異形の森
俺の名はウルフ。一応、教団に属する剣士である。
俺は今、教団からの命によって森の中に入っていた。依頼内容は、双子姉妹の捜索である。行方不明になった彼女らは、ララとリリという、俺も良く知っている姉妹であった。森へ食材を取りに行ったきり、もう五日も戻っていないらしい。
これは拙い事になった、と俺は思った。森というものは、自分らが考えるより遥かに危険だからだ。
肉食の野生動物はもちろん、魔物なんかも出没し、さらには異界への入り口なんかも存在する。だから教団では、人々には森の奥深くには行くなと指導する。
しかし、彼女らはどうした弾みか、ついつい奥深くにまで行ってしまったらしい。俺はうっそうと茂った木々の間に、彼女らが落としたと思われる籠が転がっていた。中には、山菜やキノコなどの食材がぎっしり入っていた。きっと、食材調達に夢中になってしまったのだろう。これで、危険にも気付かないまま森の最深部へと入ったのは確実であった。
この辺りは、手練の冒険者でも入り込めない地域である。迂闊に踏み込めば最後、戻ってこなかった奴も多々居るくらいである。
もちろん、教団はこんな危険な場所を放置しようとはしなかった。しかし、かつてギルドと共同で森に攻め込んだ時も、何の成果も挙げられないまま無駄に人員を犠牲にする結果に終わったのだ。それ以来、教団もギルドも森の最深部には近づかない事を厳命した。
本来なら、俺だってこんなところまで来たくなかった。最深部とはいうものの、実際はどれだけの面積かも不明で、どのような動物や魔物が居るかも把握しきれていないのだ。
しかし、俺には引けない訳があった。それは、迷い込んだのがララとリリという事である。
俺と彼女らは、いわゆる幼馴染である。幼い頃はよく一緒に遊んだものである。だが、成長するにしたがって、俺は彼女らが好きになってしまう。
しかし、誰が見ても綺麗で可愛らしく成長していく彼女らに比べ、俺は誰が見ても平凡な容姿である。到底彼女らとは釣り合わないという事を自覚していった。周囲からちやほやされ、誉めそやされる彼女らは高嶺の花。それに、彼女らは下級とはいえ立派な貴族の出。俺はしがない平民。どう考えても釣り合う訳がない。俺は彼女らへの想いを断ち切ろうと、自ら志願して教団の剣士団に入団した。
だが、どれほど離れようとしても、彼女らが頭から離れないのだ。このような想いを抱えても無駄だというのに。しかし、離れれば離れるほど、彼女らへの想いは強くなっていく。
俺は、自身を情けない奴だと笑った。二人とも好きだなんて、どれだけ欲深い奴なのだ、と。一夫多妻は教団によって禁じられているというのに、その地点で最低な男である。俺には、彼女らに近づく資格など無い。いずれ彼女らには立派な貴族の子弟との婚姻が訪れるであろう。俺の出る幕など、皆無である。
それでも、彼女らを忘れる事なんて到底できなかったようである。ララとリリが失踪したと聞いた時、俺はひどく動揺した。何があっても、彼女らを助けなければならない。気が付けば、俺は自ら教団の捜索隊に志願していた。
未練タラタラな想いを断ち切るべく、俺は激しい訓練に身を置き、毎日を血反吐を吐くような生活を送った。だが、それも限界のようだ。このような想いを抱えたまま彼女らの近くにいるのは、これ以上無理だと思った。
(何が何でも、彼女を助け出す。たとえ自分が死のうとも……そして、彼女らを助けたら、俺はこの国を出て行く)
そのような思いを抱え、俺は森の最深部へと踏み込んで行った。
*****
俺は森の中を慎重に進んでいく。途中、何度も足を止めては地面を注意深く調べ、彼女らの通った痕跡を見つけようとする。彼女らが迷い込んだのは五日前だが、運が良ければ足跡とかがまだ残っているかもしれないと思ったのだ。
しかし、思わしい成果は今のところ出ていない。それどころか、だんだん危険な方へ進んでいるのではないかと思えてきたのだ。
「――おっと!」
俺は咄嗟に飛び上がり、回避行動をとる。俺が今まで居た場所に、植物の蔓がウネウネと伸びて来ていたのだ。それも一本だけではない。何本も何本も、植物の蔓は俺を捕まえようと伸びてくる。
俺はその蔓を避け、切り払う等の回避行動を取るが、四方八方から伸びてくる。遂に逃げ場所をなくした俺はあっけなく捕らわれ、身体の自由を奪われた。そして、とある花の方へと引き寄せられていく。
「あはっ、やっと捕まえたぁ!」
「えへへ、もう逃がさないっ!」
その花の方から、二人分の声が聞こえてくる。その声を聞いた瞬間、俺はあっと叫び声をあげた。それらの声に聞き覚えがあったのだ。
「――ララっ! リリっ!」
何と、俺が探していた二人が、巨大な花の中に居たのだ。やっと見つけた、と思ったが、ふとおかしな事に気付いた。
「お前ら、その格好……」
おかしい、なんてものではなかった。明らかに異常であった。一糸纏わぬ彼女らの肌は緑色をしており、まるで植物のようであった。いや、明らかに花と同化していたのだ。
何故かは分からないが、魔物になってしまった二人。こんな二人を、連れて帰る訳にはいかない。俺は文字通り絶望した。連れて帰れば、確実にこの二人は教団に消されるだろう。いや、連れてかえる以前に、俺自身がこの魔物に殺されるかもしれない。
「ウルフぅ……やっぱり来てくれたんだぁ!」
「やぁんっ、リリ凄くうれしいよぉ!」
俺はあっけなく花へと引きずられ、遂にその中に引き込まれる。妖艶でありながら、可愛らしい笑みを浮かべて俺に抱きついてくる二人。教団の剣士としてこの二人を斬らなければならない、と思うのだが、剣を握る俺の右腕は、動かなかった。
(……斬れる訳、無えだろう)
いくら魔物になったとはいえ、狂おしい程に好きだった二人である。たとえどのような魔物に変わろうとも、俺にはこの二人を斬れる訳が無かった。斬れないなら、俺が死ぬまで。俺は、剣を手放した。
だが、何時まで経っても殺される気配は無かった。それどころか、二人は左右から俺にぎゅっとしがみ付き、嬉しそうに頬ずりしている。
「えへへ。ウルフ、あったかぁい……」
「すごい、たくましい……はぁぁっ!」
甘い声をあげて絡みつく二人。その意外な成り行きに、俺はただ呆然として受け入れるのみであった。
「お前ら、俺を殺すんじゃ……」
「やだぁ、そんな事しないよぉ」
「好きな人を傷つけるなんて出来ないよぉ」
魔物は基本的に悪の存在。そのような先入観をブチ壊す返答をする二人。その言葉に、俺は何か引っかかる物を感じた。
「ちょっと待て! 今、何て言った?」
「好きなのぉ! 小さい時から、ずっとずっと好きなのぉ!」
「リリも、ウルフの事だぁい好きなのぉ!」
衝撃の言葉を、いとも簡単に言う二人。どうやら、両想いだったらしい。彼女らのこの言葉だけで、俺は長年の片恋が報われた気分であった。これでもう、死んでもいいとさえ思った。
「やだぁ! 死んじゃやだぁ!」
「ずっとこうして居たいよぉ!」
二人は一層強く俺にしがみ付いてくる。かなり嬉しかった。たとえ二人がどのような魔物に変わろうとも、俺が知っているララとリリである事に変わりは無い。いつもの可愛くて人懐っこく、そして甘えん坊な彼女らが目の前に居た。俺は、教団の教えなんか放り出して、この二人と一緒に過ごすのも良いなと思った。
正直に言えば、教団に入ったのも信心からではない。二人から離れ、二人の事を忘れるべく死に場所を求めていたというのが正しい。だから、このような状況になって、教団などどうでも良かった。
俺は、今まで言いたかった言葉を、やっと口にする。もはや身分とか、釣り合ってるかどうかとかは関係なく、一人の男として思いの丈を打ち明けた。
「……俺も、お前らが好きだ。これからは一緒に居ようか」
俺がこの言葉を口にすると、二人はわっと泣き出してむしゃぶりついた。
*****
「あんっ! あんっ……ああぁっ、はぁぁっ! あっ、ああっ……あああぁぁぁっ!」
ララが甘ったるい声をあげながらも、俺の愛撫に応える。俺は対面立位の状態で、ララと繋がっていた。身に纏っていた服は、とっくに脱ぎ捨てている。俺の背後では、リリが後ろから抱き着いてきて、たわわに実ったおっぱいを押し付けてくる。
「凄ぉいっ! お姉ちゃん、気持ち良さそう」
「はぁんっ! イイのぉ……気持ちイイのぉ!」
リリの声に応えるかのように、ますます声が大きくなっていくララ。彼女は迫り来る快感を堪えきれず、俺に抱きついて自ら腰を揺らす。
三人の想いが通じ合えば、後は溶けていくだけであった。俺はララを強く抱き寄せると、ぱぁんっと音が響く程に腰を打ちつけ、ララに快楽を刻んでいく。
「ああんっ! あぁっ……あはぁぁーーーっ! イクっ、イクぅぅぅ!」
甲高い声を漏らしながら、ララは背を仰け反らせて絶頂に達する。そのララの腰をしっかりと引き寄せて、俺は盛大に膣奥へと射精した。
「ああん! 出てるぅ……いっぱい出てるのぉぉ!」
「お姉ちゃん、いいなぁ」
お腹の奥に感じる熱の感触にうっとりとなるララと、それを羨ましげに見るリリ。
「ほら、リリもすぐにシてやるから」
「本当!? やったぁ!」
俺が声を掛けると、嬉しそうにまとわりつくリリ。そんな彼女のあごに手を添えて上を向かせ、口付けていくとリリも夢中で舌を絡めてくる。
「んっ! んふぅ……ちゅぱっ、ちゅむっ! んんぅ……んちゅっ、んちゅぅぅっ!」
俺の首筋に腕を巻きつけ、身体を密着させてくるリリ。試みに手を彼女の股間に持っていくと、手に滑った感触を感じた。もうすっかり準備は良さそうだった。
俺は未だにそそり立ったままの逸物をリリの秘所にあてがうと、一気に奥までぶち込んだ。
「あうぅぅぅーーーっ! ああっ、ああアアアァァァーーーッ!」
大きな叫び声をあげながら、リリは俺に強くしがみ付く。キツキツで狭いながらもウネウネと膣壁が絡みつく感触が気持ち良くて、俺は腰をグリグリ動かしてリリへの愛撫を重ねる。
その時になって、ララも絶頂の余韻から復活したらしい。彼女は俺に背後から抱きつき、背筋や首筋、あるいは耳を舐め、手を前に回して蜜を塗りたくるように俺の身体を撫で回す。
「んっ、れろっ……はぁはぁっ、ウルフの匂い……はぁぁぁっ!」
おっぱいを押し付け、俺の背に頬ずりするララ。恋焦がれていた美人姉妹に挟まれた俺は、この上なく幸せであった。
「ああんっ! ウルフぅ……好きっ、好きっ!」
「俺も、好きだよ」
「あはぁっ! 私もぉ、しゅきぃ!」
俺らは思いのままに思いの丈をぶつけ、快感を貪る。甘々な雰囲気に、三人とも高ぶっていくのが分かった。
「リリっ、出すぞっ!」
「いいよぉ、来てぇ! リリのナカぁ、ウルフのでいっぱいにシテぇ!」
リリは俺に強くしがみ付き、奥深くまで逸物を迎えようとする。そんな彼女の望みに応えるべく、俺もしっかりとリリの腰を引き寄せ、ありったけの精を叩き込んだ。
「ひゃぁぁぁんっ! ああっ、ああぁぁっぁぁぁーーーっ! ナカ、お腹熱いよぉぉぉっ!」
身体をガクガクと震わせ、快感をアピールするリリ。やがてぐったりと身体の力を抜き、崩れるように俺に倒れ込んできた。俺はリリの身体を受け止めるが、情けない事に体力的にピークだったらしい。俺もその場に座り込む。花の中は蜜が溢れそうになっており、さながら蜜で出来たぬるま湯に浸かっているようであった。
だが、休む暇は無い。今度はララが、俺の横に座るように身をかがめて、擦り寄ってくるのだ。
「はぁん! もっと、もっとシてぇ!」
甘い声でねだりながら、俺の顔を向けさせ、口付けてくるララ。当然、俺も応じる。夢中で口付けていると、横からリリが手を伸ばしてきて俺の顔を振り向かせる。
「リリも、チュウするぅ……」
口の中に蜜を流し込まれ、何も考えられなくなってくる俺。意外な結末になったが、これで良いと思った。たとえ魔物になろうとも、彼女らは彼女らであり、俺が恋した双子姉妹に違いは無い。今後、何があってもこいつらから離れない。いや、離さない。俺はそう誓った。
俺は今、教団からの命によって森の中に入っていた。依頼内容は、双子姉妹の捜索である。行方不明になった彼女らは、ララとリリという、俺も良く知っている姉妹であった。森へ食材を取りに行ったきり、もう五日も戻っていないらしい。
これは拙い事になった、と俺は思った。森というものは、自分らが考えるより遥かに危険だからだ。
肉食の野生動物はもちろん、魔物なんかも出没し、さらには異界への入り口なんかも存在する。だから教団では、人々には森の奥深くには行くなと指導する。
しかし、彼女らはどうした弾みか、ついつい奥深くにまで行ってしまったらしい。俺はうっそうと茂った木々の間に、彼女らが落としたと思われる籠が転がっていた。中には、山菜やキノコなどの食材がぎっしり入っていた。きっと、食材調達に夢中になってしまったのだろう。これで、危険にも気付かないまま森の最深部へと入ったのは確実であった。
この辺りは、手練の冒険者でも入り込めない地域である。迂闊に踏み込めば最後、戻ってこなかった奴も多々居るくらいである。
もちろん、教団はこんな危険な場所を放置しようとはしなかった。しかし、かつてギルドと共同で森に攻め込んだ時も、何の成果も挙げられないまま無駄に人員を犠牲にする結果に終わったのだ。それ以来、教団もギルドも森の最深部には近づかない事を厳命した。
本来なら、俺だってこんなところまで来たくなかった。最深部とはいうものの、実際はどれだけの面積かも不明で、どのような動物や魔物が居るかも把握しきれていないのだ。
しかし、俺には引けない訳があった。それは、迷い込んだのがララとリリという事である。
俺と彼女らは、いわゆる幼馴染である。幼い頃はよく一緒に遊んだものである。だが、成長するにしたがって、俺は彼女らが好きになってしまう。
しかし、誰が見ても綺麗で可愛らしく成長していく彼女らに比べ、俺は誰が見ても平凡な容姿である。到底彼女らとは釣り合わないという事を自覚していった。周囲からちやほやされ、誉めそやされる彼女らは高嶺の花。それに、彼女らは下級とはいえ立派な貴族の出。俺はしがない平民。どう考えても釣り合う訳がない。俺は彼女らへの想いを断ち切ろうと、自ら志願して教団の剣士団に入団した。
だが、どれほど離れようとしても、彼女らが頭から離れないのだ。このような想いを抱えても無駄だというのに。しかし、離れれば離れるほど、彼女らへの想いは強くなっていく。
俺は、自身を情けない奴だと笑った。二人とも好きだなんて、どれだけ欲深い奴なのだ、と。一夫多妻は教団によって禁じられているというのに、その地点で最低な男である。俺には、彼女らに近づく資格など無い。いずれ彼女らには立派な貴族の子弟との婚姻が訪れるであろう。俺の出る幕など、皆無である。
それでも、彼女らを忘れる事なんて到底できなかったようである。ララとリリが失踪したと聞いた時、俺はひどく動揺した。何があっても、彼女らを助けなければならない。気が付けば、俺は自ら教団の捜索隊に志願していた。
未練タラタラな想いを断ち切るべく、俺は激しい訓練に身を置き、毎日を血反吐を吐くような生活を送った。だが、それも限界のようだ。このような想いを抱えたまま彼女らの近くにいるのは、これ以上無理だと思った。
(何が何でも、彼女を助け出す。たとえ自分が死のうとも……そして、彼女らを助けたら、俺はこの国を出て行く)
そのような思いを抱え、俺は森の最深部へと踏み込んで行った。
*****
俺は森の中を慎重に進んでいく。途中、何度も足を止めては地面を注意深く調べ、彼女らの通った痕跡を見つけようとする。彼女らが迷い込んだのは五日前だが、運が良ければ足跡とかがまだ残っているかもしれないと思ったのだ。
しかし、思わしい成果は今のところ出ていない。それどころか、だんだん危険な方へ進んでいるのではないかと思えてきたのだ。
「――おっと!」
俺は咄嗟に飛び上がり、回避行動をとる。俺が今まで居た場所に、植物の蔓がウネウネと伸びて来ていたのだ。それも一本だけではない。何本も何本も、植物の蔓は俺を捕まえようと伸びてくる。
俺はその蔓を避け、切り払う等の回避行動を取るが、四方八方から伸びてくる。遂に逃げ場所をなくした俺はあっけなく捕らわれ、身体の自由を奪われた。そして、とある花の方へと引き寄せられていく。
「あはっ、やっと捕まえたぁ!」
「えへへ、もう逃がさないっ!」
その花の方から、二人分の声が聞こえてくる。その声を聞いた瞬間、俺はあっと叫び声をあげた。それらの声に聞き覚えがあったのだ。
「――ララっ! リリっ!」
何と、俺が探していた二人が、巨大な花の中に居たのだ。やっと見つけた、と思ったが、ふとおかしな事に気付いた。
「お前ら、その格好……」
おかしい、なんてものではなかった。明らかに異常であった。一糸纏わぬ彼女らの肌は緑色をしており、まるで植物のようであった。いや、明らかに花と同化していたのだ。
何故かは分からないが、魔物になってしまった二人。こんな二人を、連れて帰る訳にはいかない。俺は文字通り絶望した。連れて帰れば、確実にこの二人は教団に消されるだろう。いや、連れてかえる以前に、俺自身がこの魔物に殺されるかもしれない。
「ウルフぅ……やっぱり来てくれたんだぁ!」
「やぁんっ、リリ凄くうれしいよぉ!」
俺はあっけなく花へと引きずられ、遂にその中に引き込まれる。妖艶でありながら、可愛らしい笑みを浮かべて俺に抱きついてくる二人。教団の剣士としてこの二人を斬らなければならない、と思うのだが、剣を握る俺の右腕は、動かなかった。
(……斬れる訳、無えだろう)
いくら魔物になったとはいえ、狂おしい程に好きだった二人である。たとえどのような魔物に変わろうとも、俺にはこの二人を斬れる訳が無かった。斬れないなら、俺が死ぬまで。俺は、剣を手放した。
だが、何時まで経っても殺される気配は無かった。それどころか、二人は左右から俺にぎゅっとしがみ付き、嬉しそうに頬ずりしている。
「えへへ。ウルフ、あったかぁい……」
「すごい、たくましい……はぁぁっ!」
甘い声をあげて絡みつく二人。その意外な成り行きに、俺はただ呆然として受け入れるのみであった。
「お前ら、俺を殺すんじゃ……」
「やだぁ、そんな事しないよぉ」
「好きな人を傷つけるなんて出来ないよぉ」
魔物は基本的に悪の存在。そのような先入観をブチ壊す返答をする二人。その言葉に、俺は何か引っかかる物を感じた。
「ちょっと待て! 今、何て言った?」
「好きなのぉ! 小さい時から、ずっとずっと好きなのぉ!」
「リリも、ウルフの事だぁい好きなのぉ!」
衝撃の言葉を、いとも簡単に言う二人。どうやら、両想いだったらしい。彼女らのこの言葉だけで、俺は長年の片恋が報われた気分であった。これでもう、死んでもいいとさえ思った。
「やだぁ! 死んじゃやだぁ!」
「ずっとこうして居たいよぉ!」
二人は一層強く俺にしがみ付いてくる。かなり嬉しかった。たとえ二人がどのような魔物に変わろうとも、俺が知っているララとリリである事に変わりは無い。いつもの可愛くて人懐っこく、そして甘えん坊な彼女らが目の前に居た。俺は、教団の教えなんか放り出して、この二人と一緒に過ごすのも良いなと思った。
正直に言えば、教団に入ったのも信心からではない。二人から離れ、二人の事を忘れるべく死に場所を求めていたというのが正しい。だから、このような状況になって、教団などどうでも良かった。
俺は、今まで言いたかった言葉を、やっと口にする。もはや身分とか、釣り合ってるかどうかとかは関係なく、一人の男として思いの丈を打ち明けた。
「……俺も、お前らが好きだ。これからは一緒に居ようか」
俺がこの言葉を口にすると、二人はわっと泣き出してむしゃぶりついた。
*****
「あんっ! あんっ……ああぁっ、はぁぁっ! あっ、ああっ……あああぁぁぁっ!」
ララが甘ったるい声をあげながらも、俺の愛撫に応える。俺は対面立位の状態で、ララと繋がっていた。身に纏っていた服は、とっくに脱ぎ捨てている。俺の背後では、リリが後ろから抱き着いてきて、たわわに実ったおっぱいを押し付けてくる。
「凄ぉいっ! お姉ちゃん、気持ち良さそう」
「はぁんっ! イイのぉ……気持ちイイのぉ!」
リリの声に応えるかのように、ますます声が大きくなっていくララ。彼女は迫り来る快感を堪えきれず、俺に抱きついて自ら腰を揺らす。
三人の想いが通じ合えば、後は溶けていくだけであった。俺はララを強く抱き寄せると、ぱぁんっと音が響く程に腰を打ちつけ、ララに快楽を刻んでいく。
「ああんっ! あぁっ……あはぁぁーーーっ! イクっ、イクぅぅぅ!」
甲高い声を漏らしながら、ララは背を仰け反らせて絶頂に達する。そのララの腰をしっかりと引き寄せて、俺は盛大に膣奥へと射精した。
「ああん! 出てるぅ……いっぱい出てるのぉぉ!」
「お姉ちゃん、いいなぁ」
お腹の奥に感じる熱の感触にうっとりとなるララと、それを羨ましげに見るリリ。
「ほら、リリもすぐにシてやるから」
「本当!? やったぁ!」
俺が声を掛けると、嬉しそうにまとわりつくリリ。そんな彼女のあごに手を添えて上を向かせ、口付けていくとリリも夢中で舌を絡めてくる。
「んっ! んふぅ……ちゅぱっ、ちゅむっ! んんぅ……んちゅっ、んちゅぅぅっ!」
俺の首筋に腕を巻きつけ、身体を密着させてくるリリ。試みに手を彼女の股間に持っていくと、手に滑った感触を感じた。もうすっかり準備は良さそうだった。
俺は未だにそそり立ったままの逸物をリリの秘所にあてがうと、一気に奥までぶち込んだ。
「あうぅぅぅーーーっ! ああっ、ああアアアァァァーーーッ!」
大きな叫び声をあげながら、リリは俺に強くしがみ付く。キツキツで狭いながらもウネウネと膣壁が絡みつく感触が気持ち良くて、俺は腰をグリグリ動かしてリリへの愛撫を重ねる。
その時になって、ララも絶頂の余韻から復活したらしい。彼女は俺に背後から抱きつき、背筋や首筋、あるいは耳を舐め、手を前に回して蜜を塗りたくるように俺の身体を撫で回す。
「んっ、れろっ……はぁはぁっ、ウルフの匂い……はぁぁぁっ!」
おっぱいを押し付け、俺の背に頬ずりするララ。恋焦がれていた美人姉妹に挟まれた俺は、この上なく幸せであった。
「ああんっ! ウルフぅ……好きっ、好きっ!」
「俺も、好きだよ」
「あはぁっ! 私もぉ、しゅきぃ!」
俺らは思いのままに思いの丈をぶつけ、快感を貪る。甘々な雰囲気に、三人とも高ぶっていくのが分かった。
「リリっ、出すぞっ!」
「いいよぉ、来てぇ! リリのナカぁ、ウルフのでいっぱいにシテぇ!」
リリは俺に強くしがみ付き、奥深くまで逸物を迎えようとする。そんな彼女の望みに応えるべく、俺もしっかりとリリの腰を引き寄せ、ありったけの精を叩き込んだ。
「ひゃぁぁぁんっ! ああっ、ああぁぁっぁぁぁーーーっ! ナカ、お腹熱いよぉぉぉっ!」
身体をガクガクと震わせ、快感をアピールするリリ。やがてぐったりと身体の力を抜き、崩れるように俺に倒れ込んできた。俺はリリの身体を受け止めるが、情けない事に体力的にピークだったらしい。俺もその場に座り込む。花の中は蜜が溢れそうになっており、さながら蜜で出来たぬるま湯に浸かっているようであった。
だが、休む暇は無い。今度はララが、俺の横に座るように身をかがめて、擦り寄ってくるのだ。
「はぁん! もっと、もっとシてぇ!」
甘い声でねだりながら、俺の顔を向けさせ、口付けてくるララ。当然、俺も応じる。夢中で口付けていると、横からリリが手を伸ばしてきて俺の顔を振り向かせる。
「リリも、チュウするぅ……」
口の中に蜜を流し込まれ、何も考えられなくなってくる俺。意外な結末になったが、これで良いと思った。たとえ魔物になろうとも、彼女らは彼女らであり、俺が恋した双子姉妹に違いは無い。今後、何があってもこいつらから離れない。いや、離さない。俺はそう誓った。
15/04/09 23:41更新 / 香炉 夢幻