連載小説
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ぎんの思い
私こと砂村ぎんは幼馴染である結城 護(ゆうき まもる)のことが好きだ

この気持ちはずいぶん幼いときから持っていたものだけれども中々彼に伝える事が出来ない

そもそも私は喋るのが苦手だからだ

もう一人の幼馴染のアイと滅多に会わない親以外とはまともに会話した事は記憶に残っている分では両手で数えられるほどである

私が彼に惹かれている理由

いつもご飯を作ってくれるし、優しい、嫌いな食べ物を食べるように仕向けてくる事もあるけれど、それは私の体の健康について考えてくれているからだ

色々あるけれども決め手になっているのは幼少時代の思い出だ

小さなときから私はあまり喋る事はしなかった

そのせいで一度、学校で虐められた事があった

面白そうに、笑いながら蹴られたり、殴られたりしたのを今でも覚えている

その事を思い出すたびに怖くなり、いつも抱き枕のようにしている自分で作った護の人形を抱きしめている

とにかく、そのときに護とアイが私を助けてくれたのだ

アイはマンティス独特のアサシンモードに入って私を暴力の中から助けてくれた

護は……いつものような優しい顔ではなく、まるで別人かと思うくらいの形相で私を虐めていた人たちをボコボコにしていた

先生が気づいて止めに入るまで彼らを殴り続けた

私は先生に一通り状況の説明し(全部、私を虐めた人たちが悪いと言う事にして)彼は悪くないと言う事にしてもらった

その後すぐに彼は私を抱きしめ『大丈夫、もう怖くないよ』と言ってくれた

そのときから私の中では彼がヒーローのような存在になり、それと同時に彼に惹かれるようになった

しかし最近、彼への思いが止められなくなってきた

一月ほど前までは護人形を抱きしめたり、彼のことを思いながら自慰に耽っただけでも満足できたのに、それだけでは物足りなくなっている

そのことをアイに相談してみたところ、おそらく発情期が来たのか魔力が足りなくなってしまっているのだろう、と言っていた

そろそろ我慢するのは限界だ、と私の中で魔物の本能が騒いでいる

無理やり襲うのは気が進まないけれども、近いうちに彼と交わらなければ本格的にまずい事になる

襲ったとしても彼は受け入れてくれるだろう

でもそれはなんだか恩を仇で返すような気がするのでなんだか気が進まない

しかし私はサハギンで、言葉を使うのは苦手だから、行動で自分の気持ちを伝えるしかない

アイが最近繁殖期の兆しが見えるそうなので、行動するしかないのかもしれない

彼女も今は彼のことは興味ないそうだけれども、繁殖期に入って彼を襲ったらおそらく私と同じぐらい彼のことを思うようになるだろう

彼のことを思う女として、親友とはいえ自分以外の女が彼の最初をもらうなんて考えられない

………決めた

今夜、夕食が終わった後に彼を襲う

夕食の後ならアイも自分の家に帰っているだろう

今日の予定も決まった事だし、そろそろ彼のところに朝食を食べに行こう
11/04/19 22:29更新 / 錆鐚鎌足
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■作者メッセージ
砂村ぎん決意する、の巻
ヒロイン視点っていうのはなんか苦手ですねぇ……

サ「ご主人様ってあまり主人公以外の視点の話は書いてませんしね」

バ「苦手じゃから避けておるだけじゃろう、ヘタレめ」

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