連載小説
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第2話 真夏のミストラル(前編)

「……ハア……何やってんだろ…俺……」
「すごいすごい!これが電車なのね‼︎景色がビュンビュン飛んでくみたい!…これが電気で動いてるの?電気って、明かりをつけるためのものじゃなかったのね!」


ボックス席の窓際に座り、ジャンは力無くうなだれて自分の選択を激しく後悔していた。そんなジャンの様子などお構いなしで、窓に張り付いて先ほどからはしゃぎっ放しのエリーザ。そのはしゃぎ振りが、さらにジャンの気分を重く沈ませていた。

2人は現在、美術館の街から南部の有名な港町へ向かう特急列車のボックス席に座っている。最終列車ということもあり、同じ車両には彼らの他に乗客の姿はなかった。



ジャンの計画はこうだった。出国時のチェックが厳しい空港を利用することはリスクが高いため、飛行機での移動はできない。そのため電車でまず南部へ出て、そこから海沿いに東へ向かって国外へ脱出する。
しかし計画は立ったものの、前途はあまりに多難だった。世界的に有名な美術品を「盗み出す」という前代未聞の大事件を起こしてしまった以上、警察による徹底的な捜査が行われることは必至。国外へ出たところで国際指名手配になる可能性は十分にあり、とても安全とはいえない。
それに加えて、エリーザが「夜しか動けない」というのが本当だとすれば、かなり行動が制限されることになる。なにせ今は夏。夜の時間はあまりに短い。交通機関の運行時間を考えれば、さらに移動が制限される。日が沈む夜9時半以降となると、長距離の夜行列車などほとんどないのだ。
極めつけはエリーザのこの世間知らず。放っておけば何をしでかすか分からず、始終見張っていなければならないことを思うと、ジャンは頭が痛くなるのだった。
「…こんなことなら通報されてた方がまだマシだったかもなぁ……」
ため息と共に呟くジャン。
あの場で通報されても罪状はさして重要でもない一枚の絵画の窃盗未遂。対して今の自分は……人類の宝を盗み出した歴史的大犯罪者だった。逮捕されればどうなるか、想像するも恐ろしい。
あの時は完全に正常な判断力を失っていた。冷静に考えればこの選択、どう見てもデメリットの方が大きすぎるというのに……


「…向こうに見える灯りは何?あれが街なのかしら?あんな四角い建物初めて見るわ!……あっ!ねぇ見て見て!あれが本物の教会……あぁんもう!すぐ見えなくなっちゃう!ちょっと速すぎよこれ!」
エリーザは相変わらず窓の外を眺めては騒いでいる。ほぼ真っ暗で何も見えないのによくやるものだと思う。
美術館を抜け出した時から彼女はこの調子だった。見るもの全てが珍しいようで、いちいち目を輝かせては感動している。正直、あまりの純真さに羨ましくなるほどだった。



(…まあ、本当に純真ならあんな強迫してくる訳ねぇけどな……)

心の中でぼやきながらジャンは携帯を取り出し、ネットを開いた。調べたいことがあったのだ。
「ナクソスのヴィーナス」で検索をかけると、すぐに膨大な情報がヒットした。さすがの知名度である。
所蔵場所、大きさ、来歴などの情報をなぞっていく。
「発掘場所は……っと、あったあった」
古代ギリシャ時代の彫刻ならば、美術館かあるいは貴族の邸宅などに収集される以前に地中海沿岸のどこかで発掘され、そこから西ヨーロッパに運ばれてきたと考えるのが普通だ。調べてみれば予想通り、「彼女」は今から200年ほど前にエーゲ海のとある島で発掘され、それを大金で買い取った当時の大貴族が自国に持ち帰った。貴族は80年前に像を美術館に寄贈し、それから今に至る、という。
画像検索で彼女が発掘された島の写真を何枚か眺めてみる。コバルトブルーの海に乳白色の壁を持つ家々、そして遺跡。どちらかというと島のリゾートエリアの写真が多かったが、その風景は美術館で見せられたあの絵と概ね一致しているようだった。

(…とすると、ここが旅の目的地って訳か……)

何日かかるかは分からない。最初に立てた予測より長くなることは確かだった。正直、無事に辿り着けるかどうかも怪しい。それでも、

(まあ……1人で逃げたってどうせ追われるんだしな…)

今はエリーザと共にそこに向かうしかなかった。

ジャンには他にできることもないのだから。




ふと気がつくと、エリーザが景色を眺めるのをやめてこちらをじっと見つめていた。
「さっきから何してるの?」

エリーザの視線の先には、ジャンが持つ携帯電話があった。グリーンの大きな瞳が不思議そうにジャンの手の中の機械を見つめる。
「ん?あぁ、これはだな、人間が使うスマートフォ…」
「それくらいは知ってるわよ。美術館に来るお客さんがみんな持ってたもの!」

エリーザは得意げに言った。
「え、知ってたのか?」
「あら、私がそんな世間知らずだと思ってた?こう見えても外から来る人間をずっと見てきたんだから大抵のことは知ってるのよ!……カメラっていうんでしょ?それ!」



「………あー……あのなぁ…」
「写真を撮る機械よね?いっつもそれでお客さんに撮影されてるから、もう嫌ってほど見てきたわよ!」
「………イヤ…確かに間違ってはないんだが…」
どこからどう説明したものか分からず、しばらく言い淀むジャン。しかし訂正する事が多すぎてそのうち間違いを正すのが面倒になり、

「…まぁ、確かにこれはカメラなんだけど……ついでにな、知りたいことを何でも調べられる機能も……ついてる」

説明を放棄した。別に嘘は言っていない。

「すごい!便利なのね!本当に何でも分かるの?何でも⁉︎」
「そりゃあもちろん。有名人の誕生日とか…どうしても思い出せない歌のタイトルとか」
「万能なのね!」






インターネットの仕組みなど色々聞かれると厄介なので、ジャンは話題を逸らすことにした。

「…それはそうと、今のうちに言っておくけどな、これから街に出て多少の人目に触れることになるわけだが……いいか、くれぐれも!目立つことはするんじゃないぞ」
「え……目立つことって、どんな?」
「とにかく周りと違うこと全部だ。さっきみたいに電車ではしゃいだり、駅で改札のゲートに頭ぶつけたり…」
「あ…あれは!押せば開くものだと思ったから…!」
「…だからだよ。世間のことをなんにも知らないお前が1人で歩いてたら、どうしたって人目を引くに決まってる」
真っ赤な顔で数時間前の失敗を弁解しようとしたエリーザを遮るジャン。

「いいか?街に着いたら、とにかく1人で突っ走るな。必ず俺がやることを先に見て、それを真似しろ。そうすりゃ心配ない」
「…う〜……まぁ、しょうがないか……。分かったわよ!その代わり、しっかり私のことエスコートして…」
「大声も出すな。それも目立つ」
「…はぁい………」
前向きになろうとして出鼻を挫かれたエリーザは目に見えてシュンとした顔で俯いた。




すっかり静かになったエリーザを尻目にジャンは再び携帯を見始めた。
2人とも一言も発することはなく、ただ電車の走る音だけが空間を支配する。

「…………」

しかし、次第に沈黙がいたたまれなくなったのかジャンはチラチラとエリーザの様子を窺い始め、やがて頭をかきながら気まずそうに口を開いた。

「…あ〜…まぁ、その……なんだ、何もずっと黙ってろって訳じゃないさ。怪しまれないように普通に…そう、普通にしてりゃあいいんだよ」

「……普通…に?」
「そうそう。よっぽど怪しくなけりゃあ、不慣れな旅行者ってことにして言い訳もできるしな。要は俺が指名手配犯だってバレないように、お前には気をつけてもらいたいだけだって」
「…えっと……じゃあ私は、余計に目立ってジャンの迷惑にならないように、気をつければいいのね…?」

エリーザの伏せていた目が次第に上がり、声にも明るさが戻ってきた。

「わかってんじゃんか。そういうことだよ。……まぁ、心配しなくてもそう簡単に見つかりゃしないさ。どこから見たって俺たちはデッカい彫刻を盗み出した大泥棒なんかには見えねぇだろ?」
「そう……そうよね!そんなに心配することないわよね!」

かなり元気を取り戻したエリーザ。自分を勇気づけるように、さらに言葉を続けた。
「泥棒なんてしてないもの!堂々としてればいいのよね!……もし捕まっちゃっても話せば分かってもらえるわよね。ちゃんと置き手紙もしてきたし…」


「………は?ちょ、ちょっと待て。何だその置き手紙ってのは」

不自然な単語を耳にしたジャンの頭に悪い予感がよぎる。エリーザはこともなげに答えた。
「…?何って、美術館の人たちに心配かけないように、置き手紙は必要でしょう?ちょっとだけ里帰りさせてきます、って。さすがに私が書くわけにはいかないから、ジャンが書いたことにしたけど…」
「人の名前でアホなことすんじゃねぇよ‼︎」

思わず全力でツッコんでしまった。

「え……い、いけなかった…?」
「イヤどんな言い訳だよそれ⁉︎犯行現場に置き手紙って、大怪盗か俺は!」
ジャンの脳裏に明日の新聞の見出しがありありと浮かぶ。
『犯行現場に謎の置き手紙! 自己顕示欲の塊か』

「あぁぁ完全に黒歴史だこれ……」
「あ、あのっごめんなさいっ…!何か変なことしちゃったみたいで……!」

頭を抱えてへたり込んだジャンを見てオロオロし始めるエリーザ。一度取り戻した元気がしぼみ、再び暗い表情になってしまった。


「その……ごめんなさい…私、もっと簡単なことだと思ってて…。ちょっと行って帰ってくるだけだって、軽く考えてあなたに頼んじゃって……。…ごめんなさい…とんだ迷惑よね、あなたには…」
沈んだ声で言った後、エリーザはまたしても黙り込む。恥ずかしさでまだ悶絶しているジャンと目を伏せたエリーザ、お互いに下を向いたまま、二人の間にまたしばらく沈黙の時間が流れた。




やがて、ジャンはゆっくりと顔を上げると、大きくため息を吐きながら口を開いた。

「………まぁ、とにかくだ。今後はそうやって…一人で突っ走るってのは控えてくれるか?……俺の心臓がもたん」
「………」

「大抵のことは俺が何とかするから、お前はとりあえず俺に着いてくればそれでいい。余計なことをしなければ俺は何も言わないから、お前は好きに見たいものを見てくれればいいさ。…OK?」

「………そう、ね…わかったわ……」
「………」

ジャンの慰めにも、相変わらず暗い顔のまま返事をするエリーザは、膝の上に置いた両手の指を所在無さげにもてあそぶ。

ジャンはもう一度ため息を吐き、おもむろに手に持っていた携帯電話をエリーザに差し出してみた。
「これ……触ってみるか?」

「………うん」

下を向いたままだったが、エリーザは小さく頷いて携帯に手を伸ばした。先ほどから口では何も言わずともエリーザがチラチラとこの携帯に視線を向けていたことに、ジャンは気付いていた。

「画面に軽く触るだけでいいから……で、横に弾くように動かすと画面送り…そうそう。あ…それ、押してみ?」
「………何…これ?」
「地図だよ。これが線路で…この青い丸が俺たち。今は電車に乗ってるから……こうやってかなり速く動いてる」

説明を聞くうちにだんだんとエリーザの顔が上がり、前髪で隠れていた目がまた輝きを増してきた。
「すごい……なんで私たちがどこにいるかがわかるの?」
「人工衛星っつってなぁ……話すと長くなるが、まあ要するに電気と機械の力だよ」
「電気ってすごいのね……!それにしても、カメラで地図も見られるなんて!」
「それだけじゃねえぞ。……ほら、ちょっと貸してみ」

ジャンの指によって目まぐるしく変わっていく携帯の画面に、今やエリーザの目は釘付けだった。

「このカメラはな……地図だけじゃなく時計にもなる」
「まあ、便利なのね!」
「ここをこうすると……音楽も聞ける」
「退屈知らずね!」
「それに加えてなんと……電話もできる」
「言うことなしね!」













港町という場所は、古くから人と人が、モノとモノが行き交い、混ざり合う場所だった。そこには世界のあらゆる文化が、あらゆる美しい品物が、そして人々の欲望が、一つになって混じり合う。それら全てを受け入れて、町は膨れ上がってゆく。臭いと匂いが溶け込んだ、潮の香りの風が吹く。

丘の上に建つ大聖堂に見守られ、プロヴァンスの風に育まれたこの街もまた、2000年の昔からそれを繰り返してきた。街は人の美しい夢も醜い欲望も、その全てを取り込んで、太陽も跳ね返すような熱気を放つ。人が集まれば集まるほど、それは勢いを増してゆく。そしてその熱気がまた、人々を強く惹きつけるのだ。







エリーザとジャンがガラス張りの駅舎から街へ出たとき、時刻は0時を回っていた。小高い丘の上に位置する駅からは、真っ直ぐに伸びた大通りとその向こうに広がる夜の街並みが一望できる。しかし、通りに人や車の姿はなく、街へ降りてゆく大きな石造りの階段だけが2人を出迎える。

「綺麗……!あんなに遠くまで街があるのね…」
「1人で先行くなよ。さっさと宿を探すぞ」

先に階段を降りようとしたエリーザを追い抜き、ジャンが前に出る。

「宿?泊まる所ってこと?」
「そうだよ。とりあえず隠れ場所は必要だからな…なるべく人前には出ない方がいい」

街灯に照らされた大階段を、ジャンは足早に降りていく。その後を駆け足で追うエリーザ。

「隠れ場所……わかった!誰か親切な人の家を見つけて、泊めてもらうのね?」
「バーカ。いつの時代だよ。ホテルだよホテル!」
「ホテル?」

エリーザの言葉には答えず、ジャンはスタスタと大通りを進んでいく。通り沿いの商店やアパルトマンの門は皆閉まり、街路樹の並ぶ街に2人の足音だけが響いていた。


交差点に差しかかると、突然ジャンは針路を変えて細い路地へと入った。慌ててそれに続くエリーザだが、向かう先の路地の薄暗さに思わず足を止める。

「ちょ、ちょっと!なんでそんな方に行くのよ!」
「こういうとこのが安いんだよ。……大丈夫だって。ホラ来いよ」
「ぅ………」

足を止めてしまったエリーザに、ジャンが振り向いて闇の中から手招きする。
顔に影がかかって怪しい雰囲気を醸し出していることで、心なしかジャンが自分を闇へと誘う魔物に見えてしまうエリーザだったが、何とか勇気を振り絞って路地へと足を踏み入れていった。




路地にはポツポツと灯りはあるものの、表通りとは比べようもないほど暗かった。周りの壁は落書きで汚れ、生臭いゴミの臭いが鼻につく。
恐る恐る歩みを進めるエリーザだが、ジャンは気にする様子もなく早足で歩いていく。

「…何この臭い……暗いし…こんな怖い所、何で平気で歩けるのよ………やっ⁉︎何か踏んづけたっ⁉︎」
「そんなに暗くないと思うけどな……っつーか、夜の美術館の方がよっぽど怖くねぇか?」
「美術館は慣れてるからいいのよ!私、汚いのがダメなのよぉ……うぅ…また何か落ちてる…」

道路をふさぐ路上駐車の車の横をすり抜けて歩く2人。エリーザは道に散乱するゴミを素足で踏まないよう、しきりに足元を気にして歩く。

「あんまり下ばっか見てっと危ねえぞ?上から何が降ってくるか分かんねぇからな。今日は土曜だし、一週間溜まったモノを窓からこうドバーッと…」
「ウソっ⁉︎早く言ってよもぉ!」
「……冗談だよ」


エリーザをからかいながらも、ジャンは足を止めずに迷路のような裏路地を歩き続けた。やっとのことでその後をついて行きながら、狭い路地、少し広い通り、小さな広場を次々に通り過ぎるエリーザ。右へ左へ振り回されて目まぐるしく景色は変わっていったが、どの通りに入っても鼻にツンとくる臭いだけは変わらなかった。

大通りでは見かけなかった人の姿が、裏通りを歩いている途中何度か見つけられた。しかしそのほとんどが小汚い格好の男たち、しかも酒に酔って大声で騒ぎ立てているような集団だった。仲間と肩を組んで大声で何かの歌を歌う者、近くを通る女を見かけてナンパの声をかけるもの、中には路上で殴り合いのケンカを始める者もいた。
それを遠巻きに見ながら顔をしかめて通り過ぎるエリーザだったが、ジャンは駅の落書きでも眺めるように気にも留めずに歩いていく。



そうして20分ほど歩いた後、2人はまた一本の細い路地に入り込んだ。例に漏れず路上駐車が目立つ小汚い裏通りで、小ぢんまりとしたタバコ屋が一軒、埋もれるように店を出していた。店の前には中年の男が数人、たむろして立ち話をしている。

「あった。ここなんかいいだろ」

ジャンが声を上げた。ジャンの視線の先にはタバコ屋の向かい側、「HOTEL」と大きく書かれた看板があった。

「ここが……ホテル?」
「ああ。言っとくが別に親切な人の家じゃねーぞ」
「…じゃあ……どうやって泊めてもらうのよ?」
「そりゃまあ……金だよ。金を払って、その分だけ泊めてもらう。結局、この世間で物を言うのは金だからな。一応覚えとけよ」
「……ふーん」

生返事のエリーザを置き去りに、ジャンは玄関のドアを開けてホテルに入っていく。

後に続こうとして、ふとエリーザはタバコ屋の男たちの方を振り向く。男たちはいつの間にか会話をやめ、ホテルに入ろうとする2人を不審そうな目で睨んでいた。
奥にいた一番背の高い男と目が合う。円形の帽子を被り、黒く長い髭をたくわえ、腕を組んだ男の黒い瞳がエリーザを射すくめる。エリーザは思わず身震いすると、慌ててホテルに飛び込んだ。



一人がやっと通れるほどの狭い廊下を通ると、奥にこれもまた小さな無人の受付があった。
ジャンはどこからか取り出したマスクと野球帽をサッと被ると、カウンターの呼び鈴を鳴らす。

「……ねぇ、やっぱりこの街ヘンよ。さっきのおじさん達、こっちを睨んできてたわよ?」
「気のせいじゃないのか?ああいう濃い顔の連中は普通にしてたって目つき悪く見えるモンだし…」
「そんなことない!どう見たって怖い顔で睨んでたわよ!」
「……あ〜…まぁ、結局のところ俺たちは他所者だからな…。誰だって知らない奴が自分たちの場所に入ってくるのは気に入らないさ。こういう場所では特に、な……やけに遅いな」

従業員がなかなか出て来ないため、もう2回呼び鈴を鳴らすジャン。少しして、受付の後ろから寝癖のついた銀髪の若い男が慌てて飛び出してきた。

「あぁ!こ、これはどうも失礼いたしました!…え〜とお二人様ですね、ご宿泊ですか?」
「ああ。一番安い部屋で頼む。空いてる?」
「しょ、少々お待ち下さいね…」

目元をこすりながら受付の男はあたふたとパソコンで検索を始める。少しして、明るい表情で顔を上げた。

「はい、ございますよ!何泊ご滞在されますか?」
「一泊でいい。朝食は無くていいから。いくら?」
「お待ち下さいね。え〜と………あぁ、こちらになりますね。一泊で、106.5ユーロになります」
「………高いな…」

電卓で見せられた値段を見て、ジャンが渋い顔で呟く。

「…本当にこれで一番安いのか?」
「は、はい…。生憎これ以下の部屋は全て埋まっておりまして……比較的ランクの高いお部屋しか…」
「…………」

しばらく顔をしかめて考え込むジャンだったが、やがて諦めたように顔を上げた。

「…まあいいや、しょうがない…。分かったよ、ここにする」
「了解しました!では、こちらにサインを…」

差し出された書類に、ジャンは黙ってサインをする。一方エリーザはというと、先ほどから男が操作するパソコンに興味津々で、カウンターに身を乗り出してしげしげと覗き込んでいた。

「…あ、あの……何か…?」
「ねぇねぇ、これって何?ずいぶん大きいけど、ひょっとしてこれもカメ」
「気にしないでくれ。何でもない」

エリーザが何か言う前にサインした書類を突き返すジャン。受付の男は不思議そうにエリーザを見つつも、書類を受け取って代わりに部屋の鍵を取り出した。

「……え〜それでは、こちらがお部屋の鍵になります。1階の107号室で、階段を上がっていただいて左手のお部屋ですね。ルームサービスは…」
「説明はいいよ、ありがとう。…エリーザ、行くぞ」

男の話を最後まで聞かずに、ジャンは鍵を取って奥の階段へ向かった。パソコンに後ろ髪を引かれながらエリーザも後に続く。男が慌てて尋ねる。
「あ、お客さま!お荷物をお持ちしましょうか?」

「いらないよ!これだけだ」

受付に背を向けたまま、ジャンは背中に背負った小さなバッグを親指で指した。




2人は階段を上がってカーペット敷きの廊下を歩き、107号室のドアを見つけて中に入った。

「わぁーーっ!これがホテルね?」
「………」

部屋はバスルーム付きのツインで、真っ白なベッドのシーツに調和した色合いの調度品が見事に配置されていた。しかし、

「……狭いな…」

部屋の中ほどまで歩き、バッグを床に放ってベッドに腰を下ろしたジャンは不機嫌な顔で呟いた。
ジャンの言葉通り、内装は豪華だったがベッドが幅をとるせいで窮屈さが増し、お世辞にも広々とした部屋とは言えなかった。

「何かしらこの部屋?白くて綺麗だけど……変な形の椅子!…わっ!水が出た⁉︎」

バスルームではしゃぐエリーザを尻目に、ジャンは帽子とマスクを取り、室内を見回す。
よく見ればテレビは旧型で設備も悪い。あちこちに安っぽさが見てとれた。

「おまけに……」

耳を澄ませば先ほどから歩く度に床がギシギシと軋む音が聞こえる。建物の老朽化も進んでいるらしい。

「ハァ………なァにが『比較的高ランク』だよボッタくりやがって…」
「ねぇジャン!これって何に使う物なの?ちっとも動かないんだけど」

脱力してベッドに仰向けに倒れこんだジャンのもとへ、ドライヤーとそのコードをぶら下げてエリーザがやって来る。

ジャンはそれには答えず、モゾモゾと毛布をめくってベッドに潜り込んだ。

「後にしてくれ……もー疲れた…。明日の昼まで寝る……」
「え〜?……んもう………」

エリーザは膨れっ面で溜め息を吐くと、窓に近づいてカーテンを開いた。じっと窓の外を眺める。




「……ねぇ、いつここを出るの?」
「…起きたらすぐだ……長居はしたくねぇからな…。明日の夜には特急に乗る…」
「そう………」

エリーザはしばらく押し黙った後、窓の外を見たまま、再びゆっくりと口を開いた。

「………ねぇ…私たち、あの街からどのくらい遠くに来たの?」
「……ん…?……さぁな…陸地の……南の端だろ…」

寝返りを打ってエリーザに背を向けるジャン。

エリーザは1人でなおも言葉を続ける。

「私……むかし聞いたことがあるの…。私のいた街から南にずっと行った所に、年中ずっと日が照っている美しい街があるって。そこでは誰もが海を愛して、 海に守られて生きてるって。夏は太陽に照りつけられて、冬は北風に吹かれて強くなるって……。きっと前のお屋敷で誰かが言っていたのね…」

「………ふーん…」

ジャンは生返事で投げやりに答える。その意識はもうまどろみの中に沈もうとしていた。

「もしかしたらここがそうなのかしら…?私、昔はそんなの作り話だと思ってたわ…。それでも、もし本当のことだったとしたら……」


そう呟くと、不意にエリーザは何かを決意したように振り返り、ジャンの毛布を一気に剥ぎ取った。

「ねぇ!」
「………あぁ?」
ジャンは迷惑そうにうっすら目を開けてエリーザを見る。


「私、海が見たいの!連れて行ってくれない?」


「…はぁ……?」
あからさまに嫌そうな顔をするジャン。

「海なんてお前……これからいくらでも見られんだろーが…。ここから海沿いに西に行くんだから…」
「この街の海が見たいの!あなたはいいかもしれないけど、私はもう二度とこの街には来られないのよ?チャンスは無駄にしたくないの!」

「………嫌だ…。寝たいんだよ俺は…」
「帰ってからいくらでも寝ればいいでしょ!どうせ昼間はどこにも行かないんだから!」
「………」

エリーザに抗議の目を向けながらジャンは体を起こし、無言で手を伸ばして毛布を奪い返そうとする。

「ダメ」

すかさずエリーザが体をひねって逃げる。ジャンの手は虚しく宙をかいた。

しばらく無言の睨み合いを続ける2人。


そのまま1分間は睨み合った後、ため息と共にジャンが目を逸らした。

「………わかったよ…そんな泣きそうな顔すんな」







「次は…こっちね!ほら早く早く!」
「わかったから引っ張んな!…ったく急に元気になりやがって…」

「この街で海が見たければとにかく坂を下ればいい」とジャンが教えてからというもの、エリーザは喜々としてジャンの袖を引っ張りながら海を目指して突き進んでいた。

「こっちね!……あら、行き止まり?」
「そっちはホテルの敷地。…ホラこっちだよ」

ホテルの庭に迷い込みそうになったエリーザの襟を掴んで引き戻すジャン。

「きゃっ⁉︎ちょっとそこ引っ張らないでよ!」
「嫌なら間違えないこった」

ぶっきらぼうに答えるジャンに、更に文句を言いかけたエリーザは、慌ててそれをこらえ、軽く咳払いすると澄ました顔でジャンに向き直った。


「…そうね、わかった。先走ってごめんなさい。正直に言うと、ちょっと道がわからなくなっちゃったみたいなの。…ここはあなたに案内をお願いしてもいいかしら?この街のこと、ずいぶん詳しいみたいだし」

「………いや、まあ詳しいっつっても前に1,2回来ただけだけどな…。ん…こっちだよ」

満更でもなさそうな顔のジャンは南へ伸びる路地を指差すと、先を歩き始めた。




2人はガラス張りのモダンな建物の間を歩く。

「…ねぇ、ジャンはこの街には来たことがあったの?」
歩きながら、エリーザがジャンに尋ねた。

ジャンはバツの悪そうな顔で頭を掻く。

「……あ〜…まあな。もう何年も前の子供の頃だから、あんまり覚えてはないけどな…」
「なぁんだ。じゃあジャンだってほとんど初めてと一緒じゃない」
「うるせー」

軽口を叩きながら、ふとエリーザは素朴な疑問を口にした。

「子供の頃ってことは……お父さんとお母さんと一緒に来たのよね?」
「…あぁ、…そうだけど?」
「お父さんとお母さんって、どんな人?急に旅に出たりして、お母さんたち心配してない?」
「………」

エリーザの問いに、ジャンは微妙な表情で視線を泳がせる。

「……そう…かもな…。…心配、してんじゃねぇの?………あ、おい見えたぞ。港だ」
「えっ、ホント⁉︎…どこどこ⁉︎」

ジャンが唐突に前方を指差して話を逸らすと、すぐにエリーザはそちらに興味を移し、目を輝かせて駆け出した。
道は緩やかな下り坂になり、2人が向かう先には無数のヨットのマストが立ち並ぶ港が見えていた。







「………これが、海…なのね…」
「…そうだよ……そんなに綺麗なモンじゃねぇだろ?」

夢に見た海を目の前にして、エリーザはぼんやりと立ち尽くしていた。

2人が立っているのは、ヨットを繋ぐために海へ突き出した数多くの桟橋の一つだった。
港は海が陸地に四角く切り込んだような形をしており、ほんの数百メートル向こうには対岸が見えた。周囲には個人用のヨットが所狭しと並んで浮かんでおり、さながら白いマストの森のようだった。
夏の熱気を含んだ海からの風に乗って、強い潮の匂いが鼻を突く。潮風の匂いというよりむしろ生臭い魚やヘドロの臭いを含んだ、人が多く集まる港に特有の匂いだった。
眼下に広がる海は、青というより暗い緑色。淀んだ色の海にはゴミや海藻が浮かび、波に漂ってユラユラとたゆたう。

波に揺れる桟橋の上で、エリーザは一言も発することなく海を見て佇んでいた。ジャンもまたかける言葉が見つからず、押し黙ってその背中を見つめる。




やがて、黙ったままのエリーザに向かって、ジャンはためらいがちに口を開いた。

「……なあ、もういいだろ?そりゃ、お前が想像してたのとは大分違うだろうけど、現実なんてこんなもんだよ。…もっと田舎に行きゃあ、綺麗な海も見られるだろうさ…」

慰めるようなジャンの言葉に、エリーザは何も答えずにいたが、やがて海を見つめたままゆっくりと口を開いた。

「……ううん、違うの。そんなんじゃない。…嬉しいのよ、私」
「……え?」
「絵を見るだけじゃわからなかったわ。海ってこんな匂いがして、こんな音が聞こえて、こんな気持ちになるんだってこと……。臭くて汚くっても、これが本当の海なんだって思えば、ちっとも嫌じゃないのよ。だってここに来なければ、私なんにも知らずに終わってた…」
「……」

「だからね、こうやってありのままの海が見れて、わたし本当に嬉しいの。…それに、汚いくらいがちょうどいいわ。あんまり綺麗な景色だと、何だかそれも絵みたいで…」


一旦言葉を切った後、エリーザはくるりとジャンに向き直った。その顔には、明るい笑みが広がっていた。

「ねぇ!水に触ってみてもいい?」

「……あぁ。けどこの辺はやめとけ。汚ねぇから」
「わかった!」

エリーザは元気良く答え、桟橋の先端の方へ駆けていった。
桟橋の端まで来ると、エリーザは手をついてしゃがみ込み、海面へ手を伸ばす。

「もうちょっと……届いた!」
「落ちるなよ。…おおっと」

大きく揺れる桟橋の上でよろめきながら、ジャンもエリーザの側へ行く。

「冷たい……普通の水とあんまり変わらないのね…」
「当たり前だろ。ただの塩水なんだから」
「ふーん……」

水から手を離すと、エリーザはその手を鼻に近づけて匂いを嗅いでみる。

「……ふふっ。変な匂い!」
「そうか?」
「少しだけどね……。…へぇ…本当に大きい街なのね。丘の向こうまで家がびっしり…」

海水の感触に満足したエリーザは桟橋に腰を下ろすと、対岸に広がる街並みを眺め始めた。




(へぇ…案外強いもんだ……)

ジャンは、軽い驚嘆を覚えていた。
憧れていたものが期待していたほど美しいものでなかった時の幻滅。誰もがそんな経験をするはずなのに。
そこで前向きになれる心の強さをエリーザが持っていたのか、あるいは本当に純粋な憧れの想いの力か。いずれにせよジャンは、そんなエリーザが少し羨ましかった。

「ジャン……あれは?ずいぶん大きい建物だけど…」
不意にエリーザが指差したのは、丘の頂上に位置した巨大な教会だった。遠くからでもはっきり見えるそれは、ライトアップされて夜の闇に白く美しく浮かび上がる。

「あぁ…大聖堂だよ。この街の名物。ノートルダム・ド…何トカだったかな…」
「綺麗……」
「この辺は一番見所が多いんだよな。…その辺りは毎日魚市場が立つし、あっちには博物館。それから港の向こうには小説に出てくる監獄島…」

ジャンが次々に語る名所案内に、エリーザは目を輝かせては聞き入っていた。



「すごい…ジャンってやっぱり物知りね!」
「…ん、まあな。これでも地理は得意だったからな」

一通り説明を聞いた後、エリーザは尊敬の眼差しでジャンを賞賛した。ジャンは目を逸らし、照れ隠しに頬をかいて答える。


「………」

エリーザは口を閉じると、再び海の方へ向き直って、夜の闇を眺め始める。

「………本当に綺麗な街…」
ため息交じりにそう呟く。



「…世界って、本当に綺麗。きっとそう思えば、この世は何だって美しいのね…」

「…………もう、満足か?」

「うん。………ねぇ、ジャン?」
エリーザは顔を上げてジャンを見た。



「ありがとう。いろいろワガママ言っちゃったけど、私ここに来れて本当によかった!」



「!……お、おう」

不覚にも、心臓が弾むのがわかった。
エリーザの屈託のない笑顔と素直な言葉を向けられて、ジャンは顔を赤らめてそう答えるのがやっとだった。





「…あ、しまった………ジャン!今何時?」

唐突にエリーザが声を上げる。
その目は東の空を見ていた。暗かった空が仄かに明るくなり、薄い紫色に変わりつつあった。

「うっかりしてたわ……!早く戻らないと!」
「え?あ…お、おい!」

エリーザは素早く立ち上がると、元来た道へと走り出した。一瞬出遅れたジャンが慌ててその後を追う。

「おい!どうしたんだよいきなり!」
「日が昇る前に戻らないと!言ったでしょ、朝になったら私…!」
走りながらエリーザは叫んだ。



明け方の街を2人は走る。空は紫から茜色に、やがてオレンジへと徐々に変わっていく。
いくつもの坂を登り、いくつもの角を曲がり、いくつもの路地を駆け抜けた。途中何度か道を間違えかけてジャンが引き止める場面はあったものの、全力で走ったおかげで2人は行きの半分にも満たない時間でホテルまで到達することができた。



そのままホテルに駆け込み、バタバタと階段を上り、部屋の前まで来る。鍵を持っているジャンがポケットを探る。

「早く開けて早く!」
「分かった、分かったから騒ぐな!」

何とか鍵を取り出しドアを開けると、エリーザはジャンの背中を押して部屋に押し込んだ。

「入って!」
「うわっ!」

2人は部屋になだれ込み、エリーザの後ろでドアがバタンと閉まる。

「……痛ぇな…ったく…!何だってんだよ…?」
背中を突き飛ばされて転びそうになったジャンは、文句を言いながら後ろを振り返る。

「大体何をそんなに急いで………え?」

ジャンは言葉を飲み込んだ。


ジャンの目の前には、ドアを後ろ手に閉めてこちらへ歩いて来ようとするエリーザがいた。
しかし様子がおかしい。エリーザの身体は、こちらへ歩いて来ようとする姿勢のまま不自然に止まっていた。顔などは変化はないが、足から胴体にかけてがまるで床に縛り付けられたかのように固まっていた。

動けないエリーザは力なく笑う。

「あ…はは…何とか…間に合ったみたい…ね…。ここで時間切れ…みたいだけど……。言ったでしょ…夜しか…動けないって…。朝になったら…石に…戻らなきゃ…」
「石って……お前まさか本当に…!」
「……足のところ…見てみて…」
「…足って………!」

ジャンは息を飲む。ジャージのズボンから出たエリーザの細い素足は、完全に白い大理石に変わっていた。血の通わない石の肌が光沢を放つ。

「外で石に戻ったら大変だもの…間に合って本当によかった…」

エリーザが話す間にも、石化はみるみる進んでいった。
ジャンの方へ伸ばした手は、袖から出た部分が根元から白く変わっていき、ものの数秒で滑らかな大理石の彫刻と化す。

「お前……!」
「心配…しないで……。夜になったら…また動けるから…」

今や首までが石像となりつつあった。口を動かすのも難しいようで、その声はとても弱々しい。
それでもエリーザの顔には、穏やかな表情が浮かんでいた。


「ワガママ言ってごめんなさい……ゆっくり…休ん…で……」

それが最後だった。

口が、鼻が、目が、髪が、みるみるうちに凍りつき、気がついた時には、ジャンの目の前に立っているのは1人の美しい少女をかたどった白い彫像だった。その顔は、確かにジャンが毎日見ていた古代の女神像によく似ていた。




「…………」

ジャンは言葉を失っていた。

しばらく立ち尽くした後、恐る恐る彫像に近づいてその体に触る。
顔や腕や髪、どこを触っても、その手触りは間違いなく冷たい大理石だった。

「………マジかよ…」

よろよろと後ずさり、ベッドにドサリと腰を下ろすジャン。

石像と化したエリーザを眺めながら、ぼんやりと考える。
自分が動く彫刻だというエリーザの話は、当然ながら信じられなかった。確かに普通の人間にしては明らかにおかしい言動や行動はあったが、何か特異な事情を抱えた少女なのだろうと考えることで、自分を納得させていた。

しかしこうして人が石像に変わる瞬間を目の当たりにしてしまったことで、否が応にも信じざるをえなかった。自分の常識を超えた物事がこの世に確かに存在するということ。自分が今の今までその常識を超えた存在と行動を共にしていたこと。




カーテンを開け放した部屋の窓から、金色の朝日が差し込んできていた。

「………ハァ…」

ジャンは大きなため息を吐くと、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。

今日は色々なことがありすぎた。精神的にも肉体的にも、予想外のことが余りに多かった。


「…………疲れた…」

今はとりあえず眠ろう。多すぎる問題のことは、起きてからまた考えよう。

考えることを諦めてそう決めたジャンの意識は、やがて穏やかなまどろみの中に沈んでいった。
15/05/03 23:22更新 / 琴白みこと
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■作者メッセージ
お久しぶりです。更新が遅れて申し訳ありません。
加えて第2話が思ったよりも長くなったため、前後編に分けることにしました。遅筆ですみません…


二人がこれから旅をして訪れる場所は、基本的には南ヨーロッパに実在する場所、あるいはそれをモデルにした場所となる予定です。
ネットなどで情報収集して、なるべく描写は現実に近づけるように頑張っているつもりですが、間違っているところも多々あるとは思います。「こんなんじゃねえだろ!」と思う方もおられるでしょうが、ご容赦ください。
筆者が実際に行ったことがない場所が殆どなもので……。
でもこういう時Goo○le Mapは便利。特にストリートビュー。

ちなみに2人が泊まったホテルの料金ですが、日本円で大体14,000円くらい。(2015年5月現在)三ツ星のちょっといい部屋が取れるくらいです。(たぶん)


それでは、なるべく早くに後編を上げますので、どうぞお付き合いくださいませ。

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