白とヒーロー?
「〜〜〜♪」
歌が、聞こえた。歌詞が聞き取れないが、確かに歌だ。
エストレアではない。何故なら、彼女は食料調達で出かけているからだ。
なら、誰が?こんな森に誰かいるとは思えないのだが...
念の為、エストレアの家...まぁツリーハウスみたいな物から降りて辺りを見渡す。
すると、視界に映ったのは_____________。
「.....白...?」
思わず口に出てしまう程に、白い少女が居た。
短い癖っ気のある髪は、雪のように白く。
その肌は、血管が透けてもおかしくない程に白い。
純白のシャツを着て、同じく純白のデニムパンツのような...短いGパンを身に付けている。
そんな少女が、倒れた倒木の上で歌っていた。
「...Varret..Blood...♪」
意味のある言葉なのだろうか....?
「Hermit..Hermit....Vampire♪」
裏切り。血。隠者。吸血鬼。
英語がベースの、ドイツ語混じりな単語のメロディ。
「....なぁ....それ、どういう意味なんだ...?」
分からない事は、聞いてみたい。だから、訊いたんだ。すると
「昔々、魔物がまだ異形の怪物だった頃」
彼女は、語りだす。
「吸血鬼は、恋をした」
....。
「同種ではなく、ニンゲンに。下等種に、恋をした。
だけれどそれはイケナイ事で。
吸血鬼は異端になった。そして、嫌われた。
それでも彼女はヒトを好いた。
だからその血は汚されて、堕ちた。
嫌われて、嫌われて。憎まれて、憎まれて。
そして彼女は殺された。最も愛したニンゲンに。」
そこで一度声は途切れ...。次に口にしたのは、俺に対する質問だった。
「何故、人は彼女を殺したのかな?ニンゲンのお兄さん?」
唐突な質問で、答える事が出来ない。すると
「...いつの時代も、周りと違えば嫌われるからだよ」
彼女が、呟く。そして
「ねぇお兄さん。君の名前は?」
囁くように、きかれる。
「霧茅...紀徒、だ」
「良い、名前だね。私は優樹っていうんだ」
ユウキ_________________?
「ねぇ紀徒...遊ぼうよ、私と」
この子は、いったい...?
「....ねっ?」
何時の間にか近くに来ていた彼女が、俺の右手を握る。
冷たい。何故、ここまで冷たいのだろうか?
「暖かいんだね。人って」
「そりゃあ、生きてるからな」
何気なく言った一言。だけれど
「じゃあ、私は生きてないんだね」
寂しそうに苦笑する彼女を見ていると、罪悪感のようなものが込み上げてくる。
それを感じ取ったのか、彼女が「いいんだよ。私は死んでいるようなものだから..」
そういって、俺の手を自らの胸へと運び、触れさせる。
「ね?鼓動....伝わらない、でしょ?」
彼女が聴いてくる。だが、鼓動が伝わらない?そんな事....
「...無い」
「でしょ?私は生きて「違う!」」
言葉を、被せる。
「ちゃんと、伝わる。君の...優樹の暖かさも、鼓動も」
何故、初対面の彼女にここまで感情的になっているのだろうか?
分からない。分からないが。
何故だろう?この子は、ほっとけない。
「だから優樹...君は、生きてるよ。ちゃんとな」
「...........」
彼女は、無言だった。
無言で....泣いていた。
純度の高い紅玉のような瞳から、大粒の涙が流れ落ちていく。
そして。
「 」
言葉は発していなかった。だけれど。
「ありがとう」
確かに、彼女はそう告げた。
そして、踵を返して行く。
最後に一言、「またね」と言って。
どこに行くのか?帰る場所があるのだろうか?
気になる事は沢山あった。だけど。
彼女が「またね」と言ったのだから、また会えるだろう。
そんな妙な自信があった。
出会って、数十分。
彼女と話したのはたったのそれだけだ。
だがどうしてだろう?
何故か、俺は彼女を信頼出来た。感情もさらけ出せた。
なんでだろうな?
「またな、優樹」
もう見えない彼女の背中に向かって、俺は呟く。
また、いつか__________。
歌が、聞こえた。歌詞が聞き取れないが、確かに歌だ。
エストレアではない。何故なら、彼女は食料調達で出かけているからだ。
なら、誰が?こんな森に誰かいるとは思えないのだが...
念の為、エストレアの家...まぁツリーハウスみたいな物から降りて辺りを見渡す。
すると、視界に映ったのは_____________。
「.....白...?」
思わず口に出てしまう程に、白い少女が居た。
短い癖っ気のある髪は、雪のように白く。
その肌は、血管が透けてもおかしくない程に白い。
純白のシャツを着て、同じく純白のデニムパンツのような...短いGパンを身に付けている。
そんな少女が、倒れた倒木の上で歌っていた。
「...Varret..Blood...♪」
意味のある言葉なのだろうか....?
「Hermit..Hermit....Vampire♪」
裏切り。血。隠者。吸血鬼。
英語がベースの、ドイツ語混じりな単語のメロディ。
「....なぁ....それ、どういう意味なんだ...?」
分からない事は、聞いてみたい。だから、訊いたんだ。すると
「昔々、魔物がまだ異形の怪物だった頃」
彼女は、語りだす。
「吸血鬼は、恋をした」
....。
「同種ではなく、ニンゲンに。下等種に、恋をした。
だけれどそれはイケナイ事で。
吸血鬼は異端になった。そして、嫌われた。
それでも彼女はヒトを好いた。
だからその血は汚されて、堕ちた。
嫌われて、嫌われて。憎まれて、憎まれて。
そして彼女は殺された。最も愛したニンゲンに。」
そこで一度声は途切れ...。次に口にしたのは、俺に対する質問だった。
「何故、人は彼女を殺したのかな?ニンゲンのお兄さん?」
唐突な質問で、答える事が出来ない。すると
「...いつの時代も、周りと違えば嫌われるからだよ」
彼女が、呟く。そして
「ねぇお兄さん。君の名前は?」
囁くように、きかれる。
「霧茅...紀徒、だ」
「良い、名前だね。私は優樹っていうんだ」
ユウキ_________________?
「ねぇ紀徒...遊ぼうよ、私と」
この子は、いったい...?
「....ねっ?」
何時の間にか近くに来ていた彼女が、俺の右手を握る。
冷たい。何故、ここまで冷たいのだろうか?
「暖かいんだね。人って」
「そりゃあ、生きてるからな」
何気なく言った一言。だけれど
「じゃあ、私は生きてないんだね」
寂しそうに苦笑する彼女を見ていると、罪悪感のようなものが込み上げてくる。
それを感じ取ったのか、彼女が「いいんだよ。私は死んでいるようなものだから..」
そういって、俺の手を自らの胸へと運び、触れさせる。
「ね?鼓動....伝わらない、でしょ?」
彼女が聴いてくる。だが、鼓動が伝わらない?そんな事....
「...無い」
「でしょ?私は生きて「違う!」」
言葉を、被せる。
「ちゃんと、伝わる。君の...優樹の暖かさも、鼓動も」
何故、初対面の彼女にここまで感情的になっているのだろうか?
分からない。分からないが。
何故だろう?この子は、ほっとけない。
「だから優樹...君は、生きてるよ。ちゃんとな」
「...........」
彼女は、無言だった。
無言で....泣いていた。
純度の高い紅玉のような瞳から、大粒の涙が流れ落ちていく。
そして。
「 」
言葉は発していなかった。だけれど。
「ありがとう」
確かに、彼女はそう告げた。
そして、踵を返して行く。
最後に一言、「またね」と言って。
どこに行くのか?帰る場所があるのだろうか?
気になる事は沢山あった。だけど。
彼女が「またね」と言ったのだから、また会えるだろう。
そんな妙な自信があった。
出会って、数十分。
彼女と話したのはたったのそれだけだ。
だがどうしてだろう?
何故か、俺は彼女を信頼出来た。感情もさらけ出せた。
なんでだろうな?
「またな、優樹」
もう見えない彼女の背中に向かって、俺は呟く。
また、いつか__________。
11/10/14 23:34更新 / 紅柳 紅葉
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