二人の出会い
彼女との出会いは偶然だった
おいしい果実が名産だという村へ向かう途中の森の中、いつものようにとある町のサバトから買った魔物避けと獣避けの魔術が組み込まれたテントを広げ、たき火をぼんやりと眺めて夜を過ごしていた時のことだった
がさがさと草をかき分ける音がしたので自分の獲物に手をかけて警戒していると彼女が現れた
「明かりが見えたから来てみたけど、やっぱりボクと同じ旅人さんだったね」
夜の闇を連想させるような黒を基調とし、夕焼けを思い出すようなオレンジ色の何かの葉のような模様が特徴の露出の多い服装と大きめのトラベラーズハット
吸い込まれそうな紅い瞳に一本一本がまるで装飾品のように煌びやかな金髪
そして色から察して魔界銀打って作られたらしい一振りのレイピアが腰に差してある
人間離れした美しさと格好と彼女から発せられる魔力から察するに魔物だという気がするのだが、それを感じさせない雰囲気を彼女は纏っていた
魔術の心得の無い人ならばただの美しい女性にしか見えないだろう
「そんなに警戒しないでよ、確かにボクは魔物だけど今すぐキミを襲うっていう気は全然無いから」
「見ての通りボクもキミと同じ旅人さ、ただ単純に同じ旅人のキミに興味が湧いたからよってみただけだよ」
彼女の妙に人間らしく、魔物らしくない雰囲気や様子に困惑しながらも俺は彼女への警戒を解いた
彼女はそれを確認するとニコニコ微笑みながら俺の隣に腰を掛ける
「わかってくれてうれしいよ、ボクはダンピールのコレット、今はこの森を抜けた先にある村に向かっているところなんだ」
記憶が正しければダンピールというとインキュバスになっていない人間とヴァンパイアの間に産まれる魔物で、比較的人間に近い性質を持っていたはずだ
ならば、彼女の妙な人間らしさも納得できる
俺が自分の名前と今の目的地は同じだという旨を伝えると、彼女は自分の荷物を広げながら少し驚いたような表情をした
「それは奇遇だね、こんな場所で同じ旅人と出会えた上に目的地も一緒とは珍しいよ」
街道沿いならばともかく、それ以外の場所で同行者以外の旅人同士が出会うことなど滅多にない
更に目的地が一緒ということになると更に確率が小さくなる
「ならせっかくだしキミが良ければ一緒に行こうよ、ジパングでは旅は道連れ〜なんて言葉もあるみたいだし、一人よりも二人旅のがきっと楽しいよ」
自分のテントを組み立てた彼女はさわやかな笑顔を浮かべて俺に向き直る
別に断る理由もないし、彼女の言うとおりに旅の仲間は1人よりは2人のがいい、多すぎるとまた別だが
俺は彼女の提案を了承し、お互いの今までの旅についてやこれから行きたいと思っている場所について語り合った
そして数日後、件の村に到着した
俺はそこで彼女とは別れると思っていたのだが、彼女はそう思っていなかったらしく
「何を言ってるんだい?これからもボクと一緒に旅をしようよ、どうせお互い目的の無い旅路なんだし、まったりと行こうじゃないか」
と提案し、俺としても魔物の同行者が居れば他の魔物は積極的に襲ってこないし、男の寂しい一人旅よりは美しい女性との二人旅のが楽しいだろうと判断しこれを了承した
これが彼女との出会いであり、彼女との旅の始まりでもあった
おいしい果実が名産だという村へ向かう途中の森の中、いつものようにとある町のサバトから買った魔物避けと獣避けの魔術が組み込まれたテントを広げ、たき火をぼんやりと眺めて夜を過ごしていた時のことだった
がさがさと草をかき分ける音がしたので自分の獲物に手をかけて警戒していると彼女が現れた
「明かりが見えたから来てみたけど、やっぱりボクと同じ旅人さんだったね」
夜の闇を連想させるような黒を基調とし、夕焼けを思い出すようなオレンジ色の何かの葉のような模様が特徴の露出の多い服装と大きめのトラベラーズハット
吸い込まれそうな紅い瞳に一本一本がまるで装飾品のように煌びやかな金髪
そして色から察して魔界銀打って作られたらしい一振りのレイピアが腰に差してある
人間離れした美しさと格好と彼女から発せられる魔力から察するに魔物だという気がするのだが、それを感じさせない雰囲気を彼女は纏っていた
魔術の心得の無い人ならばただの美しい女性にしか見えないだろう
「そんなに警戒しないでよ、確かにボクは魔物だけど今すぐキミを襲うっていう気は全然無いから」
「見ての通りボクもキミと同じ旅人さ、ただ単純に同じ旅人のキミに興味が湧いたからよってみただけだよ」
彼女の妙に人間らしく、魔物らしくない雰囲気や様子に困惑しながらも俺は彼女への警戒を解いた
彼女はそれを確認するとニコニコ微笑みながら俺の隣に腰を掛ける
「わかってくれてうれしいよ、ボクはダンピールのコレット、今はこの森を抜けた先にある村に向かっているところなんだ」
記憶が正しければダンピールというとインキュバスになっていない人間とヴァンパイアの間に産まれる魔物で、比較的人間に近い性質を持っていたはずだ
ならば、彼女の妙な人間らしさも納得できる
俺が自分の名前と今の目的地は同じだという旨を伝えると、彼女は自分の荷物を広げながら少し驚いたような表情をした
「それは奇遇だね、こんな場所で同じ旅人と出会えた上に目的地も一緒とは珍しいよ」
街道沿いならばともかく、それ以外の場所で同行者以外の旅人同士が出会うことなど滅多にない
更に目的地が一緒ということになると更に確率が小さくなる
「ならせっかくだしキミが良ければ一緒に行こうよ、ジパングでは旅は道連れ〜なんて言葉もあるみたいだし、一人よりも二人旅のがきっと楽しいよ」
自分のテントを組み立てた彼女はさわやかな笑顔を浮かべて俺に向き直る
別に断る理由もないし、彼女の言うとおりに旅の仲間は1人よりは2人のがいい、多すぎるとまた別だが
俺は彼女の提案を了承し、お互いの今までの旅についてやこれから行きたいと思っている場所について語り合った
そして数日後、件の村に到着した
俺はそこで彼女とは別れると思っていたのだが、彼女はそう思っていなかったらしく
「何を言ってるんだい?これからもボクと一緒に旅をしようよ、どうせお互い目的の無い旅路なんだし、まったりと行こうじゃないか」
と提案し、俺としても魔物の同行者が居れば他の魔物は積極的に襲ってこないし、男の寂しい一人旅よりは美しい女性との二人旅のが楽しいだろうと判断しこれを了承した
これが彼女との出会いであり、彼女との旅の始まりでもあった
12/08/05 21:15更新 / 錆鐚鎌足
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