堕落ルート ―修道女の祈り―
修道女となるのには様々な方法がある。 私の国では修道誓願を神へ立てることをいう。ただ祈るだけではない。二年もの間『祈りの間』と呼ばれる暗室で一人暮らし、俗世との関わりを断ち、ただ一心に神へ祈り続けることだ。 神に祈りを捧げ、誓いを立て、そうしてようやく修道女となれる。 だがこの程度は当然のこと。修道女として生きると決めた者が、神に全てを捧げると誓った者が行うには当たり前だ。 だからこそ試される。 その信仰心は、誓いは本物なのかと。 「シスター・ヴィエラ。お立ちなさい」 「はい」 上から降り注ぐ柔らかな声に私は立ち上がる。 目の前にいたのは白い修道服をまとった一人の女性。彼女は私と違って既に試練に耐え忍び、神の声を聞き入れることができるようになった修道女。そして偉業を成し遂げ聖女とまで呼ばれるまでになった女性だ。 「貴方にはこれから辛く厳しい試練が待ち受けています。そこでは貴方の神への信仰心が問われることとなります」 「はい」 「何かあった時のために護衛の方を付けますが、だからといって安心してはいけません。貴方を守る存在であっても頼り切るのではなく、貴方もその信仰心で護衛の方をお守りするのです」 彼女の言葉に私は静かに頷いた。 「願いなさい…さすれば邪悪なるものも退けられましょう」 そう言って彼女は手にとった十字架を私にかけた。 「祈りなさい…さすれば神は貴方をお護りしてくれましょう」 彼女は私から離れ十字をきる。対して私は片膝をつき、両手を組んで祈りを捧げた。 「神のご加護があらんことを」 |
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