連載小説
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その2



 ―その時の俺はきっとどうかしていたのだと思う。

 心から心酔していたと言っても良い男が負けたのがショックだったのが主な原因だったと思う。その時の俺は傭兵団ごと包囲殲滅されて魔王軍へと寝返り、人質にされていたジェイク坊を助け出す為、教会の本陣へと奇襲していた。まさか昨日の負けて捕虜になった連中が、返す刃で自分たちの首元を狙うとは思っていなかった教会は一度構築した陣を放棄し、無様にも逃げ出す…ハズだったんだが。

 ―何をどう間違ったのか連中はその場で徹底抗戦を選んだ。

 元々、奇襲する為の少人数部隊だ。俺を含め、元傭兵団の面子も全員揃っていたが、物量には敵わない。本陣に火をつけて、首脳部とも言える連中や俺たちの元お仲間は逃げ出したものの、下っ端連中には撤退命令は出ず、炎の海の中で俺たちと戦い続けていた。…無論、奇襲が成功した所で、相手が歯向かって来たら何も意味は無い。元々、奇襲とは少人数で大多数を敗走させる言わば奇策なのだから。

 ―無論、その奇策が下っ端の切り捨て、と言う形で切り抜けられた俺たちは再び包囲殲滅の危機に陥ったわけだ。

 そんな中、俺たちは文字通り奮闘した、と言える。俺が心酔していたあの男も、その馬鹿げた腎力を大いに振るい、ばったばったと人をなぎ倒していたし、フェイやハンスを含め残った連中は、取り戻したジェイク坊を護るように立ち回っていた。護られる側のジェイク坊も火の海の中で敵と味方が切り結び、ばったばたと人が倒れていく地獄とも思える光景の中で、泣き声一つあげず言われたとおりに動いていたのは…今でも驚いている。

 ―そして俺はそんな中で、敵へと突っ込んだ訳だ。

 正直、自棄になっていたのは否めない。だって、俺にとってはそれだけあの男は絶大な存在感を思っていたのだ。その男が居ればどんな戦いにだって勝てると、本当に戦神のように心酔し、信頼…いや、依存していた。けれど、そんな男でさえ負けてしまった。あれほど強かったのに、バフォメットに負け膝を屈した。だからこそ、俺はその時、とてつもない恐怖に駆られたのだろう。戦わなければ死ぬ…とそんな戦場の大原則を唐突に思い出し、俺は仲間から突出するのも構わないほど敵を追いかけてしまっていた。

 ―そして突出した奴の最期なんてお決まりだ。

 あの男のように規格外の能力があれば、また話は別なのだろう。実際、俺たち傭兵団が一番、得意としていた戦術は包囲殲滅を恐れず、あの男を先頭にしての突撃戦法だったのだから。包囲される以上のスピードで敵陣を突破する姿はまさしく暴風の二つ名に相応しく、敵味方ともに恐れられていた。…けれど、その時の俺の目の前には、護るべき男の背中は無く、そして俺の失敗をフォローしてくれる仲間もまたいない。自分が突出し過ぎているのに気づいた頃には全てが遅く、俺は何人かの騎士に囲まれ…そして利き腕である右腕を切り落とされた。

 ―その時の痛みはいまだに覚えている。

 まるで神経に直接、焼印を押されたような痛みが走り、俺は絶叫を上げた。恥も外聞も無く泣き叫びながら地面を転がり、必死に助命を乞うたのを覚えている。…今まで傭兵として何人もの命を奪ったのに、自分だけ助命するなんて蟲が良すぎる…と俺自身、思う。けれど、その時の俺は何とかして生き延びようとすることしか頭に無かった。それこそプライドも何もかも捨てて、右腕から噴出す血を必死に止血しながら転げまわる俺の前に現れたのは…グレースさんで…そのまま俺を嘲笑う騎士どもをなぎ倒してくれたのを覚えている。

 ―突出する俺の背を追いかけて、敵陣まで乗り込んできてくれた彼女が居なければ今頃、俺は死んでいただろう。

 けれど、俺の幸運はそこで完全に使い果たしていた。切り落とされた腕から吹き出る血は根本的に止血しなければ死へと直結するレベルにまで達していて、今にも俺の命が尽きてもおかしくはない。そんな状況でもグレースさんは諦めず、俺の腕の切り口を直接、火で焼き止血する…なんて荒業で俺の命を救ってくれたのだ。

 ―お陰で俺の右腕は治療で元通りにする事はできなかったんだが…命あっての物種だ。

 そして、戦えなくなった木偶でも技術や経験の一端でも教えられると幼い子供たちの訓練を買って出たわけだ。そんな俺の様子を、片腕となった事と、倒して魔王軍に引き込んだ一因でもある事に責任を感じているのか、グレースさんは何度か見にきてくれて、彼女の娘であるリーナちゃんを託してくれるまでの仲になる事ができた。…まぁ、その時、彼女が既婚かつ子持ちであり、旦那には俺に見せるものとはまったく違う笑みを浮かべることに気づいて、俺の恋は終わりを告げたわけだが。

 ―そう。俺の恋はそこで終わっている。

 …なのに、どうして俺はあんなにしつこく彼女に言い寄っていたんだ…?自分を騙し、偽ってまで…どうして……?

 ―その疑問に答えは出ない。

 少なくとも俺自身の言葉でその疑問に答えを出すことは出来ない。…その答えを持っているのはきっと…彼女――俺自身さえ目を逸らしていた痛みをはっきりと言い抜いたリーナちゃんだけなのだろう。

 「…ふふっ…お兄ちゃん…♪」

 ―唐突にリーナちゃんの声が聞こえる。

 けれど、きっとそれは昏睡している中で見る夢なのだろう。…だって、リーナちゃんのその声は今まで聞いたことのないようなものだったのだ。まるで男に媚を売り、その本能を煽るような甘えたその声は、リーナちゃんのような年頃の少女には似合わない。娼婦がリーナちゃんの声真似をしていると言った方がまだ現実味のあるそれは、背筋を撫でられ、ぞくぞくとするような扇情的な響きを持っていた。

 ―だから、これが現実のはずは無い…。そうなんだ。そのはずだ。

 そう思いながらうっすらと目を開けた俺の視界は、境界がぼやける曖昧なものだった。必死に焦点を合わせようと目が頑張ってはいるものの仰向けに寝かせられている事と、天井が灰色に塗られていることくらいしか分からない。やはり、今の俺は夢の中に居るのだろう。

 ―…にしても寒いな。

 ぼやける視界の中でもはっきりと感じられる寒気は、夢とは到底思えないほどリアルな感覚だ。あまりにも気になって、視線を下ろすと視界一杯に肌色の何かが広がる。数秒ほど考え、ようやくそれが服を全て脱がされて、剥き出しになっている自分の肌だと気づいた時には、俺の思考も視界もはっきりし始めていた。今の俺は灰色の天井に向かって、仰向けに寝かせられていて、首にはふかふかとした柔らかい感触がある。周りを見渡すと、無造作に道具が積み上げられている事から、使われていない倉庫か何かなのだろう。

 ―ちょ…どういうことだよこれは…!?

 驚いて身じろぎしようとした俺の耳にまるで金属同士が擦れあっているような耳障りな音が届いた。今度はそちらに目線を向けると、俺の左腕は手錠でしっかりと柱につながれているのが分かる。銀色の光沢をはっきりと示し、全力を込めて引いても壊れる気配すら見せない手錠は、玩具などでは決して無く、間違いなく本物なのだろう。

 「ふふ…お兄ちゃん、おはよう…♪」
 「っ!!」

 必死になって手錠が外れないか力を込めている俺の姿に目覚めている事に気づいたのだろう。俺をここに閉じ込めたであろうリーナちゃんが、俺の顔を後ろから覗き込んだ。さっきまで背に感じていた感覚は、恐らく彼女の膝枕か何かだったのだろう。彼女が覗き込む瞬間、小さく身じろぎしたのが首越しにしっかりと伝わった。

 ―それ自体は特に悪いって訳じゃないんだが…。

 しかし、状況自体は迷い無く悪いと言い切れる。手錠は自力で外す事は出来ず、使われていない倉庫と言う事はまず人目が少ない。声をあげれば廊下には届くかもしれないが、頭の回転は俺より早い上に、こうして手錠まで用意していたリーナちゃんが、そんな初歩的なミスを犯すとも思えない。恐らくは滅多に人の通らない廊下から入る本当に寂れた倉庫の中に、寝かされているのだろう。そして、そんな場所で何が起こっても、きっと誰も知らないに違いない。…こうなると下手に開放を要求したり、暴れるのは逆効果だ。寧ろ脱出できる機会を待ちながら大人しくしている手が最善だろう。…もっとも、その脱出できる機会とやらが訪れる可能性はかなり低い訳だが。しかし…勝ち目が完全に無い訳ではない。

 「ふふ…♪そんなに怖がらなくても大丈夫だよぉ♪」

 そんな考えが、表情に出ていたのだろうか。少し強張った頬を、リーナちゃんはそっと指先で撫でた。…いや、線をなぞった、と言う方が正確かもしれない。それくらい柔らかいタッチで、すっと過ぎていった感触は、どうにも性的なむずかゆさで、俺の脳をじくじくと刺激する。

 「寧ろ…たぁくさぁん…気持ちよくしてあげるからぁ…♪」

 ―そう言うリーナちゃんの顔は強い陶酔に塗れていた。

 とろんと目尻の下がった瞳は濡れていて何処か艶やかに輝いている。間延びした言葉を放つ口元は、荒く息を吐いていて閉じている暇が無いほどだ。アンデッド種独特の純白の肌には朱が入り、何より確かに興奮を伝えてくれる。貧民街のガキに最高級の料理を振舞ってやったらきっとこんな顔が見れるだろう。まるで、今まで手に入らなかったご馳走を味わえるのだと期待に輝かせるその二つの表情で、唯一つ違うのは、ガキが食欲ならば、恐らく、リーナちゃんのそれは性欲…となる点だ。

 ―まさか『教育』って言うのは…リーナちゃん自身を教材にした性的なモノ……って事なのか…?

 ふと脳裏に湧き上がったその考えはあまりにもおぞましく、そしてそれと同じくらい魅力的な想像だった。幼い少女が自分の肢体を使って、男に奉仕し、性欲を掻き立てようとする妄想はそれだけで脳髄を溶かすような劇薬である。それを振り払おうとしても、目の前で性欲に目を輝かせているリーナちゃんの姿がそれを阻むのだ。
 無論、リーナちゃん自身もまた魔物娘なのだから、日々成長し、切磋琢磨する過程の中で、人間より早い性の開花をしていてもおかしくはない。それでも、やはり何処かアンバランスであるのは否めないが、倉庫中に俺も良く知る匂い――男を誘おうとする女の甘い甘いミルクのようなフェロモンが満ちているし、欲情に濡れるその瞳もまたはっきりと彼女が発情している事を教えてくれる。俺の半分程度の年齢にしか見えないリーナちゃんが、発情し、性的な欲求を覚えている…と言うのは正直、何かの間違いだと思いたいほどだ。けれど、今、現実で起こっている出来事は、それ以外の答えを俺に思いつかせない。そして、その答えが――幼い少女が性的な欲求を覚え、鈍感な俺でも一目で分かるほど興奮していると言うギャップが、俺の心をまた強く打ち、興奮させる。

 「お兄さんもぉ…私に気持ちよくしてもらいたいよねぇ…♪」
 「い…いや、それは…なんていうか……」

 ―そりゃ男として気持ち良いのは嫌いじゃないんだが。

 けれど、それとリーナちゃんとは俺の中では、水と油くらい決して結びつかない代物だ。いや、より正確に言うならば結び付けてはいけない代物と言うべきか。別に教会に帰依しているわけではないが――寧ろジェイク坊を人質にされた一件以来、嫌っていると言っても良い――人間的な道徳として幼い少女と性的なものは結びつける事には多くの人が背徳であると感じるだろう。人殺しを生業としていたが、そんな背徳を望んで犯すほど畜生に堕ちたつもりもない。

 「それは…って何なのかなぁ?」

 言いつつ、リーナちゃんはそっと後ろから俺の胸を爪先で痕を残すように撫で始める。戦場には出れないにせよ未だ訓練を欠かしていない身体は全盛期に負けず劣らす筋肉をつけているはずだが、その筋肉をあっさりと突き抜けて、彼女の指はぞくぞくとした性感を俺にもたらした。思わず声をあげそうになるのを必死で堪えるものの、しっかりと反応しているのは下腹部の肉がむくむくと起き上がっているのを見れば一目瞭然だろう。けれど、その光景は俺にとってあまりにも意外過ぎる光景だった。

 ―いや…ちょ…な、なんでだよ…!?

 間近に迫った死の危険に恥も外聞も男としてのプライドも全部投げ捨てたあの日から、俺の男の証はどんな刺激にもピクリとも反応しなかったはずだ。自分でどれだけ奮い立たせようとしても、文字通り再起不能であったはずのそこが、リーナちゃんの愛撫とも言えないモノで少しずつ力を取り戻している事に俺は冷静さを失ってしまう。この監禁されているという現状でそれだけが唯一、俺の優位性だったはずなのに、あっさりそれを奪われてしまって冷静さを保てるわけが無いのだ。

 「ふふ…♪我慢は身体に良くないよぉ…♪」

 悪戯そうに笑うその顔自体は、俺の良く知るリーナちゃんそのものだ。けれど、性的な興奮で濡れる瞳や、血色の良い肌、甘い興奮を吐く口などと相まって、どうにもいやらしい雰囲気が拭えない。そりゃ俺だって傭兵であるから、娼館には良く行ったものだし、経験は豊富とは言わないまでもある。しかし、今の彼女の表情は、俺の経験の中で、見た事がないほど淫蕩なモノに見えた。

 「私…お兄ちゃんの感じている声…聞きたいなぁ…♪」

 言って、リーナちゃんは、またもそっと胸をなぞる。上へ上がったかと思えば下がり、下がったかと思えば右に行く…そんな不規則な動きは、俺がその感覚に慣れる暇も与えず、寧ろ快楽に敏感にさせるようだ。自然、リーナちゃんの表情と相まって興奮を掻き立てられた俺の口もまた何時の間にか荒く息を吐き始めている。

 ―だ、だけど、我慢だ…KOOLになるんだ俺よ…!

 ここで声を出してしまったらきっと俺は流されてしまうだろう。ただでさえ、今も背筋にゾクゾクとした妖しい背徳感が駆け上がってきているのだ。こんな風に一方的に責め立てられている側が、反応すると言うのは責める側にとって強く興奮を掻き立てられるモノだし、調子を掴まれてしまったら抵抗する術はなくなってしまうだろう。体中を包むような妖しい快感に完全に無反応になるのは無理でも、少なくとも絶対に返事はしてはいけない。もし、声をあげてしまえば……永遠にロリコンと言う十字架を背負って生きていかなければいけないような気がする。無論、本格的な手錠まで用意して、しかも人気のない倉庫に監禁されていると言う状況はすなわち俺が一切の抵抗が出来ない…いわば仕方ない事ではある。しかし、流されるままに求めてしまったら俺はきっと止まる事ができない。ただでさえ久しぶりの勃起で、今すぐにでも射精したいと本能が訴え続けているのだ。その上、目の前に食べて欲しいとその身を晒す青い果実が居れば貪るのを止める事は難しい。
 そして、一度、リーナちゃんに手をつけてしまえば、それこそ本当に身も心もロリコンになるまで『教育』させられてしまう事だろう。それは意識を失う寸前の言葉で何となく察することが出来る。

 ―ま、まずは深呼吸だ。精神を集中すれば幼い少女の責めに屈する事は無い。

 大きく胸を膨らませて何度も深呼吸し、必死に抵抗しようとする俺を見ながら、また悪戯っぽそうに微笑んだリーナちゃんはそっと俺の首を持ち上げた。自然、首と繋がっている胴体も持ち上げられ、床の上に座っているような姿になる。そのまま床と俺の身体の間に出来たスペースにすっと、リーナちゃんは入り込み、俺の身体を後ろから抱きすくめるような形となった。さっきまでとは比べ物にならないほど密着する面積が増えて、幼い子供独特の高い体温が背中越しに伝わり、今まで俺を包んでいた寒さを吹き飛ばす。だが、同時にその体温は俺に強い興奮を齎す諸刃の刃でもあった。

 「ふふ…♪でも、我慢してるお兄ちゃんも可愛いよぉ…♪」
 「っ!!!」

 ―ちょ…っ耳は反則だろ…!?

 後ろからそっと囁かれたその言葉は、直接脳髄まで届き、頭の中を掻き回される様な甘美さを伴っている。言葉だけでなく、「ハァハァ…♪」と吐息まで入り込んできて、まるでピンク色の吐息に脳が犯されるような錯覚さえ覚えてしまうほどだ。
 そのあまりの甘美さに深呼吸のペースが乱され、浅い息を何度も繰り返しそうになってしまう。流石にこれは分が悪いので逃げようとしても、金属の輪はしっかりと俺の左腕を捕まえて逃がさない。仕方なく、身体を捩っても、後ろから抱きすくめられている状態では数十センチも離れられないのだ。無論、リーナちゃんの口はすぐに追いついてしまう。そのまま彼女の口は、逃げたお仕置だと言わんばかりに、そっと俺の耳に噛み付いた。

 「くあ…っ!」

 思わず声を上げてしまうがそれは痛みを与えるようなものではない。こりこりとした耳朶の感触を楽しむように、上下の歯で挟む様な優しいものだ。元々、あまり痛覚が通っていないその部位は、多少乱暴にされても大丈夫なのだが、それを知ってか知らないでかリーナちゃんは弱弱しいと感じるほどの噛み方しかしない。自然、彼女の愛らしい唇も俺の耳朶に触れて、左右に揺らすように愛撫してくる。そして、聴覚と繋がっているその部位から感じる振動は、俺の聴覚を興奮に染め上げようとしてくるのだ。さっきよりもより近くに感じられるようになった甘い吐息もそれを助け、より強く耳から脳を犯して来る。

 ―こんな…いや、れ、冷静に…!

 そう思うものの冷静になる為の深呼吸は、娼婦だって滅多にしない愛撫に乱されてしまう。大きく吐き、大きく吸い込まなければいけないのに、その途中で走る弱弱しい快感と強い興奮、そして何より幼い少女がこんな愛撫をしているという背徳感が、浅く吐き、小さく吸い込む呼吸へと俺を陥れるのだ。

 「ハァ…はむ……ハァ…♪」

 そして、それで満足してくれるようなリーナちゃんではなかった。俺の耳が既に動ける余地もなく、ほぼ無抵抗と化したのを確認した後、またも指先で胸を弄り始める。しかし、今度は指先でなぞる…なんて優しいものではない、。先一つ一つを立てて痕を残そうとする強いものだ。流石に今度は痛みが伴うが、興奮し、敏感になった胸は性感を脳へと送り込んでくる。

 ―ちょ…っなんで…胸でなんか…っ!?

 困惑する俺だが、じーんと叩かれた時に広がる熱のような快感を否定する事は出来なかった。無論、俺は今まで胸でここまではっきりとした快感を得たことは無い。娼婦がそっと胸を舐め上げて興奮した事はあるが、それはシチュエーションに拠るものが大きかった。それなのに、今、俺の身体を走っているモノは未知ではあるにせよ、紛れも無くムスコを射精へと追い込む快感である。

 「はむ…お兄ちゃんの胸…とっても敏感さんだねぇ…♪」

 耳元で囁かれたなんて生易しいレベルではなく、耳に直接送り込まれるようなその言葉がまたも俺の興奮を掻き立てようとする。俺は必死にそれを抑えつけようと深呼吸するが、もう殆ど深呼吸の形を成していないのが自分でも分かった。俺の視界の下に見える男の証も既に重力に逆らい始めていて、天井へと向いている。流石にまだ全力で硬くしているわけではないが、それでも半勃ちになっているのが一目で分かった。

 「こんな敏感なお胸なのにぃ…乳首クリクリしちゃったらどうなるのかなぁ…♪」

 言って、リーナちゃんは両手を俺の胸に添えた。そのまま、もう既に膨れ始めている俺の乳首の上から掌を重ね、円を描くように回し始める。男なのに、まるで胸を揉まれる様な仕草に思わず抵抗しようとするものの、がっしりと抱きすくめられた身体には身じろぎする余地さえ与えられない。

 ―な……っなんつう屈辱的な…!!

 恋人と寝たこともあるし、娼婦とも夜を過ごした事もあるが、こんな愛撫の仕方は一度だってなかった。当然だろう。普通の男は女のように胸を揉まれて悦ぶような趣味を持っては居ない。そんな事をされても性感を感じる前にプライドを傷つけられたと感じて、終わるだろう。…けれど、今の俺は抵抗できず、じっくりと胸を敏感にされていた。幼い少女に好き勝手されているという被虐的な快感と、リーナちゃんと性的な行為をしているという背徳感に思わず背筋が浮き上がりそうになる。けれど、逃げる事も出来ず、俺に出来る事と言ったら羞恥に顔を赤く染める事しかない。…そして、そうこうしている内にリーナちゃんの体温とはまた違う熱が乳首から広がり始めているのが分かる。

 ―いやいやいやっ!ちょっと待てって…!流石に乳首で感じる趣味はねぇぞ…!

 それは不思議な感覚だった。普段、自分ではまったく触れない場所の所為だろうか。乳首から広がる熱は、すぐに俺の身体中に普及していく。さっきとは違い、時折、電気が走ったように感じるそれも胸を揉まれているときとは少し毛色が違うが、間違いなく性感だろう。チンコを直接触られるのには、快感の量では劣るものの、それとは違う新しい感覚は、無防備に脳に受け入れられ始めている。自然、また興奮しはじめた俺に、リーナちゃんの甘い笑い声が届く。

 「もうこんなに感じてるんだねぇ…♪お兄ちゃん、私のお手手…気持ち良いんだぁ…♪」

 ―い、いや…そりゃ確かに気持ち良いと言えばそうなるけれど……っ!

 しかし、男としてはその性感は決して認めたくないものだ。少なくともプライドがそれを阻むし、何より絵的にも最悪だろう。女と見間違うような男の娘ならともかく、俺の容姿は決して優れているわけでもない一般的な青年だ。そんな奴が胸を触られてよがっているなんざ悪夢以外の何物でもない。

 ―けれど、じわりじわりと強くなっていく性感は既に否定しきれないレベルにまでなっていた。

 流石に喘ぐほどではないにせよ時折、息を吐きたくなってしまう。それがまた、自分でも驚くくらい興奮の混ざった吐息で、背筋に鳥肌を浮かべてしまうのだ。こうなるともはや深呼吸なんて考える事が出来ず、思考の殆どは被虐と背徳に染まりそうにまでなっている。

 「じゃあ……こんな敏感な乳首をぉ…クリクリしちゃうとどうなるのかなぁ…♪」

 言って、リーナちゃんは押し当てていたその手をそっと胸から離した。けれど、それは開放ではなく、そのまま親指と人差し指で、膨れ上がった乳首を摘む。そっと優しく触れるだけのその指は間にある乳首を転がすように弄り、さっきよりも強い快感を俺に与えてくるのだ。胸全体を撫でまわしていたようなさっきとは違い、明確に乳首だけ狙ったそれは受け入れる下地の出来始めていた俺にとって既に愛撫以外の何物でもない。

 ―いや…ちょ…止め…っ!!!

 静止する声を上げたいが、声を上げればもっと強い責めが待ち受けているのは確定的に明らかだ。抵抗したいが、抵抗する余地さえ無い。そんなジレンマと被虐の快感の中、俺に出来るのは明確に走る快感に息を吐く事だけだ。

 「ほぉら…クリクリぃ…クリクリぃ…♪」

 聞かせるように送り込まれるその声に合わせて、彼女の指は俺の乳首を転がす。右へ行ったかと思えば左へ、そしてまた右へと弄られる乳首は、もう限界まで膨れ上がっていた。女とは大きさ自体が違うので、比べ物にならないが、しっかりと立ち上がり、孤立したその光景は今まで俺自身、見たことがない。そして、そこまで孤立した乳首は、紛れもなく責められることに快感を感じ、俺の脳に興奮を送り込んでくる。

 ―なんで…こんな気持ち良いんだよ…っ!?

 正直に言えば、そうやって乳首を弄ばれるのは抗い難い快感だ。まったく耐性を着けていない乳首から送り込まれる独特の快感と、そして何より女のように乳首で感じていると言う背徳感が俺の興奮を掻き立てる。同時にそれが快感だと教え込むように、耳から送り込まれているリーナちゃんの甘い声と吐息が合わさって、既に興奮を抑えきれないほどに育てていた。自然、半勃ちであったムスコは、完全に勃起してしまい、リーナちゃんの目にその全てを晒している。

 「お兄ちゃんのオチンチンも喜んでるみたいだねぇ…♪」

 言いながらリーナちゃんはきゅっと強く指先に力を込めた。自然、より圧力が加わった乳首は悦ぶようにぴくんと震えて、もっともっと、と強請り始まる。それに応えるようにリーナちゃんは少しずつ指先に力を込め始め、その動きは挟むと言うよりも磨り潰す、と言った方が近いものになっていく。最初であれば、痛みしか感じなかったであろう程の圧力だが、下地をしっかりと準備された俺にとってはそれは性感を感じる以外のなにものでもなかった。

 「今度はぁ…引っ張ってあげるねぇ♪」

 そして、次はそのまま引っ張られる。女のものほど大きくないそれを引っ張るには結構な力が必要で、爪先が若干、乳首に食い込むほどだ。無論、それを快感としてだけ受け入れる事はできず、痛みも強い。けれど、その痛みが、乳首の中に残り、じくじくとした独特の性感を与えてくる。そして、今度はそれを刷り込むようにまた、指先で弄り倒すのだ。

 ―もう…っ…か、勘弁してくれ…っ!!

 最初には思っても見なかったことだが、俺は既に乳首から送り込まれる性感に翻弄され始めていた。感じてはいけないと言う尊厳を乗り越えて、送り込まれる快感は理性すら飲み込もうと迫ってくる。しかし、それに逃げようにも俺の逃げ場は何処にもなく、残った理性も哀願の声を出すのを堪えさせているだけで精一杯だ。浮き上がる背筋を抑える力も既に無く、俺は完全に打つ手が無い。

 「お兄ちゃん…乳首気持ち良いんだねぇ♪」

 そう言って、リーナちゃんは俺の耳穴に何か柔らかい物を押し当てた。耳から感じる感覚と音で、それが濡れていて独特の柔らかさを持っていることだけが分かる。あまり大きい訳でもないが、それでも耳穴を完全に埋めるには十分な大きさを持つそれはどろどろとした粘液で俺の耳を蹂躙し始めた。

 「んちゅ…ふぅ…♪」

 ―ちょ…おい…まさかこれって…!

 耳元で直接送り込まれるようなその吐息と漏らすような声は『さっきより』さらに近い。完全に耳朶まで占拠され、耳と完全に密着していると言っても良いくらいだった先ほどよりもさらに近いという理由なんて…俺の頭じゃ一つしか思いつかない。

 「ふふ…♪お兄ちゃんの耳美味しいよぉ…♪」

 ―し、舌まで持ち出すのか…!?って言うか、そこ汚いから!!!

 どろどろとした粘液に塗れた独特の柔らかさを持つ器官…なんて人間の持つ中では両手を使うほどもない。その中でも耳に差し込めるようなものと言えば舌くらいなものだろう。味覚を感じる粘膜である舌が、掃除しているがカスが溜まっているであろう耳を嬲るのに燃え上がるような気恥ずかしさを感じて反射的に身体を揺するがガッチリと俺を捕まえたリーナちゃんは微動だにしない。完全に逃げ場を失った俺には、後ろを振り向く余地さえもないのでリーナちゃんの顔を見る事は出来ないが、後ろには乳首を弄りながら、耳をしゃぶっている彼女の姿があるはずだ。

 ―ふと想像したその情景が、俺の興奮をさらに助長させた。

 同時に、幼い少女に耳の奥まで舌で犯される背徳感と抵抗できずに弄ばれているという被虐感がそれに加わる。無論、人間は耳で感じるようには出来ていないが、鼓膜に直接じゅるじゅると粘液が擦り合わさる音を叩きつけられて平然としていられるわけがない。性交を髣髴とさせるその音は、舌で出口を塞がれているので耳穴の中で響き合い、収まる様子さえなかった。さらに、乳首を弄られ続け、送り込まれる性感がさらに興奮させる。

 「ちゅ…♪うふふ…♪」

 至近距離…というかもはやゼロ距離でそんな声や音を聞かせられている俺の興奮は既にリーナちゃんと同じか、それ以上のものにまで育っていた。精一杯堪えようとしているものの口からは吐息と共に喘ぎ声が出てしまうし、時折、乳首を引っ張られるのに、腰が反応して思わず引けてしまう。自分の顔を見る事はできないが、恐らく頬は興奮して赤くなっているだろうし、瞳にも欲情の色が浮かび始めているだろう。そして、自分のそんな顔をリーナちゃんに見られていると思っただけで、気恥ずかしいようなむずかゆいような感覚が俺を蝕む。

 「お兄ちゃん…可愛い…♪」

 ―か、可愛いとか言われても…嬉しくないんだが…っ!

 少なくとも俺はそんな奇特な趣味を持っていない。寧ろ可愛いと言われるのが――無論、俺の人生の中で言われた回数なんて、少年期に数えるほどしかないのだが――嫌だと言っても良い。少なくとも頼りがいがあると言われた方が嬉しいし、格好良いと言われるのが何より好きだ。特にこういう場面で可愛いと言われる事は屈辱以外の何物でもないだろう。けれど、その辺りの男心の機微を幼いリーナちゃんは理解してはいないらしい。しかし、それに傷つくよりも先にストレートに感情を示して抱きついてくるので、落ち込んでいる暇も与えてくれないのが厄介と言えば厄介だった。

 「お兄ちゃんがあんまりにも可愛いから…私我慢できなくなっちゃったぁ♪」

 言って、リーナちゃんはそっと俺から離れた。後ろにずっとあった熱源がなくなり、何処か寂しい感覚を覚えたのもつかの間の事。リーナちゃんは俺の身体を床へと押し付けるように俺の胸へと跨って、ワンピースにと下着に包まれた秘所を見せ付けるように……って…これは…。

 「うふふ…♪お兄ちゃん…ロリ筋マンコ見えたかなぁ…♪」

 ―そこは一枚の布だって身につけては居なかった。

 俺の足に手を着いて前屈姿勢を取るリーナちゃんの秘所は落ちてくる瞬間、間違いなく何も無かった。いや、何も無いと言うのは語弊があるが、朱が入り込んでいる肌を見せ付ける姿にはまったく惜し気も何も無い。その姿は見ているこっちが見てはいけないところをつい見てしまったのだと恥ずかしくなってしまう程だった。

 「見えなかった…?じゃあ、もっかい見せてあげるねぇ…♪」

 ―いやいやいやっ!!!!見えたから!!!見せなくても大丈夫だからっ!!

 さっきの声を出してはいけないという考えも吹っ飛んで、そう言おうとした俺よりも早く、リーナちゃんはすっとワンピースの裾を引き上げた。前屈姿勢を取る彼女の秘部は、丁度俺のすぐ目の前に位置していて、目を引いて止まない。リーナちゃんが言う通り、一本の筋が入っているだけのように見える秘所の周囲には毛の一本も生えておらず、彼女の幼さを象徴しているようだった。しかし、一本の線のように見える筋からはとろとろとした透明な粘液ではっきりと濡れていて、辺りの無毛の幼さとギャップを作り出している。そして、毛も生えていないような少女の恥部を隠すものも無いまま見せ付けられていると言うシチュエーションがまた強く背徳感を燃え上がらせるのだ。

 「見てぇ…お兄ちゃんがあんまり可愛いからこんなに濡れちゃったぁ…♪」

 言ってリーナちゃんは、ワンピースの裾を上げていた手でそっとそこを広げた。瞬間、甘いメスのフェロモンがむわぁっと立ち上るように感じる。まだ発展途上の所為か蜂蜜のように甘ったるいそれは嗅いでいるだけで襲ってしまいたくなるような衝動を湧き起こしてくるのだ。しかし、俺の興奮を掻き立てるのは匂いだけではない。皮膚と皮膚の境目が開かれて、中からサーモンピンクの綺麗な粘膜が顔を出す。その粘膜には二つの孔が空いていて、両方ともひくひく蠢いているのが一目で分かった。幼いリーナちゃんらしく、そこはまだまだ小さくて、誰も触れた事のないような鮮やかな色をしているが、ひくつくその孔は必死にオスを求めているように感じる。

 ―…いや、どうかし過ぎだろ俺。さっきまでの愛撫でヒューズでも吹っ飛んだか…?リーナちゃんはまだ何歳だと思ってるんだ。

 しかし、皮膚を開いた瞬間、どろりと俺の胸板に零れ落ちた粘液と、男を誘おうとするメス独特の甘いフェロモンにどうしてもそんなイメージが拭えきれない。見た目はこんな事をしていたら犯罪であろうと思うくらい幼いのに、それ以外がまるで熟練の娼婦のように男を誘惑してくるリーナちゃんの本当の姿が分からなくなり始めて、俺は混乱し始めていた。

 「お兄ちゃんも想像してみてねぇ…♪まだ誰も入っていないロリ筋マンコを押し広げてぇ…キツキツのオマンコでぎゅううって締め付けられてぇ…つぶつぶの膣で沢山気持ちよくなるの好きでしょ…?」

 ―それは恐ろしく甘美な誘いだった。

 人差し指と中指で広げられたそこは酷く欲情をそそられる場所だ。本当は目でじっと見る事も許されない秘部なのに、目を逸らすことも出来ず、見つめてしまうほど妖しい魅力に満ちた箇所だ。ひくつく孔を見ているだけで、しゃぶりついて征服したいと言うオスの本能を掻きたてられてしまう秘所なのだ。無論、俺の本能はそこを自分だけのものにしたいと一心に叫んでいる。

 「ロリ筋マンコ大好きってぇ…お兄ちゃんがロリコンだって認めてくれたらぁ…すぐにでもここを味あわせてあげる…♪」

 ―ろ、ロリコンだって認めれば………リーナちゃんを…自分のモノに……っ!

 けれど、そう思う反面、俺の理性――大事な一人娘を任せてくれたグレースさんへの義理とか、倫理観とかも無論、この中に入る――は未だ抵抗を続けていて、その言葉を口に出そうとはしなかった。けれど、そこから目を離せるほどの抵抗力は既に無く、沈黙が一分ほど続く。

 「…そう。やっぱり、まだまだお兄ちゃんは物足りないんだねぇ…♪」

 けれど、それはリーナちゃんにとって想定内の事だったらしい。後ろを振り向いて、俺を見下ろしているリーナちゃんの顔は、失望ではなく喜悦の色が浮かんでいた。てっきり怒るか何かをするかと思って居た俺にとって、まったく想定外だった表情を浮かべながら、リーナちゃんはそっと秘所から手を離し、隠すようにワンピースの裾を下ろす。まるでミュージカルの終幕のようにさっと垂れ下がってきた幕に、鮮やかな秘部が隠され、混乱を収め切れていない俺の思考は何処か残念な気持ちさえ感じてしまった。

 ―…いや、ちょ…残念とか違うからっ!!まったく思っていないからな!!!

 自分でも驚くほど素直に湧きあがってきたその感情を必死に否定する俺の心情が見えているのだろうか。リーナちゃんはもう一度嬉しそうにくすり、とした笑みを浮かべる。

 「じゃぁ…先にお口マンコ味あわせてあげる…♪」

 ―……え…?な、何を言っているんだ…?

 酷く卑猥なその言葉を疑問に思う暇もなく、前に向きなおしたリーナちゃんの顔が俺の視界から消える。おかしな表現だと思うだろうか?しかし、リーナちゃんの顔はより前屈となったその瞬間、ころりと首から転がり落ちるように俺の目の前から消えていた。

 「なっ…!?」

 無論、そんな光景を見て平然としていられるほど俺の神経は図太くは無い。頭の中は完全に真っ白になっていて、殆ど何も考えられなかった。それでも、声をあげなかったのは傭兵時代の経験のお陰であるのは間違いないだろう。戦場の中では不用意に声をあげたものが死んでいく事は珍しくない。そんな経験が何とか俺に叫ばせるのを堪えさせていた。しかし、それでも俺の上に跨っていた少女の首がいきなりなくなるなんて、三文恐怖小説でも中々無いであろう展開に叫ばなかったのを賞賛したいくらいだ。

 「うふふ…♪」

 けれど、そんな光景の張本人であるリーナちゃんは平然そうにそう笑い声を上げている。少なくとも彼女にとって今の姿は痛みや苦しみを感じる類ではないらしい。それに何処か安堵しながらも、リーナちゃんが人間でない事を唐突に思い出した。

 ―そう言えばデュラハンって…。

 前魔王の時代には首無し騎士だったらしい。今の魔王の代になって、戦力はそのままで――寧ろ純粋な戦力的にはより奮闘するようになって上がっていると言う話もあるが、俺はそこまで昔から生きている訳ではないから知らない――人間により近い姿になった…と噂で聞いた事がある。首が外れるのもその名残なのかもしれない。

 ―それにしても……いきなりは流石に心臓に悪い…。

 ちょっと人間としても真面目だと思うくらいしっかりと自分を保っていて、尚且つ美しい美女や美少女そのものな姿で毎日を過ごしているので、デュラハンの首が取れるなんてまったく想像もしていなかった。よくよく考えれば普段のデュラハンは首にネックレスのような金属製の器具をつけている者が多く、思い返すとその片鱗はあったのだろうが。

 ―まぁ、今のびっくりのお陰で若干冷静さを取り戻す事ができたのは御の字だ。

 あまりに衝撃的過ぎる光景を見せられた所為だろう。背徳感と被虐感に染め上げられ、興奮しきっていた思考の中にも理性が幾らか見えるようになった。これからどうされるにしても抵抗する意思が多少なりとも戻ったのは歓迎すべきだろう。

 ―って…あれ…?首からなんか漏れてる…?

 元々、首があったはずの場所から、ほわほわとした毛玉のようなものが飛んでいくのが見て取れた。それは例えるならケサランパサランの胞子が一番が近いだろう。しかし、ケサランパサランの胞子よりもずっと小さく、より多いそれは天井に当たる前に霧散して何処かへと消えていく。その光景は何処か幻想的ではあったが、正直、得体の知れないのは否定できない。ずっとすぐ傍で生活してきて、首が外れるなんて知らなかった所為だろうか。神話的にさえ感じるその光景に何かあるのではと身構えてしまうのだ。

 「それじゃあ……いただきまーす…♪」

 そうやって身構える俺の耳にリーナちゃんのそんな言葉が届く。そして次の瞬間、俺のムスコはぬめり、とした何かに包まれた。いや、何か、と言うのは正確では無いだろう。性器から感じる感覚は、俺にとって馴染みの無いとは言えない感触なのだから。けれど、その感覚――ドロドロとした粘膜と、生暖かい唾液に包まれる感覚は、俺の記憶が正しければフェラチオされているときに感じているもののはずだ。首の無いリーナちゃんがフェラチオなんて出来るはずが無い。

 「ちゅ…っ♪」

 ―うあ…っ…どうしてフェラなんて出来るんだ…!?

 くちゅくちゅと何かを含んでいるように聞こえるその声も、下半身から感じる感覚も間違いなくフェラチオされているものだ。…それも今までに無いほど甘美な。小さな体躯のリーナちゃんが精一杯頬張っているように感じるそれは締め付けられているようだ。まだ亀頭しかその感覚は無いものの、それだけで今まで放っておかれたムスコは堪え性無くその身を震わせている。

 「ちゅぷ…♪ふふ…っ♪お兄ちゃんどうなっているのか知りたい…?」

 ―そ…そりゃ…まぁ、勿論…自分が何をされているのかさえ分からないのは正直、怖い。

 リーナちゃんの事だから特に危害を加えられるとは思っていないが、やはり一般論として不安になるのは否めない。特に何かされているのは分かるが、それが何か分からない…となると、困惑さえしてしまう。
 けれど、それを声に出すと、ここまでリーナちゃんの言葉に反応しないように、と我慢してきたのが崩れてしまう気がしないでもない。悩んだ末、後ろで頷かれても分からないと思いつつも、俺は小さく頷く事で返事を返した。

 「そうだよねぇ…♪…じゃあ、ちょっとだけヒントをあげるよぉ…♪」

 言いながらリーナちゃんは、俺の顔を脇から見ていた。…いや、何を言っているのかわからないと思うが、俺もどうなっているのか分からない。しかし、はっきりと、彼女の目はリーナちゃん自身の脇から俺を見ているのだ。あまりの衝撃にパニックになりそうな気さえしたが、よくよく見ると、彼女の顔を落とさないように、リーナちゃん自身がしっかりと手に持っているのが分かる。

 ―つ、つまり、落とした首を手に持って、ムスコに押し付けていた…って事なのか。

 今のリーナちゃんは首元に何も巻いていない。少し前屈になってバランスが崩れた瞬間、ころりと首が外れていたし、そのままの状態ではフェラチオなんか出来るはず無いだろう。それだったらいっその事、最初から首を外して自分の手で上下させるほうが良い、と言う発想から来ているのかもしれない。納得こそ出来ないものの、理解は出来て、胸を撫で下ろした俺は、ぬるり、とした粘膜でムスコを撫で上げられる感覚に身体を浮き上がらせそうになってしまう。

 ―うぁ…ぬ、ぬめぬめして…っ!!

 本当に久方ぶりにムスコで感じる舌の感覚は艶かし過ぎるものだった。リーナちゃんの高い体温を思う存分に伝える舌は一舐め毎に甘くて熱い唾液を亀頭に塗りつけてくる。燃える様に熱い唾液を塗りつけられる感覚は何処か実際の性交にも似ていて、幼い少女に性交じみた事をさせているという強い背徳感が沸きあがる。

 「ふふ…♪お兄ちゃん…ちょっと舐めただけなのにそんな反応しちゃったら…すぐに射精しちゃうよぉ…♪」

 そのままリーナちゃんはまたも亀頭を咥えこんだようだ。さっきと同じようにぬるぬるとした粘膜に包まれ、どろどろの唾液が亀頭に降りかかるのを感じる。幼い子独特の高い体温が移っているのか唾液も粘膜もとても熱く、触れられているだけで興奮を高められてしまう。時折、頬の粘膜にこすり付けられる時など、それだけで射精してしまいそうになるほどだ。それだけは必死に堪えるが、鳥肌の立った背筋を浮かせる事を止められない。

 ―だけど、もしこのまま動かれたら…っ!!

 射精を堪える自信は正直、俺にはなかった。ぶら下がる二つの玉袋には今の今まで放っておかれた怒りを燃え滾らせる精液が開放の時を今か今かと待っているし、背筋はさっきから止まらないゾクゾクする背徳感に完全に支配されている。思考こそまだ抵抗する余地があるモノの、抵抗するだけで今の状況を解決する手段など持ち合わせては居なかった。

 「ちゅ…♪…ふむぅ…っ♪」

 頬一杯に俺のムスコを溜め込んだリーナちゃんのそのまま上下運動を開始する。普通よりもさらに一回りか二回りほど小さい唇で扱かれる快感だけでも、十分気持ち良いが、拙いながらしっかりと男根を這う舌の動きがそれに加わる。反応を見るようにしっかりと亀頭を嘗め回し、弄るように舌先で鈴口を苛めるその舌は、一挙一動ごとに慣れて始めているのが分かるほどだ。最初こそ戸惑うように触れるだけだったのが、裏筋などの要所要所ではしっかりと押し当てて性感を引き出していく。

 ―ちょ…やば…っ!これはマジで拙い…!やっぱ射精してもおかしくない…っ!!

 魔王城に娼館の類は無く、そもそも俺は今の今まで勃起不全だったので完全に、女日照りの毎日を続けていた。そんな俺の我慢なんて、必死に奉仕しようとするリーナちゃんの前では紙切れに等しく、我慢を越えてどんどんと射精への欲求が高まっていく。

 ―ま、待て…!ホント、待てって…!!!射精だけは駄目だ…堪えるんだ…!!!

 幼い少女を穢す背徳感を楽しむ変態も居るらしいが、少なくとも俺は違う。まして知り合いの女性から――しかも、この女性は俺の命の恩人と来ている――託された女の子を穢すような趣味は持っていない。…けれど、そう思う理性とは裏腹に、身体は敏感に反応してしまうのだ。
 舌先で亀頭を一撫でされるだけでも腰を浮かせそうになってしまうし、きゅっと窄めた唇で肉茎を扱かれる感覚は思わず喘ぎ声を上げそうになる。ずるずると引き上げられた唇が裏筋に触れる度にムスコ自体が震えるし、唾液を降らせながら、頬の粘膜に押し当てられるだけで我慢しようとする思考が削られてしまう。

 ―くそ…っなんで…こんなぬるぬるしてるんだよ…ぉ!

 俺のムスコを飲み込めば飲み込むほどどんどんとスムーズになっていく技巧も脅威だが、何より恐ろしいのは粘性が高過ぎる唾液だ。一度塗りつけられたら中々離れないそれらは何度も言うように強い熱を持っていて、それだけで興奮してしまう。そんな唾液がたっぷりと詰まった口腔を一杯になるまで飲み込まれるのだ。舌が這う度に、小さくリーナちゃんが息継ぎをする度に、唇を窄めてカリを刺激する度に、頬でぐりぐりと擦りあげる度に、どろどろとした唾液が襲い掛かり、ムスコ全体を快感の坩堝へと陥れようとしている。射精を我慢しようとしている側としては正直、たまったものじゃない。

 「ちゅぷ…♪…お兄ちゃんのロリコンオチンチン美味しいよぉ…♪」
 「あぐっ……い、いや…ロリコンに…なったつもり…は…」

 ―…って俺は何返事してるんだよ…!?

 思わずそう返してしまった事に瞬間的に自分の失策を呪った。今までは必死に反応しないように自分を抑えていたタガが外れ、さらに理性が削れて行くのを感じる。

 「ロリコンじゃなかったら何で反応してるのかなぁ…♪」

 ―そして、勿論、会話の糸口を見つけたリーナちゃんがそこから責め立てて来る。

 背中を向けられている状態なので、顔が見えないものの、リーナちゃんの顔には今、恐らく喜悦が浮かんでいる事だろう。隠し切れない、と言うか隠そうともしていないその喜びは間違いなく声にも現れていた。同時に言葉で責めようと男根から口を離した彼女は、時折、ちろちろと亀頭の先を穿りながら、顔を支えるのとは別の腕で俺のムスコを扱き上げている。

 ―は、反応するな…。落ち着け。何事も無かったかのように振舞うんだ…!

 こういった場面で一番、冷めるのは反応されない事だ。イエスでもノーでも、言葉を返すと言う事自体が、責め手の興奮を掻き立てる。今まででも我慢しきれない程だったのに、これ以上燃え上がってもらってたまるか、と俺は下唇を噛み込んだ。

 「ねぇ…♪なんでなのぉ…♪こぉんなに小さな教え子相手に欲情してるって…それってロリコンって事じゃないのかなぁ…♪」

 ―こ、こんなに欲情してるのは…ふ、不可抗力だ…っ!!!

 俺としても色々と弁明したい事がある。その小さな教え子に欲情して襲い掛かっているのではなく、寧ろ俺は今、現在進行形で襲われている事。抵抗できないまま快感を与えられたら男はどうしても反応してしまう事。そして男の本能の前には理性とか新兵ほどにしか役に立たない事。自分で小さな教え子と言うけれど、その技一つ取ってもそこらの娼婦に劣らない技術を持ち始めている事…などなど。他にも数え切れないほどあるが、その全てを口に出すわけにはいかない。

 「まただんまり…?都合の悪い事になったらすぐに黙っちゃうんだねぇ…♪」

 ―…あれ?なんか怒られてる気がしてきた。

 無論、それは俺の錯覚で、リーナちゃんは今も上機嫌に俺の男根を舐めている。けれど、その内容に、心当たりが山ほどある所為なのだろう。何処か項垂れて謝りたくなる様な気持ちが沸き起こってくる。

 「すぐに黙り込んじゃう悪いお兄ちゃんにはぁ…お仕置しなくちゃねぇ♪」
 「っ…!!」

 言って、リーナちゃんは扱いていた手を亀頭で止めてぎゅっとそこで力を込めた。男の中でも随一に敏感な箇所が四方八方から圧力を掛けられ、透明の涙を亀頭から漏らす。

 「ふふ…っ♪こんなに強くされても気持ち良くてカウパー漏らしちゃうんだねぇ…♪お兄ちゃんって本当…変態だぁ…♪」

 そのままリーナちゃんはそのカウパーを人差し指で掬い上げ、指塗りこむように亀頭を弄り始める。硬く熱を持った亀頭がぐにぐにと変形するほどだったが、カウパーを潤滑油にしている所為か特に痛くは無い。寧ろ、亀頭の先からはさらにカウパーを漏らして、もっと弄くってくれと主張しているようだ。自分でも情けないと思うものの、自分でどうにもならない部位の事なので諦めるしかしょうがない。

 「変態って言われてまたカウパー出てきてる…♪可愛いねぇこの変態オチンチン…♪」

 言いつつ、リーナちゃんは溢れ出てくるカウパーを亀頭だけでなく男根全体に広げ始める。粘液でべとべとになっている彼女の手が肉茎を行き来する度に強い悦楽が走り、思わず腰を引いてしまう。けれど、逃げ場なんて何処にも無く、俺はほぼ抵抗出来ないままカウパーで広げられるしかない。そしてその度に、俺は自前の潤滑油を提供し、理性や我慢と言ったものがゴリゴリと粉にされていく。そのループに出口はなく、いい加減、我慢できなくなりそうになってきた頃、リーナちゃんはそっと俺の男根から手を離した。

 「お兄ちゃんのカウパー塗れになっちゃったねぇ…♪とっても美味しそう…♪」

 そのままリーナちゃんは再び俺のムスコを口に含んだ。そして今度は舌をメインに、性感を高めていく。さっき自分で塗りこんだカウパーを全部回収しようと舐めあげるそれはさっきよりも格段に舌使いが上手くなっていた。唇など、他の責めがなかったからこそ耐えられるものの、唇や唾液などと同時だったら今の削れまくった我慢では耐え切れず、瞬時に射精していただろう。しかし、だからと言って気持ち良くない訳では無く、寧ろ腰を溶かされてしまいそうな温かさを送り込まれていた。それは幼い子供独特の高い体温も決して無関係ではないのだろう。

 「ちゅ…♪…また大きくなっちゃったねぇ…♪…そろそろお兄ちゃん出そうなのかなぁ…?」

 一通りリーナちゃんがカウパーを舐め取り終わった頃には、言われる通り射精への欲求が高まりきっていた。今すぐ暴発するほどではないにせよ、キッカケさえあれば今すぐに決壊してもおかしくないだろう。何とか歯を食いしばって、彼女を穢すのを堪えているが、身体的な我慢は既に限界を超え始めている。そもそもここまで我慢できた事が奇跡のようなものだから仕方ないと言えば仕方ないのだが…。

 ―けれど、もしリーナちゃんを精液で穢したら仕方ない…なんて言える訳が無い。

 その一念だけで、精神的な我慢が奮い立ち、何とか均衡を保っているのが現状だった。

 「最初は何処で射精したい…?このままお手手で扱いて欲しい…?お口マンコでまた舐めてあげようか?…それともぉ…♪」

 言って、リーナちゃんは扱いていた手をスカートの裾に送り、それを掴んで引き上げた。またも俺の目の前に晒されたその秘所は、さっきとは比べ物にならないほど興奮しているのが分かる。ぴったりと閉じている筋からは、重力に引かれて愛液が漏れ出ていて、その中にどれだけの愛液が詰まっているのか想像に難くないほどだ。さらに興奮で震える粘膜に引かれているのか、震える皮膚が動く度に、一筋の愛液がまたとろりと落ちてくる。彫像のような白い肌からどろりと透明な粘液が落ちてくる光景は、淫靡であると同時に心奪うほどの美しさを放っていた。

 「お兄ちゃんの舐めてるだけでこんなに濡れ濡れになっちゃったロリオマンコでたっぷり種付けしたい…?」

 ―その言葉と光景に一気に我慢が吹き飛ばされてしまう。

 射精の欲求に我慢できなくなったムスコはびくびくと震え、さらにその体積を一回り大きくした。その下に備え付けられている金玉がきゅっと収縮し、中に込められた精子を送り出そうと男根に密着するのが分かる。その動きに精神的に堪えようとするものの、濁流と化した欲望に飲み込まれて射精する事しか考えられなくなってしまった。理性が欲望に完全に飲まれるのに呼応するように視界が真っ白に染まり、背筋にはさっきまでとは比べ物にならないほどのぞくぞくとした感覚が走り、より深いところで射精しようと本能的に腰を進める。けれど、既にリーナちゃんの手は俺のムスコを握っては居らず、射精へいたる最期の快感を求めようとした腰は空振りに終わり、不完全な射精が始まった。

 「くっ…あぁ…っ!」
 「きゃっ……♪」

 不完全とは言え、幾らか鈴口から吹き出した精液は、リーナちゃんの顔を汚したのかもしれない。可愛らしい小さな悲鳴も聞こえた事だし、その想像は強ち外れているものでは無いだろう。
 しかし、不完全とは言っても幾らか吹き出るほど精液が出たのと言う事は、それだけ俺が溜まっていたと他ならない。無論、ある程度すっきりして思考が晴れてきたものの、尿道に精液が残っているような感覚が未だ続き、何処か物足りない感じがする。

 「もぉ…言葉だけでイッちゃうなんて…お兄ちゃん早漏過ぎだよぉ…♪」

 責めるような言葉とは裏腹に喜悦を声に浮かばせて言うリーナちゃんは、顔を脇に抱きかかえて、精液の飛び知った顔を見せ付けるように微笑んでいた。そのまま白い肌にねばねばと張り付き、どろりと唇まで落ちてきた精液を、舌でぺろりと舐めて、満足そうに目を細める。その表情は未だ晴れない欲情を一杯に溜め込んでいて、とても淫靡だ。今にも決壊しそうな欲情を幼いリーナちゃんが感じているのをまじまじと見せ付けられるような光景は、何処か美しい。顔を染めた白い精液を舐める様も淫蕩に蕩けた今の彼女にとってとても似合う姿のような気がする。

 「んっ…♪…お兄ちゃんの精液…思った通り、とっても美味しい…♪」

 ―それは…喜んでいいんだろうか。

 そりゃ、不味いと言われるよりも嬉しいが、この状況でそう言われると嬉しいと思うよりも先に再び本能に火がついてしまう。元々、何年ぶりかの射精だったのに、最後の最後で快感が足りず何処か物足りないものだったのだ。それで男の本能が満足しているはずもなく、復活のキッカケを与えられたムスコは萎える気配も見せずにそのまま孤立している。

 「お兄ちゃんも…まだまだ射精し足りないんだよねぇ…♪」

 そして元気に孤立するムスコを見て、嬉しそうに言うリーナちゃんの言葉が聞こえてくる。否定したいが、現状的に否定する要素が何も無い。少し冷静になった視線を、未だ見せ付けられたままの秘部から逸らすのが、俺に出来る精一杯の否定表現だった。

 「ふふ…♪こんなに一杯の精子掛けられちゃったから…私も我慢できなくなっちゃったぁ…♪」

 そのままリーナちゃんは俺を床へと押し付けていた腰をそっと持ち上げた。自由になった胸を必死に持ち上げて床へと座り込むような姿勢になった瞬間、仁王立ちでこちらへと振り向いているリーナちゃんの姿が見える。後ろから見えてはいたものの、彼女の首が外れて、両手で支えられているのはやはり慣れない。さらに、その可愛らしい顔や細い腕に白い精液がべったりと張り付いているのだから、衝撃と背徳感の中で、今の自分の感情が何なのかさえ分からなくなり始めていた。

 「さぁ…もう良いよねぇ…?お兄ちゃんは幼い私にだって射精して顔を穢しちゃうロリコンさんなんだって認めるよねぇ…?」

 ―い、いや…だけど……それは……。

 確かに射精こそしたが、それこそ男の本能な訳で…気持ちよかったらやっぱり射精しちゃう訳で。…いや、そもそも幼女相手に勃起してしまうのがロリコンの証なのか…?だけど、性的な快感を与えられ続けたら勃つのは仕方ないんじゃないか?…そもそも性的な刺激をリーナちゃんに与えられるって事自体、異常性癖の証のような気も…。

 ―結局、俺の中で答えは出ない。

 けれど、段々、否定する言葉が弱くなっているのが自分自身でも分かる。最初の頃のようなロリコンでは無いと自信を持って言えるようなモノは既に無く、自分の中でも「そうなのではないか?」と疑念の声が上がっているし、もしかしたら、このままなし崩し的に認めてしまうのかもしれない。

 ―それでも…抵抗を止めるわけにはいかないだろう。

 劣勢になったとしても、俺の中の理性とか倫理観とか義理は抵抗を止めない。この一時間にも満たない時間の中で、ゴリゴリと削れているものの、それでも白旗を揚げるほど俺の二十数年築き上げてきたそれらは柔ではないのだ。

 「そう…まだ認めてくれないんだねぇ…♪…でも、もう一押し…かなぁ…♪」

 そんな俺の心情を的確に読み取ってくるリーナちゃんはそっと微笑んだ。それは明確な目標にもうすぐ手が届く事に達成感を覚えているアスリートようなものでもあり、もうすぐ堕ちる男を喜んで受け入れようとするメスのようでもある。完璧に心情を見抜かれた驚きと、予想以上に喜悦を覚えているリーナちゃんの姿に、俺の胸は間違いなく高鳴った。

 ―…い、いや、今のはやばいだろ流石に…!

 自分でも驚くほどその高鳴りは強く、激しいものだった。油断していたら、それだけでロリコンだと認めてしまいそうな程の高鳴りは、その瞬間ほど激しいものではないにせよ、俺の動悸を未だに早くしている。ここまでの衝撃を受けるのは…正直に言えば初恋以来かもしれない。

 「じゃあ…トドメと行こうかなぁ…♪……さぁ、お兄ちゃん…私のここ…見てぇ…♪」

 言って、リーナちゃんはそっと一歩踏み出した。胸の上に圧し掛かっていた時と同じか、それ以上に俺の顔と近づいた彼女の肢体は、そのままそっとワンピースの裾を持ち上げ、そしてそのままぱさりと俺の頭に被せる。予想もしなかった展開に必死に逃げようとするが、片手で頭を捕まえられ無駄な抵抗に終わってしまった。

 「さぁ…お兄ちゃんの所為で濡れ濡れになっちゃったロリマンコ…♪じっくり見てねぇ…♪」

 そう言って下腹部に押し付けてくるのに抵抗できないまま、俺はせめてもの抵抗とばかりに必死に目を閉じた。…けれど、視覚を閉じると言う事は、他の感覚が研ぎ澄まされてしまうと言う事だ。自然、敏感となった嗅覚はワンピースの中で熟成された甘いフェロモンをより強く意識してしまう。

 ―……なんだこれは……なんて…甘い……。

 甘い甘いメスの体臭に必死に呼吸をしないように心がけるが、元々、スカートの中には酸素が少ない。一度の呼吸で取り込める量などたかが知れていて、身体がもっともっとと酸素を求めて呼吸を繰り返してしまう。勿論、その度に酸素だけでなく、オスを興奮させるメスのフェロモンも吸引して、思考がまたも鈍り始めるのが自分でも分かった。

 ―やめ…っ落ち着け…!冷静になるんだ……!!!

 さっきも蜂蜜のようなと感じていたフェロモンは、服の内部で熟成されている所為か、更に甘さを増していて、甘ったるいくらいだ。砂糖と蜂蜜をミルクの中に突っ込んだらこれくらい甘くなるのかもしれない、と思う程のそれは、しかし、意外なほど不快ではない。最初こそ甘さに敬遠してしまうものの、嗅いでいると中にはリーナちゃん自身の体臭――太陽を一杯吸い込んだ布団のような――も交じり合っていて、それがスッと後を引くアクセントとなっている。甘さだけが強調されていないフェロモンは驚くほどの中毒性と、そして射精をして取り戻したはずの理性を吹き飛ばしかねない破壊力を持っていた。

 「ふぁ……♪お兄ちゃんの息が当たってちょっとくすぐったい…♪」

 さらに、媚びるようにそんな事を言うのだから反則だ。視覚を閉じて敏感となった嗅覚がただでさえ、自分の心臓の鼓動の音と、触れ合っているリーナちゃんのすべすべとした下腹部から鼓動を感じるほどなのに、喘ぎ声にも近い声を漏らされて理性がゴリゴリ削られていく。
 さらに押し当てられている部分から幼い子独特のあの肌の滑らかさを感じさせられ、否応無く意識してしまうのだ。目が見えない分、滑らかな肌に淫らな妄想を掻きたてられそうになり、倫理感もまた磨り減っていく。

 ―こ…これは…目を閉じた方が危ないかもしれない…っていうか…このままじゃ我慢なんて無理…だろ…!!

 嗅覚聴覚触覚…その三つから容赦無く襲い掛かる情報量は視覚のそれを超えている…ような気がする。どの道、このままだと理性も倫理感も限界近い。なら、既に二度ほど見ていて耐性のあるであろう視覚を開いたほうが良いかもしれない、と開いた俺の目に、薄く朱にそまった純白の肌と…ひくつくリーナちゃんの秘所が目に入った。胸の上で圧し掛かっていた時よりもさらに近く見せ付けられたそこは、我慢できないと主張するかのように皮膚の上からでも分かるほど、はっきりと蠢いている。

 「ふふ…♪お兄ちゃん、見えたぁ…?また息が激しくなったよぉ…♪」

 からかうように言ってくるリーナちゃんに反論する言葉も今は思いつかない。既に二度ほど見ているから、なんて甘い考えに過ぎなかった。何度見ても目を惹かれるどころか、その美しさに心奪われそうになる。自然、秘部を見つめる事に思考の殆どを割かれて、荒くなっていく吐息は抑える事が出来ない。

 「じゃぁ…今度は想像してみてねぇ…♪今見てる私のロリマンコを押し広げて、挿入するんだよぉ…♪」

 俺の理性は、言われるままに想像するのを必死に止めようとしていた。けれど、それは無駄な努力にも近い。既に思考の殆どを奪われてしまった俺の耳には抵抗しようとする考えすら浮かばず、言われたままに脳裏にその姿を浮かばせてしまうのだ。

 「誰も入った事のないキツキツの処女マンコに、お兄ちゃんのおっきいオチンチン包まれちゃってぇ…♪」

 「まだ準備できていないからって抵抗しようとしてキツく締めちゃう膣を捻じ伏せて突き進んでぇ…♪」

 「ぶちぶちって処女膜千切って、それでもまだ奥に挿入れしちゃってぇ…♪」

 「コツンって子宮口で当たっても、全部入りきらなくてぇ…♪」

 「孕む準備も出来てない子宮まで陵辱して、奥の奥で何度も射精しちゃうんだよぉ…♪」

 ―その妄想はとても甘美な猛毒だった。

 麻薬のように甘美で危ないその猛毒に思考まで染め上げられていく。きっと脳髄まで犯される感覚と言うのはこういう事を言うのだろう。言葉全てが抵抗無く入り込んできて、言われるがままに想像してしまった。そして、その想像が俺の中に最後に残った理性や倫理感をドロドロに溶かしていく。

 「ふふ…♪お兄ちゃんのオチンチンは正直だねぇ…♪さっきから早く挿入して欲しいってぴくぴく震えてるよぉ…♪」

 リーナちゃんの言う通り、俺の男根はもう我慢できないと言わんばかりに怒張し、血が血管を駆け抜ける度に、その身を震わせていた。それはもはや俺の意思ではどうにもならない生理現象にも近い。さらに、今すぐにでも目の前に居る彼女を押し倒して、その小さな身体を陵辱し、自分の色に染め上げたいと俺のムスコは全力で主張していて、思考をそれ一色に染め上げようとしていた。

 ―ああああああっ…っリーナちゃんの膣の中に…挿入して思いっきり蹂躙したい…っ!!!

 無論、そう考えるだけが俺の思考の全てではない。けれど、確実にそう考える割合は増えてきていた。既に喰いとめようとする理性とほぼ同じにまで育ったその思考を止める事が精一杯で、頭の中から追い出すことはもう出来ない。

 「あ…♪先から白いカウパー漏れてきたよぉ…♪さっきの残りなのかなぁ…?」

 ―教え込むように甘く蕩けた声もまたそれを助長する。

 なんとかそれを堪えようにも五感の内四感が敵に回り、ムスコまで寝返った今、あまり芳しい結果になっているとは言えない。ゾクゾクとした興奮が背筋を這い上がり、より目の前の状況に思考力を奪われていくのだ。もはや、ぎゅっと握った左腕の痛みだけが、俺のマトモな思考を支えている拠り所だと言っても過言ではない。それ以外はもう殆ど俺の理性を削り取ろうとするものばかりになってしまったのだ。

 「私…もぉ我慢できなくなっちゃったぁ…♪」

 言いながらすっとリーナちゃんは俺から離れていった。自然、彼女が身につけているワンピースも、それに従って俺から遠ざかる。理性が完璧に削り取られる寸前に何とかなった、と言う事に内心、胸を撫で下ろしながらも、何処か残念に思う気持ちを否定することはできなかった。俺の殆どがリーナちゃんに支配され、埋め尽くされていた状態は、猛毒ではあるが、それ以上に甘美でもあったのだから。ワンピースの中で薄い酸素を味わっていたので、存分に味わえる空気に胸が一杯になるのを感じながら、何処か物足りない気がしてしまうのも仕方の無い事だろう。倉庫の中の少し埃っぽい空気の中には、あれだけ濃厚なリーナちゃんの体臭は決して無いのだから。

 ―…いや……ちょっと待て。これってやばくないか?まるで中毒みたいな思考だったんだが…!?

 さっきの自分の思考を思い出しながら、ふとそう思ってしまう。しかし、欲望に邪魔される脳では思うだけでしっかりと順序だてて考える事ができない。何かが自分の中で確実に変わっているような気がするものの、気がするだけで証拠まで思い至らず、その対策などもっての外だった。それでも何とか思考を纏め上げようとするが、抵抗していると言うポーズや言い訳のようなものに近く、殆ど意味を成していない。
 
 「うふふ…♪お兄ちゃん見てぇ…♪」

 誘うように言うリーナちゃんに思考を止めて、目を向けると何時の間にか彼女は俺の腰の上に膝立ちになっていた。両手でワンピースの裾を思いっきりたくし上げているので、まだしっかりとくびれのついていないなだらかなお腹まで全部が露になっている。無論、さっき嫌と言うほど見せ付けられていた秘所も丸見えで、さっきと同じように時折、とろとろとした粘液を吐き出していた。三度目の正直…と言う訳にもいかず、俺の目はまたしても、幼い少女が痴女の様に発情しているギャップに目と思考を奪われ、何も言えないまま見つめてしまう。

 「私の処女をお兄ちゃんが奪っちゃうところぉ…じっくり見てねぇ…♪」

 ―処女…?え…?い、いや、待てって!それはやばいだろ…!?

 リーナちゃんの言葉に勢いを取り戻したのは理性側だ。それも当然だろう。流石にここまでやって言い訳できるとは思っていないが、処女を奪ってしまうなんて事態になったら本気でグレースさんを始め世間様に顔向けできない。せめて、それだけは抵抗しなくては、と一瞬だけ冷静になるものの、身体は未だ本能の支配下にあるようで身じろぎ一つしてはくれなかった。
 それをリーナちゃんは了承の意と受け取ったらしい。一瞬、魔物娘のそれではなく、彼女自身の笑みを浮かべて、ゆっくりと腰を下ろしていく。そのまま硬く反り返った亀頭と、リーナちゃんの秘所が触れ合い、くちゅり、と粘膜同士がこすれあう音がした。初心な少女であれば聞くだけで顔を赤らめるであろう程、性的な響きに満ちた音に怯む様子もなく、リーナちゃんはそのまま腰をグラインドさせて、二つの位置を調整する。初体験とは思えないほど手馴れた様子に何処か感嘆めいた気持ちを感じるが、それを自分の中で消化する間も無く、リーナちゃんの腰は一気に降りてきた。

 「あっくうううううぁっ…♪」
 「ぐぅ……っ!!」

 てっきり挿入前にもう一度、言葉で責められると思っていただけにそれは完全に不意打ちになった。もしかしたら、リーナちゃん自身も限界だったのかもしれないと、思ったのも束の間の事で、襲い掛かってくる圧迫感は俺に情けない声を挙げさせる。

 ―きっ……つぅ…!!

 そこは予想はしていた以上にきつい場所だった。ムスコの四方八方から押し付けられるのではなく、孔を無理矢理押し広げる…と言った方が近いだろう。未発達の膣穴は十分に濡れていたものの、やはり抵抗は大きく前に進む気がしない。いや、強引に捻じ込めば無論、可能なのだろうが、下手に進めばリーナちゃん自身が壊れてしまいそうな程、そこはまだまだ未発達な箇所だった。

 「ふぁあああああ…っ♪」

 けれど、リーナちゃんにとってはそれはどうでも良い事らしい。ムスコから感じる感覚だけでさえ無理だと感じるのに、お構いナシに腰を下ろしていく。その動きはやっぱり辛いようで遅々としたものだが、それでも一秒だって腰を止める事はせず、ムスコを飲み込み続けていった。
 そして、俺の男根は彼女に導かれるままに処女膜に到達し、それを無情にも破り去る。薄い膜のようなものが触れたと思った瞬間、それを引きちぎった感覚は、当事者ではない俺にとっても痛々しいものだ。それはリーナちゃんにとっては地獄とも思える苦痛であったのかもしれない。ここまで何事も無かったかのように腰を進め続けていたのが、処女膜を破った瞬間から止まってしまった事からもそれは何となく分かる。

 「あはぁ…♪お兄ちゃんに…処女あげちゃったぁ…♪」

 間を保たせる為か、精一杯微笑んでリーナちゃんは言う。けれど、その表情はやはり何処か歪で、苦痛に歪んでいるように見える。それも…当たり前だろう。デュラハンが魔王軍の中核で痛みに強い魔物娘だと言っても、こんなに幼い状態で男を迎えるようには出来ていないのだから。自然、その無茶は彼女自身に跳ね返ってくる。…かつての俺が戦場で先行し孤立したように。

 ―…俺は何を意地張ってたんだろうなぁ…。

 いや、意地と言うより自分の事しか考えていなかった、と言うべきか。ここまでされてようやく気づいたが…俺自身のことよりもリーナちゃんの事を気遣ってあげるべきだったのだろう。抵抗をすると云々と言うそれらしい言い訳を並べておいて、やっている事は結局自己保身ばかりで、彼女の事を止めようだとか無謀な事を止めさせようだとか、そんな意識は殆ど…いや、まったく無かったと言っても良い。嘘でも何でもロリコンであると認めていれば、リーナちゃんをここまで追い詰める事はなかっただろう。

 ―そして…今、リーナちゃんには俺しか居ない。

 かつて無茶をして右腕を切り落とされた俺を助けてくれたグレースさんもいない。リーナちゃんの父親も、俺の悪友二人もいないのだ。今、ここにリーナちゃんといるのは俺だけで、護ってあげるのも助けてあげるのも俺だけにしか出来なかったし、そして…これからも出来ないだろう。

 ―今更、間に合うとは思わないけれど…。

 もうリーナちゃんの処女膜は奪ってしまった。それはもう完全に手遅れだ。俺のように鈍感で自己保身ばかりの救いようの無い馬鹿に、リーナちゃんが処女を捧げたと言う事実はもう変わらない。それでも、まだ出来る事があるのならば、やるべきだろう。…俺が憧れたグレースさんのように。

 「もう…良いから…っ!」
 「え…?」
 「ロリコンだって認めるから、もう無茶なんかしなくて良いんだ」

 一時間ぶりくらいに搾り出した言葉は何処か咽喉に絡みつく鬱陶しさを持っていた。けれど、吐き出された言葉はしっかりとリーナちゃんに届いてくれたらしい。きょとんと意外そうな顔をしている彼女を見てればすぐにそれが分かる。

 「だから、もうこんな事は…」
 「…じゃあ、何も問題ないよねぇ…♪」

 ―あっるぇー…?

 てっきりこれで終わるかと思ったのに、何故かリーナちゃんは喜色を顔一杯に浮かべながら、腰をさらにぐいっと下ろした。処女膜の奥にある文字通り処女地を俺のムスコが今度こそ蹂躙し、ぷにぷにとした子宮口へと到達する。俺たちが繋がっている場所を見ると、痛々しいほどまでに広げられて膨れ上がる程圧迫されている秘所から一筋の血が流れ出ていた。

 ―み、見るからに痛々しい光景なんだが…。

 ムスコ越しに感じる感覚もまだまだ圧力が強く、快感よりも圧迫感の方が感じるほどだ。痛みに震える膣内はぴくぴくと痙攣していて、まだ慣れる気配は無い。…なのに、リーナちゃんは顔一杯に喜悦を浮かべていて、まったくそれを感じさせないのだ。さっき顔を痛みに引きつらせていたのがまるで演技に見えるくらい全身で喜びを表現している。

 「ふふ…♪お兄ちゃんのロリコンチンコ…私の中に入っちゃったぁ…♪」
 「あっ…くぅ…!!!…い、痛く…無いか…?」
 「勿論、痛いけど…それもまた気持ち良いからぁ…♪…それに…♪」

 言いながらリーナちゃんは首を俺の胸に当てるようにそっと身体を倒してきた。挿入角度が大きくなり、押し当てられる膣の部分も変わる。当然、ムスコは背中側に押し当てられる新しい感覚に身を困惑するように身を震わせた。まだ慣れていない膣の中で震える感覚に、彼女の身体にも緊張のようなものが走る。けれど、リーナちゃんはそれに構う事なく、俺の胸に顔を埋めた。

 「好きな人とえっちするのってぇ…女の子にとっては一番幸せな事だし…♪」

 ―ちょ……こ、このタイミングで…とか…反則だろ…!?

 流石にここまでされて好意をもたれていないと思う程、女心に鈍感ではない。ましてや相手は真面目で通っているリーナちゃんなのだ。真面目な子ほど乱れていると言う事もあるかもしれないが、少なくとも、俺の見る限り、何とも思っていない相手に、こんな事をするような子ではない。だから、リーナちゃん自身の好意には気づいてはいたものの、こうやってはっきり口に出して言われるのは新鮮な反面、何処か気恥ずかしいと感じてしまう。そしてその気恥ずかしさが興奮と結びついて、本能側を優勢に立たせるのだ。マイノリティと化した理性は、本能のまま腰を動かしてリーナちゃんを無理矢理自分の色に染め上げて蹂躙しようとするのを阻止するので精一杯になっている。

 ―も、勿論、嫌な訳はないんだが……。

 元からそれと無く感じていた所為か特に困惑のようなものも無い。それどころかはっきりと好きと言われて、一番大きいのは歓喜の感情なのだ。それが異性に対するものなのか、それとも家族同然の相手に対するものなのかまだ自分自身でも判らないが、またロリコンと言う事を否定できない状況証拠が詰みあがっていくのが見えた気がする。

 ―…い、いや、それよりも告白されたら返事をするのが礼儀だろう…!?

 思いも拠らないタイミングでの告白に、性欲に半ば思考を支配されている俺は何と返事を返そうかと言葉を捜す。けれど、自分の中ではっきりと感情が決められていないのに、言葉など見つかるはずも無く、視線を外す事しか出来ない。肯定でも否定でもなく、このタイミングで現状維持を望むというのはどれだけ卑怯なんだと自分自身でも思うが、それでも俺にはどうすればいいのか分からなかった。
 そんな俺の迷いがリーナちゃんにも伝わったのだろうか。俺の胸の中でくすり、と小さく笑い声を上げた後、その可愛らしい顔をすりすりと摺り寄せてくる。彼女のキメ細やかな肌が俺の胸の中で触れる感覚が心地良く、それだけで何処か夢見心地のような気分になってしまうのだ。そして、そのままリーナちゃんは答えを求めず、話題を転換する。

 「うふふ…お兄ちゃんのお胸…暖かぁい…♪」
 「暖かいのは俺じゃなくてリーナちゃんの方だと思うんだけどなぁ…」

 幼い子供が体温が高いというのは都市伝説ではなく本当の事なんだろうと思う程、リーナちゃんの肢体は暖かい。彼女の身体からは春の日の下でたっぷり干した布団の匂いがするが、体温はその干した布団に勝るとも劣らないほど暖かく、そしてこうして抱きつかれているだけで性的興奮と共に眠気を呼び起こされる程、優しいものだ。

 「えー…お兄ちゃんの変態…♪」
 「え…い、いや、な、何でだよ?」
 「何か今のえっちだったから…♪」

 ―まったくそんなつもりはなかったんだが……。

 しかし、言われてみると、しっかりと性交している状態で、暖かいとか言ったらそういう意味に取れなくもない。まったくそんな意図は無かったものの逆の立場であれば同じような連想をしないと言ったら嘘になってしまう。

 「…ん…少し…慣れてきた…かなぁ…♪」

 下らない話をしていたのがプラスに働いたのだろうか。リーナちゃんの言うとおり、その身体には最初のような過度の力は入っておらず、緊張も解れ始めていた。膣の締め付けも最初よりも大分楽になっていて、まだまだキツいけれども抽送が出来る程度には開き始めている。膣内に満ちていた愛液も潤滑油としての本来の役割を果たせるようになり、快感を増大させていた。

 「動く…ね♪」

 宣言してからリーナちゃんは頭を俺の胸に預けたままの体勢で、腰を動かし始める。最初か感覚を確かめるように、ゆっくりと引き抜いていき、そして腰を下ろすのだ。あまりにも遅々としていて、何処かもどかしい気もするがまだ辛いだろうに腰を動かしている彼女にそんな事は言えない。俺はただ、リーナちゃんが少しでも辛くないように本能のまま腰を動かしたくなるのを堪えるだけだ。

 ―そ、それに…っもどかしいながらも…これはまた…!

 一回二回と抽送を繰り返す度に慣れてきたのか、それとも痛みに反応した本能が潤滑油を増やしているのか、その腰の動きはどんどん早くなってきた。最初は苦痛が強かった声もどんどんと艶やかなものが混じり始めていて、感じ始めているのが一目で分かる。同時に膣の中も少し緩んで、最初のような圧迫感は殆ど無い。しかし、締め付けが緩いと言うほどではなく、寧ろ強目に感じる程だ。そんな状態で快感を感じないほど俺のムスコは不感症では無いので、ようやく与えられ始めた性感にカサを大きく広げて、喜びを表現している。

 ―そしてごりごりってカリにまとわり着いてくるのが…っ!!!

 無論、カサを広げた分、男として敏感なカリの面積が増える。そうなると、愛液をどろどろに吐き出しながら締め付けてくる膣が容赦なくそこに襲い掛かるのだ。

 「あっはぁぁ…♪」

 そのカサが膣内を引き上げる感覚に既に快感を感じているのだろうか。腰を引き抜く度にリーナちゃんはそんな鼻の抜けた声をあげる。一度、聞けば誰もが認めるほどに強く快楽を得ている声に、男として強い満足感を覚えるのも束の間。離れて欲しくないと言わんばかりにぎゅっと締め付けてくる膣に喘ぎ声を上げそうになってしまう。

 ―ちょ……も、もう射精したくなる…とか……笑えねぇぞ…!

 無論、リーナちゃんの膣はまだまだ未発達だ。オスを悦ばせる為の突起はあまりなく、まだまだ平坦と言わざるを得ない。魔物娘でもあるのだからこれからどんどんそのメスの部位も成長していくだろうが、今はまだ性徴途中であると言うのが相応しいだろう。しかし、彼女にはそれを補って余りある締め付けと、そして何よりそんな幼い膣を蹂躙していると言う征服感と背徳感がある。熟練の娼婦では決して得られない、この年頃の女の子で限定の感覚が、俺の脳髄をどんどんと溶かし、背筋に鳥肌を浮かばせるのだ。

 「お兄ちゃんのぉ…ぴくぴくってすっごい震えてるよぉ…♪」
 「そ……そりゃ…気持ち良いからな…っ!」

 それは偽りのない正直な気持ちだ。まだまだ未発達の秘所は、それ故の妖しい魅力と快感に満ちている。普通であれば決して味わえないそれらに耐える事なんて出来るはずも無い。背中に浮かび上がる鳥肌はどんどんとその面積を広げ、俺の思考を本能一色に染め上げていく。
 そして、ムスコもまたカサを大きく広げて、リーナちゃんの膣をごりごりと削りあげるのだ。今や俺の男根は抜けそうになるくらい一杯に引き抜かれる度に膣の入り口が盛り上がる程の大きさになっているが、彼女はそれに苦痛を感じている様子は無く、嬉々として腰を下ろしていく。そして、その度に慣れ始めた膣が甘えるように締め付けてきて、陶酔にも近い痺れを背筋に伝えてくるのだ。

 「お兄ちゃんも…っ?わ、私も…ぉ…気持ちよくなってきちゃったぁ…♪」

 そうリーナちゃんが言うが、今や彼女の表情を見るだけでそれが一目で分かるほどになっていた。嬌声をあげる口の端からは透明で粘性を持つ唾液が零れ落ち、きらきらと光に反射しているように感じる。さっきまで苦痛に塗れていたはずの目は今や完全に欲情に染まりきっていて、焦点も合っていない。そして目尻からは苦痛とは違う涙が零れ落ちて、歓喜に赤く染められた頬を濡らしているのだ。その他にも珠の汗を浮かべて、頬と同じくらい高揚している肌も、抜き差しするたびに、愛液を掻き出されている膣も全部が全部、はっきりと快感を感じているのだと教えてくれる。
 その姿はとてもアンバランスな姿と言えるだろう。幼い少女が、娼婦顔負けの姿で明らかに快楽を享受しているのだから当然だ。見ているだけで背徳感を沸きあがらせる姿は、けれど、それ以上に美しい。学の無い俺にはそれを表す言葉を明確に見つける事は出来ないが、俺の中で一番近い言葉をあげるのであればそれはやはり『芸術』であるのだろう。

 「お兄ちゃんのおっきいロリコンチンコでぇ…まだ子供のオマンコ開発されてぇ…♪お兄ちゃん専用にされちゃってるんだよ……ぉっ♪」

 叫ぶように言うリーナちゃんの言葉通り、膣はどんどんと抽送に慣れ、的確に俺の弱点を突いて来るようになっていた。オスを射精に導こうとする突起こそ未発達で、弱いものの、その余りある締め付けを有効に活用し、押し当てるように突起で撫でてくる。裏筋を幼いつぶつぶの突起で擦り上げられる度に、背筋にぞくぞくとした快感が走り、また一歩射精へと近づいていくのが自分でも分かるほどだ。そして、射精への期待へと身を振るわせる男根が、膣を悦ばせ、奥からどろどろとした熱い粘液を呼び出す。それを潤滑油にしてさらに膣は激しくムスコを責めたててくるのだ。

 「浅いところをねっ擦るのもぞくぞくしちゃって気持ち良いんだよぉっ♪膣肉全部引き出されそうなくらい立派なカリ首にぃ♪気持ち良いところ全部擦られてオシッコ出ちゃいそうになるくらい…っ♪」

 言いつつ、リーナちゃんは足に力を入れて膝立ちになりながら浅い部分でムスコを味わい始めた。快感の所為か、生まれたての動物のようにがくがくと足を震わせながらも、必死に腰を使って快楽を貪ろうとする姿は見ていて征服欲を強くそそられる。同時に足を使えない所為か、単純に腰を上下するのではなく、左右の捻りが加わり亀頭を擦りあげるような腰の動きは、さっきから満足できずに自己主張し続けているムスコを射精に導くのに十分過ぎるものだ。自然、びくびくと男根を震わせて、腰を浮かび上がらせてしまう。

 「ひゃああっ♪」

 それにリーナちゃんは驚くくらい大きな嬌声を上げた。俺が能動的に動くなんてきっと想像もしていなかったのだろう。予想外の快感に震わせていた足をがくっと脱力させ、身体をすとんっと落としてくる。自然、入ったままのムスコは今までに無いスピードで膣を掘り進み、愛液の源泉である膣奥とごつりとぶつかった。

 「ぐぁあ……っ!」
 「やああああっ♪」

 今までに無い衝撃が俺とリーナちゃんの身体に走り、強い性感が走る。目の裏で火花が散ったと思った瞬間、俺の理性は完全に瓦解した。今まで必死に抑えていた腰の動きを解禁し、下からリーナちゃんの肢体を思う存分貪ろうと突き上げ始める。その動きに、小さいリーナちゃんの身体を気遣うような遠慮は見当たらず、ただ、目の前のメスを自分色に染め上げようと必死になるオスそのものだった。

 ―リーナちゃんを染め上げる…俺が…っ俺の色に……っ!!!

 「やらっ♪お兄ちゃっ…激しっ……っ♪」

 そしてその動きにリーナちゃんはやはり着いて来れていないようだ。腰が抜けてしまったのか、すとんと腰を落としたまま必死に俺の身体にしがみ付いている。けれど、膣内はようやく味わうオスの抽送に歓喜を感じているのか、抵抗の気配を一切見せず、より激しく精を貪ろうと甘えてくるのだ。そして、その甘えるように突起を押し付けるその蠢きがどんどんと早くなり、ぎゅうっと締め付けたまま奥へ奥へと誘うものになっていく。

 ―うぁ……ぁ!リーナちゃんも欲しいんだな…!射精…して欲しいんだな…っ!!!

 それ一色しか考えられない俺はより激しい抽送を繰り返す。膣に、奥に、子宮に、激しく、強く、荒々しく射精する事しか考えられないのだ。

 「あああっ♪嘘ぉぉっ♪これ…これ変だよぉ…っ♪浮いちゃう…っ私…飛んじゃ…ぁああっ♪」

 叫びながら快感を耐えるように身体を丸め、全身を振るわせるリーナちゃんの膣穴からはぴゅっと白濁した透明な液体が飛び出し、愛液とお互いの汗でどろどろになっている俺の腹部に白い染みを作る。膣内もまるで痙攣しているように強く震えているので、恐らく絶頂を極めているのだろう。初めてなのか戸惑うように声をあげ、舌を突き出しながら快感に飲み込まれている。けれど、そんな様子を見ても、俺の中のオスは止まらずに今度こそ射精の感覚を存分に味わおうと無慈悲に膣内を蹂躙していた。

 「らめっ♪イってぇぇイッてるからあああっ♪奥ごつごつしちゃまたイッちゃああっ♪」

 ―イって……!もっとイけ…!もっと俺のモノに…っっっ!!!

 舌足らずな声で精一杯制止するものの、その声は俺の中のオスを助長する結果にしかならなかった。快楽に蕩け、自分の上で無防備に身体を晒すメスの声に、ここまで来て止まれる男なんていないだろう。寧ろその声により興奮を掻き立てられ、射精しか考えられなくなっていくのだ。

 「やらあああっ♪そんなに暴れたら子宮開いちゃうぅっ♪子宮までお兄ちゃん専用になっちゃうよおおおっ♪」

 ―その声に欲望を掻きたてられないオスはいないだろう。

 射精しか考えられない今の状態で、そんな事を言われたら子宮ごと征服してしまいたくなるのが男だ。膣もそれを歓迎するようにちゅっちゅと吸い付いてくるし、我慢など出来るはずも無い。自然、さっきよりも腰を激しく、そして大きく振るい始める。リーナちゃんの身体を持ち上げるように足を立てて足の筋肉まで使って一度、二度と叩きつけるような激しいストロークは軽い彼女を若干浮き上がらせるほどだ。そして、そんな激しいストロークを五回も繰り返した頃だろうか。緩み始めたぷりぷりの子宮口に俺のムスコが突入した。

 「はああああっ♪開いちゃ…開いちゃああああっ♪」

 まったく未知の感覚にリーナちゃんはそう叫びながら背筋を思いっきり後ろに逸らせた。そして俺自身には聞こえていなかったものの、俺も呻き声を上げ続けていたのだろう。そこは俺にとってもまったく未知のエリアで不可思議な快感に溢れる場所だったのだから。
 亀頭の下辺りをぎゅっと締め付け痙攣している子宮口の感覚も、どろどろの愛液に包まれているような子宮も俺にとっては初めての経験だ。反射的に逃げようと腰を引いた俺を逃がさないと言わんばかりにくわえ込む子宮口を通り過ぎる瞬間、ぞりぞりと裏筋を擦られて、何とも言えない性感が俺の全身を支配する。そしてその性感に支配された俺の身体はもう一度、それを味わいたいと子宮へとまた抽送を開始するのだ。

 「あきゅううううっんっっ♪」

 
 何度も何度も敏感な子宮口を蹂躙される感覚に、リーナちゃんはもはや言葉を放つ余裕も無いのか嬌声を叫ぶだけだ。そして、俺もまたメスの一番大事な部分まで征服するという感覚に支配され、其の事ばかりしか考えられなくなっている。必死に腰を動かすたびに、どろどろとした愛液が吹き出て、絶頂を繰り返している彼女の事を考える事もなく自分の欲望を満足させる事しか考えていない。しかし、そんな思考の状態が長引くはずも無いのだ。子宮を犯す感覚についに射精の瞬間を迎えた俺は、ぐいぐいと今まで以上の力で腰を押し付け、子宮に到達しようとする。

 ―駄目だ…っ射精すなら子宮で…リーナちゃんの奥まで俺の物に……っ!!!!!

 「ひゃあああああっっっ♪」

 そして、最後の一突きが子宮へと襲い掛かった瞬間、俺の二つの玉から凄まじい勢いで精液が飛び出し射精が開始される。さっきの射精が不十分だった所為か、視界が真っ白に染まりそうになる程の快楽の奔流は、俺の脳を焼き切らせるようにも感じる程だ。快感に飲まれる中で処理しきれなくなった情報が頭痛となって、頭の中に響くが、それが快楽を強調するアクセントとなる。

 「はぁあああ…はぁあああぁっ……♪」

 永遠にも思えるような射精の感覚が切れた頃には、リーナちゃんは全力疾走した後のように大きく息をしながら、俺の身体の中に倒れこむようになっていた。愛液と汗と本気汁が混ざった感覚が、触れ合った場所から感じるものの、あまり不快ではない。性交の余韻を感じさせる高い熱もまた、オスとメスの交配の匂いを意識させるモノに過ぎなかった。

 「…膣内出し…されちゃったぁぁ…♪」

 ―あ………。

 射精を終わらせ、幾分、冷静になった俺の耳に蕩けきったリーナちゃんのそんな呟きが聞こえた。射精する事に頭が一杯だった頃にはまったくそんな事考えていなかったが、冷静に考えるまでも無く膣内出しはやばい。言い訳なんて出来るレベルはとっくの昔に超えてしまっているものの、それでも男の最低限のエチケットとして外に出すべきだったのではないだろうか…。

 ―も、もし子供が出来たら…。

 いや、俺は育てられる。それだけの甲斐性はあるし、覚悟はしていなかったが、責任を取るのは吝かではない。けれど、リーナちゃんはそういうわけにもいかない。彼女は前途有望なデュラハンであり、まだまだ幼い子供なのだ。子育てなんてする前に、自分の事で精一杯だろう。…そもそも、こうやって俺を好いてくれている事自体、この年頃の女の子によくある気の迷いのような可能性も高い。それを俺はまったく考慮する事もなく、ただ、自分の欲望を晴らす事しか考えてなくて……っ!!

 ―あああああああっ!じ、自己嫌悪ってレベルじゃねぇぞ……!!!

 叶う事ならば今日の朝に戻って自分を殺したいと思う程の自己嫌悪が俺の中に渦巻き始めた。それが出来なくても頭を壁に打ち付けて自分を罰したい気持ちが湧き上がるが、それを実行に移す前に、慰めるようなリーナちゃんの言葉が耳に入ってくる。

 「うふふ……♪大丈夫だよ…私…生理まだだから…♪」
 「…いや、それはそれでどうなのかなーって思わなくも無いんだけど」

 ―つまり生理もまだな子供を子宮まで犯しつくしたわけで…。

 そもそも主な問題は子供が出来るか出来ないかではなく、俺がリーナちゃんの事をまったく考えていなかったという点にある訳なのだ。…後は、「生理まだ」と言われて何処か安心した俺自身の醜さも問題だろう。

 「もう…ホント、お兄ちゃんは忘れっぽいんだからぁ…。言ったでしょ…?女の子は好きな人とえっちするのが一番幸せなんだって…♪」

 言って安心させるように頭を撫でてくれる感覚が、何処か心地良い。自分より遥かに年下の女の子に子ども扱いされているのは、何処かくすぐったいし小恥ずかしいが、それよりも安心するような感覚が一番強いのだ。自分でも、それはどうなのか、と思わないでもないが、否定する気持ちさえ飲み込んでしまうような心地良さに抵抗する事が出来ない。

 「それより…一度も二度も一緒なんだし…ね…♪」

 誘うようなその言葉に、リーナちゃんの膣の中で萎え始めていたムスコがぴくりと震えて返事をする。下火になりかけていた興奮も燃料を得て燃え上がり始め、また俺の身体に力を取り戻し始めているのが分かった。さっきのようにいきなり襲い掛かりそうになる程ではないにせよ、むくむくと起き上がるムスコを抑える事は出来ない程の興奮がその一言で呼び起こされる。

 「私はぁ…もっとお兄ちゃんを愛して…気持ちよくなって欲しいなぁ…♪」

 言いながら、リーナちゃんは再び腰を動かし始める。まだ腰に力が入っていないのか、最初は前後に揺らすだけの緩やかなものだ。けれど、締め付けられて前後に揺らされているムスコはその身一杯に快感を受け止めて、また子宮を目指して硬くなり始める。

 「そして…お兄ちゃんにも私を愛して…気持ちよくして欲しい…♪」

 ―それは女の表情だった。

 ただ幼いだけの少女のものではなく、愛す事を、そして愛される事を知った女の表情だ。男に媚び、喘ぎ、悶えながら、裏では男を操り、誘い、陶酔させる類の。男を転がし、自分の意のままに出来る事を喜びとするような女の表情はリーナちゃんほどの年頃の少女には決して似合わないものだ。
 けれど……性的経験を経た所為だろうか。似合わないどころか、汗に塗れて、口を小さく開いて誘う今のリーナちゃんは誰よりもそんな表情が似合うような気がする。

 ―そしてリーナちゃんがそんな表情を浮かべるというギャップにどうにも心惹かれて止まない自分がいるのも事実だった。

 「さぁ…お兄ちゃん…♪時間はまだまだたっぷりあるから……もっともっと愛してあげるね……♪」

 俺の上で淫らに腰を揺らす少女から俺は目を離す事が出来なくなり始めていた。そして、近い将来、目どころか、心までリーナちゃんに捕らわれ、離れられなくなってしまうのだろう。それはきっと回避できない未来だ。…だって、今の時点で俺の心はグレースさんより遥かに、確かにリーナちゃんに惹きつけられているのだから。…いや、今の時点と言うのは正しくないか。本当は失恋してからずっとリーナちゃんの事を目で追い続けていたのは、彼女の言う通り事実だったのだから。

 ―それが、グレースさんの子供だからなのか、それとも俺がリーナちゃんという個人に惹かれていたのか分からないけれど。

 今となってはその違いはどうでも良い事に違いない。だって、出発点は何処であったとしても、結局のところ、俺はリーナちゃんに『教育』され、彼女のものになってしまうのだから。…何となくそんな予感と、そしてそれを喜ばしいことのように感じてしまう自分がいる。

 「…ね…お兄ちゃん…キスしても良い…よね…?」
 「…あぁ、勿論だ」

 応えた俺の言葉にリーナちゃんは喜色を顔一杯に浮かべて、そっと顔を俺の前へと突き出してきた。そっと唇同士が触れ合い、リーナちゃんの口から戸惑いがちに舌が送られてくる。それをそっと受け入れて、舌で歓迎するように唾液を塗りこみながら――俺はゆっくりとこの『教育』に、飲まれ始めていった。












〜おまけ〜

 「もう…お兄ちゃん遅い!!」
 「いや…そんな事言ったってなぁ…」

 困ったように頭を掻くお兄ちゃんを見ながら頬を膨らませてみる。その姿に何処か気まずそうに視線を逸らすけれど、その程度で許してあげようとは思えない。だって、今日は二人の『特別な日』で、遅刻なんて厳禁だって何度も言ったんだから。

 「どうせ色々グチグチ自分で言い訳して、逃げようとしてたんでしょ」
 「…いや…その…なんていうか…」

 ―私たちが結ばれたあの日から私たちの関係は変わった。

 教師と生徒と言う関係ではなく、恋人同士という関係に。無論、その関係には障害が付き物だった。お兄ちゃんに負い目があるとは言え元が生真面目なお母さんとお父さんも私たちが付き合う事に賛成してはくれていない。何度も説得したけれど、その壁を取り壊す事は出来なかった。私も…きっと逆の立場だったら賛成なんて出来ないだろうから、二人を責める事はできない。けれど、何時か私たちが愛し合っているんだって認めてくれると信じてる。

 ―信じてる…んだけどなぁ…。

 関係は変わってもお兄ちゃんはあの日から、あんまり変わっていない。変に自分に言い訳して逃げたり、それでいて後で後悔する駄目なタイプの大人のままだ。元は真面目で、倫理感も強いから、歳が二倍近く離れていた私と付き合うなんて認めてくれただけで御の字なのかもしれないけれど、それでも未だにこうして子供のように逃げる姿を見せられると、お父さんとお母さんを説得できるのは当分先なんじゃないかと思えてくる。

 ―…まぁ、見捨てるつもりは無いんだけど。

 始めて会ったその日から、何となくお兄ちゃんは危なっかしい人だと思っていた。崇拝していた男の人が負けた上、利き腕まで失ったショックで精神がボロボロになって何処か虚ろに世界を見ていたお兄ちゃんを見てそう思わない人はいないだろう。フェイさんやハンスさんも沢山励ましたりしていたけれど、お兄ちゃんは結局、立ち直る事は無く、お母さんを「女神」と崇拝する事でその精神の均衡を保っていた。

 ―結局のところ、メンタル面が凄い弱い人なんだよねお兄ちゃんって。

 顔自体は決して悪くないし、剣の腕も人間にしてはそこそこだ。頭の回転だって遅いわけではない。…けれど、何処か残念な印象が付きまとうのは、やっぱりそのメンタル面の所為だろう。そして、お母さんの娘として紹介された頃から、それを見せ付けられていた私は「この人は見捨てたらいけない」と強く思うようになった。

 ―…それが何時の間にか独占欲になっちゃったんだよね…。

 自己を保つ為かお母さんに依存するお兄ちゃんを引き離そうと話している内に、「見捨てたらいけない」という気持ちが段々「この人は私が居ないと駄目なんだ」に変わってしまっていた。お兄ちゃん自身も満更ではなさそうで抱きついたりすると頬を緩ませているのに、ある時からさらにお母さんへの依存を高めたのに強い嫉妬を感じるのは仕方の無い事だと思う。

 ―それが…まぁ、あんな結果になっちゃったわけで。

 元々、じっくりお兄ちゃんの依存を自分へと向けようとしていたのに――手錠はハンカチと同じくらい女の子の必須アイテムだよね?――どうしてあんな強硬手段を取ったのかは分からないけれど、お母さんへと依存していたのが無くなり、私を見てくれるようになったのだから問題無い。…まぁ、その所為かあんまり成長が無いのは困ったモノだけど、手の掛からない男の人よりは可愛らしいものだ。

 「ほぉら…それよりしゃきっとしてよ。今日は本当に大事な日なんだから」
 「大事な日って……そりゃそうだけど…良いのか…?だって、リーナちゃんは…」

 ―まったく。この期に及んでまだそんな事を言うんだから。

 女の私が覚悟を決めているのに、お兄ちゃんがそんな事言うのはどうにも締まらない気がする。…まぁ、ここできっぱりと締めてくれるような男の人なら私は惹かれていなかったんだろうけれど…それでも男らしくずっしりと構えてくれる姿をたまには見たい。

 ―まぁ…それはそれで似合わない…かな。

 想像した見たけれど腕を組んで亭主関白のように振舞うお兄ちゃんというのも似合わないを通り越して気持ち悪い気がする。

 ―やっぱり私たちにはこの関係がそこそこ合っていて、そして私たちなりの方法でやっていくしかないんだろうなぁ。

 時には呆れることもあるけれど、怒りたくなる事もあるけれど、今の関係はやっぱり心地良いものだ。それを今更、壊すのは…きっとお兄ちゃん以上に私が恐れているのだろう。恐れているから、今の関係のままずっと生きて生きたいから、きっと私はサバトに入るなんて言いだしたのだ。

 「…お兄ちゃんは…私の子宮…犯したくないの…?」

 誘うようにそっと私は黒いローブを捲って、下腹部を見せた。そこはもうかつてとは違い、生理が始まっていて、女らしさを身に着けだしている。しっかりと括れも作り、すらりとした女の身体になりつつある私にはかつての面影はあまり無い。ここ数年で急成長した私は既に少女の域を飛び出して女の域へと入ろうとしている。

 「それは…その…」

 見せ付けている下腹部から必死に目を逸らそうとしているが、時折、ちらちらとこっちを見てくる姿がまた可愛らしい。言葉は濁していても、その目ははっきりと、「以前のように子宮まで犯しつくしたい」と言っている。お兄ちゃんのモノが決して小さい訳ではないが、それでも成長した私の子宮口を破って以前のように子宮まで犯しつくせる程ではないのだ。その感触が大好きなお兄ちゃんにとって、その言葉だけで抵抗力が奪われていくのが分かる。

 ―後もう一押し…かな。

 心の中でだけそっと微笑んで、私はお兄ちゃんの身体にしな垂れかかった。そのまま甘えるように胸に体重を預け、そっとお兄ちゃんを見上げる。それだけでお兄ちゃんは私から目を離せなくなってしまうのだ。

 「私は…犯して欲しいよ。前みたいに力づくで…ゴリゴリって膣押し広げて…ぐちょぐちょの愛液垂れ流す子宮口まで突き破って、奥の奥まで犯しつくして欲しい…♪」

 ―ごくり、と生唾を飲み込む音が聞こえた。

 普段は変に意地っ張りなくせにこういうところでだけは素直なお兄ちゃんに、クスリ、と微笑んであげる。それだけで、お兄ちゃんの胸についた右手からは、さらに激しくなった鼓動が伝わってきて、私の心に興奮を植えつけてくるのだ。

 「お兄ちゃんはしたくない…?前みたいなロリマンコでぎゅうってキツいくらいに締め付けられて…ぬるぬるになった子宮口にきゅうって締め付けられながらぁ…子宮の奥で射精したくない…?」
 「…し、したい…!」

 限界になったのかお兄ちゃんはそう言いながら左手でぎゅっと私の身体を抱きしめてきた。まさか抱きしめられるとは思っていなかったので、一瞬驚いたものの力強いその抱擁に全部許してあげたくなってしまう。

 ―あぁ…ホント…私ってベタ惚れなんだよね…。

 こうして時折見せ付けられる男らしさだけでそれ以外の弱点を全部帳消しにしてあげたいと思ってしまうのだ。お母さんを始め他のデュラハンにも「それはちょっと変だ」と言われるけれど、そう思ってしまうのだからしょうがない。

 「まったく…それなのに逃げちゃうなんて困ったロリコンさんなんだからぁ」
 「ご、ごめん…」

 からかう様に言うと目線を逸らす姿がまた可愛らしい。私より1.5倍近く生きてきて経験も豊富な割りに未だにそんな子供みたいな仕草をするのに母性のようなモノが湧き上がってくるのが分かった。

 ―少し大きすぎる子供だけれどね。

 けれど、私にとって世界で一番可愛くて大好きな子供なのだ。誰に何と言われてもこの気持ちだけは否定しないし、そもそも出来ない。

 「さぁ、早く行こう。サバトの人達が待ってるよ」
 「あ、あぁ…」

 言いつつそっと離れた私に、お兄さんは残念そうに肩を落としながら追従する。気の毒になるくらいな気の落とし具合に、流石に気の毒になって、私はそっと手を伸ばした。それだけで顔一杯に喜色を浮かべて、お兄さんはその手を握ってくれる。どちらからともなく、指と指を絡ませ、離れないようにしっかりと握り合った後、笑みを浮かべて、私たちはサバトの集会へ一歩足を踏み出した。

 ―これからの私たちはどうなるかは分からない。

 私はデュラハンで、戦場で戦うのが仕事だ。ある日、突然命を落とすかもしれない。今はこうしてしっかりと捕まえているお兄ちゃんが他の女に目移りするかもしれないし、在り得ないことだと思うが私がお兄ちゃんに愛想を尽かすかもしれない。

 ―けれど、そんな事が起こらないように私は全力を尽くすよ。

 お兄ちゃんを捕まえる為ならばサバトだって入信するし、命を落とさないように訓練は怠らない。お兄ちゃんに愛想を尽かさないのは…努力しなくても出来るはずだ。

 ―だから、きっとどんな事だって乗り越えていける。いや、乗り越えてみせる。

 両親の反対も何もかも。お兄ちゃんが頼りにならないのならば私だけで乗り切ってみせる。

 ―だって、女の子は好きな人と一緒に居るだけで誰だって無敵になれるんだから。









10/10/29 19:20更新 / デュラハンの婿
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■作者メッセージ

 〜おまけその2ある夫婦の会話〜
 「いい加減、あいつも諦めりゃ良いのによ」
 「はいはい。そう唇を尖らせない。ちゃんと毎回断ってるんだから気に病む必要は無いわ」
 「でもよ…やっぱ…心配じゃねぇか」
 「…もし、私の浮気が心配だなんて言ったらぶっ飛ばすわよ?」
 「い、いや、そうじゃなくてだな…。何度も断られているのに粘着する奴が次に強硬手段をとらないとも限らないだろ?」
 「んー…その心配は無いわ」
 「な、何でだよ」
 「そもそも私は当て鞘なんだもの。まったく……こんな良い女捕まえて当て鞘なんて嫌になっちゃうわ」
 「????」
 「ともかく。そういう事は無いから安心なさい」
 「そ、そうか。…まぁ、それだったら良いんだが…………」
 「…何?」
 「…いや、100年後アイツが告白してきたら受け入れるのか?」
 「…そこに座りなさい。デコピンで勘弁してあげる」
 「い、いや、だってそういう意味だろ!?」
 「…まったく。貴重な青春時代含めた私たちの50年が100年で効く訳ないじゃない」
 「…え?」
 「もし、愚かにも100年後に告白してきたら次は1000年後って事よ。…あんまり言わせないでよ恥ずかしい…」
 「ぐ、グレース…」
 「…何よ?まだ何かあるの?」
 「好きだーーー!!!結婚してくれーーーーー!!」
 「あっ…ちょっ…馬鹿っ!そもそも結婚してるって…こら…っ服脱がせないでって…あ…やぁ…♪」




 最初からロリ体系の魔物娘さんはがんがん手玉に取ると思いますが、大人の魔物娘のロリは手玉にとって絶頂を極める瞬間、未知の快感に隙が出来て男に翻弄されるのですよ。けれど、魔物娘なので、経験するに従って、どんどん強くなって最終的には男を自分なしじゃないと生きていけなくさせるのですよ!!!!
 まぁ、このSS通りの展開なんですがね^q^

 自分の中では始めてな駄目男の視点だったので不快になられた方もおられるかもしれません。もし、そうでしたら申し訳ありません(。。;

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