連載小説
[TOP][目次]
本編終了後の二人
 『そこ』は形容しがたい程、広い空間でした。
 床一面に敷き詰められた畳は地平線の先まで広がって、何処まで伸びているのか把握出来ません。四方八方がそんな調子なので、壁さえも見えないのです。唯一、視界に映る壁らしいものと言えば、一本一本が美しい細工を施された梁の向こうに見える天井裏だけでした。しかし、それも吸い込まれてしまいそうなほど遠く、高いのです。まるで天に向かって突き出すような高い空間を幾つもの歪曲した梁が支えているが、『そこ』には梁と繋がっているべき柱一本さえもありません。無論、『普通』であれば、冒涜とも言える程、広大なこの空間を柱抜きで維持する事など出来ないでしょう。しかし、『そこ』は梁一つ軋む事無く、確かに存在していました。
 そしてそんな空間の中にポツンと一組の布団が置かれています。舞い落ちる紅葉を模様にした鮮やかな掛け布団とその下に広がる純白の敷布団は大きく、三人が優に寝る事が出来るでしょう。しかし、その敷布団の上には大きめの箱枕一基しかありません。そして、その箱枕には一組の男女が頭を預けていました。
 
 「…ん……♪」
 
 箱枕をもぞもぞと動かしながら、布団に挟まれた金色の髪が蠢きます。光を受け取るまでも無く、自ら眩いばかりの光を放つような光沢を持つその髪は、まるで太陽のよう。ただし、それは決して太陽に例えられるだけあって苛烈なようにさえも感じられるのです。しかし、ひょっこりと頭から飛び出た一対の耳がその印象を大分、穏やかなものにしていました。ふさふさとした毛に覆われ、思わず手が伸びてしまいそうなほど手触りの良さそうなその耳がピクピクと動き、辺りを伺っている様はまるで小動物のようにも見えます。その漠然とした可愛らしいイメージが、苛烈な金色の光を冬から春へと移る際の身体を温めてくれるような優しい光に変えていました。
 その金色の下にある顔立ちもまた穏和な印象が強いです。優しそうなイメージを見る人に与える、閉じたままの目蓋と垂れ下がった目尻。その下にポツンとある小さな泣き黒子は見事に目尻のアクセントとなっています。スラリと通った鼻筋は穏やかなカーブを描き、気の強さとはまったくの無縁でした。顔のラインも掌を誘うように細く美しい曲線を見せ付けているが、何処かふっくらとしていて器量を感じさせます。十人が十人とも振り向くような強烈な美しさを持っては居ないが、傍に居るだけで何処か心温まるような優しい雰囲気を持つ顔立ちをしていました。
 
 「…ん……うふふ…♪」
 
 そして金色の女性は辺りに何も変化がない事を確認した後、そっと身体を向き合っている男性の方へと寄せました。未だ安らかな寝息を立てている男性は、それでも起きる気配がありません。黒鉛のような艶のある黒髪をそっと箱枕へと預けたまま厚い筋肉で覆われた胸を緩やかに上下させているのです。その男性の年の頃は二十も半ばを過ぎた頃でしょう。堀が深く、一つ一つのパーツから自信と気の強さを感じさせる『オス』らしい顔つきを、安心しきったように変えて眠る姿は女性なら誰でも持つ母性愛を刺激するようです。無論、それを間近で見る彼女にとっては我慢が出来ません。彼の眠りをより優しいものにするために、そっと優しく撫でるのでした。
 
 ―そう言えば……今日は懐かしい夢を見ましたね……♪
 
 そんな風に男性を撫でている女性の胸にはそっと夢の内容が浮かび上がってきました。それは彼女が彼からプロポーズされた日の事です。嬉しくて楽しくて、辛くて悲しくて切なくて、愛しくて幸せであったその日の感情の動きは長い間生きてきた彼女の人生の中でも一、二を争うほど激しいものでした。今、こうして思い返すだけで当時の感情の波に飲まれてしまいそうなほどなのですから。そして、彼女はそれをゆっくりと反芻しながら、男性をそっと撫で続けるのでした。
 
 ―それにしても……アレから色んな事がありましたね…。
 
 彼女の手の中で安らかな寝息を立てる彼がいきなり新加茂の次期頭首に指名された事。彼女の始めての出産。慣れない子育てと様々な業務に追われる日々。しかし、何処か充実したその日々は、今の彼女にとっても輝いて見えるようでした。それも当然です。だって、大好きで大好きで胸が弾けてしまいそうな程愛しい彼女の夫が皆から確かに認められ、頼りにされていた栄光と、そして生まれた二人の子供と共に充実した毎日を送る愛情の日々なのですから。無論、その間、彼女が大好きな交わりの時間は減っていました。一日に十回に近いほど交わっていた二人がその半分も出来なくなってしまったのです。確かにそれに対しての不満はありましたが、彼女にとってそれ以上に愛しく…充実した日々であったのでした。
 
 ―けれど…そんな日々は長くは続かなくて……。
 
 彼女が思い返すのは男性が全てを失った日。彼女が産んだ二人目の子供が成人する直前の日の事。その日…彼は新加茂頭首と言う座を奪われ、新加茂と言う豪族さえなくなってしまったのです。――他の誰でもない『彼女』達の手によって。
 
 ―でも…私はそれを…後悔なんてしていません。
 
 その日、彼女もまた多くの物を失いました。男性に贈られた数多くの着物。一緒に選んだ思い出の品々。そして…二人の子供と会う時間。それらはもう取り戻せないものでしょう。しかし、それでも彼女は後悔する事はありません。こうして愛しい男性の傍を片時も離れない日々を作り上げることが出来たのです。無論、彼女は二人の娘の事も愛していますが、世界の全てが彼とそこから繋がる様々なモノで構成されている彼女にとって、今の生活だけでお釣りが来るくらい嬉しくて幸せな事なのでした。
 
 「んふふ…♪誠示朗様ったら…本当に寝ぼすけさんなんですからぁ…♪」
 
 男性を誠示朗と名前で呼ぶ彼女の声には強い陶酔と媚が浮かんでいます。頬も少しばかり赤く紅潮させており、興奮を目に見える形で伝えているようでした。もし、誰かが彼女の表情を見れば、甘えるような声と相まって、どれだけ誠示朗が好きなのかまるで見せ付けられているようにも感じるでしょう。しかし、彼女にとっては幸いな事にこの空間にはこの誠示朗と自分自身以外には誰も『居ません』。より正確に言えば『居る筈がない』のです。
 
 「そんな優しい顔をされたたら…また御奉仕したくなっちゃいじゃありませんかぁ…♪」
 
 聞く人も居ないのに言葉を漏らすのは、彼女自身を興奮させるのと無関係ではありません。まるで神聖な誓いを立てるように自分を奮い立たせていくのです。とは言え、頬を赤く染めた彼女が言う『御奉仕』は決して神聖さとは無縁のものでしょう。起きて早々、その声に誠示朗へと媚びるような色を浮かばせているのですから。寧ろ淫らなものである可能性の方が高いでしょう。しかし、はっきりと宣誓するように告げる彼女にとってはその『御奉仕』は神へと誓うものよりも大事で、聖なる物であるのです。
 
 ―…御主人様ぁ…♪愛してますぅ……♪
 
 胸の内で陶酔したように漏らす彼女の中には御主人様――つまりこうして撫でている誠示朗への愛情とそれに伴う欲情しかありません。それ以外の感情は全て押しのけられて欠片一つ存在しないのです。それも当然でしょう。だって、この女性は自ら御主人様と呼ぶ男性に身も心も捧げきってしまっているのですから。初めての恋も、初めてのキスも、初めてのプロポーズも、初めてのセックスも、他様々なアブノーマルなプレイまで、何もかも誠示朗で埋まりつくしている上に、最後まで奪われてしまっているのです。そんな彼女が誠示朗以外の事を考えるはずがありません。彼女にとっては御主人様と慕う男性の方が神よりも自分自身よりも大事で、尚且つ愛しているのですから。
 
 「さぁ…早く起きないとぉ…口付け…しちゃいますよぉ…♪」
 
 試すようにそう言っても、答える人は誰一人として存在しませんでした。普段、黒曜石のように意志の強さを輝かせている黒い瞳を閉じた向こう側で、未だ彼は夢に浸っているのですから。彼以外には彼女しか存在しない空間でどれだけ言葉を紡ごうとも、男性が眠っている今、返事が返ってくるはずがありません。ただ、怖いくらいにシンと静まり返った空間の中にすぅすぅと穏やかな寝息が響くだけなのです。
 
 「時間切れですわ……ぁ♪」
 
 その言葉と同時に彼女の顔一杯に喜色が浮かび上がります。それも仕方のない事でしょう。だって、彼女にとって大好きな誠示朗と少しでも触れ合える理由が出来たのは心が震えるくらい嬉しい事なのですから。無論、既に結婚し、何十年と連れ添った二人には遠慮と言う感情は殆どありません。しかし、彼女にとって理由も無しに彼へと触れることはとても危険な行為であったのです。
 
 ―あぁ……御主人様ぁ…すべすべですぅ……♪
 
 自分の夫兼主人兼オスである誠示朗の唇を口付け前にそっと撫でる彼女の顔には喜色を飛び越えて欲情が浮かび上がっていました。二人で過ごした長い長い時間の中で、既に彼女は彼無しでは生きられない身体にされてしまっているのです。こうして端がささくれ立った唇を人差し指でそっと撫でるだけでも、彼女の身体には堪えきれない熱が灯るのでした。そしてその熱に後押しされるように、彼女はそっと顔を近づけて、誠示朗の唇へと吸い付きます。
 
 「ちゅるぅぅ…♪ん…っ……ふぅ…♪」
 
 そして、彼女は唇同士を絡ませて、労わるように誠示朗の唇に舌を這わせるのです。時折、唇を吸い上げて刺激することも忘れません。そして、それが終わった後には何処か硬さの残る唇を、肉厚でぽってりとした柔らかい唇で扱きあげるのです。強いセックスアピール同士を絡ませあうようなそのキスに彼女の中の欲情も否応無く高まっていき、下腹部にピリピリと痺れを走らせ始めました。形を伴わないその痺れは普通の人間にとっては首を傾げるものであったのかもしれません。しかし、日頃、彼にこうしてキスをしている彼女にとっては、それは子宮の疼きの始まりであると理解できるのです。
 
 ―ふぁ…♪もう…子宮きゅぅきゅぅってしちゃいそう…♪
 
 出会ってから数え切れないほどの年月を一緒に過ごして尚、二人の間に倦怠期と言う言葉はありません。その交わりは常に気持ち良く、常に楽しく、常に美しく、常に愛しいものであるのです。色褪せる所か一日ごとにその色を濃くしていく交わりの事を思うとそれだけで彼女は最も貪欲なメスの部分を疼かせてしまうのでした。そして…彼女はそれを抑える必要が無いのです。
 
 ―だって……私…誠示朗様の奥さんですもの…♪
 
 結婚してからもかなりの年月が経つと言うのにその言葉を思い浮かべるだけで、彼女の胸は愛しさで一杯になるのです。温かくて、幸せで、嬉しくて、涙が出そうほど愛しい気持ちで胸が一杯になってしまうのです。しかし、それも仕方のない事でしょう。だって、女性にとって公然と男性を独占する事が出来る立場と言うのは特別なのですから。夫の子を孕み、常にその傍に寄り添い、愛し、慈しみ、時に苦言を呈しながらも、幸せな家庭を築いていく事を許可された『妻』と言う立場はどんな女性でも憧れてしまうものです。まして彼女はその立場を何度と無く諦めた経験があるのですから。諦めて…でも、諦め切れなくて、心の何処かで求め続けるのを止められなかったその立場に、様々な紆余曲折を経て、彼女は立つことが出来ているのです。その嬉しさは年月の中で決して衰えるものではありません。
 
 「ぢゅる……ぅ♪んふゅう……くちゅぅぅ…♪」
 
 その嬉しさと愛しさを込めて彼女は誠示朗の唇にたっぷりと唾液を塗りつけていきます。まるで誠示朗が自分の物であると主張するかのように、他のメスが寄り付かなくするように、何度も何度も熱心に。それは一種、病的にも見えた事でしょう。何度も何度も塗りつけようとしている唾液が誠示朗の頬を流れ落ちて、箱枕へと垂れていっている程なのですから。しかし、それでも彼女は止まりません。彼女自身が誰も侵入する事が出来ないように作り上げた『御主人様と一緒に居る為だけの空間』に居るにも拘らず、自分の匂いを刷り込むように唾液と匂いを必死で塗りつけていくのです。
 
 ―んふぅ…♪…幸せぇ…♪
 
 情熱的なその愛撫の裏で彼女の胸は幸福感で一杯になっていました。だって、大好きで愛しくてどうしようもない人に唇を使って御奉仕しているのです。妻となってからも彼を御主人様と呼び、その傍に仕える事に強い幸せを見出す彼女がそれを抑えられる筈がありません。寧ろ抑える必要など無いのです。夫婦がお互いに触れ合う事で幸せを見出す事をどうして咎められるでしょう。そんな事、神にだって出来る筈がありません。そして、彼女の身体から匂い立つ様な甘いフェロモンもまた燃え上がる彼女に応えるように止まる事が無いのでした。
 
 ―…私…もう発情しちゃってるぅ…♪
 
 何度も何度も誠示朗に弄られ、また御奉仕し、溢れんばかりに育った豊満な胸の谷間から甘い甘いミルクのような匂いが噴出し始めました。男の脳髄を犯すようなその甘い香りは、彼女がそれだけ欲情しているという事の証です。それを証明するかのように布団の中へと潜り込んでいる彼女の両足はもじもじと落ち着かなく動き始め、その間からトロリとした熱い粘液を漏らし始めていました。キスしてからずっと痺れを走らせていた子宮も、完全に発情して強い疼きを彼女に齎しながら、精液を催促するかのように愛液を漏らしてているのです。
 
 ―あぁ…もう…布団の中まで発情したメス狐の匂いでいっぱぁい……♪
 
 彼女が誠示朗とも交わりの為に作り上げたその布団は本来であれば水分を吸い込んでもすぐに乾燥して柔らかな寝心地を取り戻すものでした。それは匂いとて例外ではありません。その証拠に昨晩二人が激しく交わってこべりついていた筈の愛液や汗や精液などが混ざり合った独特の匂いはもう完全に消え去っているのですから。しかし、その吸収が追いつかない勢いで彼女は欲情しているのでした。胸の谷間からだけでなく、両足の奥からもメスの匂いをぷんぷんとさせて、必死で誠示朗を誘っているのです。
 
 ―ふぁぁ…♪誠示朗様ぁぁ…♪私…もう我慢出来ません……っ♪
 
 誠示朗に身体の隅々まで開発された淫らな身体を持て余す彼女はその匂いだけで完全にスイッチが入ってしまいます。きゅんきゅんと疼く子宮がさっきから精液を求めて、止まりません。今すぐ精液が欲しくて指先がそっと誠示朗の下腹部へと伸びてしまいそうです。しかし、彼女はそれを必死に押し留めていました。無論、それは欲情を抑える為では決してありません。最初に『そこ』に触れるのは指ではなく…彼女の飢えに飢えた貪欲な秘所でなければいけないのですから。
 
 「ちゅぱぁ…♪…んふふ……御主人様もとっても元気になってますよぉ…」
 
 唇を優しく弄ぶような愛撫で脳が無意識に興奮を覚えたのか彼の肉棒も布団の中で硬く反り返っていました。それを彼女は触れる事無く察知する事が出来るのです。数え切れないほどの年月をこの肉棒と共に過ごし、たっぷりとその味を覚えさせられた彼女にとって、彼の魔羅から放たれる存在感を誰より敏感に感じる事が出来るのでした。胸を大きく膨らませて息を吸い込めば、発情した肺にまで微かに香るオスの匂いが届きます。常人では判別も出来ないくらい微かなそれも彼女にとってはまるで香水のようにはっきりとしたものに感じられるのでした。
 
 ―あぁぁぁぁっ♪御主人様の匂いっ♪オスの匂いぷんぷんしてぇぇ♪身体中疼いちゃいますよぉっ♪
 
 そして勿論、そのオスの香りを彼女が我慢できる筈がありません。その匂いで疼いていた子宮がきゅうううっとその身を強く絞っているようにさえ感じるのです。自然、押し出された愛液の群れが彼女の膣内を通って太ももへと垂れていくのでした。しかし、それでも溢れ出る愛液の勢いはとまらず、トロトロと漏れ出し続けて敷布団の上にも零れ落ちていきます。それを敷布団が貪欲に吸収していますが、匂いまでは消しきることが出来ないのか布団の中では発情したメスのフェロモンが濃くなっていきました。
 
 「これだけ元気なんですからぁ…♪…もう『御奉仕』…しても良いですよねぇ…♪」
 
 むせ返る様な甘い甘いその香りに後押しされるように彼女はそっと誠示朗の肩を掴んで仰向けの姿勢に変えるのです。そして、仰向けにした手で今度は掛け布団を掴み、一気に肌蹴させるのでした。二人の身体を包んでいた掛け布団が無くなり、一枚の布さえ身につけていない身体が外気に晒されます。しかし、彼女の手にとって完全に制御されているこの空間で二人が肌寒いと感じる事はありません。何時も交わりにとって適切な温度に調整されるのです。
 
 「ふふ……っ御主人様ぁ…♪」
 
 小指をそっと唇に引っ掛けながら、媚びた声を放つ彼女の肢体は美しい反面、アンバランスでさえありました。女性らしい丸みを帯びた細いラインで身体中を描かれ、肩も男を誘惑すような細く小さなものです。しかし、その肩のすぐ下には両手で支えても零れ落ちてしまいそうな程大きな双丘がその身を揺らしているのでした。さらに、まるで水が詰まっているようにふるふると揺れる胸を下れば、きゅっと締まった括れが見えるのです。二人の子供を出産しているとは到底、思えないくらい美しいラインは思わずそこに手を伸ばしたくなる魅力を持っていました。逆に括れの下の臀部や太股と言った部位には柔らかい肉がたっぷりと着いていて、むしゃぶりつきたくなるような印象を男に与えます。まるで男性の理想を体現したようなその肢体は、誠示朗が毎日、たっぷりと彼女を弄った目に見える成果でした。そして、その豊かな臀部の上に揺れる『九本の尾』もまた誠示朗がそれだけ彼女を愛した証であるのです。頭の天辺から足の先まで、全て誠示朗の手によって淫らに変えられたこの身体は、彼女の自慢の種の一つでもあるのでした。
 
 ―あぁ…御主人様ぁ…♪本当に…逞しくて…素敵な御身体……っ♪
 
 そして彼女の何よりの自慢の種である誠示朗は、女らしさに溢れる肢体の彼女とは対照的に男らしさに満ち溢れていました。新加茂の家が崩壊するその時までずっと鍛え続けていたその身体には逞しい筋肉が沢山、着いているのです。まるで丸太と思うほど太い腕を始め、壁のようにさえ感じられる広い肩に、鋼のような硬い胸板をしているのですから。無論、太股から足に掛けてもしっかりと筋肉が着いており、引き締まったそれは鋼鉄の戟を髣髴とさせます。誰が見ても一目でその実力を察し、威圧されるようにさえ感じる男の身体は彼女とは違い、誠示朗自身が努力して手に入れたものでした。見るメス全てを惹き付け、その逞しい体に抱かれたいと劣情を抱かせるようなオスの肢体は、誠示朗がどれだけ努力していたか知っている彼女にとって見ているだけで愛液を漏らしてしまうほど魅力的な物です。
 
 「あはぁ♪私…またドプッて愛液を…♪」
 
 普通の女性であれば、見ているだけで股間を濡らす事に自己嫌悪を覚えるのかもしれません。しかし、彼女にとってそれは自分がどれだけ誠示朗に支配されているかを教えてくれるようにしか思えないのです。心も身体も彼へと捧げて、髪の毛から指先まで全て支配して欲しいと望む彼女にとって、それは心と子宮が震えるくらい嬉しい事でした。そして、彼女はその嬉しさを抑えきることが出来ず、そっと仰向けになった誠示朗の腹筋と腰の境目にそっと跨るのです。
 
 「うふふ…♪さぁ…今日もたぁっぷりと…御奉仕致しますからね……♪」
 
 宣言するようにそう言いながら彼女は手をそっと秘所へと添えました。彼女の身体の中でも特に集中的に開発されたそこは、誠示朗と出会った頃から変わらずぴっちりと閉じています。唯一、変わっているのはそこからはみ出る様な陰唇の形でしょう。最初は慎ましやかに顔を出しているだけであったのが、何度も何度も愛される過程でだらしなく伸びたその身を淫らに零れ落ちるようになっているのですから。鮮やかな桃色を保ってはいるものの、ぴっちりと閉じられた筋の奥にどれだけ淫らな光景が広がっているのか想像させるような淫らな陰唇は、誠示朗に生唾を飲み込むほど育っているのでした。
 
 「さぁ…くぱぁってしますよぉ…♪」
 
 その言葉と同時に彼女は秘所に添えた指を開いて、ドロドロの粘膜を外気に晒します。そこはもう完全に蕩けきっていました。透明な粘液に溢れて、開いただけでも「ぬちゃあぁ♪」と淫らな音を立てながら、糸を引いているのです。粘膜のすぐ上に位置する桜色の突起は自己主張するかのように勃起しており、鮮やかな桃色のままの粘膜もひくひくと揺れていました。その粘膜中央に位置する口がまるで呼吸するようにパクパクと開閉する度に奥からドロドロと愛液が零れ落ちていきます。そして、その愛液はまるで涎のように垂れ堕ち、誠示朗の下腹部でその勢力を広げていっていました。
 
 「どうですかぁ…♪ドロドロでぇ…御主人様に犯して欲しくて出ちゃった私の愛液…気持ち良いですかぁ……♪」
 「う……ぅぅ……」
 
 彼女のその声に応えるように小さく誠示朗は呻きます。しかし、その声には苦悶の色は決して見えません。寧ろ快楽の予兆のようなものが見え隠れしていました。そして、誠示朗が気持ちよくなっていると言う事は、彼女にとって心震わせる程、嬉しい事なのです。しかも、それが自分の愛液で感じてくれるとあれば、頭の中はこれから先に行う交わり一色に染まりきってしまってもおかしくはないでしょう。そして、その交わりを早く味わおうと彼女はそっと腰を前後に揺すり、誠示朗の男根へと愛液を塗りつけ始めるのです。
 
 「ふっあぁ…♪今日の御主人様もおっきくてぇ…とっても逞しいですわぁ……♪」
 
 彼女のその言葉通り、誠示朗の陰茎は一般的なサイズを超越していました。彼女との交わりの中で黒く染まったその男根は、二十cmを優に超える長さです。一般的な女性と同程度の大きさを持つ彼女の掌と比べても、圧倒的に男根の方が大きいでしょう。また、全身に青筋を浮かべて、下腹部へと着きそうなくらい反り返っているのに、太さは彼女の手首と同程度なのです。無論、硬さも熱も申し分無く、鋼鉄のようなその肉棒は火傷しそうなほどの熱を伴っていました。始めて見る女性が恐怖を感じてもおかしくない程、凶悪的な大きさのムスコを今、彼女は秘所を使って愛撫しているのです。
 
 「うふっ…♪さぁ…今日もこれでたぁっぷりと私のオマンコ犯してくださいねぇ…♪」
 
 しかし、彼女の顔にはその大きすぎる男根に対する恐怖はありません。寧ろその顔には陶酔と欲情ばかりが浮かんでいるのでした。それも当然でしょう。誠示朗しか男を知らない彼女にとって、誠示朗のサイズはごく標準で普通なものですから。そして、何より誠示朗とて最初はこれほど大きくは無く、彼女との交わりの仲でこれほどの魔羅へと成長したのでした。その成長の過程で何度も何度も陰唇の奥で銜え込み、その気持ち良さを教え込まれた彼女にとって、それはもう無くてはいけないと感じるほど大事な代物になっているのです。
 
 「いっちにぃ♪いっちにぃ…♪…うふふ……もうドロドロのグチョグチョですわ…ぁ♪」
 
 口頭でリズムを取りながら、胸を大きく揺らす彼女の下では、まるで粗相をしたように一面、愛液だらけになっていました。無論、その粘液を一身に受ける男根も同様です。粘液塗れになったお互いの粘膜が擦れ合う度に、にちゃにちゃと淫らな水音が響き、彼女の脳をさらに興奮へと誘うのでした。また、敏感なクリトリスから膣の入り口まで全部擦れる感覚は、敏感な彼女の子宮へと突き刺さり、すぐさま快楽へと変換されるのです。さらに疑似的な性交をしているという背徳的な快感が背筋をよじ登り、子宮に愛液をどんどん作り出させているのでした。
 
 ―そろそろ…ですかね…♪
 
 しかし、彼女の目的は愛液を作り出す事ではありません。寧ろ、これは交わりの為の準備運動でしか無いのです。その証拠に愛液を増産する彼女の子宮では未だにきゅんきゅんした疼きが止まりません。背筋とクリトリス、そして粘膜から軽く絶頂してもおかしくない程の快楽がよじ登ってきてはいますが、貪欲な彼女の子宮はそれらを飲み込むだけで絶頂の予兆さえ見せてはいませんでした。長年、淫らに開発された彼女の身体は、もう誠示朗の男根が膣内に入っていなければ、決してイけない身体になってしまっているのです。
 
 ―誠示朗様のお陰で…とっても淫らな身体になれて…私、幸せですぅ…♪
 
 しかし、彼女自身その変化を悦んでいました。無論、イきたくてもイけない感覚は被虐的な趣味を持つ彼女にとっても辛いものです。焦らされに焦らされる時など本当に気が狂いそうになってしまうのですから。しかし、その反面、それだけ誠示朗に焦らして貰えると、一杯、愛してもらえると、たっぷり御奉仕する事が出来ると、そう思っただけでおかしくなってしまいそうなくらい幸せになってしまうのです。それは一般的な価値観からすれば壊れていると言われるのかもしれません。自分ではなく他者に絶対的な価値を置き、彼から与えられる様々なモノを全て悦ばしいものとして受け取っているのですから。少なくとも普通に生活する中では決して理解できない感情でしょう。しかし、彼女にとって誠示朗は何より絶対の真理であり、正義であり、愛しい男性であったのです。
 
 「さぁ…♪グチョグチョになっちゃった御主人様のオチンポをぉ…私のオマンコでたぁっぷりはむはむして…御奉仕しますねぇ…♪」
 
 その愛しい男性に向かって彼女はそっと腰を下ろしました。今までは男根に丁度、擦れる程度に腰を上げていたのが、腰同士が完全に密着するような形になります。無論、お互いに粘液塗れになっている二つの性器が絡み合い、くちゅりと淫らな音が鳴りました。今までに無く密着した事を喜ぶようにはみ出た陰唇も嬉しそうに陰茎へと吸い付いています。しかし、彼女はそれに構わず、ゆっくりと腰を前へと突き出して、誠示朗の赤く腫れ上がった亀頭の先へと辿り着くのでした。
 
 「ふふ…っ♪もうこんなに赤くて熱くなっちゃってますよぉ…♪」
 
 彼女が思わずそう言ってしまうくらいそこは痛々しいくらい真っ赤に腫れ上がっていました。誠示朗の男根の成長に置いていかれた皮を突き放し、外気に晒されているそこの先からは時折、愛液とは違う別の粘液が吹き出ています。カウパーとも呼ばれるその先走りは誠示朗もまた夢の中ではっきりと感じている証でしょう。しかし、数え切れないくらいこの肉棒の味を覚えさせられてしまった彼女は見ずとも、粘膜から感じる感覚だけでカウパーの存在を知る事が出来るのです。そして、勿論、彼女はその事に強い喜びと悦びを同時に感じて胸が一杯になってしまうのでした。
 
 「お待たせしました御主人様ぁ…♪じゃあ……今から…たっぷり私をご賞味ください…♪」
 
 そのまま彼女は狙いを定めるように腰を何度か左右に振りました。大きな臀部がふりふりと揺れる姿は、まるで男を誘っているようにも見えます。いえ、実際、彼女は誘っているのでしょう。ただし、その相手は未だ眠ったままであるというだけ。それを証明するように彼女は腰のベストポジションを見つけた事に小さく微笑んだ後、一気に腰を後ろへと引き戻すのでした。そして、男根へと吸い付いた粘膜がそれを惹き付け、ズルズルと後ろへと降りて行くと同時に、亀頭の先が少しだけ持ち上がり、彼女の膣の中へと一気に差し込まれるのです。
 
 「きゅふうううううううううううっ♪」
 
 それは彼女にとってまるで電撃のようでした。何度味わっても、何度犯されても、淫らに開発された彼女の肢体は乱暴なまでの挿入の感覚を耐え難い快楽として受け取ってしまうのです。アレだけ太くて凶悪な男根に粘膜を蹂躙され、膣穴が壊れてしまいそうなくらい広がっているのに、子宮が悦んで何度も何度も絶頂してしまうのでした。その絶頂を身体中に広められ、目蓋の裏にバチバチと火花が散って視界が真っ白に染まります。四肢もあまりに強い絶頂に脱力し、ビクビクと耐え切れない快楽に震えるだけでした。しかし、彼女の腰だけは本能に後押しされるように貪欲に動き続け、誠示朗の悪魔のような肉棒を飲み込み続けるのです。
 
 「きゃうふっっ♪♪やぁぁぁっ♪」
 
 弾切れが存在する男性と違い、女性は何度も絶頂を味わうことが出来ます。その所為か、一度、イくと少し休憩しなければ苦痛な女性と、イく度に敏感になってどんどんと登り詰める女性の二種類が存在します。そして、彼女は間違い無く後者でした。押し寄せる絶頂を堪えるようにぎゅうっと締まった敏感な膣内の突起を亀頭でゴリゴリと押しつぶされる度に何度も何度も絶頂が子宮へと押し寄せてくるのですから。子宮もまたそれを悦び、再びやってきた愛しいオスを歓迎するように愛液をたっぷり作っています。それがまた男根の挿入を助け、ゾリゾリと全身を扱かれながら彼女の最奥へ進んでいくのでした。
 
 「あはぁ…っ♪や……〜〜〜〜〜〜っっ♪」
 
 そして身体中に響くような強い衝撃が、彼女を襲います。子宮を直接揺らすようなそれは亀頭の先が子宮口へと辿り着いた事が原因でした。無論、それは本当は大した衝撃ではありません。まるで小石が歩くときに小石がぶつかる程度のものです。しかし、亀頭が叩いたのは彼女の肉体の中でも最も敏感な子宮口なのでした。快楽と精液を待ち望んでいた肉厚の口は貪欲に衝撃さえも受け入れて、子宮へと送り込むのです。その余りの衝撃と快楽に彼女は嬌声を上げることさえ忘れ、口をパクパクと開け閉めしながら全身を震わせていました。
 
 ―ひゃうぅぅぅっ♪♪来たぁぁぁっ♪オチンポ奥まれきたぁぁぁぁ♪
 
 言葉を発する事のできない彼女の胸中には最奥まで入りこんでいる男根を悦び受け入れる感情しかありません。身体中も溶けてしまいそうな激しい絶頂に翻弄されるだけなのです。その中で自由に動けるのは精液を貪欲に求める子宮と腰を含む僅かな部分しかありません。勿論、貪欲な彼女の身体は誠示朗の精液を求めて、下腹部に手を置きながらゆっくりと腰を動かして抽送を始めるのです。
 
 「あはぁぁっ♪ふぁぁああああっ♪」
 
 口から意味の無い羅列が飛び出るのを今の彼女は止められません。敏感で貪欲に変えられてしまった肢体は、快楽に痺れる彼女自身の意思とは裏腹に動き続けてさらなる絶頂を齎しているのですから。思考をマトモに練る事さえ出来ない程のそれらは内臓にも突き刺さり、肺から意味の無い言葉と吐息を吐き出させていました。閉じる事を忘れたかのように開けっ放しになった口からはドロドロと涎が零れ、彼女の咽喉を伝って胸へと堕ちていっています。さらに、受け止めきれない快楽が溢れ出ているように目尻から雫となって出てきていました。そこに理性を持つ生き物としての尊厳は何一つとして存在しません。ただ、貪欲に快楽を貪り、歓喜の涙を流すメスの姿があるだけです。しかし、九尾の尾を持ち、神にも近しい力を手に入れた彼女にとってそれこそが本性であったのでした。近隣にまでその名を轟かせる縁結びの神ではなく、愛しいオスの肉棒で全身で感じている今こそ彼女の本当の姿であるのです。
 
 「良いれすぅ…♪オチンポしゅてきぃぃ♪ぱちゅぱちゅでぐちゅぐちゅって淫りゃな音も良いのぉっ♪」
 
 本能でオスの興奮を誘おうとする彼女が漏らす淫らな言葉の通り、二人の結合部からは一回の抽送の度に粘液同士が擦れ合う音がします。さらに、腰を重力に任せて下ろすような抽送を繰り返している彼女の肢体と誠示朗の身体がぶつかり合い、豊満な太股や臀部の肉を弾けさせて交わりの音を掻き立てるのでした。それ以外にも激しく身体を揺する度に西瓜のような大きな胸がぶるぶると震え、空気を揺らしています。身体中を揺らすその抽送はまるで暴れ馬に乗っているようにも見えました。しかし、彼女の膣内を縦横無尽に貪る暴れ馬の持ち主は未だ彼女の下で寝息を立てて、夢の中の世界に居るのです。尋常でない性欲を持つ彼女に付き合って、三日前からずっと繋がり続けて、昨夜にようやく解放されたのですから、彼の眠りはそう簡単に覚める事は無いでしょう。しかし、それが彼女にとって若干の不満でもありました。
 
 「見てぇぇ♪見てくだしゃいぃっ♪私が乱れるにょ見てぇぇっ♪犯してくだしゃいぃっ♪」
 
 彼女は勿論、誠示朗に御奉仕するのは大好きです。お口一杯に頬張って、顎が外れそうになるのも我慢しながら必死でじゅるじゅると吸い上げながら舌で気持ち良くして上げると、それだけで言ってしまいそうになるのですから。しかし、そんな彼女が一番、大好きなのは誠示朗に組み敷かれて乱暴なまでに犯される事なのです。淫らな言葉を聞いてもらって、たっぷりと視姦されながら、言葉責めに背筋を震わせながら絶頂する事なのです。しかし、誠示朗が眠っている今、どれだけ淫らな言葉を口走っても彼は反応してはくれません。血走った目を向けてケダモノのように犯してはくれないのです。それが今の理性がトんで、本能の抑えが利かない彼女にとっては不満で、切ない事でした。
 
 「起きてぇ…♪ごしゅじんしゃま起きてぇぇ…♪起きて…たっぷり犯してください…♪」
 
 胸を揺らしながら、彼女は呟きますが誠示朗の目は決して動きません。未だ泥濘とした眠りの中へと堕ちたままで中々、そこから復帰しないのです。それも当然でしょう。だって、彼は昨夜、それこそ指一本も動かなくなるくらい疲労して気を失うように眠ったのですから。三日間の間で溜まりきった疲労はそう簡単に抜けるはずがありません。彼女自身も頭ではそれを分かっているのです。だからこそ、御奉仕と称して起こさなくても済む様に自分の性欲を処理しようとしていたのですから。しかし、より貪欲に快楽を求める彼女の本能は止まらず、彼の目覚めを促す為により激しく腰を振るい始めるのです。
 
 「ひゃうぅぅぅぅんっ♪ど、どうれしゅかぁぁ…♪腰ぐりゅぐりゅするの気持ち良いれすよねぇ…♪オチンポもぴくぴくって反応していますよぉ…っ♪」
 
 上下に動かすのではなく、最奥にしっかりと銜え込みながら8の字を描くように腰を動かすと誠示朗の男根も確かに反応してしまうのです。彼女のイソギンチャクのように突起に溢れる膣内で刺激する場所を常に変えるように押し当てられるのですから当然でしょう。無論、まだ眠っている誠示朗がそれに以上に強い反応を示すことはありません。しかし、彼女の淫らな膣から与えられる快楽は彼の一対の玉へと確かに溜まり、爆発の時を今か今かと待ち望んでいました。それを数え切れないほどの突起越しに確かに感じる彼女は再び子宮で弾けた絶頂に堪えきれず、両腕を脱力させ、誠示朗の胸の中へと飛び込むように堕ちていきます。
 
 「きゅふぅぅぅぅぅっ♪あは…わらひも…これ気持ち良いれすよぉ…♪オマンコがきゅうきゅうってしちゃいまふぅ…♪」
 
 敏感な子宮口を穿るようにオチンポをしゃぶりあげるのですから当然です。クリトリスと勝るとも劣らない敏感さを持つそこは硬い亀頭の先でグリグリとされる度に子宮を絶頂させるのですから。誠示朗に強い快楽を与えるのと同時に、彼女自身に激しい悦楽を齎す突起も子宮口の周辺にはたっぷりと群生しているのです。それら全てを押し潰されるような腰の動きは、彼女に残った僅かな力さえもどんどんと奪っていくのです。
 
 「んぁぁぁ♪グリグリしゅるとまら大きくなっちゃたぁぁ♪良いんれすねっ♪御主人様も感じてるんでしゅねぇっ♪」
 
 彼女の肢体から力が奪われていくのとは対照的に、誠示朗の陰茎はよりその身を硬く、大きくしていくのです。入ってきたときでさえ壊れてしまいそうなほどだった誠示朗のモノはそれからさらに一回り大きくなって彼女のオマンコを圧迫していました。無論、大きくなった分、彼女に与えられる快楽もそれだけ大きなものになります。自然、その増えた快楽からすぐに絶頂へと至る彼女の膣は今までに無い膣圧を発揮しました。しかし、そんな圧力には屈しないとばかりに誠示朗の男根は硬く反り返ったままです。そして、増えた膣圧分、より激しく肉棒の味を覚えさせられてしまう彼女は口から甲高い嬌声と共にドロリとした唾液を漏らすのでした。
 
 「あはぁ…♪ぴくぴくぅ…♪ぴくぴくしてうの良いぃ…♪」
 
 しかし、その激しい膣圧は誠示朗にもはっきりと快楽として返って来ているのです。四方八方から無遠慮に絡みつくような突起の群れは動いていない状態でさえ敏感な部分を激しく擦りあげていくのですから。鈴口はぱっくりと開いた子宮口が吸いつき、亀頭は奥の突起がゾリゾリと撫で上げています。膣肉を引きずり出されそうなほど反り返ったカリ首も青筋を沢山浮かべた裏筋もその例外ではありません。それらから与えられる快楽は今すぐ射精してもおかしくはない程でした。長年、誠示朗の男根を受け入れ、開発された膣肉は彼の精液を搾り取る事に特化しているのですから当然です。どんな体勢になっても誠示朗のオチンポの気持ち良い部分を的確に刺激する膣肉の奥からはさらに触れた部分を敏感にするような熱い愛液が溢れ出していました。そんな熱くて気持ち良い場所に眠ったままで我慢の効かない誠示朗が耐えられる筈が無いのです。
 
 「う……あ……」
 「ひゅふふ…♪気持ち良いんれすねぇ…♪御主人様も気持ち良くてぇ…ビクビクってしてそんな素敵な声…聞かせてくれるんですねぇ…っ♪」
 
 自然、漏れ出てしまう快楽の声に彼女の身体はさらに熱くなっていきます。愛しい男性が自分の身体で気持ち良くなってくれているのですから仕方ありません。無論、彼女は数え切れないほどの年月を誠示朗と共に過ごしていて、その中で誠示朗が快楽の声を上げた回数なんて天文学的数になるでしょう。しかし、それに彼女が慣れる事はありません。寧ろ誠示朗のそんな声を聞けば聞くほど、彼女の中の愛情が燃え上がり、より興奮と熱を増していくのです。
 
 「ちゅぅぅ♪…れろぉ…♪」
 
 そしてその興奮に誘われるように彼女はそっと誠示朗の胸板にキスを落としました。鋼のように硬い筋肉で覆われている彼の胸は吸い付くような愛撫に反応するようにピクピクと震え始めています。その胸を愛おしそうに彼女の舌はそっと撫でていくのでした。誠示朗が寝ている間に掻いた寝汗の所為か何処か塩っぽい味のする胸を、彼女は丹念に、変態的なまでに情熱を込めてゆっくりと舐めていくのです。無論、その間も腰は止まらず、前後へと動いて男根を刺激するのも忘れては居ません。
 陶酔の色とはっきりと瞳に浮かばせながら、愛しい男性の身体を味わう彼女はそれで良いのかもしれません。しかし、堪ったものではないのは誠示朗です。無論、熱心すぎるくらい愛情と情熱を込められている彼女の愛撫は寝ている誠示朗にもはっきりと伝わるくらい気持ち良いものでした。しかし、一方で愛液程では無いにせよ粘性と熱を併せ持つ唾液が塗られた部分は何処かむず痒い感覚を残すのです。じんじんと響くような熱を与えられるようなその愛撫は未だ眠りの中へと堕ちたままの誠示朗を揺り起こそうとしているようでした。
 
 「あはぁ…♪またピクピクってしてぇ…♪御主人様もお胸敏感なんれすねぇ…♪ちゅぅぅっ♪」
 
 そして、覚醒しようとする誠示朗の意識に引っ張られるように膣肉と戯れる男根もまたその身を硬くしていくのでした。今までは深い深い眠りの中に居て、快楽も何処か霞掛かったものであったのが、はっきりと脳髄に伝わるような強いものへとなっていくのですから当然でしょう。我慢も効かず、はっきりと覚醒へと向かう意識は無防備に快楽を取り入れ、誠示朗のモノはどんどんとその身を真の怒張へと変貌させていくのでした。
 その彼の興奮を膣肉越しに感じる彼女にも激しい興奮が沸き起こるのです。元々、膣が壊れてしまいそうなくらい大きな男根が、射精への準備を始めて、みちみちと音が聞こえるくらいにまで膨れ上がっているのですから。さらに反り返ったカリ首など、絡みついた突起が逆に押し負けてしまいそうなくらいの硬さと熱を持っているのでした。そんな強くて逞しい肉棒を味わって、本能のみで動く彼女が我慢できる筈がありません。子宮から断続的に怒る絶頂をより激しく全身に広げながら腰を前後に動かし、何度も何度も愛しそうにキスを落とすのです。
 
 「んきゅぅっ♪わらひもぉ…お胸敏感なんですよぉ…っ♪こうやって御主人しゃまのお胸と擦れ合うだけでぇ…っ♪なんろもぉっ♪何度もイッちゃうのぉ♪」
 
 誠示朗へと身体を預ける彼女は、無論、その胸板にキスをする度に胸をぎゅっと圧迫しなければいけません。その度に、ピンと淫らに突き出した桜色の乳首が硬い胸板に擦れてしまうのです。かつてはそれだけで絶頂する事が出来た敏感な器官が愛しい男性の胸で擦れて、白濁した液体をその先から漏らしていました。そして、最初の子供を産んだ後からずっと止まらないその母乳が、誠示朗の胸を白く染める度に、逞しすぎる男根をその身に銜え込む彼女はまた激しい絶頂へと突き上げられていくのです。
 
 「見てぇ♪御主人様も大しゅきなぼにぅ…溢れて止まんないのぉ…♪ピクピクってイきっぱなしでぇ♪乳首ドロドロになっちゃいますぅ♪」
 
 しかし、どれだけ呼んでもまだ誠示朗は夢の中に居るままでした。無論、身体が感じる鮮烈な快楽に引っ張られるようにその意識は確実に浮上してきています。しかし、泥のようにぐったりと眠っている彼が目を覚ますにはもう少しの時間が必要でしょう。
 
 「やぁぁ…♪見て欲しいのぉ♪ごひゅじん様に淫りゃなわらひ見て欲しいのにぃぃ…♪」
 
 切なそうに身を捩っても返って来るのは小さな呻き声と溢れんばかりの快楽だけです。その事を彼女自身、理解していました。しかし、激しい交わりを求める彼女の本能は決して納得してはくれません。まるで暗闇の中に一人取り残された幼子のように必死で誠示朗の事を求めてしまうのです。優しい言葉を、淫らな言葉を、意地悪な言葉を、優しい愛撫を、淫らな愛撫を、意地悪な愛撫を、温かい腕を、逞しい腕を、乱暴な腕を、焦らされてじらされておかしくなっちゃいそうなくらい優しい抽送を、何度も何度も絶頂してしまう淫らな抽送を、壊れてしまうくらい乱暴な抽送を、全部全部、欲しくて欲しくて我慢できないのです。
 
 「起きてぇ…♪御主人様ぁ起きてぇぇ……♪」
 
 目尻に快楽だけでなく切なさの涙を浮かべながら必死で誠示朗の名前を呼ぶ彼女の姿は、殆どの者には想像もできないものでしょう。一年に一度だけ祭りの際に人々の前に姿を現す縁結びの神が、愛しい男性へと身体を預けてまるで子供のように我侭を言っているのですから。そこにはかつて彼女が持っていたはずの母性溢れる雰囲気や、誠示朗以外の人に見せる神々しいイメージは欠片も存在しません。ただ、一人の男を愛し、我侭だと理解しても求める事を止められない一匹のメス狐が居るだけなのです。
 
 「起きてぇ…♪じゃないと私…駄目になっちゃいまふぅ…♪」
 
 甘えた声で胸を押し当てながら、ゆっくりと彼女の腰は上下に動き始めました。まるで久しぶりに立ち上がるかのようにゆっくりと引きあがった腰が、恐る恐る下がっていくのです。何処かぎこちないその腰の動きは彼女自身の心の葛藤の象徴でもありました。彼女自身、これが我侭であると言う事は誰よりも強く理解しているのです。本当はこのまま寝かしてあげた方が良いのは誰の目から見ても明らかなのですから。彼は疲れてきった身体を休める為に、これだけ快楽を注ぎ込まれても未だ眠っているのですから、本当は休ませてあげた方が良いはずです。淫らな声は止まらなくとも、彼の眠りを妨げるような乱暴な腰使いはするべきではありません。
 
 「でもぉ…♪でも、もう止まんにゃいのぉ…っ♪しきぅもあたまもこころもぉぉっ♪じぇんぶ御主人様が欲しくてきゅんきゅんしちゃってますぅぅ♪」
 
 その言葉を皮切りに彼女の動きはどんどんとエスカレートしていきます。最初は恐る恐るだったその動きが、さっきとは比べ物にならないくらい甲高い音を二人の結合部から響かせているのでした。一瞬たりとも止まらない激しい腰の動きはまるでそこだけ別の生き物のようにも見えるでしょう。それは彼女にとってあながち間違いではありませんでした。必死で我慢しようとする彼女自身を振り払って、腰が子宮がオマンコが誠示朗から快楽を貪ろうと、その安らかな眠りを奪おうと、精液を吐き出させようと襲い掛かっているのですから。そしてまた葛藤の象徴でもあった腰の動きが激しくなるに連れて、それを我慢しようとしていた意思もまたゆっくりと薄れていくのです。
 
 「んんあぁぁぁっ♪ごめんにゃさいぃ…っ♪誠示朗しゃまぁ…♪みだりゃなきちゅねでごめんなさいぃっ♪はしたにゃいおくしゃんでごめんなさいぃぃ…♪」
 
 必死で謝るその口からはドロドロと唾液が零れ落ちるのが止まりません。何度も何度も目の裏で弾ける火花にかく乱されているようにその瞳もドンドン焦点が合わなくなっていっていました。光を失い何処か濁った瞳の中にあるのは欲情と愛情だけであり、それ以外の感情は消えていってしまっています。彼女の腰から生える九本の尾もそれぞれが途切れる事の無い絶頂の波に踊り狂っていました。誠示朗に預けたままの上体も快楽に蕩けてしまいピクピクと震えるだけで指一つ動かせそうにもありません。しかし、そんな状態でも彼女の身体は貪欲に快楽を、誠示朗を、射精を求めて動き続けるのです。
 
 「ひゃうぅぅぅぅっ♪奥ゴツゴツ来るぅぅぅっ♪子宮悦んじゃうのぉっ♪乱暴にゴツゴツされりゅの良いぃっ♪」
 
 誠示朗の手によって被虐的な才能を開花させた彼女にとって、敏感な子宮口とぶつかるような衝撃はそれだけでも視界が真っ白に染まってしまうほど気持ちの良いものです。例えそれが自分自身で何処か遠慮の残るものであっても、激しい絶頂の波に飲み込まれてしまうのでした。しかし、完全に火が着いてしまった彼女の淫らな身体はこの程度では決して止まりません。寧ろその絶頂の波に後押しされるようにその激しさを増していくのです。その腰が止まる時は彼女の求める二つの物――つまり誠示朗が起きた時か、射精した時だけでしょう。
 
 「凄いのぉ♪ゴツゴツされると飛んじゃうのぉっ♪イッちゃうの止まんなくてぇ…アヘアへしちゃうぅ…♪」
 
 舌足らずの声でそう主張する彼女の顔はもはや蕩けに蕩けきっていました。元々、紅潮していた肌を真っ赤に染めて、表情筋にも力が入っていません。先ほどから止まらない唾液と涙が顔中を汚していますが、それが何処か扇情的な印象となっていました。元々、下がり気味であった眉はだらしなく垂れ下がって、淫らなイメージを加速させています。誰が見たってその顔は発情したケダモノだと思うでしょう。しかし、被虐的な性癖を持つ彼女にとってそれは腰をさらに加速させるスパイスでしかありません。
 
 「御主人様もアヘアへしてぇぇ♪わらひで気持ち良くなってびゅるびゅる美味しいのくだしゃいぃっ♪しきぅ待ってるんでしゅぅっ♪」
 
 その声に応えるように誠示朗の眉はぎゅっと中央へと寄り、谷間を作っていました。元々、強面で威圧的な印象を勤めて人に与えようとする彼がそんな顔をする時はそう多くありません。長年、その傍に着いて身も心も捧げてきた彼女であっても、表情として出るのを抑えきれない程、不機嫌な時か、射精する瞬間の二つしか知らないのでした。そして、未だ誠示朗が夢の中に居る今、考えられるのは後者くらいしかありません。
 
 「あはぁぁ♪ごしゅじんしゃまもぴくぴくしてますぅ♪もう射精そうれすかぁっ♪いいれすよぉっ♪射精してくだしゃいぃっ♪いっぱい…いぃっぱぁい…っ♪子宮溺れるくらい射精してぇぇ…♪」
 
 甘えるようなその声と共に再び彼女は誠示朗へとキスを落とします。ただし、今度はその逞しい胸板ではなく、少し背を伸ばして鎖骨の鎖骨に。本来であれば、首筋にしたかったのですが、こうしてセックスしている今、どう頑張っても首筋にまでは届きません。仕方なく、彼女は妥協案として何度も何度も鎖骨辺りへと吸い付くのです。一度、吸い付くたびに思いっきり鬱血させるその接吻はまるで自分の所有印を刻み込むような独特の満足感を彼女に与えました。無論、彼女自身が作り出したこの空間には彼女が許可しない限り誰も入ってくることが出来ず、彼女だけしか誠示朗に触れる人は居ません。しかし、それでも一匹のメスとしてオスを独占する欲求とそこから来る悦びを無視することはできないのです。
 
 「しきぅ一杯ぃ…っ♪たっぷり出してぇ…御主人様専用にして欲しいんですぅ…♪他のしぇーえき入りゃないくらいいっぱいぃっ♪」
 
 そして同時に独占される欲求と悦びも。無論、彼女は誠示朗に身も心も捧げて、それ以外の人間に身を委ねる事なんて決してありません。身体中の何処であろうと触れられる事さえ厭い、その為であれば神にも等しい能力を存分に振るうことを躊躇わないのです。しかし、それは当然としても、やはりメスとしてオスに独占される悦びを求めてしまうのでした。他の誰にも触れる事を許さないとは言っても、やはりその身体中全てを誠示朗に抱きしめて貰って、撫でて貰って、他の誰かが入り込む余地が無いくらい誠示朗で一杯にして欲しいのです。そして彼女の誠示朗に特化した膣内はその欲求を満たす為に、激しく男根へと絡みつき、精液を強請り始めるのでした。
 
 「オマンコもねぇっ♪わらいのオマンコもぉごひゅじんしゃまのせーえき欲しくてぇっ♪ピクピクきゅっきゅうってぇ……♪止まんないれすぅ……♪欲しくて欲しくてぇ…切ないのぉ……っ♪」
 
 その言葉に応える様に誠示朗のモノはさらに一回り大きくなっていきました。毎日、両手両足の指の数が足りなくなるくらい誠示朗と交わっている彼女はそれが射精寸前である事を告げる最高の怒張に達したことが分かるのです。頭で理解するよりも先に子宮で理解してしまったその事実に彼女の腰はその激しさを増して叩きつける様に誠示朗へと降りていくのでした。オスとして最高の瞬間を盛り上げてあげようと男根に絡みつく突起一本一本もその身を激しく揺らすのです。まるで射精の瞬間を待ちきれず、そわそわとしているようにも感じるその動きに誠示朗は耐えることが出来ません。二つの玉袋をきゅうっと収縮させて、一気に精管へと精液を押し出し始めました。
 
 「くりゅっ♪来るっ来る来る来る来るぅっ♪精液来りゅうううううううっ♪」
 
 待ち望んだ瞬間がやってくる事に彼女が悦びの声を上げた瞬間、鈴口から一気に精液が射精され始めました。しかし、彼女の無遠慮な腰の動きと射精のタイミングが合わず、それは膣の半ばほどで弾けた暴発です。子宮口で弾ける射精の感覚を味わえない事に彼女が不満を覚えた瞬間、射精しながら最奥まで突き進んだ亀頭が子宮口とぶつかり合い、再び頭を真っ白に染め上げる絶頂が全身を襲うのでした。
 
 「いっきゅううううううううううううっ♪♪♪」
 
 不満さえ消し飛ばすその激しい絶頂は今までの物とは違い、格別なものでした。ずっと待ち望んでいた精液が子宮へと飛び込んで行った所為か、身体中が悦びに震えてドロドロと溶けていくのです。それは必死で精液を強請っていた腰もまた例外ではありません。力なく誠示朗に圧し掛かったまま絶頂の波にピクピクと震える事しか出来ません。そんな状態で四肢が動く筈も無く、彼女の全身はぐったりと誠示朗へと預けられるのです。身体中が溶け出すような優しくも激しい絶頂を味わってしまったのもあって彼女は自分の身体と誠示朗の身体との境界線さえも曖昧になっていくのでした。愛しいオスと一つになる感覚は、彼女にとってとても甘美で、筆舌にしがたいほど嬉しい物であるのです。
 
 「ひゃう…♪ひ……うぅ……♪」
 
 そんな彼女が動くのは絶頂に震えて無意味な言葉の羅列ばかりを繰り返す舌と、幸せすぎる絶頂の余韻を身体中へと送り出すように激しく脈打つ心臓、そして痛いくらいに胸を膨らませて興奮の吐息を吐かせる肺くらいなものでしょう。さっきまで嬉しそうに踊り狂っていた九尾も今はピクピクと快楽の波に身を委ねて震えているだけなのですから。無論、他の臓器も忙しいほどに働いているのは事実ですが、大きすぎる快楽に意識を焼かれた彼女が認識できるのは精々、その程度の事なのでした。
 
 「あ……ふ…やぁぁ…っ♪」
 
 そして彼女をそこまで追い込んだ激しい絶頂はそう簡単に途切れることが無いのです。だって、その絶頂の要員である誠示朗の男根は未だにその身を震わせて子宮の奥に精液を送り込み続けているのですから。何度、射精してもまるで飽き足らないかのように激しく強く精液を吐き出し続けているのです。それは一般的な成人男性とは比べ物にならない量と濃さでした。普通の成人男性が一ヶ月かけて射精する程の量を誠示朗は何度も何度も吐き出しており、そしてその一回一回が子宮の壁にこべりついて落ちないほどトロトロでグチョグチョなのです。無論、一度の射精を中々、終わらせまいと絡みつく彼女自身の淫らな膣肉の影響も強いですが、それ以上に誠示朗の驚異的な精力が無ければ無理でしょう。
 
 「んはぁぁ…♪ひゅ…っ…♪きゅふぅぅ……♪」
 
 その常人から乖離した精力は彼女自身が作り上げたものでした。魔物娘の中でも特に好色とされる稲荷に属する彼女は交わりの度に、愛しいオスに魔力を注ぎ込んでしまうのです。まるで、次は、より激しく、より淫らにとオネダリするように。その魔力は注ぎ込まれた相手の能力を大きく引き上げる代わりに、インキュバスと言う別の種族へと変えるのです。精液を作り魔物娘に捧げる事に特化したその種族は個人差こそありますが、皆一様に常人から乖離した精力を誇っているのでした。そして、今、こうして射精している誠示朗はインキュバスと言う種族に強い親和性を持っていたのか、その中でも強い勢力を誇っているのです。
 
 「ひゃ…んぁ………♪にゅ…きゅぅ……♪」
 
 その誠示朗の射精がようやく一段落着いたころには彼女の身体は完全に脱力しきっていました。指一本尻尾一本さえ動かす気力も体力も残っていません。あるのはただ溶け出すような強い絶頂の余韻だけです。まるで身体中が痺れるようなその余韻をより深く味わう為に彼女はそっと目を閉じて誠示朗の身体にその身を委ね続けるのでした。お互いに激しい快楽を味わった所為か、汗がべたつきますが、彼女はそれを決して気にはしません。身も心も誠示朗へと捧げた彼女が愛しい男性の汗を厭う筈がありませんし、自分自身の汗もそれだけ絶頂を享受していたと思えば悪いものとは思えないのです。寧ろ交わりの余韻を感じさせてくれる汗は彼女にとって好きな物でさえありました。
 
 ―あぁ……♪御主人様の胸の鼓動がぁ…ドクドクってぇ…♪
 
 絶頂の余韻を感じているのは彼女だけではありません。誠示朗もまた同様なのでした。毎度の事とは言え、何分間も続くような長くて激しい射精をしたのだから当然です。勿論、その身体に残る余韻と興奮の残り香が心臓は激しく脈打たせているのでした。
 そして彼女にとってその鼓動は何よりも安心できる音なのです。ドクンドクンと鼓膜を打つような激しく強い音は無論、激しい興奮を彼女に伝えるものでした。しかし、それは誰よりも愛しいオスの鼓動であるのです。例え、世界を敵に回したって構わないと思うくらい大好きな夫の心臓の音なのです。もし、世界を敵に回す事になってもきっと自分を護ってくれるとそんな信頼を向ける御主人様の脈動なのです。そして、それは彼女にとって、ここが最も安心できる場所であり、春の陽気よりも暖かで、世界で一番、居心地の良い場所であると彼女に教えてくれるのですから。
 
 ―んふふ…♪御主人様ぁ……愛してますよぉ……♪
 
 結婚して数え切れない年月を共に過ごして尚、その言葉は彼女にとって言い足りないものです。どれだけ大好きだと愛してると言っても、誠示朗へ向ける愛情の一割も表しているとは思えません。時に胸が張り裂けそうなくらい愛しい感情を、どうやって表現すれば良いのか、使役狐として主人に仕えるためにその頭脳を磨いてきた彼女にさえ分からないのでした。きっと言葉では足りないと何処かでは理解しているのです。しかし、理解していても、その言葉が溢れるのは止まりません。溢れて溢れて…彼女の胸を愛しさで一杯にするのでした。そして、心が愛情で一杯になるその感覚は彼女にとって例えようも無い幸せな感覚なのです。
 しかし、そんな幸せも長い間、続きません。誠示朗の胸へと身体を預ける彼女の頭にそっと大きな手が被せられたからです。長い間、剣を振るい続け、豆だらけになっているその手は何処か硬く、ゴツゴツとしているものでした。しかし、その手から感じる優しい熱がそれを意識させません。愛情や優しさと言った感情を何よりはっきりと込められているその熱は身体の芯が熱くなるような歓喜を感じさせるのです。
 
 「ごひゅじん…しゃまぁぁ…♪」
 「一ツ葉、すまないな。どうやらまた寝坊をしてしまったようだ」
 
 舌足らずの声で愛しい男性を呼ぶ声にも誠示朗はしっかりと応えます。未だ絶頂の余韻がじんじんと響いて、身体を動かす事のできない彼女――誠示朗の妻であり、使役狐であり、メスでもある一ツ葉は見ることは出来ませんが、その目はしっかりと開いていました。一ツ葉と出会ってから、新加茂の頭首に任命された時も、そして彼女たちの所為で全てを失ってしまった時も、変わらず一ツ葉を優しく見つめてきたその瞳には今も愛情が浮かんでいます。
 それも当然でしょう。誠示朗にとって、一ツ葉と言う女性は自分の全てを変えてくれた恩人であると同時に、誰よりも愛しくて魅力的な伴侶でもあるのですから。無論、誠示朗は稲荷と言う種族の特性を深くは知りません。尋常離れしたその身体や頭脳の多くが彼女の力による物だとは分かっていないのです。しかし、自分を信じられず、卑下ばかりしていた誠示朗が、自分自身に自信を持つことが出来たのは他の誰でもない一ツ葉のお陰でした。初めて出会ったあの日から、自分の弱味をさらけ出し、励ましてくれた一ツ葉が居てくれたからこそ、今の誠示朗はここにいるのです。そして誠示朗がその身に自信と一族を率いるに足る力を宿しても、ずっと変わらず彼の傍に仕え、励まし、時に叱咤し、何より愛してくれた女性なのですから。増して、一ツ葉は誠示朗にとっては誰よりも美しく、何度抱いても飽きる所かより貪欲に求めたくなる魅力的な妻でもあるのです。そんな女性を嫌えるはずがありません。
 
 「いいぇ…♪わらひこそ…ごめんなしゃいぃ…♪」
 
 そして、愛しい男性が自分の言葉に応えてくれ、優しく頭を撫でてくれる事に軽く絶頂してしまうくらい彼女もまた誠示朗の事を強く愛しているのです。彼女もまた誠示朗に出会ってから強く変わったのですから。誠示朗に出会う前までの一ツ葉は世界と自分を恨んでばかりいて、鬱屈した気持ちで自分を磨く事しか出来ませんでした。しかし、自分と似た傷を持つ彼と出会い、どんどんと変わっていく誠示朗に惹かれていく中で、初めてそんな自分を肯定されたのです。屈折した気持ちで世界に向かい合っていた一ツ葉を好きだと愛していると言ってくれたのです。それは彼女にとって今までの自分さえも受け入れられてしまうくらいの大きな衝撃でした。そして、好きだと愛していると誠示朗が言う度に彼女の心はかつてと変わらないように強く震えて、奥から愛しさが滲み出してくるのです。余りにも好きになりすぎた結果、プロポーズされた晩のゴタゴタや、今、こうして誠示朗を独占する為に外界を遮断した空間を作り出していますが、それもまた彼は受け入れてくれているのでした。彼に身も心も捧げた妻であっても、命さえも投げ捨てて仕える使役狐としてでも、恋焦がれすぎて時には暴走してしまう淫らなメスとしてでも、彼は全て受け入れて好きだと愛していると囁いてくれるのですから…嫌える筈がありません。
 
 「何時も気にしなくて良いと言っているだろう?」
 「れもぉ……♪」
 
 未だ絶頂の余韻の所為で舌足らずにしか応えられない彼女の胸にあるのは、やはり自責の念でした。どれだけ誠示朗が許してくれているといっても、やはりその重荷にはなりたくないのが妻としての性です。増して起こす用事も無いのに睡眠を妨害するなんて妻としても使役狐としても失格でしょう。誠示朗が疲れて眠ってしまった原因は主に強すぎる一ツ葉の性欲にあるからこそ、尚更彼女はそう思ってしまうのです。
 しかし、そんなものは誠示朗にとってはお見通しでした。何だかんだ言ってメスの本能に負けることが多くても一ツ葉は彼の妻たろうとしてくれているのでは知っていました。その努力が空回る事も少なからずありますが、今も昔も変わらず、誠示朗の事を第一に考えようとしてくれているのは普段の様子を見れば誰だって分かるのですから。そんな彼女が自分を余り責めすぎないように、と「何時でも我慢できなくなったら起こしてくれ」と言ってはいるものの、中々、それは実を結びません。しかし、それは彼女が自分を愛してくれているからだと知っている誠示朗にとって、それは嬉しいと思ってしまうことでもあるのでした。
 
 ―とは言え、あんまり放っておくのもな。
 
 無論、それは彼にとって嬉しい事ではありましたが、彼とて一ツ葉が苦しんでいるのを知っていて何もしないというほど薄情な男ではありません。寧ろ冷徹そうな見た目や雰囲気に反して情に厚く、統治時代は臣民に広く親しまれていたのです。そんな彼が愛する奥方の感情を気にし無い訳がありません。そして、誠示朗は毎朝のように落ち込む愛しいメスの背を空いている手でそっと抱き、逆に布団の上に押し倒したのでした。
 
 「きゃ…っ♪」
 
 いきなり体位を変えた事で擦れる位置が大きく変わり、一ツ葉が快楽と驚きが入り混じった声を上げます。しかし、突然の出来事だと言うのに、未だ彼女の意思では動かせない肢体は離れたくないとばかりに誠示朗へと抱きついていました。腕も足も何時の間にか彼の背中に回ってぎゅっと抱き寄せているのです。意識するまでも無く本能が求めてしまう姿に彼女の子宮はまた強い火照りを感じ、全身に欲情を広げました。そして、広がったその淫らな感情が彼女の持つ魔力を意思のある流れとして、誠示朗へと注ぎ込ませるのです。
 
 ―や…ぁ…♪だ、駄目…ぇ♪
 
 しかし、そう一ツ葉自身が思ってもその魔力の流れは止まりません。だって、それは稲荷としての本能のようなものなのですから。人間の男が興奮すれば射精したくて溜まらなくなるように、彼女達も溢れんばかりのその魔力をまた愛しいオスへ注ぎ込みたくて仕方なくなるのです。増して、先ほど精液をたっぷり貰った事により、また魔力が増えてしまった彼女はさっきからずっと我慢していたのでした。しかし、それは一ツ葉にとって諸刃の刃であるのです。神にも等しい稲荷の強い魔力を注ぎ込まれた男はその理性を吹き飛ばしてケダモノのように交わる事しか出来ません。無論、そんな激しいケダモノの交わりは彼女にとっても、また彼にとっても大好物でありますが、一ツ葉はもう少し、誠示朗の事を休ませてあげたかったのです。
 そして、そんな彼女が誠示朗に向ける魔力は尋常なものではありませんでした。理性を飲み込もうとはっきりとした意思を持って襲い掛かるその奔流はまるで津波のようです。外界の全てを遮断する二人だけの空間を作り出して尚、攻撃魔術であれば地形が変わってしまいそうなほど魔力の魔力を向けられているのですから。しかし、彼にとってはその魔力の波は慣れ親しんだものです。だって、それこそ毎朝のように愛しい妻から叩きつけられる物なのですから。インキュバスと言う種族に馴染みきった身体はそれを糧として誠示朗に強い力を与えます。しかし、その一方で彼の持つ強い意思は理性を消し飛ばされる程の奔流を乗りこなして、ケダモノになるのを防いでいました。
 
 ―まぁ、それでも身体が熱くなるのは仕方ないんだが。
 
 そもそも下級神レベルであれば、難なく勝てる程の魔力を持つ稲荷の魔力を注ぎ込まれて、理性を完全に無くさない時点でそう出来る事ではありません。その上、身体に走る淫らな熱まで止めるなんて不可能に近いでしょう。そして、どれだけ稲荷の魔力で強化されても所詮、人間の域に属する彼は足の先から頭の先までじんじんと疼き、カァァと熱くなっていく何時もの感覚に身を委ねました。身体中、何処かしこも愛しいメスとの交わりを望む興奮と声に溢れて、誠示朗の背を押しているようです。無論、男の象徴とも言うべき肉棒は一度の射精を経て尚硬く、まだまだ物足りないとばかりにその身を反り上がらせているのでした。
 
 ―っと…あんまり意識しすぎると襲ってしまいかねんな。
 
 無論、オスになる事を催促するような熱に思考まで委ねてしまうのは彼にとっても悪い事ではありません。誠示朗もまた一ツ葉と同じく強い性欲と精力を併せ持ち、一度、交わり始めたら止まらなくなってしまうのです。一度や二度の射精では飽き足らず、何度も何度もケダモノのように押し倒して、愛しいメスに種付けする事しか考えられなくなってしまうのですから。しかし、そんなケダモノとしての面を強く持つ彼でも、やはり朝はもうちょっと甘く過ごしたいのです。オスとして押し倒して交わるのではなく、まるで甘い甘い恋人のような交歓に心惹かれてしまうのは男としての性なのでしょう。勿論、それは中々に難しい事です。だって、彼の身体はもうはっきりと欲情して強い熱を灯しているのですから。それを彼は強靭な意志で捻じ伏せていますが、それも何時まで続くか分かりません。しかし、動き始めれば一ツ葉の淫らな膣肉に与えられる快楽によってあっという間に押し流されるのが何時もの事なのでした。
 それを防ごうと意識を自分の内からそとへと変える誠示朗に愛しい妻の姿が目に入ります。大きな布団の上に押し倒し、ぎゅっと足を絡ませる一ツ葉の姿は、彼にとって見覚えのあるものでした。無論、彼らの交わりの歴史の中で最も孕みやすいこの体位は好んで使われてきています。しかし、そんな昔――と言っても昨晩も数え切れないほど正常位で射精しているのですが――ではなく、本当についさっき彼はその姿をはっきりと見ていたのでした。
 
 「そう言えば…さっき夢を見たよ」
 「夢……れすかぁ…?」
 
 応える一ツ葉の顔には欲情の色が強く浮かび始めていました。ついさっきたっぷりと精液を子宮に出してもらったというのに、彼女はまだまだ足りないと言わんばかりに身体を火照らせてしまうのです。しかし、その熱はさっきまでの精液を求めるそれとは少し異なると言えるでしょう。ただ、貪欲に精液や快楽を求めているのではなく、今の一ツ葉は交わりを、愛しい夫から愛してもらえる安心感と、メスとしての充足を求めているのですから。
 そんな一ツ葉の事は誠示朗にもお見通しでした。長年、愛しい妻と一緒に過ごし、一ツ葉の姿を目で追ってきた彼にとって彼女の表情から様子を察するのは歩く事よりも簡単です。どんな小さな変化も見逃さず、的確に受け取る洞察力と、長年の経験が合わさり、それが外れる事が滅多にありません。この時もまた誠示朗は疼き始めた身体を持て余す彼女の心をはっきりと理解していました。それに応えてあげたいと思う反面、元々、嗜虐的嗜好を持ち合わせていたのか、或いは男を誘う稲荷の魔力に当てられたのか、誠示朗は一ツ葉に対しては少し意地悪になってしまうのです。そして、彼はその意地悪な本性に従って、腰をまったく動かさないまま、上体をゆっくり倒して一ツ葉の胸を押し潰し、彼女の耳にそっと囁くのでした。
 
 「そう。一ツ葉と最初にあった晩から…初めて一つになった夜の事まで…な」
 「きゅふぅ…っ♪」
 
 優しく囁かれるその感覚は彼女にとって何処かこそばゆいものでありました。独特の低音で威厳を感じさせる声が耳元でそっと囁いているのですから当然です。耳の中を跳ねて犯されているようにも感じる感覚さえあるのでした。しかし、その声自体に犯される一方で、その内容にも彼女の心は犯されているようにさえ感じているのです。だって、それは彼女にとって余り思い出したくは無い淫らな失敗談であり……けれど、とっても大事な思い出なのですから。
 
 「あの頃は随分と可愛かったものだな。抱いてくださいと真っ赤になって迫ってきて」
 「い、言わないれくださいぃ……っ」
 
 顔を欲情とは違う意味で真っ赤にしながら、一ツ葉はそっと目を背けました。まるで拗ねているような仕草ですが、その両手と両足は未だにガッチリと彼を掴んで離しません。勿論、彼女とて本当に拗ねているわけではないのです。ただ、少し気恥ずかしくて、甘えた声で拗ねた振りをしてしまうだけなのですから。本当は、そうして言葉で辱められる事も大好きな彼女の心は震えて、さっきからきゅんきゅんと疼きながら、次の言葉を心待ちにしているのでした。
 しかし、そんな事は誠示朗にとって簡単に見破る事が出来るのです。大好きな奥様の身体とその淫らな心を育てた――或いは育てさせられた、かも知れませんが――彼にとって、その彼女の被虐性の強さは身をもって体験しているのですから。だからこそ、彼はもっと一ツ葉を興奮させようとわざと間を置いて、彼女の事を焦らすのです。無論、その間、触れ合った胸を揺らして勃起した乳首を刺激する事や、優しく頭や首筋を撫でる事も忘れません。そうした優しい愛撫に本当に言わないのか、と一ツ葉が不安になりだした頃、誠示朗は再び口を開くのです。
 
 「ふふ…最初の頃はあんなに恥ずかしがっていたのに…今はこうして触れられているだけでもオマンコが締め付けて離さないぞ」
 「んぁ…あぁ…っ♪」
 
 その意地悪な言葉だけでも、彼女の胸は高鳴って止まりません。そして彼女の膣肉もまた嬉しそうに震えて一層、激しく男根へと絡みつくのです。元々、尋常ではないサイズの性器を持つ誠示朗にとって、それらの淫肉から与えられる快楽は理性が崩壊しても可笑しくない程でした。何度も言うように彼女の膣肉は今まで誠示朗の肉棒の味しか知りません。その為、自分を愛してくれる最高のオスがより効率良く気持ち良くなって貰う為に最適な物へと変化してしまっているのです。そんな自分専用の絞精器のような膣から与えられる快楽は、ゴリゴリと彼の理性を確実に削り取っていっていました。しかし、それに身を任せるわけには行きません。今は言葉で責めている最中なのですから。ここで下手に動いてしまえば、今までの苦労が水の泡になってしまうでしょう。そうなれば言葉で責められる事を期待している一ツ葉が不完全燃焼で終わってしまうかもしれません。そうならない為にもサディスティックな趣味には忍耐強く強い意志と、別の意味で相手を思いやる心が必須なのです。
 
 「下だけじゃないぞ。ここも…こんなに淫らに膨らませて…」
 「ひゃあああぁぁっ♪」
 
 その言葉と同時に誠示朗は横からそっと一ツ葉の胸へと両手を伸ばします。そして、硬い彼の胸板に押し潰された双丘の外周をそっと撫で回しますのでした。長年、彼によって弄られ、元々、大きかったその身を二周りほど増やした淫らな胸はさわさわとしたその愛撫だけでも強い快感へと変換し、子宮の中へと落とし込むのです。それがさっきから与えられる被虐的な快感と、愛しいオスのモノを銜え込み、愛されているという充足感と結びつき、軽い絶頂へと変わるのでした。無論、その絶頂はさっき味わった身体中全てが溶け出すような強いものではありません。しかし、身体中が敏感になっていく感覚はどんどんと積み重なっていき、彼女を追い詰めていくのです。さっきよりも今が、そして今よりもこれからさらに敏感に、気持ち良くなっていく感覚に、彼女の口から嬌声が漏れ出て止まらなくなっていくのですから。
 
 「もう私の手でも抱え込めないくらい大きくなっているぞ。それに…感度も以前よりも敏感だ。どうしたらこんなに淫らになれるんだろうな?」
 「そ、それはぁぁ…♪ご、ごしゅじんさまがぁぁ…っ♪」
 「何だ…?私の所為だとでも言うのか?」
 
 そしてその嬌声に誘われるように誠示朗の責めもどんどんとエスカレートしていくのです。その口からは意地悪な言葉と共に間隔の短い熱い吐息が漏れ出ていました。瞳にはまだしっかりとした意思が残っていますが、欲情がはっきりとその顔を覗かせています。驚異的な精神力を持つ彼とは言え、愛する奥様の乱れる姿を見て心をずっと落ち着かせ続ける事など出来ません。今は必死で我慢しては居ますが、何れはその欲情に全て飲み込まれてケダモノになってしまう事でしょう。
 そんな誠示朗の様子は一ツ葉にとっても感じられるものでした。彼女もまた誠示朗のように彼の事をずっと見つめ、支え続けていたのですから。その年月と二人の間で結ばれた強い絆が、彼の興奮がドンドンと増していっている事を教えてくれるのです。彼女はそれに心震わせて、身体の底から溢れんばかりの歓喜を呼び起こしてしまうのでした。そして、誠示朗もまたその歓喜を感じ取り、ぎゅっと指先に力を込めて彼女の胸を乱暴に掴むのです。
 
 「ひゅぅぅっ♪違いましゅっ♪違うんですぅっ♪」
 「なら…誰の所為なんだ?」
 
 彼女の胸を掴む感覚は例えようも無いくらい淫らなものでした。元々、一ツ葉の肌はすべすべで、吸い付いてくるような餅肌をしているのです。さらに、傷一つ所かくすみ一つ無い肌の先には柔肉がこれでもかと詰まっているのですから男としては溜まりません。貪欲に指を飲み込むような柔らかさを持っているのに、形を決して崩さない不思議な張りも併せ持つその肉は何時までも触っていたくなるほどです。しかし、同時に様々な動かし方をする為に血管や神経の多く通っている指の間を柔肉が飲み込もうとする姿は貪欲なケダモノを思わせるのでした。
 
 「わ、わらひの所為でしゅぅ…♪私が淫らだからぁ…♪はしたらない身体だからいけないんれすぅ……♪」
 「まったく…分かっているなら最初からそう言えば良いだろう。それなのに私の所為にするなんて…悪い子だな一ツ葉は」
 
 ―悪い子ぉ…♪わらひ…悪い子なのぉ…♪
 
 意地悪で優しい誠示朗の言葉は彼女の胸の中にじわじわと染みこんで、広がっていきます。それは例えるならば、桜色の淫らな染みでした。心中に広がってエッチな事ばかりしか考えられなくなっていくのです。それも当然でしょう。だって、彼女にとって悪い子は御仕置きされなければいけないのですから。御主人様を困らせた上に、淫らな自分の身体を御主人様の所為にしたのですから、とっても淫らでキツい罰を頂かなければいけません、とそう考えてしまうのです。そしてその御仕置きは勿論、淫らな事になるでしょう。そう考えると身体中が悦んで再び軽い絶頂へと押し上げられていくのです。
 
 「ひゃいぃ…♪わらしぃ悪い子ですぅ…♪だからぁ…だから…たっぷり御仕置きしてくだしゃぃぃ…っ♪」
 
 淫らな一ツ葉の『オネダリ』に誠示朗の理性がついにぷっつりと途切れてしまいました。頭の中に浮かぶのはこれから先にある淫らで気持ちの良いケダモノとしての交わりだけで気の利いた言葉一つ、思い浮かびません。さっきから灯り続けていた身体中の熱を制御する事も出来ず、一ツ葉の腰を両手で掴んで、激しい抽送を始めるのです。ぱちゅぱちゅと肉同士が弾ける音の中で、誠示朗の瞳の中には理性の色は消えてしまっていました。
 
 「あぁ…するぞ…!たっぷり…するからな…っ!!」
 「はいぃっ♪御仕置きしてぇ♪たっぷり躾けてくだしゃいぃっ♪はしたにゃいメス狐をぉっお嫁しゃんにしてくださいぃっ♪」
 
 誠示朗と同様に一ツ葉の中にあった僅かな理性も吹き飛んでしまいました。。淫らな言葉を叫んで彼のケダモノ染みた抽送を受け入れる事しかありません。身体中が悦ぶその感覚と共に子宮を震わせるだけなのです。そして、引き抜かれる時は硬くなりそれを阻害しようとし、受け入れる時は柔らかくなって絡みつく肉の突起と男根が手を取り合って踊り、ぐちゅぐちゅと淫らな水音を掻きたてていました。さらに、見ている人が居れば思わず生唾を飲み込んでしまうくらい、激しい抽送の度に結合部からは愛液が飛び出して止まらないのです。強大なカサに掻き出された愛液の山が布団の上に零れ落ち、黒い染みを広げていきますが、ケダモノと化した二人にとって、それは些事でしかないのでした。
 
 「あぁぁっ♪御主人様ぁぁっ♪良いれすぅ…♪わらひ…躾けられてますぅぅっ♪」
 
 口から歓喜と悦楽の嬌声を漏らす一ツ葉の身体にはさっきの騎乗位で味わっていたのとは比べ物にならないくらい激しい絶頂が渦巻いていました。何の遠慮も無く、力一杯に押し込まれる感覚は、壊されてしまいそうなくらい激しいのです。それは自分で腰を振っていては決して味わえない感覚でしょう。しかし、彼女はそれこそが欲しいものであったのです。ケダモノと化した誠示朗に壊されそうなくらい激しく強く犯されて、身も心も完全にケダモノに堕ちてしまいたかったのですから。そんな強すぎる絶頂を身体中で味わう彼女の顔はどんどんと蕩けていっています。誠示朗の上で腰を振っていた時よりも涙と唾液が溢れて止まりません。元々、紅潮していた頬がさらに真っ赤に染まって、まるで林檎のようにさえ見えるほどでした。淫語と嬌声を漏らすだけの器官と化した口も、形の整った美しい眉も、目尻も全てが蕩けて彼から叩きつけられる獣欲を享受している様が見て取れます。
 そしてそれを間近で見る誠示朗はさらに興奮を強くしていくのでした。それも当然です。だって、愛しくて愛しくて仕方が無い妻が、自分の獣欲を身体中一杯で受け止めて、尚且つ、これ以上無いくらい悦んでくれているのですから。彼が知る中で最高の女性であり、メスである一ツ葉が蕩け、乱れているのです。その様は何度見ても胸を掻き毟りたくなるくらい強い興奮を覚えてしまうものでした。自然、その興奮を一ツ葉に分け与えようと、彼の抽送はどんどんと激しいものへと変わって行きます。
 
 「ひゃううぅぅっ♪止まんにゃいぃっ♪イくのぉっ♪イってるんですぅぅ♪イくの止まんにゃいぃぃっ♪」
 「あぁ、イけ…!何度でも何度でも何度でもイかせてやる…!」
 
 そうして叩きつけられる様な激しい興奮を一ツ葉は堪えきる事が出来ません。敏感になった膣をぎゅうっと絞って絶頂を繰り返すのです。それは騎乗位の体勢で繋がっていたときとは違い、途切れることが無い悦楽の嵐でした。絶頂の中で絶頂を迎えて、際限なく登り詰めていくのです。身体中が溶けだす様な激しい絶頂を、何度も何度も繰り返している彼女の腕や足も、緩み始めていました。身体中全ての筋肉を使って腰を振るう激しい抽送の度にガタガタ震えて、今にも外れそうです。しかし、それでも一ツ葉は愛しいオスを独占しようとしているかのように必死に四肢を彼の身体へと絡ませ続けていました。
 
 「イッてりゅっ♪イッてるぅぅっ♪凄いのぉぉ…♪気持ち良過ぎてじぇんぶ消えちゃいますぅ…っ♪」
 
 意識も何もかも飲み込んでいきそうな快楽の奔流を感じながらも、一ツ葉は決して嫌とは、止めてとは、言いません。寧ろそれを歓迎するように震える四肢を必死に絡ませているのでした。しかし、それは彼女にとって当然の事なのです。だって、それは愛しい夫から与えられる素敵な感覚なのですから。愛しくて愛しくて困らせてしまうこともあるくらい好きなオスから与えられる快楽なのです。それに恐怖など感じる筈がありません。例え、どれだけ真っ白になっても意識を消してしまっても、必ず誠示朗は見つけてくれるとそう信じているからこそ、彼女はその大きすぎる絶頂を享受する事が出来るのでした。
 そして、彼女の愛する誠示朗は勿論、それも分かっているのです。だからこそ、彼は両手でぎゅっと一ツ葉の腰を掴んで離さないのでした。どれだけ気持ち良くなっても一ツ葉が帰ってこれるように、求婚したあの日から快楽を感じすぎる身体になってしまった彼女が思う存分、感じられるように、強すぎるくらい力を込めて離さないのです。そして、それが彼女の安心感や信頼感となり、何処か独り善がりであった先ほどの騎乗位とは違い、一ツ葉は今、心の底からセックスを感じ、楽しむことが出来ているのでした。
 
 「幸しぇ…♪わらひ…幸せれすぅ…♪幸せすぎてぇぇっ♪ふ…あぁぁ…っ♪」
 
 勿論、誠示朗のそんな心遣いが分からない一ツ葉ではありません。ケダモノになっても自分の事を考えてくれていると感じる優しくも力強いその手に心の底から愛しさと幸福感が湧き上がるのと同時に蕩楽の波に飲み込まれていくのです。けれど、それが決して嫌ではありません。蕩けるような気持ち良さの中に愛情や幸福感が混ざって、彼女の全身に広がっていくのですから。そして、爪の先から頭の毛先まで全て愛情と幸福感に染まりきる感覚は、彼女の思考を完全に真っ白に染め上げ、抵抗していた腕や足もダラリと垂れ下がっていくのです。誠示郎の胸板に押し付けられるようであった胸は、空間が出来た事で大きく弾み、空中に淫らな円を描いていました。その先にそそり立つ乳首からは絶え間なく母乳を漏らし続けていており、甘くて美味しいそれを辺りへと撒き散らすのです。さらに今までにない程強く締め付けてくる膣の上から透明な液体が噴出して、誠示朗の身体へと降りかかったのでした。
 しかし、大好きな妻の潮吹きをその身で受ける誠示朗は、背中からそっと離れた熱い手足に何処か寂しい感覚を覚えながらも、構わず抽送を続けます。何度も何度も暴力的なまでに繰り返すその腰の下では既に皺塗れの玉袋がきゅっと上がってきていました。誠示朗しか知らず、その精液を搾り取る事に特化した膣内を犯し続けているのですから当然です。一見、無遠慮にも見えるその抽送は一ツ葉の弱点である天井側を思いっきり擦っているとは言え、そこにも溢れんばかりについている肉の突起の群れが襲い掛かってくるのですから。誠示朗が尋常ではない精神力の持ち主でさえなければ、彼はとっくに射精していた事でしょう。しかし、今、彼は必死に射精するのを堪えていました。
 
 ―もっとだ…もっともっともっともっと…ぉ!!
 
 一ツ葉から注ぎ込まれている魔力に身も思考も委ねてしまった誠示朗の頭には貪欲なまでに快楽を求める思考がありました。そして、彼はその為に愛している妻が準備出来るのを待っているのです。つまりイってイってイきまくって、もう何も考えられなくなってしまった一ツ葉の奥に思いっきり射精するという征服するオスとして最高に充足した瞬間の為にずっと射精を堪えているのでした。それが彼女を満足させてやりたいという彼の中の欲求と結びつき、尋常でない耐久力となっているのです。
 
 「ひゃ…ぅぅ…♪きゅぁぁぁぁぁっ♪」
 
 そして、敏感すぎる子宮口をゴツンと亀頭が突くだけで真っ白になった筈の彼女の意識は現実へと引き戻されてしまうのでした。それは例えるなら眠りに落ちる瞬間に無理矢理、起こされるような感覚です。快楽に浸ることさえ許されないまま、さらなる絶頂を味あわされてしまうのですから。しかし、睡眠を無理矢理、妨害されるのはただの苦痛ですが、彼女にとって無理矢理、現実へと引き戻される感覚は淫獄への入り口であるのです。
 
 「まだだ……ま…だぁ…っ!!」
 
 ケダモノのようなその言葉と共に誠示朗が脱力した彼女の両足を掴みました。そのまま一気に一ツ葉の肩辺りにまで持ち上げて布団へと押し付けるのです。自然、足に引っ張られるように引きあがった腰と共に愛液でふやけた秘所まで完全に丸見えになってしまいました。どす黒い肉棒が凄まじい勢いで出入りしている様も、その肉棒を美味しそうに銜え込み、涎と潮を垂れ流す様も、全部が彼女の視界に入ってしまうのでした。それどころか誠示朗からは物欲しそうにひくつく尻穴まで見られているに違いありません。そう思うと真っ白に染まった彼女の中にも強い羞恥の感情が芽生え始めるのです。しかし、それに抵抗しようとしてもまったく四肢に力の入らない今の一ツ葉では何も出来ません。ただ、無抵抗に犯され、貪られるだけなのです。
 
 「御主人様ぁっ♪こんにゃ…こん…ふあぁぁぁっ♪」
 「ほら…分かるか…入っているところも出ている所も全部見えるか…っ。一ツ葉の秘所はこんなに淫らで助平なんだぞ…!」
 「ふぁぁ…♪み、見たくにゃい…のにぃぃ…っ♪」
 
 しかし、まんぐり返しの体勢で固定されてしまった彼女の視界一杯に広がるその光景に目を背けることは出来ません。目の裏でバチバチと火花が散って真っ白になりながらも、それに心惹かれていくのでした。それも当然でしょう。大好きなオスの肉棒が愛液にテラテラと光りながら、淫らな水音と共に引き出されたと思った瞬間には、それが一気に奥にまで突き刺さって子宮に思いっきりぶつかってくるのですから。さらに、その瞬間、くっぱりと開かれてしまった結合部から愛液が溢れて、彼女の胸へと零れ落ちていくのです。完全に力が抜けて、堪える事も出来ない穴からは潮が噴出すのも止まりません。その光景は彼女にとって余りにも淫ら過ぎるものでした。見ているだけで気持ち良い感覚が伝わってきて、絶頂してしまいそうになるのですから。無論、こうして見つめている今も絶頂を繰り返す彼女にとって、それは余りにも危険すぎる起爆剤なのでした。
 
 「きゅふうぅぅぅっ♪おかし…おかし…きゅぅぅ…おかしきゅなりゅぅぅ…♪淫らにゃの駄目なのにぃ…はしたないのいけないのにぃぃ…っ♪」
 
 そしてその起爆剤は彼女の身体の中で起こる絶頂を結びついて、一ツ葉の身体中全てを変えて行く波を起こすのです。それはさっきまでの意識も理性も飲み込むような絶頂に比べれば弱いものでしょう。正常位に比べれば、今の体勢はオスの方へ強い負担をかけており、その抽送はさっきと比べても弱弱しいものなのですから。しかし、自分の淫らではしたない部分を見せ付けられている感覚が、それを補って余りある程の悦楽を生み出しているのです。そして、その悦楽によって一度は感覚を失った筈の背筋にゾクゾクとした寒気が走り、彼女の被虐的な部分が完全に目を覚ましてしまうのでした。
 
 「ふぁぁぁあっ♪躾けてぇ…っ♪淫りゃで助平なじぇんぶ…っ♪じぇんぶごしゅじんしゃまのモノにしてぇ…っ♪」

 被虐に強い嗜好を示す彼女にとって、その目覚めは最後の薄皮を剥ぎ取られたも同然でした。元々、一ツ葉の淫らな身体は、羞恥の感情も何もかも、誠示郎から与えられるものであれば全部、悦びとして受け入れてしまうのです。しかし、被虐的なメスの部分が目覚めてしまった今の彼女にとって、羞恥の感情すらありません。寧ろ悦んで愛しいオスに感じている部分を、はしたなく蕩けきってしまったメスの部分を見てもらいたいのです。たっぷりと見て、興奮して、より激しくケダモノのセックスをしてもらいたいのです。そして、一度、根付いたその感情は決して止まりません。どんどん加速していって、本能のままにエッチな言葉を口走る彼女から淫語を放たたせ始めました。

 「見てぇぇ♪はじゅかしいのにぃ…っ♪感じるの止まんないのっ♪イきっぱなしの私のオマンコを見てぇぇぇっ♪壊してぇぇ♪」

 物欲しそうに見て、と壊して、と叫ぶ彼女の姿はケダモノそのものでした。理性も遠慮もそこにはありません。ただ、焦らす事は合っても必ず応えてくれるという愛しいオスへの圧倒的信頼感と、自分の恥ずかしい場所を余すところ無く見られているという被虐の悦楽だけです。
 無論、こんな事を言われたらオスとして興奮しないわけがありません。まだ何処かケダモノに堕ちる事に抵抗のあった一ツ葉の身体が、完全にメスと化して自分を求めてくれているのです。本当に全部、剥き出しになった本能と快楽の狭間でさえも、その身を委ねてくれているのです。それに興奮しない男は居ないでしょう。そして、何より、今の一ツ葉の姿こそが誠示郎の待ち望んでいたものなのです。感じて蕩けて淫らなメス狐と化した彼女を犯して犯して犯し尽くす事を今や彼の身体を支配するケダモノは望んでいたのですから。そんな待ち望んだ御馳走を目の前に出されて、留め金の無いケダモノが我慢出来るはずがありません。ぎゅうっと引きあがった二つの玉袋の中では熱い精子が渦巻き、精管へと一気に弾け様としていたのです。

 「く…あぁ…っ!!あぁ…!壊してやる…っ!全部…理性も何も…射精して…メスに…ケダモノにしてやる…!!」
 「あぁぁぁっ♪はいぃぃ♪壊してくださいっ♪全部ぅっ♪じぇんぶ、壊してぇぇ♪御主人様しかいないメスにしゃせぇしてぇっ♪思いっきり孕ませてくださいぃっ♪」

 射精を堪えすぎて血走った目で、愛しいオスからそんな事を言われるのですから、彼女としては溜まったものではありません。何処か鬼気迫ったような夫の様子に彼女の心は高鳴って、止まらなくなってしまうのですから。強面の誠示郎が欲望を剥き出しにすると、一般の人々はすぐさま腰を抜かすか、震える足で逃げ出すかの二つしかないでしょう。しかし、彼の事を心底、愛している彼女にとってそこまで沸騰した欲望を向けられているのは幸せそのものでした。まして、被虐の本能が子宮の中でとぐろを巻いているのですから当然です。無論、その幸せも激しい悦楽の中に消えていってしまいますが、どんどんと沸き起こるその幸福感と愛情は止まりません。そして、幸せを飲み込んだその絶頂の波は身体に広がるのではなく、子宮の底へと溜まり始めていました。まるで噴火の瞬間を待ち、火口の底で滾る溶岩のように、子宮の中の絶頂はぐつぐつと煮え滾って開放の瞬間を待っています。
 そして、それははっきりとした変化として彼女の身体に現れました。特に顕著なのが、その膣の中です。今までは絡み付いて、ただ、精液を強請るような動きだった肉の突起よりも奥へ奥へと誘うようなものへと変わっていきました。さらに、ぐりぐりと締め付ける場所を変えて、奥へと吸引するような膣圧も誠示郎の男根へと襲ってくるのです。それは強い快感を与えて射精の瞬間を早めようとするさっきまでと比べれば、気持ちの良いものではありません。しかし、オスとして最高の瞬間を、最高の場所で味あわせてあげようとする肉の蠢きに彼はもう耐える余裕はありませんでした。射精を堪える為、食い縛った歯の根をあまりの快感にガチガチと鳴らし続けていた誠示郎の肉棒は、もう射精寸前の硬さと大きさ、そして熱を持っているのですから。その男根の敏感なカリ首に、奥へと引き込もうとする肉の突起がゾリゾリと当たる感覚を彼は今、必死で耐えていました。そして、トドメとばかりに大きく腰を引いた誠示郎は、一気に膣奥を目掛けて最後の一突きを放つのです。

 「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ♪♪♪♪」

 一際、大きい嬌声が放たれるのと同時に、一ツ葉の子宮口には強い衝撃が起こりました。それは勿論、彼女の陰核と同じくらい敏感な子宮の入り口と誠示郎の巨根が当たった瞬間でもあるのです。しかし、一ツ葉はそれに嬉しさを感じる余裕がありません。すぐに始まった射精の波に、全ての感覚が押し流され、消えていくのです。じくじくと余りの絶頂の中で脳髄が疼くのを感じた瞬間、彼女の意識は再び中空へと浮かび上がって身体を離れようとしていました。しかし、それで終わりではありません。子宮へと入り込んでくる白濁した熱い奔流が、子宮の中へと溜まっていた絶頂を今度こそ開放し、一ツ葉の身体へと解き放つのです。

 「うひゅうううううっ♪♪♪く…あぁぁぁぁぁっ♪♪やぁぁぁぁ…っ♪♪♪」

 ようやく訪れた歓喜の瞬間に悦び、勇んで身体中を駆け巡るその快楽の流れは凄まじいものでした。意識が弾け、身体中が溶けていくような絶頂も勿論、存在します。愛しいオスの最高の精液を余すところ無く子宮へと受け入れているのですから当然でしょう。しかし、その一方でその身体中に雷が直撃しているのではないかと思うくらいの快楽も並立しているのです。先の絶頂から激しさだけを抽出したようなその悦楽のうねりは、溶けていくような四肢を無理矢理、起こして絶頂の前に立たせるのです。強すぎる絶頂同士の中で翻弄される感覚は淫らな肢体を持つ彼女にとって、何時もの事ではありました。だって、こうしてケダモノと化した誠示郎に犯され、膣奥で射精を受けるたびに味わう感覚なのですから。しかし、それでも慣れるものではありません。寧ろ淫らな身体の許容量を超えて、苦痛でさえあるのです。しかし、その一方で被虐的な一面を持つ一ツ葉にとって、それは最高の瞬間でもありました。だって、愛しいオスが自分の身体で感じてくれた証としての精液、女として妻としてその精液を最高の場所で受け取る蕩悦、そして被虐的なメスとしての気持ち良すぎる蕩悦の狭間で翻弄されるのですから。それが様々な一面を持つ彼女にとって至福の時間でなくて、何であるというのでしょう。

 「く…うぅぅ……!!」

 至福の時間を身体中で享受している一ツ葉に思いっきり射精を続ける誠示郎もまた最高の瞬間を味わっていました。完全にメス狐として目を覚ました一ツ葉の身体を思いっきり蹂躙し、その最奥で射精しているのですから。愛しいメスに応えて射精している今の時間はオスとして最高に充足している事は間違いありません。それは彼の表情にも表れていました。普段は引き締まっている誠示郎の表情もまた一ツ葉と同じように蕩けきっているのです。がっちりと歯をかみ合わせた口の端からは抑えきれない唾液が零れ落ち、彼女の胸の上で母乳とカクテルになっていました。興奮を冷ます為に空気を必要としているのに、呼吸の出来ないその口の変わりに鼻は何度も広がって必死で酸素を求めています。何度、射精しても終わる気配の無い絶頂を堪えるように瞑った目と、中央へ大きく寄って谷間を作る眉は苦痛を堪えているようにさえ見えました。しかし、その実、彼が感じているのはオスとしての最高の快楽であり、射精であるのです。そして、それは彼にとって幸運か、或いは不幸な事に一度や二度では終わらないのです。

 「らぁぁぁぁ…っっ♪♪いひゅううううぅぅぅっ♪♪」

 身体中に荒れ狂う二種類の絶頂に身体を捩って堪えようとする一ツ葉がその主な原因でしょう。今まではしっとりと横たわって、誠示郎の成すがままになっていたのに、いきなり身体中を暴れさすのです。それはまるで力の入っていない非力なものではありましたが、こうして繋がっている今、彼としても余り暴れて欲しくはありません。その為、一ツ葉の身体を固定している腕にぎゅっと力を込めて封じ込めようとするのです。しかし、それでも止まらない動きは自然、腰へと集約され、射精を続ける亀頭を様々な角度から擦り上げていくのです。無論、その間も精液を強請るように吸い付いてきている子宮口からは逃げられません。絶頂を迎え今までに無いくらい敏感になっている誠示郎の男根は逃げる事も赦されないまま、貪欲に精液を求めて搾り取るように絡みつく肉の突起に立ち向かわねばならないのでした。しかし、一度、タガが外れてしまった身体は、それを受け止める事しか出来ず、逆に大きな肉襞に蹂躙されて、何度も何度も絶頂へと登りつめるのです。インキュバスと言う種族に変わり、一度の射精の時間と量が長くなった彼は射精の最中に絶頂を迎えることも少なくありません。それはまるで身体中の精液を搾り取られるような感覚ではありましたが、誠示郎はそれに不安を感じることなく、そっと身を委ねているのです。だって、余りにも長い絶頂は誠示郎にとって毎日の事であるのですから。九尾と言う神にも近い存在にまで成長した稲荷の身体は、愛したオスに並みの男では吸い殺されてしまいそうな程の快楽を与える反面、無限とも思える強い精力を与えるのです。今も精液を送り出している誠示郎の玉の中では、それに負けない速度で増産され続けているのでした。

 「ひゅうぅぅぅっっっ♪♪ん……あぁぁぁぁ……っ♪ひゃうぅぅ……っ♪」

 そんな化け物染みた精力の裏打ちされた激しい射精を一滴残らず子宮へと飲み込む一ツ葉の身体では、ようやく絶頂が収まりつつありました。しかし、収まるといっても、射精から受ける幸せな絶頂はまだまだ続いているのです。そのもう一方、溶け出した身体を叩き起こすような激しい快楽だけがようやく過ぎ去ったのでした。その感覚にようやく身体を落ち着けた一ツ葉は子宮に注ぎ込まれる精液の感覚に集中しようとそっと目を閉じるのです。そして、閉じた瞼の裏が真っ白に染まったと一ツ葉が感じた瞬間、彼女の肢体は感覚からどんどんと切り離されていくのでした。腕も足も頭も心も何も無く、ただ、熱くて美味しくて愛しくて仕方がない精液を受け止める子宮だけの存在へと変わっていくのです。それはとても淫らで甘美な感覚でした。未だに射精を続ける亀頭の熱さもその張りも硬さもまるで手で触れているように間近で感じる事が出来るのです。火傷しそうなほどなのに触れた場所がじんじんと疼くような熱も、子宮の壁に一度へばりついたら中々、落ちない粘度も、彼女にとって何よりのご馳走である青苦くて甘い味も、五感を伴っているのでした。

 「はぁ……っはぁぁ……っ!う…くぅ……!!」

 そして、似たような事が誠示郎の身体にも起こっていました。射精の感覚がドンドンと長くなり、一度の射精に掛かる時間もまた短くなっていっているのです。それまでは身体中がばらばらになってしまいそうなくらい激しい絶頂でしたが、今は大分、落ち着いています。無論、それでも絶頂を繰り返すと言う事はまだまだ気持ちの良いものですが、射精を繰り返して何処か心を落ち着けた彼にとっては我慢の出来ないものではありません。それに今は射精の快楽に浸るよりも、力が完全に抜けた彼女の身体からそっと手を離して、楽な姿勢へとしてやる方が先決です。そう思った誠示郎は両手をそっと彼女の足首から外しました。余りにも強く掴みすぎた所為か、彼女の細い足首には良い所々、紫色の痣になっています。それに誠示郎は良心を痛めますが、それで手を止めるわけには行きません。止まりそうになる手を強靭な意志で動かして、脱力した彼女の肢体をそっと抱き上げて自分の膝の上へと乗せるのです。

 「ひぃぅぅぅっ♪」

 重力に引かれて子宮が押しつぶされるような感覚に彼女は甲高い嬌声をあげました。今も尚、全身の五感が集中している子宮に脱力した身体の殆どの重さが掛かるのですからそれも当然でしょう。思わず閉じていた目を開いてしまうくらい、その刺激と快楽は例えようのないものでした。再びビリビリと身体中が震える絶頂が走りそうなくらい強い刺激に、一ツ葉の口から甘い嬌声が幾つも飛び出します。しかし、それから逃げようにもしっかりと奥まで入り込んだ誠示郎の男根がソレを許しません。脱力した身体では身動き一つ取れそうにないくらい一ツ葉の身体を釘付けにしているのですから。
 そして、そんな一ツ葉の身体をそっと誠示郎が抱きしめるのです。それは先ほどまでケダモノのように犯していたとは思えないほど優しくて愛情に満ち溢れた抱擁でした。お互いに汗の浮いている身体を押し付けるようなその情熱的な仕草は、一ツ葉からドンドンと快楽を奪っていくようです。しかし、彼女はそれに不安を感じる事はありません。代わりに湧き上がる幸福感や充足感が快楽の代わりを果たしてくれているのですから。蕩けた身体にじんわりと広がるそれらの感情は、先ほどまで彼女を支配していた快楽のうねりを逆に飲み込んでいくようでした。さらに、交わりで火照り、脂汗の浮いた背中をそっと撫でられれば、一ツ葉の身体は快楽とは別のもので蕩けてしまうのです。

 「ふ…あぁぁ…♪」

 愛しているオスに交わりの後の火照った身体を委ねるのは、とても甘美で優しい感覚でした。激しい衝撃に思わず見開いた目をまたトロンと閉じてしまいたくなるくらいです。無論、激しい交わりの所為で火照ったお互いの身体には脂汗が浮かんでいますが、先ほどでさえ気にしなかった一ツ葉がそんなものを気にするはずがありません。誠示郎もまたお互いに汗や愛液、母乳や唾液塗れになるのを厭わないのでした。それらは愛する妻との交わりの記録でもあるのですから、気にするはずがないのです。寧ろ、より強く一ツ葉の身体を抱きしめて、その感覚を貪りたくなるくらい、誠示郎にとっても後戯とも言うべきこの抱擁は甘美なものでした。

 ―けれど…流石にそれは…な。

 一度、冷静になった誠示郎の思考が再びケダモノになる一歩を踏み出そうとする本能に制止をかけました。無論、誠示郎としてもたった一度の――より正確に言うなら二度目ですが――交わりで満足出来るはずがありません。今も増産されている精液が、次の射精の機会を待って袋の中で煮えたぎっているのですから。起きたばかりの彼の身体にはまだまだ力が漲っていますし、普段であればこのまま二回戦三回戦へと移行しています。しかし、今日は少し最初から飛ばしすぎたのです。このままインターバル無しで彼女の魅力的な肢体をさらに貪るのも魅力的ではありますが、そう遠くないうちに一ツ葉の意識は快楽で焼き切れてしまうでしょう。愛しい妻とは言え、意識を完全に飛ばして「あー♪」や「うー♪」しか返事を返さないような状態で犯し続ける気にはなりません。余りの快楽に幼児退行したような妻を貪るのは、流石の彼でも良心の呵責に耐えられなくなってしまうのですから。それならば、少しのインターバルを置いて、再び良い声で沢山、鳴いてもらった方が彼としてはやりがいがあります。

 ―じゃあ、どうするか…なんだが。

 無論、彼女を妻として迎える以前から交わっている誠示郎にとって、そのアイデアは山ほどあるのです。しかし、そのどれもが魅力的過ぎて中々、甲乙をつける事が出来ません。様々なアイデアが浮かんでは消えていきますが、どれもが決定打に欠けているのでした。
 そんな風に悩みながらも、彼の手は一ツ葉の背をそっと撫で続けています。一回一回、まるで快楽に荒れた神経を癒すように優しくゆっくりと上下していくのでした。その感覚に一ツ葉の意識もまたゆっくりと戻り始め、快楽にぼやけた焦点も少しずつはっきりとしたものへとなっていきます。まだ子宮の方では軽い絶頂の波を巻き起こしたり、子宮口が未練たらしそうに鈴口に吸い付いていますが、意識をかき乱されるほどではありません。身体中に満ちていた悦楽もその殆どが充実感や幸福感、或いは愛情などといった感情に飲み込まれてしまっていました。

 「ごしゅじん…さまぁぁ…♪」

 愛しそうに夫を呼ぶ彼女の声は誠示郎の耳にも届きました。その声に応えて、一ツ葉の方へと向くとそこには愛しそうに微笑んでいる妻の姿があったのです。それはさっきまでの快楽に蕩けたものではありません。子供が浮かべる無邪気なものとも違います。逆に子供に向ける母親のような優しい微笑とも一致しないのでした。強いて言うならそれはメスの微笑みでしょう。愛しいオスに抱かれ、その愛情と精液を一杯に受けて、肉体的にも精神的にも充足している事を示すメスの微笑なのです。その微笑に誠示郎はぎゅっと胸を掴まれるような感覚を覚えてしまうのでした。

 ―何時からだろう…彼女がこんな笑みを浮かべるようになったのは。

 そう思い返す誠示郎の頭の中にはこれまで過ごしてきた一ツ葉とも思い出が流れて行きます。辛い事も、楽しい事も、幸せな事も、苦しい事も、ずっと彼女と分かち合ってきた誠示郎にとって、その記憶は膨大なものでした。そして、その記憶の中には何度だって彼女は似たような笑みを浮かべているのです。それも当然でしょう。だって、それだけ一ツ葉は誠示郎の事を深く愛しているのですから。愛しくて、愛しくて、二人きりで過ごすためにこんな空間を作り上げた程なのです。魔界に堕ちた領土の中で、人と手を取り合って暮らしている他の魔物娘から熱い視線を送られるのを我慢できないくらい、彼の事を愛しているのです。そこまで愛する彼とこうやって身も心も繋がるような激しいセックスをしたのですから、そんな笑みを浮かべてもおかしくはありません。しかし、誠示郎にとってその淫らで美しい笑顔は、何度見ても心惹かれてしまうものなのです。

 ―ふふ……っ♪ごしゅじんしゃまぁ…愛してますよぉ……♪

 そして、愛しい愛しい御主人様が、そんな自分の笑顔が大好きなのも一ツ葉は百も承知です。だって、彼はそんな彼女の笑顔を見るたびに心を奪われてしまったように笑顔に惹きつけられているのですから。ずっと撫で続けていた優しい手さえ止めて、呆然と自分の顔を見てくれるのです。無論、強面で感情を押し隠そうとする癖がある誠示郎の変化に気づける者はそうはいないでしょう。しかし、それに気づかないほど、彼女が彼の傍で暮らしてきた年月や、その大きな胸から溢れそうな愛情は浅くはないのです。そして、呆然と自分を見つめる誠示郎が今、悩んでいる事も同様に彼女にとっては分かりやすい事なのでした。

 「ごひゅじんさまぁ…♪ちょっとだけ…待ってくださいねぇ…♪」

 その声と共にゆっくりと足に力を込めます。先ほどまで感覚を失った彼女の四肢が応えてくれるか不安ではありましたが、根気良く力を込めた足はゆっくりと上がっていくのでした。それに安堵する暇もなく、彼女の子宮が寂しそうに震え始めます。まるでようやく手に入れたオスを手放したくないと主張するように、子宮口や膣を蠢かせて阻もうとしますが、流石に一ツ葉自身には勝てません。しかし、未だ絶頂の余韻が何処か残る一ツ葉の肢体は、敏感な肉の突起が硬い肉棒に擦れる度に力が抜けそうになってしまうのです。それでも、少し動くだけでも崩れ落ちそうになる自分を叱咤しながら、一ツ葉は長大な誠示郎の象徴を手放したのでした。

 「ふぅ…あぁ…♪」

 愛しいオスを離れるだけで取り戻したはずの理性を総動員した一ツ葉の下には未だ天を向いて反り返っている怒張があります。ドロドロとした愛液の所為で艶やかに光るそれはまったく萎える気配がありません。寧ろ、さっきの交わり程度では物足りないとばかりにその身をぴくぴくと震わせているのです。それは決して誠示郎の意図したものではありませんでしたが、これから彼女が何をするのか大体、察した彼は期待と愛情で胸を一杯にしていました。
 その様子は勿論、一ツ葉にだって伝わっています。普段は鉄面皮のような顔をしているのに、今はまるで子供のようにそわそわしているのですから、彼女にとって分からないはずがないのです。既に百の齢を迎えたにも関わらず、未だそんな子供っぽい部分を残す愛しい夫に微笑みながら、一ツ葉は一歩下がってから腰を下ろし、胡坐をかく誠示郎の股間へと顔を埋めるのでした。

 ―あぁぁ…♪なんて淫らな匂い…っ♪

 愛液や精液、そしてお互いの汗でグチョグチョになっている誠示郎の股間はさっきまでの交わりの匂いが完全に移っていました。ミルクのような甘い香りのする愛液と、何処か青臭くも癖になる精液の香り。そして、お互いのフェロモン塗れの汗が混ざり合って、なんとも言えない匂いになっています。嗅いでいるだけでさっきの交わりを思い出し、子宮から愛液を漏らしてしまうくらい淫らなその匂いは彼女の頭の中へと突き刺さるようにも感じるのでした。さっき鎮めてもらったばかりなのに、もう火照りだす貪欲な肢体を誠示郎へと預けたくなるのを必死で堪えながら、彼女はそっと怒張へと手を添えます。

 「では…御掃除させていただきますね……♪」

 まだ快楽が残っているのか甘く媚びる様な声で一ツ葉が宣言すると共に、ゆっくりと上下へと扱きはじめました。その掌からはドクドクとした強い脈動を感じるのです。まるでそこだけが別の生き物のように激しく強く脈打っていました。そこは人間――より正確に言えば彼はもうインキュバスになっているのですが、基本は人間の男性と変わりません――の身体とは思えないくらい硬く熱い部分でもあるのです。さらに、その怒張は両手で無いと扱き切れないほど大きい上に、片手では掴みきる事の出来ない太さも持っているのでした。まるで化け物のようなその器官は、初心な娘であれば泣き出しかねないほどの威圧感を放っているのです。しかし、毎日、こうして誠示郎の『御掃除』をしている彼女にとって、その威圧感は寧ろ子宮を疼かせる材料でしかないのでした。早くこの大きな怒張を突っ込んで欲しいと、また犯して子宮一杯に精液をプレゼントして欲しいと主張するように彼女の子宮はもうじくじくとした熱を持ち始めているのです。
 

 ―でも…今はぁ……♪

 子宮の疼きは勿論、大きなものではありましたが、既に二度、射精してもらっている今ならば堪えきれないわけではありません。そして、誠示郎が愛してくれた分、彼女もまた彼に奉仕したい欲求があるのです。彼女は被虐性の強い趣味を持つのと同じくらい、こうして誠示郎を気持ち良くしたい趣味を持っているのですから。そして、その欲求が膨れ上がっている今、彼女は子宮の疼きに負けない自信がありました。

 「ふふ……っ♪まずは…こうしてゴシュゴシュして…私の愛液を剥がさなければいけませんね…♪」

 焦らすようにそう言いながら、一ツ葉の両手は膨れ上がった怒張を上下に扱き続けています。その手にまだ殆ど力は入っては居ません。潤滑油としての愛液を最大限に活用して触れている手を滑らしているだけなのです。無論、誠示郎にとってその感覚はとても物足りないものでありました。さっきまでこの世の天国とも思えるような気持ち良さの中にいたのですから尚更です。しかし、それでも彼は何も言いません。誠示郎は愛する妻が毎回、ちゃんと気持ち良くしてくれるのを知っていますし、その為に創意工夫を凝らしているのも分かっているのですから。寧ろ、好きなようにやれ、と言うかのように彼女の頭をその手で優しく撫でるのです。

 「あは…ぁ♪もう…そんなに優しくされたら…もっと激しくしたくなっちゃうじゃないですかぁ…♪」

 誠示郎の信頼の証をその髪越し耳越しに感じながら、一ツ葉の両手は時折、激しいものへと変わっていきます。全体としてはまだ触れるようなスタンスを崩さず、快楽とも言いがたいもどかしい間隔を広げていました。しかし、その一方でカリ首や根元など感じる部分に触れる瞬間だけ強く撫でるのです。弱弱しい感覚から一気に快感と言えるモノに変わり、誠示郎の男根がピクリと大きく反応してしまいました。それを微笑みながら見つめている彼女の顔には強い陶酔の色が浮かんでいます。顔を真っ赤に染めながら荒い息を吐いて夢中で扱き上げているその顔は酔っているようにも見えるのでした。

 ―はぁ…♪はぁぁ…っ♪御主人様のオチンポ逞しいぃっ♪はやく…銜えたいですぅ…っ♪

 膨れ上がった巨根をこうして扱き上げているだけでも一ツ葉の身体は熱くなり、その口からはドロドロと唾液がたっぷりと作られ始めてしまうのです。数え切れないほど誠示郎の男根を飲み込んできたその口は、もうその美味しさを完全に教え込まれていました。こうしているだけで、愛液塗れのその肉棒を口一杯に頬張って、咽喉奥まで使いながら、たっぷりと味わいたい気持ちが湧き上がってくるのです。しかし、それは出来ません。今、そうして銜え込んでも、先ほどまで膣肉の中に入り込んでいた肉棒を満足させる事は難しいのですから。まずはさっきの快楽の余韻を男根から取り除かなければ、どんな快楽も交わりの後では霞んでしまいます。その為、一ツ葉は必死で自分を抑え付けながら、焦らすような快感を夫へと注ぎ込むのでした。

 「はぁ……♪どうですかぁ…っ♪ゴシュゴシュされるのはぁ…っ♪」

 顔一杯に喜色を浮かべながら扱き上げる彼女の指の間からはにちゃにちゃと淫らな水音が掻き立てられていました。誠示郎の男根へと絡みついた愛液が彼女の細い指に絡みつき、擦れ合う度にそれは鳴っているのです。さっきのセックスを彷彿とさせるその音に彼女の脳髄がじくじくと刺激され、さらに興奮の熱を高めていくのでした。しかし、その興奮は彼女の本能を燃え上がらせるモノでもあるのです。二度の射精を飲み込んだにも関わらず、未だ貪欲に性欲を求め続ける子宮はその熱を受けて、さらに燃え上がっていくのですから。もし、その興奮に負けてしまえば、またケダモノと化して、彼との交わりをオネダリしてしまうに決まっています。

 ―でも…まだ…っ♪

 無論、彼女にとって、ケダモノと化して愛する夫へ貪られるのはとても甘美な時間であります。女としても、メスとしても最高に幸せな瞬間が待っているのですから当然でしょう。しかし、その一方で、彼女の心は誠示郎へと『御奉仕』することも強く望んでいるのです。こうして剥き出しになった男根を、手で、口で、胸で、身体中のあらゆるところを使って気持ちよくして差し上げたいと願っているのです。勿論、本性がケダモノである一ツ葉は自らの内にある獣欲には勝てません。何れはその願いも負けて、またケダモノへと堕ちる事でしょう。しかし、それでも、まだ、と、今だけは、と願う彼女の気持ちは弱まりません。寧ろケダモノとしての自分を意識すればするほど、今のうちに愛しい夫をもっと気持ち良くしてあげたいと思うのです。

 「ここもぉ…♪カリ首も根元もぉ…♪ぜぇんぶ…ゴシュゴシュしてあげますからねぇ…♪」
 「あ…あぁ…」

 そんな一ツ葉の御奉仕はどんどんと激しいものへとなっていくのでした。最初は弱い部分だけぎゅっと力を込めて触れるだったのが、肉棒全体に強く広がっていくのです。敏感なカリ首や根元だけでなく、青筋の浮き上がった陰茎全体を熱心に扱きあげているのでした。そして、愛しい男性を感じさせるのに一番、必要なのが緩急である事を理解している一ツ葉はそれで終わりません。さっきまで強く触れる部分であったカリ首や亀頭にはさらに強く指を押し付けるのです。硬い肉棒の敏感な部分を容赦なく凹ませるその圧迫は、痛みになってもおかしくないくらい強いものでした。しかし、交わりの快楽を残す誠示郎にとって、それは間違いなく快感であるのです。思わず呻き声をあげそうに鳴るくらい気持ち良く、一ツ葉の頭を撫でる手にも思わず力が入ってしまうのでした。

 ―あはぁ…♪御主人様も感じてくださっていますぅ……♪

 一ツ葉の指から与えられる焦らされるような快楽が少しずつ効いてきて、思わず力が入ってしまったのでしょう。誠示郎の手は力が入りすぎて、まるで乱暴に掴まれている様にさえ感じるものでした。しかし、彼にこうやって何度も御奉仕している彼女は、それが決して乱暴な感情によって引き起こされたものではないと知っているのです。寧ろ、激しいその掴み方が、彼が快楽を感じ始めていると言う事を伝えてくれているようで子宮を熱くしてしまうのでした。自然、収縮した子宮からは愛液がドンドンと作られて、誠示郎の股間へ顔を埋める一ツ葉の太股にドロドロと零れ落ちていくのです。

 ―あぁ…♪私も…感じてますよぉ…っ♪

 愛液と言う興奮の証が太股に伝うほど感じているのを知って、一ツ葉の本能はさらに燃え上がり始めました。燃え上がったその本能が快楽を求め、指を秘所へと伸ばさせようとしますが、彼女はソレも押さえ込むのです。今の一ツ葉にとって、何より重要なのは誠示郎を気持ち良くする事であって、自分が気持ち良くなる事ではありません。寧ろ、ここで下手に気持ち良くなってしまったら完全に快楽を求める本能へスイッチしてしまうでしょう。そして、彼女はそれを堪え、燃え上がる本能を突き放すように、陰茎の上側を担当していた手を亀頭にそっと覆い被せるのです。無論、一ツ葉の細く、小さな手ではカリ首から頂点の鈴口までの全部を包み込むことは出来ません。しかし、亀頭の表側半分に集中するのであれば不可能ではないのでした。

 ―そしてぇ…♪このままぁ…♪

 「う…っ!」

 覆い被せたその手をぎゅっと亀頭へと押し付けて、ぐりぐりと撫で回す刺激に、流石の誠示郎も呻き声を上げてしまいます。それも当然でしょう。だって、愛液でネチャネチャになり、さらに吸い付く様な滑らかさを持つ彼女の手が、敏感な部分を蹂躙するように回り始めたのですから。交わりの余韻の後で幾分、鈍感になっているとは言え、焦らすような刺激ばかりを与えられた後に弱点を攻められてしまったら溜まったものではありません。しかも、ただ責めるだけではなく、カリ首全体に愛液を広げるように掌は滑らかに動き、反り返ったカリ首は指の先でカリカリと擦られるのですから我慢しろと言う方が酷でしょう。普段よりも幾分、鈍感になっている誠示郎でさえ、その刺激は思わず腰を引いてしまうものであるのでした。

 ―御主人様ぁ♪もっとぉ…♪もっと感じてぇ…♪気持ち良くなって下さいねぇ…っ♪

 無論、はっきりと快感を示してくれる誠示郎の反応は一ツ葉にもはっきりと伝わってくるのです。思わず腰を引こうとする誠示郎の仕草だけでさえ一目で分かりますが、鈴口からは愛液よりもさらに粘性に優れた透明の粘液があふれ出し、亀頭全体もより快楽を求めているようにピクピクと震えているのですから。明確に示される反応に、彼女の心がさらに熱くなって、止まらなくなるのです。しかし、まだ一ツ葉はそれに負けるわけにも参りません。だって、誠示郎の身体からは交わりの余韻が殆ど消えて、手や指の愛撫で感じ始めたのですから。寧ろ、気持ち良くなって貰うのであればここからが本番であるのです。

 「ふふふ…♪ゴシュゴシュ気持ち良くなってきてるんですねぇ…♪じゃあぁ…♪今度はこっちを…コロコロしてあげますぅ…♪」

 その言葉と同時に陰茎を弄っていた一ツ葉の手がそっと下へと降りて、股間で揺れる小さな玉袋をきゅっと掴みました。先ほどの射精から沢山の精液を増産し、再び中を子種汁で一杯にしたその生殖器は彼女の手の中でコロコロと揺れるのです。まだ射精まで遠いのかだらしなく垂れ下がった玉袋には誠示郎の陰毛が幾つか生えていますが、彼女はまるで気にせず、片方を唇で捕まえるようにそっと挟み、もう片方を指で摘んでコロコロと手の中で揺らすのでした。

 「くぁぁ……!」

 男の急所とも呼ばれる金玉から這い上がってくる快楽に誠示郎はさらに呻き声をあげさせられてしまうのでした。無論、人一倍、男の意地やプライドと言うものを重視する彼はその呻き声を必死で堪えようとしています。しかし、オスとして一番、大事で、とても敏感な部分から這い上がってくるむずむずとした快楽には勝てません。しかも、彼女の手の中で揺らされる度に、彼女の形の良い唇に吸われて皺を一つ一つ解す様に嘗め回される度に、その生殖器は強い危機を感じるのかドンドンと精液を増産するのです。袋の中がもう一杯であるのに、さらに精液を作り出そうとする指令は身体中の興奮を掻き立てるものでもありました。亀頭の先だけとっても、呻き声を抑えるのが難しいくらいの直線的な快楽が与えられているのに、金玉まで刺激されて声を我慢できるはずがありません。

 「ちゅぅぅぅっ♪じゅぱぁ…っ♪…うふふ…コロコロも気持ち良いみたいですねぇ…♪皮越しでもぷりぷりの精液がたぁっぷり作っているのを感じますよぉ…♪」

 見せ付けるようにそう言ったその言葉は、決して偽りではありません。唇の内側で感じる脈動も、指や掌で感じるゴロゴロとした蠢きも、たっぷりと精液を増産している事を彼女に教えてくれるのです。彼女の一番の大好物が、すぐ先にある事に彼女の咽喉が生唾を飲み込んで、何度もゴクリと言う音を響かせていました。そして、その心臓もまた激しく脈打ち、全身へと興奮を押し広げているのです。頭の中が一瞬、真っ赤に染まった程の衝動さえ感じますが、彼女はそれを捻じ伏せて、より行為に没頭するために玉袋を再び口へと誘い込むのでした。

 ―あぁぁ…♪美味しい…っ♪

 蒸れた汗の香りがたっぷりと染み込んでいるそこは口の中に含んでいると考えるだけでも、メスの部分がじくじくと刺激されるような感覚を覚えるのです。さらに愛液で濡れてべったりと張り付いた陰毛の一本一本を舌先で清めてあげると、微かに精液の味がするのでした。最初の騎乗位の際、子宮口へと辿り着く前に射精された分が愛液と共に零れ落ちていたの
でしょう。無論、それは殆ど愛液に飲み込まれていて精液の何処か青臭くて甘い匂いも微かにする程度でありましたが、誠示郎の精液を何度も味わった一ツ葉の舌を反応させるには十分すぎるものです。殆どの人には決して分からないであろう微かな匂いと味に反応するその舌は、それをそのまま美味かつ快感であると判別して、脳へと信号を送っているのでした。

 ―美味しすぎて…ずっとこれをはむはむしていたいですぅ…っ♪

 大好きで大好きで溜まらない誠示郎の精液の残滓を見つけた彼女は夢中になって、舐め回し続けます。それは金玉の皺一つ一つを揉み解されているように誠示郎が感じるくらい情熱的でありました。しかし、情熱的に舐めれば舐めるほどその味は薄くなっていくのです。それも当然でしょう。だって、精液を作っている玉袋とは言え、そこから精液を噴出しているわけではありません。彼女が感じているのはあくまでも精液の残滓であり、精液そのものではないのです。無論、それは舐めれば舐めるほど、感じれば感じるほど、ドンドン薄くなって消えていくのですから。しかし、精液の味を一度、覚えてしまった彼女は決して納得は出来ません。消えていく精液の味や匂いを追いかけるように舐め取る舌の動きを早めていくのです。

 ―あぁぁぁ…っ!無くなっちゃう…♪精液の味も匂いも…全部、無くなっちゃいます……っ♪

 しかし、幾ら舌の動きを早めた所で、それは彼女の墓穴を掘る行為でしかありません。彼女が情熱的に御奉仕する分、彼女の大好きな精液の味も匂いも遠ざかってしまうのですから。そして、ついに玉袋の表面を余すところ無く舐め取った彼女は、もう精液を感じる事が出来なくなっていました。溢れんばかりの愛液の中からでも、精液の残滓を見つけ出す彼女の舌でさえ見つからないと言う事は本当に全て舐め取ってしまったのでしょう。そう冷静に分析する彼女とは別にそれに不平を漏らす彼女もまた存在するのでした。そして、云わば本能の代理人である後者は既に彼女の思考と身体を殆ど支配していたのです。

 ―もっと欲しい…っ♪もっと精液欲しいですぅ……っ♪

 そして、その本能は彼女の目的を『愛しい夫を気持ち良くする事』から『愛するオスの精液をたっぷりと頬張る事』へと変化させるのです。その変化に抗おうとする彼女は居ません。一度、精液を味わってしまった時点で、彼女の本性はそれを欲していたのですから。もっとも深い部分に刻み込まれたメスの本性が必死で求めている事を、彼女が止められるわけが無いのでした。そして、その本性は、精液を強請る為により『御奉仕』を激しいものへと変えていくのです。

 「じゅぷぁ…っ♪…うふふ…♪次は…この助平なお胸で…ゴシュゴシュしてあげますねぇ…♪」

 そう言いながら彼女は逞しい肉棒から豊満な胸へと両手を移します。そのまま大きく育って、ふるふると揺れる双丘の下から持ち上げて、誠示郎の男根を上から一気に胸の谷間に『挿入』するのでした。既にじっとりと汗が浮かび、甘いメスの香りを立ち上らせているそこは、大きな胸同士の間である所為か、とても窮屈です。しかし、その反面、柔らかにその形を変える乳肉と、それを包む吸い付くような肌が、肉棒へと襲い掛かってくるのでした。それらは谷間を窮屈と感じる暇を与えず、愛しいオスに快楽を与えているのです。無論、その快楽は交わりのモノとは比べ物にはなりません。しかし、乳肉に四方八方から擦られ、押し当てられる上に、その肌一つ一つが吸い付くようにぴったりとくっついてくる感覚は、まるで別のメスの性器へと挿入している錯覚さえ彼に覚えさせるのです。

 「うふふ……♪未だ挿入れたばっかりなのに、こんなにびくびくしちゃってぇ…♪」

 それは彼女にとって幸せな感覚でした。愛しいオスが自分のセックスアピールである巨乳で感じてくれているのですから、幸せで無いはずがありません。さらに、彼女は今、ケダモノにその思考の大半を支配され、精液が欲しくて仕方が無い状態なのです。射精への昂ぶりを確実に高めていっているその震えは、彼女にとって幸せの瞬間へのカウントダウンでもあるのですから、それを厭う筈が無いのでした。だからこそ、彼女はもっと幸せになろうと、誠示郎を気持ち良くしてあげようと、支えていた手を胸の脇へと送り、横からぎゅっと胸を押しつぶすのです。

 「う…あぁぁ…っ」

 無論、柔らかい乳肉はそれに抗う事は出来ません。寧ろ、そのむにゅむにゅと幾らでも形を変えるような肉でその圧力を優しく受け入れて、身を歪ませているのです。そして、左右から対称的に送られるその歪みは、彼女の胸の谷間で最高潮に達するのでした。勿論、そこで挿入している誠示郎のモノはさらに強く乳圧を感じる事になり、カウパーを漏らしてしまうのです。スイカ大ほどの胸に挟まれても、まだその谷間の上から少し顔を出す程の大きさを持つ逸物は震えるたびにそのカウパーを胸の谷間へと落としていくのでした。

 ―あぁぁ…っ♪御主人様がぁ…私の胸の谷間にたっぷりカウパーを漏らしてぇっ♪私も気持ち良過ぎて…子宮震えちゃいますぅぅっ♪

 挿入のような快楽を感じる誠示郎と同様に、一ツ葉もまた強い快感を受け取っていたのです。それも当然でしょう。だって、その大きな胸は誠示郎の手によって淫らに耕された彼女の自慢のモノであるのですから。その生い立ちから、余り人に甘える術を知らなかった彼がまるで今までの分を取り返すようにたっぷりと甘えて、苛めて居た箇所なのです。何度も何度も執拗に甘えられ、苛められたそこは大きさと共に感度もしっかりと育っていました。無論、それは彼女の中で一番、敏感な子宮口や陰核ほどではありませんが、愛する夫に触られるだけで絶頂してしまいそうなほど敏感な場所であるのです。しかし、彼女の淫らな胸だけで得る快感は際限なく高まっていくだけで、決して絶頂へたどり着く事はありません。彼女はもう誠示郎の男根が膣内へ入っていなければ絶頂出来ない淫らな身体になってしまっているのですから。

 「はぁ…っ♪はぁ…っ♪…じゃあ…次は…一気にゴシュゴシュですよぉ……♪」

 余りの気持ち良さに子宮が震える感覚を感じながら、一ツ葉は胸を押さえつける両手をゆっくりと上下させていきます。無論、ゆさゆさと揺れる乳肉もそれに従って上下するのでした。双丘の谷間に入っただけでも挿入の感覚を味わってしまう誠示郎にとって、それは抽送以外の何者でもありません。亀頭の先から根元まで陰茎の全てを乳肉に包まれ、吸い付かれているのですから当然です。勿論、さっきたっぷりと扱き上げられたお陰で愛液はあまり残ってはおらず、潤滑油は余り足りてはいません。当然、その動きは敏感な粘膜に傷をつけまいとするゆったりとしたものでした。しかし、それが誠示郎にとってはまるで焦らされているようにも感じるのです。

 「ゴーシュゴシュ…♪ゴーシュゴシュ…♪鈴口からぁ…根元まで…全部ゴシュゴシュですよぉ…♪」

 勿論、愛する夫が感じている焦燥感を一ツ葉は知っています。しかし、だからこそ、今は自分を抑えなければいけないのでした。彼女の中にも勿論、このまま激しく責め立てて、今すぐ精液を射精してもらい、口の中でたっぷりと味わってからゴクンと咽喉を鳴らして飲み込みたい欲求は存在します。しかし、それで貰える精液と言うのは、一度っきりでしょう。膣内で味わったような何度も何度も弾ける射精で身体中、精液だらけになるような感覚は決して味わえません。まるで身体中を真っ白に染められ、マーキングされているような、その感覚は想像するだけでも彼女を虜にしていました。

 ―それに…潤滑油でしたら幾らでも出てきますし…♪

 わざわざ補給などしなくても、彼女の胸の谷間からは汗が止まらず、オチンポに絡み付いています。逆に胸の間で挿入の快楽を味わっている肉棒の先端からはカウパーが漏れ出て止まりません。さらに、彼女の乳首からとろとろと漏れ出した母乳が、上へと擦り上げるたびに胸の谷間へと落ちて潤滑油になるのでした。母乳と汗とカウパーが混ざり合ったその潤滑油は、愛液と精液のカクテルに負けず劣らず、淫らな感覚です。特にメスの匂いを強く打ち出す匂いは、それを嗅いでいる誠示郎のオスの本能をじくじくと刺激して、さらなる興奮へと導くのでした。

 「今度はぁ…♪不規則にいきますぅ…♪」

 その声と共に一ツ葉の両手の動きが変わりました。今までは左右対称的に動いていたその手が、非対称な動きへとなっているのです。右手が上がれば、左手が下がる、と言うような法則性はそこにはありません。それぞれの手が思う存分に動いて、不規則な快楽を生み出します。それは挿入を彷彿とさせるさっきとは違い、他に例えようも無い感覚でした。柔らかく、肉付きの良い手の群れの中に突っ込んだ感覚と言うのが一番、近いのかもしれません。四方八方から好き勝手に擦られる感覚は、本当にそんな錯覚を覚えさせるのです。そして、責める事には慣れていても、責められる事には慣れていない誠示郎は、その危ない錯覚に背筋を震わせて反応してしまうのでした。

 ―あぁぁ……♪御主人様…とっても素敵な顔をしてます……ぅ♪

 その誠示郎の顔が一ツ葉の
視界へと入った瞬間、彼女の子宮は今までに無い強い疼きを走らせるのです。だって、誠示郎の感じている顔は彼女にとって何よりも強い興奮を齎すのですから。しかも、責められ慣れていない所為か、普段の鉄面皮さを投げ捨てて、ぎゅっと目と口を閉じて絶えようとしている姿はまるで出会った頃の誠示郎を彷彿とさせるものでした。愛する夫と長年、過ごしてきた彼女にとって、それは見慣れている光景です。しかし、何度、見ても、子宮と母性が疼いて、もっと気持ち良くして上げたいという気持ちは収まりません。寧ろ、こうして見ているだけでどんどんとエスカレートしていき、彼女の口からダラリと唾液を零してしまうのです。

 ―駄目…抑えないと…っ♪

 見れば見るほど母性と子宮を擽られる夫の姿から彼女は目を離せなくなってしまいます。無論、今も手の動きは止めてはいませんが、意識していなければそれを止めてしまっていたかもしれません。それくらい彼女にとって、無防備に感じる誠示郎の姿と言うのは破壊力の高いものであったのです。そして、何度それを見ても耐性の出来ない一ツ葉の心は、誠示郎のそんな姿に、真っ二つに折れてしまったのでした。

 「ゴシュゴシュ良いですかぁ…♪カウパーと汗とぉ…♪唾液と母乳塗れの胸の谷間気持ち良いですかぁぁ…♪」
 「あ…ぁ…。悪くは無い…な」

 この期に及んでも必死に威厳を保とうとする誠示郎の言葉に一ツ葉の子宮から強い熱が溢れて止まりません。それは先ほど真っ二つに折れた心から母性だけを取り込んで、大きな波へなっていくのです。一瞬で全身に波及したその波は唯一つ、このまま彼に射精してもらう事だけを目的としていました。そこにはもうさっきまで焦らそうとしていた気持ちなんてありません。そもそも、責めるよりも責められる方が大好きな一ツ葉がそう長い間、自分の被虐性を抑えていられるはずがないのです。寧ろ、自分の欲求を捻じ伏せる事に被虐的な快感を感じながら、その愛撫をもっと激しいものにしようと手だけでなく肘までを使ってガッチリと胸を押さえつけるのでした。

 「うふふ…♪ありがとうございますぅ…♪じゃあ…今度は…お口でも…御奉仕しますねぇ…♪」

 そう言いながら、一ツ葉は誠示郎に向かって見せ付けるように口を開きました。そこにはもうさっきから増産が止まらない唾液が池のように溜まっています。今も尚、ドロドロと上から落ちてきているその唾液は愛液に劣らない粘性を持って、彼女が身動ぎするたびにふるふると震えていました。そして、その唾液を混ぜ合わせるように彼女の舌がゆっくりと口の中で円を描き、より扇情的に見せているのです。そして、今から陰茎が入る場所を見せ付けられた誠示郎は思わずゴクリと咽喉を鳴らしてしまいました。まるで視覚的に快楽を示したようなその場所を見て、欲情を感じないオスはいないでしょう。彼もまた例外ではなく、これから味わうであろう快楽を思って男根を硬く逸らしてしまうのです。

 「りゃぁ…いきまふねぇ…♪」

 半開きになった口で舌足らずに言いながら、一ツ葉は亀頭へ唾液を一気に落としました。池のようにも見えた唾液が重力に引かれて、ドロドロと落ちていく様はとても淫らで、扇情的です。新たに潤滑油が追加され、さらに激しい交わりを期待する誠示郎の咽喉は自然と生唾を飲み込んでしまいそうになりました。しかし、それを飲み込む前にぱくりと亀頭を銜え込んだ一ツ葉の舌の動きに、一瞬、視界が真っ白に染まるのです。今まで焦らすようであった動きが嘘の様に、無遠慮に彼女の舌はカリ首を一気に撫で回していました。そこには遠慮と言うものが一切ありません。初めから最高の快楽を注ぎ込もうとしているように、激しく亀頭を舐め回し、カリ首も形の良い唇をきゅっきゅと窄めて刺激しているのでした。

 ―ふぁぁ…♪御主人様のオチンポやっぱり美味しいですぅ…♪

 無論、その間に彼女はさっきと同じ興奮と熱を感じてエスカレートしていくのです。亀頭に僅かに残った精液の味と匂いを感じてしまったのですから当然でしょう。しかし、金玉を舐めていた時とは異なり、求めていた精液の残滓がここにも残っている事に夢中になってしまいそうになる自分を必死に堪えて、彼女の手は胸を動かし続けるのです。腕の半分を使って強く擦り付けるその動きは彼女にとって強い力を使う大変なものでしたが、それも愛しいオスの為と思えば幾らでも我慢できるのでした。

 「くぅぅ…っ!」

 そんな胸の愛撫を受ける誠示郎の顔にはもう殆ど余裕の色と言うものが見えません。苦悶のような呻き声を上げて、快楽に堪えている様だけがあるのですから。無論、今まで焦らされた後にこんな快楽を味わされては誠示郎とて、射精してしまいそうになるのです。しかし、そう簡単に絶頂へと押し上げられてしまうのは男としての意地やプライドといったものが許しません。それに何より、誠示郎も彼女が精液を強く求めている事を知っているのです。それもただの精液ではなく、我慢して我慢して我慢した後の激しい射精で吹き出す精液を欲している事を。それ故に彼は射精を必死に堪えて、その絶頂をより高いものにしようとしているのでした。

 ―けれど…っ。

 長年、誠示郎のチンポに『御奉仕』してきた彼女の本気の責めの前にはその我慢はドンドンと崩されていっています。何処をどうすれば感じるのか、何処が敏感なのか、と弱点全てを悟られてしまっているのですから当然でしょう。これがただのフェラチオであるなら、まだ我慢する術がありますが、誠示郎の大好きな胸まで持ち出されてきているのですから絶えられるはずが無いのです。そして、さっきまでは強固であった砦の城壁をまた一つまた一つと壊して、快楽が二つの玉袋へと溜まっていくのでした。

 「ちゅぷぅ…♪ぢゅるる…♪ちゅぅぅぅ…♪」

 そんな彼と同じく、一ツ葉の胸にもまた気持ち良さが溜まっているのです。誠示郎によって、とても敏感にされてしまった胸で何度も大好きな肉棒を擦り上げているのですから当然でしょう。しかし、誠示郎と決定的に違うのが一ツ葉がその快感でイく事は決して無いと言う事です。その事が彼女の強みであると同時に弱みでもありました。イく事ができないと言う事は、冷静であり続けられると同様に、また欲求不満が溜まりやすいのです。高まる快感の捌け口が見当たらず、身体中で蠢いて止まらない感覚に、子宮が早く精液をよこせと唸りを上げているのでした。

 ―出してぇぇ…♪早くぅ…早く射精してぇ…♪

 無論、口でどれだけ取り込んでも子宮にまで精液は届きません。しかし、今の彼女にとってそれは些細な違いであるのです。子宮が精液を求めるのと同じくらい、口からも一杯、精液を取り込んで、たっぷりと味わいたいのですから。その二つの欲求だけで見ると完全に釣り合っていて、片方に傾く事はありません。そこに誠示郎をこのまま彼の大好きな胸で気持ち良くして上げたいと言う母性が後者へと味方し、天秤を傾けているのです。そして、彼女はその傾きをより強固なモノへと変えるために、肘で胸を押さえながら、乳首を手に取り、肉棒へと擦り付けるのでした。胸とは比べ物にならないほど、敏感な乳首が陰茎と擦れる感覚に一瞬、身体中が痺れて撥ねそうになってしまいますが、一ツ葉はそれを堪えて、漏れ出る母乳を塗りつけるように何度も乳首を擦り付けるのです。

 「はくぅ…っ」

 ―ひゃぅぅぅんっ♪気持ち良いんですねぇ♪御主人様も私の乳首で感じてくれてるんですねぇ…♪私もですよぉ…♪気持ち良くてビリビリしちゃうのぉ…っ♪ビリビリしてぇ…全身が精液求めてるんですぅ…っ♪

 小さく呻き声を上げる誠示郎に応えるように、一ツ葉もまた心の中で淫らな言葉を漏らすのです。そして、自分で浮かび上がらせたその淫語に後押しされるように、その愛撫を激しく強いものへと変えていくのでした。特に顕著なのが、亀頭を銜え込んでいる口の中です。弱点を的確に舐め、銜え、唾液でドロドロにしていた一ツ葉の口は、時折、腫れ上がった亀頭に甘く歯を立てるのでした。強い快楽の中に走る一瞬の痛みがアクセントになり、彼に慣れさせる暇を与えません。しかも、それを不定期に行うのですから、彼としては堪ったものではありません。時に短い間隔で、時に諦めたのかと思うくらい長い間隔で、ピリッと走る痛みはその度に彼の我慢に大きなヒビを入れるのですから。

 ―もっとぉ…♪もっともっともっともっともっとぉ♪たっぷり気持ち良くなって、ドロドロの精液一杯射精してくださいねぇっ♪

 そして、勿論、エスカレートする彼女の愛撫は胸にも波及していくのです。乳首を擦り付ける為に肘でがっちりと押さえつけられた胸はじんわりと汗を浮かべてながら、溢れる潤滑油でドロドロになってしまいました。自然、その滑りは今までと比べて最高のものになっています。その潤滑油を最大限に活用するため、彼女の肘は痛いくらいに強く胸を押し当てるのです。さっきまでの手は腕を使った押さえ込みとは違い、それは余り自由度の聞くものではありません。精々、十センチほど上下させるのが限界でしょう。射精への階段を一段一段を上らせられている今、その十センチほどの上下は誠示郎にとって大した快楽には感じません。しかし、その一方で、今まで以上に強く締め付けられる感覚が彼を襲い、強い快感と認識させているのです。

 ―その為ならいっぱいズリュズリュしますからぁ♪気持ち良い助平なお胸で一杯御奉仕するのぉ♪御主人様と赤ちゃん専用の母乳だってぇたっぷり漏らしちゃうんですぅ♪

 そして、彼女の桜色の乳首がそれに拍車をかけるのです。男根の反り返った側をゾリゾリと擦る乳首からは今も、白い母乳が漏れ続けていました。甘い匂いでオスを誘うようなその母乳は唾液やカウパーと言う粘性の高い液体と混ざり合って、陰茎へと絡みつくのです。そして、漏れ出たばかりの所為か、まだ何処か生暖かい母乳と触れ合う度に、誠示郎はまるで甘やかされているようにも感じてしまうのでした。甘い母乳の香りが脳髄をじくじくと刺激し、触れ合った部分では快楽を染み込ませるようにドロドロとしているのですから。そして硬く勃起した乳首が胸の柔らかい感覚に慣れてしまった陰茎に鮮烈な刺激として認識されるのです。青筋の浮かんだ表面は乳首と触れ合うだけでぴくぴくとして、さらにその身を膨れ上がらせていました。そして、それは誠示郎の我慢と言う壁を全て突き貫いた証でもあるのです。だって、膨れ上がったその身は誠示郎にとって最高の大きさでもあり、射精寸前でしか見られないものだったのですから。無論、最高の怒張を見せ付けてビクビクと震える男根の下では、だらしなく垂れ下がっていた金玉がきゅっと引き上がり、射精の準備を始めているのでした。

 「う…くぅぅ…射精る……ぞ…!!」

 ―射精るんですねぇ♪はいぃ♪くださいね……っ♪一杯中にぃぃ…一滴残らず飲みますから…ぁ♪たっぷりぃ…射精してぇぇぇぇ♪♪♪

 彼女が胸中でそう叫んだ瞬間、誠示郎の男根はドクンと大きく震えて、先端から精液を射精し始めるのです。それはさっきの交わりとは引けを取らない勢いでした。子宮の奥まで届くようにと何度も何度も吹き出るその精液は量も凄まじいものでしたが、特筆すべきはその濃厚さでしょう。今日、三度目の射精であるというのにまるで薄くならない精液は、べったりと口の中に張り付いて離れません。子宮の壁に張り付くように、口に張り付いて、まるで咽喉へと落ちる気配が無いのです。そんな状態で次から次に精液が吹き出てくるのですから、溺死しそうな予感さえ彼女にはありました。しかし、それでも一ツ葉は愛しいオスの肉棒から口を離しません。必死に精液を嚥下しながら、その誠示郎の絶頂をより高いものにしようと胸も舌も唇も動かしてさらなる快感を注ぎ込むのです。

 「う…あぁぁぁ……!!」

 それは誠示郎にとって精液を吸い取られるような感覚でした。子宮口と引けを取らないほど貪欲な口の中に亀頭を飲み込まれて、精液を強請られているのですから当然でしょう。しかし、一度、始まった射精は肉棒全体を敏感にして、次の絶頂を迎えてしまうのです。一ツ葉の身体が淫らになったように、貪欲に射精を求めるようになってしまった肉棒はそれを抑える事が出来ません。膣内で味わう感覚ほど鮮烈ではないにせよ、断続的に射精を繰り返すのでした。

 ―美味しいっ♪美味しいですぅ♪精液美味しいのぉぉぉっ♪美味しいので溺れるの幸せぇ…♪御腹の中まで一杯、美味しいので満たされちゃいますぅ…っ♪

 そして、勿論、精液を待ち望んでいた彼女の胸は幸せと充実感で一杯でした。口の中一杯に大好物の精液を頬張る事が出来ているのですから当然でしょう。しかも、それは嚥下しようとしても中々、飲み込めないくらい濃厚でぷりぷりとしているのです。上手く咽喉へ流し込む事が出来ても、べったりと張り付いた精液が咽喉の壁に張り付いているのでした。舌だけでなく、咽喉でも精液を味わっているような感覚に、彼女の思考は霞ががかっていきます。ピンク色のその霧は、彼女の思考を精液を味わう事一色に染め上げて、他の事を排除していくようでした。無論、その中には子宮の疼きも例外ではありません。まるで精液を味わう部分以外は何も要らないといわんばかりに他の感覚を遮断していくのです。

 ―あ……♪んぁぁ…♪……幸せ……美味しいの一杯で幸せぇぇ…♪

 しかし、その幸福感は長い間、続きません。どれだけ激しく刺激しても、誠示郎専用の絞精器である彼女の膣には敵いません。無論、その連続絶頂は長い間続かず、尻すぼみになっていきます。精液も先から漏れ出る程度になって、口の中で弾けるような強いものではなくなってしまいます。それを何処か心の中で残念に思うのと同時に、それを飲み込むくらい大きくて強い強い幸福感と充足感を湧き上がらせるのです。

 ―あふ…ぅ♪御腹の中ぁ…たぽたぽしそうですよぉ…♪

 誠示郎の射精が収まりかけている今でさえ、その口には嚥下する事の出来ない濃厚な精液が頬一杯に溜まっているのです。咽喉にはまだ胃へと降りていく精液の群れが沢山ありますし、その胃の中へと滑り落ちた精液も底へと溜まるくらい多いものでした。それら全部を合わせれば、水を飲みすぎた時のように胃に圧迫感や揺れを感じてもおかしくはありません。しかし、彼女にとってそれだけの精液を貰ったと言う事は、芯が蕩けて崩れ落ちてしまいそうなほど幸せな事であったのです。

 ―あはぁ…♪でも…御主人様は不満そうですぅ…♪

 亀頭に吸い付いたまま上目遣いで愛しい夫を見ると、その顔には射精の後の興奮の残滓と共に不満な色が見て取れました。無論、彼はしっかりと射精して、その快感を享受しています。しかし、その一方で膣肉から味わうあの連続した絶頂を思うとどうにも物足りない感覚を否定できません。射精が終わってダラリと垂れ下がる玉袋にはまだまだ半分以上、精液が残っていますし、今も尚、増産され続けているのです。折角、愛しいメスの為に作った精液が最後まで使われ無かった事に不満げを漏らすようなその動きは、誠示郎をさらなる興奮へと狩りたてていました。そして、そんな夫の様子を妻である一ツ葉は一目で察する事が出来るのです。

 ―だったら…早く次の準備をしないといけませんね…♪

 そして、それは今、頬一杯に蓄えている精液を飲み込むと言う事でもあるのでした。勿論、出来れば、彼女としても精液を口に含んだまま、誠示郎に犯されたいのです。だって、彼女は誠示郎自身と同じくらい彼の精液の事が大好きなのですから。四六時中味わっていてもまだ飽きない精液の味を口に含みながら、犯される感覚はきっと甘美なものでしょう。しかし、その一方でその交わりは甘美過ぎるのです。きっと嬌声を上げて止まらなくなってしまうでしょう。そうなったときに口に含んだ精液が零れ落ちてしまうのは必至です。精液が自分の身体を汚すのは彼女にとって嬉しい事ではありますが、誠示郎にとってはそうではないでしょうし、何より精液を無駄にする事なんて耐えられないのでした。そして無駄にする事を考えれば、名残惜しいですが、今、ここで精液を飲み込んでしまうのが得策であると彼女は考えるのです。

 ―でもぉ…♪その前にぃ…♪

 そして、一ツ葉がそっと顔を上げて、ゆっくりと誠示郎の男根から口を離します。無論、その時にもしっかり唇で吸い付いて、「きゅぽん♪」とだらしない音を立てるのを忘れません。そのまま、彼女はゆっくりと顔を上げて、誠示郎を見上げるのです。さらに、乳首を押さえていた両手を離し、口の下で受け皿のように広げてから、その口をくぱぁと開くのでした。

 「ひゅふぅ…♪…ん…ちゅぁぁ…♪」

 そこはさっき見せ付けられた扇情的な光景とは比べ物にならないほど淫らでした。泡だった精液と唾液が混ざり、口の中で山ほど糸を引いているのですから。溢れそうなほど口一杯に広がる精液はまるで彼女を汚しているようにさえ見えるのでした。しかし、その一方で彼女の顔に浮かんでいるのは例えようも無い喜色です。心から喜びを感じているように、顔を紅潮させ、垂れ気味の目尻をさらにトロンと蕩けさせているのですから。勿論、精液が大好きな彼女が口一杯に広がる精液の味を厭うはずも、また口をあけて精液を味わう姿を夫に見せる事を恥ずかしがるはずもなく、その顔に浮かべる喜色をさらに濃いものにしていました。

 ―どぉですかぁ♪私…こんなに助平な顔をしちゃってるんですよぉ…♪精液たっぷり貰ってとっても幸せなメス狐の顔をしてるんですぅ…♪だからぁ…早くお許しをくださいぃ…♪

 見せ付けるように口を開いた一ツ葉は、さらに舌をゆっくりと動かし始めます。下顎にたっぷりとたまった精液と唾液のカクテルとさらに混ぜ合わせるようにまずは上下に、そして舌先でそれを掬って、どれだけドロドロしているを見せ付けるかのように左右へと揺らすのでした。それはさっき亀頭を銜え込む前にやっていた仕草と良く似ていますが、口の中に唾液だけでなく、精液が入っているというだけで誠示郎にとっては胸を掴まれるような衝撃になるのです。無論、射精の後の何処か冷静になったはずの身体は再び熱を帯びて、生唾を飲み込んでしまうのでした。しかし、それでも彼は一ツ葉に『お許し』は与えません。まるでだらしないメスの顔に惹きつけられるように、じっと彼女の顔を見続けているのです。

 ―ふぁぁ…早くぅ…♪お許しをくれないと私……ぃ♪私…御主人様の精液を飲み込んじゃいますぅ…っ♪

 こうして大きく口を開くと乾燥を防ぐためか唾液が何時も以上に溢れてしまいます。そして、その唾液は咽喉の方へと流れ落ちてしまいそうになるのでした。無論、唾液と淫らなカクテルとなっている精液も同様です。今はそれを必死に防いでいますが、もうそろそろ限界でありました。しかし、それでも誠示郎は許可を出さないのです。

 ―あぁぁ…っ♪私…もぉ…♪もう…限界ですぅ…♪

 溢れ出る唾液に溺れそうになるのを防ぐため、咽喉が嚥下しようとした瞬間、誠示郎の手は再び一ツ葉の頭を撫でたのです。それは、二人の間では『お許し』の合図でありました。自分の精液を飲み込んでも良いと愛しい夫が許可してくれた事に、身体中が狂喜すると同時に彼女の咽喉は大きく蠢き、精液と唾液のカクテルが咽喉へと滑り落ちていくのです。ドロドロでグチョグチョになっているそれは唾液の所為か、咽喉へと絡まる事無く素直に降りていきました。二度三度、嚥下するために咽喉を鳴らした頃にはその大半はもう胃の中へと収まっているのです。

 「御主人様ぁ…♪とっても…とぉっても…美味しかったですぅ…♪」
 「…そうか」

 顔一杯に笑みを浮かべて報告する誠示郎の目にも愛しそうな色が浮かんでいました。それも当然でしょう。だって、愛する妻が自分の精液を全部飲み込んだ上に、美味しいとまで言ってくれているのですから。それは男冥利に尽きる最高の言葉が、愛しい人の口から出た事に、誠示郎は男としての強い充実と一ツ葉への愛情がさらに高まっていくのを感じているのでした。無論、誠示郎は彼女と長い間過ごしていて、そう言った嬉しい言葉を聴いたのは一度や二度ではありません。しかし、それでもちょっとした仕草一つで、ちょっとした言葉一つで、彼は未だに一ツ葉へと惹かれて行くのです。

 ―まったく…どれだけ溺愛しているんだか。

 思わずそんな自嘲が漏れ出るくらい誠示郎もまた一ツ葉に負けないくらい彼女を愛しているのです。しかも、それはどんどんとエスカレートしていくのですから溜まりません。以前は一ツ葉が男性と話していても、その嫉妬を抑える事が出来たのに、新加茂が崩壊する頃には不機嫌を顔に出してしまうほどになっていたのです。まるで彼が恐れていた源重郎のように一ツ葉と誰かが仲良くしているだけでも、怒りを顔に出してしまうようになっていたのでした。一族を率いる頭首として相応しくない、とそれを抑えようとしても、どうしても我慢が出来ません。彼にとって一ツ葉はそれほど大事で魅力的な女性になっていたのですから。そんな彼女が誠示郎を独占したいと言い出した時も、悩まずにそれを受け入れたのは彼もまた一ツ葉の事を独占したいと考えていたからです。彼女が作り上げたこの空間に引きこもり始めた時でさえ、それほど溺愛していた彼は、もう一ツ葉が触れられる場所に居なければ不安になるくらい彼女に心掴まれているのでした。

 「じゃあ…次は…ぁ…♪御掃除しますねぇ…♪」

 口から引き抜く瞬間にたっぷりと吸い上げたとは言え、まだ硬く反り返っている誠示郎の男根の中には精液が残っているでしょう。さっきは彼にとって中途半端な射精であったのですから、尚更です。だからこそ、一ツ葉はそれを一滴残らず吸い上げて、『御奉仕』の〆に移ろうしていたのでした。しかし、そんな彼女の肩を誠示郎の両手が掴みます。そして、愛しいオスのごつごつした手に細い肩を抱きしめられる感覚に彼女の心がじんわりと熱くなり、彼女は思わず視線を夫の顔へと上げるのでした。

 「それは良い。…だから……私の上に来るんだ」

 何処か不器用にそう告げる彼の顔は欲情と愛しさに満ちていました。恐らくさっきの『御奉仕』で熱が入ってしまったのでしょう。はっきりと浮かぶ欲情の色はさっきまで射精を堪えていた彼の顔には無かったものです。しかし、再び愛しいオスの顔に根付いたその興奮の色に、一ツ葉の身体も際限なく燃え上がってしまうのでした。それも仕方が無い事でしょう。だって、好きな男が欲情をはっきりと浮かべて自分を求めてくれるのですから。陳腐な言葉よりもはっきりと自分を欲してくれているその態度に、彼女のメスが燃え上がり、火照った身体をさらに熱く燃え上がらせていくのです。

 「はぁい……♪」

 そして、その火照った身体を立ち上がらせて、一ツ葉はそっと誠示郎の首筋に手を回し、股座の上へと腰を密着させるのです。無論、愛液が伝い落ちて、妖しく光る内股の下には未だ天を突く誠示郎の怒張がありました。さっきの不完全燃焼であった射精に未だ不満そうにびくびくと揺れる大きな肉棒は、すぐ上にある『獲物』に狙いを定めているようにも見えます。しかし、彼女がそれに恐怖を感じることはありません。寧ろ、そのケダモノに自ら身を差し出すように、右手で陰唇を開きながら、ゆっくりと腰を下ろしていき、ぱっくりと開いた粘膜の中に再び陰茎を迎え入れるのです。

 「ふ…あぁぁぁ…♪」

 ―入ってくるぅぅ♪御主人様のオチンポまた私の中に入ってきますぅぅぅっ♪

 自ら陰唇を広げて、誠示郎のモノを挿入する感覚は、さっきの騎乗位の際にも味わっています。しかし、その時の誠示郎は夢の中に居て、殆どの反応を返してはくれませんでした。けれど、今は違います。彼女の目の前に居るのは、その全てを委ねるに足る愛しくて仕方ない夫兼主人なのですから。そんな彼に見守られながら、挿入れようとしているというシチュエーションは、一ツ葉の背筋に鳥肌を浮かべるくらい被虐的であったのです。そこに『御奉仕』の間中、放置されていた膣の感覚が加わるのですから堪ったものではありません。焦らされていた間に敏感になった膣の突起は、男根によって蹂躙するように押しのけられる感覚に、絶頂を繰り返しているのでした。その深い絶頂に一ツ葉の身体を支える足が震えて崩れ落ちてしまいそうになりますが、彼女はそれを必死に堪えて、奥へ奥へと陰茎を飲み込み続けるのです。しかし、そんな彼女の最奥をコツンと亀頭が突いた瞬間、彼女の足は砕けてしまうのでした。

 「きゃうううううぅぅぅぅぅぅぅぅ♪♪♪」

 特に敏感な最奥に一気に体重が掛かる感覚はさっきも勿論、味わったものでした。そして、その鮮烈さはまるで色褪せる事無く、彼女の身体を再び襲うのです。不満そうに垂れ下がった子宮は、深く差し込まれた肉棒に押し上げられ、お互いに挟まれた子宮口が窮屈そうにぱくぱくとその口を広げるのでした。そしてその貪欲な唇で、奥へと入り込んだ亀頭をきゅうっと吸い上げるのです。まるで上のお口では出来なかった『お掃除』を下のお口でしているかのように、それはとても激しく熱心なものでありました。無論、その間も数え切れないほどに着いている肉の突起は肉棒を奥へ奥へ誘いながら、精管に残った精液を子宮へと導こうとしています。その蠢きは敏感な陰茎で受ける誠示郎にとっても魅力的なものではありましたが、それ以上に一ツ葉にとって蕩けそうな幸福感を齎すのでした。

 ―あふぅ…♪精液ぃ…♪御主人様の精液が…とぷとぷって漏れ出て…♪子宮のお口が吸い上げてますぅ…♪

 『御奉仕』している間も貪欲な子宮はずっと疼き続けていたのです。ずっとずっと精液を欲しがり続けていたのです。精液が欲しくて狂ってしまいそうなくらいだったのです。そんな堪え性の無い淫らな彼女の子宮は射精の残滓とも言うべき精液を飲み込むだけでさえ、その身を激しく震わせるのでした。そして、その震えは子宮の中で絶頂へと変換されて、身体中に広がるのです。それは敏感な口を突かれた時の様に弾ける様な激しさは持っては居ません。寧ろ、心の中から湧き出る誠示郎への愛しさを結びついて、身体中を穏やかに包むような絶頂だったのです。
 そんな一ツ葉の様子を誠示郎は間近で見る事が出来ました。対面座位と言われる今の二人の体位は、顔を隠す場所がまるでありません。ただ、お互いに隠す場所無く、向かい合って、愛を紡ぐ体位であるのです。そして、それは本能と愛情の狭間で揺れ動く誠示郎にとっても、大好きな体勢であるのでした。だって、これは深く想いを繋げた恋人同士でなければ、決して出来ない繋がり方であるのですから。無論、重力に引かれて密着するこの体位は抽送をするにはお互いに協力が必要でありながら、その快楽は自由に腰を動かせる正常位や後背位に敵いません。しかし、お互いに手を使わなくとも深く繋がる事のできるこの体勢は唇や手を使った愛撫をメインに据える事が出来るのです。そのメリットは、ケダモノではなく、恋人らしい交わりを望む今の彼にとって快楽とは換えがたいものであるのでした。

 「はふぁ…♪…あ、あの…御主人様…重く…ないです…か?」

 勿論、一ツ葉とて、この体勢で繋がるのは大好きです。だって、この形であれば本当に一部の隙も無いくらいしっかりと誠示郎と密着できるのですから。身体の奥から全部、誠示郎の身体に預けて、その逞しさを感じる事が出来るのです。その上、こうして繋がる愛しい夫は何時ものように意地悪で…そして何時も以上に優しくなるのでした。意地悪な夫も、優しい御主人様も、どっちも選べないくらい大好きな一ツ葉はそれだけでこの体位の事が大好きになってしまうのです。
 しかし、その一方でやっぱり女性として気になる部分はあるのでした。特にその重さです。たっぷりと男好きする部位に肉をつけている彼女はお世辞にも軽い方だと言う事は出来ません。無論、腹回りなどは普通の女性よりも細いのですが、長年、誠示郎の手で弄ばれて、肥大化した胸やお尻、そして太股がそれを感じさせません。全体として少しぽっちゃりとした印象を与えるのが彼女の悩みでもありました。そして、そんな肢体を自分の足ではなく、誠示郎の身体に預けているのです。そりゃ一人の女として、重くは無いか気になってしまっても仕方ないでしょう。

 「重い」
 「うぅぅぅ………」

 そんな心境なんて誠示郎にとっては手に取るように察する事が出来るのでした。こうして座位の体勢を取る度に、何度も聞いてくるのですから。不安そうにそう言う彼女の心情を察しないほど彼は鈍感ではありません。しかし、その一方で彼はとても意地悪でもあるのです。無論、そう簡単に彼女の望む言葉はあげません。
 そして、そんな彼の性癖を文字通り身をもって知っている彼女であっても、やはり短く告げられたその言葉には傷つきます。この空間に篭りきる様になってから殆ど食事らしい食事を取らず、誠示郎の精液だけで生活していますが、男好きするスタイルは決して変わってはいません。寧ろ胸やお尻などはこうして愛されるたびにその大きさを増していっているようにさえ見えるのです。体重計などありませんから、詳しい体重を知ることはありませんが、減少していない事だけは確かでしょう。そう思うと一ツ葉は急に恥ずかしくなって、顔を羞恥で赤くしながら俯いてしまうのです。しかし、対面座位で繋がる二人の間には顔を隠すものなんてありません。唯一、彼女自身の手だけがその可能性があるものですが、未だ挿入の感覚に痺れて砕けたままの足の代わりに誠示郎へと抱きついているので、手放すわけにはいかないのでした。

 「軽い訳が無いだろう。…お前は私にとってそれだけ大事なヒトなんだから」
 「っっ〜〜〜〜♪♪♪」

 そんな彼女に告げられた誠示郎の優しい言葉に彼女の顔から羞恥が弾き飛ばされ、喜色が浮かび上がるのです。子宮ははっきりと言葉で告げてくれた誠示郎に狂喜し、きゅんきゅんと唸りを上げて絶頂をしていました。無論、心臓も例外ではなく、高鳴った鼓動が全身へと興奮を送り出しています。完全に不意打ちで告げられた優しい言葉は、彼女の全身をまるで熱で溶かしているようにさえ感じるのでした。しかし、幸せで嬉しくて解けてしまいそうなその感覚とは裏腹に身体中に震えが走って止まりません。脳髄にまで走るようなその震えは、彼女の言葉を奪って、一言たりとも発する事を許さないのです。

 ―御主人様ぁ…♪御主人様♪御主人様ぁ♪御主人様ぁぁ…っ♪♪

 溢れ出るその幸福感が一ツ葉の中で爆発し、彼の事を何度も何度も呼ばせるのです。しかし、それは一つ足りとも言葉にはなりません。ただ、彼女の中で生まれて、彼女の中に閉じ込められるだけなのです。自然、許容量に限界のある彼女の身体を圧迫していました。しかし、それでも彼女の言葉は止まりません。好きの感情が溢れて溢れて身体中が弾けてしまいそうでした。

 「……ちょっとくさかったか?」

 反応を返さない彼女に対して、誠示郎は少しばかり恥ずかしそうに頬を掻きながら目線を逸らしました。その姿はまるで始めて告白した返事を待つ子供のようです。何度も…と言うほど多くはありませんが、それでも長い長い二人の歴史の中で、両手では足りないほど愛しいと、好きだと言っているのに、彼は未だに慣れては居ないのでした。それも当然でしょう。元々、彼は自分に自信がない分、とてもストイックで硬派な人間なのですから。女性を口説いた事など、一ツ葉相手にしかないのです。それ以外の女性にはまったく見向きもせず、只管、自分を高めてきたのでした。今でこそこうして起きている殆どの時間を二人の交わりの時間に裂いていますが、それ以前は強靭な精神力を持って一ツ葉の誘惑や注ぎ込まれる魔力にも耐え、必死に崩れ行く新加茂の一族を維持しようとしていた程だったのです。そんな彼がまるで軟派な人間が言うような言葉に慣れるはずがありません。
 そして、そんな気恥ずかしそうな様子がまた一ツ葉の母性を擽って、誠示郎への愛しさを燃え上がらせるのです。それはもう彼女の身体の中では決して収まりが尽きません。まるで、空を焼く様に燃え上がり、天を焦がそうとしているようにも感じるのですから。そして、溢れ出るその言葉と感情をその一端だけでも示そうと、彼女は彼に優しくキスを落とすのでした。

 「ちゅっ…♪ちゅぅっ…♪」

 まるで誠示郎の唇を啄ばむ様なそのキスはとても暖かさに満ち溢れていました。唇の裏側でそっと彼の唇を愛撫し、唾液と共に愛しさを塗り込むようなその口付けは鈍感な誠示郎に自分の気持ちを必死で伝えようとしているのです。そして、そんな優しくて暖かいキスをされる誠示郎はその意図するところに気付き、その胸を内心、撫で下ろしました。しかし、そうして安心している暇はありません。何度も何度も啄ばむようなキスをしてくれている御礼がまだ出来ていないのです。まずはそれをすべきだろうと誠示郎はそっと両腕を一ツ葉の背中に回して、その背を撫でてあげるのでした。その間、他の部分は愛情を塗り込む事に夢中になっている彼女に身体を預けてされるがままになっているのです。
 そんな彼のボディランゲージの意図する所を正確に察した彼女の心からはさらに燃え上がっていくのでした。何度も何度もキスをしてもそれは収まる気配がありません。寧ろ彼の仕草一つだけでも魅入ってしまい、誠示郎へとどんどんと惹かれてしまっているのですから。言葉一つも満足に返せない彼女を受け入れるように背を優しく撫でてくれているのですから尚更でしょう。そして、その優しい手が汗を浮かばせ、敏感になった背筋を撫でる度に、彼女の淫らな体はそれを絶頂へと変換していくのでした。

 「ちゅぱぁ…♪ちゅぅ…ちゅぅぅっ♪」

 そして、その絶頂が彼女の感じる愛情や幸福感を溶かしていくのです。しかし、溶かしていくといってもそれは決して無くなる訳ではありません。彼女の感じる絶頂の中で一つになっていくだけなのです。緩やかに全身を包み、身体を癒してくれるようなその快楽のうねりは、とても優しく暖かいものでした。それは思わず目を閉じてそれを享受したくなる程です。しかし、彼女はそれを必死に堪えながら、ようやく自分の言葉を紡ぐ気になった咽喉でたどたどしく言葉を漏らすのでした。

 「ふふ…♪少し…♪……ですが…」

 そこまで言った後に彼女はそっと両手を引き寄せて、その大きな胸を押し当てます。二人の胸の間で押しつぶされた乳肉はぐにゅりと形を変え、横へと広がっていました。元々、大きかったその胸がさらに淫らに押し潰されて、さらに大きく、そしてだらしなく見えるのです。そして、愛しい夫が育ててくれた淫らな胸が、彼の胸板に押し潰される感覚はとても甘美でありました。愛情と被虐性の両方を満たすのですから当然でしょう。その二つの面からぐらぐらと揺らされる胸はその奥で小さく絶頂を弾けさせ、熱い母乳を先端からさらに漏らすのでした。

 「聞こえますか…?私の鼓動…ドクンドクンって…♪あんな事、言われたからずっと幸せで止まらないんですよぉ…♪」

 誘うような一ツ葉の言葉に彼はそっと目を閉じて、胸へと意識を集中させていきました。最初は胸の柔らかさに阻害され、殆ど感じられなかった鼓動が、ゆっくりと近づいているようにも感じられます。胸の所為かすぐそこに感じられるほど近くはありませんが、しっかりと感じられるその胸の鼓動はとても暖かく、優しいものでした。ドクンドクンと激しく脈打っているはずなのに、それには優しさが伴っているのです。そこには誠示郎自身が自分から感じる鼓動のようなケダモノ染みた激しさはありません。それどころか最初に出会った時に一ツ葉が纏っていた母性すら感じられるのでした。

 ―愛しいヒトの心臓だから…か。

 まるで安心させるような優しい鼓動に、誠示郎はそう結論付けました。無論、それは正しいのかもしれませんし、間違っているのかもしれません。しかし、一ツ葉の心臓の鼓動くらいしか他人の脈動を感じた事が無く、そしてこれから先もそんな機会は無いであろう誠示郎にとって、それは別に間違っていようと構わないのでした。ただ、彼にとって、それが一番、自分にとって『合っている』解釈であり、そして、何より一番、納得出来るものなのですから。

 「じゃあ…私の鼓動も聞こえるか…?」
 「はぁい…♪」

 囁かれるような誠示郎の声に、一ツ葉は甘く応えながら、彼に倣ってそっと目を閉じます。しかし、そんな事をせずとも人間よりも遥かに感覚に優れている――一ツ葉の場合、それがセックスの方向へと向かっている事も多々ありますが――彼女は既に夫の鼓動を感じ取る事が出来たのでした。それでも、目を閉じたのは、雰囲気作りともう一つ…彼の鼓動をよりはっきりと感じたかったからです。目を閉じれば、思い通り誠示郎の鼓動がまるですぐ隣にあるように感じられる事に一ツ葉の身体はまたじわじわと愛しさをその奥から漏れ出してくるのでした。

 ―あぁ…♪御主人様の鼓動…激しいですぅ…♪

 誠示郎自身がケダモノ染みたと断じたその激しさは一ツ葉にとっては逞しさ以外の何者でもありません。交わりに興奮し、体温を高くしている自分よりも、遥かに熱く、硬い誠示郎の身体中を駆け巡る鼓動なのですから当然でしょう。そして、心臓の鼓動からでさえ、夫への信頼感を強める妻は子宮をきゅんきゅんと唸らせるのです。その蠢きは心臓と大差ない頻度で何度も何度も、彼女の身体を襲っているのでした。

 ―あぁ…♪動きたい…ううん…♪動いて欲しい…っ♪

 その蠢きは心臓とは違い、血液ではなく欲求不満を全身へと行き渡らせているのでした。元々、さっきの『御奉仕』から彼女の本能は限界であったのです。たっぷりと精液を飲み込んだ胃に対して不平を述べるようにずっと疼きっぱなしだったのですから。そして、その本能はケダモノ染みたセックスを、押し倒されて身動きできない肢体を思う存分犯される交わりを求めているのです。しかし、その一方で彼女の身体はこの甘い交わりを求めてもいました。前述の通り、彼女の愛する夫はこの体位の間は何時もより少しだけ優しいのです。普段では決して言わないような優しくて甘い言葉を幾つもくれるのですから。そして、夫に愛される事を望む本能もまた、何処かその甘い言葉を求めていたのでした。

 「一ツ葉が重くてさっきからドキドキしっぱなしなんだぞ」
 「むぅぅぅ…」

 しかし、待ち望んだ甘い言葉を誠示郎は中々、くれません。それも当然でしょう。雰囲気の所為か幾分、優しいとは言え、やっぱり誠示郎の本質は意地悪なのですから。ただ甘いだけの言葉なんて期待するだけ無駄なのです。しかし、それでも一ツ葉は、求めてしまうのです。何度、聞いても決して慣れないくらい素敵で、全部許してしまいそうになる最高に意地悪な一言を。
 そんな彼女の様子を誠示郎は間近で見ているのです。無論、一ツ葉が何を求めているのか彼は知っていました。しかし、まるで子供のように頬を膨らませる彼女が可愛くてついつい意地悪をしてしまうのです。無論、彼は見境無く誰にもそんな意地悪をする訳ではありません。寧ろ、容姿こそ威圧的ではありましたが、基本的には温厚で――ただし、彼の妻と関わらないのであれば、と言う注釈がつきます――許容的であったのです。そんな彼がこんな意地悪をするのは愛しい妻だけなのですから、本当は彼女の気を惹きたいだけなのかもしれません。しかし、始まりや経緯がどうであれ、それはもう彼の中に根付き、アイデンティティーの一部としてなっているのですから彼自身にも止める事が出来ないのでした。

 ―とは言え、あんまり拗ねさせるのもな。

 本気で拗ねているわけではないとは言え、割と根に持つ事の多い妻の反撃は意外と怖いのです。特にお互い全てを曝け出して隠す場所が無い今の体位では何をされるか分かったものではありません。無論、今までの経験からそれは決して苦痛を与える方向では無い事は知ってはいますが、以前、あまりにも意地悪をしすぎて拗ねた一ツ葉に前立腺を責められた経験があるのです。それは若気の至りであったとは言え、彼にとってあまり思い出したくは無い経験でした。

 ―なら、ここは……。

 そう前置きしてから目を開いた誠示郎は、そっと彼女へと顔を近づけて行きます。無論、一ツ葉の唾液で妖しく光るその唇が向かうのは、桃色の肉厚な唇でした。そして、拗ねるように頬を膨らませながらも、誠示郎の激しい鼓動に夢中になっている彼女はそれに気付きません。彼女が気付いたのは、自分のものより少しばかり固い唇がぎゅっと押し当てられた瞬間なのです。

 ―あぁぁ…♪御主人様の唇が…ぁ♪

 しかし、一ツ葉に気付かれたといっても、誠示郎のキスが触れただけで終わるはずがありません。すぐさま彼女の唇を内側へと取り込んで粘膜で包み込むのです。啄ばみながら、唇を愛撫するようなそれはさっき一ツ葉は行ったキスと何処か似ていました。しかし、一つだけ明白な違いがあるのです。彼女が愛情を伝えるために行ったさっきのものとは違い、誠示郎のソレはとても意地悪なキスでした。何度も何度も落ちてきて唾液を丹念に塗りこむようなそのキスは、彼女を支配しようとするものであったのですから。彼女が求めていたのとはまったく違うその口付けは、彼女にとって、例えようも無いくらい意地の悪いものでしょう。自然、彼女はそれに耐えようとしますが、一回一回、唇を求められる度に彼女の芯が震えて溶けてしまいそうになるのです。

 「あ…♪うぅ…♪んちゅぅ…♪」

 それを知っている誠示郎は容赦無く、キスを降らし続けます。その行為に迷いはありません。何度も何度も、諦めずに続ければきっと道は開けると信じているのです。どれだけ厚い城壁であろうと何度も攻められればいずれ打ち破られる事をさっきの『御奉仕』以外でも身を持って知っている彼は、一ツ葉の固く閉じた唇に向かって突撃を繰り返しているのでした。
 それに堪ったものではないのは一ツ葉の方です。一度や二度の玉砕で諦めてくれれば良いのに、何度も何度も責めてこられるのですから。内側にメスの本能と言う潜在的な内応者を抱える彼女にとって、回数で攻めてこられる誠示郎のキスはもっともいやらしい攻撃でした。それを防ぐには、無防備であると決め込んでいる彼に手痛いカウンターを打ち込む事が必要でしょう。しかし、それには硬く閉じた城門のような口を開かなければいけません。そして、その反攻作戦がもし失敗してしまったら、そのまま彼の舌は彼女の口腔へと雪崩れ込み、思うが侭に蹂躙するに決まっています。

 ―あぁ…♪されたい…っ♪蹂躙されたいですぅ…♪

 その妄想についつい反応してしまうメスが、口を一瞬だけ開いてしまいました。そして、その隙を見逃す誠示郎ではありません。一気に唇から舌を伸ばして、彼女の口腔に入り込んでいくのです。機を窺っているつもりが、逆に攻め込まれてしまった彼女は反応に遅れて、彼の舌へと蹂躙されるのでした。歯ぐきから唇の内側までを舐め回された頃に、ようやく正気に戻った一ツ葉の舌が迎撃に出ますが、それは余りにも後手過ぎる動きでしょう。

 「んぁ…♪ひゅぅ…♪ちゅっ…♪」

 既に口腔内をぐりぐりと刺激されていた彼女の舌の動きはどうにも鈍いものでした。そして、そんな獲物がのこのこと目の前に現れたのですから、誠示郎の舌が襲い掛からないはずがありません。そして、愛しいメスを思うがままに蹂躙して気力十分な誠示郎と、今も身を委ねようとする身体を必死に鼓舞している一ツ葉では勝敗は明らかでしょう。無論、奇跡は起こらず、絡み合った二つの粘膜は、あっという間に蹂躙する側とされる側へと分かれるのです。しかし、彼女の被虐的な部分はそんな蹂躙されるようなキスに、例えようも無い悦びを感じてしまうのでした。

 ―あぁぁ…♪ズルいです…♪こんな…ズルいぃ…っ♪

 そうは思うものの一度、決してしまった大勢は変わりません。無防備に突き出された舌に唾液を塗りこむようにぐちゅぐちゅと蹂躙されるだけなのですから。無論、これは最初から負け戦も同然でしょう。内応者がいる時点で、勝てるはずが無かったのです。それでも拗ねた感情まで拭い去る様に激しく絡み合わさる舌同士にズルいと思う気持ちを彼女は抑えきれません。せめて最後の抵抗とばかりに必死に我慢する彼女自身の言う事をまったく聞かず、嬉しそうに絡み合って快感を注ぎ込んでくるのですから。自分自身の意思にまるで従わないくらい躾けられている舌が誠示郎へと身を委ねて、より気持ち良くしてくれるように動くその感覚は、彼女の被虐的な部分をじくじくと刺激し、その我慢さえも飲み込もうとしていました。

 ―もう…っ♪こんなぁ…卑怯ですぅ…♪こんなのされたら…許すしかないじゃないですかぁぁ…っ♪

 その言葉が思い浮かぶのと同時に彼女の我慢がぷっつりと途切れてしまいました。そして、誠示郎がより自分を貪りやすくなるようにその口を大きく開け始めるのです。自然、身長差のある二人が、お互いに口を開けると彼女の口腔にドロドロとした唾液が降り注ぐのでした。それを彼女は愛おしそうに受け止め、お互いの舌の御腹を押し当てるようにして絡み合わせるのです。その淫らな交歓をたっぷりと楽しんだ後、ぐちゅぐちゅと淫らな水音を鳴らしながら唾液のカクテルは咽喉へと送り込むのでした。そして、愛しいオスの唾液を思うがままに嚥下する彼女の身体は、さらに熱くなっていくのです。

 「ぢゅぱぁっ♪ん…ふぁぁ……♪」

 そしてその熱は長い長い交歓の後でようやく唇が開放されても収まりません。だらりと力無く蕩けてしまった身体の中でじくじくと疼き続けているのです。そして、そんな一ツ葉の姿はとても扇情的なものでした。酸欠と欲情で真っ赤になった頬は汗と唾液で塗れて、テラテラと光っています。さらにさっきまで必死に彼の舌へと絡み合わせていた舌はその力を完全に失って、口の外へと飛び出ていました。そんな口を閉じる気力さえ、今の一ツ葉には無く、その姿をだらしなく変えています。それはまるで美術品が崩れ落ちるような危ない魅力を伴っていたのでした。
 そんな彼女を真正面から見つめる誠示郎はその手をそっと動かして、彼女の臀部へと降ろしていきます。豊満なその身を無防備に誠示郎に預けるそこはキスの余韻でピクピクと震えて止まりません。その奥の子宮口や肉の突起もさっきから激しく肉棒へと絡み付いていました。まるで激しい交わりを求めるかのような蠢きはとても淫らで、かつ扇情的です。思わず脱力した彼女の身体を押し倒し、思うが侭に貪りたいという欲求が生まれてくるほどなのですから。しかし、誠示郎はそれを必死に堪えながら、たぷんと揺れる臀部を両手でがっちりと掴むのです。

 「ひゃうぅぅっ♪」

 誠示郎によって数え切れないほど愛されている内にどんどんと肉付きが良くなっているそこは勿論、とても敏感な箇所でした。じっとりと汗が浮かび、ぷるぷると震えるそこは愛しいオスの手で触られた瞬間にきゅっと膣を締め付けながら、尻えくぼを作るのです。その所為で、なだらかなラインを描く臀部が崩れますが、それでも豊満なそこは柔らかさを一切、失ってはいませんでした。寧ろ、しっかりとした張りを手に入れた分、余計にその柔らかさを際立たせていたのです。

 「や…ぁ♪そ、そこはぁ…♪」

 恥ずかしそうに身動ぎする一ツ葉ですが、さっきのキスで脱力してしまった身体は殆ど力が入りません。その上、奥の奥までガッチリと男根を銜え込んでいるのですから、逃げ場なんてあるはずがないのでした。そして、そんな抵抗も逃げる事もできない一ツ葉のお尻を誠示郎は指を蠢かせて思う存分に弄んでいるのです。少しコンプレックスに感じるくらい豊満な臀部さえも弄ばれる感覚に、彼女の背筋にゾクゾクとした快感が走り、脳へと突き抜けていくのでした。しかし、その快楽の一方で、コンプレックスである部位さえも愛してくれる誠示郎に愛情が燃え上がってしまうのです。

 「ふふ…一ツ葉のここは本当に大きくていやらしい肉をしているな」
 「いやぁ…っ♪い、言わないでください…っ♪」

 そうは言っても一ツ葉の手は誠示郎の首筋からは離れませんし、足もがっちりとその背に回されています。恥ずかしそうに俯いていますが、その膣は嬉しそうにきゅっきゅと締まって、奥から沢山愛液を漏らしているのでした。それだけでも彼女が本気で嫌がっているわけでないと誰でも分かるでしょうが、さらにその上、臀部の上から生える九本の尾が愛おしそうに誠示郎の手へと絡みついているのです。まるでもっとして欲しいと言わんばかりに絡みつくその尾の声援を受けて、誠示郎の指はぐにぐにと臀部の柔らかさを堪能し始めるのでした。

 「言わないでと言っても嬉しそうに私の指を飲み込んでいるぞ。まるでお前自身のように貪欲ではないか」
 「んはぁぁぁっ♪」

 耳元で囁かれたその言葉に、一ツ葉の身体はビクビクと震えます。その言葉だけで軽くイってしまった彼女の膣は言われたとおりの貪欲さを遺憾なく発揮してその男根へと絡み付いていました。動けないのであれば、膣の蠢きだけでも射精させようとばかりに激しく絡みつくそれらは一ツ葉限定百戦錬磨の誠示郎と言えども気を抜くと射精してしまいそうな程、気持ち良いのです。しかし、ここで射精しては下も子もありません。その為、誠示郎は必死でその感覚を堪えながら、一ツ葉の耳に舌を這わせたり、甘く噛んだりを繰り返すのです。
 それを受ける一ツ葉の身体には震えが止まらない状態になってしまいました。ただでさえ、コンプレックスでもある大きなお尻にたっぷりと指を這わせて愛してもらっているのに、この上、敏感な耳まで愛撫されてしまっているのですから耐えられるはずもありません。特に糸を引く唾液は耳元に絡みつき、ネチャネチャと淫らな水音を聞かされるのは、軽く絶頂してしまいそうなくらい淫らで気持ちの良い感覚だったのです。しかし、さっきまでの激しい快楽を注ぎ込んでイかせようとする正常位とは違い、絡め手で一ツ葉をイかそうとするそれらの愛撫はとても気持ちの良いものですが、やはり欲求不満は否めないのでした。

 ―んぁ…ぁ♪私……こんな…のぉ…♪

 しかし、どれだけ欲求不満で燃え上がったとしても誠示郎が動いてくれる事はありません。まるで石になったようにじっと胡坐を組んだまま身動ぎ一つしないのです。それがまた彼女の欲求不満を加速させていました。無論、こうした恋人同士のような甘い交わりは彼女も大好きです。大好きですが…激しく強く犯される事を望むメスの本能が燃え上がっている今の一ツ葉にとっては、それは焦らされる以外の何者でもありません。
 そしてそれは誠示郎にとっても同じ事でした。射精を望むオスの本能が、このまま魅惑的とも言うべき極上のメスを押し倒してケダモノのように犯すのを望んでいるのですから。彼もまた『御奉仕』をしていた彼女のように、何処か満たされない感覚がずっと続いているのでした。しかし、簡単にそれに敗北する誠示郎ではありません。頭首になる以前から持っていたその意思の硬さを遺憾なく発揮して、彼女の事を甘く苛めるのです。

 「そんなに怯えなくても良い。別にこの身体が嫌いなわけではないぞ。寧ろ、男を誘う為に特化したような淫らな肢体を気に入っている。無論…ここも…だ」
 「きゃふぅぅぅぅぅぅっ♪」

 その言葉と同時にぎゅっと掴まれた臀部の感覚に一ツ葉は再び絶頂してしまうのです。それはさっきのような全身がビリビリする程度の軽いアクメではありません。挿入しているときにも感じた深く穏やかな絶頂でした。身体中を包むようなその快感の流れはすぐさま全身へと波及し、子宮をきゅんきゅんと唸らせるのです。その唸りは彼女にとって、もはや我慢できる域を超えてしまっていました。それも当然でしょう。だって、愛するオスから、その淫らな肢体を気に入っているとはっきり言ってもらえたのですから。愛される度に大きくなってきた尻を気に入ってくれている、と言う夫の甘い一言に耐えられる妻なんていないでしょう。そして、もはや我慢の限界を超えてしまった身体は、もっとその肢体を愛してもらおうと、もっと気に入ってもらおうと、そしてもっと淫らにしてもらおうと両手を背筋から外して、彼の前に胸を差し出すのです。

 「では…ここもぉ…♪ここも…愛してくれますかぁ…♪淫らに勃起した乳首もぉ…膨れ上がった大きな胸も…気に入ってくださっていますか…ぁ♪♪」
 「…勿論だ。その証拠に…」
 「きゅぅぅぅぅぅぅんっっ♪♪」

 差し出した胸にいきなり吸い付かれて、彼女の視界は一瞬で、真っ白に染まりました。まるで絶頂したようなその視界に合わせるように、彼女の身体もまたアクメへと登り詰めていきます。臀部と胸で弾けようとするその絶頂は、特に乳首に大きな変化を齎します。今までもトロトロとその先端から母乳を漏らしていたのを、まるで吹き出るような激しいものへと変えるのでした。それは彼が唇で挟みながら優しく吸い上げている右の乳首は勿論ですが、左の乳首も例外ではありません。まるで今まで吸ってもらえなかった事が不満であったと主張するように激しく噴き出し続けるのです。そしてその全てを誠示郎が受け止めている右の乳首とは違い、受け止めるものがない左から噴き出る母乳は二人の身体へと降りかかり、その身を白く染め上げていくのでした。

 ―んぁぁ…♪汚しちゃってるぅ♪私…御主人様を母乳で染めてますぅ……♪

 愛しいオスが自分の母乳で白く染まる姿は、一ツ葉の子宮をさらに疼かせるものでした。以前、人妻である一ツ葉に横恋慕する男と話している――勿論、彼女に他意はなく、話しかけられたから返しただけなのですが――所を誠示郎に見られ、嫉妬した彼が彼女の全身に精液を振り掛け、マーキングされた時のことを思い出してしまうのですから。その時とは逆に今度は自分の匂いを刷り込んでいるような感覚に、子宮はもう我慢できなくなってしまうのです。だって、こんなのは不公平なのですから。誠示郎は一ツ葉だけのモノであり、そして一ツ葉は誠示郎だけのモノであるのです。どちらがどちらを独占するだけなんて関係では決してありません。だから、彼女が彼にマーキングした分、たっぷりと精液を子宮の奥に射精してもらって、自分のモノであると主張していただかなければならないのです。無論、下級神程度であれば、歯牙にもかけない力を持つ九尾が作り上げたこの空間に入ってこれる者などそうはいないでしょう。しかし、そうは理解していても、やっぱり一ツ葉は女なのです。独占するよりも独占されたい感情の方が強く、激しいのでした。

 「あはぁ…っ♪美味しいですかぁ…♪私の母乳ぅ…♪御主人様専用の母乳どうですかぁぁ…っ♪」

 その言葉と同時に一ツ葉の両手は勝手に乳房を絞り上げるように動くのです。それは彼女もまったく意図していない動きでした。しかし、奥の乳腺を刺激して、たっぷりとミルクを捧げようとする本能の動きは思考が霞がかって働く無くなり始めた彼女にとってとても有難いものです。無論、それはより激しく快楽を感じる事が出来るからではありません。ずきずきと痛いくらいに疼き始めた子宮に従って、足を動かそうとする事に集中できるからなのでした。

 「ちゅぱ…っ。…ん。悪くない」

 母乳が幾らでも溢れ出るような乳首からそっと唇を離して誠示郎は短くそう応えます。しかし、その実際は、悪くないどころではありませんでした。甘くて濃厚でありながら、味が後を引き過ぎないその母乳は、他に類を見ないくらい彼の身体にぴったりと合うのです。一滴、口に入れるだけで芳醇なミルクのような甘い香りが口の中に広がって夢中になってしまいそうでした。しかも、その母乳は栄養満点かつ魔力が強く混じっているものであるのです。魔力だけでその身体の維持が可能になるインキュバスと言えど、味覚が無くなった訳ではありません。美味しい分、普通に魔力を注ぎ込まれるよりもはっきりと受け入れる事が出来るそれに、誠示郎の体力が回復し、それに伴って獣欲も正常位の時の様に燃え上がり始めるのでした。

 ―そろそろ限界…か。

 本当はもっと焦らしておきたかったのですが、これ以上焦らすと誠示郎の方がどうにかなってしまいそうでした。噴き出す甘い母乳を飲めば飲むほど、どんどんと身体が熱くなり、脳髄がじくじくと疼き始めるのですから。今は未だ理性の色濃い思考を保つ事が出来ていますが、人並み外れた精神力を持つ誠示郎とて、それを堪えきる事は出来ません。何れは欲情に飲み込まれてケダモノの様になってしまうでしょう。無論、それまでお互いを焦らすと言うのも選択肢の一つですが、中途半端な射精で終わったままの肉棒は膣奥に吐き出すような熱い射精を求めているのでした。

 「…一ツ葉。動くぞ」
 「はぁい…っ♪」

 そんな彼の短い一言と共に誠示郎の腰はゆっくりと上下へと動き始めます。それは正常位の時の様に激しいものではありません。上に載せている一ツ葉を腰で突き動かす必要がある上に胡坐を掻いている為、その動きは奥の数センチを擦る程度の弱弱しいものであるのです。しかし、ようやく始まった抽送は、一ツ葉にとってまるで激流のようでした。今まで殆ど身動ぎもしなかった熱い剛直が再び動き出したのですから当然です。そして、てっきり動かないものとして、無防備な肉棒に絡みついていた肉の突起や肉厚の子宮口がいきなり擦られて、びっくりして激しい快楽へと変換させるのでした。そして、その快楽はようやく始まった抽送に悦んで身を震わせる子宮の中で絶頂へと変わり、彼女の視界をさらに真っ白に染まるのです。

 「う…あぁぁぁっ♪…お…ふぉぉ…♪」

 無論、ずっと『それ』を求めていた彼女は視界を真っ白に染める程の快楽を享受しています。しかし、一方でそれにばかりずっと浸っているわけにもいきません。だって、このままであれば、一ツ葉はともかく誠示郎はあまりにも気持ち良くないのです。無論、抽送の快感はしっかりと返っているはずですが、敏感な奥ばかりを擦られる一ツ葉と違って、何処か物足りない感覚でしょう。実際、誠示郎が感じていたのは気持ち良い反面何か足りない感覚でした。そして、その事を経験から知る彼女は震える足を叱咤しながら、両足を布団につけて、太目の太腿から足までぎゅっと力を込めるのです。そのお陰で少しだけ浮いた腰に向かって、誠示郎の抽送がズンッと入ってくるのでした。

 「きゃふぅぅぅぅぅぅぅっ♪♪」

 少し浮いたその腰が作った空間は五センチにも満たない空間でした。しかし、それが彼女の精一杯であったのです。ようやく始まった抽送は気持ちの良い反面、彼女から抵抗の意思を凄まじい勢いで奪っているのでした。身体中の殆どの力を集めても、その僅かな隙間が限界なのです。しかし、その僅かな空間で助走をつけた抽送は、僅か数センチを擦られるだけでもアクメしてしまう程、敏感になっている膣奥へと入っていくのでした。そして、それは視界だけでなく、思考を真っ白に染め上げるくらい激しい絶頂へ一ツ葉を導いていく事になるのです。

 「ひゃうぅぅぅぅっ♪ズンっってぇっ♪ズンズンって来ますっっ♪」

 しかし、思考を真っ白に染め上げても腰を砕けさせるわけにはいきません。その腰を降ろすのは二人で激しい抽送を作り出す事になるので構いませんが、完全に腰が動かなくなってしまうと誠示郎が気持ち良くないのです。勿論、それは彼を愛する妻にとって、とても許容する事が出来ない事でした。やっぱり自分が気持ちよくなるのと同じくらい愛するオスにも気持ち良くなって欲しいと思うのは当然の事でしょう。そして、彼女はその一念のみで砕けそうになる腰を支え、誠示郎の抽送に耐えていました。

 「んぁぁぁっ♪やら…っ♪お胸駄目ですぅぅぅっ♪」

 しかし、そんな彼女の献身を砕こうとするかのように誠示郎の口は再び彼女の大きな胸を口に含むのです。しかし、今度はさっきのように母乳を吸い上げるような優しいものではありません。乳首を歯の間でがっちりと挟み、舌先でぐりぐりと先の穴を穿る様な力強い愛撫です。明らかに快楽を感じさせるのを目的としているその強い愛撫に、一ツ葉の胸は再び弾け、母乳を降らせるのでした。そして、胸から波及する絶頂も、必死で身体を支える足をふるふると震えさせるのです。

 「じゅる…っずじゅるるるるぅっ」
 「はぁぁっ♪やらしいですぅ…っ♪私のお胸じゅるじゅるって吸われてぇ…やらしい音ばっかりですよぉぉ…♪」

 直接感じる快感だけでなく、わざと淫らな音を立てられていると言う被虐の感覚は一ツ葉の身体をさらに追い立てていきます。しかし、それでも彼女の足は崩れません。必死に震えながらも、芯を残しているのでした。それは少し奥を擦られるとすぐに蕩けてしまって、くたくたになってしまう彼女から見れば、驚異的な耐久力であったのでしょう。
 ですが、誠示郎はそれを許しません。その残った耐久力も一気に削ってしまおうと臀部に添える手をそっと真ん中の窄まりへと移動させるのです。そして、その窄まりが愛する夫に最も触れて欲しくない部分である一ツ葉は、それに気付き、制止の声をかけようとするのでした。

 「っっ♪だ、駄目ですっそこはっっ…あきゅうううううぅぅぅっ♪」

 しかし、その声は最後まで言わせては貰えません。きゅっと窄まったアナルに右手の人差し指がきゅっと入っていったからです。長い間、誠示郎の精液以外口にしてはいない一ツ葉のそこは、本来の機能をまったく果たしてはおらず、とても綺麗な場所ではありました。時折、こうして誠示郎が弄ぶ為、日頃から綺麗にしているのですから当然です。しかし、それでもやっぱり一ツ葉にとってそこは『不浄の穴』であり、排出する為の穴であるのでした。そんな場所に、夫の指を飲み込むだなんて本当は許したくはありません。だって、もし、万が一、『何か』が残っていて嫌われてしまえば、生きてられなくなってしまうのですから。しかし、既に誠示郎の指や逸物によって念入りに開発されたアヌスは指一本程度であれば、難なく飲み込んでそれを快楽へと変換するのです。

 「や…ぁっ♪そ、こ…駄目ですってばぁ♪…ち、力…抜けちゃいますからぁぁ…♪」

 一ツ葉のそんな抗議にもまったく誠示郎は耳を貸しません。ただ、じゅるじゅると母乳を吸い上げながら、妻の身体を貪るのです。本当に無遠慮なその挙動に、彼女は逃げる事も、抵抗する事が出来ません。ただ一つ出来る事、は耐える事だけなのです。しかし、それも夫の激しい責めの前ではもはや風前の灯でしょう。ジリ貧とは分かっていても他に出来る事はありません。そして、それでも耐えようとする彼女の腸壁をごりっと擦りあげられた瞬間、子宮の裏側で弾けた感覚が彼女の腰を完全に砕けさせてしまったのです。

 「ひうぅぅぅぅぅぅぅぅっ♪」

 自然、腰を支えていた足も脱力し、重力に惹かれた身体が剛直を伝って降りてきます。そして、次には強い衝撃が巻き起こるのでした。射精寸前のケダモノ染みた激しい抽送にも匹敵する勢いで腰が無防備に降りてきたのですから当然でしょう。無論、敏感な膣奥はそれに耐える事が出来ず、ぎゅっと圧迫された膣肉が再び襲い来るアクメの波に踊り狂います。しかも、それは子宮からやってくる分だけではないのです。時折、食いちぎられてしまうと思うほど強く噛まれる乳首からも、今も人差し指がぐにぐにと蠢き腸壁を擦り上げている尻穴からも、快楽の波が寄せてくるのですから。それら三つの絶頂に翻弄される彼女の身体からは力が抜けてしまうのは、仕方の無い事でしょう。

 「ごめんなさいぃ…♪私ぃ…っ♪御主人様を気持ち良く出来ましぇんでしたぁ……っ♪」

 誠示郎の責めに屈した事に謝る彼女の目尻からは涙が零れ落ち始めていました。それは勿論、快楽のでもあり、悲しみのものでもあります。さっき感じた三つの絶頂はまた別の快楽ではあるものの、後背位で乱暴に犯されるくらい気持ちが良かった反面、堪え性の無い淫らな身体では感じすぎてしまって夫の事を気持ち良くしてあげられない事に途轍もない悲しみを生み出すのですから。夫に全てを捧げた彼女にとって、それは決して無視できない悲しみであったのです。
 そして、そんな脱力した一ツ葉の肢体を感じながら、誠示郎はそっと前へと体重をかけていくのでした。無論、殆ど力の入らない彼女に抵抗する術はありません。ただ、無防備に背中から布団へと倒れ込んでいくのです。しかし、一ツ葉がそれに恐怖を感じることはありませんでした。寧ろ、尻穴から手を離し、両手でそっと背中を支えてくれた誠示郎の優しさと力強さに信頼感をさらに強めていたのです。

 「あはぁ…♪…御主人様はやっぱり…優しい方ですぅ…♪」

 再び正常位で夫と繋がり、布団へと背中を預ける妻は夢中で乳首を責め上げている誠示郎の髪をそっと撫でました。芯が入っているように硬いその黒髪は、光を放つのではなく貪欲に飲み込んでいるようにさえ感じます。まるで何処までも引き込まれるようなその色に彼女が心奪われそうになった瞬間、誠示郎の腰は再び動き出して無防備な彼女の身体を貪り始めるのでした。

 「きゅうっ♪あはぁっ♪大好きですよぉ…♪御主人様愛してますぅ…♪」

 唐突に始まった抽送に好きだと愛してると繰り返しながら、一ツ葉はぎゅっと誠示郎の頭を抱きかかえました。それは意図しての事かしないでの事か、初めて二人が交わった時の姿に良く似ていました。しかし、お互いの身体に夢中になっている二人はその事に気づきません。ただ、誠示郎は一ツ葉に最高の瞬間を迎えさせてやるために、その身体を蕩けさせ、一ツ葉もまたそんな誠示郎に全身を委ねて、快楽を享受しているのです。恋人の交わりからケダモノの交わりへとその性質を変えていく中で、ケダモノに堕ちていく二人がお互いのこと以外に胃を向ける余裕なんてあるはずはないのでした。

 「御主人様ぁ…っ♪御主人様ぁぁ♪御主人様ぁぁぁぁっ♪♪」

 甘い声で何度も夫を呼ぶ一ツ葉に応えるように誠示郎は叩きつけるような抽送へと変えていくのです。その男根はもう最高の怒張へと変貌していて、何時、射精してもおかしくはないくらいでした。それも当然でしょう。だって、動き始める以前から激しく絡みつく突起に晒され続けた肉棒は射精してもおかしくないほどの快楽に晒され続けていたのですから。さらに、膣と一体化しているかのように感じるほど長い間、動かさず、敏感になった亀頭で膣奥を叩いているのですから我慢できるはずがありません。寧ろ、今も射精を我慢できている事事態が奇跡のようなものでしょう。今にも崩壊しそうだったのは実は一ツ葉の方ではなく、誠示郎の方であったのです。

 「っくぁ…一ツ葉…ぁ…!!」

 激しく腰を動かせる分、跳ね上がった快楽に我慢できず、乳首から顔を離した彼の顔はもう欲情に塗れていました。長い間、彼女の母乳を吸っていた所為かその口の端からは唾液と母乳が混ざり合った白濁液が零れ落ちています。もう口を閉じる事に意識を送る余裕すら無く、ケダモノそのものの表情で一ツ葉の身体を貪り続けるのでした。そこには一切、理性の色は見えません。最初の正常位の時よりもさらに強くケダモノ染みた面を前面に押し出しているのでした。

 「ひゅぅぅ♪愛してますぅっ♪好きぃぃっ♪激しいオチンポも大好きぃぃっ♪御主人様のオチンポもごつごつくりゅのぉぉっ♪♪」

 そして、そんなケダモノ染みた誠示郎の抽送は座位の時のような生易しいものではありません。一回一回が腰を浮き上がらせてしまうくらい、強く激しいモノであるのです。無論、その衝撃を全て受け止める子宮は抽送の度に揺れて、溶け出すような甘いアクメを身体に広げるのでした。しかも、それは何時まで経っても終わりません。ずっと動かされなかった男根が、いきなり激しく動き始めた所為でしょう。未だ激しく蹂躙される感覚に慣れない膣は、何度も何度も絶頂を繰り返し、イきっぱなしになってしまうのでした。無論、その快楽のうねりは理性をあっさりと飲み込んでしまいます。しかし、さっきの座位でたっぷりと愛してもらった一ツ葉の身体からは、飲み込まれるよりも早く愛情が湧き上がり、それだけは決して消えません。そして、激しすぎる快楽にも負けないその感情が、今、彼女の口を通して何度も何度も放たれているのです。
 しかし、彼にとってはそれが不満でありました。無論、一ツ葉が気持ち良くなってくれるのは彼にとっても男冥利に尽きる話です。決してそれに不満があるわけではありません。あるのはただ一つ、彼女の言葉…それも一部分だけの話です。しかし、殆どがケダモノに堕ちているはずの誠示郎がそれが気になって気になって仕方無いのでした。それを口に出そうかどうしようかと迷ったのも束の間、理性の効かない彼の口はそれを言葉にしてしまうのです。

 「名前で…呼んでくれ…っ!」
 「〜〜〜〜〜っ♪♪♪」

 快楽を必死で堪えている為か時折、声を詰まらせながら漏れ出たその一言はしっかりと一ツ葉の耳にも届いています。勿論、今までも何度か彼女が誠示郎様と夫を呼んだことはありました。しかし、それは本当に片手では足りないくらいなのです。まだ、心の中で遠慮が残っているのか、結婚してから長い年月が経った今でも、中々、彼女は名前では呼んでくれません。無論、彼女としても愛しい夫を呼ぶのに御主人様と呼ぶのは間違っている気はしていました。しかし、彼女のアイデンティティとして長い間確立された使役狐と言う一面がそれを阻んでいたのです。それに、もし、下手に名前で呼んで嫌がられてしまったらどうしようと思い、普段は中々、呼べなかったのでした。しかし、そんな彼女を知ってか知らずか、今、こうしてはっきりと誠示郎が言葉にして求めてくれたのです。それは十文字にも届かない短い言葉でありましたが、それだけで彼女の身体は狂喜してしまうのでした。

 「誠示郎…様ぁ…♪誠示郎様ぁぁ…♪♪誠示郎様ぁっ♪誠示郎様ぁぁっ♪」

 本当はずっと呼びたかったその言葉は一度、許可を貰えばあっさりと口から出てきました。いえ、寧ろ溢れて止まらないと言った方が正確でしょう。まるで今までの分をここで精算しようとしているかのように溢れて溢れて止まらないのです。そして、溢れ出るその言葉に押し上げられるように、彼女はさらに高くイってしまうのでした。しかし、どれだけ気持ち良くなっても、イっても、その言葉が途切れる事はありません。甘い嬌声に混じりながらも、彼女は理性でも本能でもない何かに突き動かされて、愛する夫の名前を呼び続けていました。

 「くぅぅ…っ!!!」

 そして、その呼び掛けが彼への最後のトドメになったのです。今までずっと欲していた言葉を貰って気が緩んだのでしょう。未だ抽送の途中であるのに男根の震えは最高潮に達し、カリ首を大きく広げました。二つの玉袋もきゅっと引きあがってその中に詰まったぷりぷりの精液を精管へと流し始めます。もう既に始まっている射精を彼は歯を食いしばりながら耐え、ゴリゴリと膣肉を蹂躙しながら、一気に最奥を目指していきます。その数秒にも満たない時間は誠示郎にとって地獄そのものでありました。精管の途中まで這い上がっている精液を何とか押しとどめていたのですから当然でしょう。すぐそこに最高の瞬間があるのに、それを必死で堪え続けている彼は歯が砕けてしまいそうなほど強く噛み締めながら、必死に腰を進ませ続け、そしてそのままの勢いで膣奥へとぶつかるのでした。

 「きゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♪♪♪」

 それを受けた彼女の口は流石に夫の名を途切れさせ、甘い嬌声を長く続かせるのです。それも当然でしょう。だって、衝撃だけでさえ頭が真っ白に染まりそうなほど気持ち良いのに、そこでさらに射精まで始まったのですから。無論、精液に飢えるケダモノの様な子宮がそれに耐えられるはずが無く、さらに一段高い絶頂へと舞い上がっていくのです。身体中の線が消えて、愛する夫と一体になるようなその絶頂は前述の通りとても危険なものでもありました。愛する相手と自分との境界が限りなく薄くなって、同一化していくようにも感じるのですから。しかし、それでも彼女は自分を失う事はありません。だって、先ほど、彼女は誠示郎にとても強いオリジナリティを与えられたのです。誠示郎の名前を呼ぶ事を許可してくれた、と言う強いオリジナリティが、彼女に自分自身を見失う事の無い強さを与え、そのアクメを真っ向から受け止めさせるのでした。

 「…ふ…あぁぁ…♪せいじろぉ…さまぁ…っ♪」

 そして、勿論、そのアクメは一度では終わりません。寧ろ一度目が終わったらまた次、と言う様に次々湧き上がっていくのです。まるで彼女を絶頂から落とすつもりが無いように途切れる事無く。しかも、それは彼女の身体中を包み込み、決して逃がしません。爪の先の細胞一つまで快楽の手を伸ばして、その支配下に置くのです。無論、その中でも特に膣内は激しく蠢いていました。何度も何度も精液を吐き出させようとしているかのように今まで以上に容赦なく絡み付いてくるのです。子宮口へと吸い上げられている亀頭だけでなく、敏感なカリ首も、太くて大きい陰茎もその例外ではありません。一分の隙も無く絡み付いてくるそれらによって、まるで愛液を塗りこまれているようにぐちょぐちょのドロドロにされていくのでした。触れた部分を敏感にするようなその愛液を、一つ一つが舌のような独特の硬さと柔らかさを持つ突起に塗りこまれて平気でいられるはずがありません。誠示郎もまた一ツ葉へと導かれるように途切れる事無く射精を繰り返すのです。

 「せいじろぉさまぁぁ…っ♪しぇいじろぉさまぁぁ…♪」

 子宮の奥に直接注ぎ込まれるような強い射精を浴びる一ツ葉はまるで壊れたテープのように彼の名前を呼ぶのでした。そして、その度にぎゅうっと締まった膣が誠示郎を射精へと導くのです。そして、その射精を受けた一ツ葉が、愛しい夫の名前を呼びながらまたアクメを迎えて、ぎゅっと膣肉を絡ませるのでした。お互いに与え合う快感で絶頂を繰り返す二人は自らの身を貪るウロボロスを髣髴とさせるでしょう。しかし、自らの身を食さざるを得ないウロボロスとは違い、二人はとても幸せなのでした。だって、今、二人が感じている快楽の輪環はお互いが強い快感を感じている証なのですから。それを全身で感じられる事をどうして厭う必要があるのでしょう。寧ろ二人はお互いの絶頂の環の中で組み込まれていることに身も心も蕩けてしまいそうなくらい幸せであったのです。

 「ふ…ぁ…♪きゅ…ふぅ…っ♪」

 しかし、その幸せも永遠に続くわけではありません。その快楽の環に取り込まれている誠示郎の射精は何時までも続くわけではないのですから。無論、インキュバスだけあって彼の精力は高く、精液の生産能力も人並み外れていますが、絶え間なく襲い続けるような射精を続けられるほど化け物染みてはいないのです。長い長い絶頂の渦の中で、ゆっくりと精液の量を減らしていくと自然、それを受け取る一ツ葉のアクメも収まっていくのでした。そして、後に残るのは熱い熱に翻弄され、お互いに身体を預けあう一組の夫婦だけです。

 「…ん…ぁ……ぁ♪せぇじろうさまぁ…♪」

 力尽きたように胸の間に顔を埋める愛しい夫の名前を呼びながら、彼女はそっと震える手でその髪を撫でてあげました。まるで子供扱いのようなその仕草に流石に反発を覚えますが、誠示郎はまだ身体を動かす事は出来ません。さっきの射精で一滴残らず精液を使い切った身体は、精液の増産にその殆どを傾けていて、指一本さえ動かす力を分け与えていないのでした。仕方なく誠示郎はそっと一ツ葉に身体を預けて、何度か深呼吸を繰り返します。胸の谷間で思いっきり吸い込む空気は、交わりの余韻を感じさせるような淫らな匂いでした。お互いに精魂尽き果てそうなくらい汗や唾液、母乳やら精液、そして愛液を垂れ流して交わっていたのですから当然でしょう。長いセックスの中で二人の身体に染み付いたその匂いは、恐らく当分取れないに違いありません。しかし、お互いに独占したい気持ちと独占されたい気持ちを強く持つ二人にとってそれは好ましいものでもあったのです。
 お互いに独占され、同時に独占するような淫らな香りに包まれながら、数十分ほどそのままの姿勢で抱き合っていました。その間、絶頂の余韻に身を委ねる二人は言葉を交わしません。ただ、荒く吐息を吐いて、お互いに熱を分け与え合うのです。しかし、それは決して二人が不仲であるというわけではありません。その証拠に、一ツ葉は何度も夫の名前を呼びながら頭を撫で、誠示郎もまたそれに応えるように妻の乳房をそっと撫でているのですから。二人にとって、言葉など交わさずともお互いに気持ちを伝え合うような熱で十分であったのでした。

 「一ツ葉…」

 しかし、お互いに絶頂の余韻に身を委ね、快楽を反芻する時間は永遠ではありません。妻の名前を呼ぶ彼のモノは入ったままの膣肉の中で再びその力強さを取り戻し始めています。そのすぐ下ではふつふつと滾るマグマのように精液が満たされているのでした。そして、一ツ葉の胸に顔を埋める誠示郎の顔には強い欲情が灯っているのです。さっき射精したばかりであるのに再びケダモノの顔を強く見せているのでした。しかし、それも仕方の無い事でしょう。だって、先ほど彼は魔力を強く含む母乳を腹が膨らんでしまいそうなくらい飲んでしまっているのですから。興奮を助長し、精液の生産速度をさらに早めるその淫らで甘い液体は未だに彼の身体に強く残っています。それが完全に抜け切る限り、彼は何度射精してもすぐにケダモノに戻ってしまうに違いありません。
 そして、そんな彼の顔を真正面から見る一ツ葉もまた一度、鎮火した筈のメスの本能が燃え上がるのを感じるのです。元々、彼女自身の強い性欲はまだまだ満足してはいない上に、欲情を一目で分かるくらい浮かべた顔を名前を呼ばれたのですから当然でしょう。未だオスとしての本能を色濃く残す誠示郎に身を捧げて、その全身、余すところ無く貪っていただきたいと、そんな気持ちが湧き上がってしまうのでした。

 「はぁい…♪いいですよぉ…♪私は…誠示郎様のモノなんですから…お好きなように…貪ってくださいませぇ…♪」

 そして、陶酔と愛情をはっきりと浮かべた一ツ葉のその言葉に誠示郎は我慢が出来なくなってしまうのです。開いたその両足に手を掛け、そっと妻のほうを見上げました。それだけで夫が何をしたいのか察した彼女はそっと誠示郎の頭から手を離します。それに満足そうに一つ頷いた後、誠示郎は掴んだ両足を一気に回すのでした。力強いその動きに一ツ葉は抵抗せずに身を委ね、次の瞬間にはその視界が反転していました。仰向けであった一ツ葉の身体は一瞬で、うつ伏せでお尻をきゅっとあげるような体勢になっているのです。

 ―あぁ…♪恥ずかしい…っ♪

 何度してもその体勢――後背位と呼ばれる体位は彼女にとって恥ずかしいものでした。まるでオネダリをするように臀部を上げなければいけない事もそうですが、何より淫らな場所を隠す場所が一つとしてないのです。『不浄の穴』も身体を回された時にぐりゅんと膣肉を抉られる感覚に今もピクピクと反応している膣穴も全てが白日の下に晒されてしまうのですから。しかも、ただ見られるだけではなく、少し開いたそれらはまるで物欲しそうにひくつくのですから溜まりません。しかし、その恥ずかしい気持ちが彼女のメスの部分に火を点けるのもまた確かなものでした。
 そんな一ツ葉の背に身体を預け、上から圧し掛かるように繋がる誠示郎はきゅっきゅと嬉しそうに膣が反応しているのを感じるのです。無論、妻の被虐性をここまで育て上げたのは誠示郎ですから、彼女が拒むとは彼も思ってはいません。しかし、それでもやはり不安になる気持ちは否めないのでした。自分の独り善がりではないのだろうか、とどうしてもそんな気持ちを拭い去る事が出来ないのです。しかし、はっきりと悦んでくれる事を伝えるようなその膣肉の蠢きに後押しされるように、彼の両手は上から一ツ葉の手を掴んで布団の上へと縫いつけるように押し倒すのでした。

 「ふ…ぁぁ…♪」

 それは彼女にとって、とても甘美な感覚でした。上も下も左右さえも逃げ道を塞がれて衝撃を逃がす事さえ出来ないのですから当然でしょう。身体の四方八方を愛しいオスで囲まれる感覚は窮屈な反面、とても幸せな感覚でもあるのです。そして、まるで彼女の全身を覆い、まるで拘束されているようにさえ感じるその力強さに未だ収まらない彼女のメスが疼き、ふりふりと腰を左右へと動かすのでした。まるで淫らにオネダリするようなその仕草に男根が刺激され、目の前で誘う極上のメスを貪ろうとオスの本能が走り出します。しかし、それに全身を支配される前に、誠示郎は言わなければいけない一言があるのでした。

 「…一ツ葉…愛しているぞ」
 「……えっ…♪ふわああああぁぁぁっ♪♪♪」

 不意打ち気味に告げられたその言葉を受け止める暇さえ与えられないまま、誠示郎の激しい抽送が開始されます。さっきまでと違い、自由に腰を使えるその動きはやっぱり彼女にとって強すぎるものでした。それを受け止めようとする意識があっさりと快楽の前に吹き飛ばされるのと同時に、一ツ葉の中のメスが燃え上がっていくのです。そして、最後の最後で求めていた優しい言葉をくれた誠示郎の意地悪さにと優しさに胸を疼かせた瞬間、彼女もまた一匹のメスへと堕ちて、誠示郎へと愛され、貪られるだけのモノになってしまうのでした。

 そんな二人の交歓はこれから先も、中々、終わりません。だって、まだ二人が起きて数時間しか経っていないのですから。三日中、繋がり続ける事も少なくは無い二人にとって、これはまだまだ前哨戦であり、淫獄の入り口に過ぎないのです。
 そして、そんな二人の関係はこれからも続くのでしょう。二人が出会ってから、今までに長い年月が経っています。無論、その間に色んな事がありました。この空間の外では普通に魔物娘が闊歩して、魔力の影響で変色した木々が生えている事もその一つでしょう。それは二人がいるこのジパングと言う大陸とは違う場所では『魔界』と呼ばれる場所に変わっている事の証左でした。しかし、それは二人にとって些事であり、どうでも良い事であるのです。お互い以外のことを投げ捨てて、お互いを求めるだけに外界から離れてしまった二人にとって、お互いの事だけが大事であるのですから。そんな二人の関係が途切れるはずがありません。どちらかの命が尽きるまで永遠に続いていく事でしょう。そんな予感が二人にはありました。

 ―そして、そんな予感を胸に、一匹の番として愛し合い、慈しみ合い、絡み合う二人は、何時までも何時までも幸せに暮らしたのでした   めでたしめでたし。
11/09/16 23:20更新 / デュラハンの婿
戻る 次へ

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33