おおかみを従えしものたち・狭間のなかでもがいて
オレ、工藤和馬とエイルのコンビとレギーア家との生活が始まった。
「まずは基礎体力を上げることだな。
ヴァン、ノア、エイルさんを先導してくれ。走り込むぞ。」
まずはスタミナをつける作業、確かにエイルはスタミナ不足だということは実感できた。筋力トレーニングと共に走り込みを課したのだ。
・・・・でも、これいきなり50キロって・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
むう、何週遅れか・・・。 ゴールするなり気を失ったエイル。
「本当に、体力ないんだな〜、おし、お姉ちゃんがびっちし鍛えてやるからな。」と長女風ふかしまくりのヴァン。
「あ、あのさ・・・ノアちゃん、最初のころはこんな感じ・・・。」
俺の質問に顔が赤くなる・・・・わかった、もう聞かないから。たぶん病弱だった彼女も最初は同様だったんだと思う。まぁ生まれたときからワーウルフのヴァンにここまでついていけるようになったノアはやっぱすごいなと思う。その目に影を落としていたのはこの時期から気になったけど。
「まぁ、最初はこんな感じだな・・・・」
とガラさん冷静に言う・・・あんたは鬼ですか。
「今日はこれで終わらせるよ、最初は体と相談しながらやることだ。慣れてくればワーウルフは発達は早いぞ。」とガラさん。
「う〜ん、退屈だぁ、なんか遊ばない??」
もの足りなそうにヴァンが言う。 まだまだ元気いっぱい。 力がみなぎってる。
「そうだな・・・・・よし、和馬、ノアとヴァンと戦ってみるか??」
「はい???」
エイルを介抱中の俺の時間は見事に止まった。まさに「the ワールド」。
「ふふふふ、これできさまをぎっちょんぎっちょんに出来るぜぇ〜」
なんか、とっても殺るきマンマンなヴァン。別に恨まれることしていないが、あって以来、やったらめったらライバル視してるようだ。
「その前にノア、お前からやってみろ。」
「え?私なの??」
「ああ、戦いの参考になると思うぞ。」
「・・・・・はい・・・・」
よりによって戦いたくない相手を(汗)。ノアちょっと暗い表情してるし。戦うのは好きじゃないかもしれない・・・でも、今回は組み手だから。
四つんばいというか、それくらいの前傾姿勢で構えるノア。まさにケモノの構えだ。 俺は深呼吸して気持ちを落ち着かせる。軽く構えていった。
「はじめ!!」ガラさんの声
ソレとともに一直線に俺に向かって来た。さすがワーウルフ、動きが速い。まずは受けてみる。
ずん!!
重い蹴り。軽量のノアでさえここまでの威力をもってるのか。そこからの連続攻撃。凌ぐので精一杯・・・・・確かにチンピラレベルでは相手にならないだろうね。 良質の筋肉の集合体・・・・まさにそれは重々わかる。
とはいっても、だてに「キャスター使い」は名乗っていない。
「なるほど・・・・あのときの体裁きは本物だってコトだな」
ガラさん、納得の表情。地面に横たわってるのはノア。何がなんだか訳がわからない表情だった。
「キャスター使いは基本的に単独で行動することを前提にしてますんで、魔法の勉強のほか、格闘の訓練とかもやっています。」
ワーウルフのスピードを利用しての投げ。みごとに掛かってノアは転がってしまった。まだきょとんとした表情のまま起きあがる。
「まぁ、ワーウルフ相手だったら本来加速の呪文を掛けて挑むんですけどね」
所々赤くなった手をみせて言った。
「ふふふ、ならばあたしに勝てないな☆」
ライバル登場(笑)。ヴァンがさっそく臨戦態勢だ。今度は正真正銘の純粋種ワーウルフとの一戦・・・・・だけど・・・。
「ふふふ、出会ったときのげんこつの恨み、ここではらしてやるぜ!」
「・・・・それ、暴走してガラさんに躾受けただけじゃん」
「う・・うるさい! 今日こそ勝ってやる!!」
とにかく、厄介なのは下手に勝てないこと。実際ノアとも勝ち負けは決まっていない。下手に勝つとそのワーウルフの主になってしまうわけで、今エイル一人で十分。・・・とはいっても、ヴァンはねぇ・・・・。
・
・
・
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、ナゼ投げられるぅぅぅぅぅ!!」
投げられて転がりまくって受け身とって又ダッシュして投げられるヴァン。
・・・・・・なんという単純・・・・・・・。
「ヴァン、おれ意識すんのは解るけど、一撃狙いはないぞ」
「うるさい!!そーしないとあたしが納得しない!!!」
ラチがあかなくなったので、ガラさんに止めてもらった、っていうかヴァンを落としてもらった。気を失ったワーウルフ2が横たわって、それをノアが心配そうに介抱してる・・・。
「今日はこの辺でいいな、飯を食いにもどるぞ」
気を失った嫁さん二人を、旦那さんが2人抱えて帰る。ベットに寝かせれば直に起きるだろう。その歩いてる途中・・・。ガラさんより衝撃な話があった。
「当分いるんなら、もうすぐあの時期がくるから十分体力つけろよ」
「・・・・あの時期???」
「あ、そうか、お前はこの世界の人間じゃないから解らないか・・・。」
「なにか・・・あるんですか??」
ガラさんの曇った表情から、なにかしらいやな予感があったので。
「発情期って知ってるか?」
「え・・・ええ、動物が繁殖を迎える時期ですよね・・」
「実は、ワーウルフにもあるんだよその時期が。しかも厄介なことにその時期は1日中求めてきて大変なんだ。」
「・・・・うわぁ・・・・・」
薬の副作用の発情だけじゃない・・・自然の発情があの子にねぇ・・・て。
「ノアちゃんと・・・・やったんですか???」
「・・・・・・・。」
珍しく顔が赤くなったガラさん・・・解りましたそれ以上は突っ込みません。
エロゲーのやエロマンガの世界では兄と妹でHするのがスタンダードの部類にはいるとエロ同人誌やってる友人が言っていた。・・・・そか、それが現実に目の前で展開・・・・と
きんしんそーかんは火あぶりの刑だってどっかのマンガで言ってたよな。
3対2、どうしてもこっちが死ぬのは当たり前の交尾タイムが来た。オレも結局は3人ともやってしまった。
その発情期の3人姉妹のオレに対するセリフ
・ヴァン「ぐふふ・・あたしが先にイクかあんたが先にイクか勝負だよ!」
・エイル「こどもこどもこどもこどもこどもつくるおぉぉぉぉぉ!!」
・ノア 「私のきもちいい?いい??いいですかぁぁ??」
特に元娼婦のエイルが先頭に立って、あれやこれやエロエロなことやらせてる。おまえ・・・・この時だけはスタミナ異常・・・・・。
「あ・・・そっか・・・森次先生はこれのコト行ってたのか・・。」
今回はエイル鍛錬の目的なので、物足りないかもしれないけど発情の時間を調整する。正直、オレの腰も悲鳴上げてるし(汗)
家の廻りに円を描き、そこから必要な呪文を加え魔法陣をを作る。そのあと魔法石を必要な場所に置き自分は手を地面に添え、呪文を唱えた後魔力を放出させた。
いわゆる「発情抑制陣」のできあがり。当分はソレの入り切りで発情期をこすようにした。 この時期の間は抑制陣内での訓練がメインになる訳で、ヴァンを抑えるのが必死だった。そういうことにより、俺をますます敵視というかライバル視するようになる。
その発動の際偶然起きていたノアにばったりとでくわす。しかも発情中っていうのか素っ裸ときたもんだ。本人は発情期は好きじゃない・・て言ってたっけ。彼女は自分の選択、その結果にとまどいを覚えてた。 あの諦めた目は自分に歯がゆさが残った・・・・。
・
・
・
・
エイルを鍛えてる間でも、レギーア家には仕事が舞い込んでくる。ここ近辺ではガラさんは「狼を超えしもの」として有名だそうで、警護、退治等、戦いがメインになりそうなものばっかりやってくる。 たまにキケンなものが含まれることもあるけど、ヴァン・ノアのコンビ連れて行けば大丈夫かぁ・・・とも思う。それほどワーウルフの格闘能力は絶大なのだ。・・・でも、ヴァンの頭の中まで筋肉っぷりはどうにかしてほしいみたいだけど(笑)
「あんた、なにあたしの顔みて笑っている。よし、今日こそ決着・・・ぐ」
殺気に気がつきガラさんがまた締め落とす。
それにしてもガラさんの格闘能力は、ヴァン以上。破壊力というより、対応力。俺が投げに入ったときでも投げぬけされてひっくりかえされるし。こっちが手を出せばしっかりカウンターで返す。なにをしても何かで返される。打つ手なしってことだ。でもおかげでこっちも鍛えてもらってるけどね。
エイルなんだけど、発情期くらいまで基礎体力をつけて、その時期を境に今度は格闘術を習った。もちろん先生は不安だけどヴァン・・・・。でももはや数ヶ月ですっかり3姉妹と化した彼女達はもはやこっちが言わなくても、ノアといっしょにいろいろ手ほどきをするようになっていた。格闘はワーウルフスタイルだから、彼女達ナリにやってもらった。あああでも俺の悪口だけは勘弁ね。いろいろベッドで愚痴られるから・・。
このころになると、狩は主に3人のワーウルフ族に任せるようになっていた。その間俺とガラさんはコンビで以来を受けるようになった。接近戦のガラさんと中遠距離の俺のキャスターの相性はいい。 いざとなればサラマンダに暴れさせればいい。ただ暴れすぎなのは俺が止めに入るわけだが。
「おまえ、そのとかげ、どうにかできんのか・・・・」
「いざとなれば、すぐ収めれるから」
「・・・・てよぅ、おれはもうストレス溜まりすぎて大変だったぜ」
仕事を終えた後、そとにだしたまんまだったのでサラマンダはガラさんに愚痴る始末。まぁここまでサラマンダを召還してなかったせいもあるけど、使わなくて勝てる相手だったし。 まぁ今回はストレス発散のために呼び出したんだけど、危うく火の海にしそうになったわけで。
半年が過ぎて・・・エイル自身基礎体力が十分ついてきた。ヴァン、ノアのおかげで、狩りの方法なども身に着けつつある。格闘もだんだんよくなってきた。そのころになるとおれもエイルの打ち込みに付き合うようになった。まだまだな部分はあるけど人間相手ならどうにかなるだろう。ただ俺に対してはたまーにわざともみあって倒れ、そのさいに胸を押し付けたりすることがある。 んにゃろ・・まだあれで足りないとみえる・・・・。
また、仕事ににワーウルフ3姉妹ともに連れて行くこともあった。用心棒とか戦う要素が強くなる場合、ワーウルフの戦闘能力を見込んでの依頼である。すでにガラさんはこのアタリで有名だったんだけど、期間限定ながらももうひとりワーウルフが増えたため、敵さんの震え上がりはみてて吹いた。まぁ俺が出るまもなくヴァン中心にぶったたいたし。本当にワーウルフさまさまだ。
ただ、ワーウルフ・・・いや魔物を連れている故に、苦しむことがある。それは依頼を終え、家路に着くころに起こった。
「よーし、今日はあたしが夕食作るね。」
エイルが張り切っている。今日はいい食材も手に入れ気合十分だ。
最近ノアばっかりに料理させてるから、今回はいいだろう。
そのとき
「たく・・・ご主人様、なんかつかれてるよ」
不機嫌そうに、ヴァンがつぶやく・・・。
「だな・・・和馬、どうするか?」
ガラさんがおれに向いてささやく。
「・・・・・めんどくさいけど・・・・・・」
命狙われる理由など見つからなかったが、まぁ殺気だった雰囲気なんで、逃げたところでらちもあかないだろうから・・・・。
「散開!!」
瞬間に俺達は四方に飛ぶ。瞬間狙っていたのか今いた場所に矢が突き刺さった。・・・なるほど、お命頂戴って訳か。でもそうそううまくいかないのが悪者の特徴だ。ヴァンがいち早く蹴り上げ、男の一人がぶっ飛んできた。それを俺が蹴り落として地面に叩き伏せる。
つぎにおれのキャスターが火を噴く。俺のフリーズショットは、ターゲットの「魂」をロックオンさせることによって、多少の追尾能力がつく。それを数発発射。2人を気絶させた。
向こうではガラさんが敵を投げ捨てていた。そのあと腕をとりボキリとやってくれました。わーすごくエグイお兄さんだこと(汗)
「なななななんできさまらは魔王の化け物を飼っていやがる!!!」
恐怖に震え、チンピラ連中のひとりが、わめきさけんだ・・・・。
「化け物・・・・だと????」
化け物って・・・・エイルやノアのことか??
「おい・・・だれに対して化け物っていってるんだ??」
「ああああのあああのワンコロのことだああああ きさま正気の沙汰じゃねねねねねぇぇぞぉぉ!!???」
「ぇひぃ??」
やつの背後に・・俺はいた・・・・・。おそらくヤツには目にと留まらぬ速さでとんできたと感じたんだろう
「・・・化け物じゃねぇ・・・・・・」
「は?どどどどどうみても・・・・ばけもんじゃ・・・・ねぇk!!」
ドゴッ!!!!
背後から強烈な一撃。チンピラは地面に叩き付けられながら転倒。ぴくりとも動かなくなった。その姿をオレは怒りで煮えくりかえった状況で見ていた。
なんで言われなきゃ行けないんだ・・あいつらは姿は魔物に見えるかもしれないが心は立派な人間なんだよ。純粋種のヴァンだってオレから見れば、十分人として見て行かれる・・・この世界の人間はそんなに視野がせまいのか??
「・・・・和馬、大丈夫か??」
「・・・・ええ、すごくむかついてますけど。」
ちょっと・・・冷却時間が必要だと思った。でも・・・・
「そういえば・・ノアとエイルは??」
「・・・・やば・・・・この状況じゃ・・タダじゃすまない。ヴァン!!エイルとノアをにおいで解るか??」
オレでこの状況だ、元人間の二人の精神的ショックはたまったもんじゃない。下手すれば暴走して取り返しのつかないコトになる
「なんでそんなに慌てる??」
呼んだのかオレのせいか、不機嫌気味のヴァンに
「ノアがノアじゃなくなるぞ、急げ!!」
「!!」
訳がわからないが、危機的状況を感じ取ってくれた。においを追って駆け出すヴァン。 サンキュー
追いかける間オレはカードリッジをサラマンダに換装。足で間に合わなければ召還のサラマンダに迎撃させるためだ。 とにかく早く見つかれ。
・
・
いた!! 二人だ、武器を構えた複数の敵に今にも飛びかかろうとしていた。その目はこちらでも解るくらい怒りに満ちあふれていた。やばい、間違いなくあいつら人間を殺す。思わず前方のヴァンに叫ぶ。
「二人を止めろ!!全力で止めろ!!」
二人が飛び出す瞬間にヴァンが抱え込むようにタックル。後方にもつれ合う。一部の敵がボウガンを放ったが、オレのキャスターで撃ち落とした。
「はなして!!はなして!!お姉ちゃん・もういや!!」
「コロスコロスコロス!!コロシテヤルゥゥゥゥ!!」
「やめろ!!ノア、エイル!!おねーちゃんの言うこと聞かないか!!」
泣きながらもがく二人、それを必死の形相で抑えるヴァン。ヴァンも泣いていた。理由はたぶんわからないと思う。ケド、結果どうなるかは感じ取ってるようだ。
オレは、キャスターを構え牽制しつつ間に入る。そしてガラさんもヴァンといっしょに二人を抑えた。泣きながらもがくノアにガラさんが・・
「いい・・もういいんだ・・・ノア・・・すまん」
「お・・・にい・・ちゃん」
「ご主人様・・・・ノア・・・・・」
ノアの動きが止まった・・・・が・・・・ガラさんとヴァンが少し力を抜いた瞬間、振りほどいてエイルが飛び出した。
「がぁぁぁぁぁ!!!」
エイル!! 今度は俺が抑えないと・・・。今度はおれがエイルを受け止める、しかしワーウルフのパワーはハンパない・・ずるずると押し込まれる。
「離して!!あいつ、傷つけた!!ノアちゃん傷つけた!!!」
「止まれ!!命令だ!!主人の言葉を聞けないのか!!!!」
エイルの体がぴたりととまった。・・・主従関係がここで生きた
・・・・けど・・・・。
こんなの言いたくなかった・・・
俺とエイルは・・・相棒なんだよ・・主従関係じゃない
「あ・・・ああぁぁぁぁぅぁぁぁぁぁぁぁぁl!!」
泣き崩れて大声で叫ぶエイル
「万事休すだなぁ・・・・・・」
俺の背中に剣をつけて、チンピラの首領が言った。
「・・・・ノアとエイルになに言ったんだ??」
「ふん、単に「化け物のくせして人間に発情したメス犬め、その首さらしてやろぞ」・・・・って言っただけだぜ。そしたらこいつらキャンキャンさわぎやがって・・・・お前も同罪だ、一緒に地獄に落としてやるぜ・」
人をバカにした口調・・・。
「で、おれが抵抗したらどうすんのか?」
「もちろんすグッサリいくさ・・・。」
「じゃ、いまやってくれ・・・・めんどくさいし」
「ふん、じゃぁお前から・・・・」
やつが剣に力を入れた・・・次の瞬間。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!あぢあぢ!!!!!」
剣がいきなり炎を上げ、ヤツに襲い掛かった。 単純だなこいつ。俺はヴァンを追いかけてる最中にカードリッジを召還モードに切り替えてたんだよ。その状態でも魔力はかかるがフリーズショットは撃てる。炎より生まれた赤いコートは俺の意思によって炎を出すことができる。
「きききききさまぁ・・・・。謀ったなぁぁぁぁぁ!!」
「謀ってねぇよ・・・おめぇが単純なだけじゃん」
怒りおさまんね、こいつをボコボコにしたい・・・・そういう感情に襲われていた。ノアの・・・そしてエイルの心を砕きやがったこいつら・・・タダで帰すわけにはいかない。
「全員殺してしまえ、かかれー!!!」
首領の声とともに襲い掛かる部下のチンピラ。しかし結果はもう決まってた。
「相棒、びっちし教育してやんな・・・」
「教育って・・・・・・・こうか!!!!」
「あががががが・・・・・・・」
首領は腰が抜けたようだ・・・・まぁ、仕方ないか。サラマンダ1匹にあっけなく部下全滅。殺してはいないが、当分は立てんだろう。俺、そしてその上にサラマンダ。
「なぁ、和馬ぁ・・・こいつ骨すらも残さず焼き尽くすか??」
「いい、お前はここで周り見張ってくれ・・・残党がいるかもしれんから」
「へいへい・・・・」
俺はヤツの前まで来た瞬間
ドゴっ!!
ヤツを蹴りつけた、
転がる、それを追いかけて殴る、
蹴る・・・また殴る・・また蹴る
許せない・・・許せない・・・許せない・・・許せない・・・・・・・。
・
・
ボロボロになった首領、生きてはいるもののもはや息絶え絶えだ。まだ気が晴れないやつに駆け出そうとした瞬間・・・・だれかが後ろから止めた。
「ご主人様、だめ!!これ以上やっちゃ駄目!!!!」
エイルが後ろで俺の胴に抱きついた。はっと我に返った。エイルの顔を見る。彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
「私達のために、ご主人様が血でよごしちゃ駄目・・・・だめ・・・・だめだから」そのあとは声にならず、俺の胸で泣き崩れた。
「・・・ごめん・・・・助けられた・・・ありがとうエイル・・・・。」
その声に顔をあげ首を横に振るエイル・・・・。
「・・・・・もう・・・帰ろう・・・・帰ろう?ご主人様」
正直こなるなんて思っても見なかった・・・。
俺達の世界でよく知られているモンスターに比べて、あきらかに人に近い存在のこの世界の”魔物”とよばれる「ヒト」達。でもここにずっと生きている人間にとっては彼女達の力は「脅威」にしかならないのだろう。でも、こうして交わりあえば互いに尊重した生き方もできる。それがなかなかできないのは・・・人間の悪い特徴なんだよな。 人間同士でさえ差別、戦争は終わらない・・この世界ではそれに魔物が加わってより複雑になっているのだ。
「本当の魔物は・・・・人間・・いや人間の心かもしれねぇな」
その夜、5人2つあわせたベットの上で寝た。3姉妹はなぜか全裸で俺達と肌を合わせた。互いに愛撫しあい・・・温かみを感じた・・・ほら、こいつらはちゃんと人間とあわせてくる。(2人は実質人間なんだけど。)お互いが互いを思っていけば共存は可能だ。 道は険しいけど・・・その道を貫いてみせる。・・・それがキャスターという絶対的力をもった俺の役目・・・。
・
・
こういうことが起こりつつも、修行の結果、エイルは立派はワーウルフになった。ヴァンには「まだまだだねぇ」と言ってはいるが、俺のパートナーとしては十二分にやってくれそうだ。
「本当にお世話になりました。」
「いやいや、こちらこそいろいろありがとうよ」
俺とガラさんはがっちり握手。
「ヴァン姉さん、ノアちゃん、また会おうね。」
「あいつに飽きたら、こっちに戻ってこいよ。てぐすね引いてまってるからさ」
「この住所でいいんだね。今度はエイル姉ちゃんに手紙だすから。」
「うん、ありがとう。]
3人抱き合っていた。
「まぁ、おれのバイクならそんなにかからないけどな」
「でもやっぱり離れると寂しいです」
バイクの上で俺とエイルは・・・思い出話に花を咲かせていた。
「でも・・・・ノアちゃんが・・・気になりますね。」
「うん・・・せめていいヒトがパートナーになって支えてくれれば」
「そうですね。」
初冬の寒さを突っ切ってバイクは事務所へと向かった。
「これで、あなたを守ることができる・・・ご主人様」
背中でエイルは言ったらしいんだが、風切る音が・・・。
・
・
・
・
・
数年後
「やっぱり噂どおり、工藤先輩はつよいわ・・・」
苦笑いの少年・・実は俺の母校の魔法研の後輩なのだ。1年くらいの研修のためこの世界にやってきた。
「ははは、まだまだおまえに負けるわけにはいかんさ。」
手を引っ張って彼を起こした。
「とはいっても、同じコロの俺に比べれば全然つよいぞ、さすが最強のキャスター使い、天道寺アズマの息子・・・といったところか、天道寺勇人くん」
「・・・て親父のコトしってたのかよ!!」
まぁ、森次先生から情報もらったし・・・「ちょっとマークしといて」って言われたし・・・まぁ、これはこっちの秘密だけど。
向こうでは2匹のワーウルフが戦って・・・じゃなくてじゃれ合っていた。尻尾ふりふり全開!!
「もう、ノアちゃんたら合わないうちにおっぱいもこんなに大きくなったのねぇ」おっぱいわしづかみで喜ぶエイル。
「わ、ちょっとやめて・・・くすぐったい・・くすぐったいよう!!エイル姉ちゃん!!・・あ、勇人!!勇人助けてぇ〜」ともまれながら必死にもがくノア。
・・・数年前とかわらない姉妹っぷりに俺苦笑い
そか・・・なんの運命かしらないけど・・・ノアが相棒に選んだのは俺の後輩ってことか・・・。なんかわかんねぇな・・・。まぁ、彼女の明るい笑顔が見れただけでもよかった。うまく行ってるみたいだ。
「あ、俺がメシ作ります。いちを飯屋の息子なんで」
「和馬さん、勇人のつくる料理はとってもうまいんですよ!」
「あ〜じゃぁ、天道寺くんに教えてもらお!!」
こうして、また新たな物語が紡ぎ出される・・。俺達も、彼らも。
(終わり)
「まずは基礎体力を上げることだな。
ヴァン、ノア、エイルさんを先導してくれ。走り込むぞ。」
まずはスタミナをつける作業、確かにエイルはスタミナ不足だということは実感できた。筋力トレーニングと共に走り込みを課したのだ。
・・・・でも、これいきなり50キロって・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
むう、何週遅れか・・・。 ゴールするなり気を失ったエイル。
「本当に、体力ないんだな〜、おし、お姉ちゃんがびっちし鍛えてやるからな。」と長女風ふかしまくりのヴァン。
「あ、あのさ・・・ノアちゃん、最初のころはこんな感じ・・・。」
俺の質問に顔が赤くなる・・・・わかった、もう聞かないから。たぶん病弱だった彼女も最初は同様だったんだと思う。まぁ生まれたときからワーウルフのヴァンにここまでついていけるようになったノアはやっぱすごいなと思う。その目に影を落としていたのはこの時期から気になったけど。
「まぁ、最初はこんな感じだな・・・・」
とガラさん冷静に言う・・・あんたは鬼ですか。
「今日はこれで終わらせるよ、最初は体と相談しながらやることだ。慣れてくればワーウルフは発達は早いぞ。」とガラさん。
「う〜ん、退屈だぁ、なんか遊ばない??」
もの足りなそうにヴァンが言う。 まだまだ元気いっぱい。 力がみなぎってる。
「そうだな・・・・・よし、和馬、ノアとヴァンと戦ってみるか??」
「はい???」
エイルを介抱中の俺の時間は見事に止まった。まさに「the ワールド」。
「ふふふふ、これできさまをぎっちょんぎっちょんに出来るぜぇ〜」
なんか、とっても殺るきマンマンなヴァン。別に恨まれることしていないが、あって以来、やったらめったらライバル視してるようだ。
「その前にノア、お前からやってみろ。」
「え?私なの??」
「ああ、戦いの参考になると思うぞ。」
「・・・・・はい・・・・」
よりによって戦いたくない相手を(汗)。ノアちょっと暗い表情してるし。戦うのは好きじゃないかもしれない・・・でも、今回は組み手だから。
四つんばいというか、それくらいの前傾姿勢で構えるノア。まさにケモノの構えだ。 俺は深呼吸して気持ちを落ち着かせる。軽く構えていった。
「はじめ!!」ガラさんの声
ソレとともに一直線に俺に向かって来た。さすがワーウルフ、動きが速い。まずは受けてみる。
ずん!!
重い蹴り。軽量のノアでさえここまでの威力をもってるのか。そこからの連続攻撃。凌ぐので精一杯・・・・・確かにチンピラレベルでは相手にならないだろうね。 良質の筋肉の集合体・・・・まさにそれは重々わかる。
とはいっても、だてに「キャスター使い」は名乗っていない。
「なるほど・・・・あのときの体裁きは本物だってコトだな」
ガラさん、納得の表情。地面に横たわってるのはノア。何がなんだか訳がわからない表情だった。
「キャスター使いは基本的に単独で行動することを前提にしてますんで、魔法の勉強のほか、格闘の訓練とかもやっています。」
ワーウルフのスピードを利用しての投げ。みごとに掛かってノアは転がってしまった。まだきょとんとした表情のまま起きあがる。
「まぁ、ワーウルフ相手だったら本来加速の呪文を掛けて挑むんですけどね」
所々赤くなった手をみせて言った。
「ふふふ、ならばあたしに勝てないな☆」
ライバル登場(笑)。ヴァンがさっそく臨戦態勢だ。今度は正真正銘の純粋種ワーウルフとの一戦・・・・・だけど・・・。
「ふふふ、出会ったときのげんこつの恨み、ここではらしてやるぜ!」
「・・・・それ、暴走してガラさんに躾受けただけじゃん」
「う・・うるさい! 今日こそ勝ってやる!!」
とにかく、厄介なのは下手に勝てないこと。実際ノアとも勝ち負けは決まっていない。下手に勝つとそのワーウルフの主になってしまうわけで、今エイル一人で十分。・・・とはいっても、ヴァンはねぇ・・・・。
・
・
・
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、ナゼ投げられるぅぅぅぅぅ!!」
投げられて転がりまくって受け身とって又ダッシュして投げられるヴァン。
・・・・・・なんという単純・・・・・・・。
「ヴァン、おれ意識すんのは解るけど、一撃狙いはないぞ」
「うるさい!!そーしないとあたしが納得しない!!!」
ラチがあかなくなったので、ガラさんに止めてもらった、っていうかヴァンを落としてもらった。気を失ったワーウルフ2が横たわって、それをノアが心配そうに介抱してる・・・。
「今日はこの辺でいいな、飯を食いにもどるぞ」
気を失った嫁さん二人を、旦那さんが2人抱えて帰る。ベットに寝かせれば直に起きるだろう。その歩いてる途中・・・。ガラさんより衝撃な話があった。
「当分いるんなら、もうすぐあの時期がくるから十分体力つけろよ」
「・・・・あの時期???」
「あ、そうか、お前はこの世界の人間じゃないから解らないか・・・。」
「なにか・・・あるんですか??」
ガラさんの曇った表情から、なにかしらいやな予感があったので。
「発情期って知ってるか?」
「え・・・ええ、動物が繁殖を迎える時期ですよね・・」
「実は、ワーウルフにもあるんだよその時期が。しかも厄介なことにその時期は1日中求めてきて大変なんだ。」
「・・・・うわぁ・・・・・」
薬の副作用の発情だけじゃない・・・自然の発情があの子にねぇ・・・て。
「ノアちゃんと・・・・やったんですか???」
「・・・・・・・。」
珍しく顔が赤くなったガラさん・・・解りましたそれ以上は突っ込みません。
エロゲーのやエロマンガの世界では兄と妹でHするのがスタンダードの部類にはいるとエロ同人誌やってる友人が言っていた。・・・・そか、それが現実に目の前で展開・・・・と
きんしんそーかんは火あぶりの刑だってどっかのマンガで言ってたよな。
3対2、どうしてもこっちが死ぬのは当たり前の交尾タイムが来た。オレも結局は3人ともやってしまった。
その発情期の3人姉妹のオレに対するセリフ
・ヴァン「ぐふふ・・あたしが先にイクかあんたが先にイクか勝負だよ!」
・エイル「こどもこどもこどもこどもこどもつくるおぉぉぉぉぉ!!」
・ノア 「私のきもちいい?いい??いいですかぁぁ??」
特に元娼婦のエイルが先頭に立って、あれやこれやエロエロなことやらせてる。おまえ・・・・この時だけはスタミナ異常・・・・・。
「あ・・・そっか・・・森次先生はこれのコト行ってたのか・・。」
今回はエイル鍛錬の目的なので、物足りないかもしれないけど発情の時間を調整する。正直、オレの腰も悲鳴上げてるし(汗)
家の廻りに円を描き、そこから必要な呪文を加え魔法陣をを作る。そのあと魔法石を必要な場所に置き自分は手を地面に添え、呪文を唱えた後魔力を放出させた。
いわゆる「発情抑制陣」のできあがり。当分はソレの入り切りで発情期をこすようにした。 この時期の間は抑制陣内での訓練がメインになる訳で、ヴァンを抑えるのが必死だった。そういうことにより、俺をますます敵視というかライバル視するようになる。
その発動の際偶然起きていたノアにばったりとでくわす。しかも発情中っていうのか素っ裸ときたもんだ。本人は発情期は好きじゃない・・て言ってたっけ。彼女は自分の選択、その結果にとまどいを覚えてた。 あの諦めた目は自分に歯がゆさが残った・・・・。
・
・
・
・
エイルを鍛えてる間でも、レギーア家には仕事が舞い込んでくる。ここ近辺ではガラさんは「狼を超えしもの」として有名だそうで、警護、退治等、戦いがメインになりそうなものばっかりやってくる。 たまにキケンなものが含まれることもあるけど、ヴァン・ノアのコンビ連れて行けば大丈夫かぁ・・・とも思う。それほどワーウルフの格闘能力は絶大なのだ。・・・でも、ヴァンの頭の中まで筋肉っぷりはどうにかしてほしいみたいだけど(笑)
「あんた、なにあたしの顔みて笑っている。よし、今日こそ決着・・・ぐ」
殺気に気がつきガラさんがまた締め落とす。
それにしてもガラさんの格闘能力は、ヴァン以上。破壊力というより、対応力。俺が投げに入ったときでも投げぬけされてひっくりかえされるし。こっちが手を出せばしっかりカウンターで返す。なにをしても何かで返される。打つ手なしってことだ。でもおかげでこっちも鍛えてもらってるけどね。
エイルなんだけど、発情期くらいまで基礎体力をつけて、その時期を境に今度は格闘術を習った。もちろん先生は不安だけどヴァン・・・・。でももはや数ヶ月ですっかり3姉妹と化した彼女達はもはやこっちが言わなくても、ノアといっしょにいろいろ手ほどきをするようになっていた。格闘はワーウルフスタイルだから、彼女達ナリにやってもらった。あああでも俺の悪口だけは勘弁ね。いろいろベッドで愚痴られるから・・。
このころになると、狩は主に3人のワーウルフ族に任せるようになっていた。その間俺とガラさんはコンビで以来を受けるようになった。接近戦のガラさんと中遠距離の俺のキャスターの相性はいい。 いざとなればサラマンダに暴れさせればいい。ただ暴れすぎなのは俺が止めに入るわけだが。
「おまえ、そのとかげ、どうにかできんのか・・・・」
「いざとなれば、すぐ収めれるから」
「・・・・てよぅ、おれはもうストレス溜まりすぎて大変だったぜ」
仕事を終えた後、そとにだしたまんまだったのでサラマンダはガラさんに愚痴る始末。まぁここまでサラマンダを召還してなかったせいもあるけど、使わなくて勝てる相手だったし。 まぁ今回はストレス発散のために呼び出したんだけど、危うく火の海にしそうになったわけで。
半年が過ぎて・・・エイル自身基礎体力が十分ついてきた。ヴァン、ノアのおかげで、狩りの方法なども身に着けつつある。格闘もだんだんよくなってきた。そのころになるとおれもエイルの打ち込みに付き合うようになった。まだまだな部分はあるけど人間相手ならどうにかなるだろう。ただ俺に対してはたまーにわざともみあって倒れ、そのさいに胸を押し付けたりすることがある。 んにゃろ・・まだあれで足りないとみえる・・・・。
また、仕事ににワーウルフ3姉妹ともに連れて行くこともあった。用心棒とか戦う要素が強くなる場合、ワーウルフの戦闘能力を見込んでの依頼である。すでにガラさんはこのアタリで有名だったんだけど、期間限定ながらももうひとりワーウルフが増えたため、敵さんの震え上がりはみてて吹いた。まぁ俺が出るまもなくヴァン中心にぶったたいたし。本当にワーウルフさまさまだ。
ただ、ワーウルフ・・・いや魔物を連れている故に、苦しむことがある。それは依頼を終え、家路に着くころに起こった。
「よーし、今日はあたしが夕食作るね。」
エイルが張り切っている。今日はいい食材も手に入れ気合十分だ。
最近ノアばっかりに料理させてるから、今回はいいだろう。
そのとき
「たく・・・ご主人様、なんかつかれてるよ」
不機嫌そうに、ヴァンがつぶやく・・・。
「だな・・・和馬、どうするか?」
ガラさんがおれに向いてささやく。
「・・・・・めんどくさいけど・・・・・・」
命狙われる理由など見つからなかったが、まぁ殺気だった雰囲気なんで、逃げたところでらちもあかないだろうから・・・・。
「散開!!」
瞬間に俺達は四方に飛ぶ。瞬間狙っていたのか今いた場所に矢が突き刺さった。・・・なるほど、お命頂戴って訳か。でもそうそううまくいかないのが悪者の特徴だ。ヴァンがいち早く蹴り上げ、男の一人がぶっ飛んできた。それを俺が蹴り落として地面に叩き伏せる。
つぎにおれのキャスターが火を噴く。俺のフリーズショットは、ターゲットの「魂」をロックオンさせることによって、多少の追尾能力がつく。それを数発発射。2人を気絶させた。
向こうではガラさんが敵を投げ捨てていた。そのあと腕をとりボキリとやってくれました。わーすごくエグイお兄さんだこと(汗)
「なななななんできさまらは魔王の化け物を飼っていやがる!!!」
恐怖に震え、チンピラ連中のひとりが、わめきさけんだ・・・・。
「化け物・・・・だと????」
化け物って・・・・エイルやノアのことか??
「おい・・・だれに対して化け物っていってるんだ??」
「ああああのあああのワンコロのことだああああ きさま正気の沙汰じゃねねねねねぇぇぞぉぉ!!???」
「ぇひぃ??」
やつの背後に・・俺はいた・・・・・。おそらくヤツには目にと留まらぬ速さでとんできたと感じたんだろう
「・・・化け物じゃねぇ・・・・・・」
「は?どどどどどうみても・・・・ばけもんじゃ・・・・ねぇk!!」
ドゴッ!!!!
背後から強烈な一撃。チンピラは地面に叩き付けられながら転倒。ぴくりとも動かなくなった。その姿をオレは怒りで煮えくりかえった状況で見ていた。
なんで言われなきゃ行けないんだ・・あいつらは姿は魔物に見えるかもしれないが心は立派な人間なんだよ。純粋種のヴァンだってオレから見れば、十分人として見て行かれる・・・この世界の人間はそんなに視野がせまいのか??
「・・・・和馬、大丈夫か??」
「・・・・ええ、すごくむかついてますけど。」
ちょっと・・・冷却時間が必要だと思った。でも・・・・
「そういえば・・ノアとエイルは??」
「・・・・やば・・・・この状況じゃ・・タダじゃすまない。ヴァン!!エイルとノアをにおいで解るか??」
オレでこの状況だ、元人間の二人の精神的ショックはたまったもんじゃない。下手すれば暴走して取り返しのつかないコトになる
「なんでそんなに慌てる??」
呼んだのかオレのせいか、不機嫌気味のヴァンに
「ノアがノアじゃなくなるぞ、急げ!!」
「!!」
訳がわからないが、危機的状況を感じ取ってくれた。においを追って駆け出すヴァン。 サンキュー
追いかける間オレはカードリッジをサラマンダに換装。足で間に合わなければ召還のサラマンダに迎撃させるためだ。 とにかく早く見つかれ。
・
・
いた!! 二人だ、武器を構えた複数の敵に今にも飛びかかろうとしていた。その目はこちらでも解るくらい怒りに満ちあふれていた。やばい、間違いなくあいつら人間を殺す。思わず前方のヴァンに叫ぶ。
「二人を止めろ!!全力で止めろ!!」
二人が飛び出す瞬間にヴァンが抱え込むようにタックル。後方にもつれ合う。一部の敵がボウガンを放ったが、オレのキャスターで撃ち落とした。
「はなして!!はなして!!お姉ちゃん・もういや!!」
「コロスコロスコロス!!コロシテヤルゥゥゥゥ!!」
「やめろ!!ノア、エイル!!おねーちゃんの言うこと聞かないか!!」
泣きながらもがく二人、それを必死の形相で抑えるヴァン。ヴァンも泣いていた。理由はたぶんわからないと思う。ケド、結果どうなるかは感じ取ってるようだ。
オレは、キャスターを構え牽制しつつ間に入る。そしてガラさんもヴァンといっしょに二人を抑えた。泣きながらもがくノアにガラさんが・・
「いい・・もういいんだ・・・ノア・・・すまん」
「お・・・にい・・ちゃん」
「ご主人様・・・・ノア・・・・・」
ノアの動きが止まった・・・・が・・・・ガラさんとヴァンが少し力を抜いた瞬間、振りほどいてエイルが飛び出した。
「がぁぁぁぁぁ!!!」
エイル!! 今度は俺が抑えないと・・・。今度はおれがエイルを受け止める、しかしワーウルフのパワーはハンパない・・ずるずると押し込まれる。
「離して!!あいつ、傷つけた!!ノアちゃん傷つけた!!!」
「止まれ!!命令だ!!主人の言葉を聞けないのか!!!!」
エイルの体がぴたりととまった。・・・主従関係がここで生きた
・・・・けど・・・・。
こんなの言いたくなかった・・・
俺とエイルは・・・相棒なんだよ・・主従関係じゃない
「あ・・・ああぁぁぁぁぅぁぁぁぁぁぁぁぁl!!」
泣き崩れて大声で叫ぶエイル
「万事休すだなぁ・・・・・・」
俺の背中に剣をつけて、チンピラの首領が言った。
「・・・・ノアとエイルになに言ったんだ??」
「ふん、単に「化け物のくせして人間に発情したメス犬め、その首さらしてやろぞ」・・・・って言っただけだぜ。そしたらこいつらキャンキャンさわぎやがって・・・・お前も同罪だ、一緒に地獄に落としてやるぜ・」
人をバカにした口調・・・。
「で、おれが抵抗したらどうすんのか?」
「もちろんすグッサリいくさ・・・。」
「じゃ、いまやってくれ・・・・めんどくさいし」
「ふん、じゃぁお前から・・・・」
やつが剣に力を入れた・・・次の瞬間。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!あぢあぢ!!!!!」
剣がいきなり炎を上げ、ヤツに襲い掛かった。 単純だなこいつ。俺はヴァンを追いかけてる最中にカードリッジを召還モードに切り替えてたんだよ。その状態でも魔力はかかるがフリーズショットは撃てる。炎より生まれた赤いコートは俺の意思によって炎を出すことができる。
「きききききさまぁ・・・・。謀ったなぁぁぁぁぁ!!」
「謀ってねぇよ・・・おめぇが単純なだけじゃん」
怒りおさまんね、こいつをボコボコにしたい・・・・そういう感情に襲われていた。ノアの・・・そしてエイルの心を砕きやがったこいつら・・・タダで帰すわけにはいかない。
「全員殺してしまえ、かかれー!!!」
首領の声とともに襲い掛かる部下のチンピラ。しかし結果はもう決まってた。
「相棒、びっちし教育してやんな・・・」
「教育って・・・・・・・こうか!!!!」
「あががががが・・・・・・・」
首領は腰が抜けたようだ・・・・まぁ、仕方ないか。サラマンダ1匹にあっけなく部下全滅。殺してはいないが、当分は立てんだろう。俺、そしてその上にサラマンダ。
「なぁ、和馬ぁ・・・こいつ骨すらも残さず焼き尽くすか??」
「いい、お前はここで周り見張ってくれ・・・残党がいるかもしれんから」
「へいへい・・・・」
俺はヤツの前まで来た瞬間
ドゴっ!!
ヤツを蹴りつけた、
転がる、それを追いかけて殴る、
蹴る・・・また殴る・・また蹴る
許せない・・・許せない・・・許せない・・・許せない・・・・・・・。
・
・
ボロボロになった首領、生きてはいるもののもはや息絶え絶えだ。まだ気が晴れないやつに駆け出そうとした瞬間・・・・だれかが後ろから止めた。
「ご主人様、だめ!!これ以上やっちゃ駄目!!!!」
エイルが後ろで俺の胴に抱きついた。はっと我に返った。エイルの顔を見る。彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
「私達のために、ご主人様が血でよごしちゃ駄目・・・・だめ・・・・だめだから」そのあとは声にならず、俺の胸で泣き崩れた。
「・・・ごめん・・・・助けられた・・・ありがとうエイル・・・・。」
その声に顔をあげ首を横に振るエイル・・・・。
「・・・・・もう・・・帰ろう・・・・帰ろう?ご主人様」
正直こなるなんて思っても見なかった・・・。
俺達の世界でよく知られているモンスターに比べて、あきらかに人に近い存在のこの世界の”魔物”とよばれる「ヒト」達。でもここにずっと生きている人間にとっては彼女達の力は「脅威」にしかならないのだろう。でも、こうして交わりあえば互いに尊重した生き方もできる。それがなかなかできないのは・・・人間の悪い特徴なんだよな。 人間同士でさえ差別、戦争は終わらない・・この世界ではそれに魔物が加わってより複雑になっているのだ。
「本当の魔物は・・・・人間・・いや人間の心かもしれねぇな」
その夜、5人2つあわせたベットの上で寝た。3姉妹はなぜか全裸で俺達と肌を合わせた。互いに愛撫しあい・・・温かみを感じた・・・ほら、こいつらはちゃんと人間とあわせてくる。(2人は実質人間なんだけど。)お互いが互いを思っていけば共存は可能だ。 道は険しいけど・・・その道を貫いてみせる。・・・それがキャスターという絶対的力をもった俺の役目・・・。
・
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こういうことが起こりつつも、修行の結果、エイルは立派はワーウルフになった。ヴァンには「まだまだだねぇ」と言ってはいるが、俺のパートナーとしては十二分にやってくれそうだ。
「本当にお世話になりました。」
「いやいや、こちらこそいろいろありがとうよ」
俺とガラさんはがっちり握手。
「ヴァン姉さん、ノアちゃん、また会おうね。」
「あいつに飽きたら、こっちに戻ってこいよ。てぐすね引いてまってるからさ」
「この住所でいいんだね。今度はエイル姉ちゃんに手紙だすから。」
「うん、ありがとう。]
3人抱き合っていた。
「まぁ、おれのバイクならそんなにかからないけどな」
「でもやっぱり離れると寂しいです」
バイクの上で俺とエイルは・・・思い出話に花を咲かせていた。
「でも・・・・ノアちゃんが・・・気になりますね。」
「うん・・・せめていいヒトがパートナーになって支えてくれれば」
「そうですね。」
初冬の寒さを突っ切ってバイクは事務所へと向かった。
「これで、あなたを守ることができる・・・ご主人様」
背中でエイルは言ったらしいんだが、風切る音が・・・。
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数年後
「やっぱり噂どおり、工藤先輩はつよいわ・・・」
苦笑いの少年・・実は俺の母校の魔法研の後輩なのだ。1年くらいの研修のためこの世界にやってきた。
「ははは、まだまだおまえに負けるわけにはいかんさ。」
手を引っ張って彼を起こした。
「とはいっても、同じコロの俺に比べれば全然つよいぞ、さすが最強のキャスター使い、天道寺アズマの息子・・・といったところか、天道寺勇人くん」
「・・・て親父のコトしってたのかよ!!」
まぁ、森次先生から情報もらったし・・・「ちょっとマークしといて」って言われたし・・・まぁ、これはこっちの秘密だけど。
向こうでは2匹のワーウルフが戦って・・・じゃなくてじゃれ合っていた。尻尾ふりふり全開!!
「もう、ノアちゃんたら合わないうちにおっぱいもこんなに大きくなったのねぇ」おっぱいわしづかみで喜ぶエイル。
「わ、ちょっとやめて・・・くすぐったい・・くすぐったいよう!!エイル姉ちゃん!!・・あ、勇人!!勇人助けてぇ〜」ともまれながら必死にもがくノア。
・・・数年前とかわらない姉妹っぷりに俺苦笑い
そか・・・なんの運命かしらないけど・・・ノアが相棒に選んだのは俺の後輩ってことか・・・。なんかわかんねぇな・・・。まぁ、彼女の明るい笑顔が見れただけでもよかった。うまく行ってるみたいだ。
「あ、俺がメシ作ります。いちを飯屋の息子なんで」
「和馬さん、勇人のつくる料理はとってもうまいんですよ!」
「あ〜じゃぁ、天道寺くんに教えてもらお!!」
こうして、また新たな物語が紡ぎ出される・・。俺達も、彼らも。
(終わり)
10/02/02 14:07更新 / Gすと・くま