連載小説
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その2

 
 「ふぁぁ…っ♪アズさんの今日も逞しいぃ…っ♪ちゅぷっ…♪…ひゅふぅ…ぅ♪…ぢゅるるるっ♪」
 
 ―何………だ…?
 
 唐突にそんな声が聞こえて、俺の意識はゆっくりと浮き上がっていく。深い深い眠りの底から突然引き上げられたようなその感覚は、若干、不快ではあったものの、意識が覚醒して行くにつれて腰の辺りから何か暖かい感覚が背筋を伝って登って来るのが分かった。
 
 ―何が…起こって……?
 
 寝起きの鈍い頭でそう考えるものの、今の俺には目蓋を開ける力さえ無い。俺の身体を制御する意識を、まるで眠りの底へと引きずり込もうとする手があるかのように浮上するのも遅々としていて、まだ半ば夢の中に居るようなものだ。何れはその手全てを振り払って完全に覚醒する事も可能だろうが、まだまだ時間が掛かるだろう。
 
 「ふふ…♪おっきな幹を吸われる度にぴくぴくしてますよぉ…♪今日もアズさんのは暴れん坊さんですねぇ♪」
 
 ―吸う…?何を……?
 
 そう疑問に思った瞬間、再びぢゅるぢゅるといやらしい音を立てて、俺の『腰』が吸われる。さっきより意識が覚醒した分、鮮烈に感じられるその刺激は、思わず腰を引いてしまうほどの快感を伴っていた。びりびりと甘く痺れるようなその快感に俺の身体は敏感に反応し、俺の意思とは無関係に小さく息をつく。妙に熱気が伴った吐息は本当に小さくてすぐに消えてしまうようなものだったが、俺を吸っている『相手』はそれをしっかりと聞き取ったらしい。「クス…♪」と小さく笑って、俺の腰から口を離したのが目を閉じても感じられる。
 
 「もう…♪そんなに気持ち良さそうな声を出しちゃって…そんな声聞いちゃったら甘えさせてあげたくなっちゃうじゃないですかぁ…♪」
 
 ―無意識なんだから仕方ないだろう…!?
 
 反射的に胸裏で呟いたその言葉に突き上げられるようにゆっくりと意識が浮上して行く。幾分かはっきりしてきた意識でもまだ指先は岩になってしまったかのように動かないが、目蓋だけは動かせそうだ。
 
 ―まずは…これがどんな状況なのか把握しないと……。
 
 かなり鈍った思考でもそれだけははっきりと把握できる。まだ眠っている状態に片足を突っ込んでいるままだが、自分が何をされているのか分からないと言うのは純粋に気味が悪い。そんな恐怖にも似た感情に後押しされるように、俺は目蓋に力を込め始めた。最初はまるで鉛で出来た扉のようにびくともしなかった目蓋が、意識が起きるのに従ってゆっくりと開いていくのが分かる。
 
 ―最初に見えたのは部屋の天井だった。
 
 しかも、毎朝、見上げる見慣れた天井である。俺の意識は起き始めていてもまだ瞳は眠っているのか、まだ視界がぼやけてピントも合っていないが、毎朝見ている光景を見間違えるはずが無い。ここはテスタロッサさんの部屋だと俺は自信を持って言える。
 
 ―じゃあ…さっきの声の主は……。
 
 「でも…ダメですよぉ♪だってぇ…今日のこれは御仕置きなんですからぁ…♪」
 
 砂糖菓子のような甘い甘い声は、囁くような小さなモノのはずなのに、間延びしていて耳に張り付いて離れない。まるで蜂蜜を耳に塗りつけられているかのようなその声は、甘さだけでなく、男に媚びるような魅惑的な響きも伴っている。そして…何よりその声は俺の大好きなテスタロッサさんに良く似ていた。その一点だけでも、頭の裏が痺れるような倒錯的な興奮を覚えるのに、耳から脳髄を犯されている感覚がさらに俺の心をかき乱す。
 
 ―でも…こんなテスタロッサさんの声なんて今まで聞いた事が…。
 
 濃厚な日々だったとは言え、俺とテスタロッサさんの付き合いはまだまだ三ヶ月程度だ。無論、お互いに知らない面と言うのはまだまだ沢山あるのだろう。…けれど、俺はその三ヶ月の間で…こんな淫らで胸が興奮で詰まりそうな声をテスタロッサさんが出すなんて想像した事さえ無い。だって…俺の知るテスタロッサさんはハキハキと物事を話すタイプではないが、穏やかで耳に優しい声で話してくれる人なのだ。聞いているだけで何処か穏やかな気持ちになれる…そんな優しい声の持ち主だったはずである。そんな人が…こんな心ごと犯してくるような甘い声を出すなんて、すぐに認められるはずも無い。
 
 ―そうだ…最近、オナニーしてなかったし…これはきっと夢なんだろう…。
 
 そう必死に逃避するものの、はっきりしてきた意識や鮮明になっていく3感がそれを否定する。見上げている天井は間違いなくテスタロッサさんの部屋のものであるし、微かに香る紅茶の匂いはテスタロッサさんの部屋にも染み付いているのだ。特に、腰から…いや、俺のムスコから這い上がってくる快感は身体を震わせるほど強烈ではっきりとしている。今まで淫夢と呼ばれる類のものを見た経験はあるが、それだってこんなに鮮明な快感を伴ってはいなかった。まるでリアルのように…いや、現実であると思い知らせるかのような無慈悲な快感は、これが夢だと逃避する事を決して許さない。
 
 「ほぉら…♪指でコスコスしてあげるだけでも気持ち良いですよねぇ…♪」
 「う…あぁぁ…」
 
 思わずそんな情けない声が漏れてしまうほど、『声の主』の手扱きは気持ち良い。ただ上下に皮を扱くのではなく、カリ首を過ぎる瞬間にきゅっと輪を小さくする技術は童貞の俺には十分すぎる威力を持っている。それだけではなく、敏感な亀頭に合わせて、ゾリゾリと削るように握り締められる度に射精への衝動がどんどんと高まっていくのだ。
 
 ―そして…何より…。
 
 触れられた部分から広がる甘い痺れのような感覚は、俺にとって馴染みがあるけれど、記憶に無いモノだ。例えるなら…さっきテスタロッサさんの手と触れ合った瞬間の…あの感覚。それが俺のムスコの中で弾けて、腰を振るわせる起爆剤になってしまう。無論、そこから生まれる快感の前ではマトモに思考なんて出来るはずも無く、俺の思考をどんどんと削ぎ落としていった。
 
 ―でも…確認…しない…と。
 
 状況証拠は山ほど揃っている。けれど、それでも俺は『声の主』がテスタロッサさんだとは思いたくなかった。無論…こうしてテスタロッサさんに襲われるのは俺も望んでいたシチュエーションである。言うまでも無いことだが、とても気持ち良いし、蕩けてしまいそうだ。…けれど、これがもし『テスタロッサ』さんだと認めてしまえば、今まで俺が見てきたものはなんだったのか?という疑問が当然、生まれるだろう。
 
 ―テスタロッサさんも…俺を騙していた…のか…?
 
 俺が今まで一緒に暮らして、好きになって…支えたいと思っていた彼女は偽者だったのだろうか?教会のように…尊敬していた神父様のように、俺を騙し、都合良く扱う価値観を植えつけるのが目的だったのだろうか?
 …俺はそんな事は無いと信じている。だが、それは今までのテスタロッサさんが『本物』であれば、と言う前提の下でだ。もし、彼女が…今の彼女が『本物』だったのであればその前提は全て消える。なくなってしまう。
 
 ―だからこそ…俺は……っ!
 
 これが夢である、と言う逃避はもう出来ない。声の主がテスタロッサさんである…という状況証拠も山ほど揃っている。けれど、それを全てひっくり返すためにも…一縷の望みを賭ける為、俺はまだぼやける視界をそっと下へと…腰へと下ろしていった。まだ首も動かせないので、顎を少し下げる程度の目線移動だが、それでも…俺の視界には腰辺りに顔を埋めるようにしている『声の主』が見える。
 
 ―…やっぱり…かよ……。
 
 それは紛れも無く…テスタロッサさんだった。清水に育まれた水草色の長く細い髪も、苛烈なまでの原色の赤を孕みながら、その中に穏やかな感情を沢山詰め込んでいる瞳も、誰が見ても…目を惹かれるような整った顔も…全部が全部、俺に『声の主』がテスタロッサさんであることを明確に告げてくる。それらの声から耳を塞ごうにも、テスタロッサさんと三ヶ月間、同じ空間で生活していた、と言う俺の経験がそれをさせない。皮肉にも唯一、この状況で信じられる『自分自身』が、この状況を一番『信じたくない』モノへと変化させていた。
 
 ―くっそ…なん…で……。
 
 「ふふふ…♪お手手の中で何度もピクピクしちゃってますよぉ…♪毎晩、扱いてあげたからオチンチンも気持ち良いの知ってるんですよねぇ…♪」
 
 そして、混乱する俺をさらに追い込むかのようにテスタロッサさんはきゅっとカリ首辺りの皮を摘んだ。通常時であれば亀頭の半分を隠す程度の皮は、膨れ上がって天井へと向いている今、亀頭からは離されてしまっている。けれど、しっかりとカリ下に結びついている皮を引っ張られるとむずむずとした形容しがたい感覚が這い上がってくるのだ。そして、それがまた、この異常な状況で快感のアクセントとして俺の身体に認識され、きゅっと玉袋を持ち上げさせる。
 
 「あはぁ♪アズさんのたぷたぷの精子詰まったのがきゅうぅって上がってきましたよぉ…♪もう射精しちゃいそうなんですかぁ…♪」
 「くっ…ああぁ…っ!」
 
 その言葉を反射的に否定しようにも、俺の舌はまるで動かない。いや、動く事は動くのだ。現に今、こうして俺は呻き声のようなものを上げているのだから。けれど、口から飛び出るのは快感に対する反応だけで、決して俺自身の『言葉』では無い。本当に発したい言葉を、「どうしてなんだ」と言うその問いかけを、俺の舌は紡いではくれないのだ。
 
 ―テスタロッサ…さんっ…っ!
 
 胸裏でそう呼びかけても、眼前の女性には届かない。今のテスタロッサさんは俺の意識があることにさえ気づかず、楽しそうに俺の性器を綺麗な指で弄っている。そんな風に子供が玩具に夢中になるようなそんな無邪気さと、上気して蕩けた目元と口元を惜しげもなく晒し、男を全身で誘惑するメスが、今のテスタロッサさんには同居していた。一種、アンバランスにも感じるその二つのイメージは、普段のテスタロッサさんのイメージとも結びつき、俺の中で強烈なギャップを生み出す。そのギャップは目の前にいる女性の性的な魅力を助長させるのと同時に、俺の胸に強い痛みを齎した。
 
 「ふふっ…♪アズさんの玉袋…とっても良い匂いですよぉ…♪」
 
 しかし、今のテスタロッサさんには俺の痛みなんて分かるはずも無く、さらに俺を追い詰めるためにそっとムスコの下へ――無防備に晒されている男の急所へ――と顔を埋めた。普段、あまり意識していない、だからこそ、本当は触れてもらいたくない場所に今、好いている女性の顔があって…しかも匂いまで嗅がれている−そんなパニックになりそうな状況に反射的に身体を動かそうとするけれど、俺の身体はまるで鉛で出来ているかのようにビクともしない。
 
 「クラクラしちゃいそうなオスの匂い…♪私の為にたぁっぷり…精液作ってくれたんですよねぇ…♪」
 
 ―い、いや、別にテスタロッサさんの為に作ってるわけじゃ…。
 
 「嬉しいからご褒美あげますっ♪」
 「う……あぁぁっ」
 
 心の中で呟いたその言葉が聞こえたわけではないだろうが、突然、男の急所の辺りで弾ける感覚に思考が飛んでしまう。何か熱いものの中に右玉袋が一つ取り込まれ、柔らかくてドロドロしたモノにたっぷりと転がされるような感覚。左の玉袋はすべすべとした何かに一本一本の皺を解されているようだ。まったく初めてで理解できない…けれど、推測は出来る感覚に俺は思わず腰を浮かせて応えてしまう。
 
 「ぢゅるううううっ♪んひゅぅ…♪じゅるうう♪」
 
 ―うぁ…そんな所を吸うなんて……っ!
 
 ワザといやらしい音を立てて玉袋を吸われ…しかも、口の中で唾液を塗りつけられるように舌に翻弄される。キスだってまだなはずなのに――あくまで俺の記憶の中では、だが――男としてもっとも敏感な部分を舌で奉仕されている感覚だけでも強い倒錯感と快感を生み出して足が震えそうになる程だ。さらにその上、中にどれだけ精子が詰まっているか確かめるかのようにコリコリと指の間で弄ばれている。痛くも無く、けれど、何も感じないわけではない。快感とむずかゆさの境目のような感覚を与えてくる絶妙な力加減に俺の腰はゆっくりと『意識』の制御下から離れていく。
 
 ―な、なんとか…しないと…!
 
 そう思うものの異常なシチュエーションと、好きな人に与えられる抗いがたい快感の前では理性なんて無力だ。ましてや今の俺には身体をマトモに動かす事は出来ず、テスタロッサさんを跳ね除ける事も出来ない。自然、俺の制御下からどんどんと離れていく身体は紅茶よりも甘い快感に身を任せて、俺自身を飲み込もうとし始めていた。せめて意識だけは流されまいと快感の奔流に抗おうとするが、凡人の俺がどんなに否定しようとも快感に打ち勝つことはできない。ジリ貧であるのは火を見るよりも明らかだった。
 
 「ぷあっ…♪アズさんの玉袋美味しい…っ♪蒸れ蒸れで…オスの匂いで一杯で…ちょっぴり塩味も効いててぇ♪…中にあるぷりぷりの精子も美味しそうですよぉ…♪」
 
 まるで酩酊しているように目をとろんと蕩けさせながら言いつつも、テスタロッサさんは二つの玉袋を弄るのを止めない。絶妙な力加減でそっと触れられている急所はむずかゆさから快感を感じ始めている。反り返るムスコも触れられていないのにも関わらず、快感でピクピクと痙攣し始めているのを見ても、俺の身体は快感に飲み込まれ始めているのだろう。それに必死で抗おうとする俺の意思を無視して、より快感を感じようとしているのか、テスタロッサさんに差し出すように腰を浮かせる始末だ。
 
 「ふふ…♪こんなに腰を上げちゃうなんて…オネダリしてるんですよねぇ♪本当…アズさんは可愛い人です…♪」
 
 可愛いといわれている事に反感を覚える暇もなく、テスタロッサさんはそっと金玉から手を放した。敏感な部分が解放された事に安堵した反面、心の何処かで残念がっているのも…否定は出来ない。正直に言えば、玉袋から感じる感覚はムスコから感じるモノとはまったく異なり、とても抗いがたい快感であったし、射精したいという欲求も俺の中でむくむくと鎌首をもたげ始めている。まだそれらを否定する意識が強いが、いずれは飲み込まれてしまうだろう。
 
 ―どうするんだよ…これ…!?
 
 そうは思っても俺に抵抗する術は無い。オスの本能は俺のへタレた理性よりも強力だし、身体は俺の言う事を聞いてくれない。まさに絶体絶命とはこの事だろう。これが神話の英雄なんかじゃ奇跡を起こして見せるのかもしれないが、凡人の俺にとっては何時も現実は非情である。
 
 ―そもそも…抵抗してどうしたいんだよ俺…。
 
 …ふと冷静になった心の何処かがそう言った。抵抗して…テスタロッサさんを引き剥がして…どうしたいのか。それは俺自身にも分からない。今まで俺を欺いていた事を罵りたいのか、どうしてこんな事をしたのか、と話し合いたいのか、それともまた別の道を探すのか。
 
 ―分かる訳無いだろうが…!!
 
 そんなもの一般人の俺に押し付けられても困る。ただでさえ状況がパニックになりそうなものなのに、その先の展望なんて考えられるはずも無い。これがジェイクのような英雄然とした男なら突破口を見出すのかもしれないが、生憎と俺は生まれも育ちも一般的だ。抵抗しなければ、と言う漠然とした意識を維持するだけでも精一杯である。
 
 ―…でも………。
 
 こんな状況でも一つだけ確かなのは…テスタロッサさんが俺を欺いていたとしても…俺はまだ彼女の事が好きだ、と言う事だ。…自分でも馬鹿みたいだと思うが、普段とまったく違う…まるで痴女の様な彼女の姿を見ても尚…俺の好意は波打つだけで目減りしたりはしない。最初の頃は自分の持っていたイメージを打ち砕かれて混乱していたが、それでもテスタロッサさんへの好意は決して変わらなかった。無論…どうしても不信感のようなものは芽生えてはいるが、好きな相手とこうして性的な関係を持てる事を内心、歓迎している俺も居る。
 
 ―畜生…どうしたいんだよ俺は……っ
 
 本当は抵抗したがっているのか、それさえも俺の中で曖昧になってきて、内心、頭を抱えてしまう。頭の中が情報で一杯になっていくのに、それらを処理する方法一つ見出せない。じわじわと押しつぶされるような閉塞感に胸が潰れそうになった瞬間、再び俺の思考を快感が貫いた。
 
 「ほぉら…こうしてアズさんのぷりぷりの子種袋とぉ♪あっつぅいオチンチンを同時にゴシゴシされるのどうですかぁ♪」
 
 ―う…ぁ…ま、拙い……!!
 
 唐突に再開された奉仕に思考が完全に裂かれてしまった。もう止んだものだと思っていた快感が再び俺に襲い掛かり、不意打ち気味に理性を削ぎ落としていく。理性側が抗おうにも異なる二つの快感の波は寄っては返して波状的に攻撃を仕掛けてきていた。次にどっちを警戒すれば良いのかさえ見失った俺は、与えられる快楽にガクガクと足を震わせる事位しか出来ない。
 
 「ふふふ…♪凄く先走り汁漏れてきてますよぉ…♪ほぉら…にちゃにちゃって…エッチな音聞こえますかぁ♪」
 
 確かにテスタロッサさんが言う通り、俺のムスコは射精への期待に涎を垂れ流し始めていた。さっきまではうっすらと確認できる程度だったのが、今では亀頭全体を覆うほど漏らしている。粘性の高い透明なその液は、テスタロッサさんの指がすっと撫でる度にまるで嬌声のように淫らな音を奏でていた。
 
 「そろそろ限界ですよね…?射精したいんですよね…?…アズさんのオチンチンがピクピク震えてぇ…精液の素敵な匂いしてますから分かりますよぉ…♪」
 
 テスタロッサさんの言う通り、俺のムスコはそろそろ限界になってきている。テスタロッサさんの手に握られている玉袋はきゅっと窄まり、射精への前準備を始めているし、腰はより深い所で射精しようとまた浮き上がり始めている。痛々しいほどに真っ赤なカサを広げて快感に震えるムスコは堪え性が無く、さっきからカウパーを漏らし続けているのだ。
 
 ―で、でも…我慢…しないと……っ!
 
 今、射精してしまえばテスタロッサさんの顔にぶっ掛けてしまう事になる。そりゃ…俺も男だから、自分の精液で好きな女性を穢す背徳的なシチュエーションは嫌いじゃない。寧ろ自慰のお決まりの妄想ネタだった。…けれど、それは妄想だから許されるのであって、現実で行って良い行為ではない。
 
 「ふぁぁ…♪今にも射精しちゃいそうですねぇ…♪どんどん大きくなって…もう真っ赤になっちゃってますよぉ…♪」
 
 そう言いつつ、テスタロッサさんは指の動きをさらに早く、強いものにしていく。根元から絞るようにぎゅっと力を込めて、亀頭まで運び…そして亀頭を人差し指と中指で弄んだ後、カウパーを補給してまた根元へと返っていくのだ。その激しい愛撫は、もし、カウパーで濡れてなければ痛みさえ感じていたんじゃないかと思う。けれど、前走り液でたっぷりと濡れた俺のムスコは、寧ろ激しいのが好みらしく、激しい扱き方にも涙を流して悦んでいた。
 
 ―それだけじゃなく……っ玉の方も…!
 
 テスタロッサさんの手のひらの上で弄ばれる玉に、時折、キュッと爪を立てられるような感覚が襲ってくる。普通であれば握りつぶされるような感覚に恐怖さえ感じるであろうが、俺の身体は何時の間にか彼女に開発されていたようで、ビリビリとした快感を伝えてくるのだ。その快感に堪えようと身構える頃には、被虐感を伴った快楽を癒す様にそっと優しい指の間で玉が転がされて、じんわりとしたむずかゆい快感に変わってしまう。不規則に与えられる二つの快楽は俺になれる暇さえ与えず、どんどんと追い詰めていくのだ。
 
 ―ダメだ…っ!もう……っ!!
 
 敏感な玉袋からとムスコから与えられる快感に、ついに俺の我慢は決壊を迎えた。二つの玉がこれ以上無いくらいキュっと縮こまり、押し出された精液が一気に精管を通ってムスコへと駆け上がっていく。ムスコの大きさも最高のモノとなり、震えが最高潮になった瞬間――
 
 「ダメですよぉ……♪」
 
 その声と共に精液の道がテスタロッサさんの指に圧迫されて閉じられてしまう。心の何処かでずっと待ち望んでいた射精の瞬間を、快感を与えていた彼女から邪魔される…。そんな訳の分からない状況と射精寸前の理性の途切れた状態が重なり、俺の頭が真っ白になっていくのが分かった。理性も本能もただ呆然としている俺とは別に、真っ赤に上気した顔に淫蕩な笑みを浮かべるテスタロッサさんは…まるで本当に男を喰らう魔物のように見える。
 
 「忘れましたか…?これはお仕置きなんですから射精しちゃいけないんですよぉ♪」
 
 ―お仕置きって…何の…!?
 
 俺の所為でテスタロッサさんが変になったのは確かだろう。けれど、こんなお仕置きをされる程、傷つけた覚えはない。寧ろ変調に気づいてからはとても気遣っていたつもりだったのだ。その気遣いが間違っていた可能性は否定できないが…当事者の俺にはあのときの対応はそんなに間違っていないものにしか見えない。
 
 「ふふ…♪ドクドクって脈動がどんどんと小さくなってきましたよぉ…♪射精がどんどんと収まっていきます…♪」
 
 けれど、テスタロッサさんはそうは思っていないようだ。射精する為の精管をしっかりと掴んで圧迫し、精液が通らせないようにしている。期待していた瞬間が訪れなかった事に不満そうにムスコが何度も身体を震わせるが、それで彼女の手を引き剥がせるわけも無く、結局、俺は射精できないまま律動を終えてしまった。
 
 ―あぁ…そ、そんな……!!
 
 そして後に残るのは燻った欲望だけだ。理性も無く、本能も無く、ただ射精ができなかった事に対して、ぶすぶすと不満の煙を上げるだけの、燃え尽きれなかった欲望である。そして…その欲望はもはや理性に制御出来るモノではなく、俺の思考を貪欲の飲み込み、射精したいという欲望一色へと染め上げていく。
 
 「あぁ…♪ちょっと漏れちゃいましたね…勿体無いです…♪ちゅっ…♪」
 
 ―うぁああっ!そ、そんなぁ…っ!!!
 
 さらに、最高の瞬間をより強く味わおうと敏感になっていた亀頭に浮かんだ白濁液を舐め取られたのだからたまったものではない。ヌルリとした軟体が鈴口に触れる刺激だけでも奥から再び精液が吹き出そうになってしまうほどなのに、燻り続けているオスの欲望がさらにそれを助長しているのだから。けれど、未だ根元をぎゅっと押さえているテスタロッサさんの手が、第二の絶頂を迎えても一滴さえ亀頭へと進ませない。
 
 「ふふ…っ♪また出そうになってます…♪アズさんのオチンチンってやっぱりとっても敏感さんですねぇ…♪」
 
 からかうようなその言葉に反発する余裕も今の俺には無い。ただ、射精する事だけしか考えられず、腰をガクガクと震わせるだけが俺に許されていることである。しかし、どれだけ腰を揺らしてもテスタロッサさんは許してくれる気はないのかその手を決して緩めてはくれない。
 
 「アズさん辛いですか…?ううん…辛いですよね…。オスの一番、気持ち良い瞬間で止められているんですから…。でも…私も辛かったんですよ…?」
 
 ―何……を……?
 
 「アズさんに捨てるって言われて…私…辛くて…泣きそうだったんですから…」
 
 ―捨てる…?俺が…テスタロッサさんを…?
 
 訳の分からない言葉に思わず視線を下ろすと…蕩けたテスタロッサさんの目尻に涙が浮かんでいるのが見える。確かに表情自体はさっきと同じ淫蕩に染まった娼婦のようなモノだが、少しだけ濡れた目尻に一瞬、普段のテスタロッサさんの姿が被った。穏やかな笑みを浮かべるテスタロッサさんと、目の前で淫らな魔物として俺を襲っている女性が一致した瞬間、射精一色だった思考が少しばかり冷静さを取り戻す。しかし、それに安堵する暇も無く、またテスタロッサさんはゆっくりとムスコを扱き始めた。
 
 ―う…ぁ……っ!
 
 射精寸前の激しい愛撫とは打って変わって、まるで興奮を途切れさせないようなゆっくりとした愛撫は、狙い通り、冷えかけた俺の脳裏を再び燃えあがらせようとしている。しかし、撫でるようなそれは決して射精にまでたどり着けるものではない。燻ったまま残っている欲望を火で炙るような感覚に俺の思考は再び射精へと傾いていく。
 
 「私を捨てるなんて…ダメですよぉ…。私は…私はもうアズさんのモノなんです…。だから、別に別に暮らすなんていけない事なんですからぁ…っ」
 
 ―別々に暮らすって…まさか……。
 
 ふと脳裏に蘇るのは部屋の前で交わした言葉。けれど、それは別にそんな意味では決してない。寧ろ俺が自立してテスタロッサさんを支えられるようになるための、その為の言葉だったのだ。
 
 ―けれど…それはテスタロッサさんには伝わっていなかった……。
 
 いや、今の状態ではテスタロッサさんに好意を示せないと逃げた…と言う方が正しいだろう。そして…その覚悟の無さが、この状況を招いてしまった。俺が肝心なところでへタレてしまった事が…今、こうしてテスタロッサさんを泣かせている。…その事が俺の胸の一番深いところまで刃のように突き刺さった。
 
 「ご飯だってお部屋に居る時は毎日作っていましたし……お金だって沢山上げたじゃないですかぁ…。夜にはこうして…性欲処理もしましたし…ファーストキスも処女もお尻の初めても…全部あげたのに何が不満なんですかぁぁ…っ」
 
 ―後半は…まるで泣き声のようになっていた。
 
 正直に言えば、何時の間にか童貞まで奪われて、知らない間にこうして交歓していたのはショックでないとは言えない。もう殆ど教会の倫理観なんて残ってはいないが、それでもやっぱりそれなりに『最初』と言うのに強い期待を抱いていたのは事実なのだから。
 けれど、同時に…彼女をそこまで追い込んだのは俺自身の甘えだ。好意の一つもマトモに示せず、肝心なところで逃げてしまった俺だからこそテスタロッサさんもこれほどの強硬策に出たのだろう。また…彼女に勝手に「お嬢様」と言ったようなイメージを貼り付けて、聖域化していた、と言うのも…きっと無関係ではあるまい。好意の一つも示さず、聖女のように勝手に思い込んで、手さえ触れようとしないへタレ男は…実際、こんな風に追い込まれなければ何時までもグダグダやっていたのも事実なのだから。
 
 ―結局の所、俺が甘えっぱなしだったのが原因…なんだよな。
 
 金銭的にもそうだし…心情的にもそうだ。辛い決断は何もかも先延ばし、もしくはテスタロッサさん任せにした所為で、こうして今、彼女を泣かせている。
 
 ―けれど…それを何とかしようにも今の俺には言葉一つ出せない…。
 
 一体、どういう仕組みなのかは分からないが、今の俺には声一つマトモに出す事が出来ない。身体もまるで鉛の錘が山ほど乗せられているように重く、指先一つでさえ自由にはならないのだ。本当は慰めの言葉を掛けたいのに、目尻の浮かんだ涙をそっとふき取ってあげたいのに、それさえも出来ない。何も出来ないこの状況が何もしてこなかった俺の象徴のようで、無力感に飲み込まれそうになってしまう。
 
 「だからぁ…私はもう…決めたんです…。私がアズさんのモノになるだけじゃなく…アズさんも私のモノにしようって……」
 
 ―それは…誤解だ……!
 
 誰かのモノ、と言う考え方は薄いけれど、誰かに好意を持つのがそれに当たるのであれば、俺はもうテスタロッサさんのモノだ。この城の中にはテスタロッサさんと同じくらい魅力的な魔物娘も多いけれど、彼女たちに好意を抱いた事は一度も無い。時折、暗い通路の奥なんかで激しく交わる魔物娘を見れば流石に勃起するけれど、普段の彼女らを見ても何とも思わないのだ。性的な衝動や欲求を向けるのはテスタロッサさん一人だし、毎夜の開発の成果は十分に出ている、と言えるだろう。
 けれど、それを口に出そうにも俺の舌は俺の思い通りには決して動いてくれない。俺の意思とは無関係に「ハァハァ」と無様な喘ぎ声を上げるだけだ。
 。
 「手始めに…こうして焦らしてあげますねぇ…♪それからぁ…たっぷりと射精させてあげて……アズさんを一番気持ちよくさせてあげられるのは私だけだって…身体に教え込んであげます……♪」
 
 ―あぁ…くっそ…!言葉が出ないのが…こんなに恨めしくなるなんて……っ!
 
 声さえ出せない自分の情けなさに溜息さえ出そうになるが、代わりに出るのは男の気味が悪い喘ぎ声だけだ。しかし、それでもテスタロッサさんは満足らしく、熱い吐息を山ほど漏らしながら、いやらしい笑みを顔に浮かべている。目元まで蕩けて、陶酔しているようにも見えるその表情に俺のムスコは敏感に反応し、ピクピクと身体を揺らせ始めた。
 
 「うふふ…♪アズさんのまたとっても元気になってきましたね…♪じゃあ…そろそろ次に行ってみましょうか…」
 
 ―次って……なん…だ…?
 
 これ以上、焦らされたくは無いのに、さらに激しくされるのか。そんな被虐的な感覚と共にテスタロッサさんを見ると、彼女は俺の足元で膝立ちの姿勢になっているのが見えた。俺の股間に顔を埋めるようにしていた四つん這いの姿勢から、膝だけに体重が掛かるようになってベッドがギシと小さく悲鳴を上げる。しかし、それを一瞬たりとも気にしているような素振りを見せないまま、テスタロッサさんは向日葵色のブラウズの両脇を掴み…そのまま一気に脱ぎ去った。
 
 「ふふ…どうですかぁ…♪胸にはちょっと自信があるんですけれどぉ…♪」
 
 ―正直に言えば辛抱堪らない感じである。
 
 薄い布地を挟んだ先にずっとあって…俺にとっては近くて遠かったソレが今、目の前に晒されている。…それもとんでもなく無防備に。
 
 ―まさか…ノーブラ…だったなんて…。
 
 ブラウスを脱ぎ去った先にあるであろう下着は無く、テスタロッサさんの乳房は純白の肌から桜色の乳首まで全てを俺の前に晒している。片手では支えきれないような大きな膨らみは重力に負けることなく、ピンと張っていて美しい。特に脇から乳房の下へと結ばれているラインは大きな膨らみに似合わないほど細く、思わず手を沿わせてみたい欲求を覚えてしまう。ツンと上を向いた桜色は既に硬くなっていて、テスタロッサさんは身動ぎする度にふるふると揺れている。まるで誘うようなその揺れにむしゃぶりつきたい、と獣欲が湧き上がるのは男として仕方の無い事だろう。
 
 ―ゴクリ…
 
 そう生唾を飲んだのは俺なのか、それとも本能なのか。それさえ分からない位、俺は目の前の大きな膨らみに魅せられていた。
 
 「今からこのお胸でぇ…アズさんのをぎゅうっと挟んであげますねぇ…♪」
 
 ―…え?ってことは…まさか…パイズリって奴…か?
 
 俺だって知識でだけはそれがどんな事なのか知っている。出稼ぎに出かけている青年たちが時たま帰ってくるときに、あっちではどんな性風俗があるのか俺たちに教えてくれるのだから。教会の意向か、性的な本を一冊も置いて無い田舎で育った俺にとっては、それらの下世話な話こそが妄想の種だった。そして…その中には胸でムスコを挟んで気持ち良くしてくれる奉仕の話があったはずである。
 
 ―ま、まさかあの話の体験を俺が出来るなんて…っ!
 
 男衆曰く「まるで天国に居る様な気持ち」と言うパイズリは俺にとって憧れの一つであった。その話を聞いた夜にはまるでサルのようにセンズリを続け、翌日、都会へと帰る男衆にからかわれた事もある。馬鹿みたいな話ではあるが、俺にとってパイズリには悲願にも近い憧れがあったのだ。
 
 「ほぉらぁ…ズプズプって…胸の間に入ってきますよぉ…♪」
 「う…あぁぁ……っ!!」
 
 ―それは確かに天国と言える感覚だった。
 
 モノローグに陥っている間に、ぎゅっと寄せられた胸の谷間にムスコが入り込んでいて、ゾクゾクとした感覚が背筋を這い上がってくる。もちもちとした吸いつくような肌と柔らかい肉に四方八方から締め付けられる感覚は、まるで甘やかされて、腰ごと溶かされるようだ。少しずつ腰に力が入らなくなっていく感覚に心の何処かで恐怖さえ感じるが、それに抗おうと思えないくらいその感覚は魅惑的過ぎる。
 
 ―こ…れは……っ!!
 
 しかも、その感覚は一度だけでなく、ズリズリと奥へと進むたびに強くなっていく。元々、敏感な亀頭だけでなく、血管の浮いた筋までどんどんと敏感になって行き、周囲から乳圧が掛かる度に亀頭からカウパーを漏らしてしまう。そして、そのカウパーを潤滑油にして、テスタロッサさんの胸はどんどんとムスコを飲み込んでいくのだ。
 
 ―そして…飲み込まれていく部分がどんどんと敏感になっていって…っ!!
 
 それはまるで無限に続く快感のループのようだ。俺が感じる事によってカウパーが漏れ出て、そしてそれにより乳圧を直接的に快感として受け止められる。完全に根元までムスコが飲み込まれ真っ赤に膨れ上がった亀頭が彼女の巨乳から飛び出た頃には腰が抜けてしまい、俺は脚を震わせることさえ出来なくなっていた。
 
 「アズさんってば…挿入しただけなのにこんなにピクピクしちゃって…前走りで私の谷間べとべとになっちゃいましたぁ…♪」
 
 テスタロッサさんのからかうような言葉に否定の言葉を思い描く余裕すら今の俺には無い。こうして挿入が一段落着いても、彼女が小さく身じろぎするだけで胸がにゅるにゅると擦れあって、声を上げそうなくらい感じてしまうのだから。ましてや、テスタロッサさんの言っていることは紛れも無く事実だ。見える分だけでも透明な粘液が谷間に溜まって、テラテラと艶めかしく光っている。これではムスコの通ってきた谷間はもっと酷い事になっているだろう。
 
 ―でも…これは…かなり……。
 
 自分の先走り液で、好きな人の胸を汚している、と言う光景に倒錯感を伴った痛みを感じるのは確かだ。けれど、その一方でセックスアピールの塊のような巨胸が俺のカウパーで穢れて、誘うような艶めかしさを見せ付けている光景に射精してしまいそうな興奮を覚えてしまう。
 
 「あ…っ♪また大きくなりましたよぉ…♪…挿入しただけなのにもう射精したくなっちゃったんですか…ぁ♪」
 
 ―仕方無い……だろう…!?
 
 実際、さっきの愛撫だけで二回も射精を禁じられて一杯一杯だったのだ。精管で解放の時を今か今かと待つ精液は未だ健在だし、満足のいく射精を味わえなかった本能は今度こそ、とばかりに牙を研いでいる。その上、興奮の抑え切れない敏感なムスコを、むっちりとした胸の間でたっぷりと甘やかされてすぐさま限界を迎えてしまうだろう。
 
 「でも…ダぁメ…♪射精するのはいけませんよ…♪」
 
 ―そんな……!?
 
 まるで死刑宣告にも等しいその言葉に俺の理性も本能も絶望に染まった。…だって、そうだろう。腰が丸ごと蕩けるような天国の中にあって、一番、気持ち良い事が決して味わえないのだから。どんどんと高まる欲求が行き場を失って、ムスコの中で暴れまわるのだけでも辛いのに、それがこれ以上無く気持ち良い快感の中ならばさらに跳ね上がる。その苦しみは天国を一点、地獄へと変えてもおかしくはない。
 
 「ふふふ…♪じゃあ…今から本格的にぃ…胸の間でズリズリしてあげますねぇ♪」
 「あぁっああああっ」
 
 そうして始まった奉仕は俺が思っていた以上に気持ち良いモノだった。ただ、挿入していただけのさっきとは違い、左右の胸で別々に上下に扱かれる感覚は砕けた腰を痙攣させるほどの快感を与えてくる。左が下がれば、右が上がり…右が下がれば、左が上がる。そんな対称的な動きですべすべでむっちりした胸がムスコに吸い付いてくるのだ。すぐさま我慢のゲージは振り切れ、射精へとひた走る。
 
 「はぁい♪ストップでーす…♪」
 
 けれど、その射精が起こる寸前、サッとテスタロッサさんの胸が離れて根元をぎゅっと握られてしまう。さっきよりも激しい快感に吹き出そうになった精液でも、やはりテスタロッサさんの手を突破する事はできず、数秒ほど抵抗しただけで…結局、不完全な射精のまま終わった。射精したいのに射精できないその苦しみがまた俺の胸に圧し掛かり、俺の思考を削り取っていく。
 そしてテスタロッサさんはそんな俺にはお構いなしに射精の衝動が一段落着くとまた胸の間で俺のムスコを甘えさせ…いや、これ以上無い甘くて淫らな拷問を始めるのだ。
 
 「まだですよぉ…まぁだまぁだ…♪我慢して我慢して我慢して…それから私がたぁっぷり搾り取ってあげるんですからぁ…♪」
 
 ―もう…許して…!お、俺は…そんなつもりじゃ……っ!!!
 
 必死で許しを請おうとする俺の声もテスタロッサさんには届かない。そもそも舌さえ自分の意思で動かせない俺に声なんて出せないのだから。俺の口から漏れ出るのは苦悶の色を強くした呻き声と、相変わらず喘ぎ声のような吐息だけだ。
 けれど、そんな反応だけでも俺の射精の瞬間はしっかりと抑えているのか、昂ぶる衝動の寸前で、テスタロッサさんはすっと動きを止めてしまう。射精寸前の高まる前にぱっと離されてしまっては、根元を押さえられる前に射精さえ出来ない。その苦しみは…きっと経験した事がある人間にしか分からないだろう。まるで目の前にご馳走が見えるのに、どれだけ手を伸ばしても食べられず欲求不満ばかりが溜まっていく感覚は、大の男が泣き出しそうになるのに十分すぎるモノだ。
 
 ―でも…今の俺には…泣き出す事さえ出来なくて…。
 
 心の中では泣き叫んで暴れるほど苦しくて不満ばかりが溜まっていくのに、それをストレートに表に出す事が出来ない。無論、俺の身体自身もまた快感を求めるように激しく反応しているが、それは決して俺が望んでいるモノとは一致していないのだ。それがまた別種の欲求不満として俺の中に溜まっていく。
 
 「うふふ…さっきから亀頭真っ赤になっちゃってますよぉ…♪破裂しちゃいそうだから…舐めてあげますねぇ♪」
 
 ―や、やめ……っ!!!!
 
 そして、そんな風にギリギリの俺をさらに追い詰めようとテスタロッサさんはそっと亀頭を舐め始める。ゆっくりと…白いものが混じり始めたカウパーを舐め取るように。一舐め毎に目を閉じて、先走りの味を楽しむかのような様子は普通であれば強い興奮を覚える光景であったかもしれない。けれど、今の俺にとってはどうしようも出来ない無力感と欲求不満を助長するモノでしかなかった。
 
 ―あぁぁ…っ!も、もっと…もっと舐めて欲しい……っ!
 
 純白の肌とコントラストになっている真っ赤な舌で、そっと撫でる様な舐め方では、敏感になった亀頭と言えども射精できるほどではない。ましてや左右から絞られるような胸の圧力も、舐め方に合わせてじわじわと弱められている。いっそのこと萎えてくれれば楽なのに、注ぎ込まれる魅惑的な感覚にソレさえも出来ない。じわじわと流し込まれるような快感で俺の興奮は完全に制御されていた。
 
 ―も…もう…何でもするから射精させてくれ…っ!!!
 
 心の中でそう叫びだすくらい、俺の心は折れてしまっていた。もし、一生奴隷になる事と引き換えであっても、今、この瞬間に射精する快感を選んだだろう。けれど、俺の事をまだ寝ていると思っているテスタロッサさんからは赦しの言葉は無く、無慈悲に甘くて切ない快楽を注ぎ込まれ続ける。
 
 「ちゅ…♪ぴちゃ…♪…ふふ……こうして胸の間から出てるオチンチン可愛いです…♪」
 
 もはや限界に近い俺とは対照的にテスタロッサさんはまだまだ楽しむつもりのようだ。今もこうしてやわやわとした感覚でムスコを扱きつつ、谷間から突き出した赤い亀頭をペロペロと舐めている。時折、ドロリとした唾液を落として、潤滑油を切らさないようにするのも忘れない。しかし、それだけ快感を与えるのに熱心であっても、最後の一線だけは決して譲ってはくれないのだ。
 
 「ふふ…♪とってもパンパン…♪もう限界みたいですねぇ…♪」
 
 蕩けた顔に何処か満足げな笑みを浮かべてながら、テスタロッサさんはそっと亀頭から口を離した。自然、俺を今まで苦しめていた焦らすような快感も途切れてしまう。後に残されるのはふわふわと甘やかされているような蕩ける快感だが…そちらの方も今にも途切れそうなくらい弱くなっていた。あまりにも微弱な快感に流石に萎えるかと思ったが、何度も焦らされて欲求不満を溜め込んでいるムスコは未だ天を突き、萎える気配を一向に見せてはくれない。
 
 「じゃあ…ラストスパート…しましょうか♪」
 
 ―うああああああっっな、なん…だ…!?
 
 その言葉と同時に始まった快感に俺の胸中は一瞬、真っ白に染まった。今まで興奮を逃がさない程度に与えられてきた快感が一気に膨れ上がり、俺の思考を飲み込んでいっている。あまりにも強い快楽に目を閉じそうになるのを必死で堪えて、下を見ると…そこには大きな胸をぴったりと合わせて、胸全部でムスコを扱いているテスタロッサさんの姿があった。
 
 「いっちにぃ…いっちにぃ…♪…ほぉら…ぐりぐりもしちゃいますよぉ♪」
 「くぁあああっ……っ」
 
 最初に感じたあの独特の挿入感と、そしてそこから引き出される快感。既に潤滑油に溢れた谷間に扱かれるのは、まるで擬似的なセックスのようだ。さらに、時折、アクセントのように胸の谷間で亀頭を弄ぶのだから堪らない。溜まったカウパーがじゅくじゅくと嬌声をあげるまで扱きあげられるのだから。そして、それらの快感は今すぐ射精しそうなレベルを遥かに超えている。しかし、それがまた新しい悩みを俺に齎していた。
 
 ―き…気持ち良すぎて……っ!!で、射精ない……っ!!
 
 遠慮なく与えられ始めた快楽に身体がついていかないのか、快感だけが膨れ上がって射精の瞬間が訪れない。身体も理性も「射精したい」とそれだけの事を考えているのに、どうしてかその瞬間が来ないのだ。一瞬、余りにも焦らされすぎた所為で俺の身体は壊れてしまったのか、と不安になったが、その不安さえパイズリに与えられる快楽に流されていく。
 
 「ふふふ…もう私の胸の中、アズさんのえっちなお汁でグチョグチョですよ…♪こんなに一杯になるまでドロドロにしたんですから…きっと射精も気持ち良いんでしょうねぇ…♪」
 
 囁くようなテスタロッサさんのその言葉が、今の俺には無防備に突き刺さる。だって、それは本当に心の底から俺が望んでいる事なのだ。この天国のような地獄から抜け出し、テスタロッサさんの胸どころか顔までドロドロに俺の精液で穢して、ずっとずっと焦らされ続けている射精の感覚と好きな人を自分色に染め上げる倒錯感と支配欲の充足を感じたいのだ。けれど、その瞬間が来ない。テスタロッサさんが言う通りとっても気持ち良い筈のその瞬間が、来ない…来ない…来ない…来ないいいいっ……!!!
 
 「もう本当辛そう…♪……じゃあ…トドメをさして上げますね…♪」
 
 思考さえ崩れて行くのを知った訳ではないだろうけれど、テスタロッサさんはそっと手を緩めて、ずりゅっ♪と淫らな音を立てるくらい激しく胸を根元まで下ろした。それだけで、普段であれば首を曲げて堪えようとしてもまだ足りない程の快感が湧き上がっているのに、どうしても射精には結びつかない。テスタロッサさんの『トドメ』でも射精するに至らなかった事実に胸の奥から絶望が吹き上げてくるのを感じた瞬間、俺の亀頭にそっと何かが触れた。
 
 「ふぅぅぅぅ…♪」
 
 ―それは…優しい。とても優しい吐息だった。
 
 普段であれば触れても気づかないかもしれないくらい優しくて小さな吐息。敏感になって痛々しいくらい真っ赤に腫れている亀頭を撫でる様に通り過ぎるだけの小さな快感。けれど、それが俺の亀頭に触れた瞬間、俺の頭の中でブツッと何かが切れて、寒いものがドクドクと足元から湧き上がってくる。あまりにも冷たくて…恐怖さえ感じた瞬間、それは例えようもない熱さへと変わって、一気に射精の衝動に火をつけた。
 
 ―あぁあああああっ!熱い……熱いいいいっ!!
 
 ようやく訪れた解放の瞬間に、全身の肌が粟立つように感じる。背筋には破壊的な威力さえ伴った快楽が駆け巡り、自由になる足はガクガクと揺れていた。同時に、あまりにも強すぎる快楽に堪える為か、首を前倒しにして、脂汗の浮いた手がぎゅっとシーツを握り締めている。しかし、それら全てに共通しているのは全身で来るべき時を悦ぼうとしている事だろう。ようやく来る射精に対する歓喜が全身で渦巻いているのだから。
 そして、俺の理性は…その歓喜と快楽が結びついた奔流に押し流される瞬間、精液が凄まじい勢いで精管へと殺到していくのを感じていた。
 
 ―射精来る………!…射精るっ!!!射精る!!射精るぅっ!!!
 
 「…でも、ダぁメ………♪」
 
 精管からチンコへと登りつめる瞬間、もっとも期待が高まり、快感が跳ね上がる寸前に…またもぎゅっと根元を握られて、通り道を塞がれてしまう。ようやく開放のときが来るものだと思っていた精子が、行き場を失ってぐるぐると俺の精管で暴れだし弾けるような熱を生み出す。胸が詰まりそうなほどの切なさと苦しさが、早く射精させろと全身に訴えかけるが、俺の身体にはテスタロッサさんに抵抗できるような力は無い。
 
 ―ああああっ…そんな…そんなあああっ……っ!
 
 てっきり今度こそ射精させてもらえるのだと、今まで味わった事がないような最高の瞬間を味わえるのだと思っていたのに、またもお預けを喰らった俺の思考はドロドロと別のモノへと変化していく。元々、射精させてもらえるのであれば何でもする、と考えていたモノが、より深く、本質的に俺の中へと入り込んで来るのだ。まるで全身に染み込む様に、それは広がり、俺の身体を別の何かに変えていくような錯覚さえ覚える。
 
 ―けど…それでも…射精ぃぃぃッ!射精したいいいいいっ!!!
 
 魂を捧げろと言われても、命を差し出せと言われても、一生奴隷として扱われたとしても、今、この瞬間に射精させて貰えるのであれば、どんな責め苦にだって耐えられる。一生傍にいろ、と言われれば喜んでそうする。テスタロッサさん以外の女を見るなと言われれば、この部屋から二度と出なくたって良い。不安であれば首輪だって、手錠だって幾らでも着けてくれて構わない。でも、その代わりに…射精を…この苦しみからもう俺を解放して欲しい……っ!
 
 「ふふふ…♪とっても素敵な顔になりましたねぇ…♪…とっても可愛らしい顔ですよぉ…♪…でも、可哀想ですから…意地悪はそろそろ止めにしておきましょう…♪」
 
 言いながらテスタロッサさんはそっと俺の股間から離れて膝立ちになる。根元を痛いくらいに押さえつけてきた手も同時に遠ざかるが、既に衝動が収まってしまった俺のムスコからは待ち望んだ精液は出ない。まるで泣いているかのように透明な先走りをドロドロと漏らすだけで、本命の精液は一滴たりとも顔を出す事は無かった。
 
 「じゃあ…一番エッチで気持ち良い事…しましょうか…♪」
 
 ―な、なんでもいい…っ!射精させてもらえるなら…なんだって……っ!!
 
 もうそんな事しか考えられない俺の思考を読んだ訳ではないだろう。けれど、テスタロッサさんはその顔に満足そうな――まるで獲物を完全に捕らえ、これからじっくりと味わう寸前の獣のような笑みを浮かべて、そっとチェック柄のフレアスカートの縁に両手を掛けた。そのまますっと両手を寄せるような動作をすると、ホックが外れたのか、スカートはパサリとベッドの上に零れ落ちていく。
 
 ―そして…俺の目の前にはテスタロッサさんの裸体が完全に晒されていて…っ!
 
 それは…とても『完成』されていた。元々、服の上からでもスタイルが良いとは思っていたが…腰のラインから、足のラインまで…どれも無駄な贅肉一つ無く、形容しがたいほど美しい。しかし、同時にむしゃぶりつきたくなるような女性的な柔らかさを伴っているのだ。感嘆の息が漏れ出そうになる程美しい線を引きながら、これほど女性としても美しい肢体はそう無いだろう。女性の裸体なんて殆ど見た事のない童貞の俺がつい思ってしまうくらい、女性としても芸術品としても完成された肢体が、今、俺の目の前にある。
 
 ―しかも…一番、大事な部分を隠す下着も無く…薄草のような恥毛を見せ付けるようにして……。
 
 魅力的な女性の…もっとも魅力的であろう部分につい俺の目は引き寄せられてしまう。疎らにだけ毛が生えているそこは、一筋の線が走っているだけに見える。芸術品めいた美しさも持つ彼女らしい性器だが…よく見るとそこからは透明な粘液が糸を引いてベッドへと垂れていた。この状況にテスタロッサさんも興奮している…その何よりの証拠に思わず生唾を飲み込んだ瞬間、彼女の身体にも汗が滲んでいるのにようやく気付く。
 
 「うふふ…♪…私も…とっても我慢してたんですからねぇ…♪…目の前であんなに感じられたら…私だって…女の子の部分疼いちゃいますよぉ…♪」
 
 無論、気持ち良くして来たのはテスタロッサさんではあるが、それを認識する余裕は俺には無い。目の前に極上のメスの身体がある事に思考の全てを奪われて、その膣内で射精したいと、思う存分、貪りたいと、そんな欲望ばかりなのだから。
 
 「でも…する前に一つだけ約束して欲しいんです…♪」
 
 その言葉と同時にテスタロッサさんは、怒張して腹に着きそうなほど反り返っているムスコの上にそっと腰を置いた。敏感な部位が触れ合うか触れ合わないかの絶妙な距離で腰を離しているが、ぱっくりと開いたオマンコからはドロドロとした熱い粘液が零れ落ちてきている。まるで溶かされるようなその感覚に、俺のムスコは強く興奮し、またピクリとその身を震わせていた。
 
 「もう絶対、私から離れないって…この部屋にずっと居てくれるって…私だけのアズさんで居てくれるって…約束…してくれますか…?」
 
 ―い、幾らでもするっ…!だ、だから…俺を…射精させてくれ…!!!
 
 しかし、心の中でどう叫んでも、俺の身体は今だに自由が利かない。約束に対する合意を示そうにも何も出来ないのだ。快楽に対する反応を示すことは出来ているので身体が麻痺しているわけではないのだろうが…指先一つ自分の意思で動かせない。ただ、ベッドの上で彼女から与えられる無慈悲な快楽を受け付けるだけだ。
 
 ―…って言うか約束って……。
 
 一瞬だけ冷静になった思考が、違和感に気付く。…だって、それは…俺が『起きている』のを知っていなければ出てこない言葉だろう。けれど、今の今までテスタロッサさんが俺が起きていることに気付いていた仕草を見せたことは無い。強いて言うならば、言葉で攻められる事が多かった気がするが…それは最初からだ。
 
 ―…え…じゃあ、もしかして……最初から…気付いていた…?
 
 いや、それだと辻褄が合わない。寝こけている俺を襲ったのであれば、あんなに淫らな言葉は言わないはずだ。だって、より起こすリスクを増やすのだから。今も俺の手は拘束具の一つも無いのだから、もし、起きてしまえば抵抗される可能性もある。…だから、寧ろ気付いていたというよりは多分――。
 
 「…そう。起きているのに気付いていたんじゃなく…私が…この状況を作って…起きるように仕向けたんですよぉ…♪だから…今、アズさんがどんな状態なのか…大体分かります…♪」
 
 言いながらそっと俺の頬に触れる掌は…溶けていきそうな柔らかい熱を持っている反面、何処か冷たいものだった。まるでテスタロッサさんの、手段を選ばない一面を現しているようなその冷たさを…俺はどうしても嫌いにはなれない。寧ろこんな冷たさを俺に見せてくれるくらい、好いてくれていたのかと…何処か胸が暖かい気持ちになってしまう。
 
 ―…あぁ…やばい。末期だ。
 
 さっき冷静になった部分が…ふとそんな事を呟いた。それは…確かにその通りだと思う。こんな事をされて愛情を感じるなんて普通は無いだろう。実際、起き始めの方は俺も引いていたのだから。けれど…紆余曲折あった今の俺にとって、それは愛情の深さを感じさせるものでしかない。
 
 「今は…多分、目蓋くらいしか自由にならないと思います。…だから…約束してくれるなら…私の顔を見てください…♪でも…もし、私の事が嫌いなら…そのまま寝てる振りをしていてくださいね……」
 
 ―そんなもの…答えは一つに決まっている。
 
 嫌いがどうこうなんて部分を聞くまでも無く、今の俺は射精する事とテスタロッサさんの事しか考えられないのだ。そもそも嫌いだなんて、そんな事あるはずがない。寧ろ好きだからこそ、思い悩み、自分なりに自立しようなんてしたのだから。
 
 ―ここで…男見せないでどうするよ…!!
 
 幾分、復活した意思と本能、そして欲望の三つが合わさって、うっすらにしか開かなかった目蓋がゆっくりと開いていく。その動きはまるで芋虫のような遅々としているものだ。元々、どれだけ力を入れても完全には開かなかった目蓋を開こうとしているのだから当然である。けれど、ゆっくりとだが確かに開きつつある視界に、テスタロッサさんの顔が少しずつ映り込み……俺と彼女の視線が交差した。
 
 「…アズさん…大好きですぅ…っ♪」
 
 そして…視線が交差した瞬間、それをずっと待っていたかのように微笑んだテスタロッサさんは…腰を落として揺らし始める。その動きは…まるで彼女の粘液と俺のカウパーを交換するかのような単純なモノだ。けれど、彼女の敏感な部分は、まるでずっと待っていた恋人を抱きしめるように情熱的にムスコに吸い付いてくる。彼女自身のような情熱的で甘い抱擁に俺のムスコは今までに無い熱を持ち始め、射精への階段を上ろうとしていた。
 
 ―けれど…これは…前戯だ…!
 
 テスタロッサさんが腰を下ろしたとは言え、俺のムスコは彼女の陰部に挿入されては居ない。ただ、うっすらと走る筋を押し付けて、粘液を塗りたくるような単純なモノだ。射精への欲求は激しく高まっているが、それでも、俺はここで出すつもりは無い。出すのであれば…やっぱり好きな人の…テスタロッサさんへの膣内でありたいからだ。
 
 「大好きです…大好きですアズさん…っ愛してますぅぅ……っ!!」
 
 ―俺もですよ…!
 
 そう思った瞬間、テスタロッサさんの腰が大きくグラインドする。まるで弓を引き絞るかのような溜めの後…テスタロッサさんの敏感な部分は、俺のムスコを飲み込んだ。
 
 「ひゅうううううふうんっ♪」
 「くっぁあああああああっ……っ!!」
 
 鼻の抜けたようなテスタロッサさんの甘い嬌声と、俺のみっともない叫び声が重なる。聞いているだけで背筋がゾクゾクして、もっと鳴かせたいと思うような声を野朗の叫び声が邪魔していると感じる間もなく、俺は腰から這い上がってくる感覚に染まっていった。
 
 ―あ…熱くて…きつくて…ぐちょぐちょで……っ!!!
 
 まるで風邪でも引いているのではないかとそう思うくらい彼女の膣内は熱かった。けれど、その熱は決して嫌な熱さではない。ムスコの芯まで入り込んで溶かし、甘やかしてくれる魔性の熱なのだ。その熱にチンコが蕩けて取り込まれてしまいそうな錯覚を覚える反面、青筋を立ててより硬くなっているのが分かる。現実とイメージの乖離に悩まされるほど優しいその熱は快楽を受け入れる前準備として俺に襲い掛かってくる。
 次にやってくるのは肉の壁だ。それもただの肉ではなく、男の精を搾り取るために肉襞をたっぷりと身に着けた淫らな。ただのセックスアピールである胸に挟まれるのとは比べ物にならない。男を虜にし、精液を搾り取るための肉襞が四方八方から絡み付いて離さないのだ。さらにそれを助けるように強い粘性を持つ液体がどろどろと奥から溢れてきて、襞の動きが活発になっていく。まだ亀頭が入り口に入り込んだだけなのに、それを美味しそうに嘗め回すかのような襞に射精してしまいそうになってしまう。
 
 ―いや…でも…まだ…!!!
 
 敏感になった本能はそれがまだ快楽の『入り口』である事を告げてくる。今まで焦らされた分、より深く、激しい快楽を求める本能は、こんな所で射精してはいけない、と叫んだ。けれど、その叫びは俺の燃え上がりそうなほど熱くなっている身体の中で、虚しく響いていく。それほど、テスタロッサさんの中は熱く、蕩けて、何より甘美な場所だった。
 
 「ふわぁ…♪アズしゃんのオチンチン……っ♪」
 
 そして、テスタロッサの見せる表情も…また…今にも口の中で溶けそうな飴玉を彷彿とさせるくらい甘いものだった。テスタロッサさんもよっぽど我慢していたのだろう。口の端からテラテラと艶かしく光る唾液が零れ落ちて、形の良い顎を伝って豊満な胸へと降りていっている。口の中からは鮮やかな赤が、まるで快楽を求めるように伸びていて、嬌声も何処か舌足らずに聞こえた。亀頭が女の部分に入り込んだ瞬間から、むわりと咽そうな程のメスのフェロモンが溢れて、真下に居る俺の興奮をさらに燃え上がらせようとしている。俺の上に跨って、嬉しそうに見下ろしてくるその目は、若干焦点がズレていて、何処までも底の無い様な紅に引き込まれるような錯覚さえ覚えてしまうものだった。
 
 ―うぁ…やば…い…っ!!
 
 それら一つ一つは大したものじゃない。恐らく、普段であれば、興奮は助長するであろうが、それだけのモノであろう。けれど、この他にも幾つかのピースと合わさる事で、今、何より明らかに「テスタロッサさんが感じている事」を教えてくれている。俺にとって大好きで、最高で、極上で、究極の女性が感じている姿は、それだけで射精してしまいそうなほど魅力的で、何より美しい。
 
 「あっはぁ…っ♪アズしゃんのオチンチンピクピクしてるううっ♪射精したいんですねっ♪びゅるびゅるって一杯、私の中に一杯注ぎこんでお腹の中まで全部アズさんのモノにしたいんですよねっ♪」
 
 ―そ、そんな事言われたら……っ!!
 
 まるで今すぐそうして欲しいとオネダリするような淫らな声に、きゅっと玉が収縮した。そして同時にドロドロとした熱がムスコの下で蠢き始める。今まで射精したい、とそればかりを考えてきたのに、今更、射精を堪えるなんてどう言う事だ、と言わんばかりのムスコの反抗だ。その熱に最後の砦が溶かされた瞬間、俺の意識は、一瞬、途切れた。
 
 ―うぁああああっ…!で、射精……るうううっ………!!!
 
 意識が飛ぶほどの強く激しい熱は、勿論、すぐさま俺の意識を飲み込んでいく。そして、必死で抑えようとする俺を叩きのめしたその熱は、今度こそ最高の瞬間を迎えるべく、さらに玉袋を収縮させた。一瞬の空白の後、今までに無い勢いで精管へと殺到した精液を遮るものは既に何も無い。破壊的なまでの快感を伴ったそれに背筋が壊れるような錯覚を覚えた瞬間、真っ赤に膨れ上がった俺の亀頭から精液が噴き出した。
 
 ―う…あ…こ…こんな……っ!!!
 
 ようやく訪れた射精に身体中が歓喜したのは少しの間だ。すぐにそれは自分自身を本質から変化させてしまうほどの奔流だと気づいてしまい、心の底から恐怖を感じてしまう。自分を全て飲み込んでいくような、塗りつぶしていくような快楽の奔流は、あまりにも激しく、甘く…もうそれ抜きでは生きていけなくなってしまいそうなくらい危険なモノだった。それに気づいて抗おうとする力も意思も既に俺には残っておらず、魂ごと吸い取られるような快楽の波に押し流されていく。
 
 「ひぁああああああああっ♪精子ぃっ♪アズしゃんの精子来たぁぁぁっ♪」
 
 甘い甘いテスタロッサさんのその声を知覚する暇も無く、俺の腰は絶え間ない快感を伝えてくる。ガクガクと身体中を痙攣させる程の快楽が一度では収まらず、持続的に続いているのだ。自然、視界も真っ白に染まり、何も見えないような状態へと陥る。しかし、それだけ強い快感を与えられても、まだ俺の身体は快楽を求めているのだろう。テスタロッサさんの膣が嬉しそうに痙攣し、キュッと締まって、肉襞も射精を歓迎するようにじゅるじゅると吸い付いてきているのを伝えてくるのだ。
 
 「ふ…ぁぁぁっ♪ま、まだ続いてるぅぅっ♪アズしゃんの射精まだ続いてますううっ♪」
 
 バラバラになりそうな快楽の奔流は、まるで今までの鬱憤を晴らすかのように終わらない。そして、その鬱憤は止まる所を知らないようで、テスタロッサさんの膣内でも暴れ続けている。その度に、テスタロッサさんの膣が締まり、また新しい射精を導いていくのだ。まるで終わりの無いメビウスの輪のような流れの中で俺の思考は完全に白に染まった。
 
 ――あ……っ―
 
 「もう…っ…♪アズしゃん…こんにゃ所で射精したら…ダメじゃないですかぁ…♪」
 
 責めるようなその言葉に俺の意識が戻ってくる。気がつくと俺の射精は収まっていた。アレからどれくらい時間が経っているのか…それさえも分からないが、テスタロッサさんはまだ俺の上で跨っていて…ムスコはまだギンギンのまま、彼女のメスの部分に亀頭を埋めている。恐らく意識が飛んでいたのは数十秒程度なのだろう。しかし、その間に俺を破壊するかのような射精は収まっている。
 
 ―でも……テスタロッサさんはそうじゃないみたいで…。
 
 俺を見下ろす彼女の瞳は欲求不満に溢れていた。そりゃ…これから本番、と言う場面で、入れただけで射精されたのであれば、どんな女性だって欲求不満になるだろう。俺としてはもう限界一杯だったので仕方ないと思う反面、まだ始まったばかりで満足していないテスタロッサさんの気持ちも分かるのだ。
 
 ―そりゃ…誰だって寸止めは辛い。
 
 一度、射精したお陰か、かなり冷静さを取り戻した思考が呟いた。さっきまでは寸止めどころか、焦らしに焦らされていた経験があるだから、良く分かる。こうして強く俺を求めて、悦んでくれているテスタロッサさんを見る限り、彼女もまた焦らす経緯の中でとても我慢していた、と言うのは嘘ではないのだろう。無論、それをしていたのはテスタロッサさんなのだけれど、それは俺にとっては些細な問題だ。
 
 「こんにゃ…浅い所で射精しても子宮には届きませんよぉ…♪これじゃあ…妊娠出来るか微妙じゃないですか…ぁ♪」
 
 ―…え?………え???
 
 孕む気満々のテスタロッサさんの言葉に冷静になってきた思考が一瞬、声を失ってしまう。そりゃ…俺だってテスタロッサさんの事は好きだ。大好きだ。愛してる。けれど、それと妊娠させる云々と言うのは別問題だ。テスタロッサさんの仕事に完全に依存している今の生活スタイルならば、子供を育てる資金的な問題だってあるし、その彼女の仕事的な問題も無視できない。少なくとも現時点での妊娠は問題が山積みなのが現実だ。
 
 「でもぉ…まだ硬いままです…♪…ぷりっぷりの玉袋も…まだまだ精子でパンパンですからぁ…まだまだ射精…出来ますよね……?」
 
 ―けれど…テスタロッサさんはそうは思っていないらしい。
 
 そんな事を言いながら、テスタロッサさんは腰をズルズルと下ろしていった。肉襞の群れの中に亀頭だけでなくカリ首や肉茎までが飲み込まれて、熱烈な歓迎を受けている。特に裏筋辺りは甘美過ぎるほどで、奥へ奥へと誘おうとする襞が裏筋を舐めあげてくるのだ。きっと射精していなかったら、すぐに射精したであろう快楽が再び俺に襲い掛かっている。
 
 ―ちょ…待っ…っ!!!
 
 そんな抵抗できずに進んでいく状況に抗議の声をあげようにも俺の身体はやっぱり自由が利かない。さっきまで射精する気満々だったので自分でも説得力は無いと思うものの今、この状況で子供を作ったとしてもマトモに育てられない、と説得する事さえ出来ないのだ。自然、ずるずると飲み込まれていくだけのムスコに甘い熱が注ぎ込まれて、第二の射精への準備を始めてしまう。
 
 ―あぁ…っ…くっそ……無理だろ……!!!
 
 飲み込まれている部分が増える度に、まるで身体が焼けていくような熱と興奮が鎌首をもたげ始める。さっきの強烈な快感が魂に焼きついて、「またあの感覚を味わいたい」と心の底で望んでいる俺にそれを抑える事はできない。爆発的な射精をして、かなり冷静になったと言えども、ムスコの中にはまだまだ欲求不満に渦巻く精液が残っていて、俺の本能を焚きつけているのだから。
 
 「あはぁ…♪アズしゃんのオチンチンがまだ元気になってきましたぁ…♪挿入れてるだけなのにぃ…女の子の気持ち良い所擦れちゃいますぅ…♪」
 
 ―それは…こっちの台詞ですってば…!!
 
 今までも寝ている間に犯されていた、と言うのは嘘ではないのだろう。少なくともお互いに始めてであれば、こんな風に俺の弱い所全てに襞が絡みつくような…亀頭は沢山の舌で突かれて穿られるような襞が、カリ首には決して逃がさない、と言わんばに絡みつき、肉茎の裏筋は青筋を一本一本丁寧に解すように舐めあげるようにはならない。まるで俺専用に特化したような膣は、それだけ俺とテスタロッサさんが回数をこなしている事を教えてくれる。
 
 ―そして…そんな膣の奥にそろそろ到達する……っ!
 
 もうその殆どを飲み込まれている俺のムスコが、俺の目から見える部分はもう僅かしかない。その残りでテスタロッサさんの最奥までたどり着けるかどうかは経験の無い俺には分からないが…何となく俺のサイズにテスタロッサさんの長さがぴったりな予感…いや、確信があった。
 
 ―だって…こんな…ここまで相性が良いんだから…そりゃ長さくらい一致してもおかしくはない。
 
 根拠が若干破綻しているそんな思考を思い浮かべる俺の目の前で…「じゅぷんっ♪」といやらしい音を立ててムスコの全てが飲み込まれてしまう。その瞬間、予想したとおり、亀頭には柔らかくも厚い壁のようなモノが吸い付いてきた。まるでたっぷりと肉感の伴った唇にフェラされてるような感覚は俺の腰を思わず震わせる。
 
 「ひゃあっ♪お、暴れちゃダメですよおっ♪そ、そこはぁ…女の子の一番、敏感なところなんですからぁっ♪」
 
 抗議するようにテスタロッサさんがそう言うけれど、その割には最奥…いや、ぷりぷりの子宮口は亀頭に吸い付いてくるのを止めない。寧ろもっと激しくして欲しいとオネダリするかのように、周囲の肉襞がぐりぐりと強く押し当てられるのだ。もし、腰が動けば壊れた玩具みたいに彼女を貪っていたであろう程の興奮と熱が最奥から注ぎ込まれている。
 
 「も、もうっ…♪そんなにグリグリしちゃぁ…私も我慢できなくなっちゃいますよぉっ♪」
 
 そう言われても俺自身、身体の震えをコントロールする事は出来ない。そもそも俺の身体は俺の言う事を決して聞こうとはしていないのだから。俺だって反応したくて、しているわけではないのだ。
 
 「もう…っ♪アズしゃんのってば…熱くて逞しい暴れん坊さんなんですからぁ…♪…私も…もう容赦しませんよぉ…っ♪」
 「う……ぉ…っ!」
 
 言いながらテスタロッサさんは俺の腰の上で二つの円を描くようにグラインドし始める。左の円を描いたと思えば、右の円へ。そして右の円を描いたと思えば左の円へ。∞のマークを描くようなその腰の動きに、俺のムスコはテスタロッサさんの膣の中で左右の壁へと押し当てられる。肉襞に亀頭をこすり付けるようなその感覚は、ぽってりとした唇のような子宮口に吸い付かれる感覚とは違い、快楽神経を鑢で擦られているようなゾリゾリとした快感を俺の体に走らせている。同時に膣の入り口がまた強く締まって、子宮の口からドロドロとした熱い粘液が俺の亀頭へと直接降りかかった。
 
 ―うっぁ……!熱い……!!!
 
 それは濃縮に集められた膣の熱さそのものだった。優しくて蕩けそうなその熱を直接味わうのは、ある意味拷問に近い。入り口で味わっただけでもまるで腰を溶かされそうな錯覚さえ覚えたのに、直接浴びれば媚薬を塗りたくられているように感じるのだから。そうして痛いくらいに敏感になっていく亀頭をグチュグチュと淫らな音を立てる肉襞が擦りあげているのだ。必死で射精を堪えようとする俺にとって、それがどれだけ辛い事か…表現するのも難しい。
 
 ―でも…それは…とっても気持ち良いって事なんだが……っ!
 
 「ハァ…ハァ…っ♪あはぁ…♪アズしゃんの素敵なモノがぁ…私の膣の中で一杯になるくらい大きくなってぇ…♪とっても震えてますよぉ…♪」
 
 テスタロッサさんのその言葉通り…俺のムスコはもうギンギンに勃起していて、与えられる快楽をよりもっと深く味わおうと催促するように身を捩じらせている。しかし…それは仕方の無い事だろう。だって、テスタロッサさんの膣肉は既に俺用にカスタマイズされているのだ。その上、媚薬のような愛液まで塗られれば…どうなるかは想像に難くない。
 
 ―だけど…ここまで…なんて…っ!!
 
 情けない話だがついさっき挿入してすぐくらいに射精している。しているが…俺のムスコの玉袋にゆっくりと熱が灯り始め、再びぎゅるぎゅると欲望が渦巻き始めた。それは今すぐ噴火しそうな気配は無いものの、その準備が着々と進み、射精までそう遠くない事を教えてくれる。
 
 ―でも…それはテスタロッサさんもきっと同じ事なんだろう。
 
 「んっ……♪あぁ…♪グリグリ素敵ぃ…♪気持ち良い所擦られるの蕩けそうです……っ♪」
 
 うっとりとした顔が漏らしたその言葉はまるで独り言のようだったが、それが決して嘘でないのが俺にも分かる。子宮口の周りをカサが穿る度に膣肉全体が震えてぎゅっと抱きついてくるのだから。その度に不満げに震えている奥の唇からドロドロとした愛液が漏れ出して、ムスコを蕩けさせている。それは俺自身を快楽へと陥れる甘い罠ではあると同時に、テスタロッサさんが何より感じていると言う証左であった。
 
 「入り口の近くの…ザラザラのスポットもグリグリされてぇ…♪私の襞全部擦り上げてぇ…♪クリトリスまで一緒に触れ合うなんてぇ…っ♪素敵ぃ…っ♪アズしゃんの…ううん…っ私専用のオスチンポ大好きですうううっ♪」
 
 そしてそれの証明のようにテスタロッサさんの顔からはどんどんと理性の色が消えていく。その様はまるで一人の女性が、一匹のメスへと堕ちていっているかのようで、とても激しく俺の胸を打った。俺の大好きな人が、とても優しく穏やかな雰囲気を持ち美しい女性が、俺専用のメスへと堕ちていく様を見せられているのだから当然だろう。
 
 「アズしゃんはどうですかぁぁっ♪私のメスマンコ気持ち良いですかっ♪アズしゃん専用の…っ貴方しか知らなくて…身も心も捧げたメスのオマンコなんですううっ♪」
 
 しかし、そんな風に冷静に見れる余裕さえ、胸の奥に直接突き刺さるような淫らな言葉で吹き飛んでいく。独占欲と男の欲望とオスの本能を同時に刺激する言葉は、意識に焼き付くような熱い熱と興奮を感じさせるのだ。無論、メス堕ちしていくテスタロッサさんから目が離せなくなり、どんどんと男の本能が――この極上のメスを孕ませたいと言う欲望が鎌首をもたげ始めている。そして、そんな俺の目の前で、彼女の顔からは完全に理性が消えて、獣欲だけが残った。
 
 「一杯…一杯、感じてくださいねっ♪沢山射精して…私の子宮一杯にしてくださいねっ♪二人の可愛い子供を孕ませてくださいねぇっ♪その為なら私…なんだってしますからぁっ♪」
 「くっ……くぁ………ぁ」
 
 その言葉の証明のようにテスタロッサさんの腰がゆっくりと浮かび上がっていく。まるで別離を認めたくないような肉襞が今まで以上に激しく抱きついてくるものの、その動きを止める事は出来ない。思わず呻き声をあげてしまうほどの情熱的さを感じる中、カリ首近くまでムスコが引き抜かれた。今まで熱い情欲の渦のような膣中に居た所為か、何処か肌寒い感覚を覚えるが、これだけは離さないと言わんばかりに亀頭をきつく銜え込む膣口に塗りつぶされてしまう。
 
 「こうして…アズしゃんのオチンポ全部擦りあげるのだってやってあげますからぁっ♪」
 
 ―ずりゅんっ♪
 
 その言葉の瞬間、テスタロッサさんの腰が一気に落ちた。まるで重力に引かれたかのような容赦のないそれによって、ムスコが今までにない速度で子宮口へと向かっていく。蠢いてオスを…いや、俺を求める肉襞を無理矢理掻き分けて進むようなその感覚に俺の身体は歯を食いしばった。けれど、そんなもので快楽が抑えられるはずもなく、脳髄の辺りにゾクゾクとした快感が突き刺さる。しかし、それは一本や二本というレベルではなく、進むたびにどんどんと増えていくのだ。子宮口へぶつかる寸前にはゾクゾクが最高潮へと達していて、思考が染まっていく。
 
 ―そして…最奥。
 
 衝撃は思ったよりも小さいものだった。柔らかい子宮口がしっかりと俺の暴れん坊を受け止めてくれた所為だろう。しかし、まるで愛しい人にするような情熱的かつ優しいその抱擁は俺の脳髄に突き刺さった快楽を弾けさせる合図でもあった。同時にぎゅっと締まる膣からの快感とも結びつき、俺の身体の背筋が浮き上がり後頭部をベッドへと押し付けてしまう。それだけでもさっきの射精を彷彿とさせるほどの快楽だったが、ソレで終わらない。身体中が思わず震えるほどの快感を感じた瞬間、「ぐりゅんっ♪」と吸い付く腰がグラインドし、まるで浮き上がりそうなほど快楽が跳ね上がっていく。
 
 ―う…ぁぁぁあああっ……!!
 
 その快感を…さっきの快楽が意識の奥底に刻み込まれた俺には耐えられない。思考もバラバラに解けて、再び射精する事一色に染まり始める。それに抵抗しようにも理性は流し込まれる快楽に溺れているようでまるで役には立たない。
 そして、そんな俺に構わず、テスタロッサさんの腰が再び持ち上がる。まるで俺の理性を刈り取るギロチンのようなそれに恐怖を感じる反面、俺の心は殆どさっきの快楽に染まりきっていた。
 
 「ハァ…ふっ…あぁぁぁっ♪どうですかぁっ♪イきそうですかぁっ♪私は…もうイってますよぉ…♪アズしゃんのオチンポでアクメさせられまくってますううっ♪」
 
 その言葉を潤滑油にするように、テスタロッサさんの腰はどんどんと激しくなる。最初は引き抜く感覚を楽しむようなゆっくりしたものだったのが、まるで腰ごと引き上げるような強いものへと。余りの激しさにさっき注ぎ込んだ精液が白く泡立って結合部から零れ落ちるほどだ。豊満な胸が俺の視界でふるふると振るえ、まるで誘われているような錯覚さえ覚えてしまう。
 
 ―で、でも…イく訳には…っ!!
 
 少しだけ残った理性が我慢しようとするが、それはまるで無駄な抵抗だった。快楽に染まりきった俺の殆どはテスタロッサさんの一番大事なメスの部分から自分のモノにして、俺の子供を孕んでくれる事を望んでいるのだから。寧ろ、どの道、抵抗しようにも抵抗できないのだから、と言い訳めいた思考が最後の理性を削り取っていっている。
 
 「あはああぁっ♪アクメ良いっ♪イくの最高ですうううっ♪子宮の奥にごつんってぇされる度にイッちゃってるのおおっ♪」
 
 ―なんて……気持ち良さそうなんだろう…っ!俺も…あんな風に気持ち良くなりたい…っ!!
 
 そして、そんな俺の理性に止めを刺したのは…テスタロッサさんの感じている姿だった。涎が落ちるのにも構わず、快楽に蕩けきっているのに情欲を決して満足させていないその姿は、俺にとってはこれ以上なく美しく、魅力的なモノである。しかし、同時に本能に何より従属し、悦楽を貪るような姿に憧れにも近い感情を抱かせられてしまう。思わず手を伸ばしたくなるような魅惑的な姿と自分の感情に引きずられるようにして、射精を堪えようとする気持ちが完全に俺の中から消えてしまった。
 
 ―あぁぁぁっ!!!イきたい…っ!射精したい…っ!種付けしたい…っ!!!
 
 そして、後に残るのはオスの本能に支配された考えだけだ。無論、それに射精を堪えるなんて思考は一片たりとも存在していない。寧ろより強く、激しい射精を一心不乱に望んでいる。そして、その為に脳へと素通りしてくる快楽を従順に受け取り、ムスコの大きさをさらに膨れ上がらせた。
 
 「やあああっ♪ま、また大ききゅ……っ♪イくぅっ♪ゾリゾリされてアクメ来るぅうううっ♪大きいイくのがくりゅうううっ♪」
 
 まるで壊れかけた玩具のように身体をビクビクと震わせながら、ぎゅううっと今までにない強さで膣内が抱きついてきた。しかし、それでも物足りないのか、肉襞一つ一つが痙攣しながら激しくムスコを嘗め回してくる。さらには、絶頂していてもまだ物足りないのか、腰を止める事無く動かしているのだ。
 
 ―も、もう射精る…!!イく……っ!!!!
 
 その快楽の波に俺の本能が耐えられるはずがない。玉袋がまたせり上がって、精液が再び装填される。解放の時を理性に邪魔され続けた精液はその時を今か今かと待ち望んでいた。その精液がより激しく強く奥へと注がれるようにムスコの膨張が最高潮へとなり、敏感なカリが肉襞に強く引っかかり、背筋に強い電流を流す。電流のようにも感じるその快感が、頭の中へと入り込み、射精のスイッチを押そうとした瞬間、俺の口と胸に何か柔らかいものが押し当たられた。
 
 ―こ…れは……?
 
 射精一色になって居たはずの思考が、一瞬だけ冷静さを取り戻し、身体の熱が引いていく。射精へのカウントダウンも凍結し、動かなくなってしまう。また焦らされるようなその感覚に身体中が悲鳴のような抗議を上げるが…今の俺にはそれに構っている余裕はなかった。
 
 ―テスタロッサ…さん…?
 
 何時の間にか俺の目の前にテスタロッサさんの顔があった。それも…ただの顔じゃない。欲情に潤んで男を誘うような瞳を目蓋の裏に隠して、そっと唇を突き出すような形で固まっている顔だ。無防備すぎるその顔に胸を鷲掴みにされるのを感じながら、俺は押し当てられている柔らかい二つの感覚…唇と胸に意識を飛ばす。
 
 ―柔らかい…。
 
 その二つ…いや正確に言えば三つはとても柔らかかった。俺の胸板に押し当てられている双丘は…パイズリの時にも感じたが、とても甘く、吸い付いてくるような感覚を与えてくる。同時に硬く勃起したピンク色の乳首も胸板に擦れて艶かしい。豊満な胸がぎゅっと押しつぶされている姿とその感覚の相乗効果は頭の裏側に強い熱を灯そうとしていた。
 しかし、同時に俺の口に押し当てられる柔らかい感覚がそれを遮る。…いや、遮っているわけではないのだろう。ただ…少し突然の事過ぎて理解が出来ず、思考と身体のリンクが完全に途切れてしまったのだから。
 
 ―これ…き、キスされ…て…!
 
 俺の心の中の純朴な部分までがそう認識した瞬間、身体中が燃え上がる。柔らかく…ずっと味わって居たいくらい艶やかなその感覚はまるで油のように俺の熱を強くしていった。さっきとは比べ物にならない程の熱が射精の衝動へと変わる瞬間、俺の唇を割り込んでそっとテスタロッサさんの舌が入り込んでくる。
 
 ―う…ぁ…熱くて…ぬるぬるしてる……!
 
 それはまるで別の生き物のようだった。形容しがたい柔らかさと熱さを持つ器官が、俺の口の中を無遠慮に這い回り蹂躙していく。さらに、それだけでは飽き足らないかのように芳醇な香りがして上品な甘さのする…まるで紅茶のような唾液がマーキングするかのように流し込まれていくのだ。抵抗する事も応える事もできない状況での一方的なキスは普通であれば嫌悪すべきものなのかもしれない。しかし、俺の身体はそれをさらに強い興奮へと変換し、再び最奥で子宮が吸い付いてきたのと合わさって、ムスコを爆発させる最後のキッカケとなった。
 
 ―射精るうううううううううっ!!!!
 
 「んんっ♪んっひゅぅうううっ……ぅ♪ぢゅるうぅぅっ………っ!!」
 
 脳髄が焼きつくような熱が弾けた、と思った瞬間、俺のチンコから激しい熱が飛び出てくる。真っ白に染まった視界と思考の中でもはっきりと感じられるほどのその熱はテスタロッサさんの子宮へと注ぎ込まれていった。ようやく射精できた快感と、極上のメスを種付けできたオスの達成感、そしてテスタロッサさんへの愛しさが俺の胸の中で混じり合い、強い満足感へと変わっていく。
 しかし、テスタロッサさんはその満足感へと浸らせる余裕さえ与えてくれない。膣内は激しく収縮し、一滴残らず精液を搾り取るように肉襞をさらに強く擦り合わせてくる。膣の最奥に位置する敏感な口はさっきから鈴口に吸い付いて、まるでお掃除フェラされているようだ。さらに俺の口でも、情熱的なキスが終わっておらず、まるで俺の唾液を全て舐め取ろうとしているかのように激しく強く舌が絡みつき、吸われている。
 
 ―やっば……これ……は……っ!!
 
 それらは全て合わせても意識が飛ぶような強いモノではない。既に一度、射精しているのもあるだろうが、アレだけ焦らされた後の射精に勝てるモノでは決して無いのだ。しかし、今、俺が浸りたくても浸れない満足感がその落差を埋めて余りある。身体中が蕩けて、指一本動かす力さえ残っていない程の悦楽と満足感は、さっきの射精とはまた違う意味で俺の脳へと刻み込まれた。
 
 「あ…はぁ……♪たぁっぷり…出ましたねぇ……♪」
 
 ちゅっ♪と名残惜しげな音と共に、テスタロッサさんに俺の唇が解放されたのは射精が終わってからかなり時間が経ってからだった。どれだけ俺の唇に熱中していたのか、蕩けた目で俺を見ながら、微笑む姿はとても満足そうである。少なくとも不満げな様子は見当たらない。どうやら俺はテスタロッサさんを満足させられたらしい、と胸を撫で下ろそうとしたのも束の間。彼女は再び腰を上下へと振り始めた。
 
 ―え…っ!ちょ…な、なんで…!?
 
 もうこれで終わりだと思っていたのに、再び始まった性交に俺の思考は混乱し始める。しかし、そんな俺の混乱を余所に、テスタロッサさんの腰は止まらない。寧ろこれからが本番だ、と言わんばかりにより激しく強いものになっていく。
 
 「うふふ…♪アズさんのオスチンポまだまだ硬いままですぅ…♪…もっともっと…処理してあげませんとぉ…♪」
 
 ―そ、それは…違…っ!!!
 
 確かに射精の後もまだまだ萎える気配を見せなかったが、それはテスタロッサさんの子宮がじゅるじゅると精液を吸い上げ続けていたからだ。もう俺の中の性欲は下火になっているし、精子だって殆ど残っていない。さっきの射精分の精子が足りなくなり、急所が痛いくらいなのだから。
 しかし、それでも俺のムスコは与えられる快楽に嬉しそうに身を膨らませている。その現金な姿に自分の事ながら頭が痛くなるが、ムスコを止める術は俺には無い。俺に出来るのは精々、この交わりが早めに終わる事を祈る事くらいだ。
 
 「これが終わったら…次も…その次も…焦らした分…一杯しましょうねぇ…♪」
 
 ―…あぁ、俺、死ぬかもなこれ……。
 
 満足した、なんて嘘にも程がある。今、俺の顔の目の前で首に抱きつきながらそう囁くテスタロッサさんの顔は、まだまだメスそのものだった。そして、俺の心も身体も完全に虜にして二度と離れられないようにしたそのメスはまだまだ好色に俺を求め、『御奉仕』してくれている。その裏には…まだまだ収まらない彼女の情欲があるのはまず間違いないだろう。
 
 「うふふ…♪またアズさんの大きくなってきましたよぉ…♪…まだまだたっぷり…性欲を処理してあげますから安心してくださいねぇ…♪」
 
 しかし、愛しい女性が情欲の裏返しであっても、必死に『奉仕』しようとしている姿を見て心踊らない男が居るだろうか。少なくとも、俺はそこまで冷血漢ではない。寧ろ、乱れに乱れる彼女の姿に最後まで付き合い、満足させてあげたいと思ってしまう。
 
 ―持ってくれよ…俺の身体……。
 
 そんな切実な想いを抱いた俺の思考はまた快楽の坩堝へと飲み込まれ、射精を強請るモノへと変わっていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 〜おまけ〜
 
 ―…流石にちょっとやりすぎたかもしれません。
 
 ベッドの上に力なく横たわり、汗と愛液と涎でべたべたになりながら、意識を完全に失っているアズさんの姿を見て、ようやく私はそんな考えを抱きました。交歓を初めて…ほぼ半日…その間、殆ど繋がりっぱなしだったのですから。インキュバス化しているならともかく、普通の人間でこれだけの長時間、魔物娘との交歓を繰り返すのは中々に辛い事だったでしょう。
 
 ―せめて…もう少し抑えればよかった…。
 
 そうは思うものの一気にアズさんを落とす為に、眠らせてから首を外した私に加減などは難しい事なのでした。性質の悪い言い訳のようですが…デュラハンとはそういう種族なのです。自分でも頭を悩ませる特性ですが…どうしてもこれを克服する事はできません。
 
 ―にしても…私の本性があんなにも淫らなものだったなんて……。
 
 デュラハンという種族は首を外す事で今まで抑えられてきた理性や本能が暴走し、好いた男性が居ればその精を求める習性があります。つまり…首を外した姿こそが本当の私たちも同然と言う事で…それは…まぁ…あんな風にアズさんを求め、淫語を口走る事に腰砕けになりそうなくらい感じちゃう淫らな姿が…私の本当の姿と言う事に……。
 
 ―…た、確かに…い、今までも寝ているアズさんと一杯エッチな事はしましたけれど……!
 
 しかし…それはあくまでも性欲処理なのです。男性は定期的に性欲を処理しないと辛いと聞きますし、お客様であるアズさんの性欲を処理するのも私の仕事なのですから。…まぁ、その…私が戦場へ出かけている間に泥棒n…もとい他の魔物娘に奪われないように精液を搾り取ったり、アズさんとの初体験まで置いておくはずの処女まで思わず破っちゃいましたけれど…それでもアズさんの性欲処理が第一です。それは決して変わりません!!
 
 ―…にしても…今日…いえ…昨日の事は本当に肝が冷えました。
 
 教会側との小競り合いが早めに終わり、予定より早く帰還できた事に喜んで部屋に帰ってもアズさんの姿が無かっただけではなく、アズさんが部屋を出る…と言い出すだなんて…。毎晩、性欲処理したり、生活に困らないようにお金だって渡していたのに…。思わず泥棒ねkいえ、他の魔物娘に奪われてしまったのかと戦々恐々していましたが…どうやらそんな事は無かった様でとりあえず一安心です。
 
 ―でも…アズさんは自分の魅力に全然気づいていないのだから困り者です。
 
 そりゃ、確かにアズさんは一般市民です。力が強いわけではなく、意思だって初志貫徹できるほど硬いものじゃありません。特に魔術の技能を持っているわけでもありませんし、顔だって一般的な基準に当てはめれば別段優れているわけではないでしょう。無論、私にとっては勿論、最高に格好良い男性ですけれど。
 
 ―でも…それらを補って余りあるくらい…アズさんは優しくて…そして可愛いのです。
 
 初めて私とアズさんが出会ったのは戦場で…ある娘がドジを踏んで殺されそうになっていた時でした。私はその時、目は届くけれど手は届かない場所に居て…必死になって前へと進もうとしていたけれど、間に合いそうにはありません。仲間が死んでしまう光景に諦めてしまいそうになった瞬間、「や、止めろよ!」と震える声が聞こえてきたのです。
 
 ―それは…震える手で鞘に入ったままの剣で必死に威嚇するアズさんの姿でした。
 
 生きるか死ぬかの戦場の中で、彼の姿は本当に場違いでした。だって、腰が入っていない所か手も足も震えていますし、鞘だって抜けていないのです。一瞬、唖然とするようなその姿は、しかし、必死に立っていました。自分よりも遥かに強い相手から、自分よりも強い相手を護ろうとしていたのです。無謀であろうと多くの人に言われるであろうその姿は…私にとって何より立派で気高いものでした。…思わず胸が高鳴ってしまうくらい…それは格好良く…素敵だったのです。
 
 ―そして…私が男性にそんな風な興味を持ったのなんて始めてで…。
 
 無論、私にだって父親が居ますし、ジェイクと言う名の男の友人も居ます。幼い頃から母に英才教育を受けていた私はもうかなり前から戦場に出ていましたし、その度に男たちと剣を交わしてきました。…しかし…こんな風に…心の底からもっと知りたい、と、そして…何より『欲しい』と感じた男性なんてアズさん一人だけなのです。
 
 ―その感情のまま…アズさんごと男を気絶させて…仲間を助けたのですが…。
 
 そのまま戦場が一段落するまで気が気ではありませんでした。だって、捕虜にしたアズさんが誰かに連れて行かれたら終わりなのですから。一応、倒した私に優先権がありますが、本気で男を好きになった魔物娘にそんなものは紙クズ同然です。もし、誰かに見初められてしまったら…そこから取り戻すのは至難の業だったでしょう。
 
 ―けれど、そんな事も無く私はアズさんを手に入れることが出来て…そして二人の生活が始まって…。
 
 私が興味を抱いただけあって、彼は毎日新しい発見をさせてくれました。はにかむように笑うと子供っぽくて可愛らしい事…けれど、可愛いと言われるのはあんまり好きじゃないと言う事…私の淹れた紅茶を気に入ってくれて、毎晩何も疑わずに飲んでくれる事…頭は悪くないけれど、ちょっぴりパニックになりやすい事…他にも色々。数え切れないくらい…私は毎日アズさんに惹かれていっていったのです。
 
 ―そんな男性が部屋を出て行くと言ってのですから慌てても仕方ないでしょう。
 
 …そこで思わず強硬手段をとってしまったのは自分でもやりすぎだったかもしれないと思いますが…しかし、あの時はそれ以外に方法が無いと思っていたのです。料理でもお金でもアズさんをこの部屋に縛り付けられないのであれば…身体を使って…私のモノにするしかないと、本当に思い込んでいたのですから。
 
 ―しかも…何か変なクスリまで飲まれたときには…本当にびっくりしたのです。
 
 しかし、そのお陰でアズさんが行為の途中で目を覚ましてくれたのですから、偶然も私に味方してくれていたのでしょう。途中で気づいたときには本当にびっくりしましたが…アドリブを効かせて何とか出来た頃には内心ガッツポーズをしたものです。
 
 ―そして…お陰様でもうアズさんがこの部屋から出る事は決してないのです。
 
 アズさんの両手両足に『銀色の枷』が着いているのを見ると、どうしても私は笑みが浮かんでしまいます。知り合いの魔女から私の誕生日に『即効性の睡眠導入剤と精力剤を砂糖でコーティングしたお菓子』と同時に貰ったその拘束具はしっかりと『私たち』のベッドに繋がれていて…アズさんが例え起きたとしても身動き一つ取れないであろう事を私に教えてくれるのでした。
 
 ―…なんで最初から気づかなかったんでしょう。
 
 昔から言うじゃありませんか。大事なモノは鍵を掛けてしっかりと自己管理するべきなのです。さっきの交わりで、アズさんは私の所有物になってくださいましたし、鍵を掛けても何も問題はありません。多少、窮屈な思いをさせるかもしれませんが…その分、気持ち良くして差し上げれば、きっとアズさんも悦んでくれるでしょう。
 
 ―あぁ…でも…流石に少し眠くなってきました……。
 
 流石に戦場から全力で戻ってきて、そのまま明け方までエッチし続けるのはデュラハンでも体力を消耗します。本当であれば上司に休暇届けの一つでも書いて、一ヶ月…いえ、一年ほど休暇を頂きたいのですが、今の頭ではマトモな文章は書けません。一度仮眠して、頭をすっきりとさせてからの方が良いでしょう。
 
 ―それに…その頃にはきっとアズさんも起きているでしょうから…ぁ♪
 
 きっとこうして繋がれている事に最初は混乱するでしょうが、ちゃんと説明すれば何れは分かってくれるはずです。もし、分かってくれなければ…分かってくれるまで説得すれば良いだけなのですから。
 
 「ふふ…っ…♪アズさーぁん…♪」
 
 ついつい名前を呼んでしまったその声は自分でも驚くくらい甘いものでした。普段では決して使わないようなその声に、身も心も声までもアズさんに変えられて、虜にされていくのを感じます。けれど、それはまったく嫌ではありません。だって…私の身も心も全てアズさんに捧げた彼だけのモノなのですから。
 
 ―あ…奥からまた精液が…。
 
 たっぷりと注ぎ込んでもらった『アズさんのモノであるという証』がどろりとした愛液に流されて、外へと出そうになってしまいます。最初に入り口辺りで射精されたの以外は全て私の子宮に収めていますから、きっと最初の分なのでしょう。…ついその『最初』の激しくも溶かされそうなほど熱い射精を思い出して、愛液をさらに滲ませてしまいます。手もまるで自分を慰めようとするかのように股の間に伸びそうになってしまいますが、私の全てはアズさんのモノなので、そんなはしたない真似は出来ません。理性でその衝動を捻じ伏せて、私はそっとアズさんの左腕を枕にしてベッドに横たわります。
 
 「お隣失礼しますねぇ…♪」
 
 何となくそう言いながら私はそっとアズさんの胸に手を当てました。戦士と言えるほど鍛えられているわけではありませんが、引き締まっている胸板越しに…トクトクと優しい鼓動を感じる事が出来ます。まるで安心させるような優しく暖かいそのリズムに、どんどん重くなっていく目蓋をそっと閉じました。
 
 ―これからも…ずぅっと…ずぅっと一緒ですよ…アズさん…♪
 
 そうして私は、アズさんとこれから過ごすであろう幸せな日々を思いながら…夢の中へと堕ちていったのでした。
 
 
 
 
11/01/03 03:36更新 / デュラハンの婿
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■作者メッセージ
おくばせながら新年あけましておめでとうございます!!!!
今年もよろしくお願いします!!!!

そんな訳でお年玉にもなりませんが、ちょっぴりSSを書いてみました。
やけに長い感じがしますが、きっと気のせいです^q^

ちなみに魔物娘さんたちは皆、監禁上等のヤンデレの素質があると思いますw
けれど、他の恋敵を排除するのに動くのではなく、男を監禁して自分の虜にする方向に働くのですよっ^q^

新年にこんなに長いSS書いちゃいましたが、まだまだ復帰は先になりそうです…。
こそこそ書いてますので、また投稿するかもしれませんが、その時はまたよろしくお願いします。

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33