挿話 パニッシュメントタイム
一歩踏み出すごとに、ドレスに巻き付けてある鎖が音を立てた。リリムの親衛隊長らしい異様な格好を、と思って作った衣装だけど、最近ではサーカスで妖しげな女性を演じる方に役立っている気がする。まあ私としてはどちらの任務もそれなりに気に入っているけど。
さて、私は黒いハンドバッグ一つ手に、部下が作った小さなテントに向かっていた。先ほど立てたばかりの、サーカス興行用のド派手なテントとは対照的なみすぼらしい代物。それでも結界が張られた即席の監獄……この場合は営巣っていうのかな。何かしでかした部下を閉じ込めてお仕置きするには十分なものだ。
「隊長殿が『おもちゃ箱』を持ってきたニャ。今日は酔っぱらいドラゴンの血の雨ニャ?」
「汁の雨だと思うニャ」
すれ違い様に部下の担架兵たちがそうつぶやき、聞いた私もつい吹き出してしまう。けど少し前にあった出来事は本当のところ、かなり笑えないことだった。間違って酒を飲み暴走した部下が、レミィナ姫の見つけてきた新入りを殺しかけたのだから。寛大な姫も今回は怒ったし、ここは私が隊長としてみっちり調教してやらなきゃいけない。
……私としては新入りに対する、姫のあの態度もちょっと気になるけどね。姫は職人好きかと思っていたけど、これはひょっとすると……。
と、それよりもまずはやることを済ませないと。
見張りのクノイチと軽く挨拶をかわし、営巣テントへ足を踏み入れた。
「うっ……」
テントのど真ん中で膝を着くドラゴンが私を見上げる。すでに裸に剥かれ、無駄にボリュームのある胸が丸見えになっていた。両手と翼は背中で縛られているが、どの道まだレミィナ姫の麻痺魔法が残っており、体をまともに動かせないはずだ。多分並の魔物ならショック死する出力で撃ったんだろう、あれは。
「またやってくれたね、テスナ」
「す、すみません隊長、そ、その……」
私の持つ鞄に怯え、彼女の体は小刻みに震えていた。まったく、さっきまで暴れ回っていた巨竜と同じ奴とは思えない。戦いのときは先陣切って敵をなぎ倒すっていうのに、今は叱られた犬同然だ。
「飲み物は酒じゃないか確かめてから飲めって言ってるのに」
「も、申し訳有りません。喉が渇いていたから、ニオイも分からないまま、一気に……」
テスナはしゅんとうなだれる。仕方のない奴。
「あんたさァ、人間だった頃は教団のエリート勇者だったじゃん。それが何で人間辞めて、不良王女の手下の手下になったか覚えてる?」
「あぅ……」
「酒に酔って味方の騎士団を壊滅させて、聖堂の机ぶっ壊して司祭殴り飛ばして、終いにゃ女神像に小便かけて……」
「い、言わないでください〜」
魔物になったところで、黒歴史をえぐられるのは気分のいい物じゃないだろう。こいつは酒癖さえなければ、魔王は無理でも当時のレミィナ姫くらいは倒せたかもしれない実力だったのに。させないけどね。
さて、説教はこのくらいにしてさっさとお仕置きを済ませよう。興行の準備があるし、いろいろ忙しいし。
「まあ実際のところ、私にも責任はあるんだよね」
目の前に鞄を置いてやると、テスナの顔がさっと青ざめた。私がこういうときに使うお仕置きキット、通称『エカリシスカのおもちゃ箱』。テスナは親衛隊で一番こいつの恐ろしさを知っている。
「今まであんたが酔っ払って暴れてもその都度お仕置きするだけでさ、根本的な解決にはなってなかった」
「え……?」
「そこでちょっと前に、あんたの酒乱を抑える品を注文してたんだ」
話しながら鞄を開け、中に入っている小袋を勿体ぶるように取り出してみせた。『ルージュ・シティ サバト局』と書かれた羊皮紙の札が縫い付けられている。
「特注して開発してもらった、新型の触手植物さ」
「触手!?」
目を見開くテスナの前で、袋の中身を掌に取り出す。紫色のぷよぷよした触手の種は、ちょうど桃のそれくらいのサイズだ。恐怖と、そしてもしかしたら期待が混じっているかもしれない眼差しで、テスナは種子をじっと見つめている。
「これを体に入れれば、テスナはもう酒乱でみんなに迷惑をかけなくて済むってわけだ」
「か、体に入れるって……どこから……?」
「ここに決まってるじゃん」
彼女の足を掴み、ぐいっと股を開かせた。哀れなドラゴンは悲鳴を上げたものの、麻痺した体では私の腕を押しのけることは不可能だ。
「はい、お股くぱぁして」
「い、嫌ぁ……!」
股間の奇麗な割れ目を指で広げてやると、ついに彼女は半べそをかいてしまった。目尻に涙をためて怯えるドラゴンなんてなかなか見られる物じゃない。元人間だからというのもあるけど、やっぱり好きな人以外に見られるのは恥ずかしいんだろう。私は好きな人相手ほど恥ずかしいけど。
毎晩旦那相手に使っているはずのアソコは奇麗なピンク色で、すでに蜜が足れてきていた。もしかしたら今までのお仕置きを思い出してしまったのかも。確か最初はクノイチたちと交代で二時間性感帯くすぐりの刑で勘弁してあげた。二回目のときは旦那さんが酒を飲ませたので、連帯責任として旦那さんにも分身薬を過剰投与し、集団レイプ五時間の刑にかけてやった。それでもまたやらかしたので、そのときの被害の大きさを加味して股間に媚薬を塗りつけ貞操帯をつけさせた上で、旦那さん十時間没収の刑。そんなこんなでいい加減にお仕置きのネタも尽きてきた。
「まずは『苗床』の状態を整えないとね」
「ひゃん!」
割れ目の突起を少しつついてやると、彼女の体がぴくりと痙攣した。度重なるお仕置きの後遺症で、彼女の蜜壷はかなり敏感になっている。今の刺激だけで粘液が滴りはじめ、ふとももと地面を濡らしていく。
「このエロドラ。もしかしてお仕置きしてほしくて悪いことしてるわけ?」
「ち、違……ひゃあ!」
ぬめってきた割れ目の中に指を一本入れてみる。きゅっと強く締まるそこはとても温かく、ひっきりなしに蜜を溢れさせていた。
「たったこれだけで、もうこんなにトロトロ。うりゃ」
「あ、あっ、だめ、二本も……ふああああ♥」
中指も挿入し、ぎちぎちと締め付けてくる膣内で、二本の指を交互に抜き差ししてやった。刺激が複雑になり、エロドラはいやらしく身をくねらせる。麻痺していても反射神経は機能するものだ。
そのまましばらく続けてやると、彼女の蜜壷はすっかり緊張がほぐれ、足下が愛液でびしょびしょになっていた。柔らかい桃を踏みつぶしたみたいに。
「さあて、これだけイイ汁が出れば十分かな」
快楽と恐怖に震える表情を眺めつつ、私は蜜壷の入り口に触手の種子をあてがった。指で少し奥まで挿入してやると、種がぴくぴくと震えた。
「おっ、喜んでるみたいだよ」
「やっ、らめ……」
この種子は愛液を吸って発芽し、一番奥に根を張る寄生型の触手だ。あとはこれをテスナの奥の方まで押し込んであげる必要がある。
私がバッグの中をまさぐって取り出したのは黒いパンツ、ただし立派な男根を模した棒がついている。男のいない魔物たちが互いに慰め合うのに使われているらしいけど、こういうお仕置きにも効果的だ。
……ちなみに私はこれでもちゃんと相手がいるから、自分に挿れたたことはない。
ドレスの裾をまくり、今まで履いていたショーツを脱いでそれを着用する。自分の股から疑似チンポが生えているっていうのはシュールで面白い。続いて鞄から瓶を取り出し、ふたを取って男根の先端をそこへ入れた。中に入っているのはレスカティエ産のアルラウネの蜜だ。濃い黄金色で若干赤みがかった、媚薬効果の高い一品。特に意味はないけどこれを張り型に塗っておく。
「んっ!? やぁっ♥ な、なに……!?」
突然テスナがよがり始めた。見ると割れ目の中から、細い触手が顔を出している。ドラゴンの高濃度の魔力を吸収したためか、芽吹きがはやい。生まれたての触手たちは根付く場所を探して、汁のしたたるピンク色の肉をかき回していた。
「よしよし、ちゃんと植え付けてあげるからね」
「い、まって、待ってくださいぃ♥ 今そんなので押し込まれたら……」
「はいはい、悪い子は黙って犯される!」
まずは蜜のたっぷりついた先端を入り口に押し込む。発芽したばかりの触手を傷めないよう、ゆっくりと……。
「やああああん♥ しょく、しょくしゅ、触手がぁ、しょくちゅが奥にぃ♥」
麻痺しながらも暴れだしそうになる彼女を抱きしめ、乳首を舐めてあげる。コリッとした感触を味わいながら、ついつい自分の胸に手をやってしまう。掌に丁度納まるくらいの膨らみ。巨乳と呼ぶにはあまりに貧相、でも「ステータスだ! 希少価値だ!」と開き直れるほどぺたんこでもない、中途半端なサイズ。
同じ手でテスナの胸をぎゅっと掴んだ。柔らかな肉が指の隙間からはみ出し、あふれそうになる。まさしく母性の象徴。食べきれないごちそうと同じように、いくら揉んでも揉みきれないようなボリュームが……。
ああ、何かイライラしてきた。
「……いいもんね、私にだって揉んでくれる人がいるし!」
「ふひゃあああ♥」
ずっぽりと張り型を挿入し、触手の塊を最深部まで送り込んであげた。今の彼女の状態をおさらいすると、おなかの奥の方を細かい触手でひっきりなしにくすぐられ、しかもアルラウネの蜜を塗った太いヤツが穴を塞いでいる……想像しただけで私の股まで熱くなってきそう。これが終わったら副隊長に……遊んでほしいな……。
「今にもっと……大きくしてもらうんだから!」
「あひっ、やぁっ、もう……ああああああん♥」
私の下で、テスナの体がびくびくと痙攣した。吹き出した潮が私にもかかってしまう。だがそれでも触手は責めの手を止めない。
「あんっ……だめっ……もう、もうイっちゃったのにぃ♥」
「まだだよ。今から触手があんたのおなかに根を張るんだから」
「や……いやぁ、もう、ゆる、し……くぁぁぁぁ♥」
よだれと涙を垂れ流しつつ、テスナは快楽にもだえ続けている。どうやら触手は彼女の一番感じるところを探し当てたらしい。テスナはまるで魚が跳ねるように、のしかかっている私ごと暴れ始めた。
「ちょっ、危ないじゃない!」
「らめぇ、きもち、いい……♥ イイよぉぉー!」
麻痺していても、堪え難い快感がここまで体を支配してしまっているのだ。手足を拘束している鎖が千切れそうなほどに転げ回る彼女を、これ以上正上位で犯すのは危険だ。
疑似チンポの付け根を握り、パンツから切り離す。使用者が自分で使うときのため、着脱可能になっているタイプだ。このまま放っておいてもいいんだけど、念のため張り型が抜けないようにしておかないと。
「確かこの辺に……あった」
私がおもちゃ箱から取り出したのは三枚の湿布。アルラウネの蜜に浸した布で、貼ると皮膚がジンジンしてくる代物だ。しかも快楽のルーンが描かれており、性感を何倍にも増幅させる効果はもはや凶器と言ってもいい。
まず一枚を張り型を詰め込んだ股間び貼って密閉する。暴れるドラゴンを抑えながら正確に貼るのは一苦労だ。
「ほら、じっとして!」
「ふあああああ!」
残る二枚はけしからん乳に貼ってやる。ぺちんと叩き付けるように貼ってやると、痛いからか気持ちいいからか、テスナの体が一際大きく痙攣した。巨乳がぷるんと震え、また少しイライラする。
「はふっ、ひゃ、ああ、あぅ♥」
もう満足に言葉も発せられない彼女に、私はさらに追い打ちをかけた。鞄から取り出した手袋二つを、その胸へ放り投げたのだ。
「ひああああああ!? あんっ、あんっ、ふゃあああああん♥」
自動性感帯くすぐり手袋。そう言えば何がどうなったか説明がつくだろう。魔力のこめられた手袋はムカツク巨乳を湿布の上から巧みにくすぐり、つつき、揉みしだく。湿布に描かれている快楽ルーンの効果で、まるで胸が第二の性器になったように感じているかもしれない。いくらのたうち、転げ回っても絶対に離れない。触手が完全に根付くまでこのまま喘ぎ続けるのが今回のお仕置きだ。
一度根付いてしまえば触手は大人しくなり、ある条件を満たさなければ活動することはない。その条件とはつまり、宿主がアルコールを摂取すること。つまりテスナが酒を口にした瞬間、触手が彼女の胎内で暴れはじめる。しかも触手は宿主の魔力を吸うから、彼女はそれに犯されれば犯されるだけ旦那の精が欲しくなる。そうなればいくら酔って理性を失っていても、巨竜化して暴れてる場合じゃない。つまり、被害は彼女の旦那が犯されるだけで済むわけだ。
「お仕置き完了、っと」
エロドラの汁でべちゃべちゃになった下半身をタオルでふき、パンツを履き替える。けたたましくもだえ続けるテスナに背を向け、私は営巣テントから足を踏み出した。テント素材には防音の魔力が込められているから、しっかり閉めておけば音は漏れない。見張り役のクノイチは尊敬の眼差しで私を見つめていた。照れるなあ、もう。
ふと、低くうなるような音が聞こえた。音の在処は……空だ。
「……!」
私は目を見開いた。ひらりひらりと空を舞う、人工の鳥。新入りが操る空飛ぶ馬車、たしかシュトルヒとか言っていた。
速く飛んでいるわけではない。むしろゆっくりと優雅な動きをしていた。くるくると回ったかと思うとふわりと上昇、そこから木の葉のようにひらひらと落ちてくる。高さが変わるたびにうなり声も変わり、その飛び方はまるで生きているかのようだった。
あの妙ちくりんな人工物が、あんなに奇麗に……
「……そっか」
いつだったか、レミィナ姫は自慢の逆巻き時計についてこう言っていた。職人は魔法なんか使わなくても、無機物に命を吹き込める。この時計には血が通っている、と。
あのフィッケルという新入りも、同じ力を持った人間だったのだ。
なんか納得できた気がする。レミィナ姫が彼を気に入った理由が。
でも問題はあの男、かなり鈍感そうというか堅物というか、レミィナ姫をどう認識しているか心配なところがある。まあそこは少し、私たちがちょっかいを出してやろう。
空で舞踏を続ける機械鳥の下で、レミィナ姫や部下たちがそれを見上げていた。副隊長の姿もある。
私はお仕置きキットをクノイチに預け、彼らの元へ加わることにした。
さて、私は黒いハンドバッグ一つ手に、部下が作った小さなテントに向かっていた。先ほど立てたばかりの、サーカス興行用のド派手なテントとは対照的なみすぼらしい代物。それでも結界が張られた即席の監獄……この場合は営巣っていうのかな。何かしでかした部下を閉じ込めてお仕置きするには十分なものだ。
「隊長殿が『おもちゃ箱』を持ってきたニャ。今日は酔っぱらいドラゴンの血の雨ニャ?」
「汁の雨だと思うニャ」
すれ違い様に部下の担架兵たちがそうつぶやき、聞いた私もつい吹き出してしまう。けど少し前にあった出来事は本当のところ、かなり笑えないことだった。間違って酒を飲み暴走した部下が、レミィナ姫の見つけてきた新入りを殺しかけたのだから。寛大な姫も今回は怒ったし、ここは私が隊長としてみっちり調教してやらなきゃいけない。
……私としては新入りに対する、姫のあの態度もちょっと気になるけどね。姫は職人好きかと思っていたけど、これはひょっとすると……。
と、それよりもまずはやることを済ませないと。
見張りのクノイチと軽く挨拶をかわし、営巣テントへ足を踏み入れた。
「うっ……」
テントのど真ん中で膝を着くドラゴンが私を見上げる。すでに裸に剥かれ、無駄にボリュームのある胸が丸見えになっていた。両手と翼は背中で縛られているが、どの道まだレミィナ姫の麻痺魔法が残っており、体をまともに動かせないはずだ。多分並の魔物ならショック死する出力で撃ったんだろう、あれは。
「またやってくれたね、テスナ」
「す、すみません隊長、そ、その……」
私の持つ鞄に怯え、彼女の体は小刻みに震えていた。まったく、さっきまで暴れ回っていた巨竜と同じ奴とは思えない。戦いのときは先陣切って敵をなぎ倒すっていうのに、今は叱られた犬同然だ。
「飲み物は酒じゃないか確かめてから飲めって言ってるのに」
「も、申し訳有りません。喉が渇いていたから、ニオイも分からないまま、一気に……」
テスナはしゅんとうなだれる。仕方のない奴。
「あんたさァ、人間だった頃は教団のエリート勇者だったじゃん。それが何で人間辞めて、不良王女の手下の手下になったか覚えてる?」
「あぅ……」
「酒に酔って味方の騎士団を壊滅させて、聖堂の机ぶっ壊して司祭殴り飛ばして、終いにゃ女神像に小便かけて……」
「い、言わないでください〜」
魔物になったところで、黒歴史をえぐられるのは気分のいい物じゃないだろう。こいつは酒癖さえなければ、魔王は無理でも当時のレミィナ姫くらいは倒せたかもしれない実力だったのに。させないけどね。
さて、説教はこのくらいにしてさっさとお仕置きを済ませよう。興行の準備があるし、いろいろ忙しいし。
「まあ実際のところ、私にも責任はあるんだよね」
目の前に鞄を置いてやると、テスナの顔がさっと青ざめた。私がこういうときに使うお仕置きキット、通称『エカリシスカのおもちゃ箱』。テスナは親衛隊で一番こいつの恐ろしさを知っている。
「今まであんたが酔っ払って暴れてもその都度お仕置きするだけでさ、根本的な解決にはなってなかった」
「え……?」
「そこでちょっと前に、あんたの酒乱を抑える品を注文してたんだ」
話しながら鞄を開け、中に入っている小袋を勿体ぶるように取り出してみせた。『ルージュ・シティ サバト局』と書かれた羊皮紙の札が縫い付けられている。
「特注して開発してもらった、新型の触手植物さ」
「触手!?」
目を見開くテスナの前で、袋の中身を掌に取り出す。紫色のぷよぷよした触手の種は、ちょうど桃のそれくらいのサイズだ。恐怖と、そしてもしかしたら期待が混じっているかもしれない眼差しで、テスナは種子をじっと見つめている。
「これを体に入れれば、テスナはもう酒乱でみんなに迷惑をかけなくて済むってわけだ」
「か、体に入れるって……どこから……?」
「ここに決まってるじゃん」
彼女の足を掴み、ぐいっと股を開かせた。哀れなドラゴンは悲鳴を上げたものの、麻痺した体では私の腕を押しのけることは不可能だ。
「はい、お股くぱぁして」
「い、嫌ぁ……!」
股間の奇麗な割れ目を指で広げてやると、ついに彼女は半べそをかいてしまった。目尻に涙をためて怯えるドラゴンなんてなかなか見られる物じゃない。元人間だからというのもあるけど、やっぱり好きな人以外に見られるのは恥ずかしいんだろう。私は好きな人相手ほど恥ずかしいけど。
毎晩旦那相手に使っているはずのアソコは奇麗なピンク色で、すでに蜜が足れてきていた。もしかしたら今までのお仕置きを思い出してしまったのかも。確か最初はクノイチたちと交代で二時間性感帯くすぐりの刑で勘弁してあげた。二回目のときは旦那さんが酒を飲ませたので、連帯責任として旦那さんにも分身薬を過剰投与し、集団レイプ五時間の刑にかけてやった。それでもまたやらかしたので、そのときの被害の大きさを加味して股間に媚薬を塗りつけ貞操帯をつけさせた上で、旦那さん十時間没収の刑。そんなこんなでいい加減にお仕置きのネタも尽きてきた。
「まずは『苗床』の状態を整えないとね」
「ひゃん!」
割れ目の突起を少しつついてやると、彼女の体がぴくりと痙攣した。度重なるお仕置きの後遺症で、彼女の蜜壷はかなり敏感になっている。今の刺激だけで粘液が滴りはじめ、ふとももと地面を濡らしていく。
「このエロドラ。もしかしてお仕置きしてほしくて悪いことしてるわけ?」
「ち、違……ひゃあ!」
ぬめってきた割れ目の中に指を一本入れてみる。きゅっと強く締まるそこはとても温かく、ひっきりなしに蜜を溢れさせていた。
「たったこれだけで、もうこんなにトロトロ。うりゃ」
「あ、あっ、だめ、二本も……ふああああ♥」
中指も挿入し、ぎちぎちと締め付けてくる膣内で、二本の指を交互に抜き差ししてやった。刺激が複雑になり、エロドラはいやらしく身をくねらせる。麻痺していても反射神経は機能するものだ。
そのまましばらく続けてやると、彼女の蜜壷はすっかり緊張がほぐれ、足下が愛液でびしょびしょになっていた。柔らかい桃を踏みつぶしたみたいに。
「さあて、これだけイイ汁が出れば十分かな」
快楽と恐怖に震える表情を眺めつつ、私は蜜壷の入り口に触手の種子をあてがった。指で少し奥まで挿入してやると、種がぴくぴくと震えた。
「おっ、喜んでるみたいだよ」
「やっ、らめ……」
この種子は愛液を吸って発芽し、一番奥に根を張る寄生型の触手だ。あとはこれをテスナの奥の方まで押し込んであげる必要がある。
私がバッグの中をまさぐって取り出したのは黒いパンツ、ただし立派な男根を模した棒がついている。男のいない魔物たちが互いに慰め合うのに使われているらしいけど、こういうお仕置きにも効果的だ。
……ちなみに私はこれでもちゃんと相手がいるから、自分に挿れたたことはない。
ドレスの裾をまくり、今まで履いていたショーツを脱いでそれを着用する。自分の股から疑似チンポが生えているっていうのはシュールで面白い。続いて鞄から瓶を取り出し、ふたを取って男根の先端をそこへ入れた。中に入っているのはレスカティエ産のアルラウネの蜜だ。濃い黄金色で若干赤みがかった、媚薬効果の高い一品。特に意味はないけどこれを張り型に塗っておく。
「んっ!? やぁっ♥ な、なに……!?」
突然テスナがよがり始めた。見ると割れ目の中から、細い触手が顔を出している。ドラゴンの高濃度の魔力を吸収したためか、芽吹きがはやい。生まれたての触手たちは根付く場所を探して、汁のしたたるピンク色の肉をかき回していた。
「よしよし、ちゃんと植え付けてあげるからね」
「い、まって、待ってくださいぃ♥ 今そんなので押し込まれたら……」
「はいはい、悪い子は黙って犯される!」
まずは蜜のたっぷりついた先端を入り口に押し込む。発芽したばかりの触手を傷めないよう、ゆっくりと……。
「やああああん♥ しょく、しょくしゅ、触手がぁ、しょくちゅが奥にぃ♥」
麻痺しながらも暴れだしそうになる彼女を抱きしめ、乳首を舐めてあげる。コリッとした感触を味わいながら、ついつい自分の胸に手をやってしまう。掌に丁度納まるくらいの膨らみ。巨乳と呼ぶにはあまりに貧相、でも「ステータスだ! 希少価値だ!」と開き直れるほどぺたんこでもない、中途半端なサイズ。
同じ手でテスナの胸をぎゅっと掴んだ。柔らかな肉が指の隙間からはみ出し、あふれそうになる。まさしく母性の象徴。食べきれないごちそうと同じように、いくら揉んでも揉みきれないようなボリュームが……。
ああ、何かイライラしてきた。
「……いいもんね、私にだって揉んでくれる人がいるし!」
「ふひゃあああ♥」
ずっぽりと張り型を挿入し、触手の塊を最深部まで送り込んであげた。今の彼女の状態をおさらいすると、おなかの奥の方を細かい触手でひっきりなしにくすぐられ、しかもアルラウネの蜜を塗った太いヤツが穴を塞いでいる……想像しただけで私の股まで熱くなってきそう。これが終わったら副隊長に……遊んでほしいな……。
「今にもっと……大きくしてもらうんだから!」
「あひっ、やぁっ、もう……ああああああん♥」
私の下で、テスナの体がびくびくと痙攣した。吹き出した潮が私にもかかってしまう。だがそれでも触手は責めの手を止めない。
「あんっ……だめっ……もう、もうイっちゃったのにぃ♥」
「まだだよ。今から触手があんたのおなかに根を張るんだから」
「や……いやぁ、もう、ゆる、し……くぁぁぁぁ♥」
よだれと涙を垂れ流しつつ、テスナは快楽にもだえ続けている。どうやら触手は彼女の一番感じるところを探し当てたらしい。テスナはまるで魚が跳ねるように、のしかかっている私ごと暴れ始めた。
「ちょっ、危ないじゃない!」
「らめぇ、きもち、いい……♥ イイよぉぉー!」
麻痺していても、堪え難い快感がここまで体を支配してしまっているのだ。手足を拘束している鎖が千切れそうなほどに転げ回る彼女を、これ以上正上位で犯すのは危険だ。
疑似チンポの付け根を握り、パンツから切り離す。使用者が自分で使うときのため、着脱可能になっているタイプだ。このまま放っておいてもいいんだけど、念のため張り型が抜けないようにしておかないと。
「確かこの辺に……あった」
私がおもちゃ箱から取り出したのは三枚の湿布。アルラウネの蜜に浸した布で、貼ると皮膚がジンジンしてくる代物だ。しかも快楽のルーンが描かれており、性感を何倍にも増幅させる効果はもはや凶器と言ってもいい。
まず一枚を張り型を詰め込んだ股間び貼って密閉する。暴れるドラゴンを抑えながら正確に貼るのは一苦労だ。
「ほら、じっとして!」
「ふあああああ!」
残る二枚はけしからん乳に貼ってやる。ぺちんと叩き付けるように貼ってやると、痛いからか気持ちいいからか、テスナの体が一際大きく痙攣した。巨乳がぷるんと震え、また少しイライラする。
「はふっ、ひゃ、ああ、あぅ♥」
もう満足に言葉も発せられない彼女に、私はさらに追い打ちをかけた。鞄から取り出した手袋二つを、その胸へ放り投げたのだ。
「ひああああああ!? あんっ、あんっ、ふゃあああああん♥」
自動性感帯くすぐり手袋。そう言えば何がどうなったか説明がつくだろう。魔力のこめられた手袋はムカツク巨乳を湿布の上から巧みにくすぐり、つつき、揉みしだく。湿布に描かれている快楽ルーンの効果で、まるで胸が第二の性器になったように感じているかもしれない。いくらのたうち、転げ回っても絶対に離れない。触手が完全に根付くまでこのまま喘ぎ続けるのが今回のお仕置きだ。
一度根付いてしまえば触手は大人しくなり、ある条件を満たさなければ活動することはない。その条件とはつまり、宿主がアルコールを摂取すること。つまりテスナが酒を口にした瞬間、触手が彼女の胎内で暴れはじめる。しかも触手は宿主の魔力を吸うから、彼女はそれに犯されれば犯されるだけ旦那の精が欲しくなる。そうなればいくら酔って理性を失っていても、巨竜化して暴れてる場合じゃない。つまり、被害は彼女の旦那が犯されるだけで済むわけだ。
「お仕置き完了、っと」
エロドラの汁でべちゃべちゃになった下半身をタオルでふき、パンツを履き替える。けたたましくもだえ続けるテスナに背を向け、私は営巣テントから足を踏み出した。テント素材には防音の魔力が込められているから、しっかり閉めておけば音は漏れない。見張り役のクノイチは尊敬の眼差しで私を見つめていた。照れるなあ、もう。
ふと、低くうなるような音が聞こえた。音の在処は……空だ。
「……!」
私は目を見開いた。ひらりひらりと空を舞う、人工の鳥。新入りが操る空飛ぶ馬車、たしかシュトルヒとか言っていた。
速く飛んでいるわけではない。むしろゆっくりと優雅な動きをしていた。くるくると回ったかと思うとふわりと上昇、そこから木の葉のようにひらひらと落ちてくる。高さが変わるたびにうなり声も変わり、その飛び方はまるで生きているかのようだった。
あの妙ちくりんな人工物が、あんなに奇麗に……
「……そっか」
いつだったか、レミィナ姫は自慢の逆巻き時計についてこう言っていた。職人は魔法なんか使わなくても、無機物に命を吹き込める。この時計には血が通っている、と。
あのフィッケルという新入りも、同じ力を持った人間だったのだ。
なんか納得できた気がする。レミィナ姫が彼を気に入った理由が。
でも問題はあの男、かなり鈍感そうというか堅物というか、レミィナ姫をどう認識しているか心配なところがある。まあそこは少し、私たちがちょっかいを出してやろう。
空で舞踏を続ける機械鳥の下で、レミィナ姫や部下たちがそれを見上げていた。副隊長の姿もある。
私はお仕置きキットをクノイチに預け、彼らの元へ加わることにした。
12/10/06 12:50更新 / 空き缶号
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