フルセイルで船は進み、僕はまたジュンガレイ島へ上陸した。島に変わった様子は無かった。相変わらず美しい大自然が広がり、猿や鳥の鳴き声が響いている。

　だが一つだけ、変わっていることがあった。クロアルーラが海岸まで迎えに来てくれていたのだ。それだけなら変化というほどではないかもしれない。だが僕の目を引いたのは、彼女の服装だった。

「お疲れ様」

　微笑みを浮かべる彼女が身に纏うのは、前のように樹皮の繊維で作られた、ワンピース型の緑色の服。しかし今までより丈がかなり短くなっていた。膝まであった裾が上へ移動し、白い太ももが大きく晒されている。
　そして息を飲んだのは、胸元が開いていることだった。彼女はスレンダーな体型だが、胸の膨らみはしっかりと自己主張していた。谷間を形成する白い胸が陽光を受け、眩しいまでに美しく、官能的に見えた。

「……どうしたの？」

　唖然としている僕へ、不思議そうに問いかけてくる。

「そ、その服……」
「ああ、これ？」

　何の気なしに、といった具合で服の裾を持ち上げるクロアルーラ。太ももの付け根が……柔らかそうな下腹部がチラリと見え、心臓が大きく高鳴った。

「昨日作ったの。そう……こういうのが着たくなったから」

　僕は再びドキリとした。一瞬だけ、あのときの思いつめた瞳を見たからだ。
　彼女は少しの間俯いていたが、やがて意を決したように顔を上げ、密林の中を指差した。

「今日は……私の家へ行きましょう」





　思いもかけず、今まで入れてもらえなかったエルフの村へ案内してもらえた。ドラゴンゾンビのことを尋ねるのも忘れ、僕はひたすら彼女に着いて歩いた。露出の大きくなった服と、そのふとももに目を奪われながら。清らかな存在であるエルフに、邪な気持ちを抱くべきではない。そう言い聞かせながらも、視線を外すことができなかった。たまに彼女がこちらを向いたときには、その胸元へ目がいってしまう。

　やがてたどり着いた村は密林の只中にあり、巨大な木々の上に住居が作られていた。アマゾネスやハーピーなど、森に住む魔物もよくこうした住まいを作る。地上には井戸があり、まだ新しい木像がいくつか並んでいる。それらも精密に彫り込まれた美しい品だった。

　しかしすぐに、この村が異常であることに気づいた。誰もいないのだ。


「……他のエルフはみんな、いなくなったわ」

　僕が尋ねる前に、クロアルーラは言った。
　思い当たる節があった。エルフは強い魔力を持っているため、人間の女性のようにサキュバスなどの魔物へ変ずることはない。だが魔物たちの魔力は彼女たちにも侵食し、エルフの女性は『エルフという魔物』に変わる。そして男性のエルフは人間の男と同様、インキュバスになる。禁欲を旨とし、魔物を汚れた存在として嫌悪するエルフはそうした者たちを村から追放するという。
　だが、クロアルーラが語った顛末は少し違っていた。

「魔王が代替わりした後、先祖たちの霊からお告げがあった。『新しい時代に生きなさい』、と。それからこの島のエルフは徐々に、魔物へ変わっていったわ」
「だから、追放を？」
「いいえ。みんな淫らになっていく自分たちに戸惑ったけど、自分から出て行ったわ。これは受け入れるべき変化だと先祖たちが言うのだから、島の外へ出て魔物たちと交流し……これから、どう生きていけばいいのか、知るべきだと」

　ふと、彼女の声が息苦しそうに感じた。同時に「くちゅっ」と小さな水音が聞こえた。ルージュ・シティでも路地裏などを歩いて入れば、時折聞く音だ。
　白い太ももに、きらりと光る水滴が垂れているのが分かった。汗ではない。何故なら彼女の細い指が、短いスカートの裾から股へ手を入れ、そこを刺激しているのだから。

「んっ……私は、魔物の魔力に、染まりにくい体質、だったみたいで……アンっ……だから、最後まで残って、木像を……見守ろうと思ったの……みんなに、後のことは私に、任せてって……」
「クロアルーラさん！」

　足を止め、快感によろめく彼女に駆け寄り、咄嗟に体を支える。細く華奢な外見なのに、しっかりと引き締まった体の感触。
　クロアルーラはハッと目を見開き、自分の股間から手を離した。透明な粘液でべっとりと汚れた指を見つめ、紅潮した顔で息を吐く。

「……でも、私も変化を受け入れるときが来たみたい。貴方が町へ帰ってから、気づけば手が勝手に自分を慰めているの」

　心臓の鼓動が徐々に早まっていくのを感じた。しかもその音は二重になっていた。僕の心臓と、彼女の心臓。共に同じペースで高鳴っているのだ。
　エメラルド色の瞳が潤み、じっと僕を見つめてくる。吸い込まれそうなほどに深く、透き通った緑。顔にかかる吐息は熱かった。

　ふいに、ズボンのベルトが外された。目を合わせたまま、クロアルーラは僕のズボンを下ろし、下着まで脱がせてくる。抵抗はできなかった。彼女の瞳の虜になってしまったかのように、体が動かない。
　心の一方。あれを受けたときの感覚と似ていた。彼女の視線が見えない矢となって、僕の体を貫き固定してしまったのだ。

　すでに男の本能に従い、僕のそれは痛いほどに怒張していた。それが下着からぴょこんと顔を出したとき、クロアルーラは視線を下へ落とした。

「あ……こんなのが、付いているのね……ふしぎ」

　小さな声で感想を呟き、勃起したペニスに触れてくる。細い指先がそっと竿を握った途端、その感触にピクンと震える。

「痛かった？」
「へ、平気です」

　驚いた様子の彼女に、辛うじて言葉を返す。これは止めさせなくてはいけないことだろうか。だが彼女は望んでやっているのではないか。いや、それ以前にこれから起こることへの期待がムクムクと膨らみ、抑えきれなくなっていた。
　ゆっくりと、クロアルーラはペニスを撫で回す。僕の股間と顔を、交互に見ながら。すべすべとした手が優しく表面を撫で、焦らすような快感が湧き上がる。とても気持ちいい。最初に清楚で近寄り難い印象だった彼女が、今や顔を上気させてペニスを触っている……その事実に尚更興奮する。

「温かいわ。硬いのに、どこか柔らかさがあって……友達の手紙に書いてあった通り」

　微笑みを浮かべながら、彼女は亀頭にも触れてきた。指先でつんつんと触り、震えるペニスの反応を見る。
　次いで親指の腹で鈴口を撫で回してきた。ぞくりとした快感が全身に走る。好奇心で触れているだけでなく、明らかに感じさせようとしている愛撫の仕方だった。

「あ、透明なヌルヌルが出てきた……私のおまんこと同じなのね……♥」

　そう言う彼女は少し嬉しそうだった。おまんこ、という卑猥な単語を彼女の口から聞けるとは思わなかった。
　すると彼女はふと顔を上げ、不思議そうに僕を見た。

「……私、今『おまんこ』って言ったかしら？」
「……言いました」

　正直に答える。魔物の魔力を受けたエルフは無自覚のうちに、卑猥な言動を取るようになってしまうという。彼女は今そのときなのだ。
　しばらく僕を見つめていた彼女だが、その間もペニスへの愛撫は続いていた。むしろ両手を使い、激しく、それでいて優しく撫でさすってくる。

　直後に卑猥な光景をみた。鈴口から滴った汁を白い指先がすくい取り、口へ運んだのだ。ピンク色の下でペロリと舐め、クスッと笑みを漏らす。

「楽しい」

　無邪気な一言だった。気分がどんどん高まり、このまま彼女の手で射精したいという衝動に駆られる。
　だが不意に、彼女は手の動きを止めた。快感が中途半端にセーブされ、ペニスをそっと握る両手の感触だけが焦れったい快楽を与えてくる。

　エメラルドの瞳がじっと僕を見た。

「精液を出したいの？」
「だ、出したい、です……！」
「どうやって？」

　恥も外聞もなく答えた僕に、彼女は意図を掴みかねる言葉を投げかけてきた。

「どうやって、って……！」
「友達からの手紙には、口で精液を吸い出すのも良いって書いてあったの」

　ぺろり。クロアルーラは綺麗なピンクの舌を見せてくれた。ねっとりと唾液を纏った、官能的な舌を。
　あれでペニスを舐められたら。口に含まれたら。そんな妄想が頭を過ぎった瞬間、堤防が結界した。

「で、出る！」
「えっ」

　蕩けるような快感がペニスを包む。びゅっ、と勢い良く飛び出した白濁が、エルフの白い頬を汚す。口にも飛び込んだ。自分でするより勢いが強く、べっとりとして、何より気持ちいい射精。
　クロアルーラは驚いたようだが、避けなかった。だから僕の吐き出した欲望で、顔中がべとべとに汚れてしまった。

「びっくりしたわ」

　それにも関わらず、彼女は初めて見る満面の笑顔を浮かべたのである。精液まみれになった顔で、花のような笑みを。
　
「ご、ごめんなさい！」
「いいの。何だか、良い気分になってきたわ」

　顔を拭い、白濁を掌に溜め、口へ運ぶ。ゆっくりと味わうように咀嚼し、クロアルーラは僕の出したものを飲み込んだ。

「ああ……♥」

　うっとりとした溜息と吐きながら、彼女は僕の腰へ抱きついてきた。下を向いたペニスに柔らかな頬を寄せ、スリスリと愛してくる。桃色に紅潮した頬が滑りを帯びて光り、なんとも卑猥な姿だった。

　そのままの状態で、上目遣いに僕を見上げてくるクロアルーラ。視線で僕を射すくめながら、そっと囁いてくる。

「もう一度、硬くして」

　どくんと心臓が動き、ペニスに血が送られる。体が勝手に反応した。頬の柔らかさを推し変えすようにして、竿が再び起き上がる。

「ん……ありがとう♥」

　ちゅっ。亀頭にキスをされ、またもやペニスが震えた。だが僕が心の中で期待していたこと……クロアルーラがその口に亀頭を含む事態は起きなかった。
　彼女はうっとりとした表情のまま立ち上がり、服の裾をめくった。海岸で一瞬だけ見えた、無毛の女性器。その神聖な割れ目から愛液が滴り、魅力的なふとももをぬらぬらと濡らしている。

　僕と彼女は向かい合い、互いの性器に目を向けている。やがて彼女が一歩前に出て、亀頭が『入り口』へ接触した。

　子供を作るための儀式が、始まろうとしている。

「もう怖くない。私は今から、変化する」

　笑顔で宣言し、クロアルーラは右手を僕の肩へ、左手をペニスへと添えた。
　そして立ったままグッと腰を進め……怒張したペニスを、愛液滴る割れ目で飲み込んでいった。

「あ、うぅ……クロアルーラ、さん……！」
「んっ……ふぁっ♥　ロッフォ……入って……♥」

　艶かしい声を聞きながら、ペニスでぷるぷるとした膣内の感触を味わう。挿入が少しずつ進むたび、膣のヒダが滑らかに擦れていく。それがたまらなく気持ちいい。きゅっと締め付けられる感触もまた、ペニスをじわじわと刺激してきた。
　うっかりすると押し返されそうな弾力があった。だが根元までしっかりと入った後、クロアルーラは僕にしっかりと抱きついてきた。絶対に抜かない、とでも言うかのように。

　僕も彼女を抱きしめていた。片腕は背中に回し、もう一方はお尻へ。小さめのすべすべとしたお尻を撫で、揉み、谷間に指先を入れ、己の欲望を満たしていく。

「あっ、そんなところ、触ったら……ロッフォの手が、汚れて、しまう……」

　快感に悶えながらも、僕のことを気遣ってくれるクロアルーラ。そんな優しさがまた興奮材料となる。吸い付くような肌の感触を味わいながら、ペニスが膣内でぴくんと脈打った。

「やンッ……♥　あはっ」

　耳元に聞こえる笑い声。とても可愛い。
　そのとき、不意に膣内がぐにゃりと蠢いた。柔らかな肉でペニスが揉みしだかれ、えもいわれぬ快感がこみ上げる。思わず「うっ」と声を漏らしてしまう。

「気持ちいい？」

　僕の目を見ながら、彼女は尋ねてくる。

「は、はい」
「じゃあ、これは？」

　突然、蜜壺がぎゅっと強く締まった。絞り出された愛液が下半身を伝っていく。手で握られているかのように、肉の壁とヒダが強くペニスに押し付けられる。
　卑猥で艶かしい圧迫感。気持ち良さのあまり足から力が抜け、彼女と結合したまま尻もちを着いてしまった。立位から対面座位へと姿勢が代わり、クロアルーラのすらりとした体の感触をより強く感じる。

　荒くなった吐息が顔にかかる。普段の彼女からは想像できない、淫らに蕩けた表情だ。

「次は……これ」

　締め付けが少し緩んだかと思うと、クロアルーラは小刻みに腰を振り始めた。粒々としたヒダが竿に、亀頭に擦れ、じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てる。
　目の前で小さく揺れる乳房を、思わず掴んでしまう。ぷにっとした幸せな弾力を掌に感じる。服の中に手を潜りこませると、勃起した乳首をさぐり当てることができた。指先でくにくにと愛撫してあげると、彼女はくすぐったそうに笑う。

「ふふっ……気持ち、いい……♥」

　腰の動きに合わせ、膣内の蠢きも激しくなってきた。ヒダが亀頭をくすぐるように動き、射精を促してくる。彼女は魔物としてのエルフの体を、徐々に使いこなしているのだ。

　気持ち良さと、彼女への愛欲で頭が一杯になる。木漏れ日の中で、森そのものとさえ思ったこのエルフの少女と交わっている。その事実が何よりも興奮する。
　白い足が僕の腰にしがみ付き、しっかり固定されてしまった。全身で抱き合う快感。儚げな唇で耳にキスをされたとき、再び込み上げてきたものを抑えられなくなった。

「な……中で、いいですか……？」
「そとに、出したら……アっ、んんっ……♥　おこるわ、よッ……♥」

　囁かれた返事。膣の動きがまた変化し、ペニスを奥へ吸い込むような締め付けが始まった。決して結合が解けないように、迸る精液を一滴たりとも零さないように……淀んだ緑の瞳がそう言っていた。
　彼女の子宮へ、自分の子種を植え付けたい。僕は獣欲に身を委ねた。

「クロアルーラさんっ……クロアさんっ……！」
「ロッフォ、出すの？　出るの？　出してっ、あああっ♥」

　どくどくと音を立て、肉棒の中を精液が迸っていく。それは吸引に導かれ、暖かな膣内へ勢い良く迸った。

「きた、出てるっ、ロッフォ♥　ロッフォの、熱いのが……お腹の奥に来てるッ、分かる……ふあああああっ♥」

　大きな矯正を上げ、体を仰け反らせるクロアルーラ。細身の女体が僕の目の前で快楽に震え、絶頂を迎える。
　その間もペニスの律動は止まらない。頭が真っ白になりそうなほど、気持ちいい射精が続く。

「あふぅぁぁッ♥　まだ、まだ出てるっ！　すごぉい……！」
「クロアさんっ、クロアさんっ！」

　快楽に蕩けていく意識の中、僕はひたすら彼女の名前を呼んだ。クロアルーラも僕の名を繰り返してくれた。体をしっかり密着させ、二人でただただ快楽に浸る。

　そんな淫らな僕たちを、森は優しく受け入れてくれていた。