中でぶつかり合い、思考さえままなりません。杜撰な思考をずっと堂々巡りさせ、何時もやっている家事でも失敗ばかりです。今もこうして皿を割ってしまいましたが…それ以前にも棚を倒しそうになったり、何も無いところで転んでしまったりと…普段では考えられないような事ばかりしていたのでした。
 
 ―あぁ…私……私…ご主人様ぁ…っ!
 
 溢れた涙を拭う気にもなれず、私は皿を拾ったままの体勢で立ち尽くしました。頭の中はご主人様に愛したい気持ちと言いつけを守ろうと言う思考がずっと戦っていて、次にやるべき事さえも思いつかないのです。思考も身体も堂々巡りの中に堕ちてしまった私は完全に固まってしまっていました。
 
 ―ご主人様がお傍に居ないだけで…私…私、こんなに駄目な子なんです…!
 
 それは昔の私では考えられない事です。ご主人様と出会う前の私は誰にも執着せず、只管、自分を磨き上げる事だけを考えてきたのですから。しかし…今はそんな磨き上げた能力が何一つとして使えないのです。普段であれば何でもない洗い物一つマトモに出来ません。ご主人様に出会ってからずっとお傍に仕えさせて頂く幸せに慣れきっていたのでしょう。その幸せを無くしてしまった今の私は…昔よりも遥かに無力で、情けない女です。
 
 ―ご主人様ぁ…会いたいです…私…ご主人様に仕えさせて頂かないと…っ。
 
 心の中で吹き荒れるような悲しみと喪失感は止まりません。さらにその上に…もしかしたらご主人様に捨てられたのではないかと言う恐怖まで加わるのですから普通で居られるはずがありませんでした。だって…ご主人様が私に必死に見せないようにする事なんて…それこそ私が傷つく事くらいでしょう。
 
 ―例えば…私ではなく新しい使役狐を迎えろ…とか…由緒ある人間の女性と結婚しろ…とか……。
 
 そう考えるだけでぎゅっと心臓を鷲掴みにされるような感覚を感じるのでした。無論…ご主人様はそれを断る為に出かけたと言う事は百も承知しています。まさか私を騙してご主人様が内々に新しい使役狐や奥方様を迎えようとしているだなんてそんな事は思っては居ません。しかし…相手は源重郎様なのです。新加茂の歴史も中で最も有能で、最も意思の硬いと呼ばれる男性を説得しなければいけません。私も何度から遠くから源重郎様の顔を見たことがありますが…何処かご主人様に似た顔を鋼のような雰囲気で包んでおられる男性でした。無論、私はそんな男性であろうとご主人様は必ず説得してくださると信じています。しかし……同行しようとする私を突き放したご主人様の真意がどうにも分からず…捨てられてしまうかもしれないと言う恐怖と不信感を拭い去ることが出来ないのでした。
 
 ―あぁ…私…私…ぃ…ご主人様ぁ……っ。
 
 抑えきれない衝動のまま、私は割れたままのお皿をそっと手放して立ち上がりました。しかし、私自身、その衝動が何をしようとしているのか分かりません。名前も付けられないその強い衝動に突き動かされるまま、私の足は台所を発って、屋敷中を這い回るのです。
 
 「ご主人様ぁ……ご主人様、何処ですかぁ……」
 
 そんな私の呼びかけに答える人は勿論、居ません。だって…本来ならばこの屋敷にいるべきで…私が世界で唯一、主と崇めるお方は本家にいるのですから。三ツ葉が組んだ人払いの結界はそのままにしておりますし、ご主人様が出て行った後は門を締め切ってしまったので、この屋敷に入ってくる人もいないでしょう。つまり…私のその呼びかけは決して誰にも届かないのです。しかし…しかし、それでも私はその言葉を吐き出さずにはいられませんでした。
 
 「ご主人様ぁ…何処に居るんですかぁ…。返事を…返事をしてください…ぃ」
 
 そう言いながら灰色の視界を回してご主人様の姿を探しますが…それでもやっぱり誠示朗様の姿は見えません。…いえ、見えるはずも無いのです。私だってご主人様がここに居ない事くらいは分かっているのですから。どれだけご主人様が急いでも本家へと着くのは夜になります。そこから源重郎様へ会う約束を取り付けて、話が出来るようになるには一日くらい必要になるでしょう。そして話し合いが始まっても、それがすぐに決着がつくとは思えません。すぐに決着がついたとしても…ご主人様が帰ってくるのは三日後くらいになるでしょう。話が長引けば一週間…それさえも上手くいかなければ一生、会えないかもしれないのですから。ご主人様が出て行って半日も経っていないこの時間にご主人様が屋敷にいるはずはありません。
 
 ―でも…私…私はぁ……!
 
 自分自身でも説明できない感情のまま、私は屋敷中を見て回ります。ご主人様が「良い湯加減だな」と褒めてくれたお風呂も…ご主人様と一緒に市井へと出かけて手に入れた調度品で飾った客間も、ご主人様が何時も執務をされていて、お茶を入れると「有難う」と微笑んでくださる書斎も、つい昼までご主人様が座って私を抱きしめてくださっていた居間も…ご主人様と一緒に整理した蔵も、ご主人様が可愛がっている浜風さんが繋がれていた厩も、全部、全部見て回りました。しかし、しかし、何処にもご主人様の姿が見えません。影も形も無いのです。ご主人様がいた形跡は屋敷中にあるはずなのに…ご主人様の気配も影も形も無く、世界から消えてしまったようでした。
 
 ―あぁ……ご主人様が何処にもいません…。私の傍にご主人様が…。
 
 屋敷中を駆け巡った私がようやくそれを受け入れようとした時、まだ探していない場所を思い出しました。…いえ、それは意図的に避けていたと言った方がいいでしょう。だって、『そこ』はご主人様を探すのであれば、いの一番に向かっているはずなのですから。しかし、それでも足が向かわなかったと言うのは…『そこ』にご主人様がいなければ…本当に壊れてしまいそうだったからなのかもしれません。しかし…ご主人様を求める私の心は留まらず、ゆっくりと『そこ』へ…ご主人様と私が使う寝室へと足を向けたのです。
 
 ―あそこならご主人様が…きっといてくれるはず…。
 
 そこは私にとって聖域と言っても良いかも知れません。だって…そこはご主人様と私の愛の巣なのですから。時期にも寄りますが、多くの人が訪れるこの屋敷は私にとって家ではありますが、ご主人様との愛の巣ではありません。お互いに時間が中々取りづらい私達の交わりは自然と夜の…それも寝る前に限られているのですから。無論、その舞台となる寝室は、ご主人様と私以外は入るのを拒みたい程の大事な大事な部屋であったのです。
 
 ―しかし…寝室の襖を開けた私が見たのは…無人の部屋の中央にぽつんとしいてある一組の布団だけでした。
 
 思わず二度三度、左右を確認しますがご主人様の姿は見えません。見えるのはご主人様が「後回しにすれば良い。今は貯蓄も大事だ」と言って、殺風景なままの寝室だけです。一歩踏み出し寝室の中へと入ってみますが…何も変わりません。何処か冬の空気に冷え込んだ…冷たい冷たい部屋のままでした。
 
 ―…あぁ…っ…ご主人様ぁ…!
 
 突きつけられた現実に私の足はがくっと崩れ落ちてしまいました。その私を飲み込むように襲うのは、まるで世界に一人だけしかいない孤独感です。…いえ、それはあながち間違いではないのでしょう。ご主人様に身も心も捧げた私にとって、ご主人様がいない世界なんて余り意味が無いのです。無論……本当にご主人様がいないわけではありません。すぐ手の届く場所では無いにせよ、ご主人様は存命で会えないわけではないのですから。しかし、お傍に居ることを禁じられた私にとって距離は余り問題ではないのです。ご主人様の言葉一つで私は味気の無い灰色で孤独な世界に叩き落されたように感じるのでした。
 
 ―…寒い…。寒いです……。…ご主人様ぁ…!
 
 そして、その孤独感と共に例えようもない寒さが私の身体に吹き込んでくるようでした。無論、今の季節は冬なので、気温はその他に比べれば下がっているでしょう。しかし、それでも今までは我慢できないものではなかったのです。確かに朝の寒さは布団から出るのを戸惑うほど強いものでしたが、それでもご主人様の為に動き回っていれば心も身体も暖かかったのですから。しかし、そのご主人様が一度、傍に居なくなってしまえば…私の身体に凍りついた風が一気に吹き込んでいるように感じるのです。
 
 ―そんな…私の目の前には一組の布団があります。
 
 そこは何時もご主人様と素敵な交歓を楽しんでいる場所です。ご主人様の手が私の身体を這い、とっても気持ち良くして下さるのと同時に…たっぷりと淫らに辱めてくださる場所なのです。私が身も心もご主人様に捧げて、愛してると何度も囁いてくださった場所に…感じた事の無い寒さに震える私の足は自然と引き寄せられていくのでした。
 
 ―ご主人様……っご主人様ぁ……。
 
 そう心の中でご主人様を呼びながら、その温もりを探している私の手がそっと掛け布団に触れます。朝までご主人様が入っていて…暖かかったその布団には今はもう完全に冷め切ってしまっていました。何時も愛し…愛されている場所にもご主人様の気配が無い…その感覚に私を包む冷たさはさらに膨れ上がっていくのです。まるで身体中が凍り付いてしまいそうな錯覚さえ覚えるその寒さに押されるように私は布団の中へと入り込みました。
 
 ―…あぁ…ここも……。
 
 しかし、布団の中に入り込んでもまったく暖まる気配がありません。それも当然でしょう。私が感じている寒さは…現実の冬の寒さではなく、心から吹き荒れてくる感情の冷たさなのですから。それに捕まってしまった私は…もはや並大抵では暖まりません。こうして布団の中へ入り込んでも、恐らくお風呂へと入ったとしても…火に飛び込んでも、私の身体に吹き込むような冷たさは収まらないでしょう。そんな直接的な熱さよりもご主人様の言葉一つ、抱擁一つの方が、よっぽど効果的なのです。
 
 ―でも…ご主人様の淫らな匂いで…一杯……。
 
 私の聖域の中心でもあるその一組の布団の中にはご主人様の精液や汗の匂いがたっぷりと染み込んでいます。夜も朝も毎日、たっぷりとそこでご主人様に御奉仕していたのですから当然でしょう。しかし、私にとってそれはようやく見つけたご主人様の気配でした。ようやく掴んだご主人様の一端に…私の心は少しだけ…ほんの少しだけ暖かくなります。
 
 ―あぁ…♪で……でも……ぉ…っ♪
 
 しかし、ご主人様の気配を感じた所で、根本的な解決には至っていません。少しだけ…少しだけ気持ちが楽になりましたが、それだけで、ご主人様欠乏症とも言うべき症状はまったく治まってはいないのですから。さらにそこへ追い討ちをかけるように…染み付いた…その……交わりの匂いが私のメスの本能を否応無く刺激するのです。ご主人様が居ないのにも関わらず、節操無く発情しようとする本能を抑えようとしますが…本性はケダモノの所為か、中々、上手くいきません。
 
 ―だ、駄目なのに…触っちゃ…駄目なのに……っ♪
 
 しかし、そうは思っても私の腕はそっと胸の方へと伸びていくのです。寒さの所為か震えるその手は着物越しにそっと私の胸に触れました。それは薄絹が擦れたようななんでもない刺激だったのでしょう。しかし、ご主人様の手で開発された私の淫らな胸はそんな刺激だけでも甘い痺れを走らせるのです。
 
 「ふ…あぁ…っ♪」
 
 思わず漏れる甘い声に顔を赤く染めながら、私は胸から手を離しました。だって…私の身体はご主人様の物なのです。ご主人様に育てていただいたお陰でさらに淫らになった胸も、ご主人様の精液を頂く為にあるお口も、ご主人様を少しでも興奮させる為に大きくなったお尻も…そしてご主人様に気持ち良くなっていただくための秘所と、ご主人様の子供を孕む為の子宮も…全部が全部、ご主人様に捧げている物なのですから。それは決して勝手に触って良いものではありません。ご主人様に喜んでいただくために、目の前で実演しているならともかく…自分の欲望を満たす為にこんなことは決して赦されないでしょう。
 
 ―で、でも…私……はぁ…っ♪
 
 しかし、一度、火が点いたメスの本能は中々、止まりません。さっき着物越しに触れた部分が未だにじくじくと甘く疼いて、もっと強い刺激を求めているのです。それに惹かれるように私の両手は再び自分の胸へとそっと伸びていくのでした。それを理性や矜恃が必死で止めようとしていますが…ご主人様がお傍に居ない今、それらの力はとても弱いものなのです。結局、伸びた腕は止まらず、そのまま私の胸に触れました。
 
 「あふぁっ……♪」
 
 思わずそんな声が漏れてしまうくらいそれは気持ち良い感覚でした。この五年間でご主人様に愛され続けた私の身体はもう胸だけで連続絶頂出来るくらいなのですから当然でしょう。そんな淫らな私の胸は五年前と比べてもさらに大きくなっていました。かつては小さめの西瓜程度の大きさだったのが、今では西瓜そのものな大きさにまで育っているのですから。さらに、オスのゴツゴツした手を受け入れる為により柔らかく、けれど形を崩さない強い張りも持っているのです。力を込めれば込めた分だけ、指を引きずり込むような胸の感覚は自分の事ながら、とても淫らでありました。
 
 ―あぁ…っ♪でも…でも、足りない……っ!!
 
 しかし、淫らな胸から快楽がどれだけ注ぎ込まれても私の本能は決して満足しないのです。だって…自分の指で触れる感覚とご主人様に触っていただく快感は、天と地ほどの差があるのですから。ご主人様が相手であれば、着物越しに揉みしだかれただけで腰が砕けてしまうのに…私が触れるだけではじりじりとした甘い痺れになるだけなのです。無論、それはとても気持ち良い快感です。しかし…ご主人様に愛してもらう事に慣れてしまった私にとって、それは焦らされているようにも感じるのでした。
 
 「はぁ…♪はぁぁ…っ♪…もっと…もっと欲しい…ご主人様欲しいですぅ……っ♪」
 
 無意識にご主人様の事を呼びながら、私は右手を胸の下へと回します。そのまま外周部をそっと撫でる様に胸を愛撫していくのでした。布団の中で胎児のように横たわる私の胸は重力に惹かれて布団の上に落ちているので、それを持ち上げるように撫でる形です。右手にずっしりとした乳肉が圧し掛かる感覚を感じますが、強く触れ合ったそこからは下腹部へ、トロトロと堕ちていく快楽が生み出されているのでした。
 
 ―あぁ…右だけじゃ…満足できませんンっ♪
 
 そして左手は乳輪周りを掴むように指でそっと周りを撫でていくのでした。一回一回、乳輪を引っ張って、敏感なそこをさわさわと愛撫するのはご主人様がよくやってくださる愛し方です。しかし…ご主人様の愛撫を模倣しても、決してそれには届きません。ご主人様にして頂くと…愛液が子宮からドロリと噴き出して、ゾクゾクとした被虐的な快感を感じるのに…自分でするとじくじくと染みこんで来る様な疼きにしかならないのです。無論…右手から必死に注ぎ込む快楽を加えても、こんな程度じゃ満足できません。
 
 ―でも…でも…これ以上…はぁ…っ♪
 
 完全に発情していますが、着物の上からであればまだ偶然と自分を誤魔化す事が出来るのです。しかし…しかし、もし、直接触れてしまったらそれはもう言い訳が聞きません。ご主人様の為に働く使役狐ではなく…自分自身の欲望を見たす為に慰めたただのケダモノに堕ちてしまうのですから。そんな私がご主人様のお傍に立つ資格はきっと無いでしょう。
 
 ―それに…これ以上しても……満足できる保障なんて…ありません…から。
 
 触れても触れても、どうしても頭の中でご主人様から頂く快楽と比べてしまい、どうにも焦らされるように感じてしまうのです。それはきっとこれからも変わらないでしょう。多分、何処を触れても同じのはずです。ですから…我慢するならばここしかありません。もし、この一線を越えてしまえば…それこそ私は止まらなくなってしまうでしょう。きっとご主人様に捧げた身体を浅ましく乱れさせるメス狐にまで堕ちてしまうのです。
 
 ―だから…だからぁ…♪こ、ここで…ぇ♪
 
 しかし、そう思って必死で我慢しようとする私の手は止まりません。寧ろより激しく快楽を貪ろうと手の動きを早くしていくのです。自然、より強く擦れる着物からビリビリとした快感が走り、子宮へと熱を溜まらせていくのでした。しかし、朝のときとは違い、その熱は余りにも小さすぎるのです。どれだけ強く撫でても、指を胸へと飲み込ませても、快楽を満たす器の底に穴が開いているように流れ落ちていくだけでした。
 
 「あぁ…っ♪こんな…ご、ご主人様ぁ……っ♪」
 
 恥ずかしい話ではありますが……その……私だって、自慰の経験くらいはあります。人並みに性欲を持っていた私は、ご主人様に出会う前まで何度かまだ見ぬ主を夢見て自分を慰めていたのですから。…ま、まぁ、一時期、一日の間に三回自慰したりして…強い性欲に自己嫌悪に陥った事もありますが…それはまぁ、ともかく。しかし、その時は自分の指で十二分に気持ち良かった筈なのです。少なくとも…快楽を得ても絶頂へと登りつめられないようなもどかしい感覚はありませんでした。
 
 ―あぁ…♪私…もうご主人様じゃないと駄目なんですね…っ♪
 
 自分の指ではどう頑張っても快楽を得ることは出来ない…それは私にとってある意味、拷問でもあり、ある意味、とても嬉しい事でもありました。だって、私はそれだけご主人様を求め、欲し、依存しているようにも見えるくらい身も心も捧げていると言う事なのです。それは、使役狐として…とても嬉しい事でした。しかし…快楽を求めるメスの本能は、まるで苦しみ悶えているように私の子宮の中で暴れ狂っているのです。それを…私はもう抑える事が出来ませんでした。
 
 ―ご主人様ぁ…ご、ごめんなさい…っ♪わ、私もう……堕ちちゃいますぅ…っ♪
 
 「あはあぁっ♪気持ち良いっ直接お胸触るの気持ち良いですううっ♪」
 
 より快楽を貪ろうとする私の両手が着物を肌蹴させ、ついにその内部へと入り込んでしまいました。そこにもはや遠慮のようなものはありません。自分自身の身体と言うのも無論、無関係ではないでしょうが…完全にメス狐へと堕ちた私の思考がそれを後押ししているのです。そこに快楽を巡る駆け引きなんて存在しません。ただ、本能のままに最高の悦楽を求めて私の両手は、一番、感じる部分…つまり既に硬く勃起している乳首へと襲い掛かるのでした。
 
 「んあぁっ♪乳首素敵ぃっ♪コリコリって指の間で擦るの良いですぅっ♪」
 
 そのまま私の親指と人差し指の間で、乳首を摘み、軽く力を入れて弄びました。独特の硬さと柔らかさを持つそこが私の手の間で、転がされる度に子宮へと突き刺さるような快楽を感じます。ご主人様に毎晩愛していただいているのに、未だ鮮やかな桜色を保つそこは、軽く転がされる度にもっともっとと自己主張して大きくなっていくようでした。そして、肥大した分、私の指の間でより強く挟まれる事になり、全身に強い快楽を走らせます。
 
 ―でも……でもぉ……ッ♪
 
 「で、でも足りないんですぅ♪ご主人様が欲しくて、きゅんきゅん子宮疼いて大人しくしてくれないんですぅっ♪乳首も…乳首もご主人様じゃないと駄目なんですううっ♪」
 
 無論、乳首から走る電流のような快楽は気持ち良いものです。ご主人様と出会う前であれば、それだけで絶頂していてもおかしくないくらいの快楽の量だったのですから。しかし…今の私にとってそれは余りにも味気なくて小さな快楽なのです。まるで子宮が「こんな快楽が欲しいんじゃない」と主張するように、身体中に走る快楽は私の中には残りません。通った後に甘い疼きと、欲求不満だけを残して去っていくのです。
 
 「やああっ♪誠示朗様ぁっ♪誠示朗様ぁぁぁっ♪」
 
 ご主人様の名前を必死に呼びながら、私はぎゅっと強く乳首を押し潰します。痛みさえ感じかねない強い感覚に身体中が固まり、再び強い快感を走らせますが…それもまた私からすぐ出て行くのでした。後に残るのは相変わらず…欲求不満に喘ぐ私の肢体だけです。
 
 ―ご主人様がしてくださる時は…これだけでイけるのにぃぃっ♪
 
 ぎゅっと乳首を押し潰す乱暴な愛撫をご主人様がしてくださるだけで…私の淫らな身体はすぐに絶頂してしまうのです。そのままぐりぐりと捏ね繰り回されれば、連続で何度でもイッてしまう淫らな身体のはずなのです。しかし…しかし、ご主人様ではなく、私自身がしていると言うだけで…それは余りにも味気無い代物になっていました。ただ、気持ち良いだけで身体に残らない愛撫に堕ちてしまっているのです。それがまた愛撫の激しさを加速させるのでした。
 
 「乳首をぉっ♪乳首シコシコしてもイけないんですぅっ♪いやぁぁっ♪こんな…こんなの嫌ぁぁっ♪」
 
 しかし、どれだけ嫌と言っても私自身による私への愛撫は止まりません。本当は…本当はここで止めるべきなのです。だって、もうどれだけ進んでも満足出来ないのは身をもって理解しているのですから。恐らく乳首よりも敏感な秘所を弄ったところで私はきっと絶頂へと達することはないでしょう。快楽を溜めて登りつめる為の子宮の底が空いているのですから、どんな強い快感も無意味なのです。しかし、堪えきれない絶頂への欲求がそんな理解を全て吹き飛ばしていくのでした。
 
 ―あぁ…っ♪な…なんて…なんて浅ましい姿なんでしょう……っ♪
 
 理性で性欲一つ制御できず…こうして布団の中でご主人様の残り香に包まれながらも決してイけない姿は、まさにケダモノそのものでしょう。使役狐としての矜恃も無く、女として当然持つべき慎みも無く、ただ絶頂を求める本能だけのメスの姿なのですから。しかし、布団の中で身悶えしながらご主人様の名前を必死で呼んでも、押し潰した乳首をグリグリと指の間で弄んでも、決して絶頂には届かないのです。どれだけ求めても、決してそれが手に入らない状況は…かつて私が妖力を求めていた頃を彷彿とさせるのでした。
 
 「ひゃうううっ♪らめぇぇっ♪イきたいのっ♪イきたいのっ♪イきたいのっ♪ご主人様にイかせて欲しいのぉおっ♪」
 
 一心不乱に絶頂を求めて、私は乱暴に胸を弄り倒します。思いっきり乳首を引っ張ってグリグリと乳首を苛める愛撫は、ご主人様だってやらない強い…いえ、強すぎるものです。無論、その乳首から伝わる痛みと快楽が半分ずつ背筋に刺さるような感覚は、被虐的な快楽を呼び起こしました。背筋に鳥肌を浮かべるようなそれは背筋を伝って頭へと流れ込み、もっと淫らな事しか考えられなくするのです。
 
 ―この乳首を…もし…私のお口の中に含んだら…♪
 
 ご主人様に愛して頂く場合であれば、乳首をお口で苛めて頂くのはたっぷりと指で弄って絶頂させられた後になります。女芯までたっぷり蕩けて、もうすぐにでもご主人様の剛直を頂きたい私をまだ焦らす為に、たっぷりと乳首を舌と唇で苛められるのですから。それは指とはまた違った強い快楽で…私は何度も、腰を浮かせてご主人様にイかせられてしまうのです。無論…自分でやるには少しばかり胸の大きさと身体の柔らかさが必要ですが…どちらもご主人様にたっぷり開発していただいた私には無理ではないでしょう。
 
 ―あぁ…っ♪も、もう…我慢できない…っ♪
 
 一度、思いついた淫らな妄想を、ただのメス狐と化した私が我慢できるはずがありません。すぐさま、それを実行しようと左手で胸を下から一気に持ち上げるのです。たっぷりとした肉感を伴った大きな胸が左手にずっしり圧し掛かりますが、持ち上げられないほどではありません。指の間から落ちていくようなぷにぷにとした感覚にさえ愛液を染み出させながら、私はそっとそれを口元に近づけて、乳首を唇で挟み込みました。
 
 「んきゅううっ♪ひゅぁ♪……あぁっ♪」
 
 胸から生まれたその快楽はまるで熱のようでした。じわじわと広がっていくそれは、さっきまで強く弄っていた乳首をまるで癒してくれるようです。薄く汗を浮かばせた胸や背筋をそっと温めてくれるような優しい快楽は…乱暴なそれとの落差の所為かとても気持ちよく感じるのでした。自然、私はそれをもっと感じようと舌を突き出して、固定した乳首を舌先でグリグリと苛め始めるのです。
 
 ―気持ち良い…っ♪おっぱい気持ち良いですぅ…♪じわじわ来て気持ち良いんですよぉご主人様ぁ…っ♪でも…でもぉ……っ♪
 
 まるで快楽を受け入れる準備を整えてくれるその優しい快感もまた私の中には残りません。身体中を巡り敏感にしていくだけで、子宮には残らないのです。じわじわと染み出すような快楽に私の子宮も震えて、トロトロの愛液を膣へと流し込んでいますが…絶頂の気配は未だありません。寧ろ快楽を注げば注ぐほど…私の女芯はこれを求めているんじゃないと冷たくなっていくようです。それに引っ張られるように、一度は快感で温まった私の身体がまたすぐに冷え込んでいきました。
 
 「ひゅうっ♪んきゅ…♪ちゅ…っ♪」
 
 その寒さが怖くて、私は何度も何度も乳首を舌で苛めます。時折、強すぎる快感に乳首が唇から外れそうになるのを必死で堪えながら、何度も接吻を落とすのでした。その甲斐あってか、唇の間でコリコリと揺れ、舌先で突かれている乳首からはじわじわとした熱が広がるのです。しかし、その暖かさを受け入れようとした瞬間、私の身体は一気に冷え込んでしまうのでした。そして冷え込んだ身体を温めようと再び乳首を優しく弄りますが、結果は変わりません。それを何度も何度も繰り返しているうちに…私の子宮の疼きはどんどんと強くなっていきます。
 
 「あぁぁぁぁっ♪欲しいですぅ…ご主人様のオチンポ欲しいのぉっ♪奥の奥までご主人様に辱めて欲しいんですっ♪貫いて…乱暴に犯してぇぇっ♪」
 
 ついに我慢できなくなって私の口からは淫らな言葉が飛び出ていました。それも仕方が無い事でしょう。だって…乳首から広がる熱は私をドンドンと敏感にしていくだけなのです。しかし、敏感にしていくだけで決して絶頂へは到達できません。どれだけ気持ち良くても、本当に欲しているものには決して登りつめられないのです。そして、後に残るのは敏感になった私の肢体と、高まる疼きに震える子宮だけなのでした。子宮の中でぐるぐると欲情が巡り、きゅんきゅんと唸る感覚は、まるで子宮もご主人様を求めているようです。
 
 ―ううん…きっと…きっとそうなのですね…っ♪私の子宮も…ご主人様が欲しいの…っ♪たっぷり精液注いでもらって…お世継ぎを孕ませて頂きたいのぉぉ…っ♪
 
 その言葉に頷く様にぎゅうっと子宮が収縮します。瞬間、愛液が今までに無い勢いで漏れ出し、膣の方へと押し出されていくのです。既に愛液塗れとなった膣は熱い粘液を浴びて、嬉しそうにきゅっきゅと蠢くのでした。しかし、どれだけ嬉しそうに蠢いていても…本当に欲しい快楽は決して訪れません。それを知っているからでしょうか。子宮で渦巻くような疼きはどんどんと秘所の方にも降りていって、私を飲み込む強い欲情の波を作り出しているのです。まるでご主人様を襲いに行け、と告げるようなその強い波は私の唯一、残った理性をゴリゴリと削っていくのでした。
 
 ―でも…っ♪どれだけケダモノになったとしても…それだけは……それだけ…はぁ…♪
 
 だって、ご主人様はこの屋敷にいて欲しいと、そう告げたのです。その言い付けを破るのは…使役狐として云々以前に一人の女として我慢なりません。しかし、既に、女としての私よりも、メスとしての私の方が強くなっていました。もうご主人様に愛されて、犯していただくしか考えられないメスは、私の両足を奮い立たせて、本家へと向かわせようとしているのです。そして…厄介な事に、私の中の女もまたその欲求に惹かれているのでした。
 
 ―会いたい…っ♪私も……私もご主人様に会いたい……っ♪
 
 会って優しい言葉を掛けて欲しい。抱きしめて欲しい。温めて欲しい。良く来たな、と褒めて欲しい。頭を優しく撫でて欲しい。そのまま優しく接吻して欲しい。そして…出来れば押し倒して…たっぷりと愛して欲しい。それらの欲求は私の女も等しく持っているものです。私の女もまた、メスと同じくらいご主人様を愛し、恋焦がれているのですから当然でしょう。
 
 ―でも…それ…でも…ぉ…っ!
 
 しかし、快楽に染まりきった思考でも、その一線は譲れません。もう既に…私はただのケダモノです。快楽を欲して使役狐としての矜恃を投げ捨てた、ただのメスなのですから。しかし、それでも、ご主人様の事を考えると欲望に制止がかかります。それもまた当然の流れでしょう。私のメスも…求めるのと同じくらい激しく強くご主人様を愛しているのです。いえ…愛しているからこそ、これだけ強く求めていると言ったほうが正しいのかもしれません。何れにせよ、二律背反を起こした私の感情は、どちらにも進むことが出来ず、その場で足踏みを繰り返すのでした。
 
 ―あぁ…ぁ♪身体が疼いてぇ…♪私の身体もう疼きっぱなしですぅ…っ♪
 
 しかし、感情は二の足を踏んでいるといっても火が点いた私の身体は別です。与えられない快楽に身悶えするようにその疼きをより強くしていったのでした。しかし、私自身、それを抑える術がありません。どれだけ胸を弄っても、乳首を苛めても、絶頂へと至らないのですから。
 
 ―でも……♪秘所を弄れば絶頂出来る…かも…知れません…♪
 
 それは絶望の中で偽りの希望に縋りつくようなものでした。だって…それは決して無いと分かっているのです。これだけ乳首を弄っても絶頂の気配すらないのに、秘所を弄って絶頂できるはずがありません。だから、それは私自身が作り上げた偶像の希望です。しかし…それでも私はそれに縋りつくしかありませんでした。その希望が無くなった先がどうなるのか分かっていても、私にはもうそれしか無かったのです。
 
 「あぁ…っ♪ご主人様…♪ごめんなさいぃ…♪私……私ぃ、ご主人様の許可も頂いていないのに…オマンコ触っちゃいますぅ…っ♪」
 
 聞く人もここにはいないのに、甘えた声でそう告げながら、受け入れるようにそっと太股を開き、私の右手はそっと秘所を覆いました。五年間もの間、ほぼ毎日ご主人様の舌と指で耕されたそこは、もう昔とは比べ物にならないくらい淫らな器官と化しています。以前はしっかりと閉じて具が少しはみ出しているくらいだったのが、今はもう鮮やかな桃色の粘膜を見せ付けて、ご主人様を誘うようにくっぱりと開いているのですから。呼吸をする度に膣の入り口を蠢かせるそこは、きゅっと膣内がうねる度にドロドロに蕩けた愛液を湧き出させていました。本来、雑菌から敏感な粘膜を護る為の陰唇も愛液に塗れてご主人様が見てくださっていれば…きっと生唾を飲み込んで襲い掛かって下さった事でしょう。
 
 ―でも…そのご主人様はぁ…♪いなくて…ぇ…♪
 
 そっと敏感な秘所に覆うその手もご主人様のではなく、私の物なのです。ご主人様のゴツゴツとしていながら優しい熱を注いでくれる暖かい手ではなく、私の細くて冷たい手なのでした。そう思うだけで、私の胸の中に切なさが沸き起こり、思考がご主人様一色に染まってしまいそうになるのです。それを必死に堪えながら、私は覆っているだけの手をそっと秘所へと近づけ、薬指と人差し指で陰唇を押さえつけて中指でそっと粘膜を撫でました。
 
 「んきゅうううっ♪あぁぁっ♪びりびり来るうっ♪オマンコビリビリきますうううっ♪」
 
 それは触れるか触れないかの距離でそっと触れただけの愛撫でした。しかし、私の敏感になった身体はそれさえも強い快楽へと変換するのです。それは思わず腰を浮き上がらせてしまう程でした。そんな快楽をより感じようと私の指は何度も粘膜を撫で回すのです。その度に電流のような快楽が子宮へと突き刺さり、ビクビクと全身を震わせてしまうのでした。
 
 「はぁ…っ♪はぁぁぁっ♪オマンコ良いのぉっ♪子宮も震えて…っ♪悦んじゃうっ♪子宮悦んでますぅっ♪」
 
 根元まで入り込むようなその快楽に、私の一番、大事な所は嬉しそうにその身を震わせています。ようやく満足出来る快感だったのでしょうか。奥から凄い勢いで愛液が噴出してきました。今までに無く強く響く快楽に、ようやく絶頂出来るかもしれない…と思ったのも束の間の事で、すぐにその快感は私の中から抜け落ちていくのです。無論…後に残るのはさっきまでと同じように敏感になった肢体と…より貪欲になった子宮だけでした。心の中には絶頂へと向かう感覚は一切無く…ただ、気持ち良かった、と言う残酷なまでの雑感が横たわっているだけなのです。
 
 ―あぁぁぁぁっ♪そんな…ぁ♪そんなぁぁっ♪
 
 それは勿論、予想はしていた事でした。しかし、しかし、予想はしていても…私の希望が打ち砕かれたことには代わりがないのです。例えそれが私自身が生み出した偽りの希望であったとしても、身悶えするほどの喪失感は止まりません。そして、手の内から零れ落ちた希望を再び拾い上げようと、私はさらに激しく粘膜を撫で回します。
 
 「ふあぁぁっ♪気持ち良いっ♪気持ち良いのにぃ…っ♪どうしてっ♪どうしてイけないのぉぉっ♪」
 
 しかし、どれだけその愛撫でどれだけ激しい快感が生まれたとしても、決して私の中には残りません。残るのは充足されない欲求ばかりで、絶頂へと決して登りつめないのは変わりませんでした。まるで必死に希望を拾い上げようとする私の手を何度も払いのけるように…その感覚は残酷に訪れるのです。しかし、私はそれを決して認めたくありません。故に…私はさらに愛撫を激しいものにするしかありませんでした。
 
 「イきたいっ♪イきたいイきたいイきたいぃっ♪ご主人様ぁっ♪私イきたんですぅっ♪」
 
 ―だから…ぁ…だから…赦してくださいぃ…♪
 
 そう心の中で謝りながら、私の指はついに膣にまで侵入していきます。まるでドロドロと蕩けさせるような熱に溢れたそこは、入っている中指と人差し指がふやけてしまいそうなほど水気にも塗れていたのでした。しかし、それはただの水ではありません。私の子宮の入り口から零れ落ちながら、ご主人様の剛直に絡みつき、受け入れる為の特別製の愛液なのです。それはご主人様の剛直で無くとも、たっぷりと私の指に絡みつき、入れただけでもぐちょぐちょと淫らな水音をさせるのでした。
 
 「んあぁぁっ♪オマンコ良いっ♪膣内も良いっ♪ぐちょぐちょになった膣肉がぁっ♪指でも良いのっ♪悦んじゃってますぅぅっ♪」
 
 そして、ようやく待ちわびた内部への刺激に、膣肉は狂喜して指に絡み付いてくるのです。ここ五年間の間にさらに肉襞と突起を身につけて、ご主人様に気持ち良くなってもらう為だけの器官となったそこは、指が少し蠢くだけでも反応し、形を変えて四方八方から抱きついてくるのです。その度に私の子宮まで快感と共に震えが走って、全身へと電流が流れ出ていくのでした。それは膣の入り口を撫でていた時とは比べ物にならない激しく、強いものでしたが、やっぱり絶頂へと浮き上がる感覚は微塵も起こらないのです。
 
 「やあああああぁっ♪イけないぃっ♪膣内でもイけないのぉっ♪もう…もうぅっ♪こんなぁ…やだあぁぁぁっ♪」
 
 駄々っ子の様に嫌という私の目尻からは涙が溢れて止まりません。口元からも涎が出て、二人用の枕を汚しきっていました。鏡も無いので分かりませんが、恐らく、今の私はとても情けない顔をしている事でしょう。それも…きっとご主人様に愛して頂いている時よりも。だって…今の私には何も充足が無いのです。どれだけ気持ち良くても、それが後には残らないで、ただ流れていくだけなのです。ご主人様に愛してもらう時には身体中が悦んで、幸せで幸せで涙が浮かんでくるのに、今の涙は例えようの無い切なさと悲しさの所為なのですから。
 
 ―ご主人様ぁ♪ご主人様ぁぁぁ♪ご主人様っごしゅじんさまぁごしゅじんさまごしゅじんさま……っ♪
 
 そして、思考の羅列も殆どご主人様の事だけに染まりきってしまっていました。もはやそこには快楽に対する事も残っては居ません。ただ、ご主人様を求める気持ちだけがあるのです。女としての愛情も、使役狐としての尊敬も、ご主人様に対する感情全てひっくるめた様なその思考は身体中に波及していきます。まるで身体中全てがご主人様を求めているような感覚は、とても甘美で危険すぎる代物でした。それを理解している私の何処かが必死でそれに歯止めをかけようとしていますが、そんなもので止まるはずもありません。
 
 「きゅふふうっ♪ご主人様ぁ…っ♪ご主人様っ♪ご主人様ぁぁぁっ♪」
 
 口から漏れ出る呼びかけに連動しているかのように、膣肉もまたきゅっきゅと指を締め付けてくるのです。もはやご主人様の剛直ではないと言う事は分かっているのでしょう。膣肉の動きは奥へと誘うものではなく、浅い部分できゅっと締め付ける物になっていました。既に愛液で蕩けきった柔らかい膣肉が四方八方からぎゅっと襲い掛かり、まるで指が押し潰されそうです。細い指でも最高の快楽を引き出そうとする膣の動きでしたが、それでも絶頂に進む気配がありません。寧ろ膣の突起一つ一つが指へと絡みつき、強い快楽を走らせる分、愛しいオスの剛直ではない事を悟った子宮が冷めていくようでした。
 
 ―あぁ…もう……限界……っ♪
 
 ご主人様一色の思考の中に唐突に浮かんだその考えは私の空いている左手もそっと秘所へと導くのです。そして、必死で膣へ抽送を繰り返している右手の上辺りにそっと触れました。そこは丁度、私の髪と同じく金色に染まる薄い茂みがある部分です。普段、艶やかな光を放つそこは既に右手から飛び散った愛液を受けて、若干、濡れていました。その水気を感じながら、私はゆっくりと左手を下へと下ろしていきます。そして…茂みのすぐ下にある小さな突起に触れた瞬間、私の身体に今までに無い電流が走りました。
 
 「ひゃううううううううううっっっ♪♪」
 
 私の身体の中でも子宮のお口と並んで最も敏感な陰核は、一瞬の邂逅でも信じられないほどの快楽を生み出しました。ご主人様との五年間で皮を完全に剥かれて顔を出しているそこは、空気の震えだけでも感じてしまうほど敏感なのですから、指に触れられれば一溜まりもありません。それが膣肉から走る快楽を結びついて、身体中に走るのですからどれだけの物か筆舌にし難いです。まるで本当に電流が流れているかのように全身を震わせて、布団の中でガクガクと揺らす程の快楽は間違い無く今までで一番の物でした。
 
 ―でもでもでもでもでもでもでもでもでもでもおおおおぉっ♪
 
 それは一番の快楽です。しかし、悲しいかなそれでも絶頂には届きません。いえ、最初から届くはずが無いのです。だって…完全にご主人様に依存した私の肉体が誠示朗様抜きで絶頂できるはずが無いのですから。そんな事は最初から分かっていました。分かっていたのです。だから…本当はここには触れるつもりはありませんでした。もし…ここが駄目であれば私に残るのは絶望しかないのですから。そして…今、完全に望みを絶たれてしまった私の身体はそれを認めたくないとばかりにさらに愛撫を加速させていくのでした。
 
 「ご主人様ぁっ♪ご主人様っ♪ご主人様っ♪ご主人様っっ♪ご主人様ぁっ♪」
 
 必死でご主人様の名前を呼ぶ私に連動して、左手も右手も激しく私自身を苛め抜きます。そこにはもう遠慮なんてものはありません。ただ、最高の快楽を自分自身から引き出そうとする浅ましい姿だけです。しかし…どれだけ快楽を得ても、やっぱり子宮は冷め切ったままでした。多少、快楽に震えて膣内へ愛液を落としますが…絶頂への階段一つ上る気配が無いのです。余りに頑固過ぎるメスの部分に…私の頭の中の何かがプツリと切れてしまいました。
 
 「あはぁ……♪…ご主人様ぁぁ……っ♪」
 
 ―私は…私は何を遠慮していたのでしょうか。
 
 ふと沸き起こるその感傷に身体中が同意を示しました。既に快楽に染まりきり、小指の爪の先一つ取ってもご主人様の事しか考えられない肢体の同意に本来は意味は無いのかもしれません。しかし、…私は今、本当に身体中でご主人様の気持ちを…いえ、真意を理解したのです。
 
 ―こんなに私を焦らすなんて…本当に罪なお方……っ♪
 
 そう。ご主人様が私を置いていったのはきっと焦らすおつもりだったのです。そして…帰ってきてから、ご主人様を心待ちにして、たっぷりと蕩けた私を存分に貪るおつもりだったのでしょう。そう思うと、全てが納得出来ます。細かい矛盾があるような気がしますが、私にとってはそれは些細な事なのでした。重要なのは…私がご主人様の真意を理解した事だけなのですから。
 
 ―だったら…今すぐご主人様にこの熟れた身体をご賞味していただかないと……♪
 
 私が自ら弄って、トロトロになった肉体は今が食べ頃なのです。今こそが一番、美味しいはずなのです。それをご主人様に捧げるのが私が今、やるべき事でしょう。決して屋敷の維持や…ご主人様の言いつけを護るなんて事ではないのです。ご主人様の気持ちを理解して…誠示朗様に私の淫らな肢体を食べていただく事なのですから。
 
 ―そうと決まれば…ご主人様に会いに行きませんとぉ♪
 
 そう思って布団から抜け出そうとした瞬間、私の耳にドタドタと屋敷を走るような音が聞こえてきました。一瞬、曲者かと思い、身体が臨戦態勢に入ろうとしましたが、その足音は何処か聞き覚えのあるものです。…いいえ、聞き覚えがあるなんてものではありません。毎日、聞いているその足音を私が間違うはずが無いのですから。
 
 ―うふふ…♪…やっぱり…私の考えは間違っては居なかったのですねぇ♪
 
 そんな風に確信を強めて私は肌蹴た着物に手をかけました。自慰の最中に浮かんだ様々な体液で、ドロドロになった着物は決して人前に出せるような状態ではありません。それに…こんな着物よりお迎えするには相応しい格好があるのです。そんな事を思いながら私は着物の腹帯に手を掛け、一気に解いていきました。次いで現れた素帯も、乱暴に解いていきます。普段はこんな布地を傷める様な乱暴な脱ぎ方は決して致しません。だって…この衣服は全てご主人様に頂いたものなのですから。私にとって愛しい思い出と共にある衣服をどうしてぞんざいに扱えるでしょう?
 
 ―でも…今はぁ…♪
 
 しかし、今は時間が無いのです。玄関を駆け上がったその足音はどんどんと強くなり、真っ直ぐにこの部屋に向かっていることが分かります。後、数秒もしないうちに襖を開けられて、寝室へと入り込んで来られるでしょう。その前に、私はお迎えの準備をしなければいけないのですから。心が痛みますが…今は躊躇している余裕はありません。
 
 「一ツ葉ぁ!大丈夫……か………?」
 「お帰りなさいませご主人様」
 
 ガタンっと乱暴に襖を開けて現れたご主人様に、私は布団の指で三つ指を突いてお迎えいたします。その私の身体には無論、何も身に着けてはおりません。私の乱暴な愛撫で少し赤くなったもののはっきりと勃起している乳首も、興奮の所為で赤く染まった白い肌も、くっぱりと開いた秘所からドロドロとした愛液が零れ落ちている様も、全て御覧頂いています。私が乱れ、興奮し、どれだけご主人様を心待ちにしていたのかを晒しているのでした。最初は焦った様な表情で襖を開けられたご主人様は、私のそんな痴態を見て、咽喉を鳴らされます。さっきまでの淫らな自慰で乱れに乱れた姿をご主人様に見せるのはとても恥ずかしい事でしたが、ご主人様も興奮してくださるのを見てそれ以上の嬉しさが私の胸を占めるのでした。
 
 ―やっぱり…これがご主人様のお望みなのですね…♪
 
 焦らすのを望まれているのですから…私がどれだけご主人様を心待ちにしていたか全て曝け出すべきでしょう。無論、普段であればこんなお出迎えは決して致しません。しかし…ご主人様がそうお望みになっているのであれば別なのです。私はご主人様が望まれるだけで…どんな淫らな行為だって悦んで行うメス狐なのですから♪
 
 「さぁ…ご主人様…私はもう食べ頃ですわ…ぁ♪たっぷりと…貪ってください…♪」
 
 ―万感の思いを込めた笑顔と共にご主人様に向かって妖力がその手を伸ばすのを感じました。
 
 しかし、私はそれを止めません。だって…それが決してご主人様に害するものではないと分かっているのです。ただ…少しだけご主人様に『素直』になって頂くだけなのに、どうして止める必要があるでしょう。今までもご主人様に愛されたい時に…無意識的に行っていた妖力の操作を、少し意識的に行っただけなので、副作用が無い事も分かっているのです。ご主人様に我慢して頂くのが何よりも辛い私にとって、それは寧ろ誠示朗様に仕えるメスとして正しい事でさえありました。
 
 「う…ぁ…一ツ…葉……?」
 
 ―その妖力の効果は絶大でした。
 
 今まで無意識的に行っていたことを意識して行った所為でしょうか。ご主人様へと送られる妖力はこれまでの比ではありません。何時もはちょっと嗜虐的になる程度の効果なのに、ご主人様の顔からは凄まじい勢いで理性の色が消えていくのですから。後に残るのは目の前のメスを…私を貪ろうとするオスの強い本能だけです。普段は交わりの最中にも勤めて冷静であろうとするご主人様がオスの本能を剥き出しにする様は…まるで狼が今にも獲物を貪ろうとする様を彷彿とさせました。そして、その獲物である私に…骨の髄まで貪られてご主人様に捧げる事を望む私に強い歓喜を齎すのです。
 
 ―あぁ…っ♪ご主人様ぁ…早く来てくださいぃ…っ♪
 
 待ちきれないかのようにそわそわとした感情が、胸の内から沸いて来るのを感じながら、私は背筋をぴんと伸ばして、ご主人様に向き直ります。そのまま私は胸にご主人様を誘うように両手を広げました。その動きに連動してか、私の胸もまたご主人様を求めてふるふると揺れてしまいます。しかし、そんな私の姿を見ても、ご主人様は中々、素直になっては下さいません。その為に私を置いていかれたはずなのに…今だって胸の底から例えようも無い欲情が湧き出ているはずなのに、必死で我慢なさそうとするのです。
 
 ―それは…きっと私の不徳の成すところでしょう…っ♪
 
 だって、ご主人様もまた私の事を求めてくださっているのですから。こんなに早く帰って来られるなんて何があったのか気にならない訳ではありませんが…それでも入って来た時のご主人様の様子を見る限り、私を心配してくださっていたのでしょう。それはきっと…あんまりにも焦らしすぎて私がおかしくなりそうだったからに違いありません。何か矛盾しているような気がしますが、そんな事は些細な事です。私にとって重要なのは…そんなご主人様がどうしてか私に手を出す事を躊躇している、と言う事なのですから。
 
 ―それならば…もっと素直になって頂きませんと…♪
 
 私は身も心も捧げたご主人様が居ないだけで駄目になってしまう淫らなメスなのです。ご主人様と少し離れただけで…悲しくて悲しくて仕方が無くて何時もは出来ている家事さえ満足に行えないくらい駄目なメスになってしまうのです。そんな自分を慰めようとしても…自分の指ではもう出来ない淫らなメスなのです。そんな私にとって、ご主人様に我慢をさせているのは身を切られるほど辛い思いをする事なのですから。
 
 「もぅ…っ♪ご主人様ったら…そんなに…私にオネダリさせたいのですね…っ♪」
 「違っ…!わ、私…は…」
 
 拒絶する様なご主人様の言葉はきっと照れ隠しなのでしょう。ご主人様は普段、攻めている時はあんなに強気なのに、こうして恥ずかしがり屋な面も持たれているのです。成長したとは言え、まだまだ何処か子供のようなご主人様の一面を見て、私の顔に、笑みが浮かびました。ただし…それは何時もの物とは違い…淫らな色に溢れたものなのでしょう。それを見たご主人様が再び咽喉を鳴らし、股間を隠すように若干、前屈みになられたのですから。
 
 ―本当に…可愛い方…♪
 
 この期に及んでも何故か必死に抵抗するのはきっと気恥ずかしさの所為なのでしょう。ご主人様も殿方です。心配して帰ってきてみれば、ご主人様の真意を理解して準備を整えたメスが待っていた…と言うのは、心中を見透かされていたようで恥ずかしいものに違いありません。それならば…私はご主人様が何時ものように思う存分に私を貪れるようにする義務があるでしょう。
 
 ―だって…ぇ♪私はご主人様の事が好きで、大好きで、愛してる…メスなんですからぁっ♪
 
 そんな事を思いながら、私はそっと正座から三角座りの状態へと足を崩します。全裸でそんな事をすれば秘所が見えてしまうと言う事は理解していましたが、ご主人様の前であれば厭う必要はありません。寧ろ、ご主人様に素直になっていただく為にはそこを見せ付ける必要があるでしょう。だから、私はそっと足を広げ、既に愛液塗れになっていた秘所を奥まで見せ付けるように両手で開きました。
 
 「ほぉら…♪もうこんなに私のオマンコ、トロトロなんですぅ…っ♪」
 「う…ぁ…」
 
 ご主人様の指すような視線を感じる所為でしょうか。広げた奥からはドロドロとした愛液が止まりません。膣肉もピクピクと痙攣して、ご主人様の目線を精一杯引こうとしていました。私はその奥まで見ることが出来ませんが…きっとそれはとても淫らな光景なのでしょう。ご主人様が何も言わず、ずっとそこに目線を送りながら、荒く息を吐いているのですから。もはやオスの本能が爆発する寸前と言ったようなご主人様に私はそっと最後のトドメに入るのです。
 
 「さぁ…♪ここはご主人様がたぁっぷりと耕した…ご主人様に気持ち良くなって頂く為の…ご主人様専用のオマンコですよぉ…♪そこが…もうこんなになってご主人様のオスを求めているんですから……あんまり女に恥を掻かせないでくださいませ…っ♪」
 「ひ、一ツ葉ぁぁっ!!」
 
 ケダモノのような叫び声と共に私の肢体は襲い掛かるようなご主人様の両手で布団の上に押し倒されてしまいます。肩に感じるご主人様の強い興奮に、私のメスが今までにない程、燃え上がりました。ご主人様抜きではあんなに冷めていた子宮が、痛いくらい喜びに震えて全身にそれを波及させていっています。それは今までの苦労が嘘に思えるくらい…絶頂へどんどんと駆け上っていく快感でした。焦らされに、焦らされ続けた私の淫らな肢体は、もうご主人様に触れられただけでも絶頂しそうになっていたのです。
 
 ―でも…その時間ももう…終わりですぅ…♪
 
 日の昇らない夜は無い。そんな言葉があるように辛い時間が終わった後は…勿論、悦びの時間です。私を掴むご主人様の股間をそっと見ると、そこには袴を持ち上げる勢いで剛直が勃起していました。それは妖力を注ぎ込んだ成果なのか、それともご主人様自身、期待して帰ってこられてきたのか私には分かりません。それに…それは特に大事ではないと思うのです。大事なのは…そう。私の事を…ご主人様が求めてくださっていると言う事だけ。後の事は些事過ぎてお話になりません。そして…ご主人様がオスとして私を求められている以上、私もまた…メスとして応えるのが礼儀でしょう。
 
 「さぁ…♪ご主人様ぁ…♪たぁっぷり…犯してくださいませぇ…♪」
 
 媚びるような甘い声でそっとご主人様の耳元で囁くとご主人様は大きく頷きながら、凄い勢いで着物と袴を脱ぎ去っていきます。本家へと出かける前に着替えられたのでしょう。それは昼間見たものと違い、私がご主人様に贈った一品です。艶のある上品な黒に染まり、純白の帯で整えられているそれは見るからに値打ち物であろうと分かるでしょう。しかし、ご主人様はその袴をまるで邪魔者のように邪険に脱ぎ捨てていくのです。無論、ご主人様は普段からこんな粗暴な脱ぎ方をされる方ではありません。物全般にしてもそうですが、特に私が贈った品々は大事に扱ってくださるのです。そんなご主人様がこうして乱暴な扱い方をされると言う事は、ご主人様もまた強く興奮して我慢出来ないと言う事なのでしょう。
 
 ―あぁ…っ♪やっぱり…私は間違ってませんでしたぁ…っ♪
 
 そのご主人様の興奮の度合いを見れば、誠示朗様がどれだけ私を求めてくださっているかが見て取れます。そして、それはつまり私がご主人様の真意を違わず理解していたと言う事の証左でしょう。そう思うだけで私の胸は歓喜の感情で一杯になってしまうのです。そして、私はその感情のまま、ご主人様が必死で脱ごうとしているのを手伝うのでした。これから性交する為にご主人様の着物を剥ぐ様な淫らな行為に私の子宮もまたきゅんきゅんと唸って、溜まりません。さらに…脱いだ先から、少し日に焼けた逞しい肢体が現れるのですから、我慢なんて出来るはずがありませんでした。
 
 ―早くっ早く早く早くっ♪早く犯してくださいぃっ♪その太い腕でぎゅっと抱きしめて…っ子宮まで全部、貫いてぇぇっ♪
 
 溢れ出そうになるその感情を必死に堪えながら、私は勤めて冷静に両手を動かします。しかし、私自身も強く興奮している所為か、指先が震えて上手く行きません。それはご主人様も同じでした。乱暴に脱ごうとしている事さえ上手く行かない状況に、荒く息を吐きながら必死で対応なされているのです。オスの本性を剥き出しにして、脱ごうとするご主人様とメスの本性を剥き出しにして脱がそうとする私…お互いに中々、上手くはいきませんが、しかし、ご主人様の袴は少しずつ剥がれて行き…そしてついに私の目の前にご主人様の裸が晒されたのです。
 
 ―ふぁぁ…やっぱりご主人様…逞しいです…ぅ♪
 
 綺麗に割れた腹筋や硬い胸板は見ているだけでメスの本能を擽られるような逞しさに溢れています。私一人くらい片腕で軽々と持ち上げられそうな腕は捕まえたメスを決して逃がさないでしょう。きゅっと引き締まり無駄な贅肉一つ見せない太股は見ているだけでも生唾を飲み込んでしまいそうです。五年間でこれ以上ない程、逞しく育ったご主人様の裸体は、女ならば誰でも惹かれるオスの魅力に溢れていました。
 
 ―でも…特筆すべきはそれらじゃなくって…ぇ♪
 
 「ふ…っあぁぁぁ……っ♪」
 
 ご主人様の最も逞しいオスの部分は朝に見たときと同じく完全に勃起して、圧倒的な威圧感やオスの匂いを放っていました。赤黒い肉棒は見ているだけでも胸が高鳴ってしまいそうなくらい大きく、カリ首を大きく張って冬の空気の中でピクピクと震えています。そして冬の寒さに決して負けない太陽のような熱が見ているだけで伝わってくるようでした。朝に一回、お掃除したにも関わらず、そこはもうオスの匂いで一杯で嗅いでいるだけで孕んでしまいそうな錯覚さえ覚えてしまうのです。そして…そんな剛直が今から私の秘所を貫くと考えるだけで、私の子宮は堪え性も無く絶頂への階段を駆け上がっていくのでした。
 
 ―い、今、挿入れられたらぁ……っ♪
 
 高まっていく期待に引きずられるように私の身体もドンドン敏感になっていくのです。元々、淫らな肢体でしたが、今は空気の震えでさえ性感に変換してしまいそうでした。そんな敏感な状況で…もし、ご主人様の剛直に貫かれたら…と思うと、恐怖の感情さえ浮かんでくるのです。
 
 ―きっと…きっと私壊れちゃう…っ♪もう…もう元には戻れない…本当に駄目なメスになっちゃうぅ…っ♪
 
 そんな予感が胸を叩き、鼓動を早くしていきます。性交とご主人様の事しか考えられない頭の中に警告と恐怖さえ浮かぶのですから、それはきっと間違いではないのでしょう。しかし、それは私にとって…とてつもなく嬉しい事なのでした。勿論、恐怖を感じるのは嘘ではありません。だって…きっと私は四六時中、ご主人様の事を考えて、ご主人様の性交ばかりを望んでしまう淫らなメスに変わってしまうのですから。…いいえ、その言葉は正しくないでしょう。正しくは……ずっと私の根底にあったそのメスの本能を抑えることが出来なくなってしまうのです。
 
 ―でも…でもぉ…私…っ♪壊して欲しいっ♪
 
 ご主人様の事しか考えられず…ご主人様の性交ばかりを望んでしまう淫らなメス…それは何と淫らで…そして羨ましい姿なのでしょう。そう思うのはきっと使役狐としてはいけないことなのでしょう。ご主人様に使え、ご主人様の言葉を護り、ご主人様の益を考えるのが本来の使役狐なのですから。しかし…その使役狐とての私はもう居ないのです。ここにいるのはただ…ご主人様に恋焦がれ、ご主人様に全てを捧げても…まだ足りない貪欲な一匹のメス狐だけ。そんな私が「ご主人様に身も心も全部、壊して欲しい」と言うメスの欲求を抑えられるはずがありません。
 
 「壊してぇぇっ♪ご主人様ぁっ♪私…私、身も心も全部、ご主人様に壊されたいんですぅっ♪ご主人様の事しか考えられない駄目なメスになりたいのぉっ♪だからぁぁぁぁっ♪」
 
 ―そこまで言った瞬間、私の秘所に火傷しそうなくらい熱いものが押し当てられました。
 
 離れていても圧倒される程の熱を持ったそれは…私にとっては烙印と同じです。身体の奥底から、心の中まで、全てご主人様の所有物である証の烙印を押されるように感じるのですから。そして、それはきっと間違いではありません。この剛直が、私の膣奥まで入った瞬間…私は完全にご主人様の物になってしまうのでしょう。その予感は決して途絶えることがありません。そして…私はその予感を胸に挿入れやすいように腰をそっと浮かせました。
 
 ―瞬間、私の身体に嵐が吹き荒れます。
 
 「きゃううううううううううううううううっっ♪♪」
 
 膣肉を押し広げようと亀頭の先端が入り込んだ瞬間、私の身体に信じられないほどの快楽が渦巻きます。さっきまではどれだけ乱暴に弄っても絶頂する気配さえなかったのに…ご主人様の剛直で入り口を少し広げられただけで…私の子宮は歓喜に咽び泣き、軽い絶頂へと達したのです。絶頂の波が身体中を駆け巡り、びりびりとした強い快楽に身体中が震え始めました。膣肉も例外ではなく、絶頂の波で亀頭へとぎゅっと絡みつき、敏感な先端を愛しそうに舐め挙げているのを感じました。しかし…これはまだ快楽の入り口も入り口なのです。まだまだ…ご主人様の亀頭が少しだけ入り込んだだけのものでしかありません。そう思うと私の身体に再び恐怖が湧き上がってくるのです。
 
 ―わ…私…こんなぁぁっ♪挿入されただけでこんなになっちゃったらぁ…私…ぃっ♪壊れちゃうぅ…♪壊されちゃう…っ♪ご主人様だけの駄目なメス狐になっちゃううぅぅっ♪
 
 しかし、湧き上がるその恐怖よりも遥かに大きい歓喜の感情にすぐさま打ち消されてしまうのです。勿論、ここで止めるなんて言葉は欠片さえ出てきません。寧ろ…早く壊して欲しいとそんな感情ばかりが沸き起こり、私の足をご主人様の腰へと絡ませるのです。まるで、もっと奥へ着て欲しいと誘うようなその仕草に応えて、ご主人様は一気に私の膣肉を蹂躙してくださるのでした。
 
 「はひぃぃぃっ♪ご主人様ぁぁぁっ♪」
 
 そして突起の一本一本がご主人様の剛直に蹂躙される度に信じられないくらいの快感が子宮へと送られます。貪欲に染まりきった子宮でさえ満足させるようなその快楽は、突起一つから流れ込んでくるのでした。自然…肉襞に溢れた私の膣内からはその数だけの快感が子宮へと襲い掛かります。それに私の子宮が耐えられるはずがありません。まるでこれ以上入ってこないで欲しいと言わんばかりに膣をきつく締め付けながら、身体中を真っ白に染めるような快楽の奔流を迸らせるのです。
 
 ―私っ♪染まっちゃいますううっ♪淫らな事に染まっちゃうのぉっ♪ご主人様の性欲処理専用になっちゃううぅっ♪
 
 その凄まじいまでの快感は私の身体中から、悦楽を感じる以外の全ての機能を奪っていくようでした。手も足も迸る快楽に飲み込まれて力が入らなくなり、ご主人様の背に絡ませる事さえ満足に出来なくなっていきます。目尻からは快楽の涙を垂れ流し、口からは淫らな言葉と涎が溢れ出てくるようでした。勿論、頭の中は淫らな事とご主人様の事で一杯で、他の事なんて欠片も考える事が出来ません。
 
 「はひゅうっ♪しゅごいぃっ♪ごひゅじんさまぁっ♪ビリビリがぁ良いのぉぉっ♪」
 
 そして、絶頂の波に後押しされるようにぎゅっと締まった膣は、それだけ突起を強くご主人様の剛直へ触れ合わせる結果になるのです。一本一本が陰核と同じくらい敏感になっているそれらは強すぎる快感にぎゅっと身体を硬くしてまるでそれ以上の抽送を拒もうとしているようでした。しかし、ケダモノになったご主人様はそんなものでは止まりません。私の締め付けなんてまったく意に介さず、無理矢理、膣を押し広げて進まれるのです。それは本当に膣を…いいえ、オマンコを蹂躙されるような感覚で…私の中の被虐心に強い熱を灯すのでした。
 
 「あはぁっ♪オマンコ犯されるの素敵ぃっ♪ご主人様に犯されるの最高ですぅぅっ♪」
 
 その言葉はある意味で正解であり、ある意味では間違いではありました。勿論、この時点で私が感じる絶頂の波は…この五年間と比べても最高の物です。身体中が快楽を感じる器官に堕ちて、全身でご主人様を感じる事が出来るのですから。それはご主人様と出会ってから…ずっと何処かで自分自身を抑えていた私にとって始めてのものでした。しかし…次の瞬間、私に襲いかかってきたのは今までの絶頂がまるでお遊びに感じるほどの蕩楽のうねりです。
 
 「きゅひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ♪ゴツンってぇっ♪ゴツンって奥に来たぁぁぁぁっ♪」
 
 その衝撃は決して大きなものではありませんでした。窮屈なまでに締まったオマンコを、無理矢理、押し広げて来たのですから当然でしょう。しかし…しかし、そんな衝撃でも私の最奥…つまり精液が欲しくて愛液を垂れ流している子宮口は凄まじい快楽へと変換するのです。それはさっきまでが快楽の波であれば、爆発と言った方が良いでしょう。身体中全てが弾け飛んで、ご主人様に触れられている部分以外、何も無くなってしまう感覚は…余りにも強く…そして魅力的でした。
 
 「あ…ひゃ……ぁ♪は…ふ……ぁ…♪」
 
 その強すぎる快楽に私の意識が半分、消し飛んでしまいます。いえ、寧ろ半分も残っている事は奇跡だと言った方が正しいのかもしれません。ご主人様から与えられる快楽を待ち望んで、その事ばかりを考えていた私の無防備な思考にさっきの快感が襲い掛かったのですから。しかし、そんな思考も、子宮口から始まるご主人様の乱暴な抽送に、消えてしまいそうになるのでした。
 
 「ふゅぁああああああっ♪ご、ごひゅじんしゃまぁぁっ♪やしゅま…休ませてくだしゃ…っ♪」
 「一ツ葉…っ一ツ葉…ぁっ一ツ葉………っ!!!」
 
 爆発のようなその快楽を自分の中で受け止める下地も出来ていないのです。未だ無防備なままの私の肢体はどんどんと快楽に塗りつぶされ、感覚が消えていきました。それは勿論…気持ち良いものでしたが、逆に気持ち良すぎて辛いのです。感覚が薄れていく下腹部ではむずむずした排出の欲求が高まり、今にも何か出てしまいそうでした。しかし、それを受け止める下地が出来るまで少し落ち着いてもらおうにもご主人様は止まりません。ケダモノと化しながらも、愛しそうに私の名前を呼ぶご主人様は深い部分を重点的に擦り上げる様に子宮口へと亀頭を激しくぶつけて来るのです。
 
 「ひぁぁっ♪ひゃああぁっ♪しゅごぉっ♪しゅごしゅぎるんですぅっ♪子宮のお口っ♪びんきゃ…敏感しゅぎるのぉぉぉっ♪」
 
 そんな激しい抽送でご主人様の亀頭を味わう子宮口は一回ずつぎゅうと抱きつくように吸い付くのです。吸い付くたびに亀頭を強く感じ、先走りを飲み込むような淫らな仕草は決して私の意図したものではありません。もう私自身、身体中の感覚が殆ど消し飛んでしまい、ご主人様に蹂躙されているオマンコだけになったように感じるのです。そんな状態では指一本満足に動かす事さえ出来ないでしょう。唯一、感覚が残り…ご主人様の激しさと逞しさとオスの本能を感じるオマンコも勿論、それは例外ではないのです。膣の上辺りの穴から透明な液体が激しく吹き出て、御主人様の身体に降りかかっていきますが、がくがくと震える腰は一向に止まる気配を見せません。
 
 「んぁぁああっ♪うじゅくのっ♪めしゅの本能がぁぁっ♪ご主人様のしぇいえき欲しくてぇ♪しきゅぅでうじゅうじゅしてりゅのぉぉっ♪」
 
 そんな私の身体を動かしているのは、身体に染み付いたメスの本能なのです。頭と心を支配していたメスの本能自体は、もう完全にご主人様から与えられているこの快楽の前に屈して、快感を享受するだけの器官に成り下がってしまったのですから。思考する能力さえ殆ど奪われてしまった私に残るのは、ご主人様に刻み込まれたメスの経験とそれによる反射だけです。勿論、ご主人様の亀頭に吸い付いて精液をオネダリする淫らな子宮のお口も…例外ではありません。それをするとご主人様が気持ち良くなってくださると身体が知っているからこその行動なのです。
 
 「しきぅがしゅてきぃ…っ♪しゅごいのぉぉっ♪しぇいえき欲しくて子宮震えてますぅっ♪」
 
 そして、さっきから私から漏れ出る無意味な言葉もまた…ご主人様のオスをより強く燃え上がらせようとする身体の反射なのです。余りに淫らで舌足らずな言葉は、普段では恥ずかしくて言えません。ご主人様に愛して頂き、メスになった時でさえ、使役狐や女としての矜恃が邪魔して、言葉にはならなかったでしょう。しかし、今は思考そのものが奪われてしまい…私の口から漏れ出るのは反射的な反応だけ。そこに静止なんて掛かるはずも無く、私の口は今まで抑えつけられていた鬱憤を晴らすように淫語を喚き立てるのです。
 
 「あはあぁぁっ♪うふふ…ぅっ♪わらひっとっても気持ち良ひでしゅよぉぉっ♪ご主人様はどうでしゅかぁっ♪イきそうですかぁっ♪しぇえき出せしょうですかぁぁっ♪」
 「一ツ葉ぁ…っ一ツ葉……!!!」
 
 それは私だけでなくご主人様も同じであるのかもしれません。私の問いかけにも応えず、只管、私の名前を呼びながら深い部分をごしゅごしゅしてくださるのです。私のオマンコの中でも特に敏感で、気持ち良い部分を何回も繰り返し擦って、ご主人様も気持ち良くなって下さっているのです。そう思うと私の胸の中に熱いものが溢れてくるようでした。それが何なのか快楽に吹き飛ばされた私の思考ではもう判別する事が出来ません。愛情なのかもしれませんし、母性に近い感情だと言う事も否定は出来ないでしょう。しかし、私にとって、それが悪い感情ではないと言うだけで十分なのでした。
 
 「ごしゅじんしゃまも気持ち良いのでしゅねっ♪ありがとうございましゅぅっ♪ご主人様専用のメス狐で気持ち良くなって下さって、光栄でしゅぅっ♪」
 
 そう言った私の心も快楽に塗りつぶされてしまいました。後に残るのはもう快楽を感じる為の神経だけです。心臓も、そこから出る血管も、そして血管で繋がる様々な臓器も、全部が全部、快感を感じる神経を残して消え去ってしまったようでした。唯一、残る感覚は凄まじい快楽の源泉であるオマンコとその奥の子宮だけです。まるで全身がオマンコになったような感覚に、私の子宮は歓喜に震えました。
 
 「わらひもぉぉっ♪わらひっ♪もぉじぇんしんオマンコなんでしゅぅっ♪何処を触られても感ひちゃいまふぅ…っ♪全部オマンコになっちゃったんれすぅぅっ♪」
 
 泣き叫ぶようにご主人様に告げる私の目に大きく揺れる双丘が入ってきました。小刻みに子宮のお口を突かれている所為でしょうか。そこは上下にふるふると揺れながらも、立派に形を保っています。ピンと突き出した乳首がご主人様を求めるように、踊る姿は娼婦が上客を誘うような淫らな光景を彷彿とされるものでした。そして…一度、そう思ってしまえば私の本能は止まりません。制止を考える前に、私の口から言葉となってご主人様へと投げかけられてしまうのです。
 
 「しゃわってぇっ♪触ってくだしゃいっ♪オマンコオッパイも触ってぐりぐりしてくださいぃっ♪ご主人様にしゃわって欲しくて、揺れてる淫らな乳首にも構ってあげてぇぇっ♪」
 「一ツ…葉……っ!!」
 
 淫らなそのオネダリにご主人様は応えて下さいました。ゴツゴツした男らしい両手で私の胸を鷲掴みにして遠慮無く弄んで下さるのです。そこには私を労わろうと言う気持ちは一切、見えません。ただ、淫らなメスの肢体を存分に貪ってやろうと言うオスの本能だけがありました。しかし…しかし、それこそが私が望んでいる事なのです。ご主人様にそうして貪っていただく事だけを望んでいた胸は、指をめり込ますような乱暴な愛撫を悦んで受け入れていました。
 
 「ひゅぅぅンッ♪良いでしゅぅぅっ♪しゅてきですぅぅぅぅ♪オマンコオッパイもぉトロトロしちゃいまひゅっ♪頭がおかしくなっちゃってりゅのっ♪」
 「ぅ…あぁぁ…っ!!」
 
 胸に触って頂けたことがとっても嬉しかった所為でしょう。私の膣が今までに無いくらい激しく痙攣し、ご主人様の剛直へと絡み付いていきます。少しずつ快感にも慣れた私のオマンコは、元の柔らかさを取り戻し始め、柔軟にご主人様の気持ち良い所を刺激し始めていました。青筋の浮いた敏感な裏筋から…根元のプツプツが浮いた部分まで。とっても敏感で…美味しい先走りをたっぷり下さる亀頭は特に入念に突起で撫で上げています。無論、ご主人様の剛直の中で一番、敏感なカリ首げの刺激も忘れません。反り返った裏に着いているぷつぷつを感じられるくらい私の突起は激しく強くご主人様を包み込んでいくのです。それにご主人様は堪えきれず、小さく呻き声を上げながら腰を一瞬止めてしまわれました。
 
 「いやぁあああっ♪止めないでぇ♪しゃせぇするまで止まりゃないでぇっ♪子宮欲しくて待ってりゅのぉっ♪ずっと待ってるんでしゅぅっ♪」
 
 さっきまでは余りの快楽に止めて欲しいと言っていたのに、私のオマンコはもうご主人様のオチンポ抜きでは満足できないのです。ご主人様のオチンポにたぁっぷり御奉仕しようと絡みついた膣肉を、立派なカリ首でゴリゴリと削られなければ、もう子宮が疼いて痛いくらいになってしまうのですから。無論、ご主人様がこうして膣内で震えるだけでも、私の子宮に弾ける様な熱が溜まり絶頂へと押し上げられていきます。しかし、身体中を消し飛ばすような激しすぎる絶頂を味わった私にとっては…もうそんな絶頂では足らないのです。ご主人様のオチンポからびゅるびゅるって…凄い勢いで子宮に射精して頂くまで興奮が収まらないのでしょう。それはご主人様のオチンポが子宮のぷりっぷりのお口に当たる度に必死で精液をオネダリする様子からも分かります。
 
 「くぁ……あぁぁぁっ…!!」
 「ひゃううんっ♪きたぁぁ♪オチンポきたぁぁぁっ♪しゃっきより…おっきいぃっ♪たきゅましいオスチンポ良いのぉっ♪」
 
 苦悶の声を上げながら必死で私のオマンコを前後するご主人様のオチンポは…段々と震えが走る頻度が上がって来ています。そろそろご主人様自身の絶頂も近いのでしょう。入る直前から痛々しい程に勃起していたご主人様のオチンポは、私の膣内でさらに一回りほど大きくなっていこうとしていました。入った頃から私の突起を残酷なまでに蹂躙されていかれたのに、さらに大きくなったオチンポに私のオマンコ全部が悦んでいるように絡みつきます。もはや限界に近いのかご主人様のオチンポはその度にピクピク震えて、私のオマンコの中で暴れまわるのでした。
 
 「一ツ葉…!一ツ…葉ぁぁ…っ!!」
 「きゃふぅぅんっ♪オッパイも愛してきゅだしゃるんですねぇっ♪敏感にゃオマンコオッパイも犯してしてくださりゅんでしゅねぇっ♪ありがとうごじゃいますうううっ♪」
 
 そして薄く汗を浮かべてオスを誘うような淫らなオッパイも本格的にたぁっぷりと犯されてしまうのです。ご主人様の指は遠慮なんて感情のないまま、ぐにぐにと胸肉に潜り込んで感触を楽しんでおられました。無論、そこに私を気持ちよくしようという意図はまったくありませんから、乳首は放置されているままです。しかし、全身が性感帯となったような今の私にとって、それでも十分すぎるほど気持ちが良く…絶頂へと浮き上がってしまうものでした。無論、子宮から弾けるような強い絶頂とは比べ物になりません。しかし、身体中にじんわり熱を広げるような優しい絶頂は、激しい絶頂と上手く絡み合って、お互いの領域を阻害しないのです。まるで激しい嵐の後には穏やかな海に戻るように、時間差で私に襲い掛かってくるのでした。
 
 「あぁぁぁぁっ♪しゃいこうですぅっ♪わらひ…っからだじうっ♪ごしゅじんしゃまに支配されてりゅぅ♪」
 
 吹き荒れる嵐のような絶頂と、その後に続く凪の様な絶頂は、私の中で見事な落差を演出していました。激しい絶頂があるからこそ優しい絶頂が光り、またその逆も有り得るのです。それはお互いの良さを引き立てるのと同時に、身体中全てをご主人様に支配されているような錯覚を私に齎すのでした。…いいえ、それはきっと錯覚などではないでしょう。だって…私の胸もオマンコも子宮もお口も鼻も目も耳も頭も心も四肢も身体中全てがご主人様に頂く快楽で一杯なのです。細胞の一つ取ってもそれだけしか考えられなくなってしまっているのですから。もし、ここでご主人様が冷静になって交歓を止めてしまったら私は狂い死ぬかもしれない…そんな予感さえ胸中を過ぎる程、私の身体中はご主人様で一杯だったのでした。
 
 「やめにゃいで…っ♪このまま犯してぇぇ♪しゃせーしてくだしゃいぃっ♪私のメスマンコにしゃせーっ♪子宮にくだしゃいぃっ♪今度こそぉ…今日こそ孕みますからぁぁっ♪ご主人様のお世継ぎ孕んじゃうんですううっ♪」
 
 その予感は私の身体に強い活力を与えました。ここで止められては堪らない、とばかりに脱力していた足をご主人様の腰にガッチリと絡ませて、捕まえます。ご主人様の先走りと愛液で一杯になったオマンコもぎゅううっと強くオチンポを締め付けて逃がしません。そして抽送がし難くなった分は愛液をたぁっぷりオチンポに塗して補うのです。これ以上ない程、強く密着したオマンコとオチンポをズルズルと滑らせるその愛液が絡み合い、ぱちゅんぱちゅんと肉同士がぶつかる音の中で、「にちゅにちゅ」と水音を鳴らしていました。それがまるで亀頭と子宮口の接吻の音のように聞こえて…私の興奮をさらにもう一段階、高い所へ持っていきます。
 
 「たっぷり接吻くだしゃいぃっ♪しきぅのお口にたっぷり亀頭で口付けして欲しいんですぅっ♪もっとぉっ♪もっとちゅっちゅしてぇぇ♪」
 「う…ぁ……一ツ……葉ぁぁ……っ!!」
 
 その声が言葉がトドメになったのか、それともご主人様自身がもはや限界であったのか。恐らくは両方なのでしょう。私のオマンコを抉って奥の突起ばかりを蹂躙するオチンポは今までにない大きな震えを走らせました。元々、はち切れんばかりの大きさだったのがさらに大きくなって、カリ首が凶悪的な勢いで私の膣肉を引っ張っていきます。さらに…蕩けて何の力も入らない私の腰をガッチリとご主人様は両手で掴み、最奥の子宮口から入り口付近まで激しく擦り上げるような抽送へ変えました。さらに大きくなった返しと共に膣肉ごと外へ引き出されてしまうのではないかと思うくらいの激しい抽送はご主人様の絶頂の予兆でもあり…私に凄まじいまでの蕩悦を与えてくれるものでした。
 
 「きゃうううっ♪ご主人様のまらおっききゅぅっ♪カリ首びくびくぅぅっ♪もぉ出ちゃいしょうなんですねぇっ♪暖かくてトロトロの子種汁ぅしゃせーして頂けりゅんですねぇぇっ♪」
 「あぁ…っ!射精る…ぞ…!!一ツ葉…膣内に射精すぞ…っ!!全部…っ受け止めろ…!良いな…!」
 
 そのご主人様の言葉に応えて私のオマンコも射精を受け止める準備を始めました。今までは無造作に絡みついていた突起が全て奥へ奥へと誘うものへと変わり、オチンポを引きずり込んでいくようです。その先にある子宮口も射精が…あの甘くてトロトロで…オス臭い精液が欲しくてパクパクとその口を開いていました。精液を一滴残らず子宮へ収めようとするそれらの動きはご主人様にも強い快楽を与えているようで、オチンポの震えがどんどん高まっていっています。ご主人様自身、歯の根をガチガチに鳴らして、それを必死に堪えようとしていますが、もう後が無いのは目に見えて分かりました。
 
 「ひゃいぃっ♪くだしゃいっ♪ご主人様のせーえき全部っ♪じぇんぶ、わたひの子宮にくだしゃいぃぃっ♪イくのが止まらないわらしのしきゅぅにトドメ差してぇぇぇ♪」
 
 そう言った瞬間、ご主人様の腰が大きく引きました。入り口近く所か亀頭が半分見えてしまっているんじゃないかと思うくらいのそれは例えるなら弓を引き絞る姿でしょう。次の動作への準備の為に力と助走距離をつけるそれは私にとって一種、芸術的でさえありました。愛しいオスが私を孕ませる為に…今から最高の一突きをくれようとしてくれているのですから…陶酔の感情さえ覚えてしまうのです。しかし、それに浸る間もないまま、一気に子宮口を目指して放たれたその一突きに私の意識は一気に高みへと押し上げられていくのでした。
 
 「ひゃううううううううううううっ♪♪♪」
 
 ただでさえ、強すぎるその一撃で、身体中が震えるのに…子宮のお口とぶつかった亀頭が射精を開始するのです。待ち望んだ精液に子宮口が歓喜で震えつつも蠢かせて、精液を一滴残らずじゅるじゅると吸い取っていました。渇いて渇いて仕方の無かった子宮の中にようやく精液が入り込む感覚は…私の全身を蕩けさせ、身体の境界線さえ認識出来なくしていくのです。しかし、その一方で今までにない強い抽送で生まれた激しい絶頂が私の身体中を駆け巡っているのでした。否応無しに自分の身体を認識させられてしまうその絶頂と、ご主人様と溶け合うような達成感が私の中でぶつかり合い、脱力しているはずの身体さえ身悶えさせるような悦楽を産むのです。しかし、どれだけ身悶えしても、ガッチリと腰を捕まえられ、引き抜けないように開いた亀頭で子宮口を押さえられた私に逃げ場なんてありません。寧ろ身悶えすればする分、オチンポと擦れ合う部分が変わって激しい快感へと変わるでした。
 
 「来てりゅぅぅぅっ♪ごしゅじんしゃまのせーえき来てましゅぅっ♪ゴキュゴキュってぇじぇんぶ飲みましゅっ♪だかりゃぁ…もっと一杯らひてぇぇぇ♪」
 「一……ツ…葉ぁ…!」
 
 この五年間で鍛えに鍛えられたご主人様の射精は、数秒程度では終わりません。まだまだ出したり無いとばかりに後から後から精管を通って、子宮へと入ってくるのです。熱くて甘いその精液の波は、ずっとそれを欲していた子宮をまるで労わるように優しいものでした。そんなものを…何度も何度も注ぎ込まれてしまった私はさらに絶頂を高いものにしてしまいます。自然、私の境界線が薄れていくのに従うように、私の意識もドンドンと…薄く…なって………。
 
 「ふゅぁ……ぁ…♪」
 
 私が気づいた時にはもうそれは始まってしまっていました。余りにも気持ちよかった所為でしょう。私の股間からは黄金色の液体がちょろちょろと漏れ出してご主人様の腰を汚していました。まだ殆ど飛んだままの意識の中でも、それはご主人様にとっていけないものだ判断し、必死でそれを止めようとしますが、快楽に蕩けた身体はまるで言う事を聞いてくれません。それどころか自分の愛しいオスに自分の匂いを着けている様で…自分の大事なものを自分自身で穢している様で…倒錯的な快楽を私の胸に齎すのです。
 
 「も…申し訳ありましぇん…ごしゅじんしゃまぁ……♪」
 
 甘えた声で謝るのはご主人様を穢してしまった事なのか…それともご主人様を穢してしまっている事に興奮している所為なのか私自身にも良く分かりません。渇いた子宮が少しだけ潤って激しい絶頂の坩堝に満足したとは言え、まだまだ快楽に浸っている思考は鈍く、殆ど物事を考えられないのですから。
 
 「気にするな。洗えば良いだけだからな」
 
 そう言って、興奮の余熱に赤く染まり、涙の跡を幾つも残す私の頬をご主人様はそっと撫でて下さいました。私の身体と同じように、興奮で熱くなっている手で撫でられるのは途方も無く幸せな感覚です。さらに私を見下ろす目にも理性と共に労わるような光りが戻ってきていました。一度、射精したのでさっき注ぎ込んだ妖力の力が弱まったのでしょう。何時も通りの優しいご主人様の顔に愛しさが湧き上がりますが…それと同時に胸を鷲掴みにされるような辛さが襲い掛かるのです。
 
 ―わ…わらし…あ、あんにゃに…乱れ…てぇ…。
 
 思考さえ蕩楽に痺れていますが…それでも言葉を浮かび上がらせることは出来ました。それくらい私にとってそれは重要な事であったのです。だって…ご主人様の前でもアレだけ乱れたのは初めてなのですから。そりゃ…普段からたっぷり愛して頂いているので…淫語を口走ったことは山ほどあります。しかし…さっきは私が何時も制止を掛ける様なものまで簡単に口から飛び出してきていたのでした。ご主人様を気持ちよくするために腰を振ることも出来ないまま…ただ、快楽を貪るメスの姿を見られてしまったのです。それが…快楽の中でならば良いでしょう。しかし……しかし、冷静になった時、ご主人様がどう思うかなんて…考えたくもありません。
 
 ―それに…わらひ…もう前みたいにはなれにゃいぃ…。
 
 これだけの快楽を味わった今…昔のように使役狐としての矜恃で自分の性衝動を抑えることなんてできません。きっと淫らなメスの本性を丸出しにして、ご主人様がお傍に居るだけで、何時でも何処でも発情しちゃうメスになってしまったのでしょう。今は…こうして快楽の余韻の中で少しだけ冷静になる事が出来ていますが…それも何時まで続くかはわからないのです。普段だって一回や二回の射精では満足できずに最低、五回は愛していただいているのですから。抑えていた理性や矜恃が蕩けて…メスの本性を剥き出しにした私がこれで終わりとは到底、思えません。再びメスの本性を剥き出しにした時…冷静になったご主人様に幻滅をされない自身が私にはありませんでした。
 
 ―だからぁ……っだから…ご主人様もまた…オスになってきゅださい…ぃ♪
 
 誰だって交わりの最中であれば淫らなメスの方が良いでしょう。嗜虐的な嗜好の強いご主人様だって、その欲求はあるとおっしゃられていました。ならば…ご主人様とずっと交わっていれば、私に幻滅される事も無いのです。ずっとずっと…ご主人様に愛してもらえるのであれば淫らなメスから戻れなくなった私でも…誠示朗様のお傍に居る事が出来るのですから。無論、それは解決を先延ばしにするだけの欺瞞だと…私自身にも分かっていました。だって…ずっとずっと交わり続けるなんて不可能なのです。それを前提にしたこの方法は私自身を騙そうとする欺瞞でしかありません。しかし…しかし、それでも私はその一縷の希望に縋るしかなかったのです。
 
 ―たぁっぷり注いであげましゅからぁ…♪よぉりょきゅたぁっぷりで…ぇまた犯ひてくだしゃいぃ…っ♪
 
 身体はもうこれ以上無く蕩けて指一本動かせないくらいなのに、妖力だけは私の中で元気に燃え上がっていました。まるでご主人様に頂いた精液でさらに燃え上がっているかのようにそれは激しく強いものであったのです。その妖力を私は再びご主人様へと送り込むのでした。
 
 「一ツ…葉……?」
 
 しかし、ご主人様も一度射精されている所為でしょうか。その効果は先ほどと比べて劇的なものではありません。さっきはすぐにその顔に欲情の色を浮かべられたのに今はまだ戸惑いのような色が強いのですから。その戸惑いの色をオスの本能で塗り替えて頂こうと私はさらに激しく妖力を注ぎ込むのです。
 
 「止めろ…っ一ツ葉…!私は…お前に話…が…っ!!」
 
 しかし、どれだけ注ぎ込んでもご主人様はそれに抵抗するのです。無論、至近距離から流し込む妖力を完全に防ぎきる事なんてできません。ご主人様の顔にも再びオスの本性が顔を出し始めているのです。しかし、私の妖力を必死で捌こうとしているご主人様が完全にオスに堕ちられるのにはまだ時間が掛かるでしょう。
 
 ―だからぁ……ぁ♪お話にゃんてしないでぇ…私のオスになてくだしゃいねぇ…♪
 
 「ちゅ…っ♪…んちゅぅぅ…っ♪」
 
 その気持ちのままに私は御主人様の首に両腕を回しながら、唇に吸い付きます。乾燥した冬の空気に中てられたのか何処かささくれ立ったその感触は、触れていて可哀想になるくらいでした。勿論、御主人様に恋焦がれるメス狐の私にそれは我慢できません。すぐさまその唇を癒して差し上げようと唾液をたぁっぷり塗りつけた淫らな舌が動き出すのです。そんな私から御主人様は逃げ出そうとされていますが、未だにその腰をがっちりと掴む両足とオチンポを押さえてている子宮口に逃げ場なんて殆どありません。さらに首の動きを阻害するように両腕があるのですから、身動きさえ取れない状態に近いのでした。
 
 「やめ…っ一ツ……っ」
 「んっ…♪ひゅぅぅっ♪……ふぁぁぁ…ちゅぅぅっ♪」
 
 御主人様の唇から漏れ出るようなその声を閉じ込めるように私の唇もまた激しく御主人様に吸い付きました。舌が唾液を塗りこんで潤いを与えたそこを、唇の裏側で癒すように何度も口付けを落とすのです。勿論、触れ合った箇所から妖力を注ぎ込むのも忘れません。御主人様の言葉を防ぐように何度も何度も繰り返したその愛撫に誠示朗様の理性の色もどんどんと薄れていっていました。御主人様は我慢強いお方ではありますが…同時に高い精力を持つお方でもあるのです。私もそうですが、誠示朗様自身も一度や二度の射精で完全に満足する事なんて出来ません。
 
 ―あはぁ…♪もぉ少し…ぃ♪もう少しでまたぁ…また犯して頂けますぅ…♪
 
 少しずつ呂律が戻ってきた思考とは裏腹に、私の子宮では再び欲情の炎が燃え上がり始めていました。未だ身体中を痺れさせるような余韻は残っていますが、さっき両腕を動かした通り、身動きがとれない程ではありません。身体が痺れる様に感じると言う事自体、感覚が戻ってきている事の証左でしょう。しかし、感覚が戻っていると言う事は、未だ交わりに飢える身体を意識してしまうと言う事でもあるのでした。その身体に応えるように私のメスは再び暴れ出し、欲情の炎を舞い上がらせているのです。
 
 「ぷぁっ♪…うふふ…♪…お話なんて後で宜しいじゃありませんか…ぁ♪それより…今はぁ…♪」
 
 その言葉と同時に腰を左右に揺らします。それはオチンポをガッチリ銜え込んでいる私のオマンコを揺らす程度の小さなものでしたが、効果は絶大でした。まだ私のオマンコを押し返す程の硬さこそ保っているものの、射精寸前の大きさより大分、小さくなったオチンポがビクビクと震えて大きくなっていくのです。御主人様のオスの部分がとても興奮してくださっていると言う事に、私のメスも強く燃え上がり、子宮に甘い疼きを走らせてしまう程でした。
 
 「御主人様のもまだこんなに硬くて太いのですもの…♪満足…されていないのでしょう…?」
 「う…くぁ…っ!」
 
 耳元でそっと囁いたその言葉に御主人様のオチンポがビクビクと反応してくださいます。言葉一つでこれだけ興奮してくださる事に、私も子宮の底から悦びを感じてしまうのでした。その悦びを胸に秘めながらそっと顔を離すと……そこにはオスの本性を強く前面に出した御主人様の顔があるのです。さっき私に襲い掛かったときのように強い獣欲を曝け出したその姿に私の子宮は強く疼いて、犯して欲しいと叫んでいるようでした。
 
 「そう…だな…。私も…もう…我慢……が」
 「きゃふぅ…っ♪そうですよぉ♪我慢なんてしなくても良いんですぅ♪ううんっ♪我慢しちゃいけませんンっ♪犯してぇ♪いっぱい射精して下さるのが一番、健康に良いんですよぉ……♪」
 
 囁くようなその言葉に御主人様は背筋をブルブルと震わせて、私の腰を再びがっしりと掴みました。まるでこれから犯すと宣言されているような力強いそれに胸が躍るのも束の間、再び始まった抽送に私の意識は吹き飛びそうになってしまいます。
 
 「あっはあぁぁぁっ♪きたぁぁぁっ♪またオチンポきたぁぁっ♪」
 
 それはさっきまでの奥だけを攻める物ではなく、入り口近くまで引き抜いて一気に奥まで腰を進めるような力強いものでした。敏感な奥だけを蹂躙するさっきまでと比べれば、その快楽は若干、物足りなくもあります。しかし、有象無象の区別なく全て御主人様に蹂躙されるような抽送は、まるで全身を愛してもらっているような満足感がありました。一突き毎に私のオマンコの全てを味わって頂けるのですから、それはそれほど遠いものではないのかもしれません。そして、敏感な子宮のお口とゴツンとぶつかる度に、またあの爆発のような激しい絶頂が私の全身を襲うのです。入り口まで引き伸ばされているので頻度こそそう多くはありませんが、私の全身から感覚を奪うには十分すぎるものなのでした。
 
 「きゅうぅぅぅんンっ♪気持ち良いっ♪またぁっ♪まら全身オマンコになっちゃいますよぉっ♪全身オマンコぉっ♪御主人様に全身愛してもらうのぉぉっ♪」
 
 無論、その激しすぎる絶頂は私の意識をあっさりと消し飛ばしてしまうのです。後に残るのは絶頂を享受し、その余韻に震える快楽神経と、ほんの一握りの思考能力だけ。まるでさっきの繰り返しのような状況ですが…それも仕方ないでしょう。だって…子宮の奥から弾けるようなその絶頂は本当に気持ち良過ぎるのです。一度や二度では慣れる事が出来ない所か、寧ろそれが無いと落ち着かなくなってしまうくらい中毒性に溢れているのですから。そして、私のメスはもうその絶頂に溺れてしまい、強い中毒に陥っていたのです。
 
 「ひゃうぅぅんっ♪しゅてきぃ…っ♪ひとちゅき毎に弾けりゅっ♪弾けりゅのぉっ♪頭真っ白になってねっ♪ごしゅじんしゃまだけになっちゃうのれすぅっ♪」
 
 そして、その絶頂で充足している今の私の子宮は嬉しそうに何度もその身を震わせて御主人様の亀頭へと吸い付いていました。そしてまた御主人様もそれに応えて、最奥まで突く度にぐりぐりと入り口を抉ってくださるのです。その度に私の頭は真っ白に染まりそうになって、身体中が強い満足感に包まれるのでした。それは眠気さえ誘うような強いものでしたが、何度も何度も与えられる絶頂の前で眠気なんて訪れるはずがありません。自然、私は満足感と激しい快感の間でその身を広げて両方を受け止める事になるのです。
 
 「一ツ葉…私…は……お前を悲しませるつもりは…無かった…んだ…」
 
 しかし、その満足感に水を差す声がします。それは途切れ途切れで口から漏れ出る様な小さなモノでしたがはっきりと私の耳に届いていました。聞こえるはずのないその言葉に驚いて、御主人様の顔を見るとそこにはやっぱり理性を失ったケダモノの顔があります。しかし、その唇だけはボソボソと小さく動いて、言葉を紡いでいるのでした。
 
 ―ど、どうして…!?そんな…そんな事出来る筈が…!?
 
 驚いた思考の一部が冷めて、そんな言葉を浮かび上がらせます。しかし、それも無理無い事でしょう。だって…御主人様はもうケダモノになっているハズなのです。さっきから腰は激しく動いたままですし、瞳には理性の色が決して見えません。荒い息は短い頻度で何度も紡がれ、御主人様の強い興奮を伝えているようです。口元からも涎が溢れて私の肢体に零れ落ちていました。しかし、しかし、それでも御主人様は必死に口だけを動かして私に何かを伝えようとしています。
 
 「源重郎から護ろうと…なんて…言い訳…だ…。私…は…源重郎の前で…お前を…護る自信が…なかっ…た…」
 「い、嫌…っしょんなの聞きたくないです…っ!それよりも…ぉ♪もっと気持ち良い事しましょぉ♪もっともっともっともっとぉぉっ♪」
 「それで…一ツ葉を傷つけてしまうなんて…考えも…しなかった……。三ツ葉様に…教えてもらうまでは…気づきも……本当に…すまな…い…」
 
 反射的にそう応えますが御主人様の唇は止まりません。そもそも私の声が聞こえているかどうかさえ妖しいものでした。だって、御主人様の身体は今も必死に私を貪ってくださっているのです。私の子宮のお口をこじ開けようとしているかのように激しく強く腰も振るわれているのです。しかし、それでも御主人様の唇だけは決して止まりません。まるでそこにだけなけなしの理性を宿したようにたどたどしく言葉を紡がれているのです。
 
 「源重郎の…話……は…婚姻に…ついて…だった……。そろそろ…一ツ葉にばかり構っていないで…身を固めろ…と…。そんな話を…お前…に聞かせたら…また…気にする…だろう…と……思った…んだが…それも…言い訳…に…なる…かな」
 
 御主人様の紡がれた言葉は私の胸に突き刺さる刃のようでした。それは…一応、予想はしていた事なのです。もう御主人様は齢二十を超えておられるのですから。妙齢で独身の殿方を放っておくほど、世情と言うのは甘くはありません。何れは結婚されると言う事は理解していました。その相手が…きっと私ではないこともまた。だって…何処の世界に何の後ろ盾もない狐との結婚を赦す豪族がいるでしょうか。婚姻と言う儀礼一つ取っても権力が絡む構造に私たちは居るのです。だから…それは最初から諦めていた事ではありました。……でも………。
 
 ―嫌…っ!御主人様は…っ御主人様は私の殿方です…!誰にも…誰にも渡さない…っ!!!
 
 そんな気持ちは…どうしても浮かび上がってくるのです。それを抑える事は私には出来ませんし…そもそもする必要はないでしょう。だって…それは当然の気持ちなのですから。御主人様の魅力も何もかもを知っていて、一番近いメスは私です。決して名前の知れない令嬢などではありません。そして、そんな令嬢と仮面夫婦のような生活を重ねてただお世継ぎを作られるなんてお互いにとっても不幸なはずなのです。ならば…お互いを良く知る私と一緒になることが御主人様にとっても一番、幸せでしょう。
 
 ―だからぁ…だから…もうそんな事…そんな事言わないでください……ぃ…。
 
 何処か心の中で予想はしていた事ですが…これだけ早く帰ってきたと言う事は説得は失敗したと言う事でしょう。あの源重郎様がこれだけの短時間で折れるとは到底、思えません。無論、はっきりと源重郎様への反意を示された御主人様がそう簡単に折れたとも思えませんが、少なくとも一度目の接触は失敗に終わったと思うべきです。それは…それはつまり…私にとって余り想像したくない未来が近づいたという事でしょう。そして…その想像したくない未来が御主人様の口から事実として語られるのを恐れて…私の身体は御主人様に再び妖力を流し込もうとしました。
 
 「きゃふぅぅっ♪やぁ……♪御主人様ぁぁ…っ♪」
 
 しかし、それも御主人様の激しい抽送に邪魔されて上手くいきません。さっきまではまるで指先を動かすように簡単に妖力を制御する事が出来たのに、今はその考えだけが浮かぶだけで吹き飛ばされてしまうのです。奥まで突かれる度に、指先さえ思考さえ動かせない絶頂が湧き出てくるのですから当然でしょう。それを堪えようにももう既にその絶頂に染まりきってしまった私に抑える事は出来ません。
 
 「源重郎の…屋敷…について…まず三ツ葉様を…頼ったが……すぐに…書斎へ案内…された…。案外…アイツも…待っていたのかも…知れない……な」
 
 そして、勿論、ポツリポツリと漏らすような御主人様の言葉は止まりません。もう結末は分かっているのに焦らすような御主人様の唇は小さく動きながらも必死に言葉を紡ぎ続けていました。しかし、私はそれを…決して聞きたくはないのです。結末が分かっているのも無関係ではありませんが…御主人様にまだ理性が残っていると言う事自体…信じたくないのですから。だって…御主人様に理性が残っていると言う事は、今の淫らな私のメスの姿も、また何処か冷静な視点で見ておられると言う事なのです。そんなの…御主人様に見放されたら…もし幻滅されてしまったら生きていけない私は許容できません。出来る筈も無いのです。だから、私は御主人様の唇を封じようとそっと目を閉じて顔を近づけていくのでした。
 
 「んあぁあぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
 
 しかし、その瞬間、私の視界がぐるっと移動したのです。それは力が抜けて御主人様の腰から離れた私の片足を御主人様が肩に乗せて体位を変えられた所為でした。無理矢理、横を向かせられるような感覚と共に、まるでオスを誘い込むようにぱっくりと開いた私のオマンコがまた違う角度からゴリゴリと削られていくのです。
 
 「あっきゅうぅんっ♪ひ、ひきょうれすぅ…♪こんなぁ…何も出来にゃいのぉ…♪いじわりゅですぅ…っ♪」
 
 まるで私の行動を全て見透かしていたような御主人様に快楽に痺れる口から甘えたような声が向けられますが、御主人様は相変わらず聞こえていないかのように腰を振っています。一回一回、腰同士がぶつかる度に肉が弾けて「ぱちゅぱちゅ♪」と鳴るその抽送は、相変わらず激しく、乱暴なものでした。しかし、さっきまでとはまったく違う場所を重点的に削られる感覚はやっぱり違った快楽を産んでいるのです。どちらが上か下かなんてありませんが、刻み込まれるようなその新鮮な快感に私の身体はさらに蕩けて腰がガクガクと震えてしまうのでした。
 
 「私は…源重郎の前で…奴…の話…を断った…一ツ葉が…居るから…と……断った…んだ…。だけど…奴は………」
 
 その言葉は私にとって決して聴きたいものではありません。残酷な結末しか待っていない話を…誰が好き好んで聞きたがるでしょうか。しかし…何時もは私の気持ちをすぐに悟ってくださる御主人様は残酷なまでに言葉を止めようとはしませんでした。まるでそれを告げることが自分の使命だといわんばかりに固い意志を持って、口を動かされるのです。どれだけ顔に獣欲を浮かばせていても、どれだけ妖力を注ぎ込んでも…決して揺るがない芯の強さを見せ付けられているようでした。まるで…メスに堕ちてそこから昇る事を最初から諦めてしまった私を励ますかのように…御主人様は言葉を紡ぎ続けるのです。
 
 「あいつは…笑った…笑ったんだ…。あの…源重郎が…少し…笑っ……て…ただ一言…そうか……と…それだけを…言って…」
 「ごしゅ…じんさまぁ……♪」
 
 その強い御主人様の意志に…私はもう目を背けられなくなってしまいます。もう…耳を塞ぐ事さえ考えられません。金剛のような芯の強さを持った御主人様の言葉を私はただ受け入れるしかないのです。どれだけ身を捩ろうとも、耳を塞ごうとしても、逃げる事さえ私には赦されません。ただ、御主人様の意の通りに、その言葉に耳を傾けるしかないのです。
 
 「そして…男が……一度…決めた…の…なら…幸…せに…してやれ…と…何時まで……迷って…いる…つもり…だと…」
 「あぁぁっ♪」
 
 その言葉は…私にとって信じがたいものでした。だって…そんな事有り得るはずがないのです。私が聞き知る源重郎様は…身内でさえ政略の道具にする事を厭わない所か損得の為に身内を切り捨てる事を躊躇わない男性なのですから。そんな男性が…損でもなければ得でもない私を認めるなんて…そんな事…まるで夢みたいです。けれど…御主人様から与えられる鮮烈な絶頂がこれが決して夢ではない事を教えてくれるようでした。でなければ…これが御主人様の作り話と言う事ですが…この状況でそんな話をする程、御主人様は決して…不誠実な男性ではありません。
 
 「ホント…?本当…なのれすか…それ…はぁ…♪」
 「ここで…嘘な…ど……言うものか…っ!!」
 
 あまりに信じられなくて漏れ出たその言葉は御主人様の真摯な声にかき消されてしまいます。それだけで…私の胸は一杯になってしまいました。これが夢ではなくて…優しい嘘でもなくて…本当に現実だという実感が私の中にふつふつと沸いてきたのです。胸一杯に溜まっていた快楽さえ押し退けて、広がるその感情は…快楽に蕩けた私では、決して分かりません。愛しさと切なさと…罪悪感と…嬉しさと…他にも色々な感情が混ざったそれは…思考が快楽一色になる以前であっても名前の付けられないものであったでしょう。そして…その感情は私の胸からすぐさま溢れて、私の目尻から快楽のではなく、歓喜の涙を流させるのです。
 
 「だから…私は……お前に…早く告げて…安心…させて……やろうと…馬を…借り……て、ここま……でぇ…っ!」
 「ご、ごめんなしゃ…ごめんなしゃいぃ…ごひゅじんしゃまぁ…ごめんなさいぃ…っ」
 
 必死で謝罪の言葉を口にする理由は…それこそ思いつくだけで四つはあるのです。御主人様を最後まで信じきることが出来なかった事。御主人様が必死で帰ってこようとしている時に私が自慰に浸っていた事。メスの本能にあっさりと敗北し…こうして御主人様の言葉に感動しつつも理性を殆ど取り戻せない事。そして御主人様の気持ちを何も知らずに…誘惑をした事。…他にも雑多な事を含めればそれこそ数え切れない量になってしまうでしょう。そして、今までは快楽に飲み込まれていたそれらが、御主人様の言葉を皮切りにドッと私の心へ圧し掛かってくるのです。そして、その余りの自責に押し潰されそうになった時、御主人様は全てを赦すようにそっと私の頬を撫でてくれました。溢れ出る涙を拭い去るような優しいその撫で方に押し潰されそうだった私の心がそっと軽くなるのです。
 
 「気…にする…な…。それより…一ツ……葉…私と……結婚……してくれ…ないか…」
 「ひゅあぁぁぁんっ♪」
 
 その言葉と共に再び奥までオチンポが入り込んで、子宮のお口をコツコツと叩きました。まるで私の返事をオネダリしているようなオチンポに思わず、私の口から甲高い快楽の声が飛び出てしまうのです。しかし、それは私にとって僥倖でさえありました。だって…私自身、御主人様の求婚にどう応えればいいか分からないのですから。勿論、御主人様がこうして私に結婚を申し込んでくださることは涙が出そうになるくらい嬉しい事でした。しかし…しかし、その一方で私の胸には未だ強い自責がしこりとなって残っているのです。昼であれば…まだ素直に受けられたかもしれませんが…しかし、理性も矜恃も放り出してしまった今…私がそれを受けて良いのか…とどうしてもそんな事を考えてしまうのでした。
 
 「い…良いんれすかぁ…♪わらひぃ…こんにゃ…メスきちゅねなんですよぉ♪ごしゅじんしゃまとぉ…♪やらしいことする事しか考えられにゃい…駄目な子なんでしゅよぉ…っ♪」
 「構う…ものか……っ!!」
 
 私の不安を吹き飛ばすようにはっきりと断言しながら、御主人様は肩に乗せた足に手をかけました。そして掴んだ足をご自分の頭の上に通してそっと床へと戻されるのです。身体に力が入らなくてベッタリと床に身体を預けているものの、今の体制は後背位と呼ばれるものでしょう。御主人様も私も大好きな体位へと変わった事とはっきりと断言してくださった事に私の胸のうちでは自責より歓喜の感情が強くなっていくのでした。
 
 「お前でなければ…一ツ葉以外と…誰が結婚…など……するものか…っ!一ツ葉も…そうだろう…!?私以外なんて…赦さない…から…な!!」
 「ひゃぁぁぃ…♪」
 
 それは…強い嫉妬を剥き出しにした言葉でした。ボソボソ喋っていた御主人様の声がはっきりと聞こえるほど大きくなるくらい…その声に含まれた嫉妬は強いものであったのです。今まで示されたことのない明白な嫉妬の感情に私の肌が粟立つほどの歓喜が吹き荒れるのでした。叩きつけられているようにさえ感じるほど強い嫉妬は…それだけ私が御主人様に愛されているという証左でもあるのですから。愛しいオスからはっきりと示される嫉妬に、独占される喜びを感じないメスはいないでしょう。
 
 「それ…にっ…!今だって…私の事…を……考え…てくれてる…じゃ……ないか…っ!結婚の…事…考え…て……いる…だろう…!?」
 「しょ…しょれはぁぁ……♪」
 
 私の言葉を否定するような御主人様の言葉に思わず反論の言葉が浮かんでくるのです。確かに…私は今…御主人様との結婚の事を考えていました。しかし…それは当然の事でしょう。それだけ真摯に御主人様が向き合ってくださっているのですから。御主人様でなければ…御主人様がこれだけ真摯に私の事を思って…オスの本能さえ捻じ伏せようとしてくださっているのですから…当然なのです。きっと私以外の誰であってもそうするでしょう。だから…それは決して私の長所にはなり得ません。寧ろ…そんな状況でさえ僅かな理性さえ取り戻せないメスが…どうして御主人様の奥方になれるかと…そんな不安さえ湧き上がってくるのです。
 
 「つべこべ…言うなぁ…っ!」
 「あきゅううううううううんンっ♪」
 
 そんな私の不安を吹き飛ばすように御主人様はだらしない腰を掴んで引き上げさせて、思いっきり腰を叩き付けて来られるのです。当然、今までになく甲高い肉同士の交わりの音が鳴り響き、まるでお尻を叩かれているようにさえ感じました。しかし…私が感じるのは痛みなどでは決してありません。発信源である子宮ごと蕩けてしまいそうな…淫らで激しい絶頂なのです。本当にケダモノのように犯されてる体位と子宮の奥まで征服されそうな抽送は一突きだけで身体の線が薄れていきそうな激しい絶頂を全身へと行き渡らせるのでした。
 
 「それより…なる…んだろう…!?私の嫁に……っならないと…赦さない…から…な……!!!」
 
 そう言うご主人様の声は大分、逼迫してきたものになっていました。恐らくは…もう射精が近づいて、なけなしの理性も危なくなってきているのでしょう。オマンコを押し広げるオチンポもまた大きくなろうとしています。一度くらいの射精では御主人様の精力はまだまだ尽きる事がありません。…何より妖力を注ぎ込んで興奮を助長させているのに、ここまで持ったことが逆に凄い事でしょう。そして…それは偏に私の為であったのです。そう思うだけで私の自責なんて軽く消し飛ばして…御主人様への愛情が湧き上がって来るのでした。そして、私の三対の尾は御主人様に甘えるように絡みつき……御主人様の腰を撫で回すのです。まるで意識していない尾の動きは私自身の感情を示しているようでした。しかし、その尾の動きも、私の心の中の最後の扉が開こうとしているのを止める事も…私にはもう出来ないのです。
 
 「なっなりましゅぅっ♪わらひぃ…御主人様のお嫁しゃんになるのぉっ♪いやらしい事一杯してぇっ♪子供たくしゃん孕みましゅうぅっ♪」
 
 そして開いた扉の奥から湧き出てくるのは…ずっと抑え込んで来た欲求です。何だかんだ言っても…私は御主人様が他の女性を娶られるなんて考えたくはありません。御主人様の精液は一滴残らず…全部、私に頂きたいのです。その欠片も・・・芳香さえも、別のメスには渡したくありません。そんな独占欲の強い私が…御主人様の求婚を跳ね除けられるはずが無いのでした。どれだけ自分を責めようとも…私はそれ以上に御主人様の事が大好きで、誠示朗様抜きで生きていけないほど強く依存しているのですから。
 
 「もっとぉっ♪もっとグチョグチョにしてぇ♪しきぅ耕してっ♪孕みたがってりゅ子宮ゴツゴツしてぇぇぇ♪」
 「あぁ…!孕ませて…やるぞ……!今日こそ……今日…こそ…子供を作るぞ…一ツ葉ぁぁ…!」
 
 御主人様のその声にはもう理性は消えてしまっていました。私が求婚を受け入れたので、もう我慢する必要はないと思われたのでしょう。欲情を多く含んだその声で御主人様がはっきりと「孕ませる」と宣言してくださった事に私の胸は際限なく高鳴っていくのでした。今までは…御主人様自身も何処か遠慮していたのか、その一言は決して口に出されなかったものです。交わりの最中でも冷静に勤めようとされていた御主人様から一度も聞いたことのないものでした。しかし、求婚した今になって、こうして言ってくださると言う事は…御主人様もまた我慢されていたのかもしれません。
 
 「ひゃいぃぃっ♪嬉しいれすぅっ♪たっぷりくだしゃいねっ♪子種汁じぇんぶわらひのおきゅに下さいぃっ♪」
 「あぁ…やるからな…!全部…一滴残らず…射精すからな………!」
 
 そのやり取りはまるで二人ともタカが外れてケダモノに堕ちていくようでした。御主人様も私も…もう孕ませる事しか、孕ませられる事しか考えられないのです。お互いに快感の為だけでなく、子供を作る為に…ケダモノのように必死で腰を振るっているのでした。御主人様の激しい抽送以外に、私自身も子種汁を求めるように快感に蕩けて使い物にならない腰を御主人様の方へと突き出すのです。そんな私に答えるように御主人様はそっと背中に覆いかぶさり、私の両手を布団へと縫いつけるように上から掴まれたのでした。
 
 「んはぁぁぁぁっ♪ガッチリ掴まれてりゅぅ…♪逃げ場無くて…奥までガッチリおかしゃれてますぅ…っ♪」
 
 まるで御主人様の身体が檻になっているかのように私を閉じ込めていました。前も後ろも左右さえも何処にも逃げ場がありません。前は御主人様の両腕に、後ろは御主人様の腰に、左右は御主人様のオチンポをがっちりと銜え込んでいるので、完全に阻まれてしまっているのです。窮屈にも思えるその体勢には叩き付けられる衝撃を外へ逃がす遊びさえありません。勿論、それはより激しく子宮が快楽に震えると言う事であると同時に、私の被虐性をゾクゾクと粟立たせるものでもありました。そしてそれは再び私の下腹部にむずむずとした排出の欲求を生み出すのです。
 
 「もっとぉっ♪もっと犯してくだしゃいぃっ♪ごしゅじんさまがしぇーえき出すまでぇ…っ♪ううんっ♪らしても犯してくだしゃいぃっ♪犯して…犯してぇ…気持ち良くなっれぇぇぇ♪わらひもイキッぱなしなんれすぅぅぅっ♪」
 
 そう言う私のオマンコから本日何度目か分からない潮が吹き始めました。御主人様にオネダリするように腰をガクガクと震わせて始まるそれは下に敷いてある布団をさらに穢していきます。しかし、私にそれを止める術はありません。余りに鮮烈過ぎる絶頂の波に意識を失う事も赦されないままなのでした。私が本当にその絶頂の波から解放されるのは御主人様が温かくて美味しい子種汁を私の子宮一杯に下さるか…もしくは御主人様自身が限界を迎えなければ難しいでしょう。しかし、御主人様が常人離れした射精量を誇るといっても、貪欲な私の子宮は一度や二度では決して満足しませんし、御主人様自身も我慢している普段から最低五回は射精していただいています。勿論…私がこの激しすぎる絶頂の波から逃げ出せるのは当分、先の事になるでしょう。
 
 「れもぉぉっ♪良いのぉ♪イキッぱなしいいんれすぅっ♪じぇんしんオマンコでごしゅじんしゃま感じるのしゅてきぃっ♪オマンコきゅうきゅうしちゃううぅっ♪」
 
 その言葉に従うように私のオマンコは何度目か分からないくらいきゅうぅぅっと御主人様を絞り上げるのです。まるで柔らかい肉襞全てを押しつぶすかのようにも感じるそれは、私により強くオチンポを意識させるのと同時に、御主人様にも激しい快楽を与えているのでしょう。それは私の膣肉を思う存分に蹂躙しながら、ピクピクと震え始めたオチンポからも分かります。はっきりと絶頂の予兆を感じさせるそれは私が御主人様をそれだけ気持ちよく出来ていると言う事を私の子宮にはっきりと伝えてくれるのでした。
 
 「ひゃふぅぅぅんっ♪オチンポぴくぴくしてりゅぅぅぅっ♪御主人様もイきそうなんれすねっ♪しゃせーしゅりゅんですねぇっ♪犯して…子宮にたっぷり子種汁びゅるびゅるしてくれるんれすねっ♪」
 「あぁぁ…っ!射精すぞ…一ツ葉…!全部…奥に射精すぞぉぉ…っ!!」
 
 切羽詰ったその声と同時に御主人様の抽送がより激しいものになっていきます。元々、遠慮の欠片もなかった強い抽送が、段々と激しくなって、今では子宮の扉さえ抉じ開けてしまいそうなものになっていました。そして…私自身もそれを望んでいるのです。御主人様のオチンポで…プリプリとした肉厚の子宮口をこじ開けて…私のメスの部分まで激しく御仕置きして支配して頂きたいのですから。その想像だけでも軽い絶頂を覚えてしまうくらい淫らな私に、その壊されてしまうような激しさを堪えられる訳がありません。口から目からアソコから…様々な部位から体液を垂れ流してよがり狂うのです。
 
 「はいぃぃぃぃっ♪くだしゃいねっ♪じぇんぶじぇんぶじぇんぶじぇんぶぅぅっ♪こだねぢる奥に吐き出してぇぇぇ♪」
 
 その瞬間、御主人様の亀頭が大きく膨れ上がりました。それは…御主人様の絶頂が始まった証でしょう。まるで射精の途中で抜けるのを防ぐような凶悪なカリ首に私が心躍らせた瞬間、御主人様は亀頭を一気に子宮の置くまで進めて…そして温かいものを吐き出してくださるのでした。
 
 「はきゅうううううううううううううっっっっ♪♪」
 「くぁ……ぁぁぁぁぁっ!」
 
 ケダモノのような格好で味わうその射精は正常位で味わうそれよりも…遥かに激しく私の子宮を打つのです。奥の奥までぴっちりと密着して放たれる射精は私の子宮口が吸い上げるまでも無く、子宮まで飛び込んでくるようでした。まるでもぎ取ろうとしているかのように、快楽の津波を伴って子種汁が子宮を目指して襲い掛かってくるのです。子宮の奥の奥まで陵辱されるようなその激しい射精に私が我慢できるはずがありません。下腹部を意識する間も無く、再び布団の上で潮を噴いてしまうのでした。もし、さっき失禁していなければ、再び粗相をしていた事でしょう。それほどの快楽が再び私の身体に襲い掛かっているのでした。しかし…それは恐ろしい事にただ快感だけではないのです。
 
 「きゅぅぅぅぅんっ♪変わっちゃうぅっ♪わらひ変わっちゃうよぉぉぉっ♪おきゅのおくまでぇっ♪しきぅに教え込まされてりゅっ♪ごしゅじんしゃまのお嫁しゃんだって教えられてますぅぅぅっ♪」
 
 求婚後、初めての射精はまるで焼印のようでした。しかし…それは以前までの「御主人様専用のメス狐」である事を刻むための物ではありません。「御主人様のお嫁さん」である事を子宮に刻み込むものであるのです。私の最もメスである子宮に刻み込まれたその認識は身体中が蕩けてしまいそうな激しくも優しい絶頂と共に身体中に波及して、私の身体中を組み替えていくようでした。指先一つ一つが御主人様のメスではなく、御主人様のお嫁さんであると上書きされる感覚は…例えようもない幸せを私に与えてくれています。その幸せは身体中が真っ白に染まって消えていくような絶頂と共に…今、此処で死んでも良いとさえ思える程でした。
 
 「ごひゅじんしゃまぁぁっ♪わらひっ……わらひぃぃぃぃっ♪」
 
 けれど…その一方で御主人様のお世継ぎを産まずに死んでしまう訳にはいかないと思うのです。何より…御主人様をお一人にする訳には参りません。こうして…娶った私が死んでしまったら御主人様がどれだけ嘆き、悲しまれる事か。それを思うと…決して死ねないと言う気持ちがふつふつと湧き上がってきます。しかし…思いを通じ合わせた所為か御主人様の射精は二回目であってもまだまだ止まらず、何度も何度も痙攣して私の子宮に精液を贈ってくださるのでした。無論、その熱い子種汁を浴びる私の子宮から湧き出る身体中を真っ白に塗りつぶして消すような快楽も止まりません。死の予感さえ感じる激しすぎる快楽に私は耐えるように御主人様の手を握り締めるのでした。
 
 「いきゅうぅぅぅぅっ♪イきしゅぎて死んじゃうぅぅっ♪白にぃ…♪真っ白になって消えちゃうぅぅっ♪ごしゅひんしゃまぁぁぁっ♪」
 
 必死で御主人様の名前を呼ぶ私の手を御主人様はぎゅっと握り返してくださいました。それは御主人様が射精の快楽に堪えきれず、手に力を入れられただけなのかもしれません。しかし、原因はどうであれ…それは私にとてつもない安心感を下さるのです。もし、ここで快楽に飲み込まれても…きっと御主人様が助け出してくれる。そんな根拠のない安心感と信頼を御主人様の手から感じた瞬間、私の意識はふっと遠くなり、白の彼方へと飲み込まれていきました。
 
 ・
 ・
 ・
 
 「……一ツ葉……」
 「う…ぁ…♪ひゅぅ…ん…♪」
 
 耳元で荒く息をつきながら私の名前を囁くような御主人様の声にふっと私の意識も戻ってきました。恐らく意識が飛んでいた時間はそう長いものではなかったのでしょう。私と御主人様は未だ後背位の形でくっついていますし、耳元に聞こえる御主人様の口からは絶頂の余韻か荒い吐息が聞こえていました。未だ萎えない御主人様のオチンポが私の子宮をピクピクと擦っている事から、長くて数分…短くて数十秒程度の間だったのでしょう。
 
 「…大丈夫…か?」
 「ひゃぁ……ぅンっ♪」
 
 心配そうに私に囁く御主人様に必死で応えようとしますが、私の声は中々、上手く言葉を紡いではくれません。まるで身体中が寝起きであるかのように鈍く、反応もまた重いのです。余りに大きすぎる快楽の代償なのでしょうか。じんじんと身体中に響くような余韻がまるで収まらない事と相まって、指一本動かせない状態に不安を感じないでもありませんでした。しかし、私の身体を護るように圧し掛かる御主人様の熱くて逞しい身体にそんな不安も吹き飛ばされていくのです。
 
 「大丈夫そうじゃ無さそうだな…。少し横になって……」
 
 しかし、言葉一つも返せず、身体中を絶頂の余韻に震わせていただけの私に心配したのでしょう。御主人様はそう言いながら私の手を離そうとされました。それは私を一度、布団の上に寝かせて休憩させてやろう、という御主人様なりの優しさから出た行動だったのでしょう。しかし、私にとってそれは余りにも残酷な行動でした。快楽に喘ぐ臓器が呼吸さえ困難にしているように感じる今の状態で御主人様との繋がりが絶たれることは私にとって地獄に落とされるのにも等しい感覚なのですから。そして、その地獄へと片足を踏み出すように御主人様の腕が離れていく感覚は、私の四肢に一瞬だけ力を取り戻させるのです。そして、力の緩んだ御主人様の手を私の両手が逃がさないようにがっちりと掴むのでした。
 
 「一ツ…葉…?」
 「らめぇ…♪…ふ…ぁぁ…♪らめれすよぉ…♪」
 
 怪訝そうな御主人様の言葉に今度こそはっきりと伝えることが出来ました。その主張に少しだけ戸惑ったような気配が私の背中から伝わってきましたが、御主人様は小さく「分かった」と言ってそのままの姿勢で居てくださるのです。主語も無ければ、呂律さえマトモに回っていない私の主張を的確に理解してくださった事に嬉しさや愛しさと言った感情が胸の内から湧き上がってきました。しかし、それも未だ尾を引く快楽の余韻に飲み込まれていくのです。
 
 「はぁ…はぁぁ…っ」
 「ふゅあぁぁっ♪」
 
 しかし、未だ快楽の尾を引く私とは違い、御主人様は再び興奮してきたのか私の耳元で荒く息を吐かれるのでした。オマンコの奥に刺さったままのオチンポも再びさっきまでの力を取り戻そうとしています。それは抜かずに三回なんて珍しくとも何とも無い御主人様自身の精力の高さが原因なのか、それとも子宮の奥まで御主人様の子種汁で一杯にして欲しいと思う私が無意識に妖力を注ぎ込んだのか…分かりません。私にとって確かなのは…御主人様が…いえ、愛しい夫がさらなる交わりをお望みであるならば…妻としてそれを満たしてあげる勤めがあると言う事だけです。
 
 「うふゅ…♪ごひゅじんしゃまはまだまんじょくして無いんれすねぇ…♪良いですよぉ…♪こにょまま…ていこぉ出来ないわらひをぉ…♪たぁっぷり犯してください…♪」
 
 その言葉と共に私の尻尾が再び御主人様の腰に絡みつきます。まるで足の代わりに御主人様を逃がさないと言うようなその尻尾がくすぐったいのか御主人様は小さく呻き声をあげながらも中々、腰を動かしては下さいません。やはり未だ本調子ではない私の事が気がかりなのでしょう。背中にチラチラと気遣うような視線を感じるのです。
 
 ―もぉ…ご主人様ったらぁ……♪
 
 この期に及んで自分の興奮は二の次に私の事を考えてくださる御主人様の気持ちは勿論、有難い事です。しかし…しかし、私には矜恃があるのでした。それは妻としてであり、使役狐としてでもあり、女としてでもあって……メスに堕ちた瞬間、失ってしまったと思ったそれらの矜恃が…今、こうして私の胸に取り戻されているのです。そして…それら全てが御主人様に気持ち良くなって欲しいと…私の奥に精液をもっともっと欲しいと叫んでいるのでした。
 
 「わらひぃ…奥しゃんなんれふよぉ…♪らからぁ…せいじろぉしゃまに御奉仕するんれすぅ…♪」
 「一ツ葉……」
 
 無論…私のその言葉自体は今までと特に変わりはありません。今までだって内縁の妻も同じでしたし…御奉仕するのも使役狐として当然の事です。変わったのはただ一つ…私の心だけでしょう。私のメスの本性よりもさらに根底に刻み込まれた私の妻としての矜恃が…今、こうして交わりの場でも顔を出していました。そして、その前には欲情とて無力です。愛される事を知り、最上の地位と証を頂いた女は何物にも負けないくらい強いのですから。
 
 ―まぁ……メス堕ちしてた頃と…大して変わらないのはご愛嬌…でしょうか。
 
 しかし…今、こうして思考を取り戻す事が出来たり、尻尾だけでも多少動かすことが出来るのは、それらの矜恃のお陰です。少なくとも…快楽に浸ってそれを貪る事しか考えられなかった頃には無理であった事でしょう。無論…一度、ただのメス狐に堕ちた私の思考はそれ以前の物と完全に同じではありませんが…しかし、だからこそ、そこから這い上がった私の精神にはメスの本性を抑えられる自信が芽生えていました。
 
 「さぁ…♪あんまりぃ…奥しゃんに恥を掻かせないれくだしゃいぃ…♪」
 
 ―その言葉と共に私は再び御主人様に妖力を送り込みます。
 
 しかし、今度は御主人様の腰に絡み付いている私の三対の尻尾を通じて。密着する尻尾の毛一本一本から御主人様の肌へと直接、流し込んでいくのです。それはさっきまでの無造作な送り方とは違い、はっきりとした経路を確保した分、強力なものだったのでしょう。再びオチンポがガチガチに硬くなって、私のオマンコを押し広げ…そして御主人様が再び腰を動かし始めた事からもそれが良く分かります。
 
 「ふぁぁっ♪しゅてきぃ…♪まだまだしてくだしゃるんですねっ♪愛してくださりゅんですねぇぇっ♪」
 
 再びケダモノになった御主人様に貪られる感覚に、私もまたメスへと引きずり込まれるようでした。実の所…私はメスの本性を克服なんてしていなかったのかもしれません。妻としての私も、女としての私も、使役狐としての私も、全部が全部…メスへと堕ちる事に例えようのない悦びを感じているのですから。
 
 ―でも…私…幸せぇ……♪
 
 しかし、私にとってそれは本当に幸せな事であったのです。妻としても、メスとして、女としても、使役狐としても…嬉しくて幸せで涙が出るくらい…素敵な事であったのです。それを…もう私は我慢できません。ただ、御主人様の妻として、メスとして、女として、使役狐として…御主人様のオチンポから与えられる快楽を享受し、余韻が未だ残る身体を再び絶頂へ昇りつめていくのです。
 
 「もっとぉ♪もっと愛してくだしゃいねぇっ♪たっぷり精液くだしゃいねっ♪子種汁で今日こそ絶対孕ましぇてくださいねぇぇっ♪」
 「あぁ…!!」
 
 必死でオネダリする私の首筋にたっぷりと口付けを落とす誠示朗様に子宮の芯がきゅっと収縮しました。まるで子宮の最奥にある卵巣から卵子を搾り出すようなその動きは、私の錯覚であったのかもしれません。いえ…冷静に考えればその可能性が高いのでしょう。私は今まで一度もそんな感覚を感じたことがないのですから。しかし…その一方で…これだけ絶頂に揺れ動き、敏感になった子宮であれば、その感覚を感じる事が出来るような気もするのです。
 
 ―うふふ…今日は…今日こそはきっと孕む事が出来ますわ……♪
 
 ただでさえ、二回の射精でたっぷりと子宮に精液を下さった御主人様の興奮はまだまだ収まりません。きっと普段の五回を超えても、まだまだ子種汁を下さるでしょう。それこそ、私が言ったように子宮がお腹一杯になるくらい射精してくださるのかもしれません。そして…そんな子宮に今、卵子が降りていっているのです。精液で一杯になった子宮に卵子が降りれば…受精は確実と言って良いでしょう。無論、それは前提から間違っている可能性は否定できませんが…私にとって確かな予感であったのです。
 
 ―そして…私はそんな予感と幸せと嬉しさを全てひっくるめて…御主人様との交わりの中で一匹のケダモノに堕ちていくのでした…♪
 
 
 
 HAPPY END
 
11/09/16 23:18更新 / デュラハンの婿
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