連載小説
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五匹目。〜破壊を運び壊し歩く蛇〜前編


ドゴォォンッ!!!


バキィィッ!!!


ガシャ...ガシャ...



焼け野原、そんな言葉が合う
その場所は、町だった。


あの男はそれを容易く
『破壊』して通る。



「嗚呼。」


なんと...脆い。


触れれば壊れる。

触れずとも壊れる。


なんと...脆いものだ。



壊れてしまうという事は


弱いという事。


弱いという事は


何もできないという事。


弱きものは


死に方すらも、選べはしない



そうして男は月を見上げ


仮面の隙間から血の涙を流す。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ガシャン...ガシャン...


「...困ったな」


鉄仮面と重い甲冑に身を包んだ
男の名はウィル。


彼の悩み。


他者との関わりを
持たない彼は、どうやって
食いつないで行こうか
悩み、考えていた。



「とりあえず、今の服装は捨てるべき」



ーーーーーー街にてーーーーーー



「これで、よし」


鉄仮面に、甲冑、巨大な鉄球
そんな装備と打って変わって

軽めの服装に、メリケンサック

そして、仮面。



「これなら、怪しまれない」


元が良いからか
軽い服装である彼は

違う意味で視線を集める



(...なぜ、俺を見る?)



俗に言う、イケメンであった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「これから、どうするか」


とりあえず
仕事の集まる所に行ってみよう
という理由で、ギルドへ向かう。


「確か...ここだ」


以外と簡単に見つかり
早速、中に入ってみるウィル



「そこの方、貴方です
ギルド入会者でしょうか?」


「いや、初めてだ」


「では、こちらにて
詳しい説明をさせて頂きます」


「お願いしたい」



ーーーーーー数時間後ーーーーー



「という感じでございます」


「なるほど」


「入会されますか?」


「いや、やはりやめておく」


「それは残念にございます
またのご利用をお待ちしております」


「失礼する」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そこのお兄さ〜ん」

「・・・」スタスタ

「ちょっと〜ワタシと
イイコト、シない?」

「すまない、退いてくれ」

「お兄さん〜見かけによらず
草食系?襲いがいがあるわ〜」

「・・・」サッ

「あら?それは武器?
でもそんなんじゃあ魔物娘は倒せないわよ〜?」

「そうなのか」



じゃあ、遠慮はいらないか。



ドゴォンッ!!!



地面深く穿たれた穴。


その中に沈む、さっきの魔物娘。



「やり過ぎたか」



その瞬間。


獲物を見るように
目を光らせていた
全ての魔物娘達の瞳に

恐怖が宿った。



「嗚呼。」


ここでも、変わらない。


なんと、脆い。



「貴方様は、この街の方でしょうか?
それとも、街の方でしょうか?」

「旅の者だ」

「・・・?」

「どちらでもないという事だ」

「そうですか...」

「それでは」

「あぁ、お待ちください」

「まだ何か?」

「先ほどの者の無礼を
お許しください」

「別に気にしていない」

「謝罪も含めて
何かしたいのですが...

お時間、ありますか?」

「お前も、俺を襲うのか」

「そのような事は致しません
どうでしょうか?」

「...わかった」

「では、参りましょう」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「...お前の住処か」

「はい、ここが私の家でございます」

「格好からして、どこかに仕えている者かと思っていた」

「ふふっ、では、貴方様に
お仕えさせて頂きたいたいと」

「断わる」

「冗談ですよ、それでは
少々お待ちください」

「...わかった」

「頑張らせて頂きます♪」

「・・・?」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「これは...」

「どうぞ♪」

「...毒か」

「そんな物は入れていません
腕によりをかけて作りました♪
さ?お召上がりくださいませ」

「...いただきます」

...パクッ、もぐもぐ

「どうですか...?」

「...うまい」

「それは良かった♪」モジモジ

「...お前は食わないのか」

「えぇ、下の者が
上の方と並んで食事するなど
あってはなりませんから」

「なら、もういらない」

「...そうですか」

「...助かった
とてもうまい飯だった」

「...はい♪」

「では、俺は失礼する」

「もう...ですか...?」

「あぁ、いつまでも」



敵の傍にいたくはない。



「流石...ですね」

「あのような空気の場で
普通、俺に話しかけようなど
普通の者が出来る事ではない」

「鋭いのですね」

「あぁ、それにお前からは
鉄や火薬の匂いが漂っているぞ」

「・・・」

「確か...ショゴスだったか
本来、仕える主も持たず
鉄や火薬を常備している...

馬鹿でもわかる」

「・・・」カチャカチャ

「俺を殺しに来たか」

「その通りにございます...!」スチャ!

「・・・」スッ


パーンッバーンッ
パパパパパパパパパパッ

ハンドガンやショットガン
マシンガンの乱れ撃ち


さらに、


ガシャン、ガシャン!
ダラララララララララララララララララララッ

ミニガンの弾丸の嵐。



シューン...



「流石に、生きてはいない...?」

「...?」

「...!貴方は!?
どうして...!?」

「さっきのか?
全部当たったけどな」

「じゃあ...なんで!?」

「なかなか良い腕だ
全て俺に当たっていた

でも、全て勝手に壊れた。」


「なっ...」


男の身体には
一つも傷が無かった。


「あぁ、まだ残っていた」


「...っ!?」


「すまない、これで失礼させてもらう」



そう言って男は


その娘の肩を叩いて、去った。


そして、男の姿が見えなくなる頃


彼女の形は、『壊れた』。
16/03/06 02:18更新 / 紫酔染香*・ω・)ゞ
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■作者メッセージ
こんばんわ、シスイです。

五人目にございます。

別の話も出したいな〜なんて〜

_( _´ω`)_フゥ

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