連載小説
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ファイナルミッション!
「残り時間は12分、残っている逃走者は5人、、、」

スマフォを見ながらエインは呟いた。
既にゲームも終盤に差し掛かっており、残りは12分とわずかになっていた。

2thミッションの卵の返却も30分前には全てを返し終わっておりハンターも今は3人と初期人数よりも少なくなっていた。

3rdミッションのトランパートとのバトルファックは残った逃走者からはほぼスルーされており、後半の時間のほとんどは何事もなくゲームが進んでいた。
そして既にラスト10分前に差し掛かろうとしていたのだ。


(どうなることかと思ったこのゲームも、なんとかなりそうだな。、、、それにしても後半なんだかやけに何もなかった気がするが、まぁなんにせよとりあえずはひと安心か、、、
なんだか少し残念な気もするな。)

そんなことをぼんやりと考え、スマフォをポケットに閉まった、その時だった。


びー!びー!びー!びー!びー!びー!


「うっ!?これはもしかして、、、」

眺めていたスマフォをポケットに戻した途端、スマフォが震えだし騒がしく音を立てた。
嫌な予感をさせながら、俺はゆっくりとスマフォを覗いた。


「やぁみんな!いつもニコニコみんなのスマフォに這い寄るゲームマスター♪ハットちゃんだよ!」

どうやら嫌な予感は的中したようだ。

今回のハットちゃんはちょっとだらしないシャツを来て、顔をほんのり赤くし、髪を濡らして、肩にはタオルをかけ、手には炭酸飲料の入ったビンを持っていた。
さらにハットちゃんの後ろでは上半身裸で頭にタオルをかけているシータがガシガシと髪を拭いている。

察するにこれはおそらく、風呂上がりだ。






「今ね!急いで最後のミッションのメールを送ったから絶対に見てね!最後のミッションは、最後のミッションらしくとっても重要だからね!じゃあラストスパート!頑張ってきゃっ♥
もう♥シータってば♥
お風呂せっかくお風呂入って綺麗にしたのにぃ♥お風呂でもあんなにいっぱいエッチしたのに♥もう♥しょうがないなぁ♥シータは♥
好き♥」

通信はそこで終わった。同時にスマフォにメールが届いた。


「、、、あいつらは、なんでいつもこう、、、いや、いいや、もういいや、、、」

軽くあきれながら、しかしほんの少しだけ羨ましく思いながら、俺はミッションのメールに目を移した。


「・ミッション!イタズラ猫を捕まえろ!
イタズラ好きのチェシャ猫がこの国にある封印の扉の鍵を開けてしまった!
このままでは残り時間5分になるとジャバウォック50人がハンターとして追加されてしまう!
阻止するにはチェシャ猫を捕まえて鍵を奪い取り再び扉を閉めるしかない!
急いでチェシャ猫を捕まえよう!
*ジャバウォックとは不思議の国固有のドラゴン娘の事で飛ぶ速さは風より速く、力は岩をも砕く、更に口からは男の理性を奪う催淫の息を吐く、とにかくスゴい娘の事だ!強いぞ!かっこいいぞ!」

さらにメールには捕まえるべきであろう猫の魔物娘の写真が添付されていた。
いかにもイタズラが大好きそうな猫の魔物娘がダブルピースをしてそこに貼り付けられていた。


「、、、はぁーーーっ!!!??」

俺は思わずその場で声をあげた。


「おいおい、これは、、、やってくれるな!最後の最後にこんなミッションを持ってくるなんて、、、ん?このメール、まだ続きがあるぞ?」

メールはまだ続いていることに気がついた俺は、更に下にメールを読み進めた。


「**このメール本当は残り時間25分の時点で送んなきゃダメだったんだけど、、、ごめんね!許して!」


「、、、、、ふざけんなぁーーーーっ!!!!」

俺は再び大声をあげた。


(どうする!?5分でチェシャ猫を捕まえてなきゃならない上に秘密の扉の鍵を閉めにいかないといけない、、、絶望的だ!!!どーすればいいんだ!?このミッション!?)

あまりのパニックになって俺は滝のような汗をかきながら頭を抱えた。
その時だった。


びー!びー!びー!びー!びー!


「うっ!?今度はなんだ!?」

またまたまたスマフォが音をたてて震えだした。
そこには黒い画面に「エルド」と書かれていた。


「ええっと?なんだこれ?確保情報、、、ではないよな?えっと、、、」

初めて見る画面に戸惑いながらも画面を触ってみると、スマフォ画面が変なマークに変わった。


「あっ!エインさんですか!?僕はエルドと言います!まだ生き残ってる逃走者です!」

スマフォから男の声が流れていた。


「どうなってるんだ!?この機械は?、、、通信しているのか?そうか、実はこの機械を使えば離れてる逃走者と喋ることが出来たのか、、、知らなかったな。」

この世界の技術力は本当に凄い。訳がわからないことばかりだ。
緊急事態だというのに時間を忘れ思わず感心してしまう。


「そんなことより!ミッションのメール見ましたか!?恐らく残りの時間を考えるとバラバラに動いていたら時間内にチェシャ猫を捕まえられません!残った皆で協力して捕まえましょう!」

スマフォの向こうに居るエルドという男は息を切らすように喋りながらそう提案した。
スマフォ越しからも走りながら焦りながら喋っていると言うのが分かる。


「そうだな!わかった!具体的にはどうすれば良い?なにか考えがあるのか!?」


「恐らくチェシャ猫さんを見つけたら全員に連絡をいれて自分がどこにいるかを知らせると良いにゃ。そしてみんにゃでじわじわと囲むようにして追い込むのが得策だと思われるにゃ。」


「はい!僕も似たようなことを考えてました!」

良かった。このエルドという男、どうやら具体的な作戦を考えててくれたようだ。この窮地に頼りになる男が残っててくれて助かった。
ん?ちょっと待て


「、、、え?」

俺はゆっくりと隣を見た。


「それからチェシャ猫さんはお魚が大好物だにゃ♥特にマグロさんが大好きだにゃ♥持ってきたらひょっこり現れるかもしれないにゃ♥大トロや中トロよりも油の少なくてさっぱりしてる赤身部分が好きなのにゃ♥お酒があれば尚良しだにゃ♥」


「エインさん!あなたチェシャ猫ちゃんに詳しいんですね!実は僕も今回については他にも秘策があるんです!作戦があるんです!」


「、、、いたーーーっ!!」

走りながらチェシャ猫を探している俺の真横には、涼しい顔をして俺の横を並走している猫の姿をした女の子がいた。

意地悪でいたずらが大好きそうな笑い顔、パジャマのようなネグリジェのようなイヤらしい服、黒と紫のツートンカラーの髪の毛、頭の上から生えているピョコピョコ動く猫の耳、可愛らしいお尻から生えているフリフリ動く猫の尻尾、気持ち良さそうなモコモコの毛に覆われた手足。

間違いない、この娘がチェシャ猫だ。


「にゃにゃにゃ〜♥見つかってしまったにゃ〜♥では諸君!サラダバーだにゃ〜♥」


「サラダバーじゃねぇよ!まて!イタズラ猫!」

俺はチェシャ猫を追いかけた。


「イタズラ猫じゃないにゃあ〜!にゃたしはチェシャ猫さんのクエス・チョン・ハテニャさんだにゃ〜♥クエスちゃんって呼んでほしいにゃ〜♥」

ウインクひとつすると、クエスとなのったチェシャ猫は信じられない速さで走り抜けて行ってしまった。
17/12/19 23:08更新 / J2
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■作者メッセージ
逃走中の第2段を考えてみたんですが、ゲームマスター役のハットちゃんが僕の中ではまり役すぎて他の娘がゲームマスターになるとどうしても微妙になってしまう。
このSSももっとチェシャ猫を推して行くはずだったのに気がついたらハットちゃんとシータの絡みばっかり考えてて手が止まることが多々ありました。
今ではマッドハッターが不思議の国で一番好きな魔物娘かもしれないってくらい好きになってしまいました。

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