連載小説
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5章 『ゲゲゲな奴ら』
「なんだかんだ言っても、結局フレンさんは童貞なんですよね?」
「急に何を言い出すかと思えば……この変態ロリ博士は」
「それで、どうなんですか?」
「……仰る通りでございますが」
「そうですか。 一応確認したかっただけです」
「ティーちゃん? そういう事はストレートに聞かない方がいいと思うよ?」
「回りくどいのは好きではないので」
「いやティータの好き嫌いじゃなくて俺の精神的ダメージを気にしろって事だろ?」
「? 別に良いではないですか。 男性は誰でも最初は皆童貞なのですから」
「正論だけどさぁ……そんな事言ったら、産まれたばっかりの赤ん坊を童貞と呼ぶことになるぞ?」
「それはありえません」
「ナニユエ?」
「魔物から産まれてくる赤子は100%女子ですから、その場合は『処女』となります」
「母親魔物で統一かよ!?」
「近い未来、きっとそうなりますから」
「……さいですか」












「………」
「………」

しばらくぶりの墓参り。
墓石の下で眠るのは紛れもない、俺の両親。

「………」
「………(zzz)」

うるさい奴らは置いて行こうと思ったら、不覚にもメイに尾行されていた。
面白い事なんて何もないのに、何故ついてきたんだろう?
そもそもサハギンに尾行技能があること自体驚きだ。
というか手を合わせながら寝てるし。
何しに来たんだコイツ。

「よし。 花も添えて近況報告もできたし、そろそろ帰ろうかな」
「………(zzz)」
「……はぁ」

スク水のサハギンが墓地で爆睡している姿は非常にシュールである。
あぁもう! 結局俺が連れて帰るんじゃないか!
メイはホント何しに来たんだ?
荷物にしかならないじゃないか!

「まったく……よっと!」

完全に無防備な魚人を背負う。
せめてこのまま静かに眠っていてほしい。

「ちょっと長居しちゃったかな」

早く帰って夕飯作らないと、また面倒くさいことになる(主に竜とババァが)。

「ん…んん〜……」
「こんなことなら、行き先告げて出てくれば良かったかなぁ」

まぁ今更か。
早く帰ろ。












フレンが立ち去った後の墓地にて。

「うわ〜♪ 超イケメンだったね〜♪」(ゴーストのマリアベルちゃん)
「う〜オイシソ〜〜」(ゾンビのウーク)

先ほどフレンのいた墓石前に集まり始めるアンデッド達。

「近年稀に見る逸材だったな」(デュラハンのユン女史)
「精液…飲んでみたかった」(マミーのレムナさん)
「魔力、膨大、子孫、繁栄」(スケルトンのルカ氏)

皆フレンに一目惚れした様子。

「むぅ…本当なら私のモノにしていたところだが」
「姐さんに釘刺されちゃったら、誰も文句言えないよ〜」
「抗議、推奨」
「あ〜う〜」

すると、暗闇から1人の女性が。

「こりゃまた、随分と男前に育ったみたいだなぁ」
「あ、エリス姐さ〜ん!」
「エリスさん、そろそろ頃合いでは?」
「熟成、完了、食事」
「ユン、ルカ、とりあえず落ち着きな」
「しかし……!」
「忘れるな。 あれは、アタイの『息子』だ」
「う〜〜」
「それを言われちゃうと、反論できないよ〜」
「Mrs.エリス…あなたは、既に1度死んでいます」
「レムナ、何が言いたい?」
「『グール』となったあなたに…母親としての権利はありません」
「へぇ〜、言うじゃないか?」

エリスと呼ばれる魔物の女性。
会話を聞いての通り、彼女は若くして亡くなったフレンの『母』。

「だが何と言われようと、フレンはアタイの息子だ。 それ以上でも以下でもない」
「エリスさん。 あなたは、あの男をどうしたいのですか?」
「私は精を吸い取りたいな〜♪」
「う〜あ〜〜」
「お前達の言いたい事はわかる」
「でしたら……!」
「あのな、アタイは墓参りに来てくれた息子を、問答無用で襲うような真似はできないって言ってんだ」
「そ、それは……」
「そうだよね〜」
「残念、正論」
「だが、時が来れば……」

ニヤリと笑うグールの女性。

「時が…来れば?」
「『近親相姦』というものを試してみたいな!」
「「「「………」」」」
「生前では考えもしなかったなぁ、息子と愛し合うなんて」
「あの…エリスさん?」
「文句は言わせんぞ? なんたって、アタイの息子なんだからな! 息子をどう扱おうとアタイの勝手だ!」

目を細め舌なめずりするフレンの母。

「まぁ、その後はお前達にも抱かせてやる」
「やった〜♪」
「あ〜う〜〜」
「逆姦、興奮、期待」
「楽しみ…です」
「エリスさん、息子さんでも容赦ないですね」
「息子だから、だろ? フフフッ……」

墓場は今日も賑やかでした。












〜おまけ〜

「墓参りだったか」
「ごめんエルザ。 君にだけは言っておくべきだった」
「気にするな。 お前の判断は正しい」
「ありがと。 まぁメイはいてもいなくても変わらなかったけどね」
「ところでフレン。 墓参りはどれくらいの間隔で行っているんだ?」
「ほぼ毎年だけど?」
「来年は私も連れていけ」
「え? 別にイイけど、急にどうして?」
「……何となくだ」
「ふ〜ん?」




11/03/16 21:54更新 / HERO
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■作者メッセージ
フレンの亡き母をグールにしてしまいました
完全に思いつきですが、意外にしっくりきたと思います

感想いただけると嬉しいですですorz

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