最終品 『狸の嫁入り』
墓地で店長にプロポーズしてからの1週間は、長いようで、とても短く感じられた。
プロポーズ翌日。
僕は居間のテーブルに母とリンを座らせ、店長と結婚する旨を伝えた。
まだ一介の大学生であるため、結婚はしばらく先のことになるということも込みで。
「やっと決心したのね?」
「うん」
「で、ロザリーには話したの?」
「………」
「まぁそうなるわよねー。いいわ、ロザリーのところに行くときはあたしも同行してあげる。念のために…ね」
「う、うん、ありがとう」
リンの同行については深く追求しない方向でお願いします。
「zz……zz……」
「お母さーん、起きてるー? お兄ちゃんわりと大事な話してるわよー?」
「zz……zz……」
「……反応ないわね」
「徹夜明けだからね。ここに座ってくれただけでも良しとしようよ」
「長男が結婚するー!ってときにこの有様とはねぇ…お母さんホント大物よね」
リンはテーブルに突っ伏す母の頬をツンツンとつつく。
まぁ、本当はちゃんと聞いてほしかったけど…母さんはこういう人だし、仕方ないか。
「それで? いつ献血に(ロザリーに会いに)行くつもり?」
「明日、行こうと思ってる」
「あ、明日!? ず、随分と急ね?」
「長引かせてどうにかなる問題じゃないから。大学にも体調のことを考慮して休学届は出してきた。これで僕が病院送りになっても無断欠席にはならない」
「変なところで用意周到なんだから……」
初めから無事で済むとは思っていない。
2週間…いや良くて3週間の輸血生活を覚悟している。
「それに、さ」
「?」
僕は、愛しいあの人の顔を思い浮かべる。
「死ぬかもしれない。でも…僕はそれでも、あの人と一緒にいたいと心から思ってる。だから……」
「なんにも怖くないって? あ〜ヤダヤダ! お兄ちゃんくさすぎ!」
「そ、そうかな?」
「そうよ! まぁ、でも」
リンは頬杖をつきながら、
「それでこそ、あたしのお兄ちゃんって感じね♪」
妹がいてくれて良かった。
素直にそう思った。
プロポーズから2日目。
オルレンシア邸にて。
「………」
「………」
『店長と結婚します』とロザリーさんに打ち明けてから、早6時間。
彼女は目を閉じ腕組みした状態から一言も言葉を発せず微動だにしない。
その間僕は動くに動けず、いつ襲われてもおかしくない状況に神経をすり減らしながら、恐らく人生で最も辛い時間を過ごしていた。
「………」
「………」
脂汗が止まらず、息づかいも荒い。
辛い…怖い……でも、僕は黙って待つことしかできない。
なぜなら、僕のロザリーさんに対する行為は一種の『裏切り』。
10年以上も傍にいてくれた女性を切り捨ててしまったことと同義なのだから。
「………」
「………」
僕の背後には付き添いのリンと、オルレンシア邸でメイドとして働くサハギンの少女シィが控えている。
しかし長時間の沈黙に耐えきれなかったのか、後ろからは2人の寝息が聞こえてくる。
僕が『殺害』される可能性を考慮してついてきてくれたリンだが、もはやそのカードもあってないようなもの。
「………」
「………」
「……ふぅ」
ビクッ!
ロザリーさんが溜め息をついた。
そして僕は6時間ぶりの彼女の動きに思わず神経反射。
「……ファルシロン?」
「は、はい!?」
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
あまりの恐怖に背筋がピンと伸びる。
「あなたはわたくしではなく、あの性悪狸と添い遂げる……そう仰いましたわね?」
「……はい」
「嘘偽りは、ありませんわね?」
「………」
僕はロザリーさんの視(死)線を真っ向から受け止めながら、
「はい、嘘偽りはありません。僕は…………店長を愛しています」
彼女の質問に、確かな決意を持って答えた。
「そう、ですの……」
ロザリーさんは足元に視線を向けると、再び小さな溜め息を漏らす。
そして……
「シィ! 長期滞在の準備をなさい!!」
「「「(゚Д゚)!?」」」
突然立ち上がったかと思いきや、ドレスを勢い良く翻し客間を後にする。
どうでも良いが、僕を含め後ろで眠っていた2人もロザリーさんの声に驚き飛び起きた。
「ロ、ロザリーさん! 長期滞在って、どういうことですか!?」
彼女は僕の呼びかけに歩みを止める。
「決まっていますわ。これから『傷心旅行』に赴くつもりですの。あなたにフラれたおかげで、わたくしの乙女心はもうズタズタですのよ?」
「は、はぁ」
乙女心がズタズタ、といった様子でもないような気はするが……。
「それに…何となく、気付いていましたの」
「え?」
ロザリーさんは僕の方へ振り返ると、両手を腰に当てながら目を細める。
「ホテルを訪れたとき、あなたがわたくしを抱かなかった時点で、恐らくこうなるであろうと予想はしていましたの」
「ど、どうして……」
「はぁ…何年あなたの幼馴染を務めてきたと思っていますの? あなたの考えていることなんて、それこそ手に取るようにわかりますのよ?」
「………」
予想外の反応に拍子抜けする一方、自分の心の内を悟られていたことに驚きを隠せない。
ロザリーさんは、やっぱり僕の幼馴染だ。
見ていないようで、僕のことを隅々まで理解している。
あぁ…僕はこんなにも素敵な女性を裏切ってしまったのか……。
「………」
「そんな顔をするのはお止めなさい」
「でも……」
「………」
ロザリーさんはやれやれといった様子で僕の方へと歩み寄ってくる。
そして、お互いの顔と顔がくっつくのではないかと思う程の距離にまで詰め寄ってきた。
「……ロザリーさん?」
「男なら堂々となさい。女1人捨てられないようでは、あの狸を…あの女を幸せになんてできませんわよ?」
「………」
「罪悪感を感じる必要なんてありませんわ。それに…あなたにそんな顔をされてしまっては、わたくしは余計惨めな女になってしまいますわよ?」
「あ……」
そうだ…やっぱりロザリーさんは……。
「すみません、ロザリーさん」
「そうではありませんわ」
「………」
僕が言うべき事、それは……
「……幸せになります! 絶対に!」
「………」
ロザリーさんは僕の言葉に黙って頷くと、
「その言葉、決して忘れてはいけませんわよ?」
彼女は再び背を向けると、シィを引き連れ今度こそ客間を後にした。
「………」
ロザリーさんが去った瞬間、僕は緊張の糸が途切れたかのように足元から崩れ落ちた。
僕の様子を遠目から窺っていたリンがすぐさま駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん大丈夫…なわけないわよね」
「はは…寿命が縮んだよ……」
1人の女性を傷つけることが、こんなにも辛く重い行為だったなんて……。
わかっていたつもりだったが、僕はなんて罪深いことをしてしまったのだろう……。
できることなら、こんな想いはしたくなかった。
………。
でもその代わりに、1つだけわかったことがある。
幸せになるのではない。
幸せにならなければならない。
僕達のためだけではなく、僕達に関わる全ての人々のためにも―――――
プロポーズから4日目、場所は雑貨店。
僕は……実家を追い出された。
「どゆことっすかー?」
「えーとですね……」
その内訳はこうだ。
僕は3日前、大学卒業後(2年後)に店長と結婚する旨を家族に伝えた。
すると今朝、妹のリンにこんなことを言われた。
『どうせ結婚するなら、今から同棲でもしたら? 家のことはあたしに任せて、お兄ちゃんはイチカさんとより一層親睦を深めた方が良いと思うの。え? 何か裏がありそうだって? 良くわかったじゃない? あたし、早くイチカさんの子供をこの手で抱いてみたいのよ♪ だからお兄ちゃん? 今日からスタミナの付くものをたくさん食べて、万全の状態で夜を迎えなさい! いいわね? わかったなら早く荷物をまとめて出ていきなさい!!』
「……という具合で」
「随分と強引っすねー」
リンとの会話を店長に伝えはしたが、後半の大部分はもちろんカット。
学生の内に、その…そういうのはまだ早いと思います。うん。
「そんなことしなくてもー、うちのシロさんへの想いはー永遠に色あせないっすよー」
「め、面と向かってそんなこと言われたら…さすがに恥ずかしいです……///」
「ははー♪ 本当のことっすからねーヾ(*´ω`*)ノ」
店長の言葉に顔が熱くなるのを感じる。
まったく、平気でそういう恥ずかしいことを言うんだからこの人は……(*´ -`)
「それでーこれからどうするっすかー? うちとしてはーシロさんにはここに居候という形でーお店を手伝ってくれると嬉しいっすー」
「ご迷惑をおかけします」
僕はペコリと頭を下げる。
「そんなー、迷惑なわけないじゃないっすかー」
「でも、僕にはお店を手伝う意外にできることなんて……うわ!?」
頭を上げると、突然店長が僕めがけて体当たり…もとい、抱きついてきた。
「て、店長?」
「………」
店長は僕の鳩尾に頭をグリグリと押し付けてくる。
「……お店のことなんて、どうでもいいっす」
「え?」
店長の僕を抱きしめる力が強くなる。
「シロさんと一緒に過ごせる時間が増えるだけで…うちは、すごく嬉しいっす」
「………」
そうだ。
店長の本音は、いつも後からやってくる。
「……はい。僕も、嬉しいです」
「っす〜♪」
しばらくの間、僕達はお互いを力一杯抱きしめあった。
決して離さないと言わんばかりに、強く、強く―――――
プロポーズから6日目、雑貨店にて。
「店長、納品リストの確認終わりました」
「はわー、さすがに仕事が早いっすねー」
「1年近くもここで働いているんですから、嫌でも慣れますよ」
「それもそっすねー。ほむ、ということはーうちとシロさんが出会ってからーもう1年が経つってことっすねー」
「あ、言われてみれば」
「あっという間っすねー」
「そうですねぇ」
店内が多数のお客さんで入り乱れる中、僕達は過去の出来事をしみじみと振り返る。
まさか店長と同棲し、果てには結婚の約束をすることになるとは、当時の僕では想像もつかなかった。
「………」
「………」
「店員さ〜ん? お会計お願いしま〜す」
「あ、はーい!」
ちなみに昨日は大掛かりな引っ越しイベントがあった。
実家から雑貨店へ荷物や家具の移送を試みたのだが、これが思いのほか難航。
たった数メートル離れた場所だ、なんとかなるだろう…と高を括っていたが、結局丸1日を消費する超重労働となってしまった。
そのため僕と店長の同棲生活は、厳密に言えば本日からスタートということになった。
「毎度ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております!」
「また来ますね〜♪」
同棲とは言っても平日は大学に、休日はお店の手伝いと、やっていることは普段と何ら変わり映えしない。
しかし、
「………」
「……店長?」
大好きな店長の顔を1日中見られる…僕はこれだけで十分だ。
「……スリスリ」
「?」
僕がお客さんの対応を終えると、突然店長が体をスリつけてきた。
「スリスリスリ……」
「あ、あのぉ……」
「マーキング中っす。動いちゃダメっす」
「は、はぁ」
マーキング……。
確か初めて出会ったあの時も同じようにされたことがあったっけ。
はは、なんだか懐かしいなぁ。
「んっしょ…んっしょ……」
「て、店長? お客さん達の好奇な視線が……」
「我慢するっすー。見せつけてるんすからー」
「ぇえ!?」
店内から黄色い歓声があがる。
『ヒューヒュー! 2人とも熱いね〜!』
『職場恋愛か〜! 憧れちゃうな〜♪』
『私も早くイイ人見つけないとな〜』
……非常に恥ずかしい。
「しっかりうちの匂いを付けないとー、シロさんはすぐに女の標的にされちゃうっすー」
「またそんな犬みたいなことを……」
でもこのマーキングには、以前とは決定的に異なる部分がある。
それは、
「スリスリ……」
「………」
動機がお客の確保から、嫉妬に変わっていた―――――
そして、プロポーズから7日目の現在。
大学からお店に帰宅すると、僕はすぐさま店長に手伝いを申し出た。
疲れていないかと心配されたが、まったくそんなことはないと答えた。
店長の顔を見たら疲れが吹き飛んだ……とは、恥ずかしくて言えない。
「お客さんも疎らっすからー、納品された商品を並べてくれるだけでいいっすよー」
「はい、任せてください」
僕は一切の無駄なく店内を巡回し、納品された品々を所定の場所へと並べていく。
初めは苦労した膨大な数の商品の位置も、今やすっかり脳内にインプリンティングされた。
いやはや、慣れとは恐ろしい。
「シロさーん」
「はーい」
カウンターから店長の声が。
僕は手に持った商品を並べると、小走りで店長のもとへと向かう。
「なにかありましたか?」
「これを飲むっす」
「へ?」
手渡されたのは、ラベルの張られていない半透明の褐色の小瓶。
「納品の中にー試供品として混ざってたものっすー」
「試供品、ですか?」
「要するにー卸業者からの宣伝っすよー。『こういう商品もあるから気に入ったら発注してくれ』、ってことっすよー」
「あぁ、なるほど」
「というわけでー…ほい。飲んでもいいっすよー」
「はぁ」
瓶の蓋を開けてもらい再び手渡される。
……これ、大丈夫、ですよね?
「栄養ドリンクっすからー、きっと元気が出るっすよー」
「……わかりました。そういうことなら、ありがたくいただきます」
「っすーノ」
僕は意を決し、50mlの液体を一気に飲み干す。
………。
…………。
……………。
……苦甘い。
「………」
「どっすかー? 元気出たっすかー?」
「そう、ですね…そんな気がします」
「それは良かったっすー♪ ははー♪」
「……?」
どこか含みのある店長の笑みに、僕は一切の疑問を抱くことなく業務へと戻っていった。
ラベルが張られていなかったのではなく、『剥がされていた』ことに気づくこともなく……。
その夜。
店長と2人だけの夕食を終えた僕は、入浴を済ませた後、畳が敷き詰められた和室(寝室)の押入れを開き、そこから2人分の布団を取り出す。
別に何か特別なことをしているわけではない。
ただ、店長が入浴している間に就寝の準備をしてしまおうという、僕なりのちょっとした気遣いのつもりだ。
一応同棲中ということではあるが居候の身であることに変わりはないため、こういった小さな気遣いから始めていこうと心に決めた。
「よい…しょっと! ふぅ、これでいいのかな?」
なんだかんだで布団一式の準備に数分を要した。
そもそも布団で眠るという行為自体が僕にとっては未知の領域。
こればっかりはこれから慣れていくしかないのだけれど、特に不安があるわけではない。
むしろその逆。
僕は店長と歩むこれからの人生に、とても大きな期待感を膨らませている。
心から愛する人と一緒に過ごす日々……想像しただけで思わず顔がニヤけてしまう。
「さて、と…どんな感触なんだろう」
苦労して敷いた布団の上をゴロゴロと転がってみる。
……ぉお?
地面が近いから背中が痛くなるかと思ってたけど、これはこれで新感覚。
むしろ背中が真っすぐに伸びるからベッドよりも健康的かもしれない。
ふむ…ジパングの文化、侮り難し。
「……?」
そんなことを考えていると、体に妙な違和感を感じた。
「う〜ん…なんだろう、この感じ」
痛むわけではない。
なんというか…そう、熱い。
体全体が、特に下半身が燃えるように熱い。
「風邪でもひいたのかなぁ?」
いや、風邪にしてはどこか妙だ。
鼻に異常はないし、喉も普段通りで咳も出ない。
むむむ?
「疲れてるのかなぁ……」
そうか、疲労からくる発熱。
なるほど、それなら体の火照りにも納得がいく。
「ふぅ」
そういえば最近慌ただしかったし、ちゃんと休息も取っていなかった気がする。
幸い明日から連休に入るため大学は3日程お休み。
良いタイミングだ、この機会にしっかりと体を休めるとしよう。
もちろん、店長と一緒にのんびりと過ごすつもりだ。
なんて、明日からの予定を組み立てていると、
「はわ〜♪ イイお湯だったっす〜♪」
「!?」
襖(ふすま)が開いたと思いきや、超色っぽい格好をした店長が登場。
僕は思わず顔を背ける。
「あー布団敷いてくれたんすねー? 助かるっすー♪」
「あぁいえ、別にたいしたことは…じゃなくて! ゆ、浴衣…ちゃんと着てください!」
「ほむー? 別にイイじゃないっすかー。ここはうちの家っすよー?」
「あ、言われてみれば……ってそうでもなくて!」
本来腰に巻くはずの帯を肩にかけているため、正面から見た店長の姿はもはや人前では決してお見せできない。
ギリギリ胸元が隠れているからまだマシかと一瞬思ったが、問題はそこではなく……下。
店長の下半身には何も着用されておらず、完全に生まれたままの姿になっていた。
「風邪ひいちゃいますよ! は、早く何か穿いてください!」
「うちー寝るときは『穿かない派』なんすよーノ」
「どんな派ですかそれは!?」
同棲2日目にして早くも互いの生活習慣に戸惑う。
昨日は夜を徹して大学のレポートを仕上げていたので、2人同じ部屋で眠るのは今夜が初めて。
なので少しドキドキしていたのだが……店長が『穿かない派』ときた。
これには色々な意味でドキドキが止まらない。
「シロさんが何と言おうとーうちは穿かないっすからねー」
「ぐっ…こういうどうでもいいところで頑固なんですから……」
これもそのうち慣れるのかなぁ…と半分諦めかけた。
すると、
「……!」
下半身に強烈な違和感。
今回の違和感は先程感じたソレとは比にならない。
これは、もしや……。
「………」
………。
穿く穿かないと下の話をしていたせいか?
僕の息子はかつてない程の大きさまで膨張していた。
「? シロさん、どうかしたっすかー?」
「へ? あ、あぁいえ! あはは、なんでもないですよ! なんでも……」
「ほむ、そっすかー…………ニヤリ」
はぁ…早く静まってくれないかなぁ……。
「………」
………。
………。
………。
……ダメだ、眠れない。
隣では店長が静かに寝息を立てているが、僕は就寝から1時間経った今も目が冴えに冴えて仕方がない。
おまけに体の火照りも治まらず、もはや眠れる気がまったくしない。
やっぱり緊張してるのかなぁ?
「zz…zz……」
「……(´−`;)」
どうせ眠れないのなら夜の街を散策しようかとも考えたが、下手に動いて店長を起こしてしまっては申し訳がたたない。
というわけで僕は、布団の中でひたすらじっとしていることを選んだ。
そのうち自然と眠りに落ちることを祈って。
「zz…zz……」
「………」
………。
「zz…zz……」
「………」
…………。
「zz…zz……」
「………」
……………。
……なぜだろう。
幸せそうな表情で無防備に眠る店長の寝顔を見ていたら…なんだか、その……。
い、いやいや! きっと気のせいだ。
僕が店長の『寝込みを襲う』なんて考えるはずがない。
そ、そう! これは眠れないから変なテンションになっているだけ!
そうだ! きっとそうに違いない!
「zz…zz……」
「ぐっ……」
と、いくら自分に言い聞かせても止まることのない劣情。
ま、まずいなぁ……よし、とりあえず店長を見るのはやめよう。
「………」
僕は静かに体勢を変えると、店長に背を向ける形でそっと目を閉じる。
無心…無心になるだ、僕……。
「………」
………。
良かった、少し落ち着いてきた。
まったく、こんな非人道的なことを考えてしまうなんて…やっぱり疲れているのだろうか?
でももしそうなら、もっとすんなり眠れるはずなんだけど……。
はぁ…早く眠りたいなぁ……。
「………」
ゴソ…ゴソゴソ……
「……?」
背後から、何かが擦れるような音が聞こえてきた。
……店長が寝返りでもうったのかな?
………。
音はすぐに消えた。
うん、やっぱりただの寝返りだったようだ。
やれやれ、僕も早く眠らないと……
ぎゅっ
「ひっ!?」
突然背中に抱きつかれたような感触が。
いや、実際これは抱きつかれている。
………。
僕は腕を上げ恐る恐る脇の間から背後を窺う。
するとそこには……
ぎゅーっ
店長が両手両足で僕の背中にしがみついていた。
「あ、あのぉ…店長?」
「………」
「起きてたんですか? あ、もしかして…起こしちゃいました?」
「……ずっと起きてたっすよー」
「え?」
店長はそっと僕から離れると、布団の上でちょこんと女の子座りをする。
心なしか、どこか不機嫌そうに見える。
「むー」
「え、えーと……」
「どうしてっすかー?」
「へ?」
突然そんなことを言われた。
「どうしてって…なんのことですか?」
「とぼけないでほしいっすー。いつになったらーうちを『襲ってくれる』んすかー?」
「お、襲う!?」
「とっくに薬が回ってるはずっすのに……ずっと寝たふりして待ってたんすよー?」
「い、いや、待ってたと言われても…え? というか…薬?」
薬って、そんなもの飲んだ覚えは……あ。
「まさか…あれは栄養ドリンクだったはずじゃ!?」
「間違ってはいないっすよー。元気になるという意味では一緒っすからーノ」
「ま、またそんな屁理屈を……!」
帰宅時に飲まされたアレか!
どおりで体が(主に下半身が)火照るわけだ。
「エロい格好すれば喰いついてくると思ったっすけどー、シロさんなかなか強情っすー」
「いやぁ、強情とかそういう問題では……」
「『睡眠姦』も期待してたっすけどー、これはもう正攻法でイクしかないっすねー」
そう言うと店長は腰に巻いた帯を解き、浴衣をバサリと放り投げた。
「!?」
「遠慮しないでー食べてもイイんすよー? うちの心と身体はー隅から隅までぜーんぶシロさんの『所有物』なんすからー」
全裸の店長が獣のような姿勢でにじり寄ってくる。
僕は必死に顔を背けようとするが……それができない。
僕は……店長の美しくも豊満な裸体に魅入ってしまた。
「はぁ…はぁ……」
心臓が高鳴り息苦しい。
さらに僕のモノは限界まで猛り、痛みさえ感じる。
「脱ぎ脱ぎするっすよー♪」
僕の浴衣を店長が剥ぎ取る。
そしてボーッとしている間に下着までも奪われてしまった。
「あ、ちょっと!」
「シロさんの生下着………………クンカクンカ!」
「(゚Д゚)!?」
クンカクンカされた。
もうほんと、読んで字のごとくクンカクンカされた。
「な、なにしてるんですか!?」
「クンカクンカ……交尾の前にー気分を高めてるっすよー。シロさんの匂いを嗅いだおかげでーうちのココはーもう……///」
「………(ゴクリ」
切なそうに秘所を撫でる店長の仕草に生唾を飲み込む。
うぅ…これは、もう……
「……店長!!」
「はわ!?」
布団の上に裸の店長を押し倒す。
「シ、シロ、さん……?」
「っ……」
潤んだ瞳で見つめてくる店長。
「誘ってきたのは…店長ですからね……!」
「っす!?」
僕はいきり立つソレを店長の秘所にあてがう。
「はぁ…はぁ……」
「きて…ほしいっす……///」
腰に力を入れ、ゆっくりと桃色の肉ヒダをかきわけていく。
そして…………
「「っ!!!」」
僕らは今夜、1つになった。
「「はっ…はっ…はぁ……!!」」
肉と肉が激しくぶつかり合う。
結合部は白く泡立ち、布団は店長の潮でいくつものシミができている。
そして、何度目ともわからぬキス。
舌と舌を絡め合い、互いの口内を弄り合う。
「んっ…んん……」
「ん、む……んぱぁ!?」
キスをしながら腰を強く打ちつける。
僕は自分の底からせり上がる何かを感じる。
「て、店長…も、もう……!」
「はぁ…はぁ…無駄撃ちは…んっ…厳禁、っすからねー……?」
分身を奥深く、根元まで押し込む。
それに応えるかのように、彼女は僕の腰を両足でガッチリと捕らえる。
「あ…ぐっ…あああ……!!」
亀頭が彼女の子宮口をこじ開ける。
そして一瞬、僕のモノが大きく膨張したかと思うと……
「「っーーーーー!?」」
店長の膣内に、あらん限りの精を放出した。
「あ…ぅ……」
「はぁ…はぁ……///」
異常なまでに濃く、精子密度の高い精液。
そんな凶悪な欲望を、僕は容赦なく店長の子宮に吐き出し続ける。
「は、ははー…もうお腹…一杯っすぅ……///」
「ぐっ…ぅぅ……」
店長の子宮はとっくに許容量を越えている。
しかしそれでも彼女は、僕の腰に回した足を離そうとはしない。
「は…はぁ…店、長……」
「シロさん…うち…すごく幸せっす……///」
そしてまた、どちらからともなくキスをする。
お互いの愛を確かめ合うかのように、ゆっくりと、深く―――――
「はわ〜♪ 満たされてる感じがするっす〜♪」
「それは…良かったですね…僕も、頑張ったかいが、ありました……;」
行為が終わった後も、僕達は布団の上で繋がったままでいた。
仰向けになった僕の上に、店長がうつ伏せに寝そべるような体勢だ。
「店長、そろそろ……」
「ダメっすよー? シロさんの凶暴な精虫がーうちの卵を射止めるまでーしっかりと『栓』をしておくっすー。それがー親心ってものっすよー」
「は、はぁ」
親心って、そういうことを言うのかなぁ……?
ま、まぁいいか。
むぎゅ♪
「はわ!?」
というわけでリクエスト通り、僕は店長の桃色のお尻を鷲掴みにし、自慢のモノをより一層奥まで押し込む。
「ふ、深いっすよ〜……///」
「栓をしろって言ったのは店長ですよ? 文句言わないでください」
「はわ〜…シロさん意外と肉食系っす〜♪」
こんなやりとりが、朝まで続きました。
〜○ ◎
翌日。
「イチカさん、こんにちわ!」
「あー、リンさんっすかー。元気そうでなによりっすー」
「はい! あたしはいつも元気ですよ! それはそうと…お兄ちゃんはどこですか?」
「シロさんならー裏で在庫の確認してるっすよー。働き者の夫でーすごく助かってるっすー♪」
「まだ結婚してないじゃないですかー! イチカさんってば気が早過ぎですよー♪」
「ははー、そうだったっすねー」
キャハハ♪ ウフフ♪
「……ん? リンの声?」
倉庫で在庫品のチェックをしていると、お店の方で何やら楽しげな会話が聞こえてきた。
とりあえず一段落したら顔を見せに行こうかな。
にしても……ふあぁ〜……。
ふぅ…昨晩は俗に言う『お楽しみ』だったので完全に寝不足だ。
僕は眠い目を擦りながら漏れのないよう在庫の確認を急ぐ。
「そういえばイチカさん、なんだかいつもより顔色が良いですね? 何か良いことでもあったんですか?」
「っすー? ははー♪ そんなのー『コレ』しかないじゃないっすかー♪」
「コ、『コレ』…ですか!?」
………。
『コレ』って、もしかしなくても昨晩のことですよね?
店長は一体どういうジェスチャーをしているのだろうか……。
妹にあまり妙なことを吹き込まないでほしいのだが……。
「そ、それで、どう…でしたか?」
「それはもー……ねー?」
「ゴクリ……(;゚Д゚)」
店長…お願いですからそれ以上は……。
「イチカさん、そのぉ…お兄ちゃんの……『アレ』は?」
「癖になる大きさっすよー♪ うちの中が押し広げられてー満たされる感覚がなんともー……」
「店長ーーーーー!!!」
堪らず倉庫を飛び出した。
「ふむ、手紙かのう? どれどれ……」
ビリビリッ
「……おぉ! ファルシロンからではないかぁ♪ 祖母に手紙とは、ういやつよのう♪」
『お婆ちゃん、子供が産まれました。近い内に、是非会いにきてください』
「ファルシロンに子供とな!? ま、待て待て! ということは…わしにとって『ひ孫』ということか!? こ、こうしてはおれん! 早う転送魔法の準備じゃ!」
『店長に似て、とても可愛らしい女の子です。名前は…………』
〜第一子誕生記念セール〜
全商品3%OFF
「セ、セールの割にはケチ臭くないですか?」
「商売なんてそんなもんっすよー。『ホノカ』もそう思うっすよねー?」
「キャッキャッ♪」
See You Next Story!
プロポーズ翌日。
僕は居間のテーブルに母とリンを座らせ、店長と結婚する旨を伝えた。
まだ一介の大学生であるため、結婚はしばらく先のことになるということも込みで。
「やっと決心したのね?」
「うん」
「で、ロザリーには話したの?」
「………」
「まぁそうなるわよねー。いいわ、ロザリーのところに行くときはあたしも同行してあげる。念のために…ね」
「う、うん、ありがとう」
リンの同行については深く追求しない方向でお願いします。
「zz……zz……」
「お母さーん、起きてるー? お兄ちゃんわりと大事な話してるわよー?」
「zz……zz……」
「……反応ないわね」
「徹夜明けだからね。ここに座ってくれただけでも良しとしようよ」
「長男が結婚するー!ってときにこの有様とはねぇ…お母さんホント大物よね」
リンはテーブルに突っ伏す母の頬をツンツンとつつく。
まぁ、本当はちゃんと聞いてほしかったけど…母さんはこういう人だし、仕方ないか。
「それで? いつ献血に(ロザリーに会いに)行くつもり?」
「明日、行こうと思ってる」
「あ、明日!? ず、随分と急ね?」
「長引かせてどうにかなる問題じゃないから。大学にも体調のことを考慮して休学届は出してきた。これで僕が病院送りになっても無断欠席にはならない」
「変なところで用意周到なんだから……」
初めから無事で済むとは思っていない。
2週間…いや良くて3週間の輸血生活を覚悟している。
「それに、さ」
「?」
僕は、愛しいあの人の顔を思い浮かべる。
「死ぬかもしれない。でも…僕はそれでも、あの人と一緒にいたいと心から思ってる。だから……」
「なんにも怖くないって? あ〜ヤダヤダ! お兄ちゃんくさすぎ!」
「そ、そうかな?」
「そうよ! まぁ、でも」
リンは頬杖をつきながら、
「それでこそ、あたしのお兄ちゃんって感じね♪」
妹がいてくれて良かった。
素直にそう思った。
プロポーズから2日目。
オルレンシア邸にて。
「………」
「………」
『店長と結婚します』とロザリーさんに打ち明けてから、早6時間。
彼女は目を閉じ腕組みした状態から一言も言葉を発せず微動だにしない。
その間僕は動くに動けず、いつ襲われてもおかしくない状況に神経をすり減らしながら、恐らく人生で最も辛い時間を過ごしていた。
「………」
「………」
脂汗が止まらず、息づかいも荒い。
辛い…怖い……でも、僕は黙って待つことしかできない。
なぜなら、僕のロザリーさんに対する行為は一種の『裏切り』。
10年以上も傍にいてくれた女性を切り捨ててしまったことと同義なのだから。
「………」
「………」
僕の背後には付き添いのリンと、オルレンシア邸でメイドとして働くサハギンの少女シィが控えている。
しかし長時間の沈黙に耐えきれなかったのか、後ろからは2人の寝息が聞こえてくる。
僕が『殺害』される可能性を考慮してついてきてくれたリンだが、もはやそのカードもあってないようなもの。
「………」
「………」
「……ふぅ」
ビクッ!
ロザリーさんが溜め息をついた。
そして僕は6時間ぶりの彼女の動きに思わず神経反射。
「……ファルシロン?」
「は、はい!?」
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
あまりの恐怖に背筋がピンと伸びる。
「あなたはわたくしではなく、あの性悪狸と添い遂げる……そう仰いましたわね?」
「……はい」
「嘘偽りは、ありませんわね?」
「………」
僕はロザリーさんの視(死)線を真っ向から受け止めながら、
「はい、嘘偽りはありません。僕は…………店長を愛しています」
彼女の質問に、確かな決意を持って答えた。
「そう、ですの……」
ロザリーさんは足元に視線を向けると、再び小さな溜め息を漏らす。
そして……
「シィ! 長期滞在の準備をなさい!!」
「「「(゚Д゚)!?」」」
突然立ち上がったかと思いきや、ドレスを勢い良く翻し客間を後にする。
どうでも良いが、僕を含め後ろで眠っていた2人もロザリーさんの声に驚き飛び起きた。
「ロ、ロザリーさん! 長期滞在って、どういうことですか!?」
彼女は僕の呼びかけに歩みを止める。
「決まっていますわ。これから『傷心旅行』に赴くつもりですの。あなたにフラれたおかげで、わたくしの乙女心はもうズタズタですのよ?」
「は、はぁ」
乙女心がズタズタ、といった様子でもないような気はするが……。
「それに…何となく、気付いていましたの」
「え?」
ロザリーさんは僕の方へ振り返ると、両手を腰に当てながら目を細める。
「ホテルを訪れたとき、あなたがわたくしを抱かなかった時点で、恐らくこうなるであろうと予想はしていましたの」
「ど、どうして……」
「はぁ…何年あなたの幼馴染を務めてきたと思っていますの? あなたの考えていることなんて、それこそ手に取るようにわかりますのよ?」
「………」
予想外の反応に拍子抜けする一方、自分の心の内を悟られていたことに驚きを隠せない。
ロザリーさんは、やっぱり僕の幼馴染だ。
見ていないようで、僕のことを隅々まで理解している。
あぁ…僕はこんなにも素敵な女性を裏切ってしまったのか……。
「………」
「そんな顔をするのはお止めなさい」
「でも……」
「………」
ロザリーさんはやれやれといった様子で僕の方へと歩み寄ってくる。
そして、お互いの顔と顔がくっつくのではないかと思う程の距離にまで詰め寄ってきた。
「……ロザリーさん?」
「男なら堂々となさい。女1人捨てられないようでは、あの狸を…あの女を幸せになんてできませんわよ?」
「………」
「罪悪感を感じる必要なんてありませんわ。それに…あなたにそんな顔をされてしまっては、わたくしは余計惨めな女になってしまいますわよ?」
「あ……」
そうだ…やっぱりロザリーさんは……。
「すみません、ロザリーさん」
「そうではありませんわ」
「………」
僕が言うべき事、それは……
「……幸せになります! 絶対に!」
「………」
ロザリーさんは僕の言葉に黙って頷くと、
「その言葉、決して忘れてはいけませんわよ?」
彼女は再び背を向けると、シィを引き連れ今度こそ客間を後にした。
「………」
ロザリーさんが去った瞬間、僕は緊張の糸が途切れたかのように足元から崩れ落ちた。
僕の様子を遠目から窺っていたリンがすぐさま駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん大丈夫…なわけないわよね」
「はは…寿命が縮んだよ……」
1人の女性を傷つけることが、こんなにも辛く重い行為だったなんて……。
わかっていたつもりだったが、僕はなんて罪深いことをしてしまったのだろう……。
できることなら、こんな想いはしたくなかった。
………。
でもその代わりに、1つだけわかったことがある。
幸せになるのではない。
幸せにならなければならない。
僕達のためだけではなく、僕達に関わる全ての人々のためにも―――――
プロポーズから4日目、場所は雑貨店。
僕は……実家を追い出された。
「どゆことっすかー?」
「えーとですね……」
その内訳はこうだ。
僕は3日前、大学卒業後(2年後)に店長と結婚する旨を家族に伝えた。
すると今朝、妹のリンにこんなことを言われた。
『どうせ結婚するなら、今から同棲でもしたら? 家のことはあたしに任せて、お兄ちゃんはイチカさんとより一層親睦を深めた方が良いと思うの。え? 何か裏がありそうだって? 良くわかったじゃない? あたし、早くイチカさんの子供をこの手で抱いてみたいのよ♪ だからお兄ちゃん? 今日からスタミナの付くものをたくさん食べて、万全の状態で夜を迎えなさい! いいわね? わかったなら早く荷物をまとめて出ていきなさい!!』
「……という具合で」
「随分と強引っすねー」
リンとの会話を店長に伝えはしたが、後半の大部分はもちろんカット。
学生の内に、その…そういうのはまだ早いと思います。うん。
「そんなことしなくてもー、うちのシロさんへの想いはー永遠に色あせないっすよー」
「め、面と向かってそんなこと言われたら…さすがに恥ずかしいです……///」
「ははー♪ 本当のことっすからねーヾ(*´ω`*)ノ」
店長の言葉に顔が熱くなるのを感じる。
まったく、平気でそういう恥ずかしいことを言うんだからこの人は……(*´ -`)
「それでーこれからどうするっすかー? うちとしてはーシロさんにはここに居候という形でーお店を手伝ってくれると嬉しいっすー」
「ご迷惑をおかけします」
僕はペコリと頭を下げる。
「そんなー、迷惑なわけないじゃないっすかー」
「でも、僕にはお店を手伝う意外にできることなんて……うわ!?」
頭を上げると、突然店長が僕めがけて体当たり…もとい、抱きついてきた。
「て、店長?」
「………」
店長は僕の鳩尾に頭をグリグリと押し付けてくる。
「……お店のことなんて、どうでもいいっす」
「え?」
店長の僕を抱きしめる力が強くなる。
「シロさんと一緒に過ごせる時間が増えるだけで…うちは、すごく嬉しいっす」
「………」
そうだ。
店長の本音は、いつも後からやってくる。
「……はい。僕も、嬉しいです」
「っす〜♪」
しばらくの間、僕達はお互いを力一杯抱きしめあった。
決して離さないと言わんばかりに、強く、強く―――――
プロポーズから6日目、雑貨店にて。
「店長、納品リストの確認終わりました」
「はわー、さすがに仕事が早いっすねー」
「1年近くもここで働いているんですから、嫌でも慣れますよ」
「それもそっすねー。ほむ、ということはーうちとシロさんが出会ってからーもう1年が経つってことっすねー」
「あ、言われてみれば」
「あっという間っすねー」
「そうですねぇ」
店内が多数のお客さんで入り乱れる中、僕達は過去の出来事をしみじみと振り返る。
まさか店長と同棲し、果てには結婚の約束をすることになるとは、当時の僕では想像もつかなかった。
「………」
「………」
「店員さ〜ん? お会計お願いしま〜す」
「あ、はーい!」
ちなみに昨日は大掛かりな引っ越しイベントがあった。
実家から雑貨店へ荷物や家具の移送を試みたのだが、これが思いのほか難航。
たった数メートル離れた場所だ、なんとかなるだろう…と高を括っていたが、結局丸1日を消費する超重労働となってしまった。
そのため僕と店長の同棲生活は、厳密に言えば本日からスタートということになった。
「毎度ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております!」
「また来ますね〜♪」
同棲とは言っても平日は大学に、休日はお店の手伝いと、やっていることは普段と何ら変わり映えしない。
しかし、
「………」
「……店長?」
大好きな店長の顔を1日中見られる…僕はこれだけで十分だ。
「……スリスリ」
「?」
僕がお客さんの対応を終えると、突然店長が体をスリつけてきた。
「スリスリスリ……」
「あ、あのぉ……」
「マーキング中っす。動いちゃダメっす」
「は、はぁ」
マーキング……。
確か初めて出会ったあの時も同じようにされたことがあったっけ。
はは、なんだか懐かしいなぁ。
「んっしょ…んっしょ……」
「て、店長? お客さん達の好奇な視線が……」
「我慢するっすー。見せつけてるんすからー」
「ぇえ!?」
店内から黄色い歓声があがる。
『ヒューヒュー! 2人とも熱いね〜!』
『職場恋愛か〜! 憧れちゃうな〜♪』
『私も早くイイ人見つけないとな〜』
……非常に恥ずかしい。
「しっかりうちの匂いを付けないとー、シロさんはすぐに女の標的にされちゃうっすー」
「またそんな犬みたいなことを……」
でもこのマーキングには、以前とは決定的に異なる部分がある。
それは、
「スリスリ……」
「………」
動機がお客の確保から、嫉妬に変わっていた―――――
そして、プロポーズから7日目の現在。
大学からお店に帰宅すると、僕はすぐさま店長に手伝いを申し出た。
疲れていないかと心配されたが、まったくそんなことはないと答えた。
店長の顔を見たら疲れが吹き飛んだ……とは、恥ずかしくて言えない。
「お客さんも疎らっすからー、納品された商品を並べてくれるだけでいいっすよー」
「はい、任せてください」
僕は一切の無駄なく店内を巡回し、納品された品々を所定の場所へと並べていく。
初めは苦労した膨大な数の商品の位置も、今やすっかり脳内にインプリンティングされた。
いやはや、慣れとは恐ろしい。
「シロさーん」
「はーい」
カウンターから店長の声が。
僕は手に持った商品を並べると、小走りで店長のもとへと向かう。
「なにかありましたか?」
「これを飲むっす」
「へ?」
手渡されたのは、ラベルの張られていない半透明の褐色の小瓶。
「納品の中にー試供品として混ざってたものっすー」
「試供品、ですか?」
「要するにー卸業者からの宣伝っすよー。『こういう商品もあるから気に入ったら発注してくれ』、ってことっすよー」
「あぁ、なるほど」
「というわけでー…ほい。飲んでもいいっすよー」
「はぁ」
瓶の蓋を開けてもらい再び手渡される。
……これ、大丈夫、ですよね?
「栄養ドリンクっすからー、きっと元気が出るっすよー」
「……わかりました。そういうことなら、ありがたくいただきます」
「っすーノ」
僕は意を決し、50mlの液体を一気に飲み干す。
………。
…………。
……………。
……苦甘い。
「………」
「どっすかー? 元気出たっすかー?」
「そう、ですね…そんな気がします」
「それは良かったっすー♪ ははー♪」
「……?」
どこか含みのある店長の笑みに、僕は一切の疑問を抱くことなく業務へと戻っていった。
ラベルが張られていなかったのではなく、『剥がされていた』ことに気づくこともなく……。
その夜。
店長と2人だけの夕食を終えた僕は、入浴を済ませた後、畳が敷き詰められた和室(寝室)の押入れを開き、そこから2人分の布団を取り出す。
別に何か特別なことをしているわけではない。
ただ、店長が入浴している間に就寝の準備をしてしまおうという、僕なりのちょっとした気遣いのつもりだ。
一応同棲中ということではあるが居候の身であることに変わりはないため、こういった小さな気遣いから始めていこうと心に決めた。
「よい…しょっと! ふぅ、これでいいのかな?」
なんだかんだで布団一式の準備に数分を要した。
そもそも布団で眠るという行為自体が僕にとっては未知の領域。
こればっかりはこれから慣れていくしかないのだけれど、特に不安があるわけではない。
むしろその逆。
僕は店長と歩むこれからの人生に、とても大きな期待感を膨らませている。
心から愛する人と一緒に過ごす日々……想像しただけで思わず顔がニヤけてしまう。
「さて、と…どんな感触なんだろう」
苦労して敷いた布団の上をゴロゴロと転がってみる。
……ぉお?
地面が近いから背中が痛くなるかと思ってたけど、これはこれで新感覚。
むしろ背中が真っすぐに伸びるからベッドよりも健康的かもしれない。
ふむ…ジパングの文化、侮り難し。
「……?」
そんなことを考えていると、体に妙な違和感を感じた。
「う〜ん…なんだろう、この感じ」
痛むわけではない。
なんというか…そう、熱い。
体全体が、特に下半身が燃えるように熱い。
「風邪でもひいたのかなぁ?」
いや、風邪にしてはどこか妙だ。
鼻に異常はないし、喉も普段通りで咳も出ない。
むむむ?
「疲れてるのかなぁ……」
そうか、疲労からくる発熱。
なるほど、それなら体の火照りにも納得がいく。
「ふぅ」
そういえば最近慌ただしかったし、ちゃんと休息も取っていなかった気がする。
幸い明日から連休に入るため大学は3日程お休み。
良いタイミングだ、この機会にしっかりと体を休めるとしよう。
もちろん、店長と一緒にのんびりと過ごすつもりだ。
なんて、明日からの予定を組み立てていると、
「はわ〜♪ イイお湯だったっす〜♪」
「!?」
襖(ふすま)が開いたと思いきや、超色っぽい格好をした店長が登場。
僕は思わず顔を背ける。
「あー布団敷いてくれたんすねー? 助かるっすー♪」
「あぁいえ、別にたいしたことは…じゃなくて! ゆ、浴衣…ちゃんと着てください!」
「ほむー? 別にイイじゃないっすかー。ここはうちの家っすよー?」
「あ、言われてみれば……ってそうでもなくて!」
本来腰に巻くはずの帯を肩にかけているため、正面から見た店長の姿はもはや人前では決してお見せできない。
ギリギリ胸元が隠れているからまだマシかと一瞬思ったが、問題はそこではなく……下。
店長の下半身には何も着用されておらず、完全に生まれたままの姿になっていた。
「風邪ひいちゃいますよ! は、早く何か穿いてください!」
「うちー寝るときは『穿かない派』なんすよーノ」
「どんな派ですかそれは!?」
同棲2日目にして早くも互いの生活習慣に戸惑う。
昨日は夜を徹して大学のレポートを仕上げていたので、2人同じ部屋で眠るのは今夜が初めて。
なので少しドキドキしていたのだが……店長が『穿かない派』ときた。
これには色々な意味でドキドキが止まらない。
「シロさんが何と言おうとーうちは穿かないっすからねー」
「ぐっ…こういうどうでもいいところで頑固なんですから……」
これもそのうち慣れるのかなぁ…と半分諦めかけた。
すると、
「……!」
下半身に強烈な違和感。
今回の違和感は先程感じたソレとは比にならない。
これは、もしや……。
「………」
………。
穿く穿かないと下の話をしていたせいか?
僕の息子はかつてない程の大きさまで膨張していた。
「? シロさん、どうかしたっすかー?」
「へ? あ、あぁいえ! あはは、なんでもないですよ! なんでも……」
「ほむ、そっすかー…………ニヤリ」
はぁ…早く静まってくれないかなぁ……。
「………」
………。
………。
………。
……ダメだ、眠れない。
隣では店長が静かに寝息を立てているが、僕は就寝から1時間経った今も目が冴えに冴えて仕方がない。
おまけに体の火照りも治まらず、もはや眠れる気がまったくしない。
やっぱり緊張してるのかなぁ?
「zz…zz……」
「……(´−`;)」
どうせ眠れないのなら夜の街を散策しようかとも考えたが、下手に動いて店長を起こしてしまっては申し訳がたたない。
というわけで僕は、布団の中でひたすらじっとしていることを選んだ。
そのうち自然と眠りに落ちることを祈って。
「zz…zz……」
「………」
………。
「zz…zz……」
「………」
…………。
「zz…zz……」
「………」
……………。
……なぜだろう。
幸せそうな表情で無防備に眠る店長の寝顔を見ていたら…なんだか、その……。
い、いやいや! きっと気のせいだ。
僕が店長の『寝込みを襲う』なんて考えるはずがない。
そ、そう! これは眠れないから変なテンションになっているだけ!
そうだ! きっとそうに違いない!
「zz…zz……」
「ぐっ……」
と、いくら自分に言い聞かせても止まることのない劣情。
ま、まずいなぁ……よし、とりあえず店長を見るのはやめよう。
「………」
僕は静かに体勢を変えると、店長に背を向ける形でそっと目を閉じる。
無心…無心になるだ、僕……。
「………」
………。
良かった、少し落ち着いてきた。
まったく、こんな非人道的なことを考えてしまうなんて…やっぱり疲れているのだろうか?
でももしそうなら、もっとすんなり眠れるはずなんだけど……。
はぁ…早く眠りたいなぁ……。
「………」
ゴソ…ゴソゴソ……
「……?」
背後から、何かが擦れるような音が聞こえてきた。
……店長が寝返りでもうったのかな?
………。
音はすぐに消えた。
うん、やっぱりただの寝返りだったようだ。
やれやれ、僕も早く眠らないと……
ぎゅっ
「ひっ!?」
突然背中に抱きつかれたような感触が。
いや、実際これは抱きつかれている。
………。
僕は腕を上げ恐る恐る脇の間から背後を窺う。
するとそこには……
ぎゅーっ
店長が両手両足で僕の背中にしがみついていた。
「あ、あのぉ…店長?」
「………」
「起きてたんですか? あ、もしかして…起こしちゃいました?」
「……ずっと起きてたっすよー」
「え?」
店長はそっと僕から離れると、布団の上でちょこんと女の子座りをする。
心なしか、どこか不機嫌そうに見える。
「むー」
「え、えーと……」
「どうしてっすかー?」
「へ?」
突然そんなことを言われた。
「どうしてって…なんのことですか?」
「とぼけないでほしいっすー。いつになったらーうちを『襲ってくれる』んすかー?」
「お、襲う!?」
「とっくに薬が回ってるはずっすのに……ずっと寝たふりして待ってたんすよー?」
「い、いや、待ってたと言われても…え? というか…薬?」
薬って、そんなもの飲んだ覚えは……あ。
「まさか…あれは栄養ドリンクだったはずじゃ!?」
「間違ってはいないっすよー。元気になるという意味では一緒っすからーノ」
「ま、またそんな屁理屈を……!」
帰宅時に飲まされたアレか!
どおりで体が(主に下半身が)火照るわけだ。
「エロい格好すれば喰いついてくると思ったっすけどー、シロさんなかなか強情っすー」
「いやぁ、強情とかそういう問題では……」
「『睡眠姦』も期待してたっすけどー、これはもう正攻法でイクしかないっすねー」
そう言うと店長は腰に巻いた帯を解き、浴衣をバサリと放り投げた。
「!?」
「遠慮しないでー食べてもイイんすよー? うちの心と身体はー隅から隅までぜーんぶシロさんの『所有物』なんすからー」
全裸の店長が獣のような姿勢でにじり寄ってくる。
僕は必死に顔を背けようとするが……それができない。
僕は……店長の美しくも豊満な裸体に魅入ってしまた。
「はぁ…はぁ……」
心臓が高鳴り息苦しい。
さらに僕のモノは限界まで猛り、痛みさえ感じる。
「脱ぎ脱ぎするっすよー♪」
僕の浴衣を店長が剥ぎ取る。
そしてボーッとしている間に下着までも奪われてしまった。
「あ、ちょっと!」
「シロさんの生下着………………クンカクンカ!」
「(゚Д゚)!?」
クンカクンカされた。
もうほんと、読んで字のごとくクンカクンカされた。
「な、なにしてるんですか!?」
「クンカクンカ……交尾の前にー気分を高めてるっすよー。シロさんの匂いを嗅いだおかげでーうちのココはーもう……///」
「………(ゴクリ」
切なそうに秘所を撫でる店長の仕草に生唾を飲み込む。
うぅ…これは、もう……
「……店長!!」
「はわ!?」
布団の上に裸の店長を押し倒す。
「シ、シロ、さん……?」
「っ……」
潤んだ瞳で見つめてくる店長。
「誘ってきたのは…店長ですからね……!」
「っす!?」
僕はいきり立つソレを店長の秘所にあてがう。
「はぁ…はぁ……」
「きて…ほしいっす……///」
腰に力を入れ、ゆっくりと桃色の肉ヒダをかきわけていく。
そして…………
「「っ!!!」」
僕らは今夜、1つになった。
「「はっ…はっ…はぁ……!!」」
肉と肉が激しくぶつかり合う。
結合部は白く泡立ち、布団は店長の潮でいくつものシミができている。
そして、何度目ともわからぬキス。
舌と舌を絡め合い、互いの口内を弄り合う。
「んっ…んん……」
「ん、む……んぱぁ!?」
キスをしながら腰を強く打ちつける。
僕は自分の底からせり上がる何かを感じる。
「て、店長…も、もう……!」
「はぁ…はぁ…無駄撃ちは…んっ…厳禁、っすからねー……?」
分身を奥深く、根元まで押し込む。
それに応えるかのように、彼女は僕の腰を両足でガッチリと捕らえる。
「あ…ぐっ…あああ……!!」
亀頭が彼女の子宮口をこじ開ける。
そして一瞬、僕のモノが大きく膨張したかと思うと……
「「っーーーーー!?」」
店長の膣内に、あらん限りの精を放出した。
「あ…ぅ……」
「はぁ…はぁ……///」
異常なまでに濃く、精子密度の高い精液。
そんな凶悪な欲望を、僕は容赦なく店長の子宮に吐き出し続ける。
「は、ははー…もうお腹…一杯っすぅ……///」
「ぐっ…ぅぅ……」
店長の子宮はとっくに許容量を越えている。
しかしそれでも彼女は、僕の腰に回した足を離そうとはしない。
「は…はぁ…店、長……」
「シロさん…うち…すごく幸せっす……///」
そしてまた、どちらからともなくキスをする。
お互いの愛を確かめ合うかのように、ゆっくりと、深く―――――
「はわ〜♪ 満たされてる感じがするっす〜♪」
「それは…良かったですね…僕も、頑張ったかいが、ありました……;」
行為が終わった後も、僕達は布団の上で繋がったままでいた。
仰向けになった僕の上に、店長がうつ伏せに寝そべるような体勢だ。
「店長、そろそろ……」
「ダメっすよー? シロさんの凶暴な精虫がーうちの卵を射止めるまでーしっかりと『栓』をしておくっすー。それがー親心ってものっすよー」
「は、はぁ」
親心って、そういうことを言うのかなぁ……?
ま、まぁいいか。
むぎゅ♪
「はわ!?」
というわけでリクエスト通り、僕は店長の桃色のお尻を鷲掴みにし、自慢のモノをより一層奥まで押し込む。
「ふ、深いっすよ〜……///」
「栓をしろって言ったのは店長ですよ? 文句言わないでください」
「はわ〜…シロさん意外と肉食系っす〜♪」
こんなやりとりが、朝まで続きました。
〜○ ◎
翌日。
「イチカさん、こんにちわ!」
「あー、リンさんっすかー。元気そうでなによりっすー」
「はい! あたしはいつも元気ですよ! それはそうと…お兄ちゃんはどこですか?」
「シロさんならー裏で在庫の確認してるっすよー。働き者の夫でーすごく助かってるっすー♪」
「まだ結婚してないじゃないですかー! イチカさんってば気が早過ぎですよー♪」
「ははー、そうだったっすねー」
キャハハ♪ ウフフ♪
「……ん? リンの声?」
倉庫で在庫品のチェックをしていると、お店の方で何やら楽しげな会話が聞こえてきた。
とりあえず一段落したら顔を見せに行こうかな。
にしても……ふあぁ〜……。
ふぅ…昨晩は俗に言う『お楽しみ』だったので完全に寝不足だ。
僕は眠い目を擦りながら漏れのないよう在庫の確認を急ぐ。
「そういえばイチカさん、なんだかいつもより顔色が良いですね? 何か良いことでもあったんですか?」
「っすー? ははー♪ そんなのー『コレ』しかないじゃないっすかー♪」
「コ、『コレ』…ですか!?」
………。
『コレ』って、もしかしなくても昨晩のことですよね?
店長は一体どういうジェスチャーをしているのだろうか……。
妹にあまり妙なことを吹き込まないでほしいのだが……。
「そ、それで、どう…でしたか?」
「それはもー……ねー?」
「ゴクリ……(;゚Д゚)」
店長…お願いですからそれ以上は……。
「イチカさん、そのぉ…お兄ちゃんの……『アレ』は?」
「癖になる大きさっすよー♪ うちの中が押し広げられてー満たされる感覚がなんともー……」
「店長ーーーーー!!!」
堪らず倉庫を飛び出した。
「ふむ、手紙かのう? どれどれ……」
ビリビリッ
「……おぉ! ファルシロンからではないかぁ♪ 祖母に手紙とは、ういやつよのう♪」
『お婆ちゃん、子供が産まれました。近い内に、是非会いにきてください』
「ファルシロンに子供とな!? ま、待て待て! ということは…わしにとって『ひ孫』ということか!? こ、こうしてはおれん! 早う転送魔法の準備じゃ!」
『店長に似て、とても可愛らしい女の子です。名前は…………』
〜第一子誕生記念セール〜
全商品3%OFF
「セ、セールの割にはケチ臭くないですか?」
「商売なんてそんなもんっすよー。『ホノカ』もそう思うっすよねー?」
「キャッキャッ♪」
See You Next Story!
15/04/29 12:14更新 / HERO
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