連載小説
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四章 ー今までとこれからとー
「ほら!早く行くわよ!」
「はいはい…。」
俺は今、サフィラ…もといあのワイバーンの少女と共に行動を共にする事になっている。
…なぜそうなったのかは、これまでの事をざっくりと説明する。
俺はギルドから依頼を受け、レスカティエ教国へと向かった。
教団騎士からの作戦を聞いた後、俺はすぐに宿屋で休んでいたその束の間、魔物達が急襲を仕掛けてくる。
普通の人々も、教団騎士も、一緒に依頼を受けた傭兵も皆、魔物によって支配されていく中で、俺は一刻も早くレスカティエ教国から脱出しようと逃走する。
そしてそこを狙って攻撃をしてきたのがサフィラである。
俺に攻撃を仕掛けてくるが、道具なり自分の風の魔力なりと使い、なんとか逃げ切ってレスカティエ教国から脱出に成功した…筈だった。
なんとサフィラは、攻撃の際に自らの魔力を俺に付けてマーキングしていたのだった。
そして俺は彼女から今の魔物…魔物娘の存在を知る事になる。
そして、彼女が自ら俺に付いていくと宣言した。
俺はもう言い返す気力も無くなり、付いてくるようになった。
そして今に至るって訳だ。
俺とサフィラは、依頼を受けたギルドがある街へ向かう事にした。
「ねえ、わざわざここから歩いていくわけ?」
サフィラは俺の前に立ち塞がり、なんだか少し不満そうか顔をしていた。
「ああ、何か不満か?」
「不満かって…わざわざ歩くぐらいならひとっ飛びした方が早いんじゃないの?」
…ああ、なるほど。
「大丈夫だ。別に急ぎという訳じゃないし、恐らくあのレスカティエの件は既に全滅したと思ってるだろうしな。」
俺がなんとか逃げ切れたのは実力というより運が良かっただけだ。
普通なら絶対にあの地獄絵図からは逃れられないだろう。
「それなら先に飛んで待ってても良いんだぞ?ここからなら、恐らく今日中には着くからな。」
別にサフィラが俺に合わせる必要なんてない。
何故なら俺とサフィラは、別にパートナーという訳でもなんでもないからだ。
ただ、お互いに利害の一致という訳で今は行動を共にしているだけだ。
サフィラからすれば、俺を一人にするという事は魔物娘から狙われやすく、とても危険だから一人にしておけないとの事。
俺からすれば、彼女は他の魔物娘を寄せ付けないガードみたいなものだ。
彼女が側に居るだけで他の魔物娘達は夫婦になっているものだと勘違いし、襲ってくることが無い(らしい)。
…魔物娘って変なところで一途なんだな。
まあそれはさておき、俺とサフィラは徒歩でギルドがある街へ向かった。
17/01/01 15:47更新 / 放浪な風来人
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