それぞれの想い
お母様、聞こえるでしょうか
私は今、とても幸せです
長年の夢だったジャノさんと結ばれる事が出来たのです
彼と直接会ったのはつい最近のことでしたが、お母様が知っているように私は彼のことを小さい頃から見ておりました
幼い頃の彼は、彼の両親が他界するまではとても幸せそうでした
しかし、両親が病に倒れ、現世から去ってしまうと陸に放り出された魚のように彼の心は段々弱っていき
昼は無感情に畑の整備をし、夜は寂しそうに眠りにつく
そんな毎日を続ける彼を私はまたかつてのように幸せにしてあげたかった
最初はただ単に不幸な彼を慈しんでいただけだったのですが、彼のことを知っていくうちに彼に惹かれていきました
あのときにお母様が私に肉体を与えてくれた事を今でもとても感謝しています
そのおかげで彼に笑顔を取り戻す事も出来ましたし、心身両方の意味で結ばれる事ができました
これもお母様に相談を受けていただいたり、助言をもらったおかげです
「母として、娘の幸せを願うのは当然の事よ」
「それに私は愛の女神なんだから、男女が結ばれるのを手伝うのも当然のことよ」
そうですか
しかし、このままいくといつの日か私は堕天してしまうでしょう
そうなってしまうであろう私をお許しください
「……それは別に仕方が無いんじゃない?」
「魔王が代替わりした今、堕天して私の元を離れる子も増えたわ」
「でもその代わりに彼女達はそれぞれ現在も幸せに暮らしているの」
「子供はいつかは親の元を離れていくものでしょう、だから別に構わないわ」
……ありがとうございます
私は天使としては未熟者ですが、お母様の子として生まれたのを誇りに思っています
堕天してもそれは変わらないはずです
「あら、嬉しい事を言ってくれるわね」
「でも堕天する前に一つだけあなたにお願いがあるわ」
「彼と結婚式を挙げなさい」
えっ…///
えっと……その……なんででしょうか……
「いや〜堕天した子って基本的に式を挙げたりしないから」
「やっぱり親としては娘の晴姿はみたいのよ」
……それに関しては出来るだけ努力はしてみます
うーむ……
つい勢いで買ってしまったがどうしようこれ……
僕は叔父さんの家に収穫した作物を届けに行った帰りに、クランにいつものお礼の意味を込めてプレゼントをしようと思い、知り合いが経営している装飾品店に行ったのだけど……
その知り合いにどういうものが気に入られるか相談していると、彼の奥さんであるドワーフがいつの間にやら指輪を完成させていたんだ
「女が一番喜ぶプレゼントは結婚指輪さっ!!!」
そう言って渡された指輪はとても短時間で作ったとは思えない代物で本来ならとても僕の買えるようなものじゃなかったんだけれど
「勢いで作ってしまったのなら仕方が無い、格安で販売してやるよ」
「ていうか名前が彫ってあるからお前以外の人には売れんしな」
乗り気になった知り合いにもそんなことを言われ、買わざるをえなくなってしまった
本当にこれどうしよう……
本来なら銀貨10枚程度のものにしようと思っていたのだけれど(あんまり高いと彼女が遠慮して受け取ってくれないだろうと思ったからね)
これは格安で売ってもらっても銀貨30枚もした
お金に関してはいつもお酒か肉類ぐらいしか買わないので有り余っていたから問題ない
これなら彼女を食事に誘った方が無難だったかなぁ
せっかく買ったんだし、受け取ってくれるか分からないけれど一応プレゼントはしようかな
家に帰り、いつプレゼントしようかと考えているうちにすっかりあたりは暗くなってしまった
クランはいつもなら本を読んでいるか、僕にくっついてくるのになんだかいつもと違い、僕の事を見て顔を赤くしたり、もじもじしている
もっとも僕の方もクランの様子を窺ったり、いつ渡そうかと考えていて、傍から見たら落ち着かない様子だろう
「「あ…あの……」」
「「そ……そっちからどうぞ」」
「「…………」」
綺麗にハモってしまった
なんで僕がラブコメの告白シーンみたいな真似をしなくてはならないのだ
言葉で言おうとするとまたハモりそうなので、手を使って無言でクランから言うように促す
「あっ……じゃあ私から言いますね」
彼女がこういう風に改まって何かを言うなんて珍しいな
「えっとですね……その……私と………」
「けっ……けっ……結婚してください///」
「ブッ」
唐突すぎて吹き出してしまった
確かに僕もクランのことは好きだけれども、急すぎないか?
いずれはするつもりだったけどこんなにも早いとびっくりする
この指輪が本当に結婚指輪になってしまったようだ
すごく嬉しいけど……
「嫌……ですか……」
クランが目に涙を浮かべ、不安そうに僕の方を見つめてくる
そんな目で見ないで欲しい、抱きしめたくなる
ていうか思わず抱きしめてしまった
こうなっては覚悟を決めるしかないね
「嫌じゃないよ……急すぎてちょっとビックリしただけだから」
「そうですか……ありがとうございます」
そういって彼女が軽く僕にキスをした
「そういえば、ジャノさんはどんな用事だったんですか?」
「いや……僕はこれをプレゼントしようと思ってたんだ」
そういって指輪の入っている小箱を手渡す
彼女は受け取った小箱を開けるとパァっと顔を輝かせた
「ジャノさんこれってもしかして………」
「ジャノさんも私にプロポーズするつもりだったんですね!!!」
最初はそのつもりはなかったけれども、結果的にはそうなってしまっていただろう
ほんとはちがうけどクランが喜ぶならこう言おうかな
「……僕の方からも言うね」
「クラン、僕と結婚してほしい」
ベタな感じが僕としては嫌だけれども、とっさに思いついたのがコレだけだった……
「はい……///」
まぁ、彼女も喜んでくれているので別にいいだろう
そういえば僕って彼女を幸せにするどころか逆に幸せにされてるよね
なんだか情けないな……
クランが僕のお嫁さんかぁ……
朝フェラで起こしてもらったり、裸エプロンでご飯を作ってもらったり……
って僕はプロポーズしてすぐにこんなことを考えるとか魔王の魔力が侵食してきているのかなぁ……
私は今、とても幸せです
長年の夢だったジャノさんと結ばれる事が出来たのです
彼と直接会ったのはつい最近のことでしたが、お母様が知っているように私は彼のことを小さい頃から見ておりました
幼い頃の彼は、彼の両親が他界するまではとても幸せそうでした
しかし、両親が病に倒れ、現世から去ってしまうと陸に放り出された魚のように彼の心は段々弱っていき
昼は無感情に畑の整備をし、夜は寂しそうに眠りにつく
そんな毎日を続ける彼を私はまたかつてのように幸せにしてあげたかった
最初はただ単に不幸な彼を慈しんでいただけだったのですが、彼のことを知っていくうちに彼に惹かれていきました
あのときにお母様が私に肉体を与えてくれた事を今でもとても感謝しています
そのおかげで彼に笑顔を取り戻す事も出来ましたし、心身両方の意味で結ばれる事ができました
これもお母様に相談を受けていただいたり、助言をもらったおかげです
「母として、娘の幸せを願うのは当然の事よ」
「それに私は愛の女神なんだから、男女が結ばれるのを手伝うのも当然のことよ」
そうですか
しかし、このままいくといつの日か私は堕天してしまうでしょう
そうなってしまうであろう私をお許しください
「……それは別に仕方が無いんじゃない?」
「魔王が代替わりした今、堕天して私の元を離れる子も増えたわ」
「でもその代わりに彼女達はそれぞれ現在も幸せに暮らしているの」
「子供はいつかは親の元を離れていくものでしょう、だから別に構わないわ」
……ありがとうございます
私は天使としては未熟者ですが、お母様の子として生まれたのを誇りに思っています
堕天してもそれは変わらないはずです
「あら、嬉しい事を言ってくれるわね」
「でも堕天する前に一つだけあなたにお願いがあるわ」
「彼と結婚式を挙げなさい」
えっ…///
えっと……その……なんででしょうか……
「いや〜堕天した子って基本的に式を挙げたりしないから」
「やっぱり親としては娘の晴姿はみたいのよ」
……それに関しては出来るだけ努力はしてみます
うーむ……
つい勢いで買ってしまったがどうしようこれ……
僕は叔父さんの家に収穫した作物を届けに行った帰りに、クランにいつものお礼の意味を込めてプレゼントをしようと思い、知り合いが経営している装飾品店に行ったのだけど……
その知り合いにどういうものが気に入られるか相談していると、彼の奥さんであるドワーフがいつの間にやら指輪を完成させていたんだ
「女が一番喜ぶプレゼントは結婚指輪さっ!!!」
そう言って渡された指輪はとても短時間で作ったとは思えない代物で本来ならとても僕の買えるようなものじゃなかったんだけれど
「勢いで作ってしまったのなら仕方が無い、格安で販売してやるよ」
「ていうか名前が彫ってあるからお前以外の人には売れんしな」
乗り気になった知り合いにもそんなことを言われ、買わざるをえなくなってしまった
本当にこれどうしよう……
本来なら銀貨10枚程度のものにしようと思っていたのだけれど(あんまり高いと彼女が遠慮して受け取ってくれないだろうと思ったからね)
これは格安で売ってもらっても銀貨30枚もした
お金に関してはいつもお酒か肉類ぐらいしか買わないので有り余っていたから問題ない
これなら彼女を食事に誘った方が無難だったかなぁ
せっかく買ったんだし、受け取ってくれるか分からないけれど一応プレゼントはしようかな
家に帰り、いつプレゼントしようかと考えているうちにすっかりあたりは暗くなってしまった
クランはいつもなら本を読んでいるか、僕にくっついてくるのになんだかいつもと違い、僕の事を見て顔を赤くしたり、もじもじしている
もっとも僕の方もクランの様子を窺ったり、いつ渡そうかと考えていて、傍から見たら落ち着かない様子だろう
「「あ…あの……」」
「「そ……そっちからどうぞ」」
「「…………」」
綺麗にハモってしまった
なんで僕がラブコメの告白シーンみたいな真似をしなくてはならないのだ
言葉で言おうとするとまたハモりそうなので、手を使って無言でクランから言うように促す
「あっ……じゃあ私から言いますね」
彼女がこういう風に改まって何かを言うなんて珍しいな
「えっとですね……その……私と………」
「けっ……けっ……結婚してください///」
「ブッ」
唐突すぎて吹き出してしまった
確かに僕もクランのことは好きだけれども、急すぎないか?
いずれはするつもりだったけどこんなにも早いとびっくりする
この指輪が本当に結婚指輪になってしまったようだ
すごく嬉しいけど……
「嫌……ですか……」
クランが目に涙を浮かべ、不安そうに僕の方を見つめてくる
そんな目で見ないで欲しい、抱きしめたくなる
ていうか思わず抱きしめてしまった
こうなっては覚悟を決めるしかないね
「嫌じゃないよ……急すぎてちょっとビックリしただけだから」
「そうですか……ありがとうございます」
そういって彼女が軽く僕にキスをした
「そういえば、ジャノさんはどんな用事だったんですか?」
「いや……僕はこれをプレゼントしようと思ってたんだ」
そういって指輪の入っている小箱を手渡す
彼女は受け取った小箱を開けるとパァっと顔を輝かせた
「ジャノさんこれってもしかして………」
「ジャノさんも私にプロポーズするつもりだったんですね!!!」
最初はそのつもりはなかったけれども、結果的にはそうなってしまっていただろう
ほんとはちがうけどクランが喜ぶならこう言おうかな
「……僕の方からも言うね」
「クラン、僕と結婚してほしい」
ベタな感じが僕としては嫌だけれども、とっさに思いついたのがコレだけだった……
「はい……///」
まぁ、彼女も喜んでくれているので別にいいだろう
そういえば僕って彼女を幸せにするどころか逆に幸せにされてるよね
なんだか情けないな……
クランが僕のお嫁さんかぁ……
朝フェラで起こしてもらったり、裸エプロンでご飯を作ってもらったり……
って僕はプロポーズしてすぐにこんなことを考えるとか魔王の魔力が侵食してきているのかなぁ……
11/03/29 22:35更新 / 錆鐚鎌足
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