欲する温かみ
ジュリカに手を引っ張られ、路地裏へと連れ込まれた。昨日、戦闘後にジュリカと交わった場所だ。
尻尾の炎が、いつもより熱く滾っていた。ウジウジ悩んでいる俺への、自分を隠そうとする俺への怒りが、明らかにそこにある。そして恐らくは、失望も。
俺は子供の頃、親に端金で売られ、少年兵として人を殺すことが仕事になった。同じ境遇の仲間達が次々に死んでいく中、俺は必死で生き延びてきた。囚人兵になってからもそうだ。仲間が死んだら、夜には酒を飲み干し、「死に栄誉あれ」の言葉を贈る。そして一緒に呑んだ仲間が、次の日には屍になっていた。そんな中で生き延びてしまった俺は、失うことには慣れている。
だが。
ジュリカは……彼女だけは失いたくない。拳をぶつけ合い、体をぶつけ合った、最高の女。俺のために生まれてきたとさえ思った女。今までの戦場で、誰かを守るため戦っていた奴らはこんな気持ちだったのだろうか。そして俺は自分が生きるため、そいつらの命を奪ってきた。因果応報なのだろうか……今なら、ヅギの気持ちが少し分かるような気がする。
「……スティレット」
ジュリカはふいに、ブラ状の甲殻に手をかけた。ホックを外して取り去ると、褐色の双峰がたゆんと揺れる。続いて股間もさらけ出し、胸を張って俺を見る。
「来いよ、スティレット! イライラや悩みなんて、あたしの体に全部ぶつけてくれよ!」
形の良い胸をパンと叩き、ジュリカは叫んだ。
「ジ、ジュリカ?」
「あたしはね、あんたがウジウジ悩んでいるのを見たくないんだ! スティレットにはいつも、真っ直ぐに突き進んで欲しいんだ!」
真っ直ぐに……
そんな言葉を、昔誰かにかけてもらったような気がする。誰に言われたのか、いつ言われたのかも覚えていないが、記憶には確かに残っている。そうだ、この記憶があったから、俺は今まで生き残って来れたのかも知れない。その言葉の力強さが、ぬくもりがあったからこそ、死んだ方がマシと思うような状況でも生きるのを諦めなかったのだ。
そして今、ジュリカがその言葉を、俺に向けてくれた……。
「あたしは単細胞だから、気の利いた言葉とかかけてやれないからさ……」
ジュリカは俺に背を向け……石畳の上に四つん這いになった。尻をぐっと突き出し、性器を指で広げる。
ピンク色の卑猥な肉が、俺の来訪を待って蠢いていた。彼女がこんな格好をするとは、初めてのことだ。そんなにも、俺を……
「せめて体で……体張って、あんたを元気づける!」
……その言葉を聞いた瞬間俺はジュリカの尻を抱え、性器に舌を這わせていた。
「あんっ♪」
ディープキスのようにグッと奥までねじ込み、舐め回す。するとたちまち、咽せるような雌の匂いと、ぬるりとした汁が溢れてくる。
魔物の出す「雌の匂い」とは、人間の女とは比べものにならないほど強い。ことにジュリカの発するものは男の獣欲を刺激する、まさしく雌の物だった。そしてそれを胸一杯に吸い込み、俺は獣となる。
「んんっ、ふぅんっ……♪ あぁん……♪ 舌がぁ……♪」
溢れた汁を舐め取り、陰核を舌先で弾く。その度にジュリカが喘ぎ、更に汁が染み出す。決して美味いわけではないが、ジュリカの悦楽の証を、俺はしっかりと味わい、呑み込んでいった。そして執拗に、陰核を責めていった。弾く動きから、舌先でこねくり回す動きに変えていくと、ジュリカの体がプルプル震え始める。
「んん……っ! やっ……駄目、イクっ!」
その言葉を聞いて、俺は刺激を止めた。
物欲しそうな顔で俺を見るジュリカの尻を撫でながら、ズボンを降ろし、男根を露出させる。最大限に怒張したそれを見て、ジュリカは目を輝かせた。
俺はゆっくりと、先端を女性器の入り口にあてがった。
「ジュリカ……受け止めてくれ!」
俺は腰を突き出す。一気にズンと、男根を突き入れた。
「くはああぁぁっ♪」
途端に、熱々の膣が凄まじい強さで締め付けてきた。普段から締め付けのキツイ膣だったが、この異常な強さは絶頂時のそれだった。先ほどの責めでそこまで高まっていたのだろう。燃えさかる尻尾が、俺の腰に巻き付いてくる。その炎は俺に対しては心地よい温かさで、じんわりと俺を刺激してきた。
やがて潮を吹きだして、体を小刻みに痙攣させるジュリカ。次第に締まりが弱まり、優しく抱きしめてくるような感触になった。
「はあ……はあ……はあ……♪」
ジュリカは甘い吐息と共に、俺に微笑を向けた。俺は完全に絶頂した彼女に笑みを返し……
腰を荒々しく前後させた。
「ふあああっ!? そん、あんっ、やぁっ♪」
俺はまだイっていない。それどころか、ジュリカの締め付けでギリギリまで高められていたのだ。我慢などできるわけがなかった。
絶頂直後にも関わらず、男根を突き入れられ、ジュリカは悶えた。体を支えていた手が滑り、上半身が地面に這い蹲る。乳房が石畳にぐにゃりと潰れた。その無様な姿が、尚更俺を掻き立てる。
「悪い、ジュリカ……俺も我慢できない……」
「ああんッ! イイ……ぜんぶ、全部あたしにぶつけてっ♪ あたしのマンコに、焦げ付くくらい熱々のを出してッ♪」
次第に、ジュリカの膣が締まりを取り戻してくる。ギュウギュウと男根を圧迫し、快感を生み出す道具になっていく。摩擦する度に肉が男根に食い込むような感触。這い蹲ったまま喘ぐジュリカの顔を見下ろしながら、俺は溜まっていた物を解放した。
「ひゃ……きたぁ♪ 熱ぅい……濃い……一杯出てるーッ!」
今までの人生で一番、濃厚な射精だった。肉の器から溢れる量の精液の感触に、ジュリカはまたもや潮を吹いた。あの強烈な
締め付けが、出した直後の男器を締め付け、強制的に勃起させようとしてくる。勿論ジュリカにそんなつもりは無いのだろうが、男根の膨張が膣を抉ると、ジュリカは絶頂の余韻に浸りながらも、期待に満ちた目で俺を見つめてくる。
俺はそれに応えようと、再び腰を動かそうとして……彼女の魅惑的な尻に目を止め、妙なスイッチが入ってしまった。
「……えっ? ちょっと、抜くなよぉ……」
俺が男根を膣から引き抜くと、ジュリカは切なそうに訴えた。俺は彼女を宥めるように尻を撫でながら、膣に手をやり、精液混じりの愛液をすくい取る。
そしてそれを、尻の谷間の底……肛門に塗りつける。
「んっ……そっち、も?」
驚きと期待を持った眼差しで、ジュリカは俺をじっと見つめた。
「ここでしたことは無かったからな……お前の全部を、俺の物にしたい」
「うん、来てくれ……!」
ジュリカが快く受け入れてくれたことが嬉しかった。潤滑液を塗りつけ、ひくつく肛門に男根をあてがい、ゆっくりと挿入していく。
「んっ……んっ……んっ……」
本来性交のためのものではないその穴を、ゆっくり押し広げて奥へ入り込んでいく。暖かな直腸が男根をぎゅっと締め付け、膣
とは違う快感を与えてくれる。
「うっ……どうだ、ジュリカ?」
「ん……不思議な、感じ……でも、気持ちいいな……♪」
俺はゆっくりと、腰を動かした。同時に膣に指を突っ込み、中を掻き回す。ジュリカが喘ぎ始め、直腸がゆっくりと収縮を繰り返す。
陰核を摘んでやると、一際締め付けが強くなった。
「あッ、あんっ……凄い……気持ちいい……この感触……♪ あたし、変態になっちゃったのかも……♪」
「元々変態だろ……戦いながら、くっ……濡れちまうんだから!」
「スティレットこそ……勃ってたくせにぃ♪」
いつもとは違う蕩けきった声が、俺の脳を麻痺させていく。ただひたすら、快楽だけを求めて腰を動かす。ジュリカを楽しませるための手の動きも止まらない。やっぱりこいつは、俺のために生まれた女……!
「んっ、イキそぉ……スティレットぉ♪」
「くっ……出るぞっ」
「あ、あ……ああああんッ!」
三回目は、同時の絶頂だった。直腸に精を流し込み、ジュリカの悶える声を聞く。
快感に酔いしれながら、俺は男根を引き抜き……だらりと、ジュリカの上に覆い被さって脱力した。ジュリカが俺の唇に、軽くキスをする。この気だるさと、不思議な爽快感。間違いなく、悩みなんて吹き飛んでしまっただろう。俺という奴は、ジュリカ同様単純らしい。
……だが、それでいいんだな。
「あー、オホン。そろそろいいかな?」
不意に聞こえてきた聞き慣れない声に、俺はハッと振り向いた。
気配など無かったのに、いつのまにか路地裏に誰かが立っていた。金髪に紫色の目をし、ダークスーツを着た少年……いや、少女か? 腰から蝙蝠のような翼が生えている所を見ると、間違いなく魔物……つまりは、女だ。よく見ると、スーツの上からでも僅かに胸のふくらみが確認できる。
こいつは確か、闘技会参加者の一人……
「僕はエスクーレ・シティから着た、フランチェスカ・リッピ。次の試合で君と闘うはずだったんだけど……」
「あっ!」
ジュリカが叫んだ。そう、ヅギとセシリアの試合の次は、俺の試合だったのだ。ジュリカは俺のことで頭が一杯で、そんなことを気にも留めず俺を連れ出したのだろう。俺もまた、試合のことをすっかり忘れていた。
これでは完全に不戦敗……ヅギと闘うこともできない。
「君がいきなり会場から連れ出されたと思ったら……こんな所でエッチしてたなんてね。しかも仕上げがアナルとは恐れ入ったよ。ふふっ」
そう言われて、俺は今更ながら下半身を隠し、自分の体でジュリカの裸体を隠した。だがフランチェスカと名乗った悪魔の少女は、馬鹿にした様子も無く俺達を見ていた。
「さっきエスクーレの上司から、火急の知らせが入ってね。すぐに帰らなきゃならなくなったんだ。でも僕が君に不戦勝、僕は準決勝に出ずに帰るとなると、次の試合がいきなり決勝戦になっちゃうだろう? 観客ががっかりする……」
昔話の『善良な農民を騙す悪い魔女』のような口調で、彼女は話す。口元には笑みを浮かべていた。
「だから審判に頼んで、準々決勝は君の不戦勝ってことにしてもらったよ。君は準決勝に進める。よかったね」
「なっ……」
朗らかな笑みを浮かべるフランチェスカ。人懐っこいようで、何処か俺を見下しているような、挑発的な態度だった。
「……お前はいいのか? 負けたことになっても……」
「それは不本意だけど、命令を優先しなきゃいけないからね」
「お前は何者だ? どんな組織の元にいるんだ?」
すると、彼女は自分の唇にそっと指を当てた。
「……沈黙の掟」
それだけ言って、フランチェスカは背を向ける。路地の出口辺りに、詰め襟を着た男が待っていた。一回戦で俺と戦った隻腕の剣士、シロー・イバ……そうか、あいつもエスクーレ・シティから来たと言っていたな。恐らく、仲間なんだろう。
「応援してるよ、戦闘狂さん。仕事に困ったら、エスクーレに来てね」
言い捨てて、フランチェスカが路地裏から去っていく。イバは俺に対して一礼すると、身を翻して彼女の後に従った。
これでもう、後戻りはできない。俺は明日、ヅギと闘う。
「スティレット……」
「ジュリカ……」
俺はジュリカと見つめ合い……唇を合わせた。
決勝で会うという、近いの接吻を。
尻尾の炎が、いつもより熱く滾っていた。ウジウジ悩んでいる俺への、自分を隠そうとする俺への怒りが、明らかにそこにある。そして恐らくは、失望も。
俺は子供の頃、親に端金で売られ、少年兵として人を殺すことが仕事になった。同じ境遇の仲間達が次々に死んでいく中、俺は必死で生き延びてきた。囚人兵になってからもそうだ。仲間が死んだら、夜には酒を飲み干し、「死に栄誉あれ」の言葉を贈る。そして一緒に呑んだ仲間が、次の日には屍になっていた。そんな中で生き延びてしまった俺は、失うことには慣れている。
だが。
ジュリカは……彼女だけは失いたくない。拳をぶつけ合い、体をぶつけ合った、最高の女。俺のために生まれてきたとさえ思った女。今までの戦場で、誰かを守るため戦っていた奴らはこんな気持ちだったのだろうか。そして俺は自分が生きるため、そいつらの命を奪ってきた。因果応報なのだろうか……今なら、ヅギの気持ちが少し分かるような気がする。
「……スティレット」
ジュリカはふいに、ブラ状の甲殻に手をかけた。ホックを外して取り去ると、褐色の双峰がたゆんと揺れる。続いて股間もさらけ出し、胸を張って俺を見る。
「来いよ、スティレット! イライラや悩みなんて、あたしの体に全部ぶつけてくれよ!」
形の良い胸をパンと叩き、ジュリカは叫んだ。
「ジ、ジュリカ?」
「あたしはね、あんたがウジウジ悩んでいるのを見たくないんだ! スティレットにはいつも、真っ直ぐに突き進んで欲しいんだ!」
真っ直ぐに……
そんな言葉を、昔誰かにかけてもらったような気がする。誰に言われたのか、いつ言われたのかも覚えていないが、記憶には確かに残っている。そうだ、この記憶があったから、俺は今まで生き残って来れたのかも知れない。その言葉の力強さが、ぬくもりがあったからこそ、死んだ方がマシと思うような状況でも生きるのを諦めなかったのだ。
そして今、ジュリカがその言葉を、俺に向けてくれた……。
「あたしは単細胞だから、気の利いた言葉とかかけてやれないからさ……」
ジュリカは俺に背を向け……石畳の上に四つん這いになった。尻をぐっと突き出し、性器を指で広げる。
ピンク色の卑猥な肉が、俺の来訪を待って蠢いていた。彼女がこんな格好をするとは、初めてのことだ。そんなにも、俺を……
「せめて体で……体張って、あんたを元気づける!」
……その言葉を聞いた瞬間俺はジュリカの尻を抱え、性器に舌を這わせていた。
「あんっ♪」
ディープキスのようにグッと奥までねじ込み、舐め回す。するとたちまち、咽せるような雌の匂いと、ぬるりとした汁が溢れてくる。
魔物の出す「雌の匂い」とは、人間の女とは比べものにならないほど強い。ことにジュリカの発するものは男の獣欲を刺激する、まさしく雌の物だった。そしてそれを胸一杯に吸い込み、俺は獣となる。
「んんっ、ふぅんっ……♪ あぁん……♪ 舌がぁ……♪」
溢れた汁を舐め取り、陰核を舌先で弾く。その度にジュリカが喘ぎ、更に汁が染み出す。決して美味いわけではないが、ジュリカの悦楽の証を、俺はしっかりと味わい、呑み込んでいった。そして執拗に、陰核を責めていった。弾く動きから、舌先でこねくり回す動きに変えていくと、ジュリカの体がプルプル震え始める。
「んん……っ! やっ……駄目、イクっ!」
その言葉を聞いて、俺は刺激を止めた。
物欲しそうな顔で俺を見るジュリカの尻を撫でながら、ズボンを降ろし、男根を露出させる。最大限に怒張したそれを見て、ジュリカは目を輝かせた。
俺はゆっくりと、先端を女性器の入り口にあてがった。
「ジュリカ……受け止めてくれ!」
俺は腰を突き出す。一気にズンと、男根を突き入れた。
「くはああぁぁっ♪」
途端に、熱々の膣が凄まじい強さで締め付けてきた。普段から締め付けのキツイ膣だったが、この異常な強さは絶頂時のそれだった。先ほどの責めでそこまで高まっていたのだろう。燃えさかる尻尾が、俺の腰に巻き付いてくる。その炎は俺に対しては心地よい温かさで、じんわりと俺を刺激してきた。
やがて潮を吹きだして、体を小刻みに痙攣させるジュリカ。次第に締まりが弱まり、優しく抱きしめてくるような感触になった。
「はあ……はあ……はあ……♪」
ジュリカは甘い吐息と共に、俺に微笑を向けた。俺は完全に絶頂した彼女に笑みを返し……
腰を荒々しく前後させた。
「ふあああっ!? そん、あんっ、やぁっ♪」
俺はまだイっていない。それどころか、ジュリカの締め付けでギリギリまで高められていたのだ。我慢などできるわけがなかった。
絶頂直後にも関わらず、男根を突き入れられ、ジュリカは悶えた。体を支えていた手が滑り、上半身が地面に這い蹲る。乳房が石畳にぐにゃりと潰れた。その無様な姿が、尚更俺を掻き立てる。
「悪い、ジュリカ……俺も我慢できない……」
「ああんッ! イイ……ぜんぶ、全部あたしにぶつけてっ♪ あたしのマンコに、焦げ付くくらい熱々のを出してッ♪」
次第に、ジュリカの膣が締まりを取り戻してくる。ギュウギュウと男根を圧迫し、快感を生み出す道具になっていく。摩擦する度に肉が男根に食い込むような感触。這い蹲ったまま喘ぐジュリカの顔を見下ろしながら、俺は溜まっていた物を解放した。
「ひゃ……きたぁ♪ 熱ぅい……濃い……一杯出てるーッ!」
今までの人生で一番、濃厚な射精だった。肉の器から溢れる量の精液の感触に、ジュリカはまたもや潮を吹いた。あの強烈な
締め付けが、出した直後の男器を締め付け、強制的に勃起させようとしてくる。勿論ジュリカにそんなつもりは無いのだろうが、男根の膨張が膣を抉ると、ジュリカは絶頂の余韻に浸りながらも、期待に満ちた目で俺を見つめてくる。
俺はそれに応えようと、再び腰を動かそうとして……彼女の魅惑的な尻に目を止め、妙なスイッチが入ってしまった。
「……えっ? ちょっと、抜くなよぉ……」
俺が男根を膣から引き抜くと、ジュリカは切なそうに訴えた。俺は彼女を宥めるように尻を撫でながら、膣に手をやり、精液混じりの愛液をすくい取る。
そしてそれを、尻の谷間の底……肛門に塗りつける。
「んっ……そっち、も?」
驚きと期待を持った眼差しで、ジュリカは俺をじっと見つめた。
「ここでしたことは無かったからな……お前の全部を、俺の物にしたい」
「うん、来てくれ……!」
ジュリカが快く受け入れてくれたことが嬉しかった。潤滑液を塗りつけ、ひくつく肛門に男根をあてがい、ゆっくりと挿入していく。
「んっ……んっ……んっ……」
本来性交のためのものではないその穴を、ゆっくり押し広げて奥へ入り込んでいく。暖かな直腸が男根をぎゅっと締め付け、膣
とは違う快感を与えてくれる。
「うっ……どうだ、ジュリカ?」
「ん……不思議な、感じ……でも、気持ちいいな……♪」
俺はゆっくりと、腰を動かした。同時に膣に指を突っ込み、中を掻き回す。ジュリカが喘ぎ始め、直腸がゆっくりと収縮を繰り返す。
陰核を摘んでやると、一際締め付けが強くなった。
「あッ、あんっ……凄い……気持ちいい……この感触……♪ あたし、変態になっちゃったのかも……♪」
「元々変態だろ……戦いながら、くっ……濡れちまうんだから!」
「スティレットこそ……勃ってたくせにぃ♪」
いつもとは違う蕩けきった声が、俺の脳を麻痺させていく。ただひたすら、快楽だけを求めて腰を動かす。ジュリカを楽しませるための手の動きも止まらない。やっぱりこいつは、俺のために生まれた女……!
「んっ、イキそぉ……スティレットぉ♪」
「くっ……出るぞっ」
「あ、あ……ああああんッ!」
三回目は、同時の絶頂だった。直腸に精を流し込み、ジュリカの悶える声を聞く。
快感に酔いしれながら、俺は男根を引き抜き……だらりと、ジュリカの上に覆い被さって脱力した。ジュリカが俺の唇に、軽くキスをする。この気だるさと、不思議な爽快感。間違いなく、悩みなんて吹き飛んでしまっただろう。俺という奴は、ジュリカ同様単純らしい。
……だが、それでいいんだな。
「あー、オホン。そろそろいいかな?」
不意に聞こえてきた聞き慣れない声に、俺はハッと振り向いた。
気配など無かったのに、いつのまにか路地裏に誰かが立っていた。金髪に紫色の目をし、ダークスーツを着た少年……いや、少女か? 腰から蝙蝠のような翼が生えている所を見ると、間違いなく魔物……つまりは、女だ。よく見ると、スーツの上からでも僅かに胸のふくらみが確認できる。
こいつは確か、闘技会参加者の一人……
「僕はエスクーレ・シティから着た、フランチェスカ・リッピ。次の試合で君と闘うはずだったんだけど……」
「あっ!」
ジュリカが叫んだ。そう、ヅギとセシリアの試合の次は、俺の試合だったのだ。ジュリカは俺のことで頭が一杯で、そんなことを気にも留めず俺を連れ出したのだろう。俺もまた、試合のことをすっかり忘れていた。
これでは完全に不戦敗……ヅギと闘うこともできない。
「君がいきなり会場から連れ出されたと思ったら……こんな所でエッチしてたなんてね。しかも仕上げがアナルとは恐れ入ったよ。ふふっ」
そう言われて、俺は今更ながら下半身を隠し、自分の体でジュリカの裸体を隠した。だがフランチェスカと名乗った悪魔の少女は、馬鹿にした様子も無く俺達を見ていた。
「さっきエスクーレの上司から、火急の知らせが入ってね。すぐに帰らなきゃならなくなったんだ。でも僕が君に不戦勝、僕は準決勝に出ずに帰るとなると、次の試合がいきなり決勝戦になっちゃうだろう? 観客ががっかりする……」
昔話の『善良な農民を騙す悪い魔女』のような口調で、彼女は話す。口元には笑みを浮かべていた。
「だから審判に頼んで、準々決勝は君の不戦勝ってことにしてもらったよ。君は準決勝に進める。よかったね」
「なっ……」
朗らかな笑みを浮かべるフランチェスカ。人懐っこいようで、何処か俺を見下しているような、挑発的な態度だった。
「……お前はいいのか? 負けたことになっても……」
「それは不本意だけど、命令を優先しなきゃいけないからね」
「お前は何者だ? どんな組織の元にいるんだ?」
すると、彼女は自分の唇にそっと指を当てた。
「……沈黙の掟」
それだけ言って、フランチェスカは背を向ける。路地の出口辺りに、詰め襟を着た男が待っていた。一回戦で俺と戦った隻腕の剣士、シロー・イバ……そうか、あいつもエスクーレ・シティから来たと言っていたな。恐らく、仲間なんだろう。
「応援してるよ、戦闘狂さん。仕事に困ったら、エスクーレに来てね」
言い捨てて、フランチェスカが路地裏から去っていく。イバは俺に対して一礼すると、身を翻して彼女の後に従った。
これでもう、後戻りはできない。俺は明日、ヅギと闘う。
「スティレット……」
「ジュリカ……」
俺はジュリカと見つめ合い……唇を合わせた。
決勝で会うという、近いの接吻を。
11/07/10 00:34更新 / 空き缶号
戻る
次へ