連載小説
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三年と三日目 夜
ふふ、いい子いい子。
ちゃんと言った通り、ちーくんはシャツというか私を着たまま寝ている。意図的に粘液っぽさを残しているのに、そのまま着てくれている。それが嬉しい。
パンツがあるのはいただけないが、これもそのうち私になるだろう。私にしておかなければ。

そっと粘液を動かして脇毛を植え替えながらちーくんを見る。

乳首。魔物娘としての本能が刺激される。
しかし今はそれよりも気になることがある。

そこには剃られて短くなった毛があった。乳首にも毛が生えるんだ。新発見であった。
私は使命感に駆られその毛を丁寧に抜いた。元々剃っているくらいだし植える必要はないだろう。少し興奮した。

そして乳首。乳首だ。

聞いたことがある。男性でも母乳が出るのだと。乳腺があるからだ。

私は胸から私の粘液を垂らすちーくんを想像して、大いに興奮した。鼻血が出そうだ。
これは是非私を入れておかなければなるまい。

敏感な部位ゆえに最初は少々痛みがあるかもしれないが、今夜はきっと問題ない。
夕食に睡眠薬もバッチリ入れてあるからだ。
決してやましい目的のためではない。明日のちーくんが辛い思いをしないようにするためだ。

あ、そうだ。私は名案を思いついた。ほんのちょっと麻酔を入れれば全部解決する。そうしよう。

私は乳首の微細な穴から私を侵入させ、麻酔にした私を巡らせ組織を切除して私の粘液を生成するものに置き換えた。私の意思一つでちーくんは乳首から私を垂れ流せる。すぐにでも快感を感じるようになるだろう。私の粘液は媚薬にもなる。

「ふふ」

そうだ。今のうちに睫毛と鼻毛も植え替えておこう。たかが毛の分際でちーくんを守ろうだなんておこがましい。それは私の役目だ。

鼻毛を植え替えると、次は歯が気になってくる。

やることは多い。

私は自分の趣味に邁進していた。

まずは睫毛、そして下半身の毛だ。順序というものがある。乳首の件は少し先走ってしまったが、これは良くない。
私が姉であるために、私は暴走してはならないのだ。

私は自分に言い聞かせた。
黙々と手を進め、脛毛から太ももの毛まで植え替えた。

パンツが邪魔だ。パンツを脱がしてもそれだけではまず起きないだろう。それは間違いないが、私は苦悩していた。
おそらくこの下にあるものを直視すると私はもう耐えられない。今までの我慢が水の泡だ。
しかし見たい。味わいたい。

「私は姉」

戒めるように小さく呟く。
そう、私は姉だ。ちーくんが私に姉であることを望む限り、私は姉である。
私は自分に言い聞かせた。

よし。落ち着いた。とりあえず歯を私にしよう。

歯は大事だ。特に食べられたい私たちショゴスにとって。

今のうちに私に変えて、何も問題ないようにしておかなければ。これは姉として普通の心配だ。

私は酷い興奮を押し隠しながら、必要以上に口内をまさぐらないように注意した。
ことちーくん関係のことでは、私の一番の敵は私の本能だ。

コーヒーゼリーも食べてくれた。今日食べたのは本物だが、あと二つは私だ。
今日の夕食のハンバーグにも私が練りこんである。
普段ご飯を炊くときにも水に私が溶かしてあるし、頻繁に使う茄子も皮は全部私だ。ちーくんの食事管理は完璧だ。これからは本格的に私の割合を増やしていこう。

じわじわと侵食していかなければ。

ちーくんの喉が見える。どれだけ暗くても私たちショゴスには関係ない。
喉の奥に飛び込みたい気持ちが強まる。胃も私にしたい。

違う。私は首を振った。今晩はここまでだ。私に限界が来ている。
私はちーくんのまぶたにキスを落とした。
そのうち眼球も私にしたいな。
19/07/28 22:42更新 / けむり
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