のぼせる
「――っ、――っ…………っ」
荒く息を吐きながら、礼慈は腕の中にすっぽりと収まるリリの身体を抱きしめていた。
射精の脈動。その最後の一打ちが子宮底に吐き出される。
「――――ッ」
もっと、と求めるように震えるリリの胎の感触を味わい、礼慈は脱力による解放感と、幼い身体からもたらされる幸福感に包まれていた。
いつの間にか涙が滲んでいたのか、視界がぼやけている。
それを拭いながら。リリの体を押し返してやる。
湯に近い位置にあった顔が離されて、リリの呼吸に余裕が出てくる。
それまで絶頂に至ったまま呼吸が安定していなかった彼女が落ち着きそうだと見て取り、礼慈は安心しかかって、いや、と考えを改める。
リリの全身はほんのりと赤く色付いていた。
湯あたりしかかっているのかもしれない。
湯からあがらせなければ、と思い、彼女の体を抱き上げた。
陰茎が抜けて、リリの口から「ん……ッ」と喘ぎの余韻が漏れる。
「大丈夫か?」
湯船に腰を下ろしたリリは、熱のある呼吸を続けながら礼慈を見上げた。
その瞳からは涙がこぼれており、口はとろけるような緩い円弧を描いている。
「おにいさま……わたし、きもちいい……お兄さまはどう、ですか?」
「ああ、リリ。すごく気持ちよかったよ」
涙を頭から垂れている解けかけのタオルで汗ごと拭ってやると、リリは表情の熱を下げないまま言った。
「あかちゃん……できるでしょうか?」
「できるといいな」
「――はい」
快楽の余韻を彩るように混ざったのは、“幸せだ”と他でもない礼慈に言葉以上の説得力で訴えてくる感情だった。
その表情を見ているだけで感化されるように礼慈もより幸福な気分になっていく。
と、礼慈は呼吸を整えながら少し違和感を得ていた。
(これは……)
その正体について考えようとしていると、リリが「あっ……」と声をこぼした。
性感に悶える時のものとは違い、何か思わぬ失敗をしてしまったことに気付いたかのような、そんなうっかりの声に何事かと訊ねようとすると、リリがいきなり立ち上がった。
「リリ?」
「あの、こぼれて……」
そういうリリの色づく恥丘の下からはピンク色の液体が伝っていた。
腿をうっすらと染めるそれは、破瓜の血と、子宮に至る前の最初の射精によって出された精液の混合物だ。
「お湯が……」
焦ったように浴槽の外に出ようとしたリリのバランスが崩れた。
湯あたり気味だった所でいきなり立ち上がろうとしたためだろう。
体をどこかに打ち付ける前に咄嗟に手を出してリリを支えてやる。
怪我なく支えられた所でリリ本人も浴槽の縁に手を着いた。
ほっと息がつかれ、礼慈に預けられていた体重がなくなっていく。
「急に動くのは危ない――」
「……あ、すみません」
そんな申し訳なさそうなリリの言葉を、眼前に小ぶりなお尻を眺めながら礼慈は聞いていた。
「でも、せっかく入れてくれたお湯をよごしてしまいます」
細い尻尾はだらんと垂れている。それを射精後の陰茎のようだと思いながら腰を支え続けていた礼慈は、その尻尾の先にあったものを見て、自分が先程抱いた違和感の正体に気付いた。
礼慈の主観では収まりつつあったはずの陰茎だったのだが、いつの間にやら硬度を取り戻しているのだ。
つまり、礼慈はリリにまだ欲情し続けている。
秘密基地で三回、ここでも二回。既に射精している。
これまでなら十分どころか、リリと出会う前なら陰茎が痛くなってとてもする気にはならなかっただろう回数だ。
それが、今、視界を埋める柔肌を愛したくて犯したくてたまらないといわんばかりに陰茎は種付けの態勢を整えていた。
精を放って脱涼感を得ていたハズなのに、肚の内で新たな欲求が溜まったのか、力がみなぎってきてしょうがない。欲求不満で体を持て余す状態になっていた。
「湯ならもう、俺のちんこが抜けた時にどろどろのが溶けてるから、気にしなくていいよ」
「ぁう……」
欲情を抑えながら言うと、自分が焦って空回りしてしまったことに気付いたリリが浴槽の縁に着いた手に顔を伏せる。
預けられた体重が無くなってもまだ礼慈は腰を支えているので、尻だけ掲げられた状態だ。
「だからそんなに気にしなくてもいいから――」
礼慈は腰を掴んだままリリの後ろに回った。
明かりを照り返す瑞々しいお尻の下。体のサイズに合わないモノを入れられていたせいか、他の肌と比べても明らかに充血した性器からドロっと体液の混合物が垂れ落ちているのが正面に大写しになる。
湯の匂いに濃厚な甘みを含んだリリの淫臭が混じった。
全身がリリと抱き合った最高の安心感と快楽を想起しだしてそれ以外を考えることが困難になる。
荒くなる鼻息が尻に当たり、リリが「お兄さま……?」と問いを投げる。
それに答えずリリの腰を掴んだまま礼慈は立ち上がった。
浮いた尻に陰茎を押し当てると、リリが首を巡らせてくる。
「……、もう一回」
押し当てた陰茎で尻を這い回りながら礼慈はうめくように言う。
陰茎は無軌道に動いているわけではない。
リリの腰を上に押し上げながら、自分は腰を下げて、徐々にリリの性器へと位置を合わせていった。
「……もういっかい」
ぼんやりとした声でリリが反芻する。
無意識なのだろうが、彼女のお尻が振られ、亀頭が畏れ多いほどきめ細かい肌にこすられるむず痒い感触が襲ってくる。
尿道口からはまた先走りがあふれてきて、僅かな間にリリの尻肉に粘性の液が塗りたくられていく。
にちゃ、というお湯とは別の水音が接触面からし始める頃には、亀頭はリリの入り口に先端を引っ掛けていた。
リリの膣から溢れてくる体液も心なしかその量を増やして次の受け入れ態勢を整えている。
「もういっかい……おねがいします。お兄さま」
礼慈からあふれる欲求を、リリはどうされるのかをはっきり理解した上で肯定して受け容れた。
この肯定の答えの中にリリ自身の欲求も感じられて、礼慈は俄然やる気をみなぎらせた。
リリの性器に自身の先端を触れ合わせ、リリの腰を掴んだまま自分の腰を押し出す。
膣口はまだ先程の性交の余韻でほぐれたままでいたのか、比較的柔らかな抵抗で肥大した亀頭を呑み込んだ。
『――――ッ!』
快感の声が両者の口から溢れ出る。
締め付けの強い肉洞内で、反り返ろうとする陰茎が背中側の膣壁をゴリゴリと擦りながら遡り、すぐに子宮口にまでたどり着く。
子宮口は先走りを飲み込むように吸い付いてきて、その先への道筋を一直線に整える。
と、思った瞬間。そのままちゅるんと飲み込まれるような手応えと共に陰茎がリリの中にあるもう一つの関を通り抜けた。
根本まで陰茎が飲み込まるほんの少し手前で柔肉のクッションが礼慈を受け止める。
そのクッションの弾力を確かめるように、ぐいと押し込んだ礼慈の腰とリリの尻が触れ合い、脱力していた彼女の尻尾と羽がピンと張った。
「っああああああ!」
目をぎゅっとつぶったリリの喉から高音の悲鳴が漏れる。
尻尾と羽の動きに合わせるようにリリの子宮から膣にかけてが締まり、かと思ったら全体が微細に震えだした。
イッたのだ。
こちらを向いた口が悲鳴を上げながらも笑みの形を緩く作っているのがいじらしい。
ビクビクと震えて陰茎をくすぐる肉襞の感触に性感を急速に募らせながらも、礼慈は下腹に力を入れて即座の射精は堪えていた。
細く、頼りない腰を握っている手に力がこもる。華奢な腰だが、これまで交わりに応えてきてくれたことを思えば耐えてくれるだろう。
「リリ、少し、がまん、な」
「――っ、ん! うん! うんん!」
こちらの言葉に反射的に頷いているだけのようにしか聞こえない、危うい応答だった。だが、返事を待つ間だけ動くのを我慢するのすら難しかった礼慈は、その応答を聞いた瞬間に勢いよく腰を引いていた。
陰茎が膣の入り口手前まで一気に引き抜かれる。
「――ッアアァ!」
「――――ッ」
カリより先は通さない。といわんばかりにきゅ、と膣口が締まって勢いのままに引き抜かれそうになる陰茎を止めてくれる。
カリ首を持たれて陰茎を引き伸ばされるような感覚に礼慈は噛み締めた口から快楽のうめき声をこぼして、今度はリリの奥に向かって陰茎を突き立てる。
「んぅぅぅぅううッ!」
「――――ッぎ、っぐ!」
リリの悲鳴に区切りを着けるように、彼女の尻と礼慈の腰がパチュン、と水気を含んだ音を響かせてぶつかり合う。
子宮の奥を遠慮なく突く衝撃に尻尾が跳ねて、リリの口からは空気が漏れる音がする。
これまでの経験がなければリリに苦痛を与えているのではないかと不安を思う所だろうが、リリの声に混ざる艶や、彼女の尻尾が跳ねては礼慈の腕に全体をこすりつけるようにしている動きから、そんな心配は不要だと断言できる。決して礼慈が気持ちよくなるために一方的にリリへと負担を強いているのではないのだ。
それでも幼いリリを気遣うべきなのだろうが、湯の熱気と発情の淫気。リリの幼艶な色香に冒された礼慈にはそこまでの思考能力は残っていなかった。
腰を引き、また打ち付ける。
彼女の中で一往復するごとに、リリの高めの体温に自分が馴染んでいくのが感じられて、一体感が徐々に強くなっていく。
子宮底を強く一突きすればリリが跳ね、それと同時に絶頂に至るのか、彼女の胎がきゅうきゅうと吸い付いてくる。
まとわりつく粘膜を引きずりながら腰を引いて淫液を掻き出していく動きは快楽を求める本能のもので、陰茎が抜けないように気をつける。という意識は既に礼慈の中から消えている。
それをリリの膣口がサポートしてカリ首を掴み離れていかないでとせがむように絶頂の痙攣で奥へと誘う。
その求めに応じるように礼慈はまた彼女の最奥に陰茎を叩き付ける。
先程はできなかった、そしてこれまでで一番ダイナミックな動きをしている内に、大量に精を吐き出していたおかげでなんとか我慢が保っていた礼慈にも射精感が募ってきた。
足元で湯が飛沫を上げる音に混じって陰茎に掻き出された淫液が湯に落ちていく。
その音のペースがだんだんと短くなっていき、
「リリ! リリ――」
「お、にい――ッ、あ、なか! おっきく! せいえきくだッ……くださ……っ!」
胎内で陰茎が蠢くたびに絶頂に至り続ける言葉でリリが叫ぶ。
声量の調節ができない程の快楽を、挿入れてから一度も絶頂から下ろしてもらえずだんだんと高く高く積み上げ続けたその精算として、リリが一際激しくトんだ。
「――――ッ! っァアアあアアあっっ――――――!」
「――――ッ」
浴槽の縁に着いた腕の中に顔を埋めてびくびくと全身を痙攣させるリリの中は、グチュグチュに愛液を分泌してうねっていた。
リリが感じているのを見続けるために我慢を重ねていた礼慈の限界を一瞬で振り切れさせるだけの快楽が陰茎を通して全身にもたらされる。あまりの快楽に戦慄いた腕からつい力が抜けてしまい、
「――――ぁ」
連続で絶頂を味あわされていたリリは既に自力で腰を突き上げてはいなかった。
支えになっていた手を離されれば当然尻は下がり、陰茎がずるりと抜けていく。
膣口が一瞬カリにすがろうとして、愛液と膣内の弛緩によって取り逃がされた。
ブジュ、と音を立てて亀頭が抜けた瞬間。亀頭が一際膨らみ――反り返る勢いを合図にするように射精が始まった。
かろうじて湯から小島のように丸みの頂きが見えるだけになった尻に白濁の一射目がかかる。
「――んぁ! あつ……い……っ! んん!」
陰茎が力強く脈動するのに任せて精液を振りまき、リリを汚していく快感を味わいながらも、彼女の肉洞に包まれていないままでの射精をもったいないと礼慈は感じていた。
一射目が終わるか終わらないかの内に彼はリリの尻肉を両手で握った。
張りのある肉をしっかりと掴み、次の脈動への収縮で精液が精管をのぼってくるのを感じながら、礼慈は急ぎ彼女の尻を割り開いた。
絶頂の波の引き潮で弛緩しているリリの尻臀は抵抗なく開かれ、次いで訪れた緊張の寄せ波によって可愛らしい尻穴が尻臀を開かれた影響で開き気味のままヒクヒクと痙攣しているのが見えたのもつかの間。
彼は陰茎を彼女の尻の割れ目に沿わせた。
「――――ッ」
次の脈動が始まると同時に彼は尻肉を寄せた。
強めの圧迫を受けた陰茎は、竿全体で跳ね回ろうとする動きを抑え込まれる。
尻の谷間の奥から背中に向けての射精が行われ、三度目の脈動が始まる頃には、礼慈はリリの痙攣する尻肉で陰茎を扱きながら射精する体勢を確固たるものにしていた。
淫液が潤滑剤になって恐ろしいほどに滑らかな肌の間を往復するのに具合が良い密着感とトロみがもたらされる。
腰を引いて亀頭が尻の中程に埋まる所で次の脈動までの数瞬を過ごし、出る、というタイミングで陰嚢が湯に浸かる尻と太ももの付け根に当たるまで一気に突き出す。
驚くほど勢いよく飛んでいく精液がリリの尻尾といわず羽といわず背面全体をまだらに汚していき、
「あつ……あ、おしり、せなかも、お兄さま! っあ、――っ!」
礼慈の熱に汚されている悦楽をリリが告げた。
●
やがて射精が終わると、礼慈は今度こそリリの尻を放して湯の中に膝を着いた。
リリの方も絶頂の波が去ったのか、鳴き声が途切れ、腰を先程の痙攣の名残のようにひくひくと震わせながら息を繰り返している。
そんなリリの尻の谷間に亀頭を押し付けたまま、礼慈は残滓がとろとろと流れ出るのを立ちくらみのように明滅する視界で眺めていた。
今や残滓として流れてくる分だけで礼慈の精液は以前の一回の射精分はあるし、リリの背中を犯している分を改めて見ると、何かの病気かと思えるくらいの量が吐き出されている。
(これだけの量を子宮に射精してたのか……)
これを受け止めきるリリの胎内は、礼慈が思っているよりも食いしん坊なのかもしれない。
最後にもう一度尻肉で陰茎を扱いて精液を絞り出し、リリの横に位置をずらして脚を伸ばして座り込むと、リリが腕の間に伏せた顔を礼慈に向けてきた。
激しく突かれていたせいで完全に解けていたタオルが浴槽の外に落ちていく。
それを気にした様子もなく、リリは礼慈に抱きついてきた。
胸に額をこすりつけられるのを受け入れながら、礼慈はリリの背中に腕を回す。
背中に流れてしまった蜂蜜色の髪が背中側にぱさりと落ちている。このままでは精液で髪が汚れてしまう。拭おうと思うが、二人が浸かっている湯は破瓜の血やら精液やら愛液やらが広がっていてきれいとは言い難い。
(……これじゃ流せないか)
タオルを拾ってもこれだけ湯が汚れていればあまり意味がない。もう一度全身を洗ってもらうしかないだろうと諦め、風呂の栓を抜く。
湯が抜けていくのをぼんやり待っていると、リリが胸に言葉を落としてきた。
「せなか。おしりも、あつかったです……。ふしぎです、せーえきのかかったところ、ぽかぽかして、そこからからだが、きゅん、ってなります。何もわからないくらいにおまたの大事なところがきもちよくって……。それに、せーえきがおちてきたところから、水の中に雨がおちるみたいに、あたらしい気持ちいいがひろがって……」
魔物にとっては体にかけられる精液はそういうふうに感じられるのかと感心していると、リリが擦りつけていた顔を上げた。
至近にある常磐が礼慈を捉え、甘い香りがする吐息と共に彼女は言う。
「もういっかい」
「え?」
思わず訊き返した礼慈に、言葉を探すような間を置いて、リリは言う。
「もういっかいってお兄さまはいいました」
「ああ」
その一回。礼慈が射精を迎えるまでの間にリリは何度も絶頂を迎えていた。
そのせいで彼女は息も絶え絶えだ。
それについての抗議だろうかと思っていると、
「わたし、もういっかいっておなかの中にくれるって思ってました」
抗議は抗議だが、どうにも思った所とはポイントが違っていた。
「それは、すまん。手が滑って」
ちょっとすねた声音なのが可愛らしいと思いながら如何ともし難い事情があったのだと伝えると「じ、じゃあ」とリリが這い上がるようにして礼慈に顔を近づけた。
「もういっかい……お兄さまがおなかにほしいです」
19/07/16 23:34更新 / コン
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