「にゃにゃにゃ〜♥捕まえてみるにゃ〜♥」

「まっ、、、まてっ！！」

クエスと名乗ったチェシャ猫を見つけた俺はすぐに追いかけた。全速力で走り回ったが、まったく追い付くことは出来なかった。
クエスの足が速すぎる！さっき走っている俺に涼しい顔で並走しているほどの脚力をもっているんだ。速くないわけがない。


「はぁっ！はぁっ、、、しまった！見失った！どこにいった！？」

チェシャ猫のクエスは非常にすばしっこい上に狡猾で、すぐに物陰に隠れてしまう。何度追いかけてもすぐに引き離されどこかに隠れられてしまうのだ。


ﾑﾆｭﾘｯ‼
「はうっ！」

そしてチェシャ猫を見失ったと思ったら、突如背中になにか柔らかくて大きくて凄くエッチなものが押し付けられる。
さらに耳元に顔を近づけてはぁはぁと生暖かく甘酸っぱい吐息を吐きかけてくる。
不意に押しつれられたそれらに男としての本能がどうしても反応してしまう。
すぐに捕まえなければならないと分かっているのに、激しい肉欲がもっとこの素晴らしい肉感と吐息をもっと感じていたいと反発してしてしまう。


「にゃにゃにゃ〜♥誰がお探しのようにゃね〜♥実はにゃたしも人を探してるんだにゃ〜♥素敵な♥旦那様♥心当たりはないかにゃ？」
ﾍﾞﾛﾘｯ‼

後ろから抱きついてきたチェシャ猫がベットリと俺の頬を舐めてきた。
猫特有のざらざらで唾液にまみれた舌で、俺の頬をまるでアイスクリームのようにベロリと舐めてきた。
あまりの気持ちよさに一瞬頭がピンク色に染まってしまう。なにも考えられずうっとりしてしまう。


「あぁ♥、、、い、いつの間に！？」

「にゃにゃにゃ〜♥」

やっとの事で背後を向くと、チェシャ猫は愉快そうに跳びはね、凄い速さで離れていった。しかもどこかの草むらや木の影に隠れたと思ったらまた違うところから顔を出すのだ。

この神出鬼没の能力がとても厄介
視界から外れたと思ったらまったく違うところから現れる。そして戸惑っていると後ろから抱きついて頬をベットリと舐めてこちらを弄んでくる。
こんなやつをどうやって捕まえろって言うんだ！？


「くそっ！イタズラ猫め！こんなの！どうやって捕まえたらいいんだ！？」

あまりの絶望感に途方にくれ始めていたときだった。


「あぁ！見つけた！すいませーん！あなた！もしかしてエインさんですか！？」

数メートル向こうからひとりの青年がこちらに向かって手を振って走ってきた。


「きみは、エルドくんか！？」

声には若干聞き覚えがあった。スマフォ越しにミッションの協力を持ちかけてきた人だ。


「そうです！エルドです！協力してあの猫ちゃんを捕まえましょう！」

どこか嬉しそうにエルドくんは言った。


「助かるよ！エルドくん！でもどうやってあのイタズラ猫を捕まえよう？あまりにも神出鬼没でまったく捕まえられる予感がないんだが、、、」

額の汗と頬の唾液を拭いながら俺は相談した。


「それなんですが、実は僕に秘策があります！」

「そう言えば言ってたな、その秘策ってなんだ！？」

藁にもすがる思いで俺はエルドくんの話を聞いた。


「エインさん、あなた猫ちゃ、、、クエスちゃんに後ろから抱きつかれませんでしたか？僕はここに来る途中にけっこうやられたんですが、、、」

「ああ、俺もけっこうやられたな。目を離したすきに後ろから抱き付かれて顔をベロリと舐められた。もしかして皆やられてるのか？凄い移動能力だなあのイタズラ猫、でもそれがどうした？」

「それがこの作戦の肝です！良いですか！恐らくチャンスは一度しかないのでよく聞いてください！」

前に一歩踏み出して、声に力を込めてエルドくんが語り始めた。


「まずは常に二人ですぐに駆け寄れる距離に位置します。そして次にチェシャ猫が僕に抱きついて来たときがチャンスです。絶対に僕があの猫ちゃんを捕まえてみせます！そしたらエインさんはすぐに鍵を奪い取って扉を閉めにいって下さい！
恐らく僕は、、、そのまま猫ちゃんに捕まってゲームから脱落してしまうと思うんです。なので身勝手なお願いなんですが、後のことをお願いします。」

決意に充ちた顔でエルドくんは話をした。


「エルドくん、、、君は残りの皆のために犠牲になってくれるのか？」

「はいっ！僕一人の犠牲で皆さんが助かるなら、、、それは必要な犠牲なんだも思います！全滅してしまうくらいなら、僕一人の貞操などどうなっても構いません！」

こちらが圧される程に堂々とエルドくんは返事をしてくれた。


「、、、すまないっ！ありがとうっ！」

あまりの威勢の良さと覚悟に、俺は心を打たれた。ありがとうと言うことしか出来なかった。それ以外の言葉を見つけられないほどこの勇敢な青年に感謝することしか出来なかった。
そんな話をしている最中だった。


「にゃにゃにゃ〜♥男二人でいったいにゃ〜んの話をしているのかにゃ？」

エルドくんの背後にチェシャ猫のクエスが現れた。
そしていつも通りエルドくんの背中に体重をかけて抱きつき、その豊満な胸やイヤらしく曲線を描く腰を惜しみ無く擦り付けていた。


「でた！！チェシャ猫だっ！クエスだっ！」

俺はとっさに身構えた。


「チェシャ猫のクエスちゃん、、、君を捕まえる！！」

しかし、俺とは裏腹に捕まえる本人であるエルドくんは動かなかった。まるで山のように動くことなく、どっしりと構えていた。


「にゃにゃにゃ〜♥やってみるにゃ〜♥にゃたしを捕まえられるもんにゃら捕まえてみるのにゃ〜♥」
ﾍﾞﾛﾘｯ‼

とびっきり悪いにやけ面を見せたクエスは、自慢のざらざらで唾液をたっぷりと纏った猫の舌を見せ付けるように外に出して
ベットリとエルドくんの頬を舐めた。


「、、、捕まえたよ！クエスちゃん！」

エルドくんが高らかにそう言った。


「ふにゃっ！？にゃにゃにゃ！にゃんにゃこれ！？」

エルドくんの後ろから抱きつき頬をベットリと舐めた、俺たちを弄ぶその行為を行った瞬間だった。クエスに変化が現れた。


「ふにゃっ、、、にゃにゃぁ♥にゃあぁぁぁん♥これは！？いったいにゃにをしたのにゃ！？にゃ♥、、、にゃあん♥」

顔を赤くし、猫の耳を垂れさせ、今までに無いほどに息を荒げ、身体をビクビクと小刻みに震えさせ、顔はだらしない笑顔から恥ずかしがるような戸惑った表情へと変わっていた。
そしてエルドくんに押しつていた胸や腰を更に激しく乱暴に擦り付けてきた。まるで自分を虐ているのかと思うほどに身体をぶつけていた。
ミニスカートの中からはイヤらしい女の子の蜜が綺麗な太股を伝わって滴り落ちてきていた。

これは、、、もしかして発情しているのか？


「そしてこいつも喰らえ！」
ﾋﾟｮｺﾋﾟｮｺ

エルドくんが懐から取り出したもの、それは猫じゃらしだった。


「ふにゃ！、、、ふにゃにゃ♥身体が勝手に追いかけてしまうにゃ！」

目の前でぴょこぴょこ揺れる猫じゃらしを前にクエスはまるで本物の猫のように手でじゃれ始めた。逃げ出すこともできずに尻尾を降って猫じゃらしに弄ばれてしまったのだ。






「しかし、なんでエルドくんは猫じゃらし何て持ってるんだ？」

「エインさん！鍵を奪い取りました！」

俺があっけにとられている間に、エルドくんは身体を擦り付けてくるクエスを抱き締めると尻尾に引っ掛かっていた鍵を捕って、俺に放り投げてきた。


「エルドくん、、、すまないっ！」

エルドくんの犠牲を無駄にしないためにも俺は走り出した。

■作者メッセージ
私が魔物娘図鑑にはまったきかっけとなったssは雑兵さんの「はいてないねこ」という作品なんです。
すっごい有名作品なんで皆さんはご存じだと思いますが読んだこと無いと言う方は読んでみてください。