しつけ
湯船の中で立ち上がった英は、じっと見つめてくる鏡花と正面から互いの身体を観察し合った。
秘蔵の写真にも存在しない、隠すことなく晒された裸体を改めて見てみると凄い、とか綺麗、といった感想しか出てこない。
いつまで飽きずに眺めていられることだろう。
(この視線がなければ……!)
英と比べれば幾分か遠慮がちな視線は、それでも英の身体を上から順に確実になぞっていって、股間でその動きを止めた。
自分が見られていることにも頓着せずにそこに視線を集中させていて、英はなんとも落ち着かない気分だ。
「じゃあ、約束通り、洗わせてもらおうかな」
声を張って言うと、英は湯船から出た。
浴室は立ち上る湯気で暖かくなっている。これなら風邪をひく心配もないだろう。
ナイロンタオルにボディーソープを付けて泡立てていると、鏡花が首を傾げた。
「あれ……?」
「え?」
何かおかしなことをしてしまっただろうかと思って疑問符を返すと、鏡花は口ごもりながら言う。
「そちらで洗うのですか?」
確かに繊細そうな肌だ。洗う際にも気を遣っているのかもしれない。
「もしかしてスポンジ派だったか? ちょっと待ってくれ」
家に体を洗うためのスポンジなど置いてあっただろうかと英が考え始めたところで鏡花が「あ、いえ」と止めた。
「その、手で直接洗うものかと……」
それは、自分の体を手で洗うということがなかったので見逃していた可能性であり、また、多少は頭をよぎったものの、それはそれであまりにもスケベ心に忠実すぎやしないかと敢えて選択から外した考えでもあった。
(俺、これでも少しは遠慮してたんだな……)
感慨深く思いながら、英は訊く。
「いいの?」
「お嫌でなければ……」
嫌だなどと思うはずがない。
英はナイロンタオルから手に泡を移した。
タオルを戻して手にボディーソープを追加し、丁寧に両手にヌルヌルを広げる。
そうして手を浅く広げて構えると、英の手をじっと見つめている鏡花とまた目が合った。
鏡花の体に触るために熱心に手を擦り合わせていたためか、視線に対して後ろ暗い気持ちが湧いてしょうがない。
思わず動きを止めた英に鏡花が首を傾げ、それから何か思いついたように手を迎え入れるように広げた。
後ろ暗さを感じる必要など何もないと言ってくれるような行動に、流石はキキーモラだと思いながら、英は手を伸ばした。
思わず唾を飲み込むと、鏡花がそわそわしだす。
ゆっくりと近づいた英の手は、そっと包むように鏡花の首に触れた。
絞めてしまおうと思えばそれができる行為を目を閉じて受け入れた鏡花に、英は生き方を変えようと決めたあの頃から自分の中で失われてしまったはずの加虐心が鎌首をもたげるのを感じた。
(いかんいかん)
こんな気分になるのはこの興奮のせいだろう。
英は自分の猛る心を宥めるように鏡花の首を撫でさする。
気持ち良さそうに鼻から息を抜く鏡花に心を癒されながら、英は手を肩へと移動させた。
頼りない肩を辿って細い腕に行き着く。
ぷにぷにとした二の腕に泡を馴染ませていき、手首の羽毛を逆毛に撫でる。
そのまま掌に下って最後は指を絡めた。
掌同士を重ねて、絡ませた指を滑らせると、淡い力で鏡花が握り返してくる。
それに気恥ずかしさを感じた英は手を解いて手首を掴み、逆立ったままの羽毛を片方ずつ手櫛で整えていった。
泡で重くなった羽毛を手首に張り付かせて満足した英は、今度は腕の付け根――脇へと手を伸ばした。
「はい、バンザイしてー」
「ば、ばんざーい……」
素直に上げられた腕の下にできた窪みに手を触れる。
二の腕の下から胸の境界までに掌を這わせると、鏡花がくすぐったそうに身をよじった。
それを楽しく眺めながら、手はすすっと脇腹へと滑らせていく。
「ん、ふ……っ」
手が見事な腰のくびれに沿うとそこから腋窩へとまた手を戻していく。
その動きごとに震える鏡花に合わせて、英の目の前で乳房がふるんと揺れる。
掌では余ってしまうだろう大きさに成長したそれは、メイド服を押し上げる様を見るたびに密かに妄想していた以上に美しい円錐形だ。
それが揺れる様をもっと楽しみたくて何度も脇に手を這わせていると、鏡花が「あの……」と声をかけてきた。
「こちらはもう十分綺麗になりましたので、そろそろ別の場所に移って――見るだけではなく、直接触っていただいてもよろしいかと思いますが」
「そ、そうかな。いや、汗をかきやすい部分だから念入りにと思ってさ」
いつの間にか魅惑の揺れに催眠にかけられていたらしい。
(流石おっぱい。魔性だ)
声をかけてもらった英は、腹をくくって両の手を乳房に向けて構えた。
「じゃあ、いくよ?」
「はい、お願いします」
鏡花が頷いた動きで鎖骨に溜まっていた泡が垂れてくる。
それが胸上に溜まるまでの時間、英は本当に触ってもいいものかというためらいを弄び、意を決して両方の乳房を手にした。
(おぉ……)
目測通りに根本の部分が少し手に余る大きさのそれは、英の手になんとも言えない充足した感覚を与えてくれた。
少し力を入れてみると、ピンとしていた流線型はあっけないほど簡単に潰れる。
(掴めるかな?)
どうせなら根本までしっかりと掴みたいと考えた英は、手をより強く押し付けて鏡花の乳房をひしゃげさせてみた。
根本が潰れて掌の大きさを越える胸に、(これは無理か?)と思っていると、鏡花の少し苦しそうな呼吸が聞こえて慌てて手を放した。
「……? もうよろしいのですか?」
「いや……ちょっと力強く掴み過ぎたかなと思って、ほら、ひしゃげたし」
胸を指して言うと、鏡花はいえ、と応じた。
「自分以外の人に胸を触っていただくのは初めてなんですけど、英君の剣ダコや皮の張り具合などを知っているからでしょうか、英君の手だって分かってひどく落ち着くんです。少し強めにされるのも、その、使ってもらっている感覚がして、嫌ではないですよ」
だからどうぞ、というふうに鏡花は英の手を取って自分の胸に導いた。
再び触れる手に余る大きさのそれ。
今度はそれを力任せにいじることのないように、慎重に手を握り込ませた。
普段の彼女のようにピンと張ったそれは、英の指を柔軟に沈ませる。
絶妙な柔らかさに感動を覚えた英は握って開いてを繰り返した。
「……っ、……は……っ」
小さく喘ぐ鏡花の声は苦しそうなものではない。
それに気を良くした英は乳房の間に手を突っ込んでは割り開くように泡を擦り付け、ふよふよと揺れるそれを下から支え上げたりもした。
手に感じる揺れがたまらない。
そう思いながら乳房同士を擦り合わせていると、鏡花がくすっと笑った。
「こっちもくすぐったかった?」
「いえ、ん、私が胸を触られて、気持ちよくなるたびに英君のおちんちんがピクって動くのが、っ、可愛らしくて。
そういえば、パソコンに表示っ、されていた私の写真も……っ、どちらかといえば胸が出ていましたね……っ。やっぱり男の子はおっぱいがお好きなんですか?」
「一般的にはそうかもしれないな」
自分はどうなのだ、という明言は避ける形で英は応じた。
その間にも彼の手はしっかりと乳房を楽しんでいる。
鏡花はなされるがままになりながら、「だとしたら」と呟く。
「まだもう少し……ええ、お母さんの大きさは越えたいところですね」
「いや、これはこれでもう十分だと思うけど」
「いえ、まだまだです」
アンナに謎の対抗心を燃やす鏡花に首を傾げながら、英は乳房の頂を摘んだ。
「ひゃぅ――!?」
驚く鏡花の頂を親指と人差し指でこねながら英は言う。
「鏡花の胸は形もいいし、敏感だしで、これで十分だと思うけどなあ」
「英君! あ、っはぁ、そこは……! 弱くって……っ」
「なんたって見られただけで興奮してたんだよな? 俺が初めて触ったときにはもう掌にツンとした感じがあったし」
勃っている頂をこねるごとに大きく反応する鏡花は、息を乱しながら言う。
「だって、今日は、お家に来てからずっと、私、興奮させられっぱなしですか……ら!」
声がくすぐったそうなものから一気に湿り気を帯びたものになる。
英はそんな彼女の乳首から指を離すと、そこを特に押し潰すような動きで胸をこねくり回した。
「――っんあ! っすぐる君……! おっぱい、気持ちぃです……っ」
喘ぐ鏡花の目が潤んでくる。
それを確認した英は、最後に一周乳房全体を撫でるようにしてから手を離した。
「あ……」
どこか物足りなさそうな彼女の声を聞きながら、英はさて、と胸の下に手を当てて肋骨の感触を下へと辿った。
「そろそろ次の場所をね」
「あ……は、はい」
ある意味女性性の象徴である乳房を弄んだおかげか、英の動きは大胆になっていた。
肋骨から下端のラインに沿ってみぞおちに達した手は彼女の内部で息づく内臓を感じながら、腹部をゆっくり揉むようにして下へ下へと辿っていった。
臍まで下った英は、人差し指で臍の中をぐりぐりとほじる。
「あ、っや!」
指から遠ざかるような、それでいて押し付けるような動きを鏡花の腰がカクカクと行い、その腰のくびれを英の手は再び捕まえた。
親指が鼠蹊部のラインを辿って、
(――――)
そこで英は一旦手を離した。
息遣いで期待が外されたと訴えてくる鏡花に悪いことをしたと思いながら、英はしゃがんで彼女の左足首を掴んだ。
「…………?」
戸惑いの視線を感じる。
英がそのまま足首を上に持ち上げようとすると、鏡花は意図を察して足を持ち上げてくれた。
片足で立つ鏡花。その浮いた足の下に英は空いた手を差し入れた。
「――っ」
わずかに息が零れる。
英は見上げる形で鏡花と視線を合わせた。彼女は何といったらいいのか悩むように口を開閉している。
好奇心から彼女の足裏をくすぐるようにしてみると、堪えるように口もとを結んだ。
他に嫌悪のような感情がなさそうなのを見て取ると、英は彼女の足裏を片方ずつ洗い始めた。
人のものと同じ肌の部分と比べ、鱗で覆われた部分はやはり固い。これでどうして足音を立てることなく歩くことができるのかさっぱり分からなかった。
(あれがなければあんな恥ずかしい所見られることはなかったと思うんだけどな)
更に直接地面に着いているはずの脚裏に何故か汚れは付いていないようだった。
従者の嗜み恐るべし。
右足にも手を伸ばしていると、足が不安定にふらついた。
「……あ、すみません」
部屋でも鏡花はかなりふらついていた。
処女を失ったばかりなのだ。無理をさせてはいけない。
「と、ごめん。もうこっちは終わりだから」
「ありがとうございます」
鏡花は足を下ろした。
その両足の甲にそれぞれの手を乗せた英が「じゃあ、上がっていくよ」と言うと、「です……よね」と少し恥ずかしそうに視線を揺らして、鏡花は頷いた。
「その……よろしくお願いします」
固さの中にも押し込むと弾力を返してくる柔軟性をもつ鳥の鱗の触感を楽しみながら鏡花の脚を遡って石鹸を塗りたくっていると、人の肌と鱗の境界線に行きあった。
硬質の肌というべきか、軟質の鱗というべきか、そんな不思議な手触りを得ながら両手で脚を抱え込むようにして洗っていると、太ももの辺りに雫が伝っているのが見て取れた。
部屋で一通り拭っているので尿ではない。では汗だろうかと思いながら指でつついてみると、それは太ももと指との間に銀の橋を渡した。
思わず英が顔を上げると、顔を赤く染めた鏡花と目が会う。
「……」
「……」
ただ無言の間があって、おもむろに英は視線を脚へと戻した。雫が流れてきた方へ遡上を再開する。
そうして太ももを辿っていくと、脚がそっと閉じてきた。
内ももの柔肉に挟まれた英の手は、しかし遡上をやめず、肉に潜り込んでいくようにもぞもぞと強引に肉の間を這い上がった。
閉じ合わされた以外にはさしたる抵抗も無く遡上を続けた両手は、糸を引く雫を幾粒か絡ませながらその根本、陰部へと辿り着いた。
その頃には閉じていたはずの脚も解されたように少し開かれており、しゃがんでいる英からは鏡花の陰部全体が一望できるようになっていた。
絶景である。
控えめに閉じた割れ目からは愛液が次々と流れてきており、今目の前で新たな一滴があふれ出ようとしていた。
つー、と糸を引いて落ちてきたそれを掌で受け止めて、血の赤がその中に混ざっていないことにほっとしていると、その光景を羞恥に震えながら見ていた鏡花が再び脚を閉じようとしてきた。
強引過ぎない程度に抵抗しながら鏡花を見上げると、彼女はか細い声で、
「あの……やっぱり汚いですから」
「じゃあ石鹸を追加しようか」
こんなにヤル気にさせてくれるのもキキーモラの特技だろうかと思いながら、嗜虐的な心を刺激された英は片手でポンプを操りボディーソープを追加して陰部全体を覆うように掌を宛てがった。
「――んぅ!」
可愛らしい声に胸を踊らせ、英は男と違って出っ張るものが何もないそこのぺったりとした感触を堪能する。
そうしていると鏡花がむず痒そうに脚をモジモジさせ始めた。
「どうしたの?」
「いえ、その……体が勝手に」
その言葉を聞いただけで英は鏡花が求めているものが分かった気がした。
そんな頭の中の確信と共に掌を前後に動かした。
「……ん、あ……ぅん」
控えめだが、嬉しそうに鳴く鏡花。その嬌声に、自分の中の確信は正しかったと頷いた英は、鏡花のさえずりを聞きながら、石鹸を追加したおかげで脚が閉じられようとニュルニュル侵入する手での愛撫を続けた。
やがて意識的にか無意識的にか、鏡花の方からも応えるように腰を押し付けてくるようになり、柔い肌の中に恥骨のコリっとした感触も得られるようになった。
興奮と摩擦とで掌の温度も幾分か上昇したと思える頃。英はまた新たな触感を得ていた。
それは、これまで触ってきた鏡花の体の部位でいうならば乳首のような感触で、そしてまた、もう一つ顕著な変化が彼女に起きていた。
「――っ、……ぃ! ……ふっ! ぁ!」
鏡花の鳴き声が変化したのだ。
高く、喜びの気配が感じられる。そんな響きの悲鳴に、英は陰部から手を離し、両手で思いっきりもも肉を広げた。肉に引っ張られる形で陰部が広がる。
白く艶めく陰裂の奥に、充血した雌の穴が誘うように濡れている。
それらをじっくり観察した英は、先程の感触の正体を認めた。
陰裂を伝った前面にそれはあった。
小さいながらもちょんと勃ってその存在を主張しているのは、
(クリトリスだ)
初めて見る生のそれに視線が釘付けになる。
「あ、あの……英君……」
まるで真珠のように粘液で輝くそれへと、英は無意識の内に手を伸ばしていた。
そして、それに指が触れた瞬間――
「ぃ、あああぁぁア!」
叫んだ鏡花の膝が折れた。
浴室の床に膝を打ち付けてしまう前に素早く鏡花の体を受け止めた英は、彼女の太ももとお腹をそれぞれの手で抱えてゆっくり床に下ろした。
鏡花は支えられながら体の各所を痙攣させており、ビクビクッと震えるお腹を目の前にした英は石鹸の香りの中に混じる鏡花の匂いに思わず深く息を吸っていた。
「ぃ……イってしまいましたぁ……」
吐息のように力の抜けた声で言う鏡花に、英は思ったままを口にする。
「クリトリスってやっぱり凄い感じるんだ」
「お部屋で英君と……つ、繋がってから、私発情しっぱなしで、その、普段は隠れているはずの、い、陰核も露出してしまっていて……どうしても反応が大きなものになってしまいます」
「……そういえば、女の子のこれも、男のと同じで勃つんだっけか」
「は、はい。英君のおちんちんと一緒、です」
赤裸々に語られる内容に英は生唾を飲み込んで平静を装うしかない。
「び、敏感になったクリトリスをいじられてイっても漏らさなかったってことは、嬉ションも直ったのかな?」
興奮に上ずる声で言いながら太ももを撫でると、鏡花は本当に嬉しそうに腹を英の頬にすり寄せる。
「私も、躾ができつつあるのかもしれません。英君の私の扱い方がお上手だからでしょうか」
そんな言葉を受ける英も鏡花に上手に高められていた。
ペニスは鏡花の言通り、皮などとうに脱ぎ捨てて涎を垂らし続けている。このままでは鏡花の発情した声と裸と匂いだけで暴発してしまいそうだった。
彼女の全てが英の性感を刺激してくるような状態だというのに、彼女は身をすり寄せるのをやめようとしない。
射精を促すようなその動きにこのままでは本格的にやばいと悟った英は、眼前のお腹のヒクつきが落ち着いてきていることを確認して、鏡花のももを軽く叩いた。
「さ、こっちは洗い終わったし、次は後ろ側を洗おうか」
「は、はい……」
どこか残念そうな声で頷いた鏡花は、立ち上がろうとして、またふらついてしまった。
「……あ」
「鏡花、大丈夫か?」
鏡花も体力を使っていることだろう。そろそろこのお触りもやめるべきではないか。
英がそう考えていると、鏡花は彼の手を握って笑みを見せた。
「ここで終わってしまっては私、躾も満足に受けることができない従者になってしまいますもの」
彼女は膝で方向転換すると、湯船の縁に手をついて膝立ちで背中を晒して見せた。
「英君、どうかお願いします……」
そこまで言われて断れるほど、英に余裕はなかった。
「じゃあ、いくよ」
ボディーソープを付け直しながら言うと、鏡花の背がピンと伸びる。
これまで見たことのない、裸の背中だ。
彼女の体はどこをとっても美しい。
そんな感想を抱きながら、英は背中に手を添えた。
肩甲骨の形をなぞって背骨を下っていく。
少しずつ彼女の背を下りながら手を揉み込んでいくと、安堵したような息が鏡花の口から零れて力が抜ける。
気持ち良さそうなその息は、マッサージを意識している英の意図から外れて、どうも官能の息のように聞こえた。
「……っ、はぁ」
掌が下がり、指が胸椎から腰椎に至る頃には彼女の背中は反らされ、英が揉みやすいように尻を突き出す格好をしていた。
そんな彼女を伝う掌は、やがて毛並みも美しい尻尾の付け根へと行き着く。
尻尾という、自分には存在しない器官については幼いころから気になっていたこともあり、英は流れのままに、自然と手を伸ばしていた。
彼女の尻尾の根本――色合いが白に近い羽毛部分をむんずと掴む。
「ひゃん?!」
その瞬間、鏡花の尻が跳ね上がった。
「ぅお!?」
尻尾もピンとまっすぐに立ち、結果として英の眼前には丸出しになった鏡花の尻があった。
尻だけではない。英の位置からは今や彼女の陰部全体が丸見えの状態だった。ソコは、湯船の縁に押し付けるように上半身を倒して彼女が息を整えるのに呼応するようにヒクヒクと蠢き、相変わらず愛液をあふれさせている。
「し、しっぽ……あの、尻尾も敏感で」
「うん……前々からずっと気になっててさ……」
話をしながらも英の目は浴場の照明に照らされて下から仰ぎ見た時よりも生々しく見える淫液の源泉に吸い寄せられている。じっと見つめていると、そこから漏れ出るものに自分の精液が混ざっていないことに気付いた。
「あれ? 俺の精液って全部流れた?」
「脚を遡上した時にも精液のようなものは見られなかったけど」と呟くと、鏡花がぽそりと答えた。
「あ、あの、申し訳ございません。私の子宮が全て飲み干してしまいました」
英は納得といえば納得の答えに頷き、
「そうなのか。あー、子宮ってさ、けっこう自由に動かすことができるものなんだな」
あの時の体位から考えて、射精した位置は子宮から少し離れた膣壁だったはずだが、それを全部吸い上げたというのなら、意識して子宮を動かしたのだろうか。
「無意識のうちに、と申しますか、私が意識するまでもなく体が勝手に動いて英君の精を一滴残らず吸い上げてしまいました」
そう言って彼女は俯き加減で、
「あ、浅ましいですよね。すみません。
いつもはこんなに体を持て余すこともないのですけれど」
どことなく沈んだ口調の鏡花に、英はいやいや、と応える。
「鏡花がそんなに俺なんかのを欲しいって思ってくれたんなら、それは大歓迎というか、なんだ? うん、ものすっごく嬉しい」
その言葉を証明するようにビクンとペニスが脈打つ。
「そんなに俺の精が欲しかった?」
「そんなの、当たり前です。ずっとそうしていただける関係になることに焦がれていたのですから」
「本当なら初めてはもっと穏やかにして差し上げたかったのですが……」と零す彼女のいじらしさと発情した媚肉の淫靡さに、英は自分の方が嬉ションならぬ嬉射をさせられそうな程滾っていた。
(中出しされて一滴も零したくないとか、なんだろう、この……)
魔物娘とは往々にしてそういう生き物なのだというが、それでも目の前の大人しめな優等生が、幼い頃からずっと一緒だった彼女が、英の精に焦がれていたと言われてとてつもない多幸感を得ていた。
(うわ、本当にもう出そう……っ)
慌てて勝手に我慢汁を垂らし続ける肉棒を落ち着かせようと深呼吸をすれば、浴室の温い湿気に乗って発情した鏡花の匂いが鼻孔を満たし、見ているだけで興奮を煽られることが分かっていても視線は陰部から外せそうになかった。
いや、もう視線を外す気など英にはなかったのだ。彼の手は尻の谷間を隠すように下りてきた尻尾の先、獣毛の部分を掴んで持ち上げ、陰部が視界から隠されることを拒んだのだから。
「…………」
「ぁぁぅ……」
英の無言の主張に鏡花は困ったような唸りを漏らし、しかし掲げた尻を下げることはなく英へと特等席を提供し続けた。
おそらくは鏡花本人だって見たことがないであろう、愛液が体外にこんこんと漏れ出す様子をじっくり見つめられるのはやはり落ち着かないのか、脚はもじもじと動いている。
ももが擦り合わされるたびに粘性の水音がしている。
英は唾を飲み込んで鏡花の尻尾を撫で上げた。
「あ、あの?」
「触るばっかで洗ってなかったから」
そう言うと、英は根本から先端まで手を滑らせた。
「昔はよく触ってたけど、いつの間にか触らなくなっちゃったんだよな……でも鏡花の尻尾は毛並みがきれいに整えられてるから触らなくなってからもずっと触ってみたくはあってさ。いつも見てる分、普段は隠れてる胸とかお尻よりも気になってた感はあったんだ」
だから、と英は言う。
「なんか念願かなったりって感じだな」
「う、あ……い、言っていただければいつだって差し出しましたのに……っ」
「せっかのきれいな毛並みを俺が乱すのも悪いかなって思ってさ」
「英君にもう一度触っていただけるようになるために整えていたんです。英君に乱していただけるのなら、それ以上のことはありません」
鏡花の言葉は英を的確に煽ってくる。
「じゃあ……」
彼は、鏡花の言葉に甘えて尻尾を好きに触らせてもらうことにした。
これまでは毛の流れに逆らわないように根本から先の方へと片道で動かしていた手に復路を辿らせる。
「……んんっ」
獣毛鳥羽を逆立てさせる復路に鏡花は気持ちよさそうに声をもらす。
敏感な器官だというので、クリトリスに触れた時のように驚かせてしまうことを心配して一回目は恐る恐るだったが、どうやら程よい具合のようだと分かると動きも大胆になった。
「じゃ、尻尾もきれいにするからね」
「――っ」
鏡花が息を飲む音を聞きながら、英はテンポよくピストン運動を始めた。
根本と先の方とで触感の異なる尾は、一貫して入っている骨の芯のおかげで軽くしならせると心地よい手応えがある。
(こんな感じなんだな)
そして、棒状のものを扱って快楽を得る。という行為について、英は一日の長があった。
片手での手慣れた動きで扱く動作を続けながら、もう片方の手で鳥の羽に一枚ずつ触れて石鹸を塗りたくっていく。
「ふ……ぅ……! ん、あ……っ」
羽を一枚手に取るごとに鏡花の体が律儀に反応する。声にも余裕がなくなってきており、英が一通り羽を洗い終わる頃には切なそうに訴えてきた。
「す……英君! 私、触ってほしくて、触っていただけて、嬉しくて……! 感謝しています。でも、わ、たし、今発情して……っだから、おか、おかしくなってしまいそうで、尻尾はそろそろ……っ」
「嬉しいんなら尚のこと、よくいじっておくべきなんじゃないか? 訓練のためにさ」
「で、でも――ああ!」
英は両手で尻尾を掴んで、これまでよりも激しく扱き始めた。
その強さは自分がする時に最後に行うスパートを意識したもので、
「あ、あ……す、ぐるくん! わたしぃ、も……うっ!」
鏡花の声が尾を扱かれる勢いに弾かれるように弾み、尻臀が震えながら高く上がってくる。
英は手の動きを止めずに扱き続け、程なく鏡花が高く鳴いた。
「い、あ、あああっ!」
絶頂を迎える宣言のような声と共に、彼女の体に震えが走る。
それと同時に手の動きを止めて尻尾を握りしめている英の顔に、液体が飛んできた。
「ん! あ、あっ!」
腰の震えに合わせるようにピュ、ピュ、とそれは放たれ、彼女の力が抜けると同時に放出も収まった。
英は尻尾を離して片手でその付け根を撫でてやって、もう片方の手で顔に跳んだ液体に触れる。
色もなく、浴室に満ちる淫臭に比べたら匂いもほとんどない。サラっとしたそれは、
(あれ、これって……)
英が液体の正体を思案していると、湯船の縁におでこを着けた鏡花が沈んだ声を出した。
「また……やってしまいました……」
かなり落ち込んでいる様子の鏡花。顔にひっかけてしまっているということは伏せておいた方がいいだろうと急いで顔を拭いながら英は言う。
「いや、でもこれ、おしっこというよりも潮吹きなんじゃないかな。それでほら、潮吹きってエロいことしてると出るってイメージがあるじゃん。だからセーフだよセーフ」
「同じようなものではありませんか……罰が必要です……」
「そんなに早まらなくても……」
実際のところ英にはおしっこと潮吹きの違いはよく分かっていないので、うまいこと鏡花の気持ちを落ち着かせる理論が出てこない。
あんまり罰が必要であると言われると困ってしまう。
尚も罰が必要であると鏡花が自分に言い聞かせるように言うので、英は半ば冗談のつもりで言ってみた。
「まるで罰を欲しがってるみたいに聞こえるよ鏡花」
「……はい」
頷いて彼女は続ける。
「私は英君のお部屋に許可なく侵入して、その挙句英君の秘め事を見てしまいました。それだけに飽き足らず、何かと自分に言い訳をしては本能を優先して英君に襲い掛かり……マーキングまでしてしまいました。そして今も英君にご奉仕できないままはしたなく果ててしまって……罰が、私がしてしまった過ちに対する戒めが欲しいのです」
体を洗い始める前に自分を躾けて欲しいなどと被虐的なことを鏡花が口走った理由に英の理解が追いついた。
(とはいってもなあ……)
鏡花が抱く罪悪感に比べても割としゃれにならないようなことをしていた自覚が英にはある。逆に謝りたいくらいなのだ。その上、あんな夢のようなことになっただけではなく、今もこうして幸福な時間を過ごさせてもらっている。これで罰など与えようものなら、それこそ英に天罰が下るというものだろう。何より、英の良心が痛む。
かといって鏡花も簡単には引き下がってはくれそうもない。
(どうしようか……)
鏡花の尻尾をさわさわしながら考えた英は、そうだ、と口にする。
「試験をしようか」
「試験……ですか?」
首を傾げる鏡花に英は頷く。
「その試験で合格したら全部水に流して代わりにご褒美もあげる」
「ごほうび、ですか?」
鏡花は興味を示し、
「それで、不合格の際は?」
鏡花の疑問に英は幾つかの候補を頭の中に思い浮かべる。
この話に鏡花を乗せるためにはある程度彼女にとって苦痛なことを条件にしなければ納得してもらえないだろう。
「もし不合格なら……その時は諸々まとめた罰として、鏡花にはしばらく家事禁止にしてもらおうかな」
そう言った瞬間、鏡花の身体が緊張した。
「そ、そんな……」
「へへへ、左団扇生活を送らせてやるぜ」
「これは……気が抜けません」
鏡花は乗ってきた。よほど家事を取り上げられるのが嫌なのか、声に力がこもっている。
「それで英君、試験の内容は何でしょうか?」
「あ、うん、そうだな……」
鏡花の気迫に押され気味になりながら、英は試験の内容を答えた。
「鏡花の中に挿入れて射精してももらさなかったら合格っていうのはどうだろう?」
「え……?」
正直なところ、英の理性は鏡花の痴態と度重なる煽りによって既に限界だった。試験内容も違うことを言おうとしていたのに気付いたらこのザマだ。
「あの、それはいかがなものでしょうか……」
「う、うん。だよな……」
(やっちまったか……)
鏡花の困惑の声に、英は冷や汗を流す。
振り返った鏡花の視線は股間で限界を訴えているペニスに向けられている。何を言った所で説得力に欠けるというものだ。素直に言うしか道はない。
「うん。俺もうヤバいんだ。鏡花が欲しくてたまらない」
試験にかこつけて体を要求するなどまるで鬼畜の所業だ。鏡花の困惑の声も当然だろう。
(ああ……またやらかした……)
せめて普通に鏡花にエッチさせてくれと頼んでいた方がまだ自分を許せた。
「――とは言っても、うん、さすがにこれはないな」
そう言って話の流れを変えようとすると、鏡花から声が飛んできた。
「ま、待ってください! 英君が私の身体を求めてらっしゃるのでしたら私に否はありません!」
「いや、でもさっき……」
未だ英に握られている尻尾をピンと立てながら彼女は言う。
「先程のは、試験内容がそれだとお聞きしたからで……その、試験自体が私にとってのご褒美になってしまうではないですか。ですから、その試験で本当に良いのかと思ったのです」
そう言って鏡花は脚をもじもじさせて狙ってか無意識にか英を欲情させる。
「じゃあ、合意ってことでいのか?」
「は、はい! ふつつか者ですが、どうぞ」
(こちらこそよろしくお願いします!)
「うん」
興奮が行きつく先が決まったことで俄然やる気になって気が逸っているのか、声が乾いたものになる。
大事に握っていた尻尾から手を離して、英はこれまで触れられずにいた白いお尻へと手を伸ばした。
石鹸を塗って洗う。という建前を出す必要がなくなってはいたが、英の手は彼女の引き締まった丸みを撫でまわす動きを粛々と遂行する。
「ふ……ぁ」
触れられるたびに低い波を作る尻。それが大胆に振られた。
それは積極的に誘惑を行う仕草であり、
「あ、あの英君。試験はまだなのでしょうか?」
鏡花が英を進んで受けれ入れたくなっているということを示すものでもあった。
(あー、本当に暴発しそう……)
そう思いながら鏡花の尻臀を両手で挟んで上向きに引っ張ると、尻は従って上向いた。
挿入しやすい状態だ。
それが分かっているのかお互が息をひそめる。
すぐ近くにあるヴァギナから垂れる愛液が床と糸を繋ぎ、そんな彼女を見つつ英は貼り付く舌を動かした。
「じゃあ……」
自分の意思で初めて鏡花の身体に挿入しようと英はペニスを支え持った。
(挿入れたらすぐに出ちゃうんだろうな……いや、挿入れてる途中で暴発もあり得るかも)
こらえ性がない所を晒すようで恥ずかしいが、鏡花相手なら今更だろう。
そんなことを考えて目標とすべき鏡花の雌穴を狙おうとした英の目にこのような体勢のためなのか、これまで閉じられていた後ろの穴がヒクリ、と動くのが見えた。
伝った愛液で縁に刻まれた皺を潤ませたそこは、今や鏡花の脚の動きに合わせて小さく開いたり閉じたりを繰り返していた。
そこは尻尾のすぐ下にあり、位置としてはヴァギナよりも目に近い場所にある。
そのせいだろうか。英は目につく場所で震える穴をもっと見てみたくなった。
好奇心に突き動かされるように、手がペニスから離れて石鹸で滑りやすい尻臀を強く握りしめた。
「英君……?」
英は無言で尻臀を割り開いた。
お淑やかにヒクついていたアナルは、ぱっくりと開かれ、英をいざなうように内部を妖しくぬめらせた。
●
英を襲っていた時に淫らに乱れていた鏡花の心は英との触れ合いと彼に導かれての幾度かの絶頂で落ち着きを取り戻しつつあり、そんな彼女は英の行う試験の内容を聞いて、罰を受けることはなんとしても避けなければならないと意気込んでいた。
(家事ができなくなるなんて、従者失格です)
つまりこれは従者として 仕えていきたいのなら性欲処理を行いつつもしっかりと躾の出来ているところを見せてみろという英からの発破だろう。
奮起せよと、そう言ってくれているのだ。
そしてそれができた暁には数々の無礼は水に流してさえくれるという。
ならば、鏡花は見事この試験を乗り越えなければならない。
そうして、これまでよりいっそう。手厚い奉仕をもってこの罪を雪ぐのだ。
そう決意を固める間にも、鏡花の雌穴はいやらしく愛液をこぼしている。
英から念願の精をもらって、身体が完全に発情しきっている。
それがまた英の雄を迎えられるというのだからたまらない。
はしたないと思いながら鏡花が英の挿入を心待ちにしていると、尻に手があてがわれた。
「……あの?」
疑問の声に答えは返らず、尻がぐぃっと開かれる。
鏡花は尻を大きく開くという初めての経験に心許ない気分になりつつ、陰部全体をムズムズさせるような彼の視線を感じていた。
その食い入るような見方には悦びを感じずにはいられない。
英は女性の裸を生で見るという経験は初めてなのだろう。少なくとも、他の女性と関係をもったことがないことは匂いが証明している。そんな彼がこれまで体を洗いながらいろいろと確かめていた、その最後の到達点が鏡花の雌穴だ。この視線にはそれだけの彼の興奮と欲情が現れているのだ。
(好奇心を満たしていただけるまで急かしてはなりません)
今は品定めの時。急がせて彼の興を削ぐことはよろしくはないだろう。
(そう考えますと、先程催促してしまったのは失策でした……)
英が挿入れてくれるなどと言ってくれたせいで逸ってしまった。心が落ち着いてきたなどというのは相対的なものでしかないのだと自覚し、どうしても魔物の性が出てきてしまう己の未熟を恥じていると、ついに声がかかった。
「いくよ……」
「は――」
答えようとした鏡花は、いきなりの衝撃が肉体を貫くのを感じた。
熱くて太くて固い塊が体内に挿入された。
その感触は彼女がこの先忘れることなどあり得ないであろう英のペニスのそれだが、それが突き入れられたのは、
「あぁあっ! そこぉ、おし――!」
ペニスは鏡花のアナルに挿れられていた。
鏡花が事実と衝撃に声をあげると同時に、英も叫び声をあげていた。
「――ったぁああ?!」
「英君?!」
苦しそうな英の声に鏡花は慌てる。
挿入の衝撃が過ぎ去って感覚を取り戻したアナルにはペニスが引き絞られているのが感じられた。
絞られて押し出された尿道内の先走りが性器でもないのに直腸を悦ばせているが、それを搾る力はそれこそ捕食のそれで、
(いけません……っ)
それ用の場所でもないにもかかわらず、初めて挿れられた異物でありながら、ソレは身体が切望していたもの。そのような状況に大してアナルが力の加減ができていない。
鏡花は息を長く吐き出して体の力を抜いていく。
ペニスが直腸の中でのびのびとしてくるのを感じ、掲げていた尻を下げると、ペニスが肛門から抜けて尻の谷間を通って尻尾を打った。
「――――」
二人してほっと息を吐き出すと、鏡花は首を振り向かせた。
「も、申し訳ございませんっ! 英君大丈夫ですか?!」
言った彼女の鼻に先走りの糸を尻穴と繋げたペニスからの濃密な精の香りが押し寄せる。吐き出された空気を取り戻そうとする肺の動きに乗ってそれが体にを犯していく。鏡花が陶然と言葉を失っていると、その隙に英が謝ってきた。
「俺は大丈夫だったけど、ごめん鏡花。いきなりで痛かったよな? なんかそっちに誘われてるような気がしてつい……俺、どうかしてるわ」
反省しきりな英に、鏡花は意識を現実に戻した。
「いえ、私は驚きましたけど、新鮮で、その、悦んでいます」
だからこそ、彼を痛めつけて自分だけ気持ちよくなったことが許せない。
「本当に申し訳ございませんでした。どこをどのように使っても完璧な奉仕を行うべきキキーモラの身でありながらこのような……ですが、専用の用意はしておりませんが、綺麗にするようには心がけておりましたので、あの、おちんちんは汚れてはいないかと思います……」
「あ、うん。たしかに。中には何もなかったね。ぽっかり穴が開いてたから俺も挿れちゃったんだけど」
指摘されると顔がどうしようもなく熱くなる。
「は、はい……ですが、ですね。これからはその、そちらをお使いになる際には事前におっしゃっていただけますと、その、しっかりとした準備ができますので……や、それよりも英君、おちんちんにお怪我はありませんでしたか?」
「あ、それは大丈夫。ほら、出そうになっていたのが一度落ち着いて、鏡花には悪いけど余裕ができたかな」
そう言って英はペニスを振ってみせた。ついそれを目で追ってしまう鏡花は顔を戻して湯船におでこをつけた。
心底ほっとするとともに、罪悪感が湧く。
「英君、主の大事なおちんちんを傷付けてしまう所だった悪い従者に相応の罰をください」
そうでなければ、鏡花の中に渦巻くこの罪悪感の行き場がなかった。
英は悩むようにうなり、やがて頷いた。
「うん分かった。どうしてもっていうなら、そうしようか」
「はい、よろしくお願いします」
こうなってしまった以上、どのような罰を課せられようとも全て受ける覚悟でいると、英の手が尻を下から持ち上げた。彼は掲げ直された尻に言う。
「じゃあ、試験はこっちの方に挿れてってことにしようか」
「こ、こちらはそういう用途の器官ではありませんが」
「俺、口でやってもらった記憶があるんだけど」
「それは、その、私も正気を欠いていたと申しますか、でも、こちらは排泄器官で」
「でも、綺麗なんでしょ?」
「は、はい」
「で、気持ちよかったんだよね?」
「う……でもまたおちんちんを強く締めてしまったらと思うと……」
「そこはほら、俺は鏡花を信じてるから」
「うう、ずるいです……」
そこまで言って、英は「あ、でも」と舌鋒を緩めた。
「嫌ならいいんだ。俺だって鏡花をいじめたいわけじゃないしね。でも、それなら俺から鏡花に与えられる罰って奴はないかな。お尻の罰はお尻でって思ってたし。他を考える余裕も……ほら、まだ俺の限界で、鏡花が欲しくてたまらないままだから」
英は息をつき、
「鏡花の身体、いろいろと触らせてもらったし、せっかくなら初めてになるこっちを感じさせてもらおうと思ったんだけど、うん、なら仕方ない。今のはなかったことにしよう」
「待ってください……!」
殺し文句だ。そこまで言われては引き下がれるわけがない。
鏡花は尾を振った。
今度はヴァギナではなく、後ろの菊の花を綻ばせ、
「このような場所でよろしければ、どうぞお使いください」
英が困ったように笑った気配がした。
「使うんじゃなくて、一緒に楽しむことができたらって、俺は思うよ」
彼のその言葉は、昔の彼の発言のようにどこかいじわるに響いた。
直後、掴まれた尻臀の中に肉棒が突き込まれた。
菊座に亀頭の先が触れたと思った次の瞬間には中にソレは侵入していた。
「んんん……っ!」
肛門の中に異物が入ってくる。
「……っ、あ……入って……」
「――っ」
ぺた、と英の腰と鏡花の尻が触れ合う。
「ぅん――」
「……っ」
いきなりの挿入に異物感と驚きも感じていた鏡花だが、英のペニスを根本に至るまで飲み込むことができたことにえもいわれぬ悦びを得てもいた。
挿入した側の英も、今度は痛みを感じることはなかったようで、安心したような、気持ち良さをかみしめるような、満足度げな息を吐いていた。
ペニスの固さと熱さとに欲情を煽られながら、鏡花はアナルに力を入れたり抜いたりを繰り返した。
(ぁ、ふ……ん、あ、すぐる君……の、私の体に、嬉しい……っ)
鏡花の中に根本まで埋め込んだまま、英はなされるがままに気持ちよさそうな声をこぼしている。その反応に、鏡花は自信をもって菊の窄まりを動かした。
どれほど力を加えようとも、もはや鏡花のアナルは英を傷付けることはあり得ない。
そのように体が順応していた。
加減を考えなくとも英を愛することだけに集中できるようになった尻で鏡花は力を入れり抜いたりという動きを繰り返した。
肉棒がキュっと締められては肉襞が軽く包み込む程度にまで緩められる。
最初の一突きの記憶のせいか、締められた際に英の腰が緊張してペニスがピクンと直腸内で動き、緩められた際には緊張が抜けて、ほっとしたため息のように先走りの液がこぼれる。
(英君……やっぱり痛かったんですね)
申し訳ないことをした。何としても気持ちよくなってもらわなければと思いながらペニスを直腸でマッサージしている内に、直腸内の奉仕が単純な力の出し入れによる刺激だけではなくなっていった。
力を入れると直腸の襞がペニスに密着して絡んでいき、力を抜けば直腸が蠕動してペニスをもっと奥へ奥へと誘導しようとする。
吸い取られるように先走りが漏れて腸壁に沁み込んでいくのが分かった。
「――――っ」
熱くなっていく呼吸に耐えながら湯船の縁に額を擦り付け、鏡花は体に染み込む英の精を歓迎する。
英もこらえるような呻き声を上げており、その声音から彼もまた気持ちよくなってくれているのだと理解して嬉しくなる。
ヴァギナからだらだらと愛液が溢れるままに、鏡花はもっと、もっとと尻に力を入れては抜き、更に彼から賞賛を賜った尻尾で英の腹をさわさわと撫でた。
「……っふ、んっ」
英がくすぐったそうにする様子を楽しんでいた鏡花だったが、彼とていつまでもやられているばかりではなかった。
不意に尻を掴んでいた英の手が離れ、次の瞬間には尻臀を掌が打った。
「――きゃッ」
軽いはたきに対して痛みというよりも驚きでの悲鳴を上げ、その衝撃で尻穴が意思の外で反射的に締まる。
息を詰めた英が尻臀に指を沈めてくるにあたって、鏡花ははたきから尻を強くホールドされたのだと気付いた。
となれば、
「鏡花、動くよ」
英が切迫しつつある声で宣言した。
ペニスが腸壁と戯れるように落ち着かなく動き、先走りに含まれる精の量も増えている。
これが試験であるというならば、本格的に試しにくるということだろう。
英は「ぬ」と声を上げて下腹に力を込めた。
彼の部屋で上に乗った際に手を着かせてもらったたくましいそこが硬くなり、尻尾での刺激に対しての反応が薄くなる。それと同時に鏡花のアナルで愛撫されていたペニスが少し大きさを増した。
(――――ぁ)
猛々しい彼の熱に直腸を炙られて思わず力が抜ける。落ちそうになった尻が英に支えられ、脱力のために奥に引き込む動きを行う腸壁に逆らってペニスが引き抜かれた。
腸壁が逆撫でられ、大きなペニスの後退に巻き込まれて菊の花がめくられ綻んでいく。
出ていく、という動きがアナルの本来の在り方であるためか、内臓を引き抜かれるような感覚でありながら、鏡花が感じているのは力が抜けてほっとするような快感だった。
「ぁぁああ"……ッ」
初めて感じる種類の背徳的な快感に悦びの声が抑えられない。
それは英も同じようで、ペニスを半ば以上引き抜きながら、襞と肉棒が擦れる感触に呻き声を上げている。
彼は引き抜くのを止め、今度はがっしり掴んだ尻に腰を押し付けた。
パン、と音がして根本までが鏡花のアナルに埋没し、そこで動きが止まり、深い呼吸を一つ置いて、引き抜きが始まる。
熱い塊が出て行く快感にうっとりしながらも鏡花はソレが完全に体内から失われてしまうことは防ごうと、亀頭を逃さないように菊門を締める。
締まった菊門ごとめくれていくアナルだが、鏡花はペニスを逃がすことなく、そして英もカリがひっかかる感触を楽しむ以上の強引な引き抜きは行わず、再び腰と尻が打ち合わされた。
そんな動きを何度か繰り返す内に、英の先走りによって直腸内は滑りがよくなっていった。
(もう少し激しくしても大丈夫です)
そう思いながら英の動きを受けていた鏡花だが、英の動きはいつまで経っても一定のままだった。
遠慮しているのだろう。
鏡花は腰が打ち付けられ、根本までペニスが挿入されてきたタイミングで腰を捻るようにして尻を振った。
「――ひんぁっ!」
腸壁が亀頭に擦られるひどく倒錯的な快感が脳を焼く。
それは英も同じようで、彼もまたその感触を味わうように腰を擦り付けてきた。
「――ああっ、ね、もうだいじょ、ぶですからここも英くんのもの、ですっから――ァ!」
鏡花は快感に悶えながら告げた。
「もっと、乱暴にしてくださ……ぃ」
そんな卑猥なお願いを受けて、英が腰の動きを止めた。
「入り口が締まって、中がねっとりで、口みたいなんだけど、でもお尻の方は乾いてたから、あんまり力任せにしちゃまずいかなって……いいの?」
英は人間だ。魔物娘程性器の感覚が鋭くはないために気付かないのだろう、鏡花の後ろの穴はもう既に初めの時とは別の物へと進化している。
菊門を締めると、鏡花は自分で尻を引いてペニスを絞った。
絞り出された先走りが直腸を濡らして、亀頭ギリギリまで抜くと、鏡花のアナルとペニスによってできた僅かな隙間からブジュ、と粘液が漏れた。
「口の中とまではまいりませんが、私のお尻はもう、英君のおかげで十分潤っています。安心して動いてください」
「……そんなに言うんなら」
その言葉と共に英の亀頭がまた少し膨らんだ気がする。彼は先走りをよくなすり付けるように腰を回しながらペニスを挿れると、今度は快感を貪るような勢いのある動きで抽送を再開した。
ペニスが引き抜かれて腰が、今度は押し付けられるのではなく、正しく叩きつけられる。
遠慮が減った動きに鏡花は嬉しくなり、もっと気持ちよくなって欲しいという思いと共に、彼の動きに合わせるように腸壁や菊門を動かした。
ピストン運動のペースはペニスが一往復するごとに徐々に上がっていく。そうなれば当然、その分叩きつけられる腰の勢いも強くなって腰と尻臀が打ち合わされる音は狭い浴室に反響して佳い音を奏でた。
その音が両者の興奮を高め、より激しい動きを誘引する。
激しい動きの中で勢い余ってペニスが抜けてしまわないように肛門がめくれてでも鏡花はペニスに食いつき、英は鏡花の体内に安息の地があると知っているかのように彼女の体を掘り続ける。
「んぁっ、っひ、ああ"あ"!」
「――、っ、く、っ」
鏡花の嬌声と英の息遣いが浴室を埋め尽くしていく。
鏡花は獣の交尾のように後ろから犯されながらアナルを英専用のものにされていくという状況に、従属させられ躾けられている自分を感じてたまらなく興奮していた。
英の先端が奥でぐりぐりと抉ってくるたびに、理性が失われた獣のようなはしたない叫びが漏れてしまう。
「きょ、か。大丈夫か? 声、おかし」
「あ"う"ッ! ら、らいじょうぶ! わらひィ! ――だいじょ、っぶ!」
自分の今の感覚が言葉にならないのがもどかしい。
英を刻み込まれているのだ。これで満足しないわけがないではないか。
正気を溶かされていく鏡花の声を聞いて本当に心配になったのか、英が不意に動きを緩めて様子を窺うように中で小刻みにペニスを動かした。
鏡花はそれに対して尻を振ってもっととねだるように尻尾を彼になすりつけた。
頷くように大きな動きを行い始める英に感謝するように、鏡花のアナルは腸液を分泌しだした。
精と魔力が混ざり合い、二人の動きがより激しくなる。
これも魔物の性か、鏡花のアナルは今や性器として完全に覚醒しつつあった。
腸壁から分泌される腸液がその証だし、彼女の感覚としても、これまではどちらかといえば引き抜かれる際に感じれる感覚を快いと思っていたのが、いつの間にか突き込まれて体の中を英で満たされるのがたまらなく気持ちよくなっていた。
出すためのはずの穴が受け容れて愛することを躾けられている。
魔物の本能もキキーモラとしての在り方も雌としての自分も、その全てが歓喜していた。
激しい腰と尻のぶつかり合いは、痛みを感じさせることはなかったが、鏡花の尻肉は英の鍛えられた肉体とぶつかって赤くなっていることだろう。石鹸を塗りたくてもらっているので英には紅潮したお尻が見えないのは幸いだ。
鏡花がそう思っていると、英がふっと笑みをこぼした。
「――っな、なに、か?」
鏡花の問いに、英はいや、と呟き
「この音、さ。お漏らしへのお仕置きっていう、か……っ! これだと、お尻ペンペンならぬぉ……っお尻パンパンだなって思っ――てっ」
先走りをとぷとぷ溢れさせながら言われた言葉に、鏡花は思わず笑み崩れた。
「あ、おかしかった?」
「いえ、センスがおじさま譲りで……っ親子だなって……思って」
鏡花の言葉に、英のペニスが少々小さくなった。
「え……あ、あれ?」
いきなりの異変に、思わずお尻全体でペニスをきゅ、きゅ、と絞りながら首を振り向かせると、英は妙に複雑な表情をしていた。
その真意はキキーモラとして欠陥のある鏡花にはうかがい知ることがかなわず、
「あの……?」
「親父と同じセンスかああああぁ……」
そう嘆きながら彼はぐりぐりとS字結腸を抉った。
「んぎ! あぁ、あ、あ!」
なかなかしつこい抉り込みに鏡花が呻いていると、腰を引いて英が言う。
「こういう時に親父とか引き合いに出してくるのはよくないな。うん――俺はもっとセンスあるはず――だ!」
鏡花が「ごめんなさ……」と言いかけた時には英のペニスが鏡花の奥深くに突き刺さっていた。
尻臀を掴む掌がペチンと尻をはたき、鏡花のアナルが収縮する。その中で、彼のペニスは大きさを取り戻し、
「お尻も、本当に慣れたみたいだし、そろそろ、最後、いいかな」
「は、はぃ。試験、最後までっ、よろしくお願いします……っ」
言った直後、英が最高潮まで駆け上がる勢いで腰を叩きつけた。
「あ"――」
鏡花の理性が溶け、獣の嬌声が上がった。
尻からは二人の粘液が混ざり合った卑猥な音が聞こえており、絡みつく腸壁に包まれたペニスが震え始める。英の呼吸が早い。最後の時は近く、
一際大きな音を立てて最後の一突きが挿し込まれた。
ぎゅうぎゅうに締め付ける直腸を抉って根本までを鏡花に埋没させた英の先端が一瞬膨張して、尿道を駆け上がって来た精が直腸の奥へ奥へと噴射してきた。
「くぅううン――あ"、お"っっ!!」
S字結腸からその勢いで子宮までを揺るがすような射精に、鏡花は正気を失った。
●
鏡花が気付いた時、射精は最後の震えと共に終わった所だった。
直腸内は精液に満たされ、その量に鏡花は英がインキュバスになりかかっていることを知覚する。
この数時間で一気にこの変化だ。それを行っているのが自分であるという事実に誇らしさを覚えずにはいられない。
と、絶頂の痙攣をこちらも終えた鏡花の膝が力を失ってへたり込んだ。
「……ぁれ?」
最大限に掲げて英の腰に押し付けていた鏡花の尻が下がり、それに追従するように英の腰も下りてきた。
彼の手は尻臀から外れており、代わりに両手が肩を抱いた。
背にのしかかるように英が全身で覆いかぶさって、深い挿入のままで二人は崩れ落ちる。
やがて、腸壁にくすぐられていたペニスが名残おしそうに抜かれ、その快感にお尻と同じタイミングで果てたヴァギナからピュっと最後の潮が放たれた。
英は未だ荒い息のままで労うように鏡花の肩を撫で、
「おもらししなかったね。えらいえらい」
半ば意識を飛ばしていたせいで、その言葉を聞くまで自分がお漏らしをしていないのかどうか鏡花には分かっていなかった。それほどまでに鏡花の足元は体液で濡れていた。
「すぐる、くん。私、英君のものになれましたか?」
「……何かご褒美あげないとね」
まだどこか夢心地な気持ちで呟くと、英が頭を撫でてくれる。
石鹸が髪につき、彼の口から「あ」と声が零れた
「っと、ごめん。ってか、体も、下の方とか結構汚しちゃって」
そう言った英の視線が鏡花のお尻に注がれた。
そこは英の精液を一滴たりとも漏らすものかという鋼の意志でぴっちりと閉じられている。
キュ、と締まったそこを感心したように見た英は菊の窄まりを指でつつき、
「や、すぐる君」
鏡花が尻尾でその手をやんわり押しのけるにあたってこほん、と咳払いした。
「あー、いろいろ、なんというか、部屋でもこっちでもお互いハメを外していたというか、暴走してたけど、なんだ。俺は出し切ったっていうか、なんか落ち着いた。
で、まあなんというか、俺は鏡花を躾けたりとかっていうか、なんだろう。自分のもの扱いしたくはないんだ。俺はそういう器の人間じゃないし、そういう立場の人間でもないから」
憑き物が落ちたような口調で言う英に、鏡花は咄嗟に反論しようとして、それより早く英が次の言葉を継いだ。
「俺は鏡花の旦那になりたい。で、まあ、鏡花には妻になってほしいわけなんだけど」
「いや、まあお尻をいじりまっくたすぐ後に言うことじゃないけど……」と情けなさそうに言う彼に鏡花は首を振る。
「英君は私に新しい愛し合い方を教えてくださったんです。それは素晴らしいことですし、その後に続くお話しが英君と、私のしょ、将来のことになるのでしたらそれはふさわしい流れというものです」
「そんな全力で肯定されるのもなんかむず痒いな」
困ったように笑う英に、ですが、と鏡花は続ける。
「私はまだ、英君にお話ししていないことが――」
と、そこでぐー、と魔の抜けた音が鳴った。
英の腹の音だ。
「……」
「え、えっと……」
鏡花はこの空気の中で話の続きをしていいのか分からず、まだ体内に残る英の熱の余韻に身を震わせる。
それを冷えのためと勘違いしたのか、英が立ち上がりながら言った。
「あー、うん。よく動いて腹も減ったし、俺は先に風呂上がろうかな」
そう言って彼は手に残った石鹸を使ってペニスを洗い始める。
「あ……」
「や、鏡花にやってもらうと泥沼になりそうだから、自分で洗うよ」
(英君となら泥沼に浸かりたいのに……)
鏡花の妄言を知ってか知らずか、英は手早く洗い終えると、浴室の出入り口の扉を開けた。
立ちこめて淫臭が新鮮な空気で洗い流されてしまって英分の足りなさを感じる。
(もう普通の濃度の空気では生きていけないかもしれません……)
そんなことを半分夢に浸った頭で考えていると、「鏡花は体を洗い直してゆっくり温まってきて」と言って英が出ていってしまった。
「あ、あの。お話しの続きはこの後で」
「うん。俺も話したいことがいっぱいあるしね。ゆっくり話そう」
そう言う英の声は柔らかく、落ち着いたもので、ここ数日の不調の陰が完全に取り払われたものだった。
そのことにほっとしながら、鏡花は自分の身体を抱きしめた。
「せっかくの英君の匂いいっぱいなのに……」
洗うのがもったいないが、また英に抱いてもらうため、ここは我慢のしどころだ。
鏡花はゆっくりと体を洗い始めた。
17/04/19 14:48更新 / コン
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