連載小説
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4章 『ズサーな奴ら』
「今宵はお主と2人きりじゃな」
「みたいだな。 何食べたい?」
「雌トカゲの好物以外なら何でも良いぞ!」
「おまかせってわけね。 エルザの好物以外となると…肉類は除外かなぁ」
「たまには異国の料理も食してみたいのじゃが」
「ん〜…じゃぁ、『ら〜めん』なんてどう?」
「おぉ! どんなものかは知らぬが、何やら美味そうな響きじゃのう!」
「レシピは一応あるけど、俺も作るのは初めてだから」
「良い良い♪ 多少の下手物なら多めに見るのじゃ」
「了解了解」

調理中 → → → → → → → 完成! 

「ふむ! なかなかイケるのう♪」
「麺作りにちょっと時間掛かったけど、苦労した甲斐があったよ」
「ご苦労じゃったのう! して、これは塩味かのう?」
「うん。 他にも『しょ〜ゆ味』とか『ミソ味』とかあるみたいだけど、聞いたことないし家には置いてなかったから」
「塩で十分じゃ! お主にはやはり、料理の才能があるようじゃな」
「え、そうかなぁ?」
「謙遜するでない! ワシがもし魔界に帰ることがあれば、お主をワシ専属のシェフ(兼ザーメンタンク)に任命してやるのじゃ!」
「ははっ…そりゃどうも」
「この『ら〜めん』とやら、また作るのじゃ!」
「けっこう面倒だから、また2人の時にな」
「約束じゃぞ♪」












「ね〜フレ〜ン……」
「フィロ? どした?」
「アタシの悩み…聞いてくれないかな〜?」
「悩み? あぁ、俺で良ければ聞くよ?」

フィロの悩みかぁ。
いつも『のんび〜り』『のほほ〜ん』としてるから、そういうことには無縁だと思ってたけど。

「……笑わないでね?」
「笑わないよ。 ほら、話してみ?」
「実はね、アタシ……上手に着地できないの」
「……ん?」
「だからね? その…空を飛んで地面に降りる時、いつも失敗しちゃうの……」
「あ、あぁ、そういうことか」

一瞬何のことかわからなかった。
確かにフィロは、たまに泥だらけになって帰ってくることがあった。
てゆうかセイレーンなのに着地できないって……。

「だ、だからね! アタシもハーピー種のセイレーンとして、このままじゃダメだと思って……」
「なるほど…事情はわかった。 でも、どうして今まで黙ってたんだ?」

もう1年以上の付き合いになるのに、そんな事1度も聞かなかった。
同居人としては少しショックである。

「あ、違うの! フレンを信頼してないとかじゃなくて、単に…恥ずかしくて……///」
「まぁ、着地できないハーピー種なんてフィロぐらいなもんだろうしなぁ」
「だから…フレンに手伝ってもらおうと思ったの!」
「そういうことなら、俺も協力するにやぶさかじゃないよ」
「あ、ありがとうフレ〜ン;;」

そんなわけで、フィロと2人で個人レッスンすることになった。
決して卑猥な意味ではありません。












「それじゃぁとりあえず、現状がどんなものか見せてよ」
「う、うん」

バッサバッサと上空へ飛び立つフィロ。
ちなみにここは自宅近くの広い草原。
遊び場として使われてたんだけど、最近では魔物娘達が増え始めて利用者はガクリと減った。

「フレ〜〜〜ン! 行くよ〜〜〜?」
「いいぞーー! いつでも来ーーい!」

物凄い勢いで急降下してくるフィロ。
いや着地ってあんな速度いらないだろ。
鷹の狩かよ。

「きゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「えええええええええええ!?」

きゃあ〜って本人パニくってるし!?
てゆうかこのままだと危ない!

「フィローー! 背中に力を入れて上体を持ち上げろーー!!」
「や、やってみ…きゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

お、おいおい大丈夫か!?
もう地面までだいたい50mくらいしかないぞ!?

「うぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「頑張れーー!!」

すると、残り10m付近で降下角度が緩やかになり………

         
ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!


「・д・;」

なんとか着地に成功したようだ。(不時着に近いが)
ふぅ、良かった…まったく心臓に悪い。
着地する度にこんな事してるのか。

「うぅ〜〜〜;;」
「あ〜…フィロ、大丈夫か?」
「着地怖いよ〜;;」
「着地が怖いのもきっとフィロだけだろうなぁ」

一体どこから教えればイイのやら……。

「飛び立つ時みたいに、そのまま降下できないのか?」
「やろうと思うんだけど…いつの間にか急降下してて;;」

なぜ?

「ん〜…飛ぶなって言うのも無茶だよなぁ……」
「アタシも極力飛ばないようにしてるんだけど、歌の練習をする時はどうしても……」
「あぁ、そうだったな」

フィロは歌の練習を上空で行っている。
以前自宅で歌を聞いてしまった俺は発情し、フィロを襲おうとしたためである。
(フィロは満更でもなかったようだけど)

「とにかく、何度も挑戦するしかないな」
「うぅ〜〜〜」

根気良く続けていくしかない。
フィロという鳥類の未来のために。












〜おまけ〜

ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!

ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!

ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!

「重症じゃな……」
「むしろこれで良いんじゃないか? フィロ流着地術と言えば誤魔化せるだろう」
「このままだとエルザの意見が通りそうだなぁ」
「そんな〜〜〜;;」
「ティータにお任せください」
「ティーちゃん……!」
「羽を全て抜けば飛ぶこともできなく……」
「いやあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「冗談だったのですが」
「「「おい」」」
「………zzz」







11/02/27 14:43更新 / HERO
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■作者メッセージ
着地できない鳥
存在しますかね?

感想いただけたら嬉しいです^^

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